【独身】中古マンション購入か賃貸か?この3ケースは賃貸を選ぶべき
現在、賃貸マンションに住んでいる独身者にとって、この先、マンションを購入した方がいいのか、それとも賃貸生活のまま続けた方がいいのかというのは悩ましい問題なのではないでしょうか。独身者が選ぶべきなのは購入か賃貸か、このテーマについて考えてみましょう。
中古マンション購入の全体像については【重要度順】プロがまとめた中古マンション購入の注意点5つをご確認ください。
宅地建物取引士/元銀行員
鰭沼 悟
宅地建物取引士、不動産投資家歴15年、元銀行員。不動産仲介からリノベーション設計・施工をワンストップで提供する株式会社grooveagent(ゼロリノベ)代表取締役。
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賃貸を選ぶべきケース
まず賃貸を選んだ方がいいケースを見てみましょう。一生賃貸のままでいいと決めている人を別にすれば、基本的に将来の予定などがあり、今はひとまず賃貸物件に住むという人が当てはまります。具体的には次のようなケースです。
1-1.将来、実家を相続する
現在は一人暮らしをしているけれど、将来、実家を相続することになるというケースです。
特に実家が戸建てで、自分が住むようになる頃には家を建て替えることになりそうな場合は賃貸が向いています。
というのも、その前に自分のマンションをローンを組んで購入してしまうと、家を建てるときに二重にローンを組むか、マンションの方を売却するか誰かに貸すか、といった手間が増えるためです。相続して住む家があるなら、それまでは賃貸を選ぶのが通常です。
1-2.結婚の予定がある
数年先に結婚を考えている、またはその予定があるというケースです。
最初から結婚後のことを考えた立地と間取りの物件を選び、パートナーもそのことを了承しているといった状況であれば、マンション購入を選んでも問題ないでしょう。
しかし、結婚したら新居に買い替えればいいと安易に考えているとしたら、この場合もリスキーです。売却時にマンションの価格が下落していないという保証はどこにもありません。最初から転売しやすいマンションを購入するという選択肢もありますが、やはり賃貸の方が気軽で、フレキシブルに対応できます。
1-3.転勤が多い
勤務している会社で転勤が多いケースです。
会社から家賃補助も出て家賃が安く抑えられるのなら、賃貸の方がいいでしょう。補助金を利用すれば分譲マンション並みにグレードの高い賃貸マンションに住むことも可能なはずです。
綿密な資金計画を実行し、老後に現金でマンション購入する方法もある
賃貸を選ぶべきケースに当てはまらず、賃貸か購入か、今はまだどちらがいいか判断がつかないとい人もいるでしょう。
その場合、老後にマンションを購入するというビジョンを描きつつ、それまでは賃貸マンションで生活しながら資金を貯めるという方法も考えられます。
この方法のメリットは、老後までは賃貸で身軽に生活できることと、高齢になったらそのときに住みたいと思う条件の物件を選べることでしょう。若い頃に買ったマンションが必ずしも老後に住みたいマンションとイコールになるとは限らないので、将来の自分のニーズを最重要視する考え方とも言えます。
ただ、課題も多くあります。
まず、住宅ローンの審査に通りやすいのは30代から40代にかけての年代です。銀行などが設けている住宅ローンを組める上限年齢は一般的に65~70歳までで、完済時の年齢は80歳程度となっています。ほぼローンは使わない想定でいるべきだと考えられます。
となれば、老後にマンションを購入するには生活していくための老後資金とは別に、マンション購入のための資金も貯めて現金を用意しておかなければなりません。
毎月、賃貸のための住居費を支払いながら老後資金を貯蓄し、さらに老後のマンション購入資金も用意するというのは、ある程度の年収が必要になってきます。そうでない場合、老後に住みたいマンションを買うと言っても、その選択肢は狭いものになってしまうおそれがあります。
賃貸の年金暮らし高齢者の犯罪が止まらない理由
BBCに取り上げられている悲しいニュースがあります。それは、日本の高齢者犯罪が増加し続けているというもの。その理由が、家賃と医療費を払うと暮らしていけないため、タダで暮らせる刑務所に入るというもの。
賃貸暮らしだけが理由ではありませんが、購入しないことのリスクの1つであると言えます。住まいの購入は長期の貯金計画を立てる最高のタイミングでもあります。将来のことをしっかりと見据えて計画を立てましょう。
多くの人が現役のときにマンションを購入した方がいい理由
ここで改めて、独身者が現役時代にマンションを買った場合の利点を考えてみましょう。
最大のメリットは、老後の住居費が少なくすむことです。平成27年の厚生年金受給額の平均は14万円前後。
多くの場合、年金だけでは暮らしていけないので、それまでに貯めた貯金を切り崩して生活することになります。このときすでにマンションを購入していれば、毎月の住居関連費用は修繕積立金や管理費など2~3万円程度ですみ、負担額を抑えられます。
このとき考慮したいのが、「長生きするリスク」です。日本人の平均寿命は延び続けており、現役時代の貯金だけでどこまで生活していけるのかは不透明で、計算しづらい面があります。
購入したマンションはいざというときに売却することもできます。あるいは誰かに貸して賃貸経営することも可能です。資産を持っているということは、老後の心強い味方になるでしょう。
と、ここまでの事情は既婚者でも同じです。
現在独身で、将来結婚する予定がないという場合は、子供がいなくて養育費などがかからないという面もあるものの、いろいろな意味でパートナーの助けを借りることもできません。
自分だけが頼りになりますから、お金についてはよりシビアに考えることが必要です。老後に住居ローンや家賃という支出を残しておくのは得策ではないからこそ、その負担をへらすことができる若いうちのマンション購入はおすすめできる選択肢です。もちろん、自分の住まいを持っているという安心感も得られるでしょう。
>>中古マンションは何年住める?「寿命と建て替え」3つのポイント
独身の幸福なマンション購入のすすめ
一般論で言えば、独身者にとってマンションを購入が良い選択となることがおわかりいただけたでしょうか。ただし、それは以下のルールを守った場合に限ります。
4-1.予算
予算は最重要要素です。住居ローンで借りる額は年収と照らし合わせて慎重に検討して決めてください。借りすぎは不幸を招きます。
ポイントは返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)をしっかりと守ることです。ゆとりを持ってローンを返済しながら生活していくには、借り入れの金額は年収の5倍程度、返済負担率は20%以内に収めるのが理想です。
なお、自分に合った予算を組むためには、ファイナンシャルプランナーに老後までのライフプランを作成してもらうのもおすすめです。現在から老後までのロードマップがわかるので、今、何をすべきかという最善手も見えてくるでしょう。
>>元銀行員が教える!住宅ローンの年収別目安と返済額を抑えるコツ5選【チェックリスト付】
4-2.立地
立地も大事です。考え方の基本は自分が暮らしやすい場所にあるマンションを購入することですが、一方でいざというときに「売りやすい」立地かどうかという判断基準も採用すべきです。何らかのアクシデントがあったときのことを想定して、将来の資産価値を考慮しましょう。
そのためには現在、人気のあるエリアというだけでなく、今後の再開発や新駅建設、路線乗り入れなどの計画についても調べてみてください。物件自体の設備や仕様が多くの人の需要に適うものかどうかも要チェックです。
4-3.中古から探す
新築物件を選ぶべきではないとは言いませんが、今、マンションを買うならおすすめは中古マンションです。
新築は(営業マンのコミッションや広告費などが乗っており本来の価値より)価格が高いのと、将来的に管理がどのように行われるのかがわからず、リスクが高いのが難点です。
マンションにおいて管理状況は居住の快適性と建物の寿命を左右する非常に大きな要素です。管理さえしっかりしていれば、鉄筋コンクリートの物理的な寿命は100年以上と言われています。
また、一般的にマンションの資産価値は新築時が最も高く、あとは下がり続けて、築20年前後で安定します。つまり、新築物件を購入しても将来の資産価値が上がる確率は低く、逆に築20年以降の管理の行き届いた中古物件を購入すれば資産価値が極端に下がる可能性は低いということです。
中古マンションには住居ローンを無理なく組みやすいというメリットもあります。内装をきれいにしたい、自分好みにしたいときはリフォームやリノベーションを検討すれば新築同様になるでしょう。
まとめ
実家の相続や結婚の予定がある、転勤が多いといった事情があるのなら、今は賃貸マンションに住む方が合理的な選択となるでしょう。あるいは老後までの綿密な資金計画を実行できるのなら、高齢になってからマンションを購入するという方法を選ぶのも悪くありません。
逆に言えば、これらに該当しない場合は、マンションは今のうちに購入した方が長期的に見て安心です。住宅ローンの審査に通りやすい年齢も加味すれば、30代、40代を目安にマンションの購入を検討してみましょう。