マンションでできる防音室のつくり方|子ども・趣味・仕事の音に悩む方へ

子どもの足音や遊び声、趣味の楽器音、在宅ワーク中の生活音……。マンション暮らしでは“音”の悩みがつきものです。
本稿では、そんな日常の音トラブルを軽減する防音室の始め方を、目的別の活用例・タイプごとの費用・設置時の注意点まで、初心者にもわかりやすく解説します。
「防音室は贅沢」と思っていた方にこそ読んでほしい、暮らしを変えるヒントを事例付きで紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
マンションにおける最も多いトラブルは「生活音」

令和5年度マンション総合調査のデータによると、過去一年間のマンションにおけるトラブル発生状況は「居住者間の行為・マナーをめぐるもの」が60.5%と最も多く、さらに具体的な内容では「生活音」が43.6%と圧倒的に多いです。
このデータからは、マンションに住む人がどれだけ「音環境」に対して悩んでいるかがうかがえます。
その音環境の悩みに対して、解決に導いてくれるのが「防音室」や「防音対策」です。
マンションで「防音室」を検討する理由とは?

足音に話し声、ドアの開閉音に洗濯機・掃除機・テレビなどの使用音、ペットの泣き声に子どもの声。日常生活の中では様々な音が生じますが、時間帯やボリュームによってはストレスに繋がり「騒音」だと感じられることがあります。特にマンションでは、上下・左右の生活音が直接伝わりやすいので、小さな音漏れでも気になる傾向に。
子育て世帯においては、子どもの出す音に関する不安やトラブルは多く報告されており「本当は怒りたくないけれど、周囲を気にして注意せざるを得ない」と感じる親にとって、防音室は育児ストレスの軽減にも役立ちます。
そこで近年における防音対策では、簡易防音ブースや吸音パネルの設置といった防音リフォームの選択肢が増えてきており、それに伴い吸音性の高い防音材も各メーカーから登場しています。
それもあってか、近年では“防音室=高額”のイメージは薄れてきています。費用感や施工方法も多様化し、初心者でも取り入れやすいことも、防音室を検討する理由といえるでしょう。
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目的別|こんな時に防音室が役立つ!
日常生活で音が気になるシーン | 防音室の活用方法 | 防音室がもたらす効果 | |
---|---|---|---|
子ども | ・足音や遊び声が階下や隣戸に響く ・泣き声や兄弟喧嘩で家族がストレスを感じる ・静かにさせようと叱る回数が増える | ・子ども部屋に床や壁の防音施工を行う ・走り回れるスペースに簡易防音を設ける ・就寝スペースやこもり部屋としても活用 | ・音に悩まずのびのび遊ばせられる ・近隣トラブルを未然に防げる ・子ども自身が安心できる空間になる |
趣味 | ・楽器の演奏音が近隣迷惑になる ・映画・ゲームの大音量を楽しめない ・演奏や編集作業に集中できない | ・楽器用の小型防音ブースを設置 ・一室まるごとフル防音で趣味部屋に ・吸音材や防音カーテンを併用し音響を調整 | ・思い切り演奏・鑑賞できる環境になる ・周囲に気兼ねなく趣味を楽しめる ・集中力と創造性が高まる |
仕事 | ・在宅会議中に生活音や外の音が入り集中できない ・家族と仕事の空間を分けられずストレスが蓄積 ・音漏れに配慮し声を抑える必要がある | ・リモートワーク部屋を簡易防音ブースで囲う ・個室の壁・扉を防音施工して会議用スペースに ・書斎や納戸を防音ワークスペースへ | ・業務に集中できる空間が確保できる ・ストレスの少ない在宅ワークが実現 ・家族と空間を分けて暮らしやすくなる |
騒音トラブルをシャットダウンしてくれるのが「防音室」です。防音室は騒音・音漏れ対策とは別に、図にあるようなニーズにも応えてくれます。
子ども編|足音・泣き声・遊び声への不安と対策
小さい子どものいる世帯では、階下や隣戸のことが気になって、思わず感情的に怒ってしまった経験のある方が多いのではないでしょうか。音に敏感な子どもであれば、外からのエンジン音やペットの鳴き声に不安になり、親としてはその都度心配になりますよね。
また、年頃になると個室を求めたり、受験勉強など集中できる音環境を求めたりと『親』『子ども』の両極面から、防音を求める場面が増えてきます。
防音室を設置することにより、近隣トラブルを未然に防ぐたけでなく、音に悩まずに『遊ぶ』『学ぶ』を思い切り叶えられます。

市販のクッションフロアを敷き詰めるだけでも、子どもの足音は軽減できます。成長段階に応じて、遮音性能や吸音性の高い建材を選ぶとより効果的です。
趣味編|楽器演奏・映画・ゲームを楽しむための空間づくり
音の出る趣味として、ピアノ・ギターといった楽器演奏や、大音量で楽しみたい映画・ゲームは、一歩間違えれば近隣の迷惑になる恐れがあります。
楽器用の小型防音ブースを設置したり、一室まるごとフル防音にして趣味部屋にすれば、趣味だけでなく子ども部屋やワークスペースとしても広く活用可能です。また、費用を抑える点では、吸音材や防音カーテンを併用し音響を調整するだけでも効果的。
防音室は、周囲を気にせず趣味を楽しむためにぜひ取り入れたいスペースです。
仕事編|在宅ワークに集中できる静かな“こもり部屋”をつくる
「在宅会議中に子どもの泣き声が入り込んで気まずい思いをした」「くつろぐ空間と集中する空間を分けたい」
在宅ワーカーやリモートワークをする方にとって、プライベートと仕事を隔てる工夫は必須条件です。
個室に吸音材や遮音材、防音カーテンを取り入れたり、部屋のまわりを防音ブースで囲ったりすれば、ストレスを感じずに業務に集中できるワークスペースが完成します。
“こもり部屋”にするならば、窓がない納戸をあえてワークスペースにするのも◎。空調や換気に留意さえしておけば、こもり部屋としては最適なスペースになるでしょう。
ただし、窓がない分採光は確保しづらいので、明るいスペースで作業したいのであればおすすめしません。



防音室は様々なシーンで役に立つんですね!でも「防音室」と聞くと、なんだか贅沢に感じませんか?そこでつぎに、マンションでできる防音室のタイプと費用相場を解説します。
実例紹介|ゼロリノベで実現した防音リノベーション


中古住宅の購入とリノベーションをワンストップでサポートするサービス「ゼロリノベ」では、防音対策や、より良い音環境をつくるためのリノベーションを多く手掛けています。
ここでは、ゼロリノベが手掛けた防音リノベの事例を2つ紹介します。
斜め軸の家|2000枚のCDを並べた趣味空間と防音ワークスペース








音楽好きのご夫婦が、趣味も暮らしも満喫できるよう工夫された住まい。防音室は家族共有のワークスペースとしても活用されています。二重窓を採用したことでさらに防音性と断熱性がアップし、気兼ねなく音楽のある暮らしを楽しめるようになりました。


身近に音楽がある暮らし|完全造作の防音スタジオがある住まい








プロ仕様の防音スタジオをリノベで造作。ユニット型の既製品防音室とは異なり、造作なのでデザイン性の高い防音室が完成しました。リビングの音響とは分け、オン・オフを切り替えられる設計に。大人の“好き”を詰め込んだ住まいです。




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マンションでできる防音室のタイプと費用相場


マンションでできる防音室のタイプには以下があります。
①一室丸ごと防音リフォーム
(部屋の壁や床、天井、窓などの材質を、音を伝えにくい素材に張り替えたり、防音能力の高いものに変更)
②ユニット式防音室
(メーカーから販売されている箱状の組み立て・ユニット防音室を設置する方法)
③壁に吸音材や遮音シートを取り入れる
(壁厚を増やして中に防音効果のある素材【吸音材や遮音シート】を施工し、簡易的な防音室を作る方法)
ここでは、①~③の防音室のタイプの費用相場を解説します。
一般的な遮音性の防音室の場合 (管楽器やピアノなどに対応) | より遮音性の高い防音室の場合 (ドラムにも対応) | |
---|---|---|
一室丸ごとリフォーム工事する | 200~300万円 | 400~600万円 |
組み立て式防音室を設置する | 50~230万円 | 260~300万円 |
壁に吸音材や遮音シートを入れる | 17~30万円 | – |
4-1-1.一室丸ごとリフォーム工事する|200万円~600万円
最も大掛かりな工事となるため、費用も高額になります。フルートやピアノなどの楽器、ステレオの音を防止できればよい、という一般的な防音性を求めるリフォーム工事であれば、6畳程度で「200〜300万円」ほどになります。
一方で、ドラムなどの大きな音や重低音を防ぐほどの防音性を求める場合は、より性能のよい素材を使用したり、壁を厚くする必要があります。費用も高くなるため、6畳程度の部屋をリフォームする場合でも「400〜600万円」ほどは必要です。



木造や鉄骨(S造)などの元々防音性が低い建物の場合、より強固な防音工事をする必要があるため、鉄筋コンクリート(RC)や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)の建物よりも、50万円程度費用が増えることがあります。
4-1-2.組み立て・ユニット式防音室を設置する|50万円~300万円
組み立て・ユニット式防音室も、部屋の広さと防音性能の高さによって費用が異なります。管楽器やピアノなどの音を低減させたい、オーディオルームやシアタールームにしたい、という場合は、「50〜230万円」が目安です。リーズナブルなもので、0.8畳で約50万円の組み立て式防音室があり、これはピアノなどの大型の楽器を置くには狭いのでフルート奏者などに向くタイプとなります。グランドピアノの場合は3畳以上の組み立て・ユニット式防音室がおすすめです。



広さに応じた組み立て・ユニット式防音室の費用相場は、以下のとおりです。
<一般的な遮音性の防音室の場合(管楽器やピアノなどに対応)>
組み立て・ユニット式防音室の広さ | 費用 |
---|---|
0.8畳 | 50~70万円 |
3畳 | 100~150万円 |
4.3畳 | 130~230万円 |
<より遮音性の高い防音室の場合(ドラムにも対応)>
組み立て・ユニット式防音室の広さ | 費用 |
---|---|
3.4畳 | 約260万円 |
4.6畳 | 約300万円組み立て・ユニット式防音室の広さ |
4-1-3.壁に吸音材や遮音シートを入れる|17万円~30万円
低コストで導入できるのが、壁の中に吸音材や遮音シートなどを入れる簡易的なリフォームです。たとえば、壁内部の石膏ボードを二重にするなどの工事です。また、換気口経由で音が漏れるのを防止するために換気口の部品を取り換えたり、ダクトに吸音材を設置するという工事方法もあります。
部屋の広さや使用する素材の種類にもよりますが、壁のリフォームで15〜25万円、換気口のリフォームで2〜5万円程度が費用の目安です。



「防音室をつくるほどではないが、大通りに面しているため外からの音を防ぎたい」ということであれば、窓に二重サッシを取り付けるだけでも効果が高いです。二重サッシの取り付けは、防音効果に優れ、結露防止にも役立ちます。
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防音室をつくる前に知っておきたい注意点


さいごに、防音室をつくる前に知っておきたい注意点を3つ挙げます。
マンションの管理規約と施工制限
マンションによっては、管理規約の制限で防音リフォームできないことがあります。
そのため、まずは管理規約を確認してみましょう。
いずれにしても、無許可で防音室をつくることはできませんので、まずは現状の契約やルールを把握するようにしましょう。
音漏れ対策の優先順位を決める
自分のニーズに合った防音室を選べなければ、せっかく防音室を作っても使い続けられません。防音室をつくるための費用は決して安くはないので、遮音性能や防音等級にも注目し、自分にとって最適なスペックの防音室を選ぶことが大切です。
ハイスペックすぎる設備を選ぶと、無駄に費用がかかってしまうことになり、逆に費用を節約し過ぎると「望むような防音効果が得られなかった…」という事態になることも、少なくありません。
どのスペースに音漏れ対策が必要なのか、家族の趣味やライフスタイル、子どもの年齢も加味して優先順位を決めましょう。
完璧に音を防ぐことはできない
どれだけ防音性能が施されている防音室であっても、完全に音を消すことはできません。あくまでも近隣住居へ伝わる音を軽減することが目的であることはあらかじめ理解しておきましょう。
また、「どの程度の音漏れ対策が必要なのか」は個々のライフスタイルや職業によっても異なります。特にマンションの場合は、少しの音漏れであっても、トラブルに発展することがあるため必ずプロに相談するようにしましょう。
まとめ|音に悩まないマンション暮らしは防音室で決まり


“子ども・趣味・仕事”の3つの悩みの視点から見た、マンションの防音室の始め方を解説しました。
マンションの防音工事(リノベ)の3つの方法
①一室丸ごと防音リフォーム
②ユニット式防音室
③壁に吸音材や遮音シートを取り入れる
防音工事には3つの種類があり、音環境悩みやライフスタイル、予算に応じて適切な防音リフォームが選べます。
防音室はけっして贅沢ではありません。
毎日の家族の暮らしを快適にするためのアイデアとして、マンションの防音リノベを、ぜひ検討してみてください。



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