部屋との繋がりで考える、新しいバルコニーの使い方
バルコニーは共用スペースなので、自分の好みに合わせて改造してしまうことはできません。ほとんどのマンションの規約には、そのように明記されているでしょう。
ベランダとバルコニーの違いは、ベランダには屋根があり、バルコニーには屋根がないこと。それ以外は、どちらも共用部分で隣との境は薄板で仕切られており、火災などの災害時に避難路として使うため簡単に蹴破れるようになっています。つまり非常時には、ベランダやバルコニーは避難通路になるわけです。
ただ、だからといって自分らしい使い方ができないわけではありません。リノベーションする時に、住まいの一部として室内との繋がりを考え、部屋の続きのようなイメージにすることは可能です。今回はそのようにベランダ、バルコニーを使っている事例をご紹介しましょう。
ルーフバルコニーも、部屋と同じ感覚でくつろげる
こちらは居住空間が50平米に対して、ルーフバルコニーが60平米もある住まいです。バルコニーは占有部よりも広いスペースがあるので、第二のリビング的に使用したり、テラスとしてガーデンパーティやバーベキューなどにも使ったりできます。リビングからそのまま出られるので、ウッドパネルを敷いてテラスに。パーティを開かなくても、日除け・雨除けのシェードを張って、あとはテーブルとチェアさえあれば、気が向いた時にそこでお茶を飲んだり、読書したり。デイリーにいろいろなシチュエーションが楽しめます。夜は夜景を見ながら、グラスを傾けるのもいいかもしれません。
普通のバルコニーも続き部屋風にして、限られたスペースを広く感じさせる
こちらは都心の約50平米のマンション。オーナーの趣味を活かし、レトロな空間をトータルに演出しています。このバルコニーは、よくマンションにある一般的なスタイル。特に造作を工夫できる余地はなさそうですが、そこでもひと工夫。リビングのバルコニーに面した床をフローリングではなくタイル貼りに。さらにバルコニーの半分程にウッドパネルを置いて、部屋の続き風に仕上げています。バルコニーは狭くなったように思えますが、実は何も改造を加えていません。大正ロマン風の部屋の雰囲気に合わせた、こだわりのバルコニーが完成です。
玄関から続いてバルコニーへ。靴のまま出られる気軽なスペース
バルコニーというと、窓の外に出る際はバルコニー用のサンダルなどを履いてというパターンがほとんど。しかし、こちらはもっと気軽にバルコニーへ出られるよう、玄関側のデザインをひと捻りしています。
広いルーフバルコニーにもさっと行けるようにするために、エントランス玄関の土間をかなり広めに確保。バルコニーに出られる窓に面して、土間が続く造りになっています。玄関のスペースに続いてバルコニーが広がるので、想像以上に広々とした開放感があります。
ルーフバルコニーをリビングにすれば、狭めの住まいでも快適に
都心の48平米マンションに3人家族が暮らす住まいでは、快適に生活するために発想の転換も必要です。こちらは広いルーフバルコニーのある住居だったので、ルーフバルコニーをリビングととらえ、室内は広いダイニングキッチンにという造りに。リビングを設けなかったので、ダイニングはゆとりのあるスペースが確保できました。ルーフバルコニーはシェードを設置。テーブルセットを置いて、室内と変わらないイメージの、落ち着いたスペースになっています。ここなら家族や友人との会話も弾みそう。
バルコニー、ベランダは勝手に造作を変えられませんが、室内とのイメージを連動させたり、リノベーションの際にバルコニーと室内をうまく繋げる工夫をしたりすることで、今までとは違う感覚で使うことができます。こういうアイデアは、リノベーション専門会社ならではのノウハウもありそう。中古マンションを買ってフルリノベーションをしようと思った時には相談してみると、自分らしい個性的な住まい、バルコニーの使い方が実現できそうです。