アイランドキッチンのデメリットを徹底解説|対策と事例5選も!
「開放感やスタイリッシュな印象が気に入り、憧れのアイランドキッチンに決めました!」
このようにアイランドキッチンのメリットに魅力を感じて、採用を決定してしまう人も多いですが、そんな人ほど、しっかりとデメリットと向き合い、理解した上で判断すべきです。なぜなら、メリットがあればデメリットもあるからです。
アイランドキッチンを採用することで想定されるデメリットは、以下の6つがあげられます。
アイランドキッチンは一生のうちに何度も購入するようなモノではありません。しかも、決して安い買い物でもないため、デメリットを踏まえた上で「それでもアイランドキッチンがいい」と思えるのが理想です。
本記事では、アイランドキッチンを採用することのデメリットをメインに、その対策方法について徹底的に解説。
デメリットを踏まえた上でアイランドキッチンが向いている人や採用する際のチェックポイント、デメリットをうまくカバーした参考にしたい事例についても紹介しています。
この記事でわかること |
|
「本当に自分はアイランドキッチンを採用してもいいのか?」
「どうすればアイランドキッチンを理想的な形で採用できる?」と悩んでいる人は必見です。
読み終えるころには、アイランドキッチンのデメリットについてしっかりと把握した上で、自分や家族の暮らしに合ったアイランドキッチンを選べることを願っています。
アイランドキッチンを採用することで想定されるデメリット
「おしゃれ」「スタイリッシュ」などのポジティブなイメージに加え、回遊性や複数人でキッチンを囲みやすいといったメリットのあるアイランドキッチン。その一方で、デメリットがあるのも事実です。
ここでは、日々の暮らしにおいて、アイランドキッチンを採用したことで起こりえるデメリットについて解説します。
1-1. 油はね・水はねや煙で部屋が汚れやすい
アイランドキッチンは周囲に壁がなく、吊戸棚なども設置しないケースが一般的です。空間を遮るものがほとんどないため、調理中の油はねや煙、流水時の水はねで部屋を汚してしまう可能性が高くなります。
◎油はね・水はね
「熱したフライパンに食材を入れると、周囲に油がはねてベトベトになった」「手を洗うときに、勢いよく水を出してしまい、石けんや水滴が辺りに飛び散った」などの経験はありませんか?
コンロやシンク奥が壁になっているウォール型の場合、はねた油や水は壁の面に付着するため、部屋を汚す心配が少ないですが、アイランドキッチンの場合、コンロやシンク奥に汚れをキャッチする壁がありません。そのため、はねた油や水は、周辺の床などへ飛び散ります。
意識していないという人も多いかもしれませんが、意外と油はねや水はねしているもの。こまめに掃除をしなければ、飛び散った油や水で床が汚れたり、シミができたりする原因にもなります。
◎煙
また、調理中の煙も部屋の汚す要因のひとつです。
調理中の煙は、蒸気とともに天井へと昇り、換気扇で吸い取り切れなかった分が天井を伝って部屋中に広がります。アイランドキッチンの場合、天井に吊戸棚を設けないケースが一般的であるため、どうしても遮るもののない天井を伝って煙が部屋中に広がりやすいです。
家で焼肉をしたとき、室内の床がツルツルになったりしますよね?これは、部屋中に煙が広がることで周辺だけでなく、少し離れた床やソファ、カーテンなどにも影響している証拠。
特に、油を使った調理の際に発生する煙には、油が過熱することで生じる「オイルミスト」という細かな油の微粒子が含まれているので、部屋を汚しやすい傾向があります。
アイランドキッチンは空間を遮るものがない開放感が魅力ですが、調理中の煙によって部屋が汚れやすいのはデメリットと言えるでしょう。
1-2. 広いスペースが必要
アイランドキッチンは、キッチン本体の両サイドに通路を設けなければなりません。ペニンシュラ型とウォール型のキッチンスペースと比較したとき、どれくらい違うのかを以下にまとめています。
「4-3.適切な高さ・サイズを採用する」でも詳しく解説しますが、アイランドキッチンのワークトップは、ウォール型と比べると奥行が約15~35cm広い傾向があります。奥行に加え、4方向に通路を設ける必要もあるため、もっとも省スペースなウォール型と比べると広いスペースが必要です。
特に、LDK空間が限られる場合、アイランドキッチンを採用するかどうかを慎重に判断することをおすすめします。なぜなら、アイランドキッチンに幅を取りすぎて、ダイニングやリビング空間が狭くなってしまうからです。
せっかくアイランドキッチンにしても、他の場所が狭くなったり、暮らしにくさを感じたりしてしまうのは避けたいですよね。
キッチンの周辺をぐるりとまわれるアイランドキッチン。回遊性の高さは大きなメリットですが、アイランドキッチンを設置するだけのスペースを確保できるのかというところは、慎重に見極めなければなりません。
1-3. 収納スペースが少ない
アイランドキッチンは、まさにLDK空間に浮かぶ孤島。すっきりとした印象が魅力であるため、吊戸棚などを設けないケースがほとんどです。
画像のような同じデザインのシステムキッチンを採用しても、アイランドキッチンまわりの収納スペースは、ウォール型と比べると吊戸棚分が少なくなります。
もちろん、LDKの雰囲気や確保できるキッチンスペースの大きさによって、キッチン背面に大容量の収納スペースを設けることもできるでしょう。ただ、やはりアイランドキッチンは「開放感」や「すっきりとした印象」が魅力なので、以下の画像のように収納スペースのデザインも圧迫感のないものを採用しがちです。
他のキッチンレイアウトと比べると収納スペースは限られる傾向があるため、今よりも収納スペースが少なくなるようなキッチンリフォームを行う場合は、注意が必要です。
調理器具や食器類、食品などのストックが多い人は、それだけの収納スペースが確保できるのかがアインランドキッチンを採用するかどうかを判断するひとつのポイントになるでしょう。
1-4. 手元が丸見えで整理整頓された状態を保つのが大変
客人が来たときに見られたくない場所を聞かれたとき、迷わず「キッチン」と答える人は多いのではないでしょうか。キッチンはやはり生活感が出やすい部分なので、できることなら見られたくないものですよね。
しかし、アイランドキッチンを採用すると、ダイニングやリビングから常に見えてしまいます。立ち上げを設ければ、ワークトップ部分などが見えにくくはなりますが、角度によってはキッチン背面の収納ペースも丸見えになります。
アイランドキッチンは、家事を行いながらダイニングやリビングにいる家族や客人とコミュニケーションを取れる場所でもあるので、特にキッチンに視線が向きやすい状況です。
手元も丸見えになり、ワークトップにモノがたくさん置かれていると散らかった印象を持たれやすくなります。常に整理整頓をしておかなければならないため、掃除が苦手な人にとっては大きなデメリットと言えるでしょう。
1-5. 小さな子どもがいると危険
アイランドキッチンは、子どもが大きくなったときに家事参加がしやすいというメリットがありますが、小さな子どもにとっては、ぐるりと回れるアイランドキッチンは格好の遊び場です。
◎小さな子どもがいることで想定されるリスク
・熱い鍋を触ってしまう
・洗剤などを誤飲してしまう
・まな板の上に置いた包丁が落ちてケガをする
・引き出しや戸棚を開けて指を挟んでしまう
・炊飯器の蒸気に触れてやけどをしてしまう
子どもがいるケースの対策については後述しますが、対策をしていても周囲を走りまわったり、好奇心から調理中の鍋を誤って触ってやけどをしたりといったケガも考えられるため、万が一の事故も想定して設置するかどうかを検討する必要があります。
1-6. 他のキッチンよりも高価格になりやすい
アイランドキッチンは、見た目に配慮した化粧材や室内空間への影響を考慮した設備を選ぶ必要があり、他のキッチンよりも本体価格が高くなりやすい傾向です。
また、ウォール(壁付)型からアイランド型にリフォーム・リノベーションする場合、配管や配線、ダクト位置の変更などにともなう工事費用も上乗せされます。
アイランドキッチンは本体、工事費用ともに高くなりやすいため、他のキッチンと比べると余裕を持った資金計画が必要です。
「デメリットがあってもアイランドキッチンにしたい!」を叶える対策方法
これまでアイランドキッチンのデメリットを紹介してきました。「思っていたのと違うな」と感じた人もいるでしょう。しかし、デメリットが分かったことで、どうすれば納得できるアイランドキッチンを採用できるかも見えてきたと思います。
ここでは、先述のデメリットに対し、どのような対策をすれば納得してアイランドキッチンを採用できるのか、その対策方法について詳しく解説していきます。
デメリットを理解した上で、「それでもアイランドキッチンにしたい!」という人は必見です。
2-1. 「部屋の汚れ・におい」におすすめの対策
キッチンは毎日使うところ。アイランドキッチンを導入することを想定した、室内インテリアや壁紙、床材などの素材、高機能の設備を採用して対策をしておくことは非常に効果的です。
アイランドキッチン周辺における部屋の汚れ・においにおすすめの対策としては、
|
以上の3つがあげられます。
◎油はねや水はねをカバーするパネルや立ち上げ、幅を設ける
フルフラットワークトップを採用した場合、油はねや水はねを防ぐパネルや立ち上げなどがなければ、アイランドキッチン周辺の床へ飛び散ってしまいます。
しかし、画像のように、コンロとシンクの奥側に幅を持たせたり、透明のパネルを設置するだけで、床へ飛び散る量を軽減することが可能です。後付けや置き型のパネルもあるので、しばらく過ごしてみて、油はねや水はねが気になると思ってから設置するのもよいでしょう。
◎高性能な換気システムを採用する
調理中に出る油を含んだ煙は、蒸気などと一緒に上へ昇り、天井を伝って広がっていきますが、しっかりと煙を吸引してくれる高性能な換気システムを導入することで、部屋へ運ばれる煙の量を最小限に抑えることが可能です。
◎機能性壁紙を採用する
LDK空間全体を新しくするフルリフォームや配管などから新しくするリノベーションをする場合、設計の段階で機能性壁紙を検討しておくのもおすすめです。
機能性壁紙というのは、防臭・抗菌効果や防カビ・撥水効果が期待できる壁紙のことです。においが気になる場合、消臭加工された壁紙を採用することで、防臭効果が期待できます。壁のふき取り掃除などを行う場合は、ふき取りやすい撥水機能のある壁紙を採用するとよいでしょう。
2-2. 「間取りの制約」がある場合におすすめの対策
アイランドキッチンは、左右に通路を設ける必要があるため、広いスペースが必要とお話ししました。このキッチンスペースの広さ問題に対しては、設計段階からアイランドキッチンをメインとした間取り、レイアウトを考えることで解決できます。
例えば、
|
以上のように、はじめからアイランドキッチンありきで暮らしや空間デザインをしておけば、採用を諦めたり、設置後に狭くて後悔したりする可能性が低くなります。
◎部屋を減らしてLDKの広さを確保する
リノベーションや大規模なリフォームをする場合、部屋数を減らしてLDK空間を広げれば間取りの制約をクリアできます。
詳しい間取りやレイアウトはこちらをチェックしてください!
▶施工事例:好きなものと暮らす、キッチンが主役の家〈東京〉 51㎡
◎シンクとコンロを分けたⅡ型(セパレートタイプ)のレイアウトを採用する
シンクとコンロが一列になったI型ではなく、シンクとコンロを分けたⅡ型を採用することで、省スペースでも間取りを変えずにアイランドキッチンが実現できます。
2-3. 「収納スペース不足」におすすめの対策
収納スペース不足も設計段階から検討することで対策可能です。
設計段階でできる対策としては、次の4つがあげられます。
|
◎アイランドキッチン背面の壁側に棚を設ける
アイランドキッチン背面の壁に収納棚を設けることで、キッチン下以外に収納スペースを確保できます。
出典:株式会社LIXIL「リシェルSI:周辺収納」
例えば、画像のように壁一面に収納棚やクローゼットを設けることで、調理器具や食器からストック用の食料品までを収納できます。
◎パントリーを設ける
災害用の備蓄や日持ちのする食品、たまにしか使わない調理器具など、収納したいものがたくさんある人や、冷蔵庫なども隠したいという人は、パントリーの設置がおすすめです。
住宅におけるパントリーとは、キッチンやキッチンに隣接した収納するスペースのこと。食品のストックを収納する食品庫としてだけでなく、食器やキッチン用品、キッチン家電の収納スペースとしても活用されている場所です。
パントリーを設けることでキッチンまわりのさまざまなモノを1か所に集約して収納できるため、アイランドキッチンのすっきりとした魅力を活かしつつ、必要な収納スペースを確保することが可能です。
◎吊戸棚を検討する
以下の画像のような吊り下げ棚もおすすめです。
全面を覆うような吊戸棚を採用すると、どうしても壁ができてしまいリビングダイニングから見たときに閉鎖的な印象になってしまいますが、画像のような吊り下げシェルフであればどうでしょう。
収納物が丸見えになるので、収納の仕方や置くもの等を選びますが、向こう側が見えるので空間を隔ててしまう心配はありません。手に届きやすい場所に収納スペースも確保できるので、パントリーの設置が難しい場合は、吊り下げ棚を検討するとよいでしょう。
詳しい間取りやレイアウトはこちらをチェックしてください!
◎調理器具や食器を減らす
設計段階での工夫が難しい場合、物理的にモノを減らすのも有効です。近年、調理器具や食器を断捨離する人が増えています。実際、クリナップ株式会社が2020年に発表した「キッチン白書2020」でも、調査を開始した2011年よりも調理器具と食器類の平均保有点数が減少しています。
出典:クリナップ株式会社「キッチン白書2020」
また、「調理器具や食器は必要最低限を心掛けている」と回答した20代の割合が、60代の約47.4%を約18ポイントも上回る66.3%となっており、世代が若くなるほどミニマム傾向が顕著に表れている状況です。
あなたはどうですか?
「いつか使うかも…」という理由で、何でもかんでもため込んでいませんか?
食器は、デザインを統一したり、汎用性の高いシンプルなデザインを選んだりすることで減らすことができます。増えやすいタッパーやお弁当箱も、重ねて収納できるタイプに変更し、必要最低限の個数だけにすることで減らせます。
収納スペース不足で悩んでいる人は、アイランドキッチンへリノベーションするタイミングに断捨離や収納しやすいアイテムへ見直しをして、調理器具や食器などのモノを減らす工夫からはじめましょう。
2-4. 「きれいな状態をキープ」におすすめの対策
アイランドキッチンを採用する場合、掃除や片づけがしやすい仕組みをはじめから作っておくことで無理なくきれいな状態を保ちやすくなります。
具体的な対策としては、次の2つです。
|
◎お手入れしやすい素材、キッチンを検討する
汚れることが初めからわかっているので、お手入れをラクにする素材やパーツを選んでおけば、掃除もラクになります。
素材によってカラーバリエーションも異なるので、部屋のインテリアやデザインによって選べる素材が限られるかもしれません。
しかし、デザインと清掃性のバランスを保つことは非常に重要です。デザインにこだわるあまりお手入れのしやすさを考えずに採用すると、掃除に時間も労力も使うことになり、将来的に後悔してしまう可能性があるからです。
毎日使うところだからこそ、ラクに掃除できる素材・パーツにも目を向けるようにしましょう。
◎発想の転換で見せる収納を採用する
きれいに保つということにおいては、アイランドキッチン周辺の収納も工夫が必要です。「2-3. 収納スペース不足」におすすめの対策」で紹介したように、壁沿いに大きな棚を設けてしまえば簡単に隠す収納ができますが、「広々とした空間を尊重したいから、できるだけ大きな棚は置きたくない」という人もいるでしょう。
そのような場合には、逆転の発想で、あえて見せる収納をしてみてはいかがでしょうか?
使用頻度の高い食器を見せる収納にすることで、食器の取り出しや片付けもしやすくなります。ただし、あれこれ並べてしまうとごちゃごちゃした印象になって逆効果です。
できるだけ形状やデザイン、テイストなどをそろえたり、並べておくだけでおしゃれに見えるデザインの食器をインテリアとして飾ったりして、まとまりのあるディスプレイを心がけましょう。
2-5. 「小さな子どもがいる」場合におすすめの対策
小さな子どもがいる家庭がアイランドキッチンを採用する場合、ハード面とソフト面の両方から対策することが大切です。
具体的には、以下のような対策があげられます。
小さな子どもがいる場合、リスク面は気になりますが、アイランドキッチンを採用することで、家族が調理している姿やお手伝いなどを通して伝えられることもあります。
長い目で見れば、あぶなっかしい時期は一瞬です。今はまだ小さくてわからない子どもも、繰り返し伝えることでわかってきます。
とはいえ、ハード面の対策をしておくことに越したことはありません。包丁を手が届かない場所にしまったり、コンロまわりを囲ったりして、万が一に備えておくと安心です。
2-6. 「コストを抑えたい」場合におすすめの対策
「1-6.他のキッチンよりも高価格になりやすい」でお話しした通り、アイランドキッチンは他よりもキッチン本体・工事費ともにコストがかかりやすい傾向があります。
ただ、コストは採用する素材やキッチン、デザイン、間取り次第です。理想と現実、メリットとデメリットを踏まえた上で、予算と照らし合わせながら、必要な機能・不要な設備、デザインなどを見直すことで、金額に見合うアイランドキッチンを実現できます。
具体的に見直したい部分は次の3つです。
|
◎モデルチェンジ可能なI型キッチンを探す
オーソドックスなウォール型キッチンのI型は、多く出回っているタイプのキッチンです。
アイランド型システムキッチンの本体は100~200万円が相場ですが、ウォール型キッチンのI型は50~90万円が相場となっており、お手ごろな価格がそろっています。
そのため、アイランドキッチンにモデルチェンジできるI型を採用すれば、コストを抑えながらメーカーのアイランドキッチンを採用することも可能です。
例えば、クリナップのシステムキッチン「ラクエラ」では、壁に面したI型キッチンが基本プランとなっていますが、フラット対面に変更できるプランも用意されています。
出典:クリナップ株式会社「rakuera(ラクエラ)」
また、ウォール型のみしか対応していないシステムキッチンでも、以下の事例のようにキッチン本体の背面に棚や壁を設けることで、アイランドキッチンとして使用できるケースもあります。
システムキッチンにしたいけれど、コストも抑えたいという場合は、画像の事例のような対応で設置できないか、相談してみることをおすすめします。
◎キッチン本体、設備を徹底的に見直し、グレードを調節する
また、メーカーのシステムキッチンを採用する場合、同じアイランドキッチンでもグレードによって価格が大きく変わってきます。グレードを下げたり、メーカーを変えるだけで予算内に抑えられることもあるので、よく比較検討することが大切です。
どの価格帯・メーカーのキッチンを選ぶべきか判断できないという人は、「KW:アイランド キッチン 価格」でメーカーのシステムキッチン価格をグレード別に詳しく紹介しているので、参考にしてください。
◎オーダーメイド+必要最低限の設備のみでコストを抑える
シンプルな素材と最低限の設備だけでよいなら、オーダーメイドのキッチンを採用することでコストを抑えられる可能性があります。
例えば、上記の事例のように、コンログリルなしのIHやリビングダイニングから見える背面と左右だけを化粧材にするという方法です。
化粧材とは、目に見える部分に使われる材質的に見栄えがする建築材料のことです。この事例では、アイランドキッチン部分に床材に合わせた化粧材を採用しています。このように、用途に合わせた状態に仕上げることで、化粧材にかかるコストを大幅にカットできます。
設備も本当に必要な機能だけを採用することで、コストを抑えることが可能です。予算的にメーカーのシステムキッチンが難しいケースは、オーダーメイドしてみてはどうでしょうか?
詳しい間取りやレイアウトはこちらをチェックしてください!
アイランドキッチンのデメリットを踏まえた上で向いている人
ここでは、これまでお話したアイランドキッチンのデメリットと、それぞれの対策方法を踏まえ、結局どういう人にアイランドキッチンが向いているのかを紹介します。
特に以上のような項目を重視している人は、アイランドキッチンのデメリットを踏まえても向いていると言えます。
3-1. 開放的かつ一体感のあるLDK空間に価値を感じている人
これまで何度も触れているように、アイランドキッチンはLDK空間が一体となる開放感が魅力です。
同じ対面式のペニンシュラ型でもLDK空間との一体を感じられますが、キッチンの一部が壁に面しているため、通路部分は調理や家事をするためだけの独立したスペースとなります。
しかし、アイランドキッチンなら本体の周囲に壁がないため、本体を含むキッチンスペースすべてがLDK空間におけるひとつのパーツとなります。他のキッチンよりもLDK空間の一体感を感じやすいため、空間を重視したい人はアイランドキッチンが向いていると言えるでしょう。
3-2. ムダのない家事動線に価値を感じている人
調理や家事をする人にとって、ムダのない家事動線は非常に重要です。
キッチンスペースが独立している場合、一方向からしかアクセスできないため、反対側へ行く場合はぐるりと回って行く必要があります。どうしてもムダな動きが増えますが、アイランドキッチンなら左右どちらにも通路があるので、常に最短ルートでアクセス可能です。
1日の中でも多くの時間を過ごす場所だからこそ、効率化を図りたいもの。そのため、ムダのない家事動線を重視している人は、アイランドキッチンが向いています。
3-3. 家族・客人とコミュニケーションを取りやすい環境に価値を感じている人
リビングダイニングと向き合う形で設置されるアイランドキッチンは、同じ空間にいる家族や客人とスムーズにコミュニケーションを取ることができます。そのため、調理や家事をしながらも、家族や客人との時間を大事に過ごしたいと考える人はアイランドキッチンが向いています。
せっかく同じ空間にいても、リビングダイニングに背を向けて立っていては、顔を見てコミュニケーションを取るのは難しいですよね。顔を見て話をしようとすると、作業を中断しなければならないため、家事効率も下がります。
また、家族や客人に「ちょっと来て」と呼ばれたとき、キッチンスペースが独立したタイプのキッチンだとスムーズに行くことができませんが、アイランドキッチンなら、立ち位置から近い通路を通ってすぐに駆け寄れるため、コミュニケーション機会を阻害しません。
みんなが気持ちよく過ごすには、円滑なコミュニケーションが必要です。アイランドキッチンであれば、対面でしっかりと向き合って意思疎通ができるため、コミュニケーションの取りやすさに魅力を感じている人はアイランドキッチンが向いています。
3-4. アイランドキッチンが与える空間の印象を重視している人
アイランドキッチンがあるLDK空間のおしゃれさやスタイリッシュさといった印象を重視している人は、デメリットを踏まえてもアイランドキッチンが向いていると言えます。なぜなら、お気に入りのデザインを実現することで、気持ちよく過ごせる空間を実現できるからです。
デザインにこだわると価格が高くなる可能性がありますが、「2-6.「コストを抑えたい場合」におすすめの対策」でも紹介したように、工夫次第でデザインとコストの両立は可能です。
LDKは、毎日家族が顔を合わせて過ごす場所。そんな空間の中央に位置するアイランドキッチンは、まさにLDKの主役です。キッチンをお気に入りのデザインにするだけで、楽しく調理や家事ができるようになり、生活の質の向上も期待できます。
3-5. こまめな掃除や片付けに抵抗がない人
アイランドキッチンは、他のキッチンよりも掃除や片付けの頻度は多い傾向なので、こまめに掃除や片付けに対して抵抗がない人は採用しても後悔する心配は少ないでしょう。
アイランド型は部屋を汚してしまう可能性があり、手元も丸見えになりやすいキッチンです。急な来客のときに「見せられない…」という状況を避けるためには、こまめに掃除や片付けをしなければなりません。
そのため、調理後すぐの掃除に抵抗がない人や、買い物から帰宅後すぐに食料品や日用品をしまえる人はアイランドキッチンが向いています。
3-6. 必要最低限のモノで暮らすミニマリスト
家には必要最低限のモノしかないというミニマリストは、アイランドキッチンが向いています。
「1-3.収納スペースが少ない」でお話しした通り、アイランドキッチンは開放感を優先するとどうしても収納スペースが不足しがちです。しかし、ミニマリストであれば、荷物が増えすぎる心配が少ないため、きれいな状態を保ちやすいことから、アイランドキッチンが向いていると言えます。
また、ミニマリストでなくても、「ストックはなくなってから購入する」「不要なものを定期的に処分している」という人も、モノの増えすぎによる混沌とした状況になりにくいため、ひとつの選択肢としてアイランドキッチンはおすすめです。
アイランドキッチン採用後に後悔しないためのチェックポイント
アイランドキッチンを採用する場合、デメリット以外にも注目したい項目があります。
ここでは、アイランドキッチンのデメリットを理解した上で、「アイランドキッチンを採用しよう」と思ったあなたに、採用後に後悔しないためのチェックポイントを3つ紹介します。
4-1. 通路幅は作業効率と家事動線を考慮して決める
アイランドキッチンをLDK空間のどの位置に配置するかで、動きやすさが変わってきます。
◎通路幅
「ダイニングテーブルをくっつけるのか、離すのか」などのレイアウトによっても変わってきますが、基本的にはアイランドキッチン本体に対して360度に通路が必要です。特に作業スペースは、複数人でキッチンを囲みたい場合、どの程度の通路幅にするかで使い勝手が大きく変わってくるため、利用シーンを想定してよく検討する必要があります。
通路幅の目安は以下の通りです。
|
快適な家事動線を考えているのであれば、あまりキッチンスペースを広く取りたくないという人も、最低90cmの通路幅は確保したいところです。
ただし、複数人でキッチンを使うことを想定している場合、通路幅90cmでは対向がしづらくなります。
株式会社リクルート住まいカンパニーが行った「クックパッドユーザーに聞いた『理想のキッチン』に関する調査」で、約6割の人が2人以上でキッチンに立って作業することがあると回答しており、当てはまる人も多いと思います。
頻度が少なくても、夫婦でキッチンに立つことが想定されるのであれば最低でも90cm、スムーズに動きたいなら120cmの通路幅を検討しましょう。
◎家事動線
通路幅を考えるとき、コンロ・シンク・冷蔵庫の3点を結んだワークトライアングルを意識することで、家事動線が楽になると言われています。
一般的なキッチンは、コンロと流し台(シンク)が横並びになっていますが、アイランドキッチンの場合、作業効率を考えてコンロと流し台を切り離したⅡ型を採用する人も多い傾向です。
Ⅱ型は、キッチンスペースに奥行きが出ますが幅が小さくなるため、限られたスペースにキッチンを収めたいというケースに非常に有効なレイアウトです。
通路幅を考える際に、調理や家事をする人にとってどういう配置がスムーズなのか、よくイメージしながら決定しましょう。また、設置スペースを検討するときは、冷蔵庫置き場所も含めて考えることで、より使い勝手のよい家事動線を実現できます。
4-2. 必要なコンセントの数と位置を検討しておく
アイランドキッチンの配置場所に合わせ、あらかじめコンセントの位置や数を検討しておくことも重要なポイントです。
◎コンセントの数
各家庭によって使っている調理家電や調理機器は異なりますが、アイランドキッチンの場合、キッチン本体に最低2か所の差し込み口があると便利です。
キッチン周りは、冷蔵庫や炊飯器、コーヒーメーカーなど、毎日のように電源を必要とする家電だけでなく、ミキサーやホットサンドメーカーなど、必要に応じて取り出して使う調理機器もありますよね。調理内容によっては、ワークトップで2つ以上の調理機器を使用することもあるでしょう。
そのときに、「ワークトップに置いて使いたいのにコンセントがない」「壁から電源を取りたいのに、必要な家電でコンセントが埋まっている」となると、不便さや使いづらさを感じてしまいます。
そのような事態を防ぐためにも、アイランドキッチン本体には2か所以上の差し込み口を設けておくようにしましょう。
◎コンセントの位置
アイランドキッチンの場合、キッチン本体の側面や背面などにコンセントを設置するのが一般的です。
メーカーのシステムキッチンによっては、キッチン手前(作業スペース側)にコンセントの差し込み口を設けることができるタイプもあります。
ただし、水まわりやコンロ周辺は、漏電やショートのリスクがあるため希望する場所に増設できないケースがあります。実際の暮らしをイメージしながら、業者の担当者とよく相談をして、配線などに支障のない使い勝手のよい位置に必要な数のコンセントを設置するようにしましょう。
4-3. 適切な高さ・サイズを採用する
アイランドキッチンに限ったことではありませんが、調理や家事のしやすさを考えると、本体の高さやサイズも考慮したキッチン選びもポイントです。
◎適切な高さ
毎日使う場所なのに自分の背丈に合っていたければ、高さに合わせた姿勢を取ったり、変に力んだりしてしまい、腰痛や肩こりの原因となります。そのため、アイランドキッチンをよく使う人を基準にした、高さを選ぶことが大切です。
メーカーの商品によっては、高さ指定を細かく設定できるタイプもありますが、一般的なシステムキッチンは、JIS規格で標準的な高さが定められています。
【JIS規格の高さ】
|
ただ、数字だけ見てもどれくらいの高さが適切なのか、わからないですよね。そのような人のために、以下に自分の身長に合う高さを求める計算式と身長別の高さの目安をまとめています。
紹介した身長別の高さは、あくまでも目安です。今使っているキッチンの高さを基準に、高いほうがいいのか低いほうがいいのかを検討しましょう。実際に高さを見てみたいというときは、メーカーのショールームでお試しください。
◎適切なサイズ
アイランドキッチンのサイズに決まりはありませんが、メーカーのシステムキッチンを採用する場合、約180~270cmが主流となっています。このサイズは、コンロからシンクまでが横一列に並んだアイランドキッチンの間口サイズ(コンロ・作業台・シンクの幅を合わせた合計)です。
奥行きは、約75~100cmが目安です。ウォール型は60~65cmが多いため、アイランド型のワークトップはウォール型よりも、約15~35cmほど広くなっています。
油はねや水はねを考慮すると80cm以上の奥行きはほしいところです。
アイランドキッチンのデメリットを解消するレイアウト事例5選
最後に、実際の事例を示しながら、アイランドキッチンのデメリットを軽減するレイアウトを見ていきましょう。
各事例を参考にすることで、あなたの暮らしに採用したいアイランドキッチンを具現化できるはずです。
5-1. シンク・コンロ横や奥行に幅を持たせて部屋の汚れを軽減
白を基調とした清潔感あふれるキッチン。キッチンカウンターやコンロ横に幅を持たせる油はね・水はねによる床の汚れを軽減しています。余裕を持った幅が、調理中の子どものケガなどのリスクの軽減にも貢献していますね。
また、コンロ奥には油はねをガードするパネル設置。透明パネルを採用することで、フルフラットのアイランドキッチンのよさを損ねることなく、デメリットをカバーしています。
ダイニングテーブルはアイランドキッチンに隣接するように配置。コンロから一番離れた位置にすることで、子どもがコンロへ近づきにくい動線にしているところもとても参考になりますね。
詳しい間取りやレイアウトはこちらをチェックしてください!
5-2. シンプルな吊り下げ棚で収納スペースを確保
こちらの事例は、コンロを壁側に、シンクのみをアイランド型にしているⅡ型のアイランドキッチンです。
キャビネットをキッチンの高さに合わせることで、部屋の圧迫感を回避。アイランド型の上には、シンプルかつクリアな吊り下げ棚を設置し、アイランドキッチン特有の開放感を活かしながら収納スペースを確保しています。
詳しい間取りやレイアウトはこちらをチェックしてください!
5-3. 手元を隠す立ち上げでリビングダイニングからの視線と部屋の汚れを軽減
油はねや水はねを防ぐ立ち上がりを採用している事例です。
立ち上がりを設けることで、リビングダイニングからの気になる視線もシャットアウト。生活感の出やすい手元を隠す効果もあります。
また、汚れやすい立ち上がり部分をタイルにすることで、おしゃれさとお手入れのしやすさの両方を実現。立ち上がりの高さやコンセントの位置なども参考になりますね。
詳しい間取りやレイアウトはこちらをチェックしてください!
5-4. 部屋と部屋をつなぐ通路をキッチンにして間取りの制約をクリア
こちらの事例は、キッチンを挟んで左右にリビングがある事例です。
2つのリビングをつなぐ廊下的なスペースにアイランドキッチンを配置することでリビングの広さを確保。うまく間取りの制約をクリアしています。
また、広いワークトップを採用することで、子どもに対するリスクも軽減。小さな子ども+間取りに制約があり、アイランドキッチンのレイアウトに悩んでいるという人はぜひ参考にしてみてください。
詳しい間取りやレイアウトはこちらをチェックしてください!
5-5. 見せる収納を採用し、コストと煙の広がりを軽減するオーダーメイドのⅡ型キッチン
参考にしたいポイントが満載の、複数のデメリットをカバーしている事例です。
◎レイアウト
まず注目いただきたいのが、コンロを壁側に配置したⅡ型アイランドキッチンというところ。コンロ部分は2面が壁に面しており、油はねだけでなくにおいも広がりにくいレイアウトになっています。
◎コスト
アイランドキッチン部分は、システムキッチンではなくオーダーメイドのキッチンを採用することでコストをカット。より使い勝手のよいキッチンに仕立てています。
◎収納
また、キッチンスペースに面した壁全面には収納棚を設置。規則性のある見せる収納にすることでおしゃれさをプラスしていますね。アイランドキッチンの上にも圧迫感の少ない吊り下げ棚を採用し、収納スペースを確保しているところも真似したいポイントです。
詳しい間取りやレイアウトはこちらをチェックしてください!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
アイランドキッチンは魅力的ですが、壁から独立しているがゆえに、他のキッチンにはないデメリットが多く見られます。納得したうえでアイランドキッチンを採用し、後で後悔しないためには、デメリットから目を背けるのではなく、しっかりとデメリットと向き合い、キッチンを使う人や家族が快適に暮らせる形を模索して行くことが大切です。
そこで、最後にもう一度アイランドキッチンを採用した場合のデメリットとその対策方法、どういう人が向いているのかをおさらいしていきましょう。
◎アイランドキッチンを採用することで想定されるデメリットは、以下の6つです。
◎それぞれの対策方法は、次の通りです。
◎アイランドキッチンのデメリットを踏まえた上で向いている人
本記事を参考にして、アイランドキッチンのデメリットについて深く理解し、それぞれに応じた対策をしたアイランドキッチンを採用すれば、きっと「アイランドキッチンにしてよかった」と思えるはずです。
憧れのアイランドキッチンをベストな形で実現できることを願っております。