魅力的な古民家リノベーション!自宅用・店舗用で費用や注意点を徹底解説

古民家リノベーション。それは、時を超える家との出会いです。
「古民家」という築50年以上の日本の伝統的な住まいを、その古き良き風格と温かみを残したまま、現代の技術で暮らしに合わせて蘇らせるというのはとても魅力的ですよね。
古民家リノベーションと言えばカフェやレストランなどの店舗として活用する方も多いですが、少子高齢化による空き家問題や、リモートワークが普及したことによる地方移住性への関心の高まりなど、サステナブルな生活を求める流れからも注目を集めています。
この記事では、古民家リノベーションの魅力や注意すべき点、古民家リノベーションを【自宅用】として行うか【カフェなどの店舗】として行うかの違い、実際に古民家リノベーションを進める際のポイントやステップなどを解説しています。
古民家リノベーションに興味がある、まだ検討段階にはないけど古民家リノベーションに憧れているという方もぜひご覧ください。
※本記事に掲載している住宅ローン減税制度の概要・要件等は、2025年度時点の情報です。最新情報については、下記の記事を参照してください。

一級建築士
西村 一宏
ゼロリノベの取締役。一級建築士としての豊富な現場経験と元大学講師としての深い専門知識をもとに、設計施工の責任者を務める。リノベーション・オブ・ザ・イヤーなど建築関連アワードの受賞数は20以上。業界の既成観念に囚われない最適なアプローチで施主のニーズに応えている。
リノベ費用の決定版!リノベにかかるお金について総まとめした記事はこちらから
古民家リノベーションとは?
古民家リノベーションとは、戦前から昭和中期に建てられた伝統的な木造家屋を、現代のライフスタイルに合わせて改修し、再生させる取り組みです。
単なる修繕であるリフォームとは違い、その建物の文化的な価値や建築の美しさを尊重し、活かしたまま現代のトレンドや施主様の理想のライフスタイルに合わせていくのは、とてもワクワクしますよね。
このような住まいの再生は単に「古い家を住めるようにする」というだけではない価値が生まれます。
地域ならではの風景、その時代や文化を大切にしながら次世代に受け継ぐことのできる「価値ある建物」にすることはもちろん、残っている建物を生かすことは環境負荷を抑えSDGsの取り組みとしても有用です。
なにより、唯一無二の古民家リノベーションはただ家を手に入れるというだけではありません。
細部までこだわって家をつくるという贅沢な体験は、他では味わえない愛着をもたらしてくれるでしょう。
古民家リノベーションの4つの魅力
では実際に古民家リノベーションをしよう!となった時に、メリットとして感じる魅力はどんなものでしょうか。
- 自然豊かな周辺環境に暮らせる
- 歴史が紡ぐ独特の風合いを味わえる
- 住宅性能や設備のベースアップ
- 初期費用が手頃で、補助金制度も豊富
それぞれ詳しく解説します。
自然豊かな周辺環境暮らせる
古民家が存在している場所は、多くの場合、自然環境が豊かなエリアです。自然や田舎の雰囲気が好きである場合は、古民家が存在している環境そのものが魅力となりますよね。
リモートワークの普及が進んでいる今の時代、住環境を自由に選べるのであれば、思い切って都心から離れて暮らすという選択もよいでしょう。
歴史が紡ぐ独特の風合いを味わえる
天井を見上げると現れる黒光りした太い梁、手作業で塗られた漆喰壁の優しい質感、季節の光と影を映す障子のある窓辺……。
現代の住宅設備を設置し、不便のない生活を実現可能にしながらも、時を重ねた家にしか醸し出せない味わいを感じられるのは古民家リノベーションの最高の魅力でしょう。
新築にはない「物語」のある空間は、住む人の感性を刺激し、心を豊かにしてくれます。
また、古民家で使われている木材はヒノキやケヤキであり、これらは強度が落ちるまで800〜1200年とも言われています。今では入手困難な場合もあり、その希少性と長い時を重ねてきた重厚さは、不思議な安心感を与えてくれるでしょう。
住宅性能や設備のベースアップ
古民家には「寒い・暗い・不便」といったイメージがつきものですが、断熱材の導入やサッシ交換、床暖房の設置など、適切な改修を施すことで快適性は格段にアップします。
最新のキッチンや浴室設備の導入も可能で、古さと便利さを両立させる住まいを実現することが出来ますよ。
また、古民家は屋根裏まで見上げることができるケースが多いため、その開放的な空間はさらに快適性を高めてくれるでしょう。
初期費用が手頃で、補助金制度も豊富
古民家の中には、築80年や築100年という物件もあり、地方によっては築古物件が数十万円程度で手に入ることも。また、建物自体の価値が低く見積もられるため固定資産税や不動産取得税も手頃に抑えられる傾向にあります。
最近は自治体のリノベ補助金や移住支援制度もあるため、条件を満たせばさらにコストを抑えることが出来るでしょう。
費用負担を押さえつつ、理想の暮らしを手に入れる「賢い選択」としても古民家リノベーションは魅力的です。
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古民家リノベーションの4つの注意点
反対に、古民家リノベーショにおいて注意したい点は下記の4つです。
- 都会には古民家があまりないため、移住や生活環境の変化が伴う
- 建物の状態を正しく把握するために専門家による診断が必要
- 耐震・断熱の性能補強に費用がかかる
- 予算と工期に柔軟性と余裕を持つ
それぞれ詳しく解説します。
都会には古民家があまりないため、移住や生活環境の変化が伴う
現在都会に暮らしている人の場合は、引っ越しのハードルがどうしても高くなります。
古民家と呼ばれる建物は都心や都会には少なく、一般的には地方や郊外に多く存在します。また、田舎暮らしも含めての古民家リノベーションと認識している方も多いため、古民家に暮らすためには生活環境を変えることが必然的になります。人によっては、生活環境を変えることは、仕事的にも、ライフスタイル的にもハードルが高く感じてしまうこともあるでしょう。
働き方の自由度が上がってきているとはいえ、都会からの移住はデメリットと感じてしまう点も多いため注意が必要です。
建物の状態を正しく把握するために専門家による診断が必要
古民家は築年数が経っている分、劣化によるダメージが激しい場合も少なくありません。
- 白アリ被害や土台・柱の腐食
- 屋根や外壁の老朽化
- 建物の傾き、基礎の沈下
こうした問題は外観からは判断しにくく、専門家による建物診断(ホームインスペクション)が欠かせません。特に耐震性能は現在の基準に満たない場合が多いため、補強工事が必要であることは前提として考えておきましょう。
また、施工会社によっては古民家リノベーション自体をお断りしているケースもあります。古民家リノベーションをしたいと考える場合はその近くの施工会社が古民家リノベーションの実績があるかを確認しておくと良いでしょう。
耐震・断熱の性能補強に費用がかかる
建物の劣化状態だけでなく、耐震や断熱といった住宅性能における補強に費用がかかることにも注意しておきましょう。
基本的に古民家には、現在の住宅と同じレベルの断熱や耐震の性能は整っていないと考えておいた方がよいでしょう。
もちろんリノベーション工事によって補強することは可能ですが、その分費用も必要になってきます。
これから新しく古民家を購入する場合も、今所有している古民家をリノベーションする場合も、建物の耐震性能などを調査してくれるホームインスペクションは実施することを強くおすすめします。依頼するリノベーション会社の検討がついている場合には、相談すれば提携先を紹介してくれることもあります。
ホームインスペクションの費用はおよそ10万円程度です。購入前の場合は、調査費用も含めて、工事費用概算をリノベーション会社の担当に算出してもらいましょう。
古民家暮らしが向いてるか試したいなら「田舎暮らし体験」がおすすめ!
引っ越しのハードルが高いことに加え、田舎暮らしや古民家の特性が自分たちに合っているかどうかを事前に確認したいという方にはお試し移住がおすすめです。
自治体が管理している古民家の賃貸物件を借りて田舎で暮らしてみたり、古民家をリノベーションした宿泊施設に泊まってみたりすることでその土地での暮らしのイメージがつきやすくなるでしょう。
予算と工期に柔軟性と余裕を持つ
古民家リノベーションは「やってみなければ分からない」部分が多いのが現実です。工事中に追加の補修が発生することは珍しくありません。以下のポイントを心構えとして持っておくとよいでしょう。
- 費用は+20〜30%膨らむことも想定して予算に余裕を持つ
- 工期の長期化を見込んでスケジュール設計
- (場合によっては)優先度の高い部分から段階的に改修する方法も検討
初期段階で詳細な見積もりを取り、資金計画を慎重に進めることが成功への鍵となります。
古民家リノベーションの進め方
古民家リノベーションは、進め方が新築の場合と異なる点が多くあります。まずはあらかじめ古民家リノベーションの流れを押さえておきましょう。また、特に重要なポイントも併せてお伝えします。
古民家リノベーションの流れ
古民家リノベーションは大きく分けて以下の7つのステップで進められます。
この流れを事前に把握し、それぞれの段階でパートナーである設計・施工会社としっかりとすり合わせていく事が大切です。

古民家の購入からスタートする場合は、購入後、リノベーション設計の打合せや工事を行います。
リノベーションの期間は、規模に応じて変わりますが打ち合わせから工事完了まで3ヶ月〜6ヶ月程度が目安でしょう。
打合せ期間はこだわり方にもよりますが、1ヶ月〜2.5ヶ月程度を想定しておきましょう。
また、工事期間は一般的には2.5〜3ヶ月程度とされますが、工事面積によってはもっと工事期間がかかる場合もあります。
事前にリノベーション会社の担当に確認しておきましょう。
パートナー(リノベーション会社)選びが成功のカギ
古民家リノベは、一般的な住宅リフォームとは異なる知識と技術が求められます。
古民家の構造・素材に詳しい設計士や工務店を選定することはもちろん、その設計・施工会社の実績がどの程度あるか、事前に施工実績や口コミを確認しておきましょう。
また、補助金や登記、建築基準法などの法制度にも強い専門家と連携できる施工会社と組むことができると費用面でも安心でしょう。
施工前には必ず現地調査を行い、理想の暮らしを実現するための具体的な計画を立てることから始めるのが大切です。
【自宅編】古民家リノベーションする際の費用・ポイント・注意点
古民家リノベーションは【自宅用】にするか【店舗用】にするかでも大きく変わってきます。まずは自宅として利用する場合についてみてみましょう。
自宅用古民家リノベのメリットと注意点
- プライベート空間としての快適性を担保する断熱・耐震性能が重要
- 歴史を感じつつも設備は最新のものにして住みやすい環境を作る
- 住宅ローンや補助金の活用でコストを抑えられる
- ペットとの暮らしや庭の活用・余った土地の畑としての利用など様々なスローライフプランが立てられる
自宅として古民家リノベを行う場合は、暮らしに密着する住み心地を最優先にしながらも、古民家の風合いを活かす工夫が求められます。
古民家を自宅にリノベーションする際にかかる費用
古民家をリノベーションを専門会社に依頼する場合、目的と工事の規模によって、費用が変わってきます。大きく分けて次の3つのパターンがあります。
骨組みだけ残して外装もすべて刷新するスケルトンリノベーション
外装や屋根もぼろぼろで基礎の補修や耐震補強などをしっかりと行う場合に必要なリノベーション。古民家の場合はスケルトンリノベーションであることがほとんど。
スケルトンリノベーションの費用
古民家を中も外も全体的にしっかりとリノベーションする場合、スケルトンリノベーションという、土台や骨組みだけを残した状態のリノベーションを行います。
住宅性能は非常に高くなるのが特徴です。ただし、古民家の状態によっては、補修費などがより必要になるケースもあるため、あくまで目安となります。
外装や屋根は補修までで中身をがらっと変更するフルリノベーション
今ある外壁や屋根を利用しながら、できる範囲で補修をし、内装をメインに変更するリノベーション。古民家の状態によっては、フルリノベーションで充分な場合もある。
フルリノベーションの費用
フルリノベーションは、内装を間取りも含めて大幅に変更したり、外装については補修や塗装など今あるものを活かしてリノベーションする方法です。スケルトンリノベーションよりは費用が安く収まる傾向にあります。こちらも平米単価でおおよその費用が算出可能です。
内装の一部や設備交換のみで表面的なを手直しする部分リノベーション
建物自体に問題がなく、内装も大きく変える必要がない場合に、水回りの設備交換のみや部屋を繋げるなどの小規模なリノベーション。古民家の場合は、部分リノベーションだけだと冬の寒さや夏の暑さへの対策が別途必要になる可能性あり
表層リノベーション・部分リノベーションの費用
建物の状態がよく、内装の一部をリノベーションすれば暮らせるような状態の場合、部分的な間取り変更や水回りの設備などを入れ替える部分部分リノベーションの選択も可能です。
この場合は、入れ替える設備や工事範囲により費用は変動しますが、キッチンとお風呂のみならば200万円程度でできたり、リビングやダイニングまわりだけ変更するなども面積によっては100万円以内の予算で実現可能です。
物件の状態によっては、耐震補強などの費用も発生することもあるため、どちらの工事を想定している場合も、事前にリノベーション会社の担当におおまかな費用がどの程度になるか確認をしておきましょう。
古民家をDIYでリノベーションできる?
費用を押さえたい、またはせっかく古民家リノベーションするなら自分たちでDIYをしてみたい!と考える方もいらっしゃるでしょう。DIYで古民家をリノベーションする場合は以下のメリットやデメリットがあります。
メリット①:費用が安く抑えられる
DIYリノベーションのメリットとして、一番大きなものは費用の安さでしょう。自分たちで行えば、工事にかかる人件費や設計費用などの部分が必要なくなるため、大幅な費用削減につながります。
住まい全体に必要なリノベーション費用が1,700万円程度だった場合、あくまで目安ですが、材料や産廃、設備などもろもろで700〜800万円程度の金額で完成に持っていくことが可能となります。
費用の捻出が厳しいという方にとっては大きなメリットと言えます。
メリット②:知識を得ながらマイペースにできる
もうひとつのメリットとしては、知識を得ながらマイペースにできる点です。自分たちで、どんな家にするか考え、材料や間取りについて調べたり、アイデアを出したりしながら、趣味も兼ねて自分たちのペースで住まいづくりを進めることができます。
状態によっては住みながらリノベーションをしていくこともできるため、「次はここをこうしてみよう」少しずつ理想に近づけていくことが出来ます。DIYが好きな人にとっては、没頭できる満足度の高い趣味とも言えるでしょう。
デメリット①:専門的な技術と知識とセンスが問われる
DIYリノベーションのデメリットとしてはクオリティとセンスが問われるという点があげられます。しっかり施工したつもりでも、壁が傾いていたり、床が斜めになっていたりと、基礎部分でも失敗すると結局施工会社に入って補修してもらうことに…となりかねませんので注意が必要です。
また、材料や色などを選ぶセンスも問われることになり、ある程度完成イメージを思い浮かべながら取り組むことがポイントとなります。
デメリット②:自力でのリノベーションには根気と体力が必要
古民家をDIYでリノベーションする場合、特に根気と体力が必要です。
工事の規模にもよりますが、ひとつひとつの作業は地道なものが多く、目に見える成果が出るまでに諦めてしまったり、投げ出して途中から会社に依頼をして余計な出費が必要になったりする可能性もあります。単純作業なども楽しめるかどうか、しっかりと自分に問いかけてから始めましょう。
デメリット③:完成まで期間がかかる・想定より長引く場合も
完成まで期間が必要な点もデメリットと言えます。通常であれば、設計〜工事完了までは6ヶ月程度ですが、自分たちだけで古民家をすべてリノベーションしようと思うと一年半以上は期間を設けておくことをお勧めします。
古民家に暮らせていない間は賃貸費用と住宅ローンの二重支払いになる可能性もあるため、資金的にも余裕をもった計画をしておきましょう。
古民家をDIYでリノベーションする場合の費用
古民家1つをまるまるDIYリノベーションしようとすると、おおよそですが費用は700万円程度必要となります。
・材料費(屋根瓦、サッシ、外壁等は含まない)
・廃棄物処理
・設備機器
また、電気ガス水道に関する工事は、資格が必要です。資格なしで行うことは違法となります。コンセントの増設やキッチン設備の交換工事は専門家に依頼しましょう。
セルフリノベーション について詳しくは、セルフリノベーション初心者必見!場所難易度・費用・日数表をご確認ください。
DIYリノベーションにおける注意点
DIYの方が安く済むこともありますが、建物の状態などを事前に確認することをおすすめします。というのも、状態によっては地震に対して十分な能力を備えていない可能性があるからです。
そういった場合は耐震補強などが必要となるため、リノベーション会社やリフォーム会社に建物全体の解体から行うスケルトン工事を依頼し、自分たちが行える工事部分のみをDIYにしましょう。
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リノベするなら知りたい7つの知識
リノベーションで、自分たちの理想を100%叶えるためには住まい手に寄り添う作り手の存在が不可欠。
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【店舗編】古民家リノベーションする際の費用・ポイント・注意点
続いて、古民家をカフェやレストランなど店舗として利用する場合についてみてみましょう。
店舗用古民家リノベのメリットと注意点
- 古民家を利用したカフェ、宿泊施設、雑貨店は非日常感とフォトジェニックさが人気
- 地域資源と結びつけたコンセプト設計ができる(地元の木材や伝統技術の活用など)
- 店舗として利便性の良い土地を探すのは難しい(交通の便が悪い・害獣や害虫が出る)
- 消防法・バリアフリー・保健所対応など、法規制を加味した設計が必要(特に食品衛生許可は通常の建物より厳しい)
古民家のもつ時間を重ねた趣ある魅力が、店舗の「世界観」そのものになるため、デザイン性と安全性のバランスが重要です。
古民家をカフェにリノベーションする際にかかる費用
古民家をカフェにリノベーションする費用は、リノベーション会社に全て依頼する場合と、DIYを行う場合で変わってきます。それぞれの場合について解説します。
リノベーション会社に依頼する場合
広さによって費用は変わってきますが、家具などの備品の購入まで含めて1000万円程度までに収めることが多いようです。
古民家カフェを運営する場合、当時の雰囲気が魅力となるため、なるべく雰囲気を残したリノベーションとなります。そのため、大幅な変更は厨房まわりとなり、他は補修などとなることが多く、居住用の古民家リノベーションと比べると、かなり費用は安くなる傾向にあります。
DIYでリノベーションにチャレンジする場合
DIYで行う場合、費用は500万円以下で行うことが多いようです。その多くは、
・ゴミ処理
・材料
・設備
などです。人件費がかからない分、作業時間が大幅にかかり、計画通りに進まないこともあるため、数ヶ月程度遅れても問題ないくらいの準備はしておきましょう。
また、電気ガス水道に関する工事は、資格が必要です。資格なしで行うことは違法となります。コンセントの増設やキッチン設備の交換工事は専門家に依頼しましょう。
セルフリノベーション について詳しくは、セルフリノベーション初心者必見!場所難易度・費用・日数表をご確認ください。
古民家をカフェにリノベーションした事例
ここでは、実際に古民家をカフェにリノベーションした2つの事例をご紹介します。
古民家カフェこぐま

こぐまは昭和二年築の薬局をリノベーションした古民家カフェです。店内の作り付けの棚は昔のままの薬棚。薬の引き出しや柱時計、ミシン、タイプライターなども、 この家に古くからあったモノたちです。
古民家カフェ 蓮月

昭和初期に建てられ近年まで、そば屋「蓮月庵」として営業しており、地域の人々に愛されました。
ところが2014年、蓮月庵のご主人が高齢のため引退。惜しまれつつも閉店。蓮月の維持を願う人々が集い、最終的に、蓮月をカフェにすることが決定し、2015年秋。「古民家カフェ 蓮月」として復活を遂げました。
都内に限定されますが、こちらの記事でもリノベーションカフェをたくさん紹介しています!ぜひ参考にしてみてください。

古民家リノベ、やってみたいけど…
魅力のある古民家リノベーションですが、挑戦するハードルが高く、なかなか動けないという方もいるかと思います。
続いては古民家リノベについての不安を解消してみましょう。
いきなりの移住や古民家生活が不安なら賃貸からも可能
田舎で古民家に住んでみたい!と思っても、田舎暮らしの人間関係や害獣や害虫が出てしまうことが心配という方も多いでしょう。
そうした環境も含め、古民家での生活は一般的なマンションや一戸建てでの暮らしとは異なることも多く、いきなり購入に踏み切るのはハードルが高いと感じるかもしれません。
そんな時には行政や一般的な不動産屋が管理する賃貸物件の古民家を探してみましょう。
月々の家賃を支払って住めるので、購入するよりも気軽に古民家生活を体験できます。
古民家は今人気のため、売買物件だけでなく賃貸物件も取り扱っている可能性が高いです。
ネットで希望エリアの古民家賃貸情報をチェックしてみましょう。
賃貸より手軽な宿泊施設
地域によっては、町おこしなどの目的で、古民家をつかった宿泊施設で田舎暮らし体験ができるところもあります。
宮崎県日南市飫肥(おび)地区では、江戸時代に武士が住んでいた古民家をリノベーションした宿泊施設「季楽 飫肥 合屋邸(きらく おび おうやてい)」があります。
宿は1日1グループ限定の貸切タイプで、囲炉裏や土間などが当時のまま残された空間で、昔の文化体験を堪能できるようになっています。詳しくは、Nazuna 飫肥 ‐合屋別邸-をご確認ください。
移住できない場合は古民家風リノベという方法も
仕事や家族の関係で、いきなり地方への移住が難しいという方もいらっしゃるでしょう。
その場合は、中古の戸建てやマンションをリノベーションによって古民家風のデザインにするのはいかがでしょうか。
もちろん歴史を経た立派な梁などはなかなか実現は難しいかもしれませんが、吹き抜けや、土間、漆喰壁など日本家屋を感じる雰囲気にすることは可能です。
実際に私たちゼロリノベで担当させていただいた事例を3つご紹介します。
事例①私だけの小さなティーサロン

こちらは築32年の中古マンションを大正ロマンの魅力あふれるティーサロンのようにリノベーションした事例です。
L字型のソファーのおこもり感は当時の「カフェー」を思い起こさせます。
茶器専用の棚などこだわりの家具も設置した、利便性と理想をどちらも手放さないデザインとなりました。
事例②柱で魅せる思い出の家

こちらは両親から譲り受けた家を住み繋ぐためにリノベーションした事例です。
愛着のある古い柱や筋交いはそのままに、快適に住むための補強を施しました。
思い出は大切にしつつも最新の設備を備えた住みやすい家です。
事例③二人の「大好き」を詰め込んだ家

ご家族で古民家への理想や意見が分かれたら、こんな欲張りなデザインはいかがでしょうか。
趣味のお部屋は最新式の音楽機器がそろう防音室として構えつつ、小上がりや随所のデザインは古い日本家屋や和モダンな旅館のように仕上げています。お互いの希望に細かく寄り添えるのがリノベーションの良いところですね。
このように、利便性のよい立地に住まいを構えつつも材料やデザインで古民家や日本家屋に寄せる、というのもメリットのある選択肢と言えるのではないでしょうか。
リノベーションできる古民家の探し方4選
ここまでの流れで古民家リノベーションへの気持ちが高まった方も、それじゃあ古民家をどう探せばいいのかわからないとなってしまいますよね。
リノベーションできる古民家の探し方は大きく分けて4つです。
・不動産屋や不動産サイトから探す
・行政から探す
・NPOなど民間から探す
・自分の足で探す
それぞれ特徴はありますが、時間が許すならば、いくつかの方法を並行して行うほうが確立がぐっと上がりますよ。それでは、詳しく解説していきます。
不動産屋や不動産サイトから探す
一つ目の探し方は、不動産屋経由で探す方法です。一般的な物件を扱っている大手や地元の不動産屋も情報は持っており、古民家専門の不動産屋というものも存在します。
ネットでも販売物件を調べることができます。仲介を依頼することで、相手側との揉め事なども発生しにくく、交渉や手続きもスムーズであることが特徴です。
行政から探す
行政経由で物件をみつけることもあります。各自治体も移住定住の施策に力を入れています。移住先が絞れている場合は、そのエリアの役場などを活用しましょう。
また、空き家バンクから物件を探してみましょう。ただし、行政は仲介を行うのではなく紹介のみのため、購入後に問題が見つからないようしっかりと物件の状態などをチェックしておきましょう。
仲介手数料がかからないのが特徴です(行政によっては、不動産屋に依頼する場合もあるため移住先で確認をしましょう。)
各都道府県の移住情報については、自治体クリップからご確認ください。
NPOなど民間から探す
NPOから物件の紹介をしてもらうという方法もあります。必ずしも移住先に物件情報を持つNPOがあるわけではありませんが、県名と移住NPOの組みあわせで調べてみましょう。
物件情報だけでなく、移住全般についての相談も可能であることが多いため、調べて見つかったならぜひ問い合わせてみましょう。仲介費用についてはNPOにより異なるため確認が必要です。
自分の足で探す
自分で歩いて探すという方法もあります。
希望のエリアが決まっているのであれば、そのエリアを歩いて、空き家をひたすら探してみましょう。魅力的な物件をみつけたならば、近所の方に自分の状況を伝えてることで物件の状況や持ち主について教えてもらえるかもしれません。
もちろんこの時失礼な態度であってはいけません。将来のご近所さんになる可能性もありますので丁寧な態度を心がけましょう。
可能性が高いわけではありませんが、魅力的な物件に出会えたのであれば、動いてみる価値はあるでしょう。そのエリアにNPO法人などがあれば、交渉などで協力してくれる場合もあります。
古民家リノベーションの税金・補助金について
最後に古民家リノベーションに際して使える補助金や、減税などの税金制度についてお伝えしていきます。
補助金について
対象となるリノベーションやリフォームを行えば、国や市町村の補助金制度を活用できます。バリアフリー工事や、省エネ、耐震改修工事などが条件となり、代表的なものは以下の通りです。
・既存住宅における断熱リフォーム推進事業:15~120万円
・先進的窓リノベ事業:5~200万円
・子育てエコホーム支援事業:20~60万円
・給湯省エネ事業:10~30万円
・既存住宅における省エネ改修促進事業:最大130万円
それぞれに補助金の対象となる条件があるため、詳しくは各自治体のホームページよりご確認ください。また、いずれの制度も、予算が上限に達し次第、予定期限日よりも前に締め切られる可能性があるため、ご注意ください。
過疎化の影響を危惧している都道府県によっては、移住者や住宅を建てた人に対して奨励金を出しているところもあるため、各自治体のホームページなどから確認をしてみましょう。
減税制度
リノベーションやリフォーム工事のローンや、住宅購入のローンに対しても減税制度が用意されています。住宅取得の場合とリノベーションやリフォーム工事についてそれぞれ解説します。
住宅取得について
住宅取得に対する減税制度には、住宅ローン控除というものがあり、年末のローン残高の0.7%を所得税から控除されます。(13年間、中古住宅の場合は10年間)
ただし、住宅ローンの場合、条件として昭和57年1月1日以後に建築されたものであることや、そうでない場合、一定の耐震基準をクリアしていることが求められます。
古民家の場合は、そのままでは基準を満たしていないことが多いため、耐震改修工事を行う必要があります。また、申請については、購入後引き渡しまでの間に行い、工事完了後にもう一度手続きがあるため、覚えておきましょう。
詳しくは、国土交通省の中古住宅取得後に耐震改修工事を行う場合における住宅ローン減税等の適用について①をご確認ください。
リノベーション工事について
リノベーションやリフォームの減税制度については、
・耐震改修に関する特例措置【所得税、固定資産税】:所得税の最大控除額25万円、固定資産税の1/2を軽減
・省エネ改修に関する特例措置【所得税、固定資産税】:所得税の最大控除額20万円、固定資産税の1/3を軽減
・バリアフリー改修に関する特例措置【所得税、固定資産税】:所得税の最大控除額35万円、固定資産税の1/3を軽減
・長期優良住宅化改修に関する特例措置【所得税、固定資産税】:所得税の最大控除額60万円
それぞれの工事内容や条件によっても控除金額が変わるため、詳しい内容については、国土交通省のホームページをご確認ください。
まとめ
今回は「古民家リノベーション」をテーマに、その魅力や注意すべき点、自宅用と店舗用途での違い、古民家リノベーションを進める際のポイントやステップ、押さえておきたい補助金や減税制度について詳しく紹介してきました。
古民家リノベーションは、「不便を楽しむ」から「自分らしさを叶える暮らし」へと進化しています。費用や手間はかかりますが、それを上回るだけの価値と可能性が、この住まいにはあります。あなたも、時を超えて語りかけてくる一棟と出会い、新しい物語を紡いでみませんか?
最後にこの記事で押さえておきたいところをまとめます。
古民家リノベーションは夢と覚悟の天秤が釣り合っているか確認しよう
- 古民家リノベーションは魅力がたくさんだが、環境など慣れていない人には厳しいこともある
- 魅力的な古民家リノベだが特に店舗として使いたい場合は営業許可が取れるかの確認が必要
- 古民家リノベは費用面で抑えられることが多く理想のお家を叶えやすい
- 補助金や減税制度などを賢く利用して理想の古民家を手に入れよう
古民家リノベーションを考えている皆様、ぜひ参考にしてみてくださいね。
「古民家リノベーションに憧れているけど、本当に住みたいお家って何だろう?」
予算やデザインはもちろん、そんな漠然とした悩みがございましたらぜひプロに相談してください。
「唯一無二のデザインが欲しい!」「家族の便利さを考えた家がいい」「なるべく低予算で早く住みたい」など、どんなお悩みでも物件選びからリノベーションまでワンストップでサポートしているゼロリノベが親身になって寄り添います。
リノベーションのご希望はもちろん、周辺の状況に合わせた資金計画から、ファイナンシャルプランナーなどの専門家がお手伝い。予算からデザインまでチームで対応し、最適なリノベーションをプロの視点で一緒に考えます。
毎週開催している住まい選びに関するセミナーは、ミュート&顔出し無しで参加できるので、気軽に参加できます。もちろん参加後のセールスは一切ありませんのでまずは一度覗いてみてください。ぜひゼロリノベにお気軽にお問い合わせくださいね。
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