資産価値を考えたリノベーション|価値を決める要素とリノベ事例3選
「リノベーションすると資産価値に影響が出るのかな?」と疑問に思われてはいませんか?
結論から言うと、リノベーションそのものがマイナスに働くことはあまりありません。
コツを押さえたリノベーションや、適切なメンテナンスをすることで、売却時に買主を見つけやすくなることが期待できます。
そこで今回は、以下の内容を紹介します。
- 物件の資産価値を決める要素
- 将来的の資産価値を考えたリノベーションのポイント
- 将来の資産価値を考えたリノベーションの例
将来的なリセールバリューまで考慮したリノベーションを検討したい人は、参考にしてみてくださいね。
宅地建物取引士/元銀行員
鰭沼 悟
宅地建物取引士、不動産投資家歴15年、元銀行員。不動産仲介からリノベーション設計・施工をワンストップで提供する株式会社grooveagent(ゼロリノベ)代表取締役。
物件の資産価値を決める4つの要素
戸建て住宅やマンションなど、不動産の資産価値を決める要素は、主に以下の4つが挙げられます。
- 物件の立地
- 物件の築年数
- 物件の管理状態
- 物件の間取りや内装
順番に解説します。
1-1. 物件の立地
物件のある場所、つまり立地は資産価値にもっとも大きな影響を与える要素です。
多くの人が住みたいと思える場所にある物件は、需要が高くなるため資産価値も高いのが一般的です。たとえば交通の利便性が高い駅近の物件や、学校や病院、スーパーマーケットなど、生活するうえで必要な施設が集まるエリアにある住宅は、売却に際しても買主を見つけやすいと考えられます。
また現時点ではそれほど開発されていなくても、街の発展にともなって資産価値が高まっていくこともあります。これから物件を購入するのであれば、エリアの今後の開発計画を、不動産会社に確認しておくとよいでしょう。
1-2. 物件の築年数
戸建て・マンションにかかわらず、住宅は新築時がもっとも値段が高く、築年数が古くなるほど建物の価値は低下し、土地代のみの価格になっていくのが一般的です。
以下は東日本不動産流通機構が発表した、2021年に売却された中古住宅の築年数ごとの成約価格です。
【参考】築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)|東日本不動産流通機構
上表からわかるように、築年数の経過にともない、物件価格は下落する傾向があります。しかしどちらも築25年を境に価格の減少幅は小さくなり、とくにマンションはほぼ横ばいになっているのがわかります。
築年数は築25年頃までは資産価値に大きく関与しますが、以降は影響力が小さくなると考えてよいでしょう。
1-3. 物件の管理状態
物件がこれまでどのように管理されてきたかも、資産価値に影響を与えます。これまでどのようにメンテナンスされてきたかによって、建物の劣化の程度が異なるためです。
たとえば戸建て住宅であれば、定期的に外壁や屋根の塗装メンテナンスがされていれば、外装の劣化は比較的抑えられている可能性が高くなります。日本の戸建て住宅は木造住宅が多いため、雨から守る外装の状態がよければ、構造部分も良い状態に保たれていると期待できるでしょう。
一方マンションについては、共用部分の管理がしっかりなされているかが重要です。専有部分については、クロスや床の張り替え、設備の入れ替えなどで刷新できますが、共用部分は個人が管理・修繕することはできないためです。
そのため共用部分の管理がしっかりなされているか、長期修繕計画は定期的に見直され、大規模修繕が計画通りに進んでいるかをチェックすることは、資産価値の面でも非常に大切です。
今から住宅購入を検討している人は、戸建住宅の場合、資料が現存していれば売主が、マンションの場合は管理会社から取り寄せて見ることができます。
1-4. 物件の間取りや内装
物件の間取りや内装も資産価値に影響を与えると考える人は少なくありません。しかし実際には、間取りが個性的、内装が劣化しているからといって、資産価値が大きく下がることはないとされています。それらはリフォームやリノベーションにより、変えることのできるポイントであるためです。
むしろ個性的な物件は、売却ニーズによっては類似物件との差別化ポイントとなる可能性もあります。ただし一般的には、清潔感のある、シンプルな内装が好まれやすい傾向があることは認識しておきましょう。
将来の資産価値を考えたリノベーションの4ポイント
将来的な売却を見据え、リセールバリューを意識したリノベーションをしたいときには、以下の4つのポイントを押さえることをおすすめします。
- さまざまなライフスタイルにマッチしやすい間取り
- 建材の質
- 日当たり・風通しの良さ
- 実用性の高い住宅設備
どのような内容か、順番に説明します。
2-1. さまざまなライフスタイルにマッチしやすい間取り
リセールバリューを考慮するのであれば、年齢層や家族構成を問わず、さまざまなライフスタイルにマッチしやすい間取りにするとよいでしょう。個性的すぎる間取りは、欲しいと思う人が減ってしまう可能性があるためです。
たとえば住居内の段差がないユニバーサルデザインは、どんな人にもやさしい住まいとして好まれます。広いリビング、対面キッチンなども、さまざまなライフスタイルの人に人気が高い間取りです。
希望のエリアで人気のある物件や間取りをチェックし、ニーズを把握して反映すると、資産価値や将来の売却を意識したリノベーションに成功しやすくなります。
ニーズが高い間取りを参考にしつつ、余白を残して可変性を高くしておくと、将来売却するときに買い手のターゲットが広がります。
2-2. 建材の質
壁紙や床材といった建材は基本的に変更できるものであるため、資産価値に大きな影響は与えないとされています。ただし自然素材をリノベーションで取り入れると、新建材では得られない経年変化でより深みのある雰囲気になり、セールスポイントにできる可能性があります。
たとえば壁紙は経年により劣化していきますが、塗り壁だと長くよい状態を保ち、上から塗りなおすことも可能です。床や壁に無垢材を使用すれば、経年とともにあめ色に変化し、新築物件では得られない味わいを感じられるようになります。
ナチュラルな暮らしをしたいと考える層にアピールすれば、価値を感じてもらえるでしょう。
2-3. 日当たり・風通しの良さ
日当たりや風通しなどは、立地の影響が大きいとされていますが、間取りが悪くて本来のよい環境を活かしきれてないケースも少なくありません。
条件によっては、リノベーションにあわせて間取りを大きく変更し、光や風がまわる住まいにすることも可能です。
下の写真は、個室の間仕切り壁を撤去して、広々としたLDKにすることで、採光と通風を改善した事例です。
もともとの個室は腰高窓からの明かりしか入らないため薄暗く、さらにドアを閉めると風が抜けないことから家具の裏などにカビが発生しやすくなっていました。リノベーションに際して壁を取り壊し、空間をつなげたことで、日当たりと風通しの問題を解消できました。
日当たりや風通しがよくなり湿気やカビを抑えられるようになれば、物件をよい状態に保ちやすくなり、資産価値の維持につながります。
2-4. 実用性の高い住宅設備
将来のリセールバリューを考慮したリノベーションでは、実用性の高い設備を取り入れることもポイントです。
とくにキッチンや浴室、洗面所などの設備については、一般的な大きさ、機能を有した設備を採用することも大切です。極端に小さなサイズのキッチンや風呂などは、選択肢が少なくなるうえ交換が難しく、間取りにも影響するため避けるのが無難です。
また、モニター付きインターホンを導入して防犯性を高める、戸建てであればインターネット環境を整備するなど、誰もが「あったらうれしい」と思う設備の導入を検討しましょう。
将来の資産価値を考えたリノベーションの3事例
ここからは、将来の資産価値まで考慮してリノベーションした事例を紹介します。どのようなことを意識したのか、リノベーション計画を立てる際の参考にしてみてくださいね。
3-1. 【事例1】犬にも優しい!すべてをフラットにしてドアもなくした事例
もともと3LDKだったマンションをスケルトンにし、広々とした1LDKへとリノベーションした事例です。住戸全体をワンフロアに見立て、もともと一段高くなっていたキッチンの高さを揃えることでオールフラットな空間にしました。
<間取り図>
回遊性を高めるために、キッチンやサニタリー、ウォークスルークローゼットはすべて通り抜けられる設計に。犬が自由に移動できるよう、玄関と廊下以外にドアは設けていません。
オールフラット、さらにドアの開閉を不要にしたことで、ペットを飼っている人はもちろん、高齢者や車イスで生活する人にも選んでもらいやすい住まいになりました。
3-2. 【事例2】個室を確保しつつ、室内窓を設けて風通しにも配慮している事例
2LDKのマンションを、1DKにリノベーションしました。2つの洋室を取り払い、新たに設けた寝室は、採光と通風を確保するために、リビングと接する壁の上部に室内窓を設置。
反対側の壁も天井よりも低くして空間を設けたことで、風が通り左右から明かりが入る過ごしやすい寝室になりました。
<間取り図>
玄関も、広いスペースを確保することで、窓から明かりが入る明るい空間に。玄関から続く廊下に面するウォークインクローゼットと寝室は、壁を作らずカーテンで柔らかく仕切ることで、出入りしやすく風通しが良くなる工夫がされています。
3-3.【事例3】 耐久性が高く経年変化も楽しめる自然素材を使った事例
自然素材にこだわり、無垢材と塗り壁で仕上げた事例です。床には無垢フローリングを採用し、壁は同じく無垢材、そして漆喰の塗り壁で仕上げ、使うほどに快適性や風合いが増す内装になりました。キッチンカウンターや洗面カウンターも無垢材で造作してもらったので、家全体の一体感があります。
<間取り図>
窓のない寝室や洗面所への入口、クロゼットの扉には、格子状の引き戸や開き戸を採用することで通風を確保。コテあとをランダムに仕上げた漆喰の塗り壁は、汚れが気になるようになったときには自分たちで上から重ね塗りすることも可能です。
自分たちで手を入れられる自由度の高さ、そして家族の成長とともに経年変化を楽しめるのが、自然素材の家の魅力です。
まとめ
中古住宅をリノベーションするときには、将来のリセールバリューまで考えて、物件選びやリノベーション内容を検討するのも方法のひとつです。
ただし物件の資産価値は、間取りや内装などあとから変えられる部分より、立地条件や築年数、管理状況の影響が大きいとされています。これから物件を選ぶときには、今後の周辺環境の変化まで考慮することが求められるでしょう。
しかし実際に物件を選ぶとなると「どの物件がいいのかわからない」「プロじゃないので判断が難しい」と不安に感じる人が多いのではないでしょうか。ゼロリノベでは、リノベーションのご提案はもちろん、安心して長く住むため、また将来の売却も視野に入れた中古物件の目利きも得意としています。
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編集後記
私も住宅購入を決めたとき、なにか想定外が起こってどうしても引越しが必要になったらすぐに売却できるだろうかと考えました。自分や家族が快適に暮らせることも大事ですが、売りやすさも考えて物件選びやリノベーションをしておくと万が一のときも安心ですね。物件購入がこれからという方は、「中古マンションは築25年以上が買い時!寿命や価格から購入時の注意点を解説」の記事もぜひご覧になってみてください。
築年数が古いからといって資産価値がないとは言い切れません。数値的な年数よりも適切に管理されているかどうかが、中古物件の耐久性においては重要なのです。ゼロリノベでは管理状態の良し悪しを厳正に見極めるからこそ資産価値のある物件の目利きも得意。素人では判断が難しい部分は、プロの経験と知識を頼ってみてはいかがでしょうか。
将来的な売却も考えた上で中古物件リノベーションをするのであれば資産性につながるポイントをしっかりと抑える必要があります。事例を参考しながら自分たちのライフプランに合った物件選びやリノベーションを進めましょう。