木造住宅のリノベーションとは? 費用相場や注意点、おすすめの施工事例を紹介!
「木造戸建てでもリノベーションできるのかな?」
「木造住宅の場合、建て替えとリノベーションどっちがお得?」
家族構成やライフスタイルの変化とともに、「今の木造戸建てをもっと住みやすくしたい」と考えている方も多いでしょう。
木造住宅の場合、リノベーション(リフォーム)と建て替えのどちらを選んだほうがよいのかは、建物の状況によって違います。
そこで今回は、木造住宅がリノベーションやリフォームに向いているケース、建て替えが向いているケースのそれぞれをご紹介します。
さらに、リノベーションする際の注意点や実際の施工事例も紹介しますので、木造住宅のリノベーションを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
木造住宅のリノベーションとは?
木造住宅のリノベーションとは、建物の基礎や骨組みは残したまま、内装や間取りを現在よりも住みやすいものへ改修することです。
リフォームでは古くなった家を新築時の状態へ戻すのみですが、リノベーションは既存よりも機能性やデザイン性を含めた暮らしの質の向上を目的とします。
例えば、リフォームでは古くなったキッチンを新しいものに入れ替えるのに対し、ライフスタイルや家族構成に合わせて最適なレイアウトを踏まえて、対面キッチンにしたり、キッチン横にデスクスペースを設けたりと「過ごし方」に合わせて最適化することができます。
また、リフォームやリノベーションと並んで、「建て替え」という選択肢もあります。
建て替えは、建物の基礎や骨組みを解体し、家を新築する工事です。
木造住宅の耐用年数は?
木造住宅の耐用年数は、国土交通省の調査によって以下のように算出されています。
劣化対策等級2 | 50〜60年 |
劣化対策等級3 | 75〜90年 |
長期優良住宅認定 | 100年以上 |
引用:国土交通省 期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について p12
劣化等級とは、建物の骨組みに用いられる防腐や防サビ、シロアリ対策など、どの程度なされているかを表す指標です。
一般社団法人住宅性能評価・表示協会が公表している「令和4年度 建設住宅性能 評価書(新築)データ (一戸建ての住宅)」によれば、新築一戸建てはその多くが等級3となっています。
等級1 | 等級2 | 等級3 | 合計 | |
戸数 | 470 | 670 | 95,445 | 96,585 |
% | 0.5% | 0.7% | 98.8% | 100% |
出典:令和4年度 建設住宅性能 評価書(新築)データ (一戸建ての住宅)をもとに編集部が作成
上記のことからも、一般的な木造住宅の耐用年数は75〜90年が目安となるといえます。
木造住宅はリノベーションできる?
古くなってしまった木造住宅の場合、「建て替えなければ住めない」と考えている方も多いでしょう。
築年数を経過した木造住宅でも、リノベーションは可能です。
冒頭で紹介したとおり、木造住宅の一般的な寿命は75〜90年であり、骨組みや構造部分は2世代3世代にわたって生き続けています。
そのため、築年数の経過した木造住宅でも、家族構成の変化や内装の劣化にともなったリノベーションが可能です。
また、リノベーションによって住宅性能が向上すると、より長く住める家へと生まれ変わることができます。
これまで住んでいた愛着のある家やエリアを離れずに、より過ごしやすい住まいにアップデートできるのがリノベーションの魅力でしょう。
一方で、建て替えは建物の解体が必要であり、費用も高く、工期も長くなります。
リノベーションであれば解体せず既存の住宅を活かして新しい住まいをつくるため、環境負荷も抑えられて、建て替えよりも経済的です。
建て替えとリノベーションの費用については、「「新居建て替え」と「リノベーション」の費用比較」で解説しているので、こちらも参考にしてみてください。
木造住宅はどんなリノベーションができるのか?
では、木造住宅のリノベーションではどのようなことができるでしょうか。
ここでは木造住宅のリノベーションでできる工事を4つ紹介します。
- 間取りの変更
- 耐震補強
- 外観の変更
- バリアフリー対応
それぞれ参考にしながら、木造住宅のリノベーション完成図をイメージしてみてください。
4-1.間取りの変更
間取りの変更は木造住宅のリノベーションにおいても、人気の工事です。
木造住宅では、家族構成の変化に合わせて部屋数を増やしたり、細かく分かれた部屋をつなげて1つの大きな空間にしたり、さまざまな間取りの変更が可能です。
生活動線を考えた設計にしたり、家事のしやすい対面キッチンにしたり、日々の生活に合わせた間取りへとリノベーションにすることも考えられるしょう。
住宅の基礎や骨組みを壊さない範囲で自由に間取りを変えられる点は、リノベーションの醍醐味ともいえます。
4-2.耐震補強
リノベーションによって、住宅の耐震補強も可能です。
築年数の経過した耐震補強がなされていない木造住宅の場合、リノベーションによって地震に耐えられる家へとなるよう耐震補強工事がなされます。
壁の増設や接合部分補強、屋根瓦の撤去、土台の交換、ひび割れや水漏れ箇所の改修など、リノベーションでできる範囲内で、さまざまな対策が可能です。
なお、耐震補強工事は自治体によっては補助金を受けられるケースもあります。
例えば横浜市では、耐震改修工事費用として以下の補助金が受けられます。
世帯の課税区分 | 補助限度額 |
一般世帯 | 100万円 |
非課税世帯(※) | 140万円 |
※世帯全員が、過去2年間、住民税の課税を受けていない世帯
耐震補強工事の費用が気がかりな場合は、自治体の補助金を活用してみるとよいでしょう。
4-3.外観の変更
木造住宅のリノベーションでは外観の変更も可能です。
経年によって外観が劣化していることが多い古い木造住宅では、リノベーションによって外壁や屋根の塗装、外壁の張り替えを実施することで見た目を一新できます。
一般的に木造住宅の外装は10年〜20年単位でのメンテナンスを推奨されています。
外観の変更は見た目だけでなく建物の耐久性の向上も期待できるため、建物の寿命を伸ばす意味でも検討しておくとよいでしょう。
4-4.バリアフリー対応
木造住宅のリノベーションでは家族構成の変化や施主の高齢化に合わせたバリアフリー対応も可能です。
家のなかにスロープを設けたり、段差をなくしたり、車椅子生活者でも使いやすいように工夫するなど、リノベーションによってさまざまなバリアフリー化が可能です。
また、バリアフリー工事は「介護保険による補助金」が受けられたり、「税金の控除」が受けられたりします。
予算をオーバーしてしまいそうな場合は、上記のような制度も活用してみるとよいでしょう。
Renovation of the Year 2023で特別賞を受賞したゼロリノベのバリアフリー事例はこちら
木造リノベーションの費用相場はいくら? 建て替えた場合との比較
木造住宅のリノベーション費用相場がどれくらいか、知りたい方も多いでしょう。
ここからは、木造住宅のリノベーションの費用相場を、以下の項目別に解説します。
- 間取りの変更の費用相場
- 耐震補強の費用相場
- 外観の変更の費用相場
- バリアフリー対応の費用相場
- 「新居建て替え」と「リノベーション」の費用比較
それぞれ詳しくみていきましょう。
5-1.間取りの変更の費用相場
間取りの変更の費用相場は「約13〜300万円」までと幅広いです。
以下の表に間取り変更の費用相場をまとめました。
工事内容 | 費用相場 |
1部屋を2部屋に分割する(壁のみを作る場合) | 約13〜15万円(8畳程度) |
1部屋を2部屋に分割する(電気工事も行う場合) | 約33〜40万円(8畳程度) |
断熱材を入れて居住空間を作る場合 | 約200~300万円 |
木造住宅の造りによっては間取りを変更する際に、工数と費用が変動します。
施工しやすい造りの場合には、費用も抑えやすいですが、リノベーションがしにくい工法で建てられた家の場合は費用もかさみます。
施工しやすい作りの場合には、費用も抑えやすいですが、リノベーションがしにくい工法で建てられた家の場合は費用もかさみます。
リノベーションで部屋を増やす場合の費用は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらも参考にしてみてください。
5-2.耐震補強の費用相場
耐震補強の費用相場はおよそ「150〜200万円」です。
国土交通省が工務店やリフォーム会社などに向けて行った調査においても、耐震補強工事の費用は100〜200万円が相場となっています。※1
具体的な工事費用の相場を以下の表にまとめました。
工事内容 | 費用相場 |
壁の補強 | 約20万円~ |
土台、柱の接合部分の補強 | 約40万円~ |
外壁、土台、柱の補強 | 約65万円~ |
全面的な補強 | 約100万円~ |
具体的な耐震補強の費用は、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
※1:国土交通省:リフォームの内容と価格について
5-3.外観の変更の費用相場
外観の変更の費用相場は、以下の表のとおりです。
工事内容 | 費用相場 |
外壁塗装 | 約75万円〜(工事面積200㎡で計算) |
重ね張り・張り替え | 約130~220万円(工事面積200㎡で計算) |
屋根塗装 | 40〜60万円(工事面積60㎡で計算) |
外壁塗装のみであれば、100万円以内に抑えられます。
木造住宅の老朽化した外壁を張り替える場合、「130~220万円」ほどの費用が必要になります。
また、外観には屋根も含まれるため、屋根塗装を行う際は40〜60万円ほどの費用が必要です。
外観の変更費用は、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
5-4.バリアフリー対応の費用相場
バリアフリー工事の費用相場は、以下のとおりです。
工事内容 | 費用相場 |
通路やトイレに手すりを付ける | トイレ:2〜4万円 廊下:1〜15万円 |
スロープを付けて段差を解消する | 10〜20万円 |
滑りにくい床に張り替える | 10〜25万円 |
ドアを開き戸から引き戸に変える | 10〜15万円 |
ドアやトイレの手すりなど、1箇所の工事のみであれば、費用は計算しやすいです。
しかし、廊下や部屋の床などの工事費用は面積によって変動します。
バリアフリー工事では「4-4.バリアフリー対応」でも紹介したように、補助金を受けられる場合があります。
バリアフリー工事の費用は、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
5-5.「新居建て替え」と「リノベーション」の費用比較
建て替えは既存の建物を解体し、同じ土地に新しい住宅を立て直すため、注文住宅と同じくらいの費用がかかります。
新築費用に加えて解体費用が必要になるため、さらに費用がかかる可能性も。
一方、リノベーション費用は「約700〜3,000万円」と工事面積によって大きく幅があります。
キッチンのみやリビングのみ、1階部分の部屋数を増やすのみ、のように特定箇所だけのリノベーションであれば、費用も安く抑えられます。
戸建てのリノベーション費用については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらも参考にしてみてください。
木造住宅においてリノベーション(リフォーム)が向いているのは?
木造住宅のリノベーションが向いているケースは、以下の3つです。
- コストを重視したい
- 工期を短くしたい
- 現状の雰囲気を残したい
それぞれ詳しく説明します。
6-1.コストを重視したい場合
リノベーションやリフォームは、建て替えに比べると、安い工事費用で実施できます。
そのため、コストを重視したいときに向いています。
家を建て替えると、既存建物の解体費用が必要になります。
解体や廃棄にかかる費用相場は、既存の木造住宅の大きさや立地条件によって違いますが、1坪あたり「3.5万円程度」が目安です。
30坪として105万円かかる計算になりますが、リノベーションやリフォームなら解体費を抑えられます。
特に建物が比較的新しく、部分的なリフォームやリノベーションで済む場合には、建て替えとの差額はかなり大きくなるでしょう。
ただし、次のようなケースには、注意が必要です。
- 建物が古く、耐震性に問題があり地震が心配
- 構造部分の木材のシロアリ被害がひどい
このような、基礎や構造まで含む大がかりな工事が必要になる場合には、建て替えたほうが安くなることもあります。
また、上記は専門家の調査が必要となるため、不安な方は「ホームインスペクション」の実施を検討してみると良いでしょう。
ホームインスペクション:住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者的な立場から住宅の劣化状況などを見極め、アドバイスなどをおこなうこと
6-2.工期を短くしたい場合
工期を短く抑えたいときにも、リノベーションやリフォームが適しています。
木造住宅を建て替える場合、解体作業や地盤改良工事、土台づくりなどが必要になるため、1年ほどかかることも珍しくありません。
工事中は、仮住まいが必要になるため、工事以外の費用負担も膨らみます。
一方、リノベーションやリフォームは、工事の規模にもよりますが、木造一戸建ての標準的な工事は通常3〜6ヵ月程度で終了します。
フルリノベーションではなく部分的なリノベーションであれば、もっと短く済む場合もあるでしょう。
6-3.現状の雰囲気を残したい場合
木造住宅に家族の思い出がつまっていて、造りや風情を残したい場合でも、リノベーションやリフォームが適しています。
もともと木造家屋は、柱と梁(はり)の骨組みで支える木造軸組工法(在来工法)で建築されているものが多いです。
この工法で建築された家は可変性が高く、大きく間取りを変更するのが比較的容易です。
そのため、建物の状態に問題がなければ、現在のライフスタイルにあった間取りや、好みのデザインの内外装に自由に刷新できます。
思い入れのある部分を残しつつ、より過ごしやすい空間へと生まれ変わらせることができるのです。
木造住宅のリノベーションやリフォームに対しては、減税制度や特例が用意されています。近年の全国的な空き家問題を解消するために、中古住宅を活用するサステナブルな取り組みを支援しています。
現在木造住宅では、以下のようなリノベーションやリフォームで、減税制度を活用できます。
- 耐震
- バリアフリー
- 省エネ
- 同居対応
- 長期優良住宅化
- 増改築など
確定申告が必要になりますが、適用されれば所得税や固定資産税などの控除を受けて減税できます。
リノベーションやリフォームで使える減税制度について詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。
木造住宅において建て替えが向いているのは?
木造住宅において、リノベーションやリフォームよりも建て替えが向いているケースは、以下の3つです。
- 住宅の性能を根本から刷新したい
- ゼロから自由な設計がしたい
- できる限り長く住みたい
順番に解説します。
7-1.住宅の性能を根本から刷新したい場合
木造住宅の性能を大きく引き上げ、快適な住まいにしたいときは、建て替えを検討しましょう。
以下のような工事をしたいときには、建て替えを検討します。
- 基礎から耐震性能を見直したい
- 断熱性を上げるために家全体に断熱リフォームを実施したい
こういった工事は、一部だけに対処しても効果が薄いため、全体的な工事が必要です。
耐震補強や断熱対応はリノベーションでも可能ですが、築古の木造住宅である場合、基礎や構造からやり直す必要も考えられます。
一方、建て替えは、現行の耐震基準に適合した方法で基礎から作り変えることが可能です。
新築となるため、耐震や耐火などの保証がリノベーションやリフォームよりも長い場合が多く、アフターフォローの安心感も得られます。
7-2.ゼロから自由な設計がしたい場合
既存の木造住宅の枠にとらわれず、外観も内観もゼロから自由な設計をしたい場合にも建て替えを選びましょう。
在来軸組工法で建てられた木造住宅は、マンションと異なり、可変性が高く、リノベーションやリフォームに向いています。
しかし、骨組みとなる柱や梁を動かすことは構造上成立していないと、難しいです。
現状の不満を解消するために、間取りを大胆に変更したくても、既存の枠組みをベースに考える必要があります。
一方で、建て替えは、別の住空間を、好みの間取りやこだわりのデザインを実現できるため、ゼロから自由な設計がしたい場合におすすめです。
7-3.できる限り長く住みたい場合
今の場所にできるだけ長く住みたいと考える場合も、建て替えを検討するとよいでしょう。
なぜなら、建て替えると、住宅年齢をゼロにリセットできるからです。
国税庁は木造住宅の耐用年数を22年と定めており(*1)、築20年前後で資産価値がなくなるのが一般的です。
ただし、これはあくまで税務上の資産価値の話であり、20年を過ぎれば耐久性がなくなり住めなくなってしまうわけではありません。
実際、国土交通省の調査では、木造住宅の寿命は65年と報告されています(*2)。住む人のメンテナンスの仕方によっては、さらに長持ちするでしょう。
まずは、専門家に建物を診断してもらい(ホームインスペクション)、今の家があと何年くらい住める建物なのかを確認したうえで、建て替えを検討するとよいでしょう。
なお、最近は住宅性能が向上し、長期優良住宅で劣化等級3に該当する家は、3世代にわたる耐久性(75〜90年)があるとされています(*3)。
今の場所にできる限り長く住みたいのであれば、思い切って建て替えを検討するのもよいでしょう。
*1「耐用年数(建物/建物附属設備)」(国税庁)
*2「中古住宅の建物評価の実態<参考資料>|7頁」(国土交通省)
*3「『長期優良住宅の普及の促進に関する法律』の長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について|5頁」(国土交通省)
木造住宅のリノベーション施工事例3選
ここからは、木造住宅をおしゃれにリノベーションした事例を紹介します。
- 【事例1】築50年の木造住宅を可変性を残した「育てていく」住まい
- 【事例2】リビング、ワークスペースとの動線も良好! キッチンが中心の住まい
- 【事例3】開放的なワンルーム空間へと大胆リノベーション!清潔感のある白が印象的! 北欧テイストの住まい
1つずつ順番に見ていきましょう。
8-1.【事例1】築50年の木造住宅を可変性を残した「育てていく」住まい
本事例では、築50年の木造一戸建てを購入し、間取りを大きく変える大規模なフルリノベーションを実施しています。
北東の暗い場所にあったキッチンは、家族とコミュニケーションを取りながら、家事をおこなえるように1階のリビング横に移動。
庭のグリーンが望めるリビングダイニングは、和室と一体化し明るい空間へと生まれ変わりました。
<間取り図>
2階では取り払える壁を可能な限り撤去し、広々としたオープンスペースを実現。
余白を最大限残し、これからのライフスタイルの変化にあわせ、育てていく楽しみのある家になりました。
こちらの事例の詳細は以下の記事をご覧ください。
8-2.【事例2】リビング、ワークスペースとの動線も良好! キッチンが中心の住まい
南東向きの壁付きキッチンを1階の中央に据えた、大胆なリノベーションをおこなった事例です。
キッチンタイプは二型を選んだことで、生活動線が向上し、夫婦2人が同時に作業しても、互いが邪魔になることはなくなりました。
キッチン奥にパントリーを設けたことで、作業性の良さに一役買っています。
2階は既存の間取りを活かしつつ、梁見せにすることで勾配天井の高さを活かしたおしゃれな空間づくりに成功しました。
家全体に白い壁と明るい色合いの床材を選んだことで、家具やインテリアが映える住まいへと生まれ変わっています。
こちらの事例の詳細は以下の記事をご覧ください。
8-3.【事例3】開放的なワンルーム空間へと大胆リノベーション! 北欧テイストの住まい
LDK横にあった和室を間仕切り壁ごと取り払い、ワンフロアすべてをオープンスペースに変更したリノベーション事例です。
オープンにしつつも、玄関前やトイレの前には壁を残すことで、プライバシーを保ちたい部分はさりげなく視線を遮る工夫がされています。
<間取り図>
2階の間取りはそのまま活かし、壁は白に統一し、家全体の一体感を出しました。
ドアや部屋の奥の壁だけ暗めの色を選んだことで、奥行きを感じられるようになっています。
こちらの事例の詳細は以下の記事をご覧ください。
木造住宅をリノベーションする際の3つの注意点
木造住宅のリノベーションで、押さえておきたい注意点が3つあります。
- 事前に建物の構造を確認する
- 耐震性を確認する
- 補修箇所が多いと費用が高くなる
リノベーション後に「希望の間取りにできなかった」「建て替えた方がよかったかもしれない」と後悔しないために、しっかり押さえておきましょう。
9-1.事前に建物の構造を確認する
まずは建物の構造を確認しましょう。
「木造住宅」と一口でいっても、工法の観点から大きく分けて2種類あります。
- 在来工法(木造軸組工法):柱や梁などの軸組を基礎とする伝統的な工法
- ツーバイフォー工法 (木造枠組壁工法):壁や床、天井などの面で建物を支える工法
ツーバイフォー工法では、面で建物を支えていることから、取り払えない壁が多く、リノベーションの自由度が低くなります。
一方、在来工法は、比較的自由度は高めですが、それでも主要な柱や耐力壁 と呼ばれる建物を支える壁、筋交いなどの撤去は難しいです。
リノベーションしたい住宅がどのような構造になっているのか、どの柱や壁を抜けるのかは専門家でないと判断するのは困難なため、事前にリノベーション会社に相談しましょう。
9-2.耐震性を確認する
リノベーションでは、耐震性の確認も大切です。
建物の耐震性は、原則的には建築された年の建築基準法に沿っており、以下の3種類に分かれます。
耐震基準 | 内容 |
旧耐震基準 | 1981年5月31日以前に建てられた住宅。震度5程度で倒壊しないことを想定されている。 |
新耐震基準 | 1981年6月1日〜2000年5月31日に建てられた住宅。震度7程度で倒壊しないことを想定されている。新耐震基準であるが2000年基準を満たしていない要素がある。 |
現行耐震基準 | 2000年6月1日以降に建てられた住宅。基礎形状、壁の配置バランス規定、接合金物の取り付け方などの対策もされている。 |
リノベーションを検討している木造住宅が、旧耐震基準で建築された古い建物である場合、近年多発する震度6以上の大きな地震に耐えられない場合があります。
耐震補強工事は高額になりがちなため、場合によっては建て替えを検討したほうがよいでしょう。
多くの自治体では旧耐震基準で立てられた木造住宅に対し、耐震診断の補助制度を設けています。
リノベーションの前に、耐震診断を受けておくことをおすすめします。
9-3.補修箇所が多いと費用が高くなる
築年数が浅くても、これまでの管理・メンテナンスによっては劣化が進んでいることも珍しくありません。
台風や地震が多いエリアにある場合には、想定以上に傷んでいることが考えられます。
補修箇所が多いほどリノベーション費用は高くなります。
場合によっては建て替えと変わらなかったり、むしろ建て替えよりも高くなったりする可能性も考えられるでしょう。
木造住宅の劣化状況は外観だけでは判断しづらいため、リノベーション前には専門家の診断(ホームインスペクション)を受け、見極めてもらいましょう。
まとめ
本記事では、木造住宅のリノベーションについて紹介しました。
しっかりと造られている木造住宅であれば、リノベーションによって暮らし心地や住みやすさを格段に向上させることができます。
リノベーションは建て替えよりも費用を抑えられて、家族構成やライフスタイルに合わせた自由な間取りやデザインの設計が可能です。
本記事の内容を踏まえて、ぜひリノベーションも検討してみてください。
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