“先々まで考える仲介”として その人の人生にフォーカスする|不動産仲介のプロに聞いた ゼロリノベのここがユニーク vol.2

中古住宅の売買仲介を1500件以上監督してきた営業部の市野瀬祐樹。広さやエリアの物件条件よりも大切にしているのが「人生ありきの住まい選び」。どんな視点、どんな方法なら、住む人にフィットする「宝石物件」が見つかるのか、物件探しについて聞きました
ー語り手ー
取締役/営業部担当役員
市野瀬祐樹
物件探しをする前に
“したい暮らし”を掘り下げる
不動産仲介としてゼロリノベがユニークな点は、お客様に物件ありきで話を進めないこと。もちろんお客様は最初に予算、エリア、広さなどの要望を話しますし、一般的な不動産会社ならそれを元に物件検索しますよね。でも、物件の条件だけにフォーカスすると、その人に合うものを見つけられなかったり、不動産相場とマッチしなかったりしてしまう。その結果、不動産会社が手詰まりになって手を引くケースもよくあります。
なぜ、そうなるかというと、そもそもの条件がその人の本質的な欲求ではないということが往々にしてあるんです。だからここではファーストコンタクトで「家をなぜ買うのか」じっくりと伺います。新しい家でどんな日々を送りたいのか、その場所を選んだ理由、その広さが必要な背景、今の家がなぜ不満なのか……。潜在的・顕在的な “したい暮らし” について、言葉にできない本当の欲求まで掘り下げる。まさに、人生のロードマップを一緒につくる作業ですね。

そうすると、たいていの方は物件に求める本当の条件が違っていたことに気づかれます。例えば、物が少なくてスッキリ暮らすタイプなのに、「ネットに “3人家族なら約60㎡” とあったから、60㎡必要だと思っていた」場合。平均値にとらわれていただけなので、40㎡台でもリノベの工夫で暮らしやすくなることがわかれば、希望のエリアや予算で見つかる可能性が広がります。場所も、絶対ココとこだわっていても、求める暮らしができるなら別エリアでもいいかもしれない。
旧耐震物件を避けて探している方もそう。その理由が単に「旧耐震は買っちゃダメ」と思い込んでいるだけなら、旧耐震物件の特長や被害状況のデータを示して、新旧問わず優良物件とそうでない物件があることを説明します。「将来、売却しにくい」という理由の場合は、まず出口戦略を検討。いずれにしても最初に不安なことをクリアにし、 “したい暮らし”にフォーカスすることで、物件の選択肢はグッと広がります。

出口戦略によって
選び方が大きく変わる
物件の選び方は、将来設計によって大きく変わります。ゼロリノベで特に大事にしているのが出口戦略。終の住処を探しているなら、リセールバリューは気にせず選べるし、好きにリノベしても構いません。でも将来、住み替えを検討しているなら、広さ・場所・リノベの内容と費用など、戦略的に考える必要があります。売却したい時期にリノベの付加価値がいくらになるのか。その時に住宅ローンの残債がどれぐらいあるのか。
不動産は相場があるものだから、何年後に売りたいとわかっていれば、ある程度の予測ができます。その時の相場より残債が多くなることのないよう、物件探しの段階から不動産仲介の段階でリノベ費用までご提案して、しっかり出口戦略を描いていく。それができれば、物件購入は賃貸と同じくらい身軽だと思っています。
急ぐべきは契約ではなく
“安心物件”かを確認すること
安心できる物件を見極める最大のポイントは、今後も建物がしっかり維持されていくのかどうか。築年数にとらわれず、過去の修繕履歴や今後の修繕計画、現在の建物状況など、管理面を精査した上で判断します。だけどそこまで手をかけないで、契約を急ぐ会社のほうが多いですね。

たまに「他社で問い合わせちゃったのですが、買っても大丈夫か見てくれませんか?」というご相談があって、買うタイミングなのに詳細を知らされていなかったということも。それは不安ですよね。でも、ゼロリノベのように内見段階で確認するほうが少数派だと思います。
以前、お客様が立地も予算も全て理想通りの物件を見つけて、購入を強く希望されたことがありました。ところが、管理資料を見たら過去30年間、修繕費の徴収も修繕履歴もなし。だから、いずれ管理費・修繕費が10万円になるという話でしたので、諦めてもらったことがあります。どんなに気に入っていても、その方が家を通して自由になれなかったら意味がない。過去に管理してこなかった負の遺産を肩代わりさせるわけにはいかないですから!

不動産仲介の営業担当に
リノベの知識があるのは珍しい
不動産仲介の担当者全員にリノベの知識があることも、不動産業界としては珍しいと思います。社内に設計部も施工部もあって、建築士・施工士などノウハウのある専門社員と密に連携しているからこそ。売買専門の不動産会社だとわからないような、コンクリート状況まで把握できる建物のプロ集団であることは、お客様にとってもメリットがあると思います。
内見ではお客様の不安や質問にすぐ答えられますし、この壁は壊せるか、天井を何センチ上げられそうか、水まわりをどこまで動かせるかなども説明できます。さらに、どういう間取りが可能でどんな暮らし方ができて何人家族でも大丈夫、という提案も。その物件ならどう暮らせるか、リアルにイメージしてもらっています。

売りたいのは物件ではなく
この先の “自由”な暮らし
正直、物件を売るだけだとおもしろくないんですよね(笑)。企業理念にある「大人を自由にする」というビジョンを売るのがおもしろくてこの仕事をしています。物件ありきでは触れることのない「その人の人生」が見えて、それをより豊かにするお手伝いができるなんて、ワクワクしますよ。だから購入後の先を見据えて、不動産知識プラスアルファの踏み込んだ提案をしていきたいし、長いお付き合いをしていきたい。結果的に、家を買わない方がいい人やリノベをしない方がいい人もいますが、それでもいいんです。その人にとっての自由を得られるなら。

そんなやり方が許される不動産会社はまずないと思います。たいてい、高い物件を売ったら褒められる仕組みになっているから。でもゼロリノベでは、買いたいと言われても健全でない物件は絶対売らない。物件購入のためにライフプランから算出した「安心予算」を超えてもいけない。予算より高い物件を売ろうものなら、褒められるどころか会社から怒られます(笑)。お客様が経済的に苦しくなることは決してしない。理念の「自由」に反するからです。
こういう “先々まで考える仲介”って珍しいですよね。その人の人生を考える仕事でもあるので、その人にとっての最適解を見つけた時は達成感があります。探すべきは、誰にでも価値ある物件ではなく、その人の生き方にフィットする物件。お客様が自分にとっての「宝石物件」と出合えるように、さまざまな提案をするのが自分たちの仕事であり、やりがいです。