マンションの騒音トラブルはどう対策する?よくあるトラブル事例と9つの対処法を解説
マンションの騒音には、さまざまな種類があることをご存じでしょうか。
ピアノの音や子どもの声などの他にも、目覚まし時計のアラームからドアの開閉音まで、さまざまな騒音があります。マンションの騒音について理解し、自宅から騒音を出さないよう配慮して暮らすことは、安全なマンション暮らしのために不可欠です。
また、自宅から騒音を出さないためにも、マンションの騒音について理解を深めなければなりません。そこでこの記事では、マンションでの騒音対策や騒音トラブルの解決法について解説しています。さらに、トラブル事例や部屋の選び方、自分が苦情を受けた際の対処法に関しても解説しています。
騒音問題に悩まされず、安心してマンションで暮らしていく知恵を、身に付けていきましょう。
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マンションの騒音とは?知っておきたい2種類の音
騒音とは「聞く人にとって好ましくない感じを与える音」のことですが、具体的な音の種類としては「空気音」と「固体音」の2種類があります。
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
1-1.空気音
1つめの騒音の種類は「空気音」です。空気音とは、空気を伝って伝送される音のことです。
例えば、夕方に地域で鳴るチャイム、地上で騒いでいる人たちの声、線路を走る電車の音、近隣で行われている工事の音などは空気音にあたります。
マンションの部屋から部屋へ聞こえる音(人の話し声、ペットの鳴き声など)も、空気音の一種です。
空気音は、「空気伝搬音」「空気伝送音」とも呼ばれます。空気によって伝搬される音ですから、対策を考えるうえでは「空気をいかに遮断するか」が重要です。
1-2.固体音
2つめの騒音の種類は「固体音」です。固体音とは、建物の床・壁・天井などの構造部分が、直接振動することによって発生する音のことです。
固体音には、子どもが走り回ったときの足音や、床にスプーンなどの物が落ちたときに出る「床衝撃音」、トイレを流した音やシャワーの流水の音が配管に伝わる「給排水騒音」などがあります。
固体音は、構造部分の振動による音のため、伝わりやすさは、マンションの構造に大きな影響を受けます。
すでに完成済みのマンションで住民ができる対策は、振動を吸収して和らげる工夫です。
マンションの騒音対策を行う際には、「空気音」「固体音」の2つの概念があることを理解したうえで、総合的に対策していくことが重要です。
【9つの騒音別】マンションから出る騒音を防ぐ対策
音には空気音と固体音の2種類があることがわかりました。
実際のマンションの騒音は、以下の3種類に分けられます。
- 空気音
- 固体音
- 空気音+固体音
本章では、それぞれの音に合わせた具体的な対策をご紹介しましょう。
2-1.【空気音】人の声
1つめの騒音は空気音である「人の声」です。赤ちゃんの泣き声、子どもの騒ぐ声、大人が大声で笑う声、夜中の会話……など、人の声は、最も身近な騒音となり得る音です。
空気を伝わって他の部屋に届くので、基本は空気を遮断して対処しましょう。窓を開けっぱなしで騒ぐことのないよう、注意してください。
また、子どもの騒ぐ声は、分別のつく年齢であれば、よく言って聞かせましょう。特に、夜間には騒がせないことが大切です。
子どもだけでなく大人も、お酒が入ったとき・友人が遊びに来たときなど、気づかないうちに声が大きくなりがちです。十分に注意して自制しましょう。
問題は赤ちゃんの声です。特に夜泣きがひどい赤ちゃんの場合、近隣へ気を遣うあまりノイローゼ気味になってしまうママもいます。しかし赤ちゃんの泣き声を止めることはできませんので、先手を打って近隣の方々に謝っておきましょう。
「泣き声でご迷惑をお掛けします。申し訳ありません」の一言があるだけで、苦情につながるリスクはグッと下がります。
ポイント
- 子どもはしつけをしっかりする
- 大人は自覚して自制する
- 赤ちゃんの泣き声は先に謝っておく
2-2.【空気音】目覚まし時計のアラーム
2つめの騒音は空気音である「目覚まし時計のアラーム」です。意外と近隣の迷惑になりやすいので注意しましょう。
特に、夜勤などで夜間にアラームを鳴らす人や、目覚めが悪く長時間アラームを慣らしっぱなしにしている人は、近隣住民から嫌がられているかもしれません。
対策としては、まずアラームを鳴らすのであれば、意識して窓を開けっぱなしで寝ないことです。アラームを鳴らす部屋は、窓を完全に閉め切りましょう。
そのうえで、アラームの音は可能な範囲で小さく設定し、鳴ったら素早く消すようにしてください。どうしても大音量・長時間のアラームでないと目覚められないという人は、音以外で起こす目覚ましツールを活用しましょう。
光、振動、電気ショックなど、さまざまなタイプの目覚ましツールが市販されています。騒音にならない目覚まし方法を工夫して見つける必要があります。
ポイント
- アラームを鳴らす部屋の窓は閉める
- 大音量・長時間のアラームは避ける
- 音以外の目覚ましツールを活用する
2-3.【固体音】足音
3つめの騒音は固体音である「足音」です。床にダイレクトに響きますので、下の階の住人から苦情を言われやすくなっています。
前提として、大きな足音を立てたり、夜間に飛び跳ねたりしないことが一番の対策でしょう。
そのうえで、さらなる対策として、遮音性のある防音マットやカーペットを敷いてください。お子さんがジャンプして飛び降りたりしても、できる限り振動を抑えるように吸音材などで工夫しましょう。
お子さんが走り回ったりジャンプしたりしにくいように、模様替えして家具の配置を変更する対処法もひとつの手です。
ポイント
- 足音を立てないように気を付ける
- 床に防音マットやカーペットを敷く
- 家具の配置を工夫する
2-4.【固体音】ドアの開閉音
4つめの騒音は固体音である「ドアの開閉音」です。仕事が忙しく深夜に帰宅するお宅では、夜中のドアの開閉音が近所迷惑になっているケースがあります。
玄関ドアの場合、マンションの広い範囲に大きく響きますし、室内のドアであれば、隣の部屋など近隣の住民にとって耳障りな騒音となります。
ドアの開閉を静かにするように心掛けるのはもちろんですが、マンションの構造によっては、風圧で「バタン!」と閉まってしまうこともあるでしょう。
そんなドアの大きな開閉音は、グッズで対策できます。ドアの開閉音を軽減させる代表的なグッズは「ドアクローザー」です。ドアクローザーとは、ドアの上部に設置されているパーツです。ドアが閉まるスピードを調整できます。
ドアクローザーの他にも、ドア枠に貼ることで衝撃を和らげる「すき間テープ」などのグッズを併用することで、さらに開閉音を抑えられます。
ポイント
- ドアの開閉は静かにするように心掛ける
- ドアクローザー、すき間テープなどのグッズを利用する
2-5.【固体音】洗濯機
5つめの騒音は固体音である「洗濯機」です。特に稼働音は下の階からの苦情になりやすい騒音です。
洗濯機は、本体の振動と給排水の音の両方が固定音として響くため、騒音の原因となりやすい特徴があります。
振動を最小限に抑えるためには洗濯機を正しく置くことが重要です。運転音が大きいと感じる場合には、水平に正しく設置されているか、確認しましょう。
次に、洗濯機の足部分には市販の「洗濯機用防振マット」を敷いてください。床への振動を軽減できます。
そのうえで、「洗濯機を稼働させる時間」に配慮しましょう。というのは、洗濯機の音に対する苦情は、その音自体が大きすぎるということよりも、「こんな非常識な時間に洗濯機を使っている!」という不満から来ることが多いためです。
一般的には「朝7時〜夜21時の時間帯なら問題ない」と考える人が多いようです。しかし感覚は人によって異なります。心配であれば、朝8時〜夜20時の間に洗濯を済ませましょう。
お住まいのマンションの規約で定められている場合には、規約に従っていれば問題ありません。
ポイント
- 水平に正しく設置する
- 洗濯機用防振マットを使う
- 洗濯機を使用する時間帯に注意する
2-6.【空気音+固体音】掃除機
6つめの騒音は空気音と固体音の両方を持つ「掃除機」です。掃除機は、床への振動と掃除機自体の音の両方がありますので、不快感につながりやすい特徴があります。
前項でご紹介した洗濯機と同じく、音の大きさ以上に「非常識な時間に使っている」というマナーに対する不満が出やすい騒音です。対策として掃除機を使う時間帯に注意しましょう。
一般的には「朝8時から夜20時の時間帯なら問題ない」と考える人が多いようですが、洗濯機と同じく、個人による感覚差が大きいでしょう。マンションの規約があれば、それに従ってください。
早朝や深夜にしか床掃除ができない場合には、フローリングワイパーなどの騒音が出ないグッズを使うようにします。
また、近年では「自動ロボット掃除機」による騒音も見られます。家具や壁にぶつかりながら長時間掃除を続ける点が、苦情の原因となりがちです。
自動ロボット掃除機を購入する際には、静音機能や壁や家具などへの衝撃を抑える機能が搭載された機種を選びましょう。
ポイント
- 掃除機を使用する時間帯に注意する
- 早朝や深夜はフローリングワイパーなどを使用する
- 自動ロボット掃除機は静音機能に優れた機種を選ぶ
2-7.【空気音+固体音】テレビ・オーディオ
7つめの騒音は空気音と固体音の両方を持つ「テレビ・オーディオ」です。
テレビやオーディオから出る音自体は空気を伝う空気音ですが、テレビやオーディオの機器が壁に接触していると、壁から音楽が振動する固定音にもなってしまいます。
テレビやオーディオなどの音が出る機器は、壁からできるだけ離して設置するように工夫しましょう。構造上、どうしても壁から近くなってしまう場合には、壁に市販の「遮音シート」を貼ると、遮音性能の効果を発揮し多少の軽減が期待できます。
もちろん、深夜や早朝の時間帯には音を出さないようにする配慮や、窓を開けっぱなしにして大きな音を出さない工夫も大切です。
ポイント
- 壁からできるだけ離して設置する
- 市販の遮音シートを壁に貼る
- 深夜・早朝の時間帯には音を出さない
- 窓を閉める
2-8.【空気音+固体音】ペット
8つめの騒音は空気音と固体音の両方を持つ「ペット」です。ペットの鳴き声は空気音となり、走り回ったり飛び降りたりする足音は固定音となります。
ペット可のマンションであれば、常識の範囲内の鳴き声や足音は、マンションの周辺環境として許容の範囲といえるでしょう。
しかし、長時間ムダ吠えし続けるペットや夜中に大暴れするペットなどは、しつけの見直しやペットのストレスケアが必要です。
改めて、しつけの解説本を読むなりして、ペットとの向き合い方を学び直しましょう。飼い主として至らなかった点は反省し、愛情を持ってペットのケアをする必要があります。
自分ではどうしようもない場合には、しつけ教室などに参加して、専門家のサポートを受けるようにします。
ポイント
- しつけの見直しやペットのストレスケアをする
- しつけ教室などで専門家のサポートを受ける
2-9.【空気音+固体音】楽器
9つめの騒音は空気音と固体音の両方を持つ「楽器」です。
楽器から奏でられる音は空気音ですが、床や壁に接触して設置する楽器(ピアノ・電子オルガンなど)の場合には、床や壁から響く固体音にもなります。
楽器の騒音の対策としては、前提として、楽器の演奏が認められており、かつ防音対策の施されたマンションを選ぶ必要があります。躯体のコンクリートの厚みによっては音が漏れやすい可能性があるためです。
そのうえで、自分でも本格的な防音対策が不可欠です。
楽器の設置場所は、近隣からできるだけ離れた内部の部屋(外壁側ではない部屋)を選びます。楽器を壁に接触させるのは避け、壁から振動が伝わらないようにしましょう。
床にはカーペットを敷き、楽器の足部分には、楽器専用の防振マットを設置してください。
演奏する時間帯に配慮し、遅くとも夜20時までには終えるようにしましょう。
演奏中は、必ず窓やドアを閉めておきます。窓には防音カーテンをかけると、空気から伝わる音を多少軽減できます。
ただし、楽器の音は大変大きく、これらの対策だけでは限界があります。可能であれば、防音室(防音ボックス)の設置や、部屋ごと防音ルームとしてリフォームすることもご検討ください。
楽器の音は騒音になりやすいことを認識し、事前に近隣へ楽器を演奏することを伝えあいさつしておくことも大切です。
ポイント
- 楽器は外壁側ではない部屋に設置する
- 楽器と壁の距離を離す
- カーペット・防振マットを利用する
- 演奏する時間帯に配慮する
- 窓やドアは閉める
- 窓には防音カーテンをかける
- 防音室(防音ボックス)の設置やリフォームを検討する
- 事前に近隣にあいさつしておく
マンションで騒音対策ができないとどうなる?階別の住人との騒音トラブル事例
マンションでは、上下階や隣住戸など、様々な関係との間で騒音トラブルが起こります。
では、マンションで騒音対策ができていないとどのようなトラブルが起こるのでしょうか。騒音トラブル例を階別に分けて、詳しく解説します。
3-1.上の階からの騒音によるトラブル
上の階から発生する騒音の原因は、物を置いたり動かしたりした際の音や足音などの固体音です。
物を置いたり動かしたりした際の音は、思っているよりも下の階に響きます。重いものを置いたり、掃除する際に物を動かしたり。こういった場合には、なるべく音を立てないように慎重にしましょう。
上の階からの騒音で最も気になるのが、足音でしょう。特に、子供がいる家庭の場合は、子供が走り回ったり飛び跳ねたりしないように気を付けましょう。走り回る音や飛び跳ねる夫は、下の階の住人からするとかなりの騒音で、とても迷惑になってしまいます。
実際に、子供の足音で、以下のような騒音の事例がありました。
3-1-1.男児の騒音で慰謝料60万円の支払いが命じられた事例
この事例は、東京都品川区のマンションで、上の階に住む男児の騒音がうるさいとして騒音被害を訴え下の階に住む夫婦が提訴したケースです。
2012年に言い渡された裁判の判決では、「男児が跳びはねたり、走り回ったりする音は生活実感としてかなり大きく聞こえ、相当の頻度であった」と指摘され、配慮すべき義務を父親が怠ったと判断されています。
提訴した夫婦が求めた慰謝料計60万円、妻が頭痛で通院した治療費、騒音測定の費用(64万円)を請求通り支払うように命じられました。
提訴された時点で、この男児は幼稚園児でした。「子どもの騒ぐ声くらい、よくあること」と捉えている方にとっては、ショッキングな判決ではないでしょうか。
「配慮すべき義務を父親が怠った」という判断になっているとおり、親には子どもの騒音を防ぐ義務があることを改めて認識しておきましょう。
出典:日本経済新聞
3-2.下の階からの騒音によるトラブル
下の階から発生する騒音の原因は、天井を伝わってくる固体音や話し声などの空気音と、様々です。
固体音は、足音だけでなく扉の開閉や機械が振動する音、水が流れる音など様々です。下の階から固体音が騒音となる場合、音を出している物から発生している振動が壁や天井を伝わって上の階に響いています。
また、空気音も下の階から響いてきます。人との話し声やペットの鳴き声、機械を動かした際に発生する音など、普段の生活で空気を伝わって響く空気音は様々です。
下の階から上の階へ騒音は伝わらないと思いがちですが、実際に、下の階の騒音で住民トラブルが起きた事例をご紹介します。。
3-2-1.騒音がうるさいと刺殺された事例
この事例は、大阪府吹田市のマンションで、1階に住む男性の騒音がうるさいとしてクレームがあり、3階に住む男性が1階に住む階の男性を刺殺したケースです。集合住宅では上記のような騒音トラブルのリスクがあります。
2010年10月に発生した事件で、加害者の男性は「騒音がうるさく、注意しようと包丁を持って部屋に行った」と話したとされます。前年8月にも「階下のステレオがうるさい」とトラブルになっていたとのことです。
実際に、「騒音」と捉えられるほどの音が出ていたかは別として、上下左右の近隣住民に「うるさい」と不満を持たれてしまうと、話し合いで済まない場合、最悪のケースでは傷害事件に発展することがわかります。
張り紙をされたり、SNSに投稿されたりなどトラブルに巻き込まれないために、騒音に十分配慮して生活しなければなりません。
出典:日本経済新聞
3-3.隣人との騒音トラブル
上下階だけでなく、隣の部屋からの騒音に困るケースもよくあります。
隣人からは固体音や空気音など様々な騒音が伝わりやすいですが、特に話し声やテレビ音などの空気音が聞こえやすいでしょう。
話し声は、日中であればあまり気になりませんが、夜中の電話や友達・家族と話す声がどうしても気になります。また、テレビや音響機械を壁際に置いている場合も、隣の部屋に聞こえやすくなってしまい、トラブルにつながります。
本気で騒音トラブルを防ぐならマンションの選び方からこだわろう
本気で騒音トラブルを防ぐなら、マンションの選び方からこだわる必要があります。
これからマンションを購入する方へ、4つの選び方をご紹介します。
4-1.子どもを走り回らせたいなら1階を選ぶ
1つめの選び方として、子どもを走り回らせたいのであれば、2階以上のマンションはやめて1階を選びましょう。
「3-1-1. 事例① 男児の騒音で慰謝料60万円」では、男児の走り回る音などで慰謝料の支払いが命じられたことをご紹介しました。
この件では、マンション自体の防音性に問題はなく、かつ上の階の住人は、和室と廊下以外にはじゅうたんを敷き詰めていたといいます。
できる限りの対策をしたとしても、お子さんの個性次第では、騒音を完全に防ぐのは難しいといえるのではないでしょうか。
ある程度、部屋の中を子どもが走り回っても許容して暮らしたいのであれば、思い切って1階のマンションを選んだ方がストレスは少ないはずです。
4-2.隣の寝室と自宅のリビングが隣り合わない間取りを選ぶ
2つめの選び方として、隣の寝室と自宅のリビングが隣り合わない間取りを選びましょう。
最も苦情になりやすいのは、夜間の騒音です。隣人の寝室と自宅のリビングが隣の部屋同士になっていると、隣人から苦情が出やすくなります。
できれば、「リビングと隣り合うのはリビング」という間取りになっているマンションが理想的です。
お互いにリビングのテレビや話し声などの音が気になりづらく、快適に生活できます。
4-3.防音対策のリノベーションができるマンションを選ぶ
3つめの選び方として、防音対策のリノベーションを視野に入れて選びましょう。
「防音性が高い」という売りのマンションを選ぶことはもちろん大切ですが、それだけでは不十分なケースもあります。
特に中古マンションの場合は、入居前のリノベーションで防音対策を徹底的に行うことで、騒音リスクを大幅に軽減できます。
そのためには、リノベーションが可能なマンションを選ぶ必要があります。どの範囲までリノベーションができるかは、マンションによって異なります。
マンション購入前にリノベーション会社に相談したうえで、具体的にマンション販売会社に確認するようにしましょう。
4-4.建材や設備の性能を意識して選ぶ
4つ目の選び方として、マンションの素材を意識して選びましょう。
マンションは、壁や床・窓サッシなど、防音性能に優れた素材・設備を選択できます。
防音性に優れたマンションが良ければ、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)を選びましょう。また、壁はコンクリートの重量が重く、分厚い方が防音性能は高くなります。
床の防音性能に関して、遮音レベルの指標として、遮音等級(L値)が存在します。L値は、L-40やL-45、L-60など数字が異なり、小さければ小さいほど遮音性が高くなっています。床選びでも、L値や素材、厚さに注目しましょう。
また、窓サッシにも遮音性を表すT値があります。これらはT-1やT-2などと表現され、床とは違い数字が大きいほど防音性能が高くなっています。
マンションで騒音トラブルに巻き込まれないための3つの心得
ここまで騒音の対策法や事例について紹介してきましたが、本章では、騒音のトラブルに巻き込まれないための3つの心得についてお伝えしたいと思います。
5-1. 騒音の感じ方は人それぞれであることを理解する
1つめの心得は「騒音の感じ方は人それぞれであることを理解する」ことです。
先にも述べたとおり、騒音とは“聞く人にとって好ましくない感じを与える音”で、これは極めて感覚的です。
具体的に何が騒音なのか、万人にとって明確な基準はありません。
Aさんにとってまったく気にならない音でも、Bさんにとっては心を病むほどの騒音に感じられるかもしれないのです。
騒音の感じ方は人それぞれであると理解し、互いの思いやりが、騒音トラブルをなくす第一歩となります。
5-2. 当事者同士の接触はできる限り避ける
2つめの心得は「当事者同士の接触はできる限り避ける」ことです。
冒頭で、騒音トラブルが悪化すれば、傷害事件にも発展することをお伝えしました。騒音の当事者同士でのやり取りは、ときに感情論となり、深刻な争いの火種となりかねません。
マンションで騒音に悩まされることがあっても、直接苦情を伝えるのは、得策とはいえません。基本的に管理組合や管理会社など、第三者に介入してもらいましょう。
具体的な方法は、この後「6. 近隣からの騒音がうるさくて悩んだときの解決法」にて解説します。
5-3. 普段から好印象を持ってもらえる行動をする
3つめの心得は「普段から好印象を持ってもらえる行動をする」ことです。
マンションで暮らす以上、生活音をゼロにするのは不可能です。同じレベルの生活音でも「騒音だ、うるさい」と感じられるかどうかは、その部屋の住人に対する個人的感情によっても左右されます。
例えば、日頃からしっかり挨拶してくれるAさん宅から子どもが騒ぐ声が聞こえてきたら、「元気でいいわね」と思うかもしれません。
一方、マンションの清掃などの行事に協力せず、偶然会っても目をそらすBさん宅の場合は、「うるさい!しつけもなっていないのね」と思うかもしれません。
生活音が聞こえやすい近隣の住民とは、日頃から良い関係を築いておくことが大切です。
近隣からの騒音がうるさくて悩んだときの解決法
マンションでの生活による騒音は、自分が出してしまう可能性もあれば、近隣からの騒音に悩まされることもあります。
どうしても我慢できない騒音に悩んだときの解決法を、3ステップでご紹介します。
- ステップ1.騒音を記録する
- ステップ2.騒音を客観的に判断する
- ステップ3.適切な相談先へ相談する
6-1.騒音を記録する
まずは、騒音を記録しましょう。騒音の記録には、以下の方法があります。
- 録音する
- 日付・時間・内容をメモする
- 騒音測定器で計測する
1つめの騒音の録音は、ボイスレコーダーを使うほか、スマートフォンなどの録音機能を利用しても良いでしょう。
2つめの騒音が起きている期間や時間帯のメモは、小まめに記録しておくと、後々役立つことがあります。
3つめの騒音測定器(騒音計)は、騒音の音量を測ることのできる機械です。
環境省によって定められている基準では、住宅地の騒音基準は昼間で55デシベル以下、夜間で45デシベル以下です。
一般的には、80デシベルを超えると、明らかな騒音といわれます。
出典:環境省
騒音の不快感は、音の大きさだけでなく音の種類によっても左右されます。そのため、あくまでも目安ではありますが、客観的な記録としては役立ちます。
6-2.騒音を客観的に判断する
繰り返しになりますが、騒音は人によって感じ方が違います。
ステップ①で記録した騒音の内容を客観的に見て、相手に苦情を伝えても適切なほどにひどい騒音なのか、客観的に判断しましょう。
一人で判断せずに、離れて暮らしている家族や、公平な立場でアドバイスしてくれる友人に、記録を共有しながら相談してみることをおすすめします。
また、「自分が騒音に対して、異常に過敏になっていないか」についても、セルフチェックしてみましょう。
例えば、以下の状況の人は、騒音に過敏になりやすい傾向があります。
- 家庭に乳児がいる
- 家庭に受験生がいる
- もともと聴覚が敏感な傾向がある
- ストレスがたまっていてイライラしやすい
6-3.適切な相談先へ相談する
客観的に見ても、騒音がひどいと判断できたら、適切な相談先へ相談しましょう。
「5. 騒音トラブルに巻き込まれないための3つの心得」でも触れましたが、騒音の発生源と思われる住民に、直接苦情を伝えるのはおすすめできません。
感情的になってトラブルの原因となりますし、マンションの騒音の発生源を正確に突き止めるのは難しいケースもあります。
マンションで起きた騒音の相談先は、大きく分けて4つあります。
- (分譲マンションの場合)管理組合
- (賃貸マンションの場合)管理会社
- 弁護士
- 警察
それぞれ詳しく見てみましょう。
6-3-1.(分譲マンションの場合)管理組合
騒音の苦情を「管理組合」に伝えるのは、住んでいるマンションが分譲マンションの場合です。
分譲マンションには、マンションの購入者(所有者)全員によって構成される管理組合があります。
例えば、騒音の原因となっている部屋の住人が、故意または不注意で騒音を出している場合や、管理組合の規約に違反している場合には、管理組合から注意してもらえます。
故意や不注意による騒音と判断できない場合には、マンション内の掲示板への貼り紙や発行物を通して、マンション全体に、騒音の注意喚起をしてもらう方法もあります。
▼ マンション騒音の貼り紙の文例
生活騒音に関するお願い
当マンションのご入居者様の方々から、生活騒音に関しての苦情が出ております。
- 大音量のテレビ音
- 深夜のドアの開閉音
- 犬のムダ吠え…など
ご入居者様には、改めて騒音に注意を払い、近隣へのご迷惑となる音を出さないようにご配慮と工夫をお願いいたします。
ご入居者様全員が心地よく暮らすことのできる環境づくりにご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
ただし、管理組合は、あくまでも公平な立場からマンション全体を管理する団体になります。
個人間のトラブルの解決は、管理組合の業務外であることは、覚えておきましょう。
各マンションの管理組合によって、対応してもらえる範囲は異なりますので、詳しくはお住まいのマンションの管理組合にご確認ください。
6-3-2.(賃貸マンションの場合)管理会社
住んでいるマンションが賃貸マンションの場合は、管理組合は存在しませんので、マンションを管理している管理会社に伝えることになります。
管理会社で行う対応は、基本的には前項でご紹介した管理組合による対応と同じです。
故意や不注意の騒音の場合には個別に注意してもらい、マンション全体に対して注意喚起の貼り紙などをしてもらいます。
6-3-3.弁護士
管理組合や管理会社に相談しても解決しなかった場合には、個人間での解決を目指すために、弁護士に相談する方法があります。
前述のとおり、管理組合や管理会社は、個人間の問題解決には介入しません。公平な立ち位置からの注意のみとなります。
管理組合や管理会社に相談しても騒音が解決せず、そのまま我慢して暮らすことも難しい場合には、弁護士に相談しましょう。
6-3-4.警察
「騒音」といっても、例えば、子どもへの虐待や家庭内でのドメスティックバイオレンスなど、何らかの犯罪が予想される物音や声の場合には、警察に通報しましょう。
騒音自体は刑事事件の罪にはあたりませんが、騒音の原因に犯罪性がある場合には、警察の管轄となります。
マンションで騒音の苦情を言われた際の対処法
ここまで、騒音に悩まされている場合の話をしましたが、逆に騒音に関して苦情を受けた場合はどのように対処すればよいのでしょうか。
ここでは、騒音の苦情を言われた際にすべき3つの対処方法を紹介します。
7-1.指摘されたことを対策する
1つ目は、指摘されたことへの対策です。これは、苦情を受けたら最初にしましょう。
いつまでたっても騒音が解消されなければ、再び苦情を受けてしまいますし、最悪の場合紹介した事例のように大きなトラブルに発展する可能性もあります。もし苦情を受けたら、自分で心当たりがあれば自分で、原因が不明ならば騒音の具体的な情報を聞いて改善しましょう。
例えば、騒音の原因となっているものを壁から離し、マットやカーペット、防音シートを活用すると対策できます。
7-2.時間帯に気を付ける
2つ目は、時間帯への注意です。
昼間であれば気にならない音でも、早朝や深夜だと周りが静かなため、騒音と感じられやすくなってしまいます。特に掃除機や洗濯機、テレビなどを早朝・深夜に使用する人もいるでしょう。周りが静かな時間帯にはこれらの音の出る機械の使用はできるだけ控えましょう。
7-3.管理組合や管理会社に相談する
3つ目は、管理組合や管理会社への相談です。
苦情を言われても騒音に心当たりがなかったり、無茶苦茶なことを言われたりしてしまう場合もあるかもしれません。そういった場合には、管理組合や管理会社に相談しましょう。もしかしたら別の部屋から発生している騒音と勘違いされているかもしれません。
心当たりのない苦情を受けた際に絶対にしてはいけないのが、その場での争い。口論になってしまったり、興奮状態になって止まらなくなったりするかもしれません。そうならないためにも、管理組合や管理会社に相談するようにしましょう。
まとめ
マンションで快適に暮らすためには、騒音をできるだけ遠ざけることが不可欠です。騒音は、被害者になっても加害者になっても、安全な生活を脅かすでしょう。
騒音は、日常生活の様々な場面で発生する可能性があります。意図的でなくても、他の住人が迷惑だと感じたらそれは騒音となってしまいます。
生活する際の物音や話し声、音を出す時間帯や場所などを考え、少しでも騒音を発生させないための工夫が必要です。
今回ご紹介した知識や対策をもとに、さっそく騒音予防に取り組んでみてください。
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