住宅ローンは何歳まで?70歳からでも組める?年齢制限と無理のない借り方

住宅ローンは「何歳まで組めるのか?」という不安は、40代以降の方から特によく聞かれる相談です。
結論からいうと、現在の一般的な住宅ローンでは以下の条件を採用している金融機関が多くなっています。
- 借入時年齢:おおむね 65〜70歳未満
- 完済時年齢:80歳未満(または80歳まで)
つまり、昔のように「完済は70歳まで」と一律に決まっているわけではありません。ただし、「制度上借りられる」ことと「老後まで無理なく返し切れる」ことは別の問題です。
この記事では、住宅ローンの年齢制限の考え方と、40〜50代・70歳前後で住宅ローンを検討する際に押さえておきたいポイント、老後資金とのバランスの考え方について、整理して解説します。

ファイナンシャルプランナー
茂木 禄人
株式会社Mapフィナンシャル において、独立系アドバイザーとして活動。詳細プロフィールはこちら
住宅ローンは何歳まで組める?【基本の考え方】
住宅ローンの年齢条件は金融機関によって異なりますが、一般的には次のような枠が設けられています。
- 借入時の年齢:満20歳以上、65〜70歳未満
- 完済時の年齢:80歳未満(または80歳まで)
以前は、借入時の上限年齢が65歳前後、完済時の上限年齢が70歳前後に設定されているケースが一般的でした。
現在は、借入時年齢を70歳未満、完済時年齢を80歳未満(または80歳まで)とする住宅ローンも増えており、年齢条件は昔と比べて緩和されています。
その結果、40代後半や50代での借入でも、完済時年齢80歳未満(または80歳まで)の範囲であれば、一定の返済期間を確保しやすくなりました。
一方で、「上限いっぱいまで期間を伸ばせるから安心」というわけではなく、自分の働き方や老後資金とのバランスを前提に「何歳までに返したいか」を考えることが大切です。
住宅ローンが「きつい」と言われる理由
「70歳まで住宅ローンはきつい」といった声を耳にすることがありますが、その背景には次のような要因があります。
- 定年退職によって、60歳前後で収入が一度大きく落ちる
- 公的年金の受給開始は原則65歳からで、60〜65歳の5年間が空白になりやすい
- 年齢が上がるほど、医療費や介護費など、将来増えやすい支出も意識せざるを得ない
たとえば、60歳以降も毎月10万円前後の住宅ローン返済が続く場合、年金だけで対応するのは簡単ではありません。
このため、年齢が高くなるほど、「借りられるか」よりも「老後まで含めて返し切れるか」がより重要なテーマになっていきます。
40〜50代で住宅ローンを組むときのポイント
40〜50代で住宅ローンを組むときのポイントとともに注意点をご紹介します。
40代で住宅ローンを組む場合
40代で住宅ローンを検討する人が気にしがちなのは、「完済年齢」と「教育費ピーク」が重ならないか、という点です。
完済年齢の上限が80歳未満(または80歳まで)であれば、40歳であれば理論上は35年ローンを組むこともできます。
例えば、40歳で住宅ローンを借りた場合の完済年齢は次のようになります。
- 30年ローン:70歳で完済
- 35年ローン:75歳で完済
数字だけを見ると、「70歳完済」「75歳完済」のどちらも選べるので、月々の返済額を抑えるために35年ローンを選びたくなるかもしれません。
ただ、60歳前後で一度収入が落ちることを考えると、「何歳まで働くつもりか」「老後資金をどの程度残したいか」を軸に、現実的な完済年齢を決めておくことが重要です。
40代で住宅ローンを組むときに意識したいポイントは次の3つです。
- できれば65〜70歳までに完済できる返済期間にする
- 子どもの高校・大学進学時期と、返済額のピークを重ねすぎない
- 「借入可能額」ではなく「無理なく返せる額」から住宅予算を逆算する
40歳で65歳完済を目指すなら、25年ローンを組むことになります。
月々の返済額は一時的に重くなりますが、そのぶん物件価格を抑えたり、頭金を増やしたりして「老後にしわ寄せがいかないライン」に収めるのが現実的な選択肢です。
45歳以上で住宅ローンを組む場合の注意点
45歳を超えてから住宅ローンを検討する場合は、完済年齢の上限がより現実的な制約になってきます。
例えば、借入時年齢が45歳だとすると、完済年齢はおおよそ次のようになります。
- 30年ローン:75歳で完済
- 35年ローン:80歳で完済(完済年齢の上限ギリギリに近いイメージ)
このため、45歳以上で住宅ローンを組む場合は、20〜25年程度の短めの期間でローンを組むことになるケースも多く、月々の返済額が高くなりやすい点に注意が必要です。
もう一つ重要なのが、団体信用生命保険(団信)の存在です。
団信は住宅ローンの債務者が死亡した場合などに、住宅ローンの残債を肩代わりしてくれる保険で、ほとんどの銀行が住宅ローン利用の条件としています。
ただし、団信には「健康状態によっては加入できない」場合があります。45歳を過ぎると、持病や健康状態の変化によって団信に加入できない、あるいは条件付きになるケースも増えてきます。
その意味では、「住宅ローンは健康なうちに検討する」というのは、今でも非常に重要なポイントです。特に40代後半〜50代前半で住宅ローンを検討している人は、「いまの健康状態でどの程度の保障が確保できるか」も含めて、早めに情報収集しておくことをおすすめします。
50代で住宅ローンを組む場合
50代で新たに住宅ローンを組む場合、完済年齢80歳未満(または80歳まで)という上限を意識せざるを得ません。
返済期間を長く取れないぶん、月々の返済額が高くなりやすく、老後資金とのバランスはよりシビアになります。
50代で意識したいポイントは次の通りです。
- 返済期間は15〜25年程度になるケースが多く、返済額が高くなりやすい
- 退職金や貯蓄を見込みながら、「退職時点の残債」をどこまで許容できるか決めておく
- 老後の生活費と年金収入を前提に、「65歳以降も続く返済額」を試算しておく
最近は40年・50年といった超長期ローンも増えていますが、完済年齢が80歳前後になり、老後の家計や資産形成への影響も大きくなります。
期間を伸ばして月々の返済額を抑える方法は、「老後資金や投資とのバランスを含めたうえで慎重に使うオプション」と考えるのが現実的です。
とにかく今の返済を軽くするために超長期ローンを選ぶのではなく、
- 何歳まで働くつもりか
- どのくらい老後資金を残したいか
- 退職時点でどこまで残債を許容できるか
といった軸から、期間と借入額を一緒に考えると安心です。
「75歳まで住宅ローン」は本当?70歳以降で気をつけたいポイント
70歳からでも住宅ローンは組める?
インターネットや雑誌などで「70歳からでも住宅ローンが組める」「75歳まで住宅ローンが組める」といった情報を目にすることがあります。
この表現だけを見ると、「75歳からでも新しく住宅ローンを組める」と誤解しそうになりますが、実際にはもう少し整理が必要です。
一般的な銀行の住宅ローンでは、おおむね次のような年齢条件が設けられています。
- 借入時年齢:65〜70歳未満
- 完済時年齢:80歳未満(または80歳まで)
この条件の範囲内であれば、60〜70歳前後で住宅ローンを利用できる可能性があります。ただし、借入期間を長く取りづらくなる分、月々の返済額が高くなりやすいことには注意が必要です。
「75歳まで住宅ローン」という表現の意味
「75歳まで住宅ローン」という言い方は、多くの場合、次のようなケースをまとめて指しています。
- 60〜70歳前後で借りて、「完済80歳未満(または80歳まで)」の範囲で返済し続けるケース
- フラット35の親子リレーや、リバースモーゲージ型ローンなど、通常と仕組みの異なる商品を利用するケース
つまり、「75歳から誰でも新規に一般の住宅ローンを組める」という意味ではなく、
- 返済が75歳ごろまで続く
- 特殊なローン商品を使う
といった状況を含めて「75歳まで住宅ローン」と表現していることが多い、というのが実態に近いイメージです。
70歳前後で検討するときの具体的な注意点
70歳前後で住宅ローン(またはそれに近い商品)を検討する場合は、次のポイントを整理しておくことが大切です。
- 自分の年齢で、一般的な住宅ローンの審査に通る可能性があるのか
- 「完済80歳未満(または80歳まで)」の範囲内で、現実的に組める返済期間は何年くらいか
- 一般的な住宅ローンが難しい場合、フラット35の親子リレーやリバースモーゲージなど、どんな選択肢があるのか
あわせて、次のようなリスクや条件も踏まえる必要があります。
- 借入期間が短くなるため、毎月の返済額が高くなりやすい
- 団信に加入できない、または条件が厳しくなる可能性がある
- 年金などの安定収入と、手元資産のバランスを前提に審査される
- リバースモーゲージ型の場合、「相続時に自宅を手放す」前提の商品もある
70歳前後で住宅ローンを検討するときは、「組めるかどうか」だけでなく、「老後の生活と相続を含めて納得できるかどうか」を軸に判断することが重要です。
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返済負担率はいくらまでが無理なく返せる目安?
住宅ローンを検討するときに、年齢とセットで押さえておきたいのが「返済負担率(返済比率)」です。
返済負担率は「年収に占める年間返済額の割合」を示し、一般的には 20〜25%以内が無理のない目安とされています。
金融機関の審査上は30%前後まで認められるケースもありますが、実際の家計を考えると、
- 返済負担率 20%前後:かなり余裕がある水準
- 返済負担率 25%前後:多くの家庭が「ちょうどよい」と感じやすい水準
- 返済負担率 30%以上:家計への負担感が出やすい水準
といったイメージで捉えておくとよいでしょう。
返済負担率25%で考えたときの、年収別の年間返済額の目安は次の通りです。
- 年収400万円:年間100万円(月約8万3千円)
- 年収500万円:年間125万円(月約10万4千円)
- 年収600万円:年間150万円(月約12万5千円)
- 年収800万円:年間200万円(月約16万6千円)
実際には、以下の条件によって「心地よい返済比率」は変わります。
- 共働きかどうか
- 子どもの人数や進学方針
- 車の有無、趣味・旅行などの支出
「銀行が貸してくれる上限」ではなく、「自分たちがストレスなく払える金額」をベースに住宅予算を決めることも重要です。
老後資金と住宅ローンのバランスの考え方
住宅ローンを考えるうえで避けて通れないのが、「老後資金」とのバランスです。
各種調査では、夫婦2人の老後の生活費は、平均で月20万円台後半〜30万円前後、ゆとりある生活を望む場合は月30万円台後半が必要とされています。
老後資金を取り崩し始める年齢としては「65歳前後」がもっとも多く、次いで「70歳」という回答も一定数あります。このタイミングで、まだ毎月10万円前後の住宅ローンが残っていると、生活費との両立が難しくなるリスクがあります。
老後資金とのバランスを考えたとき、理想形は次のどちらかです。
- 退職時点で住宅ローンを完済している
- 退職金や金融資産で、いつでも残債を一括返済できる状態になっている
現実には、
- 退職時に残債が1,000〜2,000万円ほど残る
- 年金や貯蓄の取り崩しと並行しながら、70代前半まで返済を続ける
といったケースも少なくありませんが、その場合でも
- 返済負担率をできるだけ低く抑えておく
- 老後の生活費と医療費・介護費を保守的に見積もる
- 働き方(再雇用・パート・フリーランス)も含めてシミュレーションしておく
といった準備が重要になります。
「老後はなんとかなる」前提で最大限のローンを組むのではなく、「老後資金を減らしすぎないライン」を先に決め、その範囲内で住宅予算を調整していくことが大切です。
住宅ローンの年齢に関するよくある質問
- 住宅ローンは何歳まで組めますか?
-
一般的な住宅ローンでは、借入時年齢はおおむね65〜70歳未満、完済時年齢は80歳未満(または80歳まで)としている金融機関が多いです。
- 40代で35年ローンを組んでも大丈夫でしょうか?
-
40歳で35年ローンを組むと完済は75歳前後になります。定年後の収入や老後資金とのバランスを考えると、65〜70歳完済を目安に期間や借入額を調整するのがおすすめです。
- 50代からでも住宅ローンは組めますか?
-
条件次第で利用できる場合もありますが、返済期間が短くなり月々の返済額が重くなりやすいです。退職時の残債や老後資金を含めたライフプランの確認が欠かせません。
- 「75歳まで住宅ローンが組める」というのは本当ですか?
-
多くの場合、60〜70歳前後で借りて完済が75歳ごろになるケースや、親子リレー・リバースモーゲージなど特殊なローンを含めた表現です。誰でも75歳から新規で借りられる、という意味ではありません。
- 無理のない住宅ローンの返済額はどう決めればいいですか?
-
返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)を20〜25%以内に抑えるのが一つの目安です。そのうえで、教育費や老後資金も確保できる範囲で住宅予算を決めることが大切です。
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まとめ|住宅ローンは「年齢」と「老後」から逆算する
今の住宅ローンは、年齢制限が昔より緩やかになり、40代半ば以降でも長期ローンを組めるケースが増えています。だからこそ、定年退職後や老後まで含めて、どのように返し切るのかをあらかじめ考えておくことが欠かせません。
多くの人は、教育資金の確保に気を配りながら、同時に老後資金も準備していく必要があります。住宅の予算は、その両方を見越したうえで決めるのが現実的です。絶対に避けたいのは、「最初から無理をすることを前提にした住宅ローン」を組んでしまうことです。
40代や50代で住宅ローンを借りるときは、30代で借りる場合以上に、慎重で綿密なライフプランが求められます。何歳まで働くのか、老後にどのくらいのお金が必要なのかを整理したうえで、「自分たちにとって無理のないライン」を見つけていきましょう。





