【事例10選】マンションリノベーションで人気の間取りとは?注意点や費用相場を解説
「マンションのリノベーションで、おすすめの間取りは?」
「マンションのリノベーションにかかる費用はどれくらい?」
戸建てとマンションではリノベーションでできること、費用に違いがあるのかなど、気になることが多いでしょう。
そこで今回は、マンションのリノベーションで人気のレイアウト10選を費用相場も交えて紹介していきます。
マンションのリノベーションで注意すべきポイントも合わせて紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
一級建築士
西村 一宏
東洋大学ライフデザイン学部講師。リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。
マンションリノベーションで人気の間取り変更10選!
ここでは、マンションリノベーションで人気の間取りを以下の10個にまとめて、紹介していきます。
- 1-1.LDKを広くする
- 1-2.キッチンを対面式にする
- 1-3.ウォークインクローゼットをつくる
- 1-4.書斎や趣味部屋をつくる
- 1-5.回遊動線にする
- 1-6.壁や扉をなくして開放的にする
- 1-7.インナーテラスをつくる
- 1-8. 畳の和室を小上がりに変更する
- 1-9. 在宅ワークができる間取りにする
- 1-10.寝室を窓側につくる
それぞれ詳しくみていきましょう。
1-1.LDKを広くする
1つ目はLDK(リビング・ダイニング・キッチン)を広くする間取りです。
古いマンションに多いリビングとキッチンを仕切る壁を取り壊したり、リビング横の小さな和室をつなげたりして、
開放感のある広いリビングにするリノベーションが人気を集めています。
以下にLDKを広くした事例をまとめました。
【ベッドルームとリビングをつなげる】
<リノベーション前>
<リノベーション後>
<間取り図>こちらの事例について詳しく見たい方はこちら
【和室をなくしてLDKとつなげる】
<リノベーション前>
<リノベーション後>
<間取り図>
こちらの事例については詳しく見たい方はこちら
1-2.キッチンを対面式にする
古いマンションのなかには、キッチンが壁付けになっている物件が多くあります。
壁付けキッチンは料理をしている人がダイニングやリビングに背中を向けて孤立する形になります。
現在では、料理中でも家族と話せる対面型キッチンが主流になっています。
キッチンをはじめ水回りの移動は、配管やコンセントなどの工事も必要になるため、単にシステムキッチンを入れ替えるだけのリフォームよりも費用がかかります。
また、マンションの構造や配管の位置などによっては、移動に制限が出る場合もあるので、施工会社に事前に現場調査してもらって相談しましょう。
対面キッチンには、主に以下の4タイプがあります。
【二の字キッチン】
壁際にコンロ、リビング向きの対面にシンク台を設置する「二の字キッチン」です。
調理スペースが広く取れるため、料理好きの方に好まれます。
シンク台側にスペースを広く確保すれば、カウンターや作業台を兼ねることもできるため、自由度の高いキッチンだといえるでしょう。
こちらの事例について詳しく見たい方はこちら
【ペニンシュラキッチン】
片側が壁に接している対面式キッチンを「ペニンシュラ(=半島)キッチン」と呼びます。
オープンキッチンの中ではポピュラーなもので、リビングダイニングとの一体感が魅力です。
小さな子どもがいるご家庭などは、調理中も子どもから目を離さずにいられるため、安心感が高く、家族間のコミュニケーションもとりやすいキッチンだといえるでしょう。
キッチンの後ろ側に、収納スペースを大きく取れるのも特徴です。
また接している壁を利用して、パントリーをつくったり、冷蔵庫を隠したりすることで生活感のないすっきりとしたキッチンになります。
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【L字キッチン】
キッチンをL字型に造作し、一面にコンロ、もう一面にシンクを配置するタイプです。
調理スペースが広くとれるうえ、コンロとシンクを行き来する際に、二の字型キッチンのような後ろを振り返る動作が必要がないため、作業がスムーズです。
オーブンや食洗器などをカウンター下に設置すれば、リビングダイニングから目隠しになるので、生活感を消すこともできます。
写真のようにカウンターを造作すれば、作業台としても使えます。
料理好きの方や複数人で料理することが多い場合におすすめのレイアウトです。
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【アイランドキッチン】アイランドキッチンとは、キッチンのどの面も壁と接していない、独立型の対面キッチンです。
LDKのどの方向からでもキッチンにアクセスしやすい「回遊性」が特徴で、料理中はもちろん、配膳時にもスムーズな動線を確保できます。
キッチンが独立したレイアウトのため、空間全体におけるキッチンのインパクトが強く、デザイン性の高いLDKを作れます。
キッチンを中心としたLDKを求める方にはおすすめです。
ただし、アイランドキッチンはある程度のスペースが必要なため、お部屋の面積が限られる場合には実現しづらい可能性があります。
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1-3.ウォークインクローゼットをつくる
古いマンションの難点としては、収納が少ないことも挙げられるでしょう。
特に洋服をまとめて収納できるスペースがあれば、家の中に服が散乱することがなく、外出時に部屋を何度も行き来する必要もなくなります。
そのため、リノベーションの際には大型収納としてウォークインクローゼットが人気です。
寝室や洗面と近づけたり、動線も考慮してつくれば毎日の身支度がスムーズになりますよ。
リノベーションでは手持ちの洋服やアイテムの数やサイズに合わせてカスタムできるのもポイントです。
【空間の中心に配置した印象的なボックスWIC】
部屋の中心にウォークインクローゼットを作り、外壁は作業スペースとして利用しています。
壁付けにせず、独立して存在するからこそ側面も余すことなく活用しています。
また、中央に配置することで回遊動線が生まれて複数の方向からアクセスできるのも便利です。
こちらの事例について詳しく見たい方はこちら
【部屋をつなぐ大容量のウォークスルークローゼット】
ウォークスルークローゼット(WTC)とは、出入り口が2箇所設けられており、中を通り抜けられるクローゼットのことです。
写真の事例は、普段過ごすことの多いリビングと洗濯機のある洗面台の両側からアクセスできるウォークスルークローゼットにすることで、利便性の高い収納を作り上げています。
こちらの事例について詳しく見たい方はこちら
1-4.書斎や趣味部屋をつくる
リノベーションを機に、「書斎や趣味の部屋をつくりたい」という方も多いでしょう。
何を作りたいかによって、リノベーションのプランはさまざまです。
ここではいくつかの事例を紹介しておきましょう。
【ギターが弾ける防音室】
音楽が趣味の方なら、思いっきり楽器を演奏したり、ご近所に気兼ねなくオーディオを楽しみたいと考えたことがあるはず。
防音室があれば、マンションでもその夢がかないます。
既成の防音室をはめ込む方法もありますが、こちらの事例では家の中心にオリジナルの防音室をつくりました。
<リノベーション前>
<リノベーション後>
<間取り>こちらの事例について詳しく見たい方はこちら
【モノづくりを堪能する土間のアトリエ】
ハンドクラフトやDIYなどモノづくりが趣味の方は、作業ができるアトリエをリノベーションで作ってもよいでしょう。
道具を置く場所や作業場がまとまっていると、作業性もよくものが散らかりません。
程よいスペースで、土間床やアイアンのフェンスが工房のような雰囲気を感じさせます。
<リノベーション前>
<リノベーション後>
<間取り図>
こちらの事例について詳しく見たい方はこちら
【書道を楽しむ和の空間】
茶道、華道など「和」の趣味を持っている方は、リノベーション後も和室かそれに準ずるスペースを作ってみましょう。
以下で紹介している事例では、書道が趣味だというお客さまのために、家の一角に畳敷きのスペースをつくりました。
バルコニーに面する掃き出し窓があるので、昼間は自然光が部屋いっぱいに降り注ぎ、筆を持つ手元を明るく照らしてくれます。
<リノベーション前>
<リノベーション後>
<間取り図>
こちらの事例について詳しく見たい方はこちら
1-5.回遊動線にする
回遊動線とは、生活動線がスムーズになるように設計された間取りのことです。
具体的には、下記のようにキッチンから洗面台〜ウォークインクローゼット〜リビング〜ワークスペースを回遊できるひと繋ぎの動線を指します。
生活動線を最適化することは家事ラクにも繋がります。例えば、キッチンで料理している間に洗濯を回すといった家事の同時並行が行い安くなるからです。
また、複数の方向からアクセスできるため家族がぶつかりあう心配もありません。さらに小さな子どもやワンちゃんにとっては、回遊動線はぐるぐる走り回れる遊び場にも。
以下に回遊動線の事例をご紹介します。
【土間が通路の役割になり回廊のように各空間をつなぐ】
玄関からつながるキッチンからリビング・ダイニング、そしてワークスペースまで続く土間の通路が回游動線になっています。
また、キッチンから洗面、洗面からWICまでは通り抜けできるようになっており、作業性の良い間取りを実現。
一段階レベルをあげた小上がりのようなリビング・ダイニングをぐるりと囲むように設計することで、部屋全体に開放感が生まれました。
<リノベーション前>
<リノベーション後>こちらの事例について詳しく見たい方はこちら
1-6.壁や扉をなくして開放的にする
間取り変更では壁や扉を取り払い、解放的な空間をつくるリノベーションも人気です。
築年数の古いマンションは、小さな和室や窓のない小部屋などが細かく設けられている場合が多いです。
そのため、部屋の壁や扉を取り壊して繋ぎ、広々とした開放感を実現できます。
下記では、仕切りをなくした開放的なリノベーション事例をご紹介します。
【3部屋を1部屋にして広く明るいLDKを実現】
リビングを挟んだ2つの洋室の壁を取り払い、1つのリビングにすることで開放感あふれる空間を作り出しています。
視界を遮るものがなくなったことで見通しがよく、外から入る自然光が部屋全体を明るく照らしてくれています。
<リノベーション前>
<リノベーション後>
こちらの事例を詳しく見たい方はこちら
1-7.インナーテラスをつくる
インナーテラスとは室内や半屋外に設けられたテラスのことです。
屋根があるため、天候に左右されることなく、洗濯物を干す場所としても活躍します。
日当たりが良いので、植物好きの方にとっては植物の手入れや植物を眺めてリラックスするためのスペースにも最適です。ペットやお子さまがいる場合にはひなたぼっことしても重宝するでしょう。
リビングとは少し雰囲気を変えたスペースが欲しい場合はインナーテラスを設けてみてもよいでしょう。
下記にインナーテラスを取り入れた事例をご紹介します。
【リビングとインナーテラスを一体に感じられる】
陽の光に照らされたインナーテラスが、広々としたリビングの開放感を作り出しています。
余裕を持たせたリビングにして部屋数を増やせる作りにし、将来の家族構成の変化にも対応できる余白のある家となっています。
さらに、インナーテラスを設けることで、作業場や物干など使い方も可変可能です。
<リノベーション後>
こちらの事例を詳しく見たい方はこちら
1-8.畳の和室を小上がりに変更する
畳の和室を小上がりにするのも人気の間取りの一つです。
築年数の古いマンションはリビング横に小さな和室が設けられている場合が多いのですが、和室があるとリビングが狭くなってしまいますよね。
そんな時におすすめなのが「小上がり」です。
リビングの一部に床をあげた区画をつくるイメージです。
段差でゾーニングするので、リビング自体は広々と使えます。小さな子どもがいる場合には、お昼寝スペースとしても重宝しますよ。
また日本人に慣れ親しんだ素材である畳は、家にあると落ち着くものです。
小上がりの床素材を畳にすれば、和モダンな雰囲気と畳の心地よさも両得できます。
下記で畳の和室を小上がりに変更した事例をご紹介します。
【段差で分けられた日常と非日常】
LDKの半分を小上がりにしたことで「ごろ寝」しながらテレビを見たり、漫画を読んだりできるようになりました。琉球畳を使用しており、独特の風合いと温かみが感じられますね。
壁で仕切られていなくても、段差によってメリハリが出るので、圧迫感を感じさせずにくつろぎの場所が生まれています。
また、小上がりの下を収納として活用しているのもポイントです。
さらに、本棚の奥にはロフトと書斎が隠れているという面白い間取り。リノベーションだからこそできる、唯一無二の形ですね。
<リノベーション前>
<リノベーション後>
<間取り図>
こちらの事例を詳しく見たい方はこちら
1-9.在宅ワークができる間取りにする
在宅ワークが浸透したことによって、リノベーションで書斎や仕事スペースをつくる方も増えています。
特にお子様のいる家庭では、賑やかなリビングで仕事していると集中しづらいといったケースもあるでしょう。
その場合、仕事場として機能性の高い在宅ワークスペースをリノベーションの際に検討してみてもよいかもしれません。自分好みに広さやデザインをカスタムできるのも魅力です。
下記に在宅ワークができる間取りの事例をご紹介します。
【リビングと在宅ワークスペースがそれぞれ落ち着いた場所に】
リビングと在宅ワークスペースを遠い位置に設けることで、それぞれが落ち着いたスペースになります。
仕事とプライベートの空間を明確に分けられるため、ワークライフバランスが上手く保たれるでしょう。
また、LDKとテイストを変えてシックなブラックトーンに仕上げているのも、空間を明確に分けるためのポイントです。
施主によるDIY棚で仕切られた間取りとなっているため、遅くまで仕事をして、そのまま就寝することもできます。
<リノベーション後>
<間取り図>
こちらの事例を詳しく見たい方はこちら
1-10.寝室を窓側につくる
寝室を窓際につくることで、陽の光を浴びながら、快適な朝を迎えられます。
「自然光で目が覚めたい」と考えている人にはぜひおすすめです。
ただし、一般的に採光の良い場所にはリビングを持ってくることが多いため、寝室としてのプライバシー性を確保するのも忘れてはなりません。
下記では、寝室を窓際につくった事例をご紹介します。
【朝日で心地よく目覚める洗練されたベッドルーム】
お施主さまがお好きなTRUNK(HOTEL)をテーマにリノベーションした事例です。
日当たりの良い窓辺に寝室を設け、こだわりのガラス張りの建具がホテルライクな空間に演出してくれています。
このように透過性のあるガラスを建具として利用すれば、リビング全体にも光が届けられるので、寝室の壁をつくるよりも暗さや圧迫感を感じにくいです。
<リノベーション前>
<リノベーション後>
こちらの事例は、以下の記事で詳しく解説しています。
マンションリノベーションで間取り変更する際の費用相場
ここからは、マンションリノベーションで間取りを変更する際の費用相場を、以下の2つに分けて解説していきます。
- 一般的にかかる費用
- 工事内容別の費用相場
間取り変更を検討している方は、下記の費用相場を参考に、具体的なリノベーション予算をイメージしてみてください。
2-1.一般的な費用相場
マンションのリノベーションは工事の内容やマンションの広さ、使う材料などによって費用が変動するため、一概にいくらとは言い切れません。
目安として、下記の表に一般的な間取り変更の費用相場をまとめました。
リノベーション内容 | 費用相場 | |
LDKを広くする | リビングと和室を一体化する | 40〜100万円 |
リビングと洋室を一体化する | 20〜70万円 | |
キッチンを対面型にする | システムキッチンの交換 | 50〜150万円 |
キッチンの移動 | 10〜30万円 | |
収納を増やす | 壁付けクローゼット | 10〜50万円 |
ウォークインクローゼット | 20〜80万円 | |
階段下収納 | 7〜10万円 | |
キッチン床下収納 | 10〜15万円 | |
和室を洋室にする | 畳の床をフローリングにする | 15〜35万円 |
壁・天井のリフォーム | 10〜20万円 | |
押入れをクローゼットに変更 | 8〜25万円 | |
襖を洋室の建具に変更 | 3〜20万円 | |
防音室をつくる | 部屋を防音室にする | 100〜550万円 |
組み立て式防音室を設置する | 50〜330万円 |
上記では部分的な費用相場をご紹介しましたが、部屋全体のリノベーションを考えている方におすすめなのが、スケルトンリノベーションです。
スケルトンリノベーションとは、マンションの内装や設備などをすべて解体、コンクリートの「箱」のような状態に戻し、一から部屋をつくり直す方法のことです。
スケルトンリノベーションでは、間仕切り壁や床材、天井材もすべて撤去されるため、間取りはほぼ自由に組むことができるのが利点です。
「大幅に間取りを変更したい」「他にはないオリジナルのレイアウトにしたい」というような希望がある方は、スケルトンリノベーションも検討してみてください。
また一度にすべての工事を行うため、部分的なリフォームを数回を何度も行うより効率的で無駄な費用も省けます。
2-2.工事内容別の費用相場
間取りといっても、部屋をつなげて広くしたり、逆に間仕切りをして部屋を増やしたりなど、その方法はさまざまです。
ここでは、工事内容別の費用相場も以下の表にまとめました。
リノベーション内容 | 費用相場 | |
間仕切り壁の撤去・設置 | 壁の撤去 | 5〜10万円 |
間仕切り壁とドアの設置 | 12〜25万円 | |
既存のユニットバスの移動 | 80〜110万円 | |
浴室を移動・ユニットバスの交換 | 120〜250万円 | |
トイレの移動・交換 | 30〜90万円 | |
洗面所の移動 | 20〜70万円 | |
クロスの張り替え | 40〜70万円 | |
フローリングの張り替え | 70〜90万円 |
上記の費用を目安に、間取り変更の予算を考えてみましょう。
マンションリノベーションの間取り変更の6つのポイント
ここからは、間取りの変更で失敗しないためのポイントを6つ紹介していきます。
- 生活動線を最適化する
- 水回りはできるだけまとめる
- 寝室はキッチンから離した場所にする
- シューズクロークを設置する
- 開放的なリビングにする
- バルコニーと洗面脱衣所を近くする
それぞれ、詳しくみていきましょう。
3-1.生活動線を最適化する
リノベーションで間取りを変更する際、生活動線に気を配ってみましょう。
たとえば、朝の時間帯はトイレや洗面所を利用する人が多く、混雑しがちです。
また、お出かけの際にも子どもの支度で玄関が混んでしまったり、洗濯のたびに洗面とバルコニー、クローゼットを行き来して面倒だったりしませんか。
いずれも小さなことですが、長く生活していくうちにストレスは蓄積されていくものです。
互いに快適に暮らすためにも、リノベーションではスムーズな生活動線を確保することが重要です。
誰がいつ、どこで何をするか、どう動くかを整理して、家族全員のタイムスケジュールを間取り図の上に書き出していきましょう。
そうすることで、必要な生活動線が明らかになってきます。
また生活動線を最適化するということは無駄な動きを省くことにも繋がります。
毎日のストレスが軽減されることで「日々、こんなに無駄が多かったんだ!」と驚くはずです。生活動線には家事動線も含まれるため、動線を見直すことで時短や家事ラクも叶えられます。
3-2.水回りはできるだけまとめる
キッチンやトイレ、浴室や洗面などの水回りは、できるだけ一箇所にまとめておくのがおすすめです。
なぜなら、水回りの動線を最短にまとめた方が、家事効率がよくなるからです。
日々忙しい中で効率的に家事をこなすために、家事を並行で行うこともあるでしょう。
水回りをまとめておけば、キッチンで料理をしながら、隣の洗面で洗濯を回しておくといった時短にも繋がりやすいです。
また、水回りは配管や排水の工事が必要になるため、一箇所にまとめた方がコスト的にも抑えられます。
3-3.寝室はキッチンから離した場所にする
寝室とキッチンをできるだけ離して配置することは、マンションリノベーションの間取り変更において重要です。
キッチン周辺には夜中や早朝に稼動したり、モーター音がする家電が多く集まります。
たとえば、就寝前にセットした食洗器や、早朝のお弁当作りに間に合うようスイッチを入れた炊飯器などの音です。
また、冷蔵庫のモーター音や洗濯機の稼働音も気になりやすいでしょう。
寝室と水回りが近いと、家電が稼働する音や振動が聞こえてきて、睡眠の妨げになってしまうかもしれません。
安眠を確保するためにも、寝室と水回りは離れた場所にするのがよいでしょう。
3-4. シューズクロークを設置する
リノベーションで間取りを変更する際、シューズクロークの位置と広さを検討しましょう。
一般的な中古マンションは玄関が狭く、下駄箱も小さいので玄関が雑多になりやすく、外出の際にも混在しやすいです。
シューズクロークがあると、普段あまり使用しない靴や外で使う子どものおもちゃ、ベビーカーやスーツケースなど外で使うものを収納しておけます。
アウトドア好きの方なら、土間空間を広げてキャンプ用品をおいておく倉庫を兼ねても良いでしょう。
また、上着をかけておくためのハンガーやフックがあると、雨で濡れた上着や花粉のついた服を部屋の中に持ち込まなくて良いので便利です。
また外で使用するものや汚れやすい生活用品など、家のなかの収納にはしまいたくないものを入れておけるため、シューズクロークがあるだけで生活の利便性が高くなります。
3-5.開放的なリビングにする
間取りを変更する際、リビングを開放的にしたいという方は多いはず。
「1-1.LDKを広くする」で解説した通り、広いリビングはリノベーションの間取り変更で人気です。
普段過ごすことの多いリビングに圧迫感があると、くつろぎにくい空間になってしまいます。
開放感のあるリビングにする方法としては、「部屋をつなげる」「天井を高くする」「壁や天井の色を明るくする」「収納を増やして余計なものをリビングに出さない」などが挙げられます。
設計の担当者に相談して、採光や風通しのよさも踏まえて検討してもらうと良いでしょう。
3-6.バルコニーと洗面脱衣所を近くする
バルコニーと洗面脱衣所を近くすると、家事効率が高まります。
洗濯機を置く洗面脱衣所とバルコニーが近いと、洗濯物を干したり取り込んだりする際の動線が近くなり洗濯がスムーズに行えます。
さらに、洗濯物をしまう場所をWICとして一箇所にまとめておくと片付けもラクに行えます。
またWICの中にハンガーラックを付けておけば、洗濯物を畳まずにそのまま掛けてしまうだけなので手間もかからず、さらに時短に繋がるでしょう。
マンションリノベーションの間取り変更における注意点とは?
ここからは、マンションリノベーションの間取り変更における注意点を3つ解説していきます。
- 間仕切り壁を撤去できない場合がある
- 水回りを移動できない場合がある
- その他、管理規約で禁止されている場合がある
1つずつ順番に見ていきましょう。
4-1.間仕切り壁を撤去できない場合がある
マンションの構造には、「ラーメン構造」と「壁式構造」の2タイプがあり、「壁式構造」の場合、間仕切り壁を撤去できないケースがあります。
ラーメン構造と壁式構造の、図解は以下の通りです。
ラーメン構造は、柱と梁(はり)を中心に建物を支える工法です。
間仕切り壁を取り払っても構造上の影響はないため、すべて取り払ったスケルトンリノベーションも可能です。
一方、壁式構造は、柱や梁ではなく「構造壁」と呼ばれる「壁」で建物を支えています。マンション各戸の室内にある間仕切り壁もマンションを支える構造壁として機能しています。
となると、その間仕切壁は構造上撤去できません。
スケルトンリノベーションを検討されている方は、ラーメン構造の物件を選びましょう。
特に低層マンションの場合は、壁式構造になっている可能性がありますので、事前の確認が必要です。
4-2.水回りを移動できない場合がある
マンションのなかには、水回りの移動が思うようにできない場合があります。
- PS(パイプスペース)が室内にある
- 排水管に十分な勾配がとれない
- マンションの管理規約で禁止されている
それぞれ詳しく説明しましょう。
4-2-1.PS(パイプスペース)が室内にある
PS(パイプスペース)とは、マンションの縦方向に通っている給水管や排水管がまとめられているスペースのことであり、間取り図には「PS」と表記されています。
この配管は、縦に通っているために、スケルトンリノベーションの際にも移動させることはできません。
PS(パイプスペース)を移動させない範囲で水回りの設計を行うしかありません。
なお、PSが室外にあったり、玄関横にあったりするマンションであれば間取りの変更をしても、問題はありません。
こちらの事例は、解体後に予期せずパイプスペースが見つかった事例です。
リビングの中央に存在するため、最初は気になったというお施主さま。しかし、室内のトーンに合わせて塗装して馴染ませることで今では「大黒柱」のような愛着を感じているそうです。
こちらの事例を詳しく見たい方はこちら
4-2-2.排水管に十分な勾配がとれない
排水管に十分な勾配が取れないことから、水回りの移動ができないケースもあります。
マンション内には横方向の給排水管も通っており、排水管には汚れた水をスムーズに下に流すための一定角度の勾配がつけられています。
しかし、水回りの移動によって排水管が長くなると、勾配が緩くなってしまい、うまく排水ができません。
水回りを大幅に移動しようとすると、施工業者に「できない」と言われる可能性があるため、注意が必要です。
ただし、床の高さを上げることで、床下の排水管に十分な勾配をつけられるかもしれません。
いずれにしても専門的な知識が必要ですので、設計担当に解決策を相談してみましょう。
4-2-3.マンションの管理規約で禁止されている
マンションによっては管理規約の中に、水回りの移動や配管の移動を禁止する一文が入っている場合もあります。
このような場合は、どのような形でも水回りの移動はできません。
事前に確認しておかないと、マンション購入後に「希望の間取り変更ができない」ということにもなりかねません。
物件の管理規約の内容は購入前にしっかりと確認しましょう。
あとで後悔しないためにも重要なステップです。
4-3.その他、管理規約で禁止されている場合がある
マンションの管理規約には、以下のようにリノベーションやリフォームに規定がある場合があります。
→階下に音や振動が伝わりやすいものはNGです。
躯体に穴をあける、打ち込みをすることを禁止
→マンションを支える構造である躯体に手を加えることができません。
指定業者以外の出入り禁止
→管理組合などで指定した業者以外に工事してもらうことができません。
上記のような規約によって、希望通りのリノベーションができない恐れもあるため、こちらもマンション購入前にかならず確認しましょう。
マンションリノベーションの間取り変更で事前に確認しておくべき3つのポイント
最後に、マンションリノベーションの間取り変更で事前に確認しておくべきポイントを3つ解説します。
- 間取り変更が可能な物件を選ぶ
- リノベーション会社の見学会に参加する
- 耐震性能を確認する
マンションリノベーションを理想どおりに仕上げるためにも、上記3つを押さえておきましょう。
5-1.間取り変更が可能な物件を選ぶ
希望の間取り変更ができる物件選びが最優先です。
「マンションリノベーションの間取り変更における注意点とは?」で挙げたように、マンションリノベーションでは事前に確認しておくべき項目があります。
しかし、配管の位置や管理規約で指定されたフローリング材など、素人では判断できないことも多いでしょう。
その場合、リノベーション会社の担当者などに、リノベーションの希望を伝えたうえで、購入前に現地調査に同行してもらい、間取り変更の可否を判断してもらいましょう。
または、物件選びから設計、施工までワンストップで請け負ってくれるリノベーション会社へ依頼すると、こちらの要望もよく理解して動いてもらいやすいです。
5-2.リノベーション会社の見学会に参加する
マンションのリノベーションを成功させるためには、リノベーション会社の見学会に参加することも大切です。
ほとんどの人にとって、リノベーションは最初で最後の経験です。
「実際に住んでみたら、思わぬところで使いづらかった」「生活してみると、もっとこうすればよかったということに気がついた」ということにならないよう、実際のリノベ空間を見て確認しましょう。
間取りのアイデアや工夫が知れるだけでなく、設計担当者と直接話すこともできるので、わからないことや疑問もその場で解消できます。
見学会に参加できない場合は、各社のパンフレットを取り寄せたり、インターネットでリノベーション事例と体験談をチェックしたりする方法もあります。
リノベーションにおいて情報収集の多さは、満足のいくリノベーションへの近道です。
気に入った部分や使いやすいアイデアなどを取り入れながらプランをブラッシュアップしてみてください。
5-3.耐震性能を確認する
マンションリノベーションでは耐震性能の確認も欠かせません。
最近では、築30年、築45年といった古いマンションが価格も手頃で人気が高まっています。中身は、おしゃれに使いやすくリノベーションできるため、古さや暗さは気にせず購入しても問題ありません。
しかし、築古の物件の購入を考えているのなら、かならず耐震性能を確認してください。
建物の耐震性能は、以下の表のように改正されてきています。
制定年 | 基準 | |
旧耐震基準 | 1950年〜 | 震度5程度の中規模地震でも建物が大きな被害を受けないこと |
新耐震基準 | 1981年〜 | 震度6強〜7程度の大地震でも建物が倒壊しないこと |
現行の耐震基準 | 2000年〜 | 新耐震基準+地盤調査の義務化 |
購入した築古のマンションが旧耐震基準のマンションの場合、耐震性能が劣るだけでなく、住宅ローン控除を受けられない恐れがあります。
「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」とは、リノベーションの際に組む住宅ローンの残額に合わせて、最長10年間、毎年最大40万円まで控除を受けられる制度です。
お得な制度ですが、旧耐震基準の物件は、原則的に住宅ローン控除の対象外です。
ただし、旧耐震基準でも新耐震基準を満たす耐震補強や耐震診断を行っている場合は例外として対象となることが認められています。
住宅ローン控除を受けてお得にリノベーションを実現するためにも、マンション購入前に耐震性能を確認するようにしましょう。
まとめ
本記事では、マンションのリノベーションの間取りについて紹介しました。
マンションのリノベーションでは、さまざまな間取りのアイデアがあります。
ただし、工事にかかる費用やマンションの設計・規約によっては理想のリノベーションが実現できない場合も少なくありません。
予算内で思いどおりのリノベーションを実現するためにも、今回の記事を参考に注意点やポイントを押さえておきましょう。
だからこそ、積極的に専門家の知恵やアイデアに頼ってください!
実力と経験豊富なプランナーが想像以上のアイデアや提案をしてくれるはずです。
また、リノベーション会社のセミナーや見学会に参加し、アドバイスをもらいながらじっくりとプランを練るのもおすすめです。
なお、ゼロリノベではリノベーションの実績が豊富にあり、リノベーション工事の流れに関する相談から施工までワンストップでのサポートが可能。
また、資金計画やリノベーションのアイデアなど、はじめての方向けの無料オンラインセミナーを毎日開催しています。
顔出しなし&ミュートのまま聞くことができるので、ご自宅から気軽にご参加ください。