【トラブル解決】給湯器からお湯が出ない6つの原因と対処法

給湯器からお湯が出ないとき、パニックになる前に自分でできる確認と対処法があります。本記事では断水や電源トラブルから設定ミスまで、お湯が出ない原因を6つに分類し、それぞれの対処法を専門家の知見をもとに解説します。多くの場合、業者を呼ぶ前に自分で解決できるポイントを押さえておけば、冷たいシャワーに震える事態を回避できるでしょう。
お湯が出ない原因と基本的な対処の流れ
給湯器からお湯が出ないというトラブルは、日常生活において非常に不便を強いられる問題です。しかし、多くの場合は専門業者を呼ぶ前に自分で確認・解決できる可能性があります。まずは基本的な確認事項と対処の流れを理解し、冷静に対応することが大切です。
給湯器トラブルの主な6つの原因
給湯器からお湯が出ない場合、主に以下の6つの原因が考えられます。これらを順番に確認していくことで、効率的に問題を特定できます。
- 水道関連のトラブル
- ガス供給の問題
- 給湯器本体やリモコンの設定不良
- フィルターの詰まりや安全装置の作動
- 電気系統の不具合
- 給湯器本体の故障や経年劣化
これらの原因は、いくつかの簡単なチェックポイントを確認するだけで特定できることが多いです。例えば、水道関連のトラブルであれば、他の蛇口でも水が出ないか確認することで判断できます。ガス供給の問題であれば、ガスコンロを点火してみることで確認できます¹⁾。
トラブル対応の基本的な流れ
給湯器のトラブルに対応する際は、以下の順序で確認していくと効率的です。
- まず水道と蛇口をチェック
- ガスの供給状況を確認
- 給湯器本体とリモコンの状態を確認
- フィルターや安全装置をチェック
- 電気系統を確認
- 上記で解決しない場合は専門業者に相談
この順序でチェックしていくことで、多くの場合は問題の原因を特定できます。特に最初の3つのチェックポイントで解決することが多いため、冷静に一つずつ確認していきましょう²⁾。
水道・蛇口関連のトラブル対処法
給湯器からお湯が出ない最も基本的な原因は、そもそも水自体が供給されていないケースです。水道関連のトラブルを確認することで、問題を早期に特定することができます。
水道供給の確認方法
水道供給に関する問題を確認するためには、以下のポイントをチェックしましょう。
- まず水自体が出るか確認する:お湯が出ない蛇口で水が出るか試してみてください。水も出ない場合は、水道側の問題が考えられます¹⁾²⁾。
- 複数の蛇口で確認する:キッチン、洗面台、浴室など他の場所の蛇口でも水やお湯が出るか確認します。1カ所だけ問題がある場合は、その蛇口自体の問題である可能性が高いです³⁾。
これらの確認で水自体が出ない場合は、断水や水道料金の未払いなどが考えられます。自治体のホームページなどで断水情報を確認するか、水道局に問い合わせてみましょう⁴⁾。
止水栓の確認方法
水が出ない原因として、止水栓が閉まっているケースも多いです。止水栓の確認方法は以下の通りです。
給湯器の止水栓
- 給湯器本体の近くにある給水側の止水栓を確認します
- 通常は青いカバーや青いハンドルがついています
- ハンドルが管と平行になっていれば開いている状態、垂直であれば閉じている状態です
- 閉じている場合は、ハンドルを回して開けてください⁵⁾
蛇口の止水栓
- 蛇口の下のキャビネット内にある止水栓を確認します
- 蛇口ごとに独立した止水栓がある場合が多いです
- 止水栓が閉まっている場合は、ハンドルやネジを反時計回りに回して開けます⁶⁾
止水栓が原因で水が出ない場合は、これらを開けることで解決することが多いです。特に、最近工事や修理を行った場合は、作業後に止水栓を閉めたままになっているケースがあるため注意しましょう。
ガス関連のトラブル対処法
給湯器はガスを使ってお湯を沸かすため、ガス供給に問題があるとお湯が出なくなります。ガス関連のトラブルを確認する方法と対処法を見ていきましょう。
ガス供給状態の確認方法
ガス供給に問題がないか確認するためには、以下の手順を試してみましょう。
- ガスコンロでの確認:キッチンのガスコンロが点火するか試してみます。点火しない場合は、ガス供給に問題があると考えられます¹⁾⁴⁾。
- ガスの元栓確認:ガスの元栓が閉まっていないか確認します。元栓は通常、ガスメーターの近くにあります¹⁾。
- プロパンガスの場合:ガスボンベが空になっていないか確認します。プロパンガスは残量がなくなるとガスが出なくなります⁷⁾。
ガスコンロも点火しない場合は、ガス供給全体に問題がある可能性が高いです。この場合、ガス会社に連絡する前に、まずはガスメーターを確認しましょう。
ガスメーターの確認と復旧方法
ガスメーターが遮断されている場合は、以下の手順で復旧を試みることができます。
ガスメーターの確認方法
- ガスメーターのディスプレイを確認します
- 「ガス止」や「復帰」などの表示がある場合は、ガスが遮断されています
- 赤いランプが点滅している場合も遮断されている状態です⁸⁾
ガスメーターの復旧操作
- すべてのガス機器(コンロ、給湯器など)を停止します
- ガスメーターの「復帰」ボタンを押します
- ディスプレイの表示が変わり、数値が表示されれば復旧完了です
- 復旧後、給湯器のリモコンの電源を入れ直してください¹⁾⁸⁾
ガスメーターの復旧操作で解決しない場合や、繰り返しガスが遮断される場合は、ガス漏れなどの重大な問題が考えられます。この場合は自分で対処せず、ガス会社に連絡しましょう⁹⁾。
給湯器本体・リモコンの確認
給湯器本体やリモコンの設定が正しくないと、お湯が出ないことがあります。基本的な設定を確認することで、多くの場合は問題が解決します。
リモコン設定の確認ポイント
リモコンに関する以下のポイントを確認しましょう。
- 電源が入っているか:リモコンの電源ボタンを押して、ディスプレイが点灯するか確認します³⁾。
- 設定温度が適切か:設定温度が低すぎると、水との温度差がわかりにくく、お湯が出ていないと勘違いすることがあります。40℃以上に設定することをおすすめします³⁾⁴⁾。
- 給湯表示があるか:リモコンに「給湯」や「お湯」などの表示があるか確認します。表示がない場合は、給湯モードになっていない可能性があります¹⁰⁾。
リモコンの電池切れが原因でお湯が出ないこともあります。電池交換が必要な場合は、メーカーの取扱説明書を参照して適切な電池に交換してください。
エラーコードの確認と対処法
リモコンにエラーコードが表示されている場合は、具体的な問題が特定されています。エラーコードが出た場合の対処法は以下の通りです。
よくあるエラーコードと意味
各メーカーごとに異なっていますが、例えばリンナイでは下記のようになっています¹¹⁾。
- 「11」または「111」:点火エラー(ガス供給不足や点火装置の不良)
- 「12」または「121」:断水や給水不足
- 「14」または「140」:凍結や異常過熱
- 「32」または「320」:給湯温度センサーの異常
エラーコード対処の基本手順
- エラーコードをメモします
- 取扱説明書でエラーコードの意味を確認します
- メーカーのウェブサイトでも確認できます
- 指示に従って対処します(多くの場合、リセット操作や簡単なメンテナンスで解決します)³⁾
エラーコードが出ている場合でも、一度電源を切って数分後に再度電源を入れると復旧することがあります。それでも解決しない場合は、エラーコードをメモしておき、メーカーのサポートセンターや専門業者に相談しましょう¹²⁾。
フィルターと安全装置の確認
給湯器のフィルターや安全装置に問題があると、お湯が出なくなることがあります。定期的なメンテナンスが必要な部分ですので、確認方法と対処法を知っておきましょう。
フィルターの掃除方法
フィルターが詰まると水の流れが悪くなり、お湯が出にくくなったり、出なくなったりします。フィルターの掃除方法は以下の通りです。
給湯器のフィルター(水抜き栓)の掃除手順
- 給湯器の電源を切り、ガスの元栓を閉めます
- 水抜き栓(通常は給湯器下部にあります)の位置を確認します
- 水抜き栓を左に回して取り外します(この時、水が出るのでバケツなどを用意しておきましょう)
- フィルターに付着したゴミや汚れを水で洗い流します
- 元の位置に戻して右に回して締めます⁵⁾⁶⁾⁴⁾
循環フィルターの掃除(追い焚き機能付きの場合)
- 浴槽のお湯を抜きます
- 循環口のカバーを外します
- 中にあるフィルターを取り出して水洗いします
- 元の位置に戻します¹³⁾
フィルターは3〜6ヶ月に一度程度の定期的な掃除が推奨されています。特に水質が硬い地域や、砂や鉄錆が多い地域では、より頻繁な掃除が必要です。
安全装置の確認とリセット方法
給湯器には安全を確保するためのさまざまな装置が搭載されており、異常を検知するとお湯が出なくなることがあります。主な安全装置とそのリセット方法は以下の通りです。
過熱防止装置
- 給湯器が異常過熱すると作動します
- 一度電源を切り、しばらく時間をおいて冷却させます
- 再度電源を入れるとリセットされることが多いです⁴⁾
空焚き防止装置
- 水が不足している状態での運転を防止します
- 水の供給を確認し、断水していないか確認します
- 水が供給されていれば、電源の入れ直しでリセットできることがあります¹⁴⁾
安全装置が頻繁に作動する場合は、給湯器の故障や設置環境に問題がある可能性があります。この場合は専門業者に点検を依頼することをおすすめします。
電気系統と給湯器の経年劣化
電気系統の問題や給湯器自体の経年劣化も、お湯が出なくなる原因となります。これらの確認方法と対処法について解説します。
電気系統の確認方法
給湯器は電気で制御されているため、電気系統に問題があるとお湯が出なくなります。以下のポイントを確認しましょう。
- コンセントの確認:給湯器のプラグがコンセントにしっかり差し込まれているか確認します³⁾⁴⁾。
- ブレーカーの確認:給湯器用のブレーカーが落ちていないか確認します。落ちている場合は上げてみましょう³⁾。
- 漏電遮断器の確認:漏電遮断器が作動していないか確認します。作動している場合はリセットボタンを押してみましょう¹⁵⁾。
停電後や落雷があった後にお湯が出なくなった場合は、給湯器の電気系統に影響が出ている可能性があります。一度コンセントを抜き、数分後に再度差し込むことで復旧することもあります。
給湯器の寿命と交換の目安
給湯器にも寿命があり、経年劣化によって性能が低下したりトラブルが増えたりします。給湯器の寿命と交換の目安は以下の通りです。
- 一般的な給湯器の耐用年数:8〜10年程度
- 交換を検討すべき状況:
- 設置から10年以上経過している
- 修理を繰り返している
- お湯の出が悪くなった
- 異音や異臭がする
- エラーが頻発する¹⁾³⁾
給湯器が古くなると、部品の劣化や腐食により修理が困難になることがあります。また、新しい給湯器は省エネ性能が向上しているため、電気代やガス代の節約にもつながります¹⁶⁾。
給湯器交換の費用目安
- 従来型給湯器:10〜15万円程度(工事費込み)
- 高効率給湯器(エコジョーズなど):15〜25万円程度(工事費込み)
- 電気温水器からガス給湯器への変更:追加工事費が必要¹⁷⁾
給湯器の交換を検討する際は、複数の業者から見積もりを取り、補助金制度などもチェックすると良いでしょう。高効率給湯器への交換は、自治体によっては補助金が出る場合もあります。
まとめ:お湯が出ない時の対処フローチャート
給湯器からお湯が出ない場合の対処法をまとめると、以下のフローチャートのようになります。一つずつ確認していくことで、多くの場合は問題を特定し、解決することができます。
自分でできる確認と対処法
- 水道・蛇口の確認
- 水が出るか確認→水も出ない場合は断水や止水栓を確認
- 複数の蛇口で確認→1カ所だけの問題か全体の問題かを特定
- ガスの確認
- ガスコンロで点火確認→点火しない場合はガス供給の問題
- ガスメーターの確認とリセット→遮断されている場合は復旧操作
- 給湯器本体・リモコンの確認
- リモコンの電源と設定温度→40℃以上に設定
- エラーコードの確認→取扱説明書やメーカーサイトで対処法を確認
- フィルターや安全装置の確認
- フィルターの掃除→3〜6ヶ月に一度は定期的に掃除
- 安全装置のリセット→電源の入れ直しで復旧することが多い
- 電気系統の確認
- コンセントとブレーカーのチェック→抜け・落ちていないか確認
これらの確認を行っても解決しない場合や、異臭・異音がある場合は、無理をせず専門業者に修理を依頼しましょう¹⁾³⁾⁴⁾。
専門業者に依頼すべきケース
以下のような場合は、自分で対処せず専門業者に依頼することをおすすめします。
- 異臭や異音がする
- ガス漏れの可能性がある
- 10年以上使用している古い給湯器
- 水漏れがある
- 繰り返しエラーが発生する
- 上記の自己対処で解決しない¹⁾³⁾
給湯器は毎日の生活に欠かせない設備です。定期的なメンテナンスを行い、トラブルを未然に防ぐことが大切です。フィルターの掃除などの簡単なメンテナンスは自分でも行えますが、本格的な点検は1〜2年に一度、専門業者に依頼することをおすすめします。
¹⁾ 給湯器ランク:給湯器緊急対応
²⁾ カインズ:水道リフォーム
³⁾ 東京ガス横浜エネルギー:給湯器Q&A
⁴⁾ キュラシアン給湯器:コラム
⁵⁾ 水漏れ24:給湯器コラム
⁶⁾ 生活堂:給湯器トラブル
⁷⁾ 日本ガス協会:家庭用ガス機器の安全な使用方法
⁸⁾ 東京ガス:ガスメーター復帰方法
⁹⁾ 経済産業省:ガス事業法施行規則
¹⁰⁾ ノーリツ:給湯器の使い方
¹¹⁾ リンナイ:給湯器エラーコード一覧
¹²⁾ パロマ:給湯器エラーコード
¹³⁾ ノーリツ:循環フィルターの掃除方法
¹⁴⁾ 日本ガス石油機器工業会:給湯器の安全装置
¹⁵⁾ 経済産業省:電気用品安全法
¹⁶⁾ 資源エネルギー庁:家庭用給湯器の選び方
¹⁷⁾ 住宅金融支援機構:住宅設備の耐用年数