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建具がおしゃれなリノベーション事例10選!費用やポイントを解説

「部屋のドアをリノベーションして雰囲気を変えたい」
「リノベーションでおしゃれな建具にしたいけれどどのようにすればいい?」

ドアや扉などのいわゆる建具は、部屋の雰囲気を大きく左右するもの。建具リノベーションでおしゃれな部屋に生まれ変わらせたいですよね。どんなデザインのドアにしようかと考えるだけでワクワクします。

しかし、見た目がおしゃれというだけで建具を選ぶのはおすすめできません。なぜなら、建具には用途別の種類があり、機能や性質が異なるからです。建具の種類は主に以下の4つです。

建具をリノベーションする際に種類ごとの特徴やメリット・デメリットなどを知っておくと、後で後悔するといった失敗を避けることができます。

そこで、本記事では以下のようなことをお伝えします。

▼この記事で分かること
◎種類別の建具のリノベーション例
◎建具リノベーションにかかる費用
◎建具リノベーションをする際のポイント
◎思い切って建具をなくすのもアリ

最後まで読めば、どんなふうにオーダーすれば希望通りの建具リノベーションが叶うかが分かります。理想の建具リノベーションを成功させるためにも、どうぞこの先を読み進めてください。

目次

リノベーションできる建具は4種類【事例つき】

冒頭でもお伝えしたように、建具には以下の4種類があります。

開き戸や引き戸は日本家屋ではよく見る形体の建具です。折れ戸はマンション住まいの方ならクローゼットなどに使われるのでおなじみでしょう。バーンドアは海外で人気があり、最近では日本でも取り入れられるようになってきました。

扉は単にデザインだけでなく、つける場所の用途に応じて考えるのがおすすめです。加えて、開き戸から引き戸に変更する際などには、間口のサイズも変更が必要になってくるため、注意が必要です。

そこで、以下では種類別に開き方や機能などについて、リノベーション事例やメリット・デメリットを挙げながら詳しく説明します。

1-1. 開き戸のリノベーション事例

開き戸とは、ドアの中でも一番スタンダードな形の扉です。枠の左右どちらかに蝶番(ちょうつがい)がついており、もう片方に握るタイプあるいは押し下げるタイプの取っ手がついています。取っ手を回して押す(または引く)とドアが開きます。

通常、洋室の部屋に設置される開き戸は片開きがほとんどです。

従来のドアは板のみですが、最近では天井まであるドアやガラスをはめ込んだドアなど、おしゃれな建具が人気です。

このように、開き戸にも様々なタイプや色柄があり、選択肢がたくさんあります。

1-1-1. 開き戸のメリット・デメリット

開き戸のメリット・デメリットは、以下の通りです。

ひとつずつ説明します。

■開き戸のメリット

メリットとしては、扉の種類の中では気密性が高いことです。風や音を遮断できるため、リビングや勉強部屋などの扉に向いています。取っ手も規格さえ合っていれば、アンティークな取っ手にするなど自分好みのものに取り替えることもできます。

■開き戸のデメリット

一方デメリットは、引き戸などに比べてドアを開閉する際に前後のスペースがいるということです。ドアを設置する場所が狭いところなどには向いていません。例えば、狭い通路を挟んで部屋があり、出入り口が向かい合っているような場合はお互いの開き戸を内開きにするなどの工夫が必要です。

1-2. 引き戸をリノベーションした事例

引き戸とは、ふすまや障子などのように左右に扉をスライドさせて開けるタイプの扉です。日本に昔からある扉ですが、近年では出っ張った取っ手を付ける必要がないのがスペースレスでスタイリッシュだということで、海外でも人気です。

出典:ゼロリノベ

最近では、ガラスをはめ込んだ引き戸が人気です。従来の日本家屋に多かった板のふすまのイメージを覆すような、おしゃれな洋風の引き戸がたくさん登場しています。

ドアがたくさんある廊下でも、引き戸にすればドアの開け締めが邪魔になりません。

全面ガラス張りの引き戸もあります。

出典:ゼロリノベ

ただし、お店の自動ドアのように全面ガラスにすると閉じている時に誤ってぶつかってしまう恐れがあるので、デザインを兼ねて枠取りをしています。黒などシックな色合いの枠にすればインテリア的にもアクセントになりおしゃれです。

1-2-1. 引き戸のメリット・デメリット

引き戸のメリット・デメリットは以下のとおりです。

ひとつずつ説明します。

■引き戸のメリット

引き戸のメリットは、バリアフリーに適しているということです。少しの溝で開閉するので入り口の段差をなくすことができます。

取っ手は、指を引っ掛ける埋め込みタイプと手指や肘で押して開けられるハンドルタイプから選べます。

埋め込みタイプにすれば取っ手が邪魔にならず、扉を開けた時に間口がスッキリと見えます。ハンドルタイプは肘や腕などを利用して開けられるので、握力の弱い高齢者などにおすすめです。

■引き戸のデメリット

一方デメリットは、扉を収納するスペースが必要だということです。扉を開ける際の前後のスペースは不要ですが、扉を開けた時に壁側に収納スペースが必要なため、扉1枚分余計にスペースがある場所でないと設置できません。扉を溝にスライドさせるため、枠には敷居の設置も必要です。

1-3. 折れ戸をリノベーションした事例

折れ戸とは、引き戸を折りたたむ形で開閉するタイプの扉です。何枚かの板が連なり、板同士は蝶番(ちょうつがい)でつながっているのが特徴です。

片開きは風呂場や介護用トイレのドアなどに、観音開きタイプなどはクローゼットなどによく用いられますが、最近では部屋の間仕切りドアとして設置するのも人気です。

同時に開いた時にドアとドアがぶつかってしまうような場所も、折れ戸にすればスムーズに開閉できてドア同士がぶつかることがありません。

出典:ゼロリノベ

もちろん、折れ戸は室内の収納扉としても活躍してくれます。ルーバーの折れ戸なら風通しもよく、収納物の蒸れやカビを防ぎます。インテリアになじんだ木製のものにすれば見た目にもスッキリするでしょう。

1-3-1. 折れ戸のメリット・デメリット

折れ戸のメリット・デメリットは以下のとおりです。

ひとつずつ説明します。

■折れ戸のメリット

メリットとしては、狭い場所でドアが重なるような間取りでも、ドア同士が干渉しないということです。通常の開き戸は前後にある程度のスペースを必要とするため、出入り口が入り組んでいるような間取りでは内開きにします。しかし、トイレなど室内が狭い場所では内開きにするのは不可能な場合もあります。

折れ戸の場合は内開きでもあまりスペースを取らずに開閉することができるため、トイレ・洗面・風呂場など狭い個室やクローゼットなどの収納に重宝します。

開閉が簡単なことも大きなメリットといえます。手で少し押せばすぐに開くので、力の弱い方でも比較的簡単に開け締めすることができます。

■折れ戸のデメリット

デメリットは折りたたんだ時に扉を端に寄せるため、その分部屋のスペースを取ってしまうということです。幾重にも折りたたむような扉にすると、折りたたんだ状態では15〜20cmくらいの厚みになってしまいます。その分部屋のスペースが狭くなりますし、開閉の邪魔になるため前にものを置くこともできません

折れ戸は押して開く時に深く手を入れると手を挟みやすいため、小さいお子さんなどがいる家庭に設置する場合には注意が必要です。

1-4. バーンドア(吊り下げ戸)をリノベーションした事例

バーンドアとは、開口部の上にレールを取り付け、上から引き戸をぶら下げるタイプの扉です。日本で昔からある引き戸は敷居の上を扉がスライドして開閉しますが、バーンドアは上にレールを設置して吊り下げるというと分かりやすいでしょう。

バーンドアはインダストリアルな雰囲気を醸し出しやすい建具ですが、マンションの室内にも馴染むようなシックなデザインもあります。

出典:ゼロリノベ

吊り下げ金具は種類が豊富なので、部屋のインテリアに合わせて装飾のついた華奢なもの・格好いいアイアンのものなどにすると、お部屋の雰囲気がグレードアップします。

1-4-1. バーンドアのメリット・デメリット

バーンドアのメリット・デメリットは以下のとおりです。

ひとつずつ説明します。

■バーンドアのメリット

1つ目のメリットは、開き戸や引き戸のような枠や敷居を必要としないということです。カーテンレールのようなレールを間口に取り付けるだけで、簡単に設置できます。つまり、ドアがない間口でも設置が可能ということです。

一般的な引き戸のように敷居も必要ないことから、バリアフリーの観点からもメリットは大きいでしょう。

2つ目のメリットは、DIYでも比較的かんたんに設置することができることです。パーツはホームセンターやインターネットでも手に入れることができるので、ドアに費用をかけたくないという方におすすめです。

■バーンドアのデメリット

一方デメリットは、開き戸や引き戸に比べるとどうしても気密性が低いということです。上から吊り下げているドアと壁との間に1〜2cmの隙間が生じるからです。施工にもよりますが、ドアを壁ぴったりにすると擦れてしまうため、どうしても少なからず隙間が必要になります。

そのため隙間風が入ってくる、音が漏れるなどのデメリットがあります。

建具のリノベーションにかかる費用

1章では各種類の扉の特徴をお伝えしましたが、建具のリノベーションには実際どのくらいの費用がかかるか気になりますね。扉の設置には以下の2タイプがあり、費用の相場も異なります。

そこで、本章ではそれぞれの扉を設置するのにかかる費用について解説します。

業者に一から作ってもらう造作扉のみ参考にしたい場合は、「2-2. 業者に一から作ってもらう造作扉を設置する場合」をお読みください。

2-1. メーカーのが販売する既存の扉を設置する場合

ほとんどの方は既存の扉を購入して業者に設置してもらうことになるので、まずはメーカーの既存の扉を設置する場合の費用をお伝えします。建具をリノベーションする際は、扉本体の価格だけでなく、場合によっては枠の交換なども必要になりますので、合わせて説明します。

2-1-1. 開き戸のリノベーションにかかる費用

開き戸を設置する場合にかかる費用は合計9万円〜40万円程度です。この中には、本体価格の他、現在の扉の撤去費用や取付費用、清掃費、人件費などが含まれます。

内訳は以下のとおりです。

大きく価格が異なるのは本体価格です。集成材の表面に木目などのプリントシートが貼られたような扉は安価ですが、無垢材などの天然素材が使われているものや海外輸入品などは高価です。

現在は、光を奥の部屋にも取り入れられるガラスをはめ込んだデザインやぬくもりのある天然木素材、雰囲気があり汚れにも強い突板(つきいた)などが人気です。

※突板とは:突板(つきいた)とは、丸太を0.2〜0.6mmほどに薄くスライスして合板の表面に貼り付けた板のことです。表面に貼る木材を天然木や防水・防汚に優れた特殊な板にするなど、様々な種類があります。

2-1-2. 引き戸のリノベーションにかかる費用

引き戸を設置する場合にかかる費用は合計12.5万円〜50万円前後です。引き戸の場合は本体価格の他に、枠の交換など開口部を変更する際の工事費もかかります。引き戸をスライドさせる溝は扉によって異なるので、扉を変えたら枠も変えなければならないからです。

内訳は以下のとおりです。

枠を取り替える場合は、枠の取替え費用の他に壁のクロスの張り替えなどが必要になることも考慮に入れておきましょう。壁のクロスの張り替えの費用など詳しくはこちらの記事をご覧ください。

2-1-3. 折れ戸のリノベーションにかかる費用

折れ戸を設置する場合にかかる費用は合計12.5万円〜30万円前後です。既存の扉が開き戸の場合は枠の取り替えなどは不要ですが、間口を広げて観音開きの折れ戸にする場合には工事が必要です。

内訳は以下のとおりです。

折れ戸は主にクローゼットなどに設置されることが多いですが、ガラスや木のルーバーなどにすることで設置場所が広がります。例えば突板の折れ戸は室内ドア、ルーバーの折れ戸はクローゼットやトイレ、ガラスの折れ戸はルーフバルコニーへの出入り口といった具合です。

2-1-4. バーンドアのリノベーションにかかる費用

バーンドアを設置する場合にかかる費用は合計1〜20万円程度です。レールも1万円以下から市販されており、自分でDIYで取り付ければ本体価格とパーツのみで済みます。

しかし、既存の扉を撤去し、間口を広げたり新しい枠を取り付けたりする場合はやはり業者への依頼が必要です。

バーンドアを設置する場合の内訳は以下のとおりです。

扉やレールの持ち込みに応じてくれる業者もあるので、使いたい扉が決まっている場合は事前に相談してみると良いでしょう。

2-2. 業者に一から作ってもらう造作扉を設置する場合

造作扉にする場合の費用は業者によって異なりますが、おおまかに言うと本体価格は既製品の扉に比べて2.5〜3倍くらいの価格です。

本体・窓枠の素材、サイズ、金具の素材など細かなことを業者と何度も打ち合わせる必要があります。そのため、全体の価格については相場と呼べるものがありません。

全体的な価格を知るには、複数の業者から見積りを取るのがおすすめです。見積もりだけなら無料で行っているところが多く、見比べて納得のいく価格の業者に依頼することができるでしょう。

造作扉は既存の扉に比べて高価ですが、世界でただひとつのオリジナルになるため家のデザインに合わせた理想の扉を実現することが可能です。

建具リノベーションを成功させるための3つのポイント

1章、2章では建具の種類やリノベーションする際の費用などについて詳しく解説しました。これにより、だいぶイメージが明確になったのではないかと思います。

実際に建具リノベーションをオーダーする際にはポイントも押さえておく必要があります。家の中には複数の扉があり、それぞれの扉に対してひとつひとつ考えるのはお金も時間もかかるからです。ポイントを押さえておくことで「建具を理想に近い形」で、かつ「予算的に無理なく」リノベーションできるようになります。

ポイントとしては、以下の3つが挙げられます。

詳しく説明していきます。

3-1. 部屋のアクセントとして考える

建具は単なる出入り口というだけでなく、インテリアの重要な一部です。そのため、建具は部屋のアクセントとして考えるのがおすすめです。アクセントとは、何かをしてそれだけを目立たせることです。

アクセントの役割には以下のようなものがあります。

例えば、洋服のコーディネートでいうと、全身は上下グレーのスーツで靴下だけ赤にするなどの例があります。全身がグレーでは暗くてのっぺりとしがちですが、赤を1点だけ入れることで全体が引き締まり、単調になるのを防ぎます。

建具を部屋のアクセントにするには、以下のようなことを意識するのがポイントです。

以下では、ドアを部屋のアクセントとして上手に活かしている事例をいくつかご紹介します。

【白壁に印象的なドアを連続させる】

出典:ゼロリノベ

事例のように、白壁に思い切ってダークやビビッドな色の建具にするのもおすすめです。
同じドアを連続して配置すると空間のアクセントになり、他とは違うおしゃれな雰囲気になります。

【素材感で空間をデザインする】

出典:ゼロリノベ

玄関ホールとリビングをつなぐドアと寝室ドアを無垢の開き戸にした例です。事例のようにニュアンスのあるすりガラスをはめ込むなど、素材にも工夫をこらすとさらに変化をつけられます。

【大胆なガラス戸で窓辺を演出する】

出典:ゼロリノベ

色といっても無色、つまりガラスの扉にしてしまうというのも一つの方法です。バルコニーに大胆に配置し、土間を設ければマンションでもインナーテラスの空間をつくることが可能です。ガラスなので音や温度を柔らかく遮断しますが、圧迫感がなく光も通すもメリットです。

このように、建具ひとつで部屋の雰囲気が変わるため、建具をアクセントとして使うのがおすすめです。

3-2. パーツ・素材・色にこだわり部屋全体の統一感を出す

家には扉が少なくとも5つ以上あります。それらすべてを同じにするのは大変ですが、扉自体は変えずにパーツ・素材・色のいずれかを統一すると、全体の統一感を出すことが可能です。

パーツは主に取っ手の部分です。取っ手には様々なデザインがあり、従来はドアノブタイプが主流でしたが近年では子どもやお年寄りも扱いやすいレバーハンドルタイプが主流です。気に入った取っ手を見つけておそろいにするだけでも、統一感が生まれますよ。

素材はナチュラルな木材やつや消しにしたマットな素材が主流です。ただ、近年では「2-2. 引き戸をリノベーションした事例」で紹介したようなガラスを埋め込んだものや、スチール枠にガラスよりも耐久性のあるアクリル板をはめ込んだ建具なども人気があります。

色は白や木目を生かした茶系が主流ですが、近年ではカラフルな色や淡い色、黒や暗めのネイビー、焦げ茶などのダークな色もよく使われています。

以下では、パーツ・素材・色にこだわった各事例をご紹介しますので、参考にしてみてください。

3-2-1. パーツにこだわった事例

例えば、住まい全体で共通の色や素材のパーツを施すと統一感を出すことができます。

出典:ゼロリノベ

事例は、木やコンクリートの現しなど異素材がミックスした空間ですが、ドアの取手やスイッチ、ライトなどブラックで統一することで、空間全体にまとまりを出すことが可能です。

3-2-2. 素材にこだわった事例

比較的安価な木材であれば同素材で扉を揃えるのも可能です。以下の事例のように、並んだドアの大きさを変えると遊び心があってオシャレですね。

出典:ゼロリノベ

3-2-3. 色にこだわった事例

通常の日本の住宅の建具は木の色を生かしたものや白、ベージュなどが一般的ですが、建具の色を変えるだけで家全体の印象がカラッと変わることがあります。

出典:ゼロリノベ

室内ドアをビビッドなブルーにした事例です。壁の色と併せることで、ドアを中心としたコンセプトのある空間になりますね。

洋服のコーディネートも、パーツ・素材・色のどれかを同じにすると、全体に統一感が生まれてオシャレになるように、家の建具もパーツや素材、色などどれかひとつを同じにすると全体的に統一感が生まれ、あまりお金をかけずにオシャレにすることが可能です。

3-3. 全体のドアを変更せずポイントを絞る

建具のリノベーションをする際には、全体のドアを交換するのではなくポイントに絞るのがおすすめです。
なぜなら、全てのドアを変更するとなるとお金がたくさんがかかってしまうからです。

「2-1. メーカーのが販売する既存の扉を設置する場合」でご紹介した費用を参考に考えてみましょう。新しい建具の価格を5万円とすると、既存のドアを交換するだけでもドア本体と撤去費用・取付費用などで1箇所10万円前後かかります。

これを5箇所行うとすると50万円もかかりますね。しかし、家の中のどこか1箇所などにポイントを絞れば、5万円のドアに交換するとしても10万円程度に収まり、気持ちのハードルがぐんと下がります。

ポイントを絞るとは、1箇所だけ色や素材を変えるなどです。

リビングやトイレなど、誰もが使う場所の建具は目につきやすく印象も強くなります。

リノベーションでは思い切って建具をなくすのもおすすめ

印象的な建具で住まいを演出する方法もありますが、思いきって建具をなくして、開口部自体に工夫を凝らすという選択もおすすめです。従来は部屋には間仕切りとしてドアを設置するのが当たり前でしたが、近年ではドアを取り払い何もつけないスタイルも人気です。

出典:ゼロリノベ

出典:ゼロリノベ

あえて建具を取り付けず、開口部の形を三角やアーチ状にすることで、空間をデザインすることが可能です。
ウォークインクロゼットやパントリーなど、行き来の多い空間を緩やかに仕切りたい場合やデザイン性を持たせたいときなどに有効です。

このように、ドアをなくしたゾーニング(各部屋のゾーンを区分すること)が流行していますが、建具をなくすことのメリットとデメリットを知っておくことも大切です。

メリット・デメリットを以下で詳しく解説します。

4-1. 建具なくすことのメリット

建具をなくすことのメリットは以下です。

ひとつずつ分かりやすく説明します。

4-1-1. お金がかからない

建具をなくすと、新しい扉に変更するのに比べてお金がかかりません。家中の扉を変更するには、かなりの費用がかかります。しかし、そもそも建具をつけなければ、新規の扉の購入費用や設置工事などの費用は不要です。

建具をなくすにしても、既存の扉がある場合は撤去費用や枠組みを外す費用、壁紙のクロスの修繕費用などがかかります。しかし、扉の設置費用で以下のように一番価格のウエイトを占める本体価格(新規の扉)がないため、かかる費用を大きく減らすことが可能です。

4-1-2. 扉の開閉や収納の場所を取らない

建具がないと、扉の開閉や収納のための場所を取りません。ドアを設置する際には開き戸は前後のスペース、引き戸は開けた時の壁のスペースなどが必要となりますが、建具がなければそういったスペースも必要ないからです。

無理に全ての部屋にドアをつけずに、必要なときだけプライベートを守れるカーテンなどでゆるく仕切る方法もおすすめです。建具をなくせば開閉や収納場所が浮いた分のスペースも広くなります。

4-1-3. 光や風が通る

部屋を仕切る建具がないと、家全体に光や風が通ります。特に細長いマンションなどの場合は、ベランダからの光が玄関まで届かず暗くなってしまう・家の中全体に風を通すことができないなどの悩みがつきものです。

しかし、建具をなくしてしまえば光や風が通りやすくなり、奥の部屋も気持ちよく使うことができます。

4-1-4. 空気がこもらない

光や風が通ることとも共通しますが、建具をなくすと空気がこもらないという利点もあります。特に日本は湿気が多く、梅雨時などは窓のない部屋にカビが発生しがちです。

しかし、建具をなくせば空気がこもることがなく、人が通るたびに空気が動いて循環します。

4-1-5. 開放感がある

建具をなくすと、単純に開放感があります。例えば廊下に面した部屋のドアを閉めると文字通り閉ざされて廊下が暗くなってしまいます。しかし、建具がなければ視野が広がり、光が通るため空間を広く感じることができるのです。

4-1-6. 人の気配をなんとなく感じることができる

建具がないと、遠くにいても人の気配を感じながら生活することができます。ドアがあるとどうしても「個室」「密室」となりがちですが、ドアがなければ別室にいてもお互いになんとなく人の気配を感じられます。

リモートワークなどが頻繁になった現在、仕事中は隔離された部屋で集中したいという方もいるでしょう。そういった場合は書斎にだけ建具をつけ、他の部屋は建具をなくしてオープンにするという方法もあります。

4-2. 建具をなくすことのデメリット

一方、建具をなくすことのデメリットは以下です。

4-2-1. 音が漏れる

1つ目のデメリットは、建具がないと音が漏れるということです。建具は音・光・空気を遮断する役割があるため、建具をなくすとどうしても音が漏れてしまいます。

例えば、リモートワークでオンラインの会議に参加している時に、リビングで遊ぶ子どもの声が聞こえてきてしまうといったことがあります。

そのため、会議中は静かな声で遊ぶように言い聞かせる・他の家族に外に連れ出してもらうなどの対策が必要です。

4-2-2. 冷暖房が行き届かない

2つ目のデメリットは、建具がないと冷暖房が行き届きにくくなることです。建具は空気を遮断するため室内の温度を外に漏らさないという役割がありますが、建具がないと冷暖房をつけていても空気が漏れてしまうため、冷暖房の効きが悪くなることが課題です。

対策としては、サーキュレーターを置くなどして家全体の空気をかき混ぜ、冷暖房の効率を上げるなどがあります。

4-2-3. プライベートが保てない

3つ目のデメリットは、建具がないと完全なプライベートが保てないということです。視線を遮断できないため、どうしても部屋の中でしていることが周囲に分かりやすくなります。

対策としては、プライベートを保ちたい時にはカーテンを引くなどで、視線を遮断することが可能です。

建具をつけないおしゃれな空間へのリノベーションならゼロリノベにおまかせください

近年では建具をつけずにおしゃれな空間にするスタイルが人気ですが、ゼロリノベでは建具をつけないリノベーションも多くご提案しています。

本章では、建具をつけないゼロリノベのリノベーションの施工例を一部ご紹介します。

5-1. 建具をつけず開放部のデザインで空間を仕切った例

こちらは、建具をバス・トイレなど最低限のものだけにし、あとはオープンにリノベーションした事例です。

玄関すぐ脇は土間にし、シューズクローゼットや大きめのものを収納できるスペースにしています。建具は作らず天井部分にユニークな三角の仕切りをつけることで、ゾーニングしています。

玄関からリビングまでも通常なら扉がありますが、意図的に取り払ったおかげでリビングの光が玄関まで届いています。

この事例をもっとよく見るならこちら。「経年美化〈東京〉59㎡」

5-2. 壁の一部をくり抜き、仕切りながらも回遊性を確保した例

こちらの事例は、お客様のご希望が「回遊性」と「抜け感」を意識したリノベーションだったため、できるだけ建具を排除しました。唯一、寝室は個室になっていますが、それさえも壁の一部をくり抜いて出入り口としています。

寝室の横の壁も一部くり抜いて空気や光が通るようになっています。デザイン的にも家のユニークなアクセントとなっています。

リビングから玄関脇の書斎はベッドルームを通り抜けられるしくみ。家全体に回遊性があるため、視線が広がって全体のスペースを広く感じられます。

玄関脇には書斎がありますが、やはり建具はつけませんでした。しかし、段差と玄関脇という少し隔離された場所に書斎を作ることで、建具がなくても個室感を与えています。

この事例をもっとよく見るならこちら。「キューブと団らん〈東京〉 78㎡」

5-3. 段差を利用し空間をゆるく分けた例

リビングとダイニングの間にカーブをつけた段差をつけることで、建具を使わずに部屋をゆるく分けた家です。

視線の範囲はそのままに、段差とカーブによって空間を分けました。

リビング横の寝室の出入り口も建具をつけずカーテンで仕切っています。

玄関横には自転車などを置けるウォークインクローゼットがありますが、通常はカーテンで仕切るようにし、使い勝手と広い間口を確保しています。

この事例をもっとよく見るならこちら。「男前北欧スタイル〈神奈川県〉61㎡

ゼロリノベでは、建具などの造作家具を含むリノベーションや、リノベーション前提の物件探しなどもお手伝いしています。もしご興味のある方はお気軽にお声がけください。

まとめ

印象的な建具を取り入れた空間をつくるリノベーションをするには、用途や目的を明確にした上でどのような種類の扉にするのか、どのようなデザインにするのかなど細かなことを決めていきます。

ここでご紹介した4種類の建具にはそれぞれ長所と短所がありますので、何が必要で何が不要かなどを考えながらリノベーション計画を立てるのが良いでしょう。

家全体の建具をすべて変更するのはとてもお金がかかります。しかし、リビングのドアなど1箇所の建具だけ変更してインテリアのアクセントにしたり、すべての扉にお揃いの取っ手をつけ変えたりすれば、あまりお金をかけずに雰囲気を変えることができます。

また、建具ではなく、開口部の形にデザイン性を持たせることで、空間を緩やかに仕切りつつ動線のよい住まいをつくることも可能です。

たくさん事例を見て、暮らしに合ったリノベーションを実現してください。

この記事の執筆
  • 大月知香

    ゼロリノベの編集者。大学時代にデンマークへの留学を通して、北欧の人々の住まいに対する美意識の高さに感化される。暮らしにおける「住」の重要性を伝えたいと住宅雑誌の編集を経験。より自分らしく、自由に生きられる選択肢の一つとしてリノ...

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