実はマンションの1階が住みやすい3つの理由
人によっては敬遠しがちなマンションの1階住まい、実は、利便性や子育てのストレス減少など、確かなメリットがしっかりあります。今回は1階住まいの利点についてお伝えします。
一級建築士
西村 一宏
東洋大学ライフデザイン学部講師。リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。
下の階への気遣いなくストレスの少ない子育て
マンション住まいでは、それぞれの世帯が快適に暮らすために、上下左右階への気遣いがとても重要になります。
その中でも、下の階へ漏れる音や振動は、一番気をはるところではないでしょうか?しかし、一日中、しかも毎日、子供にそれを守らせることも、見張っておくこともできません。
その点で、1階というのは、下の階へのストレスがなく、ある程度、子どもを自由にさせることができます。実際、「ここまで暴れるようになるなんて思ってもみなかった。1階でホントに良かった。」と、住んでから実感されるご家族もいます。
また、ベビーカーの移動面でも、エレベーターを待つ必要もなく、駐車場からの移動距離を考えてもとてもスムーズです。
子育て世帯の音に対する生活ストレスを大幅に下げることができるのは、1階ならではのメリットの1つです。
上層階の「眺め」に負けない「庭」のメリット
上層階のメリットが「眺めの良さ」だとしたら、1階のメリットは「専用庭」だと言えます。
庭は、子供の外遊びスペースやビニールプールの設置、ガーデニングや盆栽、小さな家庭菜園などの趣味、アウトドアリビングなどのくつろげるスペースとして、様々な使い方ができ、小規模ながら、一戸建てのようなライフスタイルと言えます。
専有部のスペースが少し狭めだったとしても、庭の使い方次第では有効な活用ができ、広さに充てる予定だった分の資金を立地などに充てることも可能かもしれません。
また、すぐそばに緑のある環境が好きな方にオススメです。
歳を重ねて実感できる移動の利便性と、もしもに備えて
若い内は気にならない上下階の移動、買い物から帰ってくるまでの移動距離など、出入りの便利さは1階ならではです。なんと言ってもエレベーターを待つ時間がないこと、重いものを運ぶ距離が短いことは大きな利点です。
実際、歳を重ねてから郊外の一戸建てから駅近くのマンションへ引っ越すご夫婦は、移動の不便さや、自分たちの健康状態などを気にされていました。また、災害時の避難など、エレベーターが止まってしまった場合でも、階段移動せずに避難でき、もしもの場合においても安心だといえます。
一生暮らす住まいとして、移動距離や負担面を考えるなら1階がベストだと言えます。
1階の防犯ってどうなの?
1階のマンション住まいは防犯面で心配という声を聞きます。
実際、中階層に比べると、1階の方が防犯面では不利だと言えます。(最上階などの高層はロープなどで降りる手口で侵入される可能性があります)
しかし、そもそも一戸建てに比べ、マンションの空き巣の被害件数は半分以下です。(警視庁調べ)
理由として予想されるのは、一戸建ての方が死角や窓が多く、周囲から隠れることができるためです。
また、空き巣などの被害の65%以上が、カギの絞め忘れとガラス破りとなっています。1階に住む場合は、
- 戸締まり
- 窓への防犯フィルム
- 上左右階などのご近所付き合い
- センサーライト
- 玉砂利
などの防犯対策をすることで、かなり安全性が高まります。
まとめ
上層階を選ぶのか、1階にするのか、あるいは階にこだわりはないのか、それらは、家族の価値観によってお大きく変わります。それぞれにメリットデメリットがあり、我慢できることとできないことも家族によって異なります。
大切なことは、自分たちにとって、何が大切でゆずれないものなのかを理解して、どれだけの予算を住まいに使えるのかを把握することです。この2つが不明確なままだと、満足できる住まいを手に入れるのはとても難しくなってしまいます。
家族にとって何が一番大切で、どこにどれぐらいのお金を使っていくのか、家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。
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不動産屋さんでもあり、設計事務所でもあり、建設会社でもあるゼロリノベが、お金の流れ・マイホームも旅行も叶える家の買いかた・長寿命で丈夫な建物の見極めかた…など、住宅購入にまつわるチェックポイントを無料公開しています。