マンションでもリバースモーゲージは利用できる!その方法を徹底解説
- リバースモーゲージに興味があるけれど、マンションでも適用されるの?
- 古いマンション住まいで老後資金が足りないので、リバースモーゲージを受けたい
そんな疑問や希望を持っている中高年の方は多いのではないでしょうか?
その疑問に答えるなら、「マンションでもリバースモーゲージは受けられます」!
ただし、どんなマンションでもいいというわけではなく、築年数が比較的浅く好立地など、適用されやすい条件があり、扱ってくれる金融機関も限られているのが現状です。
ただ、もしリバースモーゲージが適用されなくても、自宅マンションをもとに老後資金を調達できる「リースバック」という方法もあるので安心してください。
そこでこの記事では、マンションでリバースモーゲージを受けることについて、さまざまな面からくわしく解説します。
- マンションでもリバースモーゲージを受けられる金融機関
- マンションのリバースモーゲージで借りられる金額の目安
- リバースモーゲージが適用されやすいマンションの例
- マンションでリバースモーゲージを利用するメリット、デメリット
- リバースモーゲージ以外に、マンションをもとに資金調達する方法
などを知ることができます。
最後まで読めば、マンションでリバースモーゲージが適用されるのはどんな場合か、利用すべきかそうでないか、適用されなければどうすればいいかがわかるでしょう。
この記事を踏まえて、あなたが自宅マンションをもとでに十分な老後資金を得られることを願っています。
リバースモーゲージはマンションでも利用できる
自宅を担保に金融機関から融資を受けて、死亡時に自宅を売却することで返済する「リバースモーゲージ」は、住み慣れた家にそのままいながら老後の資金を調達できる方法として注目されています。
このリバースモーゲージは、持ち家が戸建ての場合はもちろん分譲マンションでも利用することが可能です。
しかし、一方で戸建てよりも金融機関からの適用を受けにくく、扱ってくれる金融機関も限定されているのです。そこでこの章ではまず、マンション住まいでのリバースモーゲージについて知っておくべきことを解説しましょう。
1-1.リバースモーゲージはマンションには適用されにくい
前述したように、リバースモーゲージはマンション住まいの人でも利用することができます。しかし、戸建てに比べると適用されにくいので注意してください。
それはなぜでしょうか?
そもそもリバースモーゲージは、自宅を担保にしてお金を借りる仕組みです。
返済は月々ではなく、死亡後に担保の物件を売却することで一括返済するのが特徴であるため、借りてから返済まで長い年月が経過することが予想されます。
となると、その間に自宅の建物はどんどん築年数を重ねていくので、資産価値もどんどん下がっていきますよね。
住人=お金を借りた人が亡くなるころには、建物の価値はゼロになっているかもしれません。
一方で自宅の土地は、地価の変動はあっても価値がゼロになることはありません。
そのためリバースモーゲージでは、建物ではなく土地を担保のメインと考えて、その評価額をもとに融資が行われるのが通例です。
担保となる物件の資産価値を「建物:土地」と分けて考えた場合、戸建てでは「土地>建物」であって土地の価値のほうが高いのですが、マンションは「建物>土地」、つまり土地の価値が低くなります。
また、マンションの土地は住民みんなで共同所有していて、個々人はその権利を分割で持っている形なので、持ち主の死亡後に、融資した金融機関がその土地の一部だけを売却することは難しいでしょう。
これらの理由から、マンションの土地は担保として評価するのが難しく、そのためリバースモーゲージが適用されにくいというわけです。
1-2.マンションでもリバースモーゲージが利用できる金融機関
マンションは土地の資産価値が低いため、リバースモーゲージを戸建てに限定している金融機関が多いのが現状です。
その中で、マンションでもリバースモーゲージが受けられる金融機関を4つ紹介しましょう。
◎みずほ銀行「みずほプライムエイジ」
◎東京スター銀行「充実人生」
◎群馬銀行「夢のつづき」
◎三井住友信託銀行「不動産活用ローン(リバースモーゲージ)」
金融機関ごとに、ローンの対象となる年齢、担保の条件、融資限度額などは異なりますので、詳しいことは各銀行に相談してみてください。
1-3.マンションのリバースモーゲージで借りられるのは評価額の5割程度
リバースモーゲージで借りられる金額は、担保となる物件の評価額によって異なります。
担保が戸建ての場合、融資限度額は評価額の7割程度が期待できますが、マンションの場合はそれより低く、評価額の5割程度までと言われています。
そのため、都心の高級マンションなどでない限り、希望したほどの融資金額は得られない可能性もありますので要注意です。
マンションでもリバースモーゲージが適用されやすい例
マンションはリバースモーゲージの対象になりにくいものですが、その中でも比較的適用されやすい物件の傾向というのはあります。
そこでこの章では、リバースモーゲージが適用されやすいマンションの具体的な条件を挙げておきます。
あなたのマンションが以下に当てはまれば、リバースモーゲージを受けられる可能性がありますので、チェックしてみてください。
2-1.築年数が20年以下
築年数が経てば経つほどマンションの資産価値は下がっていくので、古いマンションは担保になりにくく、したがってリバースモーゲージを受けられない可能性が高まります。
ということは、逆に築年数が浅いマンションのほうが、リバースモーゲージが適用される可能性は高くなるのです。
だいたいの目安としては、築年数15~20年以内であれば融資を受けやすく、それを超えると難しくなると言われています。
ただ、築年数が浅いマンションでも、物件の状態が悪ければリバースモーゲージが適用されないケースもあるので要注意です。
2-2.都市部にある
リバースモーゲージは、ローンを組んだ人が亡くなった時点でその人の自宅を売却し、ローンの返済にあてます。
そのため、売却しやすい物件であればリバースモーゲージが適用されやすくなります。
マンションの場合、首都圏や人口密度の高い場所であれば売却時にもニーズが多いため、融資の可能性は高まります。
2-3.駅近である
マンションの場合、駅から近いほど利便性が高いと判断され、資産価値も高くなります。そのため駅近物件であれば、リバースモーゲージを受けやすくなるでしょう。
目安としては、駅から徒歩10分以内のマンションなら適用される可能性が高まるようです。
以上のほかにも、資産価値が高まるようないい条件のマンションであれば、リバースモーゲージの対象になりえます。
たとえば、下記などです。
- 治安や周辺環境がよい
- 人気の街にある
- 地盤が固い、建物が丈夫など地震に強い
リバースモーゲージを考えているなら、自分の住んでいるマンションのセールスポイントは何かを洗い出してみるといいでしょう。
リバースモーゲージとは
ここまでは、マンションでリバースモーゲージを受けることについて多角的に解説してきましたが、そもそもリバースモーゲージとはどんな仕組みでしょうか?
この章では一旦マンションの話題から離れて、「リバースモーゲージ」自体について知識を深めておきましょう。
3-1.リバースモーゲージのしくみ
リバースモーゲージの特徴を簡単にまとめると以下のようになります。
リバースモーゲージとは?
- 自宅を担保にして融資を受けるローン
- 返済は分割で月々支払うのではなく、借りた人が亡くなったあとに担保の自宅を売却して一括返済
- 主に老後の資金不足を補うためのものなので、借りられる年齢は55歳以上、60歳以上など制限がある
- 事業目的や投資目的の借り入れはできず、老後の資金として借りるものである
- 金利は月々支払うパターンと、死亡後に元金と一緒に支払うパターンがある
融資の受け方
- 融資限度額の範囲内で、好きなときに好きな額だけ借りる
- 全額を一括で借りる
- 年金を受け取るように、月々定額を借りる
…など、金融機関やプランによってさまざまです。
老後の生活費や自宅のリフォーム代などに不安がある場合、通常のローンで借り入れをすると、毎月の返済が負担になりますよね。
そこで、月々の返済が必要なく、亡くなったあとに自宅を売却することで一括返済する「リバースモーゲージ」が生まれました。
これなら自宅を手放す必要もなく、住み続けたまま老後の資金を借りることができるわけで、「老後2000万円問題」などへの解決法のひとつとして注目されています。
ただ、担保となる物件の評価額が低い場合は融資限度額も少なくなるため、長生きして融資額を使い切ってしまい、老後資金が足りなくなるなどのリスクもあります。
これについては、「4.マンションでリバースモーゲージを利用するメリット」「5.マンションでリバースモーゲージを利用するデメリット」で詳しく説明しますので、そちらをよく読んでください。
3-2.リバースモーゲージには2種類ある
リバースモーゲージには、
- 銀行などの金融機関が融資するもの
- 自治体や社会福祉協議会などの公的機関が融資するもの
の2種類があります。
それぞれ融資の条件や内容が異なりますので、以下にその特徴と違いを説明しておきましょう。
金融機関のリバースモーゲージ
銀行など民間の金融機関が提供するリバースモーゲージです。
各行ごとに条件や内容はさまざまですが、公的機関のリバースモーゲージと比較した場合、以下のような点が異なります。
- 基本的に安定した収入と金融資産を持っている人が対象
- 借入金の使い道は比較的自由
生活費の補填に限らず、自宅のリフォーム、住宅ローンの支払い、旅行などの娯楽、老人ホームへの入居金などに使ってもいいものです。ただし、事業資金や投資のために使うことはできません。
- 融資限度額は、最低でも数百万円、最高で1~2億円までと高額の借り入れも可能
- 戸建てが中心だが、金融機関によってはマンションも対象になる
中にはリバースモーゲージを利用して豪華客船でのクルーズに参加する人などもいるようで、どちらかといえば“老後をより豊かに暮らすために”借りるものと考えればいいでしょう。
公的機関のリバースモーゲージ
都道府県、市区町村といった自治体や、社会福祉協議会などが提供しているリバースモーゲージもあります。
民間の金融機関のものとは以下の点で異なっています。
- 所得が少なく生活が苦しい高齢者が対象
所得制限があり、それを超える高い収入がある人は利用できません。
- 借入金の使い道は生活資金に限定される
事業や投資はもちろん、娯楽などに使うこともできません。
- 融資を受けられるのは65歳を超えた世帯のみ
- 担保となる土地の評価額が1,500万円以上である場合が対象
- 融資限度額は、評価額の70%までで、毎月の限度額は30万円まで
- 戸建てのみで、マンションは対象外
こちらは社会福祉協議会が窓口となっています。
銀行などのリバースモーゲージが、生活に余裕のある人が老後をより充実させるために借りるものであるのに対して、公的機関のリバースモーゲージは、困窮している低所得者層に向けて、生活支援をする福祉的な意味合いを持っているのが特徴です。
マンションでリバースモーゲージを利用するメリット
マンションでリバースモーゲージを利用する場合、公的機関は対象外なので、銀行など民間の金融機関を利用することになります。
ではその場合、通常のローンと比べてどんなメリットがあるのでしょうか?
主には以下の4点が挙げられます。
4-1.自宅に住み続けながら融資を受けられる
リバースモーゲージの最大のメリットは、自宅を担保として融資を受けながらその自宅に住み続け、月々の返済も必要ないことです。
ローンを借りた人が亡くなった後に、担保物件を売却して一括返済すればいいので、生きている間はローン借り入れ前と変わらない生活が送れるのです。
ただ、金融機関やプランによっては金利だけは毎月支払う場合もあるので、その点は事前に確認が必要です。
4-2.融資条件が比較的緩い
通常のローンであれば、年齢制限で高齢者は借りられなかったり、収入が低いと返済能力がないとみなされて審査が通らなかったりしますよね。
それに対してリバースモーゲージは融資の条件が比較的緩く、借りやすいと言えます。
というのも、そもそも高齢者向けであるため年齢が高くてもローンを組むことができ、金融機関によっては借り入れ年齢の上限がないものもあるのです。
また、返済は月々ではなく、死亡後に担保を売却して一括で支払えばよいので、収入に関する条件も緩い傾向があります。
つまり、一般的なローンは借りられない年齢、収入の人でも、リバースモーゲージなら借りられる可能性があるというわけです。
4-3.融資金の使い道が比較的自由
たとえば住宅ローンであれば、借りたお金は住宅購入のためにのみ使用するよう契約で定められていて、それ以外の目的に流用することはできません。
一方リバースモーゲージは、金融機関で借りる場合であれば使い道は自由です。
老後の生活資金の補填に使ってもいいですし、自宅をバリアフリーに改装するリフォーム代にも使えます。住宅ローンの支払いに回すことも、さらには旅行や趣味などの娯楽に費やすこともできるのです。
ただし、公的機関のリバースモーゲージの場合は生活資金のみにしか使えません。
また、金融機関、公的機関いずれの場合にも、事業用や投資目的でのローンは組めませんので注意してください。
4-4.死後に借金が残らない
通常のローンを借りた場合、返済は月々の分割で行うため、もし返済途中で借りた人が亡くなってしまえば、借金が遺されてしまいます。
リバースモーゲージであれば、死後に担保となる自宅を売却して一括返済できるので、基本的には借金は残らず完済できる仕組みになっています。
借りた人に不測の事態が起きても、遺族に借金を負わせることがないのもメリットと言えるでしょう。
マンションでリバースモーゲージを利用するデメリット
一方で、マンションを担保にリバースモーゲージを利用するには、デメリットもあります。
以下の4点には注意してください。
5-1.途中で金利が上がる可能性がある
リバースモーゲージは、借りた時点から一括返済の時点までの期間が長いため、その間にローンの金利が変動します。
金融機関では、変動金利制をとっているところも多いので、金利が上昇すると支払額も増えてしまうリスクが考えられます。
特に、金利だけは毎月支払う契約になっている場合は、当初の予定よりも月々の負担が増える恐れがあるのです。
5-2.経年劣化で評価額が下がる
リバースモーゲージの場合、借りた人は担保となるマンションに住み続けることができます。
となると、年数が経つにつれマンションは劣化し、資産価値も下がっていきます。一方で、借入額は年々増え、限度額に近づいていくでしょう。つまり、担保の価値が減少するのと反比例して、借金は増えていくわけです。
金融機関は、3年ごとなど定期的にマンションの評価額を見直します。
そこで、当初の予想より評価額が低くなっていれば、それにあわせて融資限度額も見直され、借り入れ当時より少額になってしまう可能性もあります。
もしその時点で、見直し後の限度額以上をすでに借り入れてしまっていた場合は、超過分の一括返済を求められる恐れがあります。
それが支払えなければ、自宅を売却しなければならないというリスクもあるので注意が必要です。
5-3.長生きすると融資額が尽きてしまう恐れがある
たとえば、年金のように毎月定額を受け取れるようなリバースモーゲージを契約したとします。
その場合、「融資限度額 ÷ 毎月の受取額=融資を受け取れる期間」と考えられますよね。
ですがもし、予想していた以上に自分が長生きした場合には、途中で融資限度額を使い切ってしまう恐れもあります。
そうなると、後期高齢者でもう働けないのに融資も受けられない、という状況に陥ります。
場合によっては、契約期間満了とともに自宅を売却して一括返済を求められることもあり、収入も自宅も同時に失うリスクさえあるのです。
これは、リバースモーゲージの「長生きリスク」と呼ばれ、大きなデメリットのひとつです。
5-4.推定相続人全員から同意を得なければいけない
リバースモーゲージを契約すると、借り入れた人が亡くなった時点で金融機関が自宅を売却することになります。
となると、遺族には資産としてその不動産が残らなくなってしまいますよね。
その時点でトラブルになるのを避けるため、リバースモーゲージの契約時には推定相続人全員の同意が必要だと定めている金融機関が多いようです。
ひとりでも同意しない人がいた場合、リバースモーゲージの契約自体ができないケースもあるそうですので、親族には事前に良く説明しておく必要があるでしょう。
リバースモーゲージ以外に資金調達する方法
以上のように、リバースモーゲージにはメリットもあればデメリットもあります。
特に、「長生きリスク」などは自分が何年生きるかわからないだけに不安ですよね。
そこで、「老後の資金は足りないけれど、リバースモーゲージを利用するのは躊躇がある」という人のために、リバースモーゲージ以外に老後資金を調達できる方法を2つご紹介しておきましょう。
6-1.マンションを売却する
まずひとつの方法は、思い切って自宅マンションを売却することです。
リバースモーゲージを利用すると、マンションの場合は評価額の5割程度までしか借りられません。
一方で売却の場合、マンションの立地や設備、状態によってはそれ以上の価格で売れる可能性もあるでしょう。
そこで、リバースモーゲージを考える際には、同時にマンションの査定もして、売れそうな価格とリバースモーゲージで借りられる価格を比較してみるのがおすすめです。
差額が大きければ、売れたお金で手ごろな物件に住み替えて、残った額を老後資金に回すという手もあります。
6-2.リースバックを利用する
リバースモーゲージと似た制度で「リースバック」というものがあります。
これは、不動産業者に自宅を一旦売却し、それをあらためてリースという形で借りて住み続けるという仕組みです。
自宅に住み続けながら老後資金を手にできるという点ではリバースモーゲージと同様ですが、異なる点としては、
- 売却したお金=返済する必要のないお金が手元に入る
- リバースモーゲージは契約に期限があるのに対し、リースバックには期限がない
- 物件の所有権が自分にあるリバースモーゲージに対して、リースバックは所有権が不動産業者に移る
→そのため、固定資産税などを支払う必要がなくなります
- 住宅ローンが残っている場合、リバースモーゲージは適用できないが、リースバックなら利用できる
- 売却なので金融機関の審査が必要ない
- マンションの場合、リバースモーゲージよりリースバックのほうが利用できない率が低い=利用しやすい
- 売却後、6か月以降であれば買い戻すこともできる
などがあります。
リバースモーゲージよりもローリスクなので、利用しやすいといえるでしょう。
「マンションで、リバースモーゲージが利用できない」という場合などにはぜひ検討してみてください。
まとめ
いかがでしょうか?
マンションでのリバースモーゲージについて、よく理解できたことと思います。
では最後にもう一度、記事の内容をおさらいしてみましょう。
- マンションでもリバースモーゲージは受けられるが、適用はされにくい
- 適用されやすいマンションは、築20年以下、都市部、駅近の物件
- リバースモーゲージが適用されなかった場合は、売却やリースバックで老後資金を調達できる
これを踏まえて、あなたが老後の不安から解放され、余裕ある暮らしを遅れるよう祈っています!