住宅ローン控除の還付金をもらえるタイミングはいつ?確定申告から振り込み時期までを解説!
ファイナンシャルプランナー
以西 裕介
一般財団法人 確定拠出年金推進協会京都支部長 キッズマネースクール認定講師
法人・個人を含め年間800件程度の相談を受けるほか、資産形成セミナーも多数開催。
ファイナンシャルプランナー
茂木 禄人
株式会社Mapフィナンシャル において、独立系アドバイザーとして活動。詳細プロフィールはこちら
住宅ローン控除の還付金の振込は初年度と2年目以降で異なる
申請した住宅ローン控除の還付金が振り込まれるタイミングは、会社員の場合、初年度と2年目以降で異なります。初年度は確定申告後、約1〜2カ月で振り込まれ、2年目以降は年末調整の後、12月や1月の給与支払い時に反映されるのが一般的です。
初年度は、確定申告を購入者自身が行うことで控除を受けることができます。初年度のみ確定申告が必要な理由は、住宅ローンの残高や住宅の取得状況を税務署に報告するためです。
一方、2年目以降は勤務先が税務処理を行うことで初年度のような詳細な手続きなしで住宅ローン控除を受けることができます。毎年、住宅ローンの年末残高証明書を勤務先に提出し、それに基づき控除が適用されるという仕組みです。
還付のタイミングについて、詳しくは「申請した住宅ローン控除の還付金はいつ振り込まれる?」の章を参考にしてください。
住宅ローン控除の適用期間は居住し始めた年から10年間が一般的!最新の情報を確認しよう
住宅ローン控除は、住宅に「居住し始めた年」の所得税から適用され、通常は10年間、条件により13年間まで適用されます。適用が始まるのは、「購入した年」ではありませんので注意しましょう。
住宅ローン控除を受けるために必要な条件は、購入する住宅の床面積や入居のタイミング、中古物件の場合は築年数など、さまざま。また、住宅ローン控除は国が不景気対策として行っている時限立法(一時的な措置として設定された期間内でのみ適用される法律)なので、その内容が頻繁に変動します。そのため、ご自身で調べる際には最新の税制改正内容を確認することが重要です。
関連記事「【2024年最新】住宅ローン控除の適用条件や控除額をわかりやすく解説!」では、2024年度の税制改正大綱の内容に基づき、住宅ローンの基礎知識から2025年度以降の見通しまでわかりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。
住宅ローン控除の初年度の申請は2月16日〜3月15日までに確定申告を
住宅ローン控除の初年度の申請は、会社員・自営業者・個人事業主など業態にかかわらずすべての人が確定申告を行う必要があります。その期間は居住を開始した年度の2月16日〜3月15日まで。
課税対象となる所得から差し引く所得控除ではなく、本来納税すべき所得税から直接減税される住宅ローン控除は節税効果が大きい制度です。初年度から忘れずに申告しましょう。ちなみに住宅ローン控除の申請を忘れてしまった場合でも、5年間は遡って控除が受けられるため、諦めずに申告してください。
「住宅ローン控除はいつまでに申請する?」の章では、申告の時期を詳しく解説していますので、チェックしてください。
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申請した住宅ローン控除の還付金はいつ振り込まれる?
申請した住宅ローン控除の還付金が、いつ振り込まれるのでしょうか。
ここでは、確定申告と年末調整の場合の2パターンに分けて、ご紹介します。
1-1. 確定申告の場合:1カ月〜1カ月半後
確定申告で住宅ローン控除の申請をした場合、【1カ月〜1カ月半後】が還付金振込の目安時期です。
国税庁のWebサイトでは、「還付金の支払手続きにはおおむね1カ月から1カ月半程度の期間を要することをご理解ください」と記載されています。
還付金については、速やかに支払手続を行うよう努めておりますが、申告書の記載内容や添付書類等の審査など、支払手続を適正に行うための所要の処理を正確に行う必要があることから、その支払手続にはある程度の日数が必要となります。
特に、2月~3月の所得税及び復興特別所得税と消費税及び地方消費税の確定申告期間中は、大量の申告書が提出される時期です。
そのため、還付金の支払手続きにはおおむね1カ月から1カ月半程度の期間を要することをご理解ください。
出典:【税金の還付】|国税庁
ただし、書類に不備があると、振込が遅れることがあります。
振込に時間がかかっている場合には、所轄の税務署に問い合わせて状況確認をしましょう。
1-2. 年末調整の場合:12月または1月の給料日が多い
年末調整で住宅ローン控除の申請をした場合、還付金は給与と一緒に振り込まれます。
多くの企業では【12月または1月の給料日】に給与と一緒に振り込まれますが、給与とは別に振り込む企業や、手渡しする企業もあります。
具体的な時期や受け取り方法については、勤務先の担当者に確認しましょう。
住宅ローンの還付金が少なすぎる?その計算方法とは
「住宅ローンの還付金が予想よりも少なすぎる…」と感じる場合は、以下の計算方法を活用してみましょう。
- 住宅ローン控除額の計算方法
- 住宅ローン還付金の計算方法
具体例を活用しながらそれぞれの計算について、紹介していきます。
2-1.住宅ローン控除額の計算方法
住宅ローン控除額の計算は、以下の方法で行ってみましょう。
【住宅ローン控除額の計算方法】
- 年末のローン残高×0.7%=年間の控除額
- 間の控除額×控除期間=最大控除額
例えば、5,000万円の住宅ローンを借り入れるとしましょう。
その場合、5,000万×0.7%=35万円が年間の控除額になります。
控除期間が10年の場合は、最大控除額は350万円になるということです。
簡単に計算できるので、住宅ローン控除額が少ないと感じる場合は、上記の計算方法を試してみましょう。
2-2.住宅ローン還付金の計算方法
住宅ローン還付金の計算は、以下の方法で行ってみましょう。
【住宅ローン還付金の計算方法】
- 所得税-控除額=還付金
- ※還付金の最大金額「ローン残高×0.7%」
例えば、年収700万円の場合にかかる所得税は、18万円で住宅ローン控除を利用できる合計は、1年で41.75万円になります。
還付金の最大金額「ローン残高×0.7%」になることから、住宅ローンを5,000万円借入してた場合には、35万-41.75万円=-6.25万円になります。
この場合の住宅ローン還付金は、控除の対象になる税金が住宅ローン控除額を上回っているため、住宅ローン控除額と還付金が同額になります。
住宅ローン控除はいつからいつまで適用される?
そもそも、住宅ローン控除はいつからいつまでの期間、適用されるのでしょうか。
ここでは、住宅ローンが適用される期間について整理しておきます。
3-1. 住宅ローン控除が適用されるのは居住し始めた年の分から
住宅ローン控除が適用されるのは【住宅に居住し始めた年】の所得税からです。住宅を購入した年ではありませんので、ご注意ください。
例えば、2024年2月に住宅を購入し、2025年2月から居住した場合、2025年分の所得税から住宅ローン控除が適用となります。
2025年分の所得税は、2025年2月16日〜3月15日の期間に確定申告します。
住宅購入:2024年2月
居住開始:2025年4月
住宅ローン控除の適用:2025年分の所得税から
確定申告:2025年2月16日〜3月15日
3-2. 住宅ローン控除の適用終了は13年または10年
住宅ローン控除の適用期間は、住宅を購入・居住したタイミングに施行されている法律によって変わります。
2024年度では、新築住宅・買取再販住宅の場合は13年間、中古住宅の場合は10年間、控除が適用されます。
例えば、前述の《2024年2月に住宅を購入し、2025年2月から居住した場合》のケースなら、
【2025年〜2037年までの13年間】が、住宅ローン控除を受けられる期間です。
なお、住宅ローン控除の制度について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
関連:【2024年最新】住宅ローン控除の適用条件や控除額をわかりやすく解説!
住宅ローン控除はいつまでに申請する?
「住宅ローン控除の申請をいつまでにすれば良いか」を図解すると、以下のようになります。
図解をご覧頂いたら分かるとおり、申請の時期は、以下の3パターンによって変わってきます。
- 初年度(1年目)
- 2年目以降:年末調整で申請する場合(会社員など)
- 2年目以降:確定申告で申請する場合(個人事業主など)
3パターン以外にも、住宅ローン控除の申請を忘れてしまったという場合もあるでしょう。
ここでは、3パターンと住宅ローン控除の申請を忘れてしまった場合について、ご紹介します。
4-1. 初年度(1年目)
住宅ローン控除を初めて申請する初年度(1年目)は、すべての人が確定申告を行う必要があります。
確定申告は【毎年2月16日〜3月15日まで】に行います。
例えば、《2024年10月1日に住宅を購入し居住を開始した人》の場合、【2025年2月16日〜3月15日まで】が初年度の申請期限です。
住宅ローン控除の確定申告については、以下の記事をご覧ください。
関連:わかりやすい!住宅ローン控除で初めて確定申告する人向け簡単ガイド
4-2. 2年目以降:年末調整で申請する場合(会社員など)
1年目はすべての人が確定申告で、住宅ローン控除の申請を行う必要がありました。
2年目以降は「年末調整」または「確定申告」のうち、どちらかを選ぶことになります。
会社員など勤務先の年末調整の対象者となる給与所得者の場合は、年末調整で住宅ローン控除の申請ができます。
年末調整の必要書類を勤務先に提出する際に、住宅ローン控除の申請書類を一緒に提出するだけなので、確定申告より簡単です。
年末調整の書類は、企業が税務署へ1月31日までに提出する必要があります。
そのため、多くの企業では従業員に対して【11月〜12月まで】に、必要書類の提出を求めます。
具体的にいつまでに提出すべきかは、勤務先の担当者に確認しましょう。
住宅ローン控除の年末調整については、以下の記事をご覧ください。
関連:住宅ローン控除2年目からの年末調整の方法と注意点をわかりやすく解説
4-3. 2年目以降:確定申告で申請する場合(個人事業主など)
年末調整の対象ではない個人事業主や給与所得が2,000万円を超える会社員などの場合は、2年目以降も確定申告で住宅ローン控除の申請をします。
期間は変わらず【毎年2月16日〜3月15日まで】です。
期間を過ぎないように、注意しましょう。
4-4.住宅ローン控除の申請を忘れてしまった場合
住宅ローン控除の申請を忘れてしまった場合でも、安心してください。翌年の1月1日から5年間は、遡って控除が受けられるため、あとからの申告が可能です。
対処方法は会社員と会社員以外によって、異なります。
会社員の場合は、1年目の場合は確定申告、2年目以降は年末調整をし直してもらうことで、控除の申請が済ますことが可能です。
会社員以外は、1年目から住宅ローンの控除期限いっぱいまで、確定申告を行う必要があります。
詳しくは下記記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください。
関連:住宅ローン控除の申告を忘れた!手続きをし直す方法、必要書類などを解説
住宅ローン控除の時期に関して注意したいポイント
最後に、住宅ローン控除の時期に関して、注意したいポイントをお伝えします。
5-1. 常に最新の公式情報を確認する
1つめの注意点は「常に最新の公式情報を確認する」ことです。
住宅ローン控除の制度は時限立法(一時的な事態に対応するために期間限定で定められた法律)に則っているため、景気や社会情勢などを反映し、頻繁に改正されます。
そのため、ハウスメーカーの営業担当者やインターネット上の記事から入手する情報が最新であるとは限りません。
常に最新の公式情報を、官公庁のページでチェックすることが大切です。
※本記事執筆時点での最新情報は「住宅:住宅ローン減税 – 国土交通省」に掲載されています。
5-2. 控除額は「年末の住宅ローン残高」から算出される
2つめの注意点は「控除額は 『年末の住宅ローン残高』から算出される」ことです。
この点に注意したほうが良いのは、年末〜年始にかけての入居を検討している場合です。
例えば、「2023年12月入居」と「2024年月入居」では、1年目の住宅ローン控除額が変わります。
▼ 住宅ローン控除額の計算例
- 2023年12月入居で、2023年末の住宅ローン残高が2,000万円の場合
→2024年2月16日〜3月15日に確定申告し、2,000万円 × 0.7%=【14万円】が控除される - 2024年1月入居で、2024年末の住宅ローン残高が1,950万円の場合
→2024年2月16日〜3月15日に確定申告し、1,950万円 × 0.7%=【13万6,500円】が控除される
住宅ローン控除の金額を少しでも高くしたい場合には、1月入居より12月入居ということになります。詳しくは「2-1.住宅ローン控除額の計算方法」でも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
住宅ローン控除の申請をいつするかは、1年目と2年目以降で変わります。
また、還付金が振り込まれるタイミングは、確定申告と年末調整のどちらかを選ぶかによって異なります。
住宅ローン控除の時期に関して注意したいポイントは、以下のとおりです。
- 常に最新の公式情報を確認する
- 控除額は「年末の住宅ローン残高」から算出される
住宅ローン控除について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連:【2024年最新】住宅ローン控除の適用条件や控除額をわかりやすく解説!
よくある質問
編集後記
会社員の方でも、住宅ローン控除を受ける初回は必ず確定申告を行う必要があります。初めて確定申告するときは難しそうだな?と感じるかもしれませんが、クラウドサービスを使えば意外と簡単に申告書を作成することができますし、マイナンバーカードがあれば税務署に書類を提出せずともオンラインで完結することも可能ですよ。
住宅ローン申請のために初めて確定申告する人は、関連記事「わかりやすい!住宅ローン控除で初めて確定申告する人向け簡単ガイド」をぜひ読んでみてください。
住宅ローンの控除額は毎年同じではなく、ローン残高×控除率で計算されるため年々少なくなっていきます。また、その年に納めた所得税額によっても還付額が変わります。今年はいくら還付されるのか確認したいという方は、シミュレーションサイトや関連記事「住宅ローン控除額の最もわかりやすい計算式とは?シミュレーション方法も解説」を参考にしてみてください。