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くつろがなくても満たされる。 至高の“100%ワーク” [自由に住みたい大人たち Vol.2 Ai Horikawaさん]

住まいや暮らしに求める自由の形は人それぞれ。フードデザイナーとして、アートのようなスイーツを創り出すAi Horikawaさんが見つけた “自由” とは?

PROFILE ● Ai Horikawa
フードデザイナー。オンラインのフードデザインスクール「Food Design Lab」代表。レシピ開発からフードスタイリング、撮影監修まで、スイーツを中心に食のトータルプロデュースやSNSでの発信を行っている。著書に『本当は秘密にしたい、とにかくかわいいときめきスイーツ』(KADOKAWA刊)『なんでもない日の洋風ごちそうおつまみ』(ワニブックス刊)

目次

空間を白い器に見立ててデザインする

白いマーガレットのような笑顔で「どうぞ」と自宅に迎え入れてくれたのは、フードデザイナーのAi Horikawaさん。グレーのニットに黒いパンツスタイルというシックな装いが、モノトーンの空間とシンクロする。「天井は質感が気に入ったコンクリートを現しにしました。その下の白い部分は、水まわりと寝室を収めた “部屋の中の箱”。箱の角をアールにしたことで、40㎡くらいしかない空間が広く見えるようになっています」

確かに “箱” の壁が、玄関から窓際、LDKの最奥へと、弧を描いた2つのコーナーをまわって視線を滑らかに誘導する。その有機的なフォルムと白さは、モノトーンの空間を軽やかに浮遊させていた。

丸みを帯びた “箱”が、剥き出しのコンクリートの粗さを和らげる。ビッグダイニングを兼ねたアイランドキッチンも白に
左/ “箱” の扉を開けると洗面室。奥の死角にはトイレを設置
右/玄関ドアの横に全面ミラーを設けて圧迫感を軽減

以前の賃貸住まいが手狭になって引っ越しを考えた際、「どうせお金を払うなら、ゼロから自分でつくりたい」と、中古マンションを買ってスケルトンリノベーションをすることに。設計を依頼した建築家の友人から提案されて気に入ったのが、上述の “箱” のデザイン。そしてもう一つ、“器” のアイデアだったそう。

「部屋を大きなお皿に見立てて設計するので、その中は自由にデザインしてね、と言われました。そこで、ベースカラーは白をメインに、コンクリートのグレー、差し色の黒の3色に。空間自体もシンプルな間取りでスッキリしているので、食器や植物、雑貨で彩りを加えたり、形で遊んだり。飾れる見せ場をたくさんつくって、自分で好きにデザインできるようにしました」

壁に絵を飾ったり、時計を掛けたりせず、
物を全て棚におくことで空間上部を余白として残し、開放感を演出
キッチンのサイドには見せ場になる飾り棚、ガスコンロの対面にはホームパーティーをしやすいハイスツールを設置
「色を足すなら、木や花、食材など、生命力を感じる本物の色味が好き」

住まいは「大きなクリエイト」

美大生時代に絵やグラフィックデザインに取り組んでいたAiさんは、根っからのクリエイター。キャンバスに絵を描くように、器にカラフルなスイーツを盛り付けて撮影し、瑞々しさを写真に収める。実は甘いものが苦手で、お菓子をあまり食べないというが、それを仕事にしたのは自己表現できる創作対象として自由度が高くて魅力的だったからだと話す。

レシピ開発から調理、撮影までAiさんが行ったスイーツ。
最初にビジュアルを決めて完成図を描いてから、レシピを考える

「クリエイターとして何をつくるか考えたとき、ビジュアル的なデザインの自由度が高いと思ったのがお菓子だったんです。住まいも同じ感覚で、もっと大きなクリエイトだから刺激的でした! 実際、建築デザイナーさんと一緒にデザインを考えていく作業はおもしろかったし、3日置きに工事の進捗を見に行っていたので、どんどん変わっていく様子にもワクワクしました。また、いい物件に出合えたら、次もリノベをしたいと思います」

 “100%ワーク” が自分らしい

自分にとって程良い広さだったという40㎡の物件を、スタジオ兼自宅としたAiさん。職住一体の空間でライフワークバランスをどう取っているのか訊ねると、「考えたことがない」と少し困った笑顔を向けた。

「振り返れば以前の家も含めて、ゆっくりするためのスペースをつくろうと思ったことはあまりないかもしれません。私の中ではプライベートと仕事が分かれていなくて、家にいるときは基本的にずっと何か作業をしています。それらはだいたいが仕事につながっているし、毎日、自分の楽しいことをやっているという感覚なんです。だからとにかく、いつでも好きな作業が快適にできる環境をつくりたかった。その答えがスタジオ兼自宅でした」

作業台のスペースを広く取ることを優先して、ガスコンロはコンパクトな2口に。
よく使う食器や鍋は背面ボードに収納

「友達を呼んでごはん会を開くのが好き」なので、大人数で集って話や料理を楽しめるつくりにしたことも、プライベートとはいえフードデザインにつながっている。ライフとワークがピタリと重なる生き方に似合う、100%ワークの家こそがAiさんの求めた心地よさだった。

結婚して気づいた、足りないもの

自宅にいるときは、PC作業をする「ダイニングの端っこ」が定位置。それ以外は、キッチンでスイーツを創作しているか、窓際で撮影しているか。「あってもほとんど使わないのでテレビもソファも置いていないし、デザインが気に入って買ったアカプルコチェアもあまり使っていません。でも快適に仕事ができるので、家での時間はとても充実しています」。しかし最近、結婚したことで、一つの思いが浮かんで弾けた。「2人でくつろぐ場所があったほうがいいな」

「もともと結婚したから絶対同居しなきゃ、とは考えていませんでした。今はお互い歩いて行き来できる距離に住んでいて、いつでもすぐ会えるので、別居のままでも困ってはいないんです。ただ、家で過ごす2人の時間も大切にしたいと思うようになりました」

モノトーンの空間に合わせたアカプルコチェア。
窓際は、自然光を利用してスイーツを撮影するスタジオに

自由のあり方を見つめて

家はこうあるべき。結婚したらこうするべき。そんな既成概念は彼女の中にない。心のありように素直に従い、描いてきたのは、自分を充実させる暮らし。そこに家族という新しい色が加わった。「今までは、空間を全て自由にできること。ビジュアル面も使い勝手も、思うようにデザインできること。それが私にとっての自由な住まいでした。でもこれからは、 優先順位に “家族との暮らしやすさ” も加えていきたい」

100%ワークから、夫婦時間も持てる家へ。そう考えるようになり、自分のためにつくった今の家は仕事場に、自宅の機能は2人の新居にと、職住を分けることにした。「新居には2人でくつろぐ場所を設けたいし、子どもができたら、また考え方が変わるかもしれません。そうやってこれからは、今までと違う視点で家族と “自由な住まい” を探していくのが楽しみです」。ライフステージが変わるたび、新しい暮らしの器に彩りを添えていくのだろう。

   

構成・取材・文/樋口由香里 撮影/水谷綾子
※スイーツはAi Horikawaさん撮影


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