アイランドキッチンの収納量|全体像と他のキッチンとの違いを解説
「アイランドキッチンの収納ってどうなの?」
「憧れのアイランドキッチンにしたいけど、収納足りるかな…」
アイランドキッチンにするかどうか決めるのに、収納で悩んでいませんか?
アイランドキッチンは一般的に他のキッチンに比べると収納力が低めなのが気がかりです。今までのキッチンで収納できていたものが、本当に収まり切るのか不安になってしまいますね。
アイランドキッチンの収納は、どの収納にどれだけのものが入るのか把握できれば、ちょうど良いアイランドキッチンのサイズを知ることができます。
そこで、アイランドキッチンの収納量について、順を追って解説していきますね。
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アイランドキッチンの収納がネックになってあと一歩踏み出せないという方は、まずはこの記事を読んでみてください。アイランドキッチンの収納について具体的に考えることができるようになりますよ。
アイランドキッチンの収納の全体像
アイランドキッチンの収納の全体像は、基本的にコンロ下収納、作業台下収納、シンク下収納の3つから構成されています。
アイランドキッチンの前面に収納があるタイプもありますが、ここでは基本的な収納量を知るために、手前の収納だけがあるアイランドキッチンと考えて話を進めますね。
まずは、アイランドキッチンのサイズと、収納するものに分けて考えてみましょう。
1-1. アイランドキッチンのサイズ
アイランドキッチンのサイズは、一般的に間口(横幅)が180〜300cm、奥行きが75〜100cmです。
それぞれの収納の大きさの比率は、一般的なアイランドキッチン(間口255cm)の例ではこのような割合になっています。
各メーカーでは、それぞれの収納サイズに幅をもたせ、使い方に応じてセミカスタマイズできるようになっています。
1-2. 収納するものとそれぞれが収まる場所
次に中身ですが、収納するものと、ものが収まるべき場所がありますね。「ものと場所」も細かく分けて考えてみましょう。
1-2-1. 収納するもの
それぞれの中に収納するものは、一般的には以下のようなものです。
外食が多い家庭や赤ちゃんがいる家庭など、ライフスタイルや家族の構成によって多少異なりますが、一般的に上記のようなものがキッチンに収まることになります。
1-2-2. 収納する場所
上記を踏まえて考えた時、それぞれの収納場所には以下のような物が収まります。
コンロの下の収納には火まわりで使うもの、シンク下の収納には水まわりで使うものを収納するのが一般的です。作業台下の収納には、コンロ下にもシンク下にも当てはまらないけれど調理で使うものが収納されます。
収納量はその家に住んでいる人数に左右されます。包丁やボールなどは人数が増えてもさほど変わりませんが、ストック食材や保存容器などは人数が増えれば多少多くなるでしょう。
小さい子どもがいる場合は、将来食器やお弁当グッズなども増えますね。ストック食材などはライフスタイルによって各家庭で異なるでしょう。
また、一般的なサイズのアイランドキッチンでは食器まで収納するのは難しいです。
ただし、1〜2人暮らしで鍋や食器が少なければ、食器も作業台下のスペースにしまえます。しかし、ほとんどの場合、炊飯器の置き場に困るので、他にカップボードが必要になります
(炊飯器をアイランドキッチン内にしまうことに抵抗がなければ、1〜2人家族であればアイランドキッチンにすべて収納することも可能です)。
カップボードとは 中段に炊飯器などの家電が置けるスペースが設けてある食器棚のことです。壁面を利用し、高さが低めの収納棚と吊り棚がセットになっている場合もあります。 |
さらに、カップボードだけで足りない場合は別に食器棚も必要です。
1-2-3. 人数に応じた食器の量
人数によって数が左右されるのは、主に食器類です。
最低限必要な食器の数を「コップ、カップ、茶碗、お椀、皿3枚」とし、これに人数をかけると、収納する食器の量は以下のようになります。
住まう人数 | 収納する食器の数 |
2人 | コップ2、カップ2、茶碗2、お椀2、皿6 |
4人 | コップ4、カップ4、茶碗4、お椀4、皿12 |
6人 | コップ6、カップ6、茶碗6、お椀6、皿18 |
当然のことながら、人数と食器の数は比例して増えていきます。
カップなどの収まりにくい深い食器は、あまり多くは重ねられませんね。スタックできるガラスのコップも、重ねるとしても2つくらいまでなので、増えればそれだけスペースを取ります。
お茶碗とお椀も、少人数であればひとまとめに重ねることができますが、人数が多くなるとお茶碗とお椀を別々に重ねるので、スペースが倍必要になってきます。
1〜2人分の食器を収納するスペースを1とすると、3〜4人では1.5倍、5〜6人では3倍必要になると考えましょう。
1-3. アイランドキッチンのサイズとアイランドキッチン以外の収納の要・不要
今までのことを踏まえて、アイランドキッチンのサイズごとの収納量について考えてみましょう。
アイランドキッチンの奥行きはカウンターの面積の違いで収納のサイズには影響しません。考えるのは基本的に間口のサイズとなります。
わかりやすくするために、ここではアイランドキッチンのサイズを小(間口180cm)・中(間口250cm)・大(間口300cm〜)としましょう。
炊飯器をアイランドキッチンの外に収納することとし、先述した食器の数と合わせて考えます。
先ほどカップボードや食器棚の話をしましたが、下記は住まう人数とアイランドキッチン以外の収納家具の要・不要を示したものです。
標準サイズのアイランドキッチンで考えた場合、1〜2人分の食器はカップボードだけで十分収まります。
3〜4人の家族では先程述べたように食器の量が1.5倍になるので、アイランドキッチンとカップボードの他に食器棚が必要になります。
4〜5人の家族では食器の量は最低でもコップ6、カップ6、茶碗6、お椀6、皿18と1〜2人分の3倍になります。それだけの量を収納するには、200cm✕100cmくらいの大きなカップボードと食器棚がそれぞれ必要となります。
お手持ちの食器の数が多ければ、食器棚が2本必要というご家庭もあるでしょう。
カップボードのサイズも、背丈が腰くらいまでのものから天井あたりまでの大きなものまで様々。幅も68cm程度のものから90cm以上のものまであるので、必要に応じてサイズを決めましょう。カップボード内に余裕があれば、ストック食材などを多めに収納できるので便利ですよ。
アイランドキッチンは他のキッチンと比べて収納が少ない
アイランドキッチンの収納の全体像をご覧いただきましたが、他のキッチンと比べてどのくらい違うのかも知りたいですよね。
現在お使いのキッチンの収納量と比較できるように、他のタイプのキッチンとアイランドキッチンの収納力を比較しましたので、違いを見ていきましょう。
2-1. Ⅰ型タイプのキッチンとの比較
Ⅰ型タイプは、長方形で背中が壁についた従来のキッチンです。ほとんどの場合、扉付きの大きな吊り棚がついていて、シンク下とコンロ下にも収納があります。収納量はキッチンの長さに比例し、大きければ大きいほど吊り棚やシンク・コンロ下の収納も大きくなります。
キッチン自体の収納には最小限のキッチン道具やちょっとしたストック食材などを収納できますが、家族4人程度の食器を収納するのは難しく、他に食器棚を置く場合が多いです。
アイランドキッチンの場合も、部屋の中央あたりに設置するなら他に食器棚などの収納があると困りません。
アイランドキッチンとの収納力の差は、吊り棚です。もしアイランドキッチンに吊り棚があるとしても、多くはシェルフ型の見せる収納。
見た目を考えても、細々としたものやたくさんのものを収納するのは難しいですね。それに比べてⅠ型タイプのキッチンの吊り棚は扉で隠すことができるので、どんなものでも収納することができます。
2-2. Ⅱ型タイプのキッチンとの比較
Ⅱ型タイプは前後2つに分かれているキッチンです。どちらか片方、あるいは両方が壁についていて、シンク下とコンロ下、吊り棚の収納があります。
つまり、単純計算でもⅠ型のキッチンの2倍近くの収納力があることになりますね。Ⅱ型タイプのキッチンは収納力があるので、食器棚がなくても2〜4人家族の食器まで十分に収納することが可能です。
アイランドキッチンをⅡ型タイプにして調理台を2つに分け、片方に吊り棚や壁面収納を設置することもあります。
ただ、アイランドキッチン側は吊り棚分の収納が少なくなるので、独立した部屋になっているⅡ型タイプのキッチンに比べると収納力はやや劣ります。
2-3. L型タイプのキッチンとの比較
L型タイプは連続した2つの壁面に接してL字型に設置されているキッチンです。L型タイプは背面が壁についていることが多く、その形を利用してたくさんの吊り棚や壁面収納を設置することができます。
収納力はⅡ型タイプに準じる量があり、調理台の上すべてに大きな吊り棚があれば4人家族分程度の食器まで収納することが可能です。アイランドキッチンと比べても収納力の差は一目瞭然です。
2-4. U型タイプのキッチンとの比較
L型キッチンよりもさらに収納力が高いのが、U字型のキッチンです。
3面の壁すべてをぐるりと囲むコの字形のキッチンになるので、収納力はⅠ型の3倍になります。アイランドキッチンを含めたすべてのキッチンの中で、一番収納力があるといえます。
2-5. ペニンシュラキッチンとの比較
ペニンシュラキッチンは、片側の端だけ壁についているタイプのオープンキッチンです。アイランドキッチンの一方の端が壁についていると言うと分かりやすいでしょう。
LDKの中央付近にあり背面の壁から離れている場合には、収納力はアイランドキッチンとほぼ同じです。
ペニンシュラキッチンの大きさにもよりますが、アイランドキッチンと同じで、ほとんどの場合で食器棚など他の収納が必要になります。
アイランドキッチンの収納で押さえておきたいポイント4つ
アイランドキッチンの収納について、だいぶ頭の中が整理されてきたのではないでしょうか。ここで、すべてのアイランドキッチンの収納に共通する4つのポイントをご紹介します。
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これさえ押さえておけば、収納の少ないアイランドキッチンでも片付づけやすくなりますよ。ひとつずつ詳しく説明していきますね。
3-1. 見せる収納と隠す収納を決める
アイランドキッチンのメリットである開放感は、天板にゴチャゴチャと物がなくフラットだからこそ。生活感のある物が目につくと、オシャレ感が損なわれてしまいます。できるだけ、物は内部に収納しておきたいですね。
ただし、よほど大きなアイランドキッチンでもない限り、すべてを内側に収納するのは不可能です。
そういう場合は、見せる収納を積極的に活用しましょう。見せる収納と隠す収納を使い分けることで、食器やフライパンなどを飾りながらも見た目がスッキリとしたアイランドキッチンにすることが可能です。
例えば、色や素材を揃えれば統一感が出てゴチャゴチャした感じになりません。上の写真の例では、木とステンレスで統一し、さらには色使いを少なくすることでスッキリとした印象しています。
お玉やフライ返しなどのツール類も、色を黒で揃えると腰壁から出ていてもうるさくありません。
おしゃれなまな板やカットボードはあえて見せる収納にするとカッコいいですよ。調味料入れも同じケースで揃えるようにすれば、アイランドキッチンの上に出していてもインテリアの一部のようにおしゃれに見えますね。
他にも、かさばるかご類はまとめて重ねてみる、グラス類を並べてみる。ちょっとした工夫で、ショップのディスプレイのような雰囲気になりますよ。
3-2. 収納する物を減らす
収納力が少ないのであれば、必要最低限のものだけを収納することを意識するのも大切です。物が多いと感じたら、一度すべて出して要るものと要らないものを分けて断捨離しましょう。意外と不要なものをずっとしまいこんでいる場合もありますよ。
食器や鍋も、できれば重ねて収納できる形のものを揃えましょう。コンパクトな収納を徹底すればスペースの節約にもなり、空間に余裕ができてしまいやすくなりますよ。
3-3. 動線を考える
キッチンにはワークトライアングルという動線を表す言葉があります。ワークトライアングルとは、冷蔵庫、シンク、コンロを結ぶ三角形のこと。結んだ線が正三角形に近いほど、作業効率がいいと言われています。
ワークトライアングルを考えて収納すると、より作業効率がアップします。シンク近くの収納には水回りで使うものを、コンロ周りで使うものは火回りで使うものを収納し、冷蔵庫の位置も可能であれば調理中に使いやすい場所に移動すると作業しやすい動線を確保できますよ。
3-4.収納計画は2Wを意識する
アイランドキッチンの収納計画を立てる時は、2Wを意識するのがおすすめです。2Wとは「what(何を)、where(どこに)」しまうかということ。
① What:何を収納するのかリストアップしてみる
何を収納するのか、まずは現在ある調理道具や食器をすべてリストアップしてみましょう。少し大変な作業ですが、一度書き出してみると何がどれだけあるのか把握できます。
② Where:どこにしまうかを計画する
次に、リストアップしたものをどこにしまうのかを考えます。これは先程ご紹介したように、水回り、火回りなどに分けます。
いきなり収納を始めるのではなく、まずは収納するものを先に分類して収納計画を立てると、スムーズに収納できますよ。
リノベーションなら造作アイランドキッチンで収納力をアップできる
もしもこれからリノベーションの予定があるのなら、造作アイランドキッチンにして収納力を増やすことも可能です。
”造作”とは、施工会社などが独自に作り付けの家具などを作ること。造作アイランドキッチンなら、理想の収納力を手に入れることができます。元々のメーカーのアイランドキッチンに、収納棚やカウンターなどをつけ足すことも可能ですよ。
wood frame〈東京都〉70㎡
吊り棚、背面収納、アイランドキッチンすべてを造作した例です。収納はアイランドキッチンの調理台下と、コーナーを利用したコンロ下から続くL字の壁面の下半分。スッキリしているのに収納力を多く確保でき、使い勝手も良いアイランドキッチンになりました。
バーカウンターで至福のひと時を〈東京都〉76㎡
こちらはBAR仕様にしつらえたアイランドキッチンです。お酒が飲めるカウンターをつけ、アイランドキッチンの前面にもお酒専用の収納棚を作りました。
住まう人の趣味やライフスタイルに合わせてアイランドキッチンの収納を作れるのも、造作アイランドキッチンの醍醐味です。
まとめ
アイランドキッチンの収納は、必要な収容量が把握できれば、自分にピッタリのアイランドキッチンを選ぶことができます。
収納するものと収まる場所は、以下のとおりです。
必要最低限の食器は「コップ、カップ、茶碗、お椀、皿3枚」で、これに人数をかけていくと分かりやすいです。
炊飯器や電子レンジなどをカップボードに置くと考えた場合、アイランドキッチンの他にもキッチン収納が必要です。
アイランドキッチンのサイズは間口の大きさを基準に考えましょう。
収納を上手にするポイントは以下の4つ。
- 見せる収納と隠す収納を決める
- 収納する物を減らす
- 動線を考える
- アイランドキッチンの収納計画は2W(どこに、なにを)
これを機に、本当に必要なものだけ残して思い切って処分してはいかがでしょうか。きっと、アイランドキッチンの収納を有効に使うことができますよ。