キッチンでこだわりたい6つのポイント|人気のリノベーション事例5選
キッチンは、家族の生活の中心となる大切な空間です。そのため住まいのリノベーションを考えるときには、どんなキッチンにするかをまず考える人が多いのではないでしょうか。
しかしきちんとプランを立てることなく、思うままにキッチンリノベーションを進めてしまうと、希望どおりの仕上がりにならずに後悔してしまうかもしれません。リノベーションで理想のキッチンを実現するには、「こだわりたいポイント」と「こだわりを実現するためのポイント」の両方を押さえておくことが大切です。
今回は、キッチンでこだわるべきポイントとして次の6つを解説します。
- 動線を意識する
- 好みのデザインを探す
- キッチン設備を充実させる
- 充実した収納スペースを作る
- 傷や汚れに強く長持ちする素材を選ぶ
- 簡単に掃除ができる
さらにこだわりを実現するために押さえておきたいポイントとして、以下の3つを解説します。
- 部屋の広さを十分に確保できるか確認する
- 内装やインテリアを考慮した色を選ぶ
- こだわりの設備が設置可能かどうか確認する
理想のキッチンを実現したい人はぜひ参考にしてみてくださいね。
一級建築士
西村 一宏
東洋大学ライフデザイン学部講師。リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。
キッチンでこだわりたい6つのポイント
住宅のリノベーションやキッチンリフォームでは、動線やキッチンの素材、設備などにこだわることで、理想のキッチンを実現できます。キッチンでこだわりたいポイントは、以下の6つです。
- 動線を意識する
- 好みのデザインを探す
- キッチン設備を充実させる
- 充実した収納スペースを作る
- 傷や汚れに強く長持ちする素材を選ぶ
- 簡単に掃除ができる
具体的なチェック内容とあわせてチェックしましょう。
1-1.動線を意識する
キッチンは朝昼晩の3度の食事を準備するときだけではなく、冷蔵庫から飲みものを取り出したり電子レンジを使ったりと、家族が頻繁に出入りする場所です。そのため調理中の使い勝手が良いのはもちろん、動線を意識して、動作や移動がしやすいようなキッチンにすることが大切です。
キッチンの動線はキッチンタイプによって異なるため、まずはタイプごとの特徴やメリットを確認しましょう。
1-1-1.キッチンのタイプによって特徴やメリットが異なる
今回は、主なキッチンタイプとして「I型キッチン」「L字型キッチン」「II型キッチン」の3種の特徴とメリットを紹介します。
<I型キッチン>
シンク・調理台・コンロが横一列に並んだ「I型キッチン」は、キッチンのなかでは比較的省スペースに設置できるのが特徴です。平行移動だけですむので、余計な移動が不要になり作業効率がよいのがI型キッチンのメリットです。
壁付けはもちろん、リビングに向かって対面にしたい場合は、下記の写真のようにリビング側のキッチンの腰壁を造作すれば、対面型専用のシステムキッチンよりも、おしゃれかつリーズナブルにつくることが可能です。
<L字型キッチン>
上から見たとき、L字のように見える「L字型キッチン」は、作業スペースを広く確保しつつも動線が短く、使い勝手がよいのが特徴です。I型と同様に、壁付けにすることもL字の一部を対面にすることも可能です。
<II型キッチン>
セパレート型とも呼ばれる「II型キッチン」は、シンク側とコンロ側が分けられ、平行にレイアウトされているキッチンです。振り向くだけでコンロとシンクを行き来できるため作業動線がよく、複数人が同時にキッチンに立ちたいときにも便利です。
また、シンク側とコンロ側の幅や、それぞれの高さを変えるなど、作業に合わせて調整しやすいというメリットもあります。
1-2.好みのデザインを探す
システムキッチンは、LIXILやタカラスタンダード、パナソニックなど多くのメーカーがさまざまなラインナップを展開しています。
メーカーによって扉の色や天板の素材、引き出し収納の取手など、選べるデザインが異なるため、それぞれの特徴を調べて自分の好みにあったキッチンを探しましょう。
1-3.キッチン設備を充実させる
キッチンメーカーでは、天板や扉などキッチンそのものの部材だけでなく、水栓やコンロ、レンジフード、収納設備などについても多岐に渡る提案をしています。
よく目につく水栓やレンジフードのデザイン、そして収納の機能性などにこだわると、より理想のキッチンに近づけます。デザインや機能についても選択範囲は広く、採用する場合はオプションという場合もあるため、予算と相談しつつ選びましょう。
1-4.充実した収納スペースを作る
キッチンは、収納力も大切です。せっかくおしゃれなキッチンを備えても、収納力が低ければ、スッキリと片付けられずに雑然としてしまうためです。
キッチンをリノベーションするときは、収納力にもこだわりましょう。システムキッチンの場合、本体収納の引き出しにサイレントレールを採用すると、静かに閉まるためお皿やコップなどの食器類も収納できるようになります。
キッチンの背面にカウンター収納などを設ける際は、扉をつけずにざっくりとオープンな収納にすると、使い方に合わせてカスタマイズしやすくなるうえ費用も抑えられます。
また、キッチン横に、来客から見えにくいパントリーを設けるのもアイデアです。
1-5.傷や汚れに強く長持ちする素材を選ぶ
キッチンは水や油を使うことから汚れやすいので、傷や汚れに強い性質を持つ素材を選ぶのがおすすめです。傷や汚れに強ければ、キッチンをきれいな状態に維持し、家族みんながいつでも気持ちよく使えます。
汚れにくい素材といっても、ステンレスや人工大理石、ホーローなどいろいろあります。素材によってキッチンの印象も違ってくるので、お手入れしやすい素材のなかから好みのタイプを選びましょう。
1-6.簡単に掃除ができる
キッチンをきれいなまま使うためには、キッチンそのものはもちろん、設備についても簡単に掃除できるものを選ぶことが大切です。
たとえば水流できれいになる排水口や、ファンの掃除が不要なレンジフードを選ぶなどすれば、お手入れを楽にしつつキッチンをきれいに保てます。
なお、国が実施しているリフォームに対する補助金事業のひとつ「こどもみらい住宅支援事業」では、「家事負担軽減に資する住宅設備」として、規定の条件を満たす掃除しやすいレンジフードが補助金の対象とされています。
ほかにもビルトイン食洗機の導入、対面キッチンへの改修などでも補助金を受けられる可能性があるので、気になる方はチェックしてみましょう。
出典:こどもみらい住宅支援事業|リフォーム|「子育て対応改修」
キッチン選びで失敗しないために押さえておきたい4つのポイント
キッチンをリノベーションしたあとに「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためには、キッチンだけではなく家全体を意識して計画することが大切です。
ここではキッチン選びで失敗しないために押さえておきたいポイントを、4つ紹介します。
2-1.部屋の広さを十分に確保できるか確認する
キッチンを選ぶときには、設置したいキッチンが必要とする十分な広さを確保できるか確認することが大切です。キッチンだけにこだわってしまうと、ダイニングやリビングが狭くなってしまう場合があるためです。
たとえば既存のキッチンが壁付けのI型キッチンなどの場合、コミュニケーションを取りやすい対面キッチンへ変更するリノベーションは人気があります。しかし対面にすると、そのぶんスペースを使います。
ダイニングやリビングのスペースに余裕をもたせるためには、Ⅱ型などのコンパクトなキッチンを選択する、家具や家電をどこに配置するかをあらかじめ検討するなどしておきましょう。
キッチンのレイアウトをイメージしておくと同時に、十分な収納を確保できるかも確認しておくことが大切です。
2-2.内装やインテリアを考慮した色を選ぶ
キッチンをリノベーションする場合は、リビングやダイニングの内装やインテリアも考慮して色を選びましょう。そうすれば、全体の統一感が生まれるためです。
たとえばリビングやダイニングはナチュラルで温かみのある内装やインテリアなのに、無機質なオールステンレスのキッチンを入れると場合によっては見た目がチグハグに感じてしまう恐れがあります。キッチンだけピンポイントで見るのではなく、家全体のイメージとあわせることを考えましょう。
2-3.こだわりの設備が設置可能かどうか確認する
キッチンでこだわりたい設備があるときには、そもそもその設備を設置できるかをあらかじめ確認することが大切です。とくにチェックしておきたいポイントは、以下の3つです。
2-3-1.海外製品はサイズ対応しているか
キッチン設備に海外製品を導入したいときには、設置予定のキッチンに取り付けられるか事前に確認することが重要です。
たとえば海外製のビルトイン食洗機を導入したい場合、メーカーによってはサイズが合わないこともあります。せっかく送られてきた食洗機が設置できなければ、サイズが合うものを再度購入しなければなりません。
また海外製品は、ものによっては納期に半年以上かかるケースがある点にも注意が必要です。悩みそうな人は、適切な時期に発注できるよう早めに検討を始めましょう。
2-3-2.欲しい設備と希望のデザインが両立するか
欲しい設備と希望のキッチンが適合するかも、あらかじめ確認が必要です。オーダーの造作キッチンの場合は自由が効きますが、システムキッチンの場合は海外製品でなくても、設備によっては導入できるキッチンが制限されることがあるためです。
たとえば戸建ての場合、ディスポーザーを導入するときには、メーカーによっては特定のシンクしか選べないなど制約されている場合があります。欲しい設備を導入しても希望のデザインのキッチンにできるかは、事前に確認しておきましょう。
2-3-3.設備が自分にあっているかどうか
キッチンの使い勝手が自分に合っているかについても、事前に確かめることが大切です。導入してから使いづらいと感じても、取り換えるのは現実的には困難なためです。
たとえばキッチンの高さは、JIS規格により各メーカーとも80cmから95cmまで、5cm刻みで揃えています。使いやすいキッチンの高さは「身長÷2+5cm」とされているため、主にキッチンを使う人にあわせて高さを選ぶと使い勝手がよくおすすめです。
リノベーションに際しては、希望の位置にキッチンを移動できるかあらかじめ確認しておくことが重要です。キッチンが移動できる場所は、建物構造や排水管の位置によって決まるためです。
たとえばコンクリートと床板の間にスペースがある「二重床」と言われる構造であれば、配管の勾配が取りやすいので、キッチンの移動は比較的容易です。しかしコンクリートに床板が直張りされている「直床」で、配管がコンクリートに埋まっているようだと移動に制限が出ます。
ただしアイデア次第では、希望の配置を叶えられることもあります。あるいは方法を考えるなかで、よりよい間取りを思い付くかもしれません。まずは、担当の設計士に相談してみましょう。
こだわりあふれるキッチンのリノベーション事例5選
ここからは、こだわりあふれるキッチンをリノベーションで実現した事例を5つ紹介します。リノベーションのアイデアを考える際、参考にしてみてくださいね。
3-1.夜はバーに変身!音楽とお酒をゆっくり楽しめるキッチン
キッチン本体には既製品を使い、周りを無垢材で造作することで、カフェのようなおしゃれなバーカウンターが備わったキッチンに仕上げました。照明にもエジソンライトを採用することで、レトロな雰囲気を演出しています。夜にはまるでバーにいるように、音楽とお酒をゆっくりと楽しめるキッチンです。
3-2.存在感がありながら主張しすぎないシンプルモダンなキッチン
白と木の色、そしてシルバーのみに配色をそろえることで、統一感を出したリノベーションをおこないました。アイランドキッチンには、オールステンレスのシステムキッチンを採用。つや消しタイプを選んだことで、存在感はあるのにステンレスの主張が抑えられ、シンプルモダンでスタイリッシュなキッチンを実現しています。
3-3.シンプルながら使いやすい清潔感あふれる白い造作キッチン
「現代美術館」をイメージし、白と直線で構成された空間に溶け込ませるために、キッチンも白で造作しました。幅広で大きなアイランドキッチンは、シンプルで使い勝手も抜群です。どうしても存在を主張しがちな冷蔵庫を、キッチン横のパントリーに入れ込んだことで、よりシンプルなキッチン空間を演出するのに成功しています。
3-4.スペースを最大限活かすための工夫満載の壁付けL型キッチン
「リビングをできるだけ広く取りたい」という希望を実現するために、L型キッチンを造作して壁付けで配置しました。キッチンのすぐ横にワークスペースを配置したことで、煮物をコトコト炊きながらちょっとした仕事を進めるなど、効率よく家事をこなせます。造作キッチンは、収納するものを具体的にイメージして設計できるのもメリットです。
3-5.作業しやすい広々としたワークトップが魅力のL字型キッチン
L字キッチンを造作し、ペニンシュラスタイルに配置しました。作業スペースが広いので、たくさんの食材を広げても快適に調理を進められます。ワークトップはオールステンレスなので清掃性も抜群です。料理中に水や油で汚れても、さっとひと拭きするだけで常に清潔に保てます。ふんだんにグリーンを配することで、生き生きしたキッチン空間となっています。
まとめ
こだわりのキッチンへのリノベーションを成功させるには、動線を意識する、ほかの部屋とのデザインの統一性を考慮する、収納スペースを確保するなど押さえておくべきポイントがいくつもあります。
とくに希望するキッチンが部屋のサイズとあっているか、理想のキッチンの配置を実現できるかは重要なチェック項目です。物件を購入してから「考えていた間取りにできない」となると、いくら後悔してもしきれません。
とはいえ、どのような物件なら希望のリノベーションができるのか、自分で見極めるのは自信がなくて不安な人が多いのではないでしょうか?そんなときには、予算立てから物件選び、リノベーションまでワンストップでサポートしてくれるリノベーション会社を選ぶのがおすすめです。
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