近隣トラブルを回避して最高のリノベーション工事にする17個のポイント

「リノベ工事を予定しているが、トラブルにならないために事前に知識を得たい」
「近隣トラブルを避けるためにはどうしたらいいの?」
初めてのリノベーション工事は流れや注意点など分からないことが多くてモヤモヤしますよね。
本記事では、リノベーション工事を行う際の注意点を紹介します。リノベーションの際のトラブルを回避してスムーズに工事が完了させるための参考にしてください。

一級建築士
西村 一宏
ゼロリノベの取締役。一級建築士としての豊富な現場経験と元大学講師としての深い専門知識をもとに、設計施工の責任者を務める。リノベーション・オブ・ザ・イヤーなど建築関連アワードの受賞数は20以上。業界の既成観念に囚われない最適なアプローチで施主のニーズに応えている。

リノベーション工事の懸念点は、費用もさることながら「品質」と「工事による近隣迷惑」です。それぞれのポイントを意識することで、滞りなくリノベーションに仕上げることができるでしょう。
リノベ費用の決定版!リノベにかかるお金について総まとめした記事はこちらから
工事契約・工事準備

まずは、実際に工事がスタートするまでに確認・準備すべきポイントを6つお伝えします。
【POINT 1】設計士との共同プロジェクトとして取り組むと満足度は高くなる
リノベーションは「共同プロジェクト」である認識を持つことで満足度が高くなります。
なぜなら、商品やサービスは「等価値交換」と「共同プロジェクト」の2つに分類され、種類によって価値の内容が異なるからです。
等価値交換
3,000円の洋服と現金3,000円のように等価値を交換すること
共同プロジェクト
医者やトレーニングジム、英会話教室など、共通の目標に向かって互いが協力して価値を生み出すこと
新築は既に出来上がっている物件を購入するため「等価値交換」となります。
一方で、リノベーションは「共同プロジェクト」です。
なぜなら、リノベーションは解体してみると建設当時の図面と現場で差があり、プランの一部を変更しなければならない場合が多々あるからです。そのときは、依頼主(あなた)と設計担当が現場状況に応じて、協力しながらプランを再検討しなければなりません。
共同プロジェクトは等価値交換に比べて労力が必要になります。だからこそ、達成したときの満足度は比較できないほど高くなります。
逆に言うと「お金を払うから後はよろしく」の等価値交換スタンスの場合は、新築購入、設備交換のみのリフォーム、そのまま住むなどを選ぶと満足度が高くなるでしょう。
◎あなたがやるべきこと
リノベーションは「等価値交換」ではなく「共同プロジェクト」だと認識する
【POINT 2】工期遅延した場合の責任を明確にしておく
工期にまつわるトラブルを回避するには、工事請負契約を交わす際に、遅延した場合の責任の所在を明確にしておくことです。なぜなら、工事が遅れ工期が伸びれば、仮住まい費用も余計にかかるためです。
工期が遅れる理由は大きく分けると2つあります。
- 施工会社の不手際によるもの
- 災害の影響…等々の不可抗力によるもの
「予定通りの入居が困難な状況になったら遅れた日数分の仮住まい費用などを補償する」「入居後でもできる工事を後回しにするなどして引き渡し予定日に間に合うような調整する」など、それぞれの場合にどのような対応が受けられるか事前に確かめておきましょう。
あらかじめ明確にしておくことで、余計な揉め事による精神的な疲弊を防ぐことができます。
◎あなたがやるべきこと
工期遅延した場合の「責任の所在」や「内容」を明確にしておく
【POINT 3】施工行不良やミスが発覚した際の保証内容を明確にしておく
施工不良やミスが発覚した場合のために、事前に保証の有無・期間・内容などを確認しておきましょう。
施工ミスや勘違いで正しく施工されなかったり、違う資材が使われてしまうことは十分にあり得ます。その場合、是正工事をすることになりますが、もちろん費用がかかります。
そのため、工事請負契約を交わす前に「どこまでが無償なのか」を明確にするようにしましょう。会社によっては、2年間保証、設備の10年延長保証などを受け付けている場合もあります。。
◎あなたがやるべきこと
施工不良やミスが発覚した場合の「責任の所在」や「保証内容」を明確にしておく
【POINT 4】クレーム回避のため工事開始前に近隣住民に挨拶をしておく
工事の前に近隣挨拶を済ませておきましょう。リノベーションの工事は2.5〜3ヶ月の期間が必要となります。工事期間が長いと騒音などで近隣の方には迷惑がかかります。
そのため、マンションの場合は掲示板などには工事のお知らせが貼られ周知されますが、それとは別に上下左右斜めの8戸のお部屋の方には工事が始まる前に挨拶を済ませておきましょう。
その際は、「疑問点やご要望などあったら、気兼ねなくどんどん工事会社に言って下さい」と一言添えておくのがおすすめです。
隣人には直接言い難いことでも、業者相手だと気兼ねなく言えることも多いものです。この一言で「しっかりした人だ」と好印象を持ってもらうことができ、良好な関係を築きやすくなります。
◎あなたがやるべきこと
工事がスタートする前に近隣挨拶を済ませておく
【POINT 5】予算の中で50万円程度を「もしも資金」として残しておく
予算いっぱいいっぱいでスタートするのではなく、50万円程度を「もしも資金」として残しておきましょう。
リノベーションは、解体してみてマンション建設当時の図面と現場で差があり、追加の費用が必要になったり、プランの一部が変更せざるおえなかったりする場合が多々あります。
例えば、お風呂の位置が動いたり、想定よりも寝室が狭くなったりすることもあります。もちろん、プランよりも広く確保できる場合もありますし、想定よりもプランのクオリティが上がることもあります。
プラン変更による工事期間への影響は一週間程度です。費用が発生する場合は、50万円程度を想定しておけばほぼ対応できます。
◎あなたがやるべきこと
プラン変更を想定して50万円程度を「もしも資金」として残しておく
【POINT 6】工事期間を把握して仮住まいを準備する
いま住んでいる家をリノベーションする場合、仮住まいが必要になります。リノベーションは工事の際に粉塵や工事の危険が伴うため、住みながらのリノベーションはできないケースがほとんどです。
仮住まい期間は、工事期間によって変わります。念のため余裕を持って、工事期間の前後1-2週間ぐらいは住めるようにしておくと良いでしょう。
- 表層リノベーションの工事期間【1.5〜2ヶ月】
- スケルトン・リノベーションの工事期間【2.5〜3ヶ月】
家財道具はレンタルしたトランクルームに置いて、ウィークリーマンション・マンスリーマンションを仮住まいにするケースが多いです。同時に、郵便物の転送・インターネットなどの必要な手続きも済ませておきましょう。
◎あなたがやるべきこと
工事期間の前後1-2週間ぐらいは住めるように仮住まいの準備をしておく
工事

次の「POINT7-13」は、工事中に確認・準備すべきポイントをお伝えします。
スムーズに工事が行えるように参考にしてください。
【POINT 7】色や設備の位置は現場で決める
「床・壁・天井などの色」や「設備の位置」は現場で確認してから最終決定しましょう。
なぜなら、設計の打合せ時に色見本で確認しながら色を決めますが、現地で確認すると印象が違って見えて変更したくなるケースがあるからです。
トイレのペーパーホルダーなどの位置も、左右の壁のどちらにつけるかや高さなど、実際に便座に座りながら決めると失敗しません。
もちろん、現場の職人さんにおまかせして取り付けてもらうこともできますが、「こっちの方が良かった」と後悔しないように、なるべく自分の目で見て決めることをおすすめします。
設計担当に「設備の取付時には呼んでください」とアナウンスをお願いしておきましょう。
◎あなたがやるべきこと
床・壁・天井などの色や設備の位置は現場で最終確認する
【POINT 8】工事担当者に作業時間を守ってもらう
リノベーション会社には、作業時間はきっちり守ってもらうように伝えておきましょう。
近隣の人の中には、騒音や振動のためストレスを感じている人も多くいます。もし、あらかじめ告知していた作業時間を少しでもオーバーすると、悪質工事だと怒りを買うケースもあります。
また、リノベーション工事は休日作業も避けた方が良いでしょう。普段は我慢している人でも、今日は工事が休みだと思っていた朝に騒音や振動が始まれば、ストレスになります。そうなるとトラブルに発展しかねませんので、注意が必要です。
◎あなたがやるべきこと
リノベーション会社に作業時間を厳守するように伝える
【POINT 9】工事車両の駐車マナーに注意してもらう
リノベーション会社には、工事車両の駐車マナーを厳守するように伝えておきましょう。
工事のタイミングによっては現場に複数車が来ることがあります。無断駐車や住人の邪魔になるような駐車は無論のこと、「ちょっとだけ」の駐車も厳禁です。
住人からすると「部外者のルール違反」となるため印象が悪くなります。印象が悪くなると些細なことでも大きなトラブルに発展しやすくなります。
また、万が一、無断駐車によって交通事故を招いてしまったり、救急車両の通行を妨げてしまったりしまうことも考えられます。工事車両の駐車マナーには、十分に気を付けてもらいましょう。
◎あなたがやるべきこと
リノベーション会社に工事車両の駐車マナーを徹底してもらうように伝える
【POINT 10】ゴミや資材は整理整頓してもらう
リノベーション会社には、現場の整理整頓するように心がけてもらいましょう。
工事は住人に注目されているため、現場や敷地内にゴミが散乱していたり、許可されていない場所に資材などが置かれていたりしたら「環境を悪化させている」と捉えられてしまいます。
逆に、整理整頓を心がけて綺麗な現場にすることで、住人に良い印象を抱いてもらえたケースもあります。
◎あなたがやるべきこと
リノベーション会社に現場の整理整頓を心がけてもらうように伝える
【POINT 11】工事担当者にトイレや喫煙マナーを守ってもらう
リノベーション会社には、トイレや喫煙マナーを徹底してもらうことが大切です。
全員ではないですが、職人さんの中にはベランダで煙草を吸う人もいます。近隣に煙が行くことでトラブルに発展するケースは多くあります。
近隣住民に不快な思いをさせないようにマナーを徹底するようにリノベーション会社に伝えておきましょう。
◎あなたがやるべきこと
リノベーション会社にマナーを徹底してもらうように伝える
【POINT 12】工事現場に行くときは必ず設計担当に事前確認する
工事現場を見に行きたいときは設計担当に必ず事前確認しましょう。
現場は日によっては危険が多くなることがあり、不意に現場に行くことで怪我をする恐れがあります。
また、職人さんの腕が止まってしまい工事に遅れがでる場合もあります。
そのため、担当設計士や現場監督に連絡して許可を得てから現場に行きましょう。
◎あなたがやるべきこと
工事現場を見に行きたいときは設計担当に事前確認する
【POINT 13】職人さんへの差し入れは無くても問題ない
工事の際に現場への差し入れは無くても問題ありません。職人さんはプロフェッショナルですので、差し入れ有無で工事品質に差が出ることはありません。
どうしても差し入れしたい場合は、設計担当に事前確認してから工事現場に行くようにしてください。
◎あなたがやるべきこと
差し入れしたい場合は設計担当に事前確認して工事現場に行く
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検査・引き渡し

「POINT7-13」までは、リノベーション工事中のポイントをお話ししました。次の「POINT14-17」は、工事後に確認・準備すべきポイントをお伝えします。
工事後にトラブルがないように確認していきましょう。
【POINT 14】引渡し時は、設備が稼働するか・汚れや傷がないかをチェック
工事が完了すると引渡しになります。最後のチェックとして設備がしっかり動くか、汚れや傷がないかを確認しましょう。
確認せずに不備があった場合は、引越し後に追加工事になるため面倒です。そのため、引き渡しの際は設計担当と一緒にチェックすることをおすすめします。
- 照明スイッチ:実際に点けて確認
- コンセント:スマホの充電器などをさして確認
- インターホン:外から鳴らして動作確認
- お風呂設備:お湯が出るか確認、リモコンの動作確認
- ガスコンロ:火をつけて確認
- IH:電源を入れて動作確認
- シンク:水・お湯を出して確認
- 食洗機:電源を入れて動作確認
- 床暖房:電源を入れて動作確認
- トイレ:リモコン操作で動作確認
- 洗面所:水・お湯を出して確認
- エアコン:電源を入れて動作確認
引っ越す前に全ての設備を確認して、不備がない状態でお引っ越しをしましょう。
◎あなたがやるべきこと
引渡し時に「汚れや傷の有無・設備の稼働」を確認する
【POINT 15】完成検査と補修工事後に工事代金を支払う
工事完了後は施主(あなた)による完成検査と補修工事後の確認を行ってから工事代を支払いましょう。
残代金の全てを支払ってしまった後に、未了の工事(補修工事を含む)があると工事の進行が遅れたり、対応が悪くなったりすることがあるからです。
また、リフォーム・リノベーション会社によっては「工事開始前」と「工事完了後」の二回に分けて支払う場合もあります。支払う回数についても事前に確認しておきましょう。
◎あなたがやるべきこと
施主による完成検査と補修工事の確認を行ってから工事代金を支払う
【POINT 16】工事完了後の近隣住民へのご挨拶を忘れずに
工事前だけでなく工事後も、近隣住民に挨拶しましょう。
工事完了後のご挨拶では手土産は基本的に不要です。ただし、工事中に何らかのご迷惑をかけた場合は、簡単なものでよいので持参して挨拶しましょう。
◎あなたがやるべきこと
工事完了後にあらためて近隣住民へご挨拶する
【POINT 17】対象工事の場合は減税・補助金を活用する
リノベーションは範囲が多岐にわたり、費用も高額になりがちです。そのため、全体の費用を抑えるために減税制度や補助金制度を有効に活用しましょう。
各制度には条件があります。余裕を持ったスケジュールで準備することが大切です。
最新情報については下記をご確認ください。
- 住宅のリフォームに利用可能な税制特例(国土交通省)
- バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)(国税庁)
- 借入金を利用してバリアフリー改修工事をした場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除)(国税庁)
- 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)(国税庁)
- 住宅ローン減税(国土交通省)
- 住宅リフォーム推進協議会 リフォームの減税制度
実際には個別状況によって異なります。そのため、お近くの税務署に確認することが一番の近道です。ぜひ相談してみてください。
また、減税制度と同様に、耐震、省エネ、バリアフリーのリフォームで自治体の補助金を利用できる場合があります。補助金制度の詳細や利用条件は各自治体によって異なります。
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会のWebサイトで確認しましょう。

出所:地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト
◎あなたがやるべきこと
対象工事の減税・補助金について税務署や各自自体に確認する
まとめ

リノベーション工事終了後も末永く暮らしていく住まい。近隣住民とも良い関係を築きたいものですよね。
リノベーションの際は、共同プロジェクトのパートナーである施主として目を光らせることで、近隣との摩擦を軽減する役割を果たすことは十分にできます。
本記事で紹介したポイントをおさえてリノベーションの際のトラブルを回避してスムーズに工事が完了させましょう。
なお、ゼロリノベではリノベーションの実績が豊富にあり、リノベーション工事の流れに関する相談から施工までワンストップでのサポートが可能です。
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