【防犯】警視庁データで見るマンション購入注意点と対策方法&グッズ
マンションのセキュリティはオートロックなどの設備に任せておけば安心…と思ってはいないでしょうか。
確かにそれも有効ですが、空き巣や泥棒などの侵入窃盗から財産や身を守るには、相手の手口を知って侵入されにくいマンションを選び、さらに個人でできる防犯対策を講じることも大切です。
今回は、マンションを購入するときに押さえておくべき防犯に関する知識をご紹介します。
一級建築士
西村 一宏
東洋大学ライフデザイン学部講師。リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。
警察庁のデータから見るマンションの侵入窃盗状況
警察庁の住まいる防犯110番が公表しているデータによれば、住宅に対する侵入窃盗(空き巣・泥棒)の認知件数は平成16年以降減少を続けています。
それでも、平成29年度時点で1日に約101件もの住宅に対する侵入窃盗が発生していて、その被害数は年間7万3122件とかなりの数に上っています。以下、詳しく見てみましょう。
1-1.一戸建てとマンションの比較
侵入窃盗が最も多く発生しているのは一戸建て住宅で、全体の41%を占めています。さらに一般事務所、アパートなどを中心とした3階建て以下の共同住宅と続きます。
ではマンションはどうかといえば、4階以上の共同住宅は4.4%にとどまっています。マンションは一戸建てなどと比べれば狙われにくい住宅といえます。
しかし、それでもマンションへの侵入窃盗が発生していないわけではありません。中にはマンションを専門に狙う窃盗犯もいるので、注意を怠らないようにすべきです。では次に時間帯について見ていきましょう。
1-2.侵入する時間帯
住宅に盗みに入るというと空き巣をイメージしがちですが警視庁のデータによると、実際に侵入窃盗が多い時間帯は23時から1時という深夜帯です。
夜間に、家人などが就寝時に住宅の屋内に侵入して金品を盗む行為は「忍び込み」と呼ばれます。また、家人が起きてリビングなど一部屋に集まっているときに他の部屋に盗みに入る行為は「居空き」と呼ばれます。
忍び込みや居空きの被害に遭わないようにするには、ドアや窓に防犯対策をして、「侵入するのが難しい」と思わせることがポイントです。
一般的に侵入に5分以上かかると窃盗犯の約7割が諦めるといわれています。防犯対策は、この「諦めさせること」を目標に行いましょう。例えば玄関ドア付近やベランダにセンサーライトや監視カメラ(ダミーでも可)を設置するだけでも防犯アピールができます。
その他、おすすめの防犯グッズなどは【2】でご紹介します。
1-3.マンションの侵入経路
上記のデータは警視庁の「平成28年度の犯罪」からの引用です。4階以上のマンションの侵入口で最も多いのは表出入り口、つまり玄関のドアで52.4%、次が窓で34.9%です。
玄関から入られてしまう原因としては、鍵のかけ忘れ、ピッキングやサムターン回しによる鍵開け、合鍵を作られてしまうことなどが考えられます。まずは玄関のドアをしっかりとガードしてください。その方法についても【2】で取り上げます。
窓からの侵入は、マンションの場合、ベランダ(バルコニー)から入られるケースが多くなります。地続きの1階、あるいは足場になるものがある2階はとくにベランダからの侵入に注意する必要があります。
ただし、3階以上でも非常階段からベランダに乗り移られるようなケースがあるので、マンションの構造をよくチェックしましょう。また、屋上からロープを使って最上階のベランダに降り立つのも窃盗犯の常套手段です。
結論として、玄関やベランダが周りからよく見えるマンションは狙われにくい傾向が高いといえます。逆に死角が多く、ベランダなどが見えづらい物件は要注意です。夜間の照明が暗すぎないかもチェックしましょう。マンション選びの際の参考にしてください。
1-4.マンションへの侵入手口
マンションへの侵入手段で最も多いのは無締り、つまり施錠されていないドアや窓から入るケースで41.7%、次が合鍵で入るケースで18.9%、続いてガラス破りで17.7%となっています。
意外に多いのがドアや窓の施錠忘れです。オートロックだから安全と思い込み、防犯意識が下がることがよくあるので注意しましょう。また、3階以上で人が登ってこないだろうと思ってベランダの窓の鍵を閉めないケースもよく見られます。
さらに、合鍵による侵入が多いというのも盲点ではないでしょうか。実は鍵メーカーが制作する「新鍵」に刻印されているメーカー名と鍵番号を知られると、インターネットで合鍵(複製)を作られてしまいます。
>>「鍵番号」で合鍵を作って侵入 鍵の盗み見に福岡県警が警鐘
新鍵は厳重に管理・保管し、他人に見せない、貸さない、机の上などに放置しないようにしてください。鍵に鍵番号を隠すキーカバーを付けるのも有効です。万一落としてしまったときのことも考えれば、鍵を免許証と一緒に財布に入れて持ち歩くといった行為もNGです。
防犯対策と防犯グッズ5選
次に玄関ドアの防犯対策と、侵入窃盗に対抗するための防犯グッズをご紹介しましょう。
2-1.耐ピッキング性能が高い鍵(錠前)を取り付ける
玄関のドアの鍵を開けられないようにするには、高性能な鍵と錠前を取り付けるのが最も効果的です。
昔からあるギザギザの溝が刻まれた「ディスクシリンダー」などはピッキングで破られる危険性が高くなります。それに対し、最近主流の「ディンプルキー」と呼ばれる鍵は耐ピッキング性能が高く、メーカー名と番号さえ知られなければ複製されにくいという利点もあります。
引っ越ししたらそのタイミングで鍵を交換するのは常識です。その際はなるべく高性能な鍵を選びましょう。
2-2.リフォームやリノベーションで二重サッシに
中古マンションの購入であればリフォームやリノベーションを検討する人も多いでしょう。
1階を選んだときなどは、二重サッシにして鍵をつけると侵入までに時間がかかり、諦めさせる確率が上がります。また、二重サッシは防音性能にも優れているので、大通り沿いや線路沿いの物件では一石二鳥の効果が得られるでしょう。
2-3.防犯グッズ
玄関ドアおよび窓用の防犯グッズは以下のものを用意するのがおすすめです。
2-3-1.ドアスコープカメラ
ドアスコープに設置するカメラです。既存のドアスコープを外して簡単に取り付けられ、玄関前で誰かが動くと自動的に静止画を撮影する、またはいつでも好きなときに動画を撮影できるといった製品があります。
2-3-2.サムターン回し防止具
サムターン回しとはドアにドリルで穴を開け、金属棒などを使ってドアの内側のサムターン(つまみ)を回して解錠する手口です。これを防ぐにはサムターン用のカバーを付けるのが簡単です。
2-3-3.玄関ドア用補助錠
玄関ドアに取り付ける2つ目の鍵です。2重ロックにすることでピッキングなどの手間をかけさせられます。ドアを見ただけで2重ロックになっていることがわかれば、それだけで「侵入しづらい部屋」ということをアピールすることもできます。
2-3-4.窓用補助錠
窓用の補助錠もぜひ取り付けてください。ベランダの窓だけでなく、浴室用の窓などがあればやはり補助錠を付けておきましょう。簡単に窓が開けられないようにつっかえをするようなタイプのものなら、簡単に取り付けられます。
2-3-5.窓ガラス用防犯フィルム
窓は手慣れた窃盗犯の手にかかると、三角割りと呼ばれる手法によって簡単に音もなくガラスを割られ、鍵を開けられます。そこで役立つのがガラス破り防止用の防犯フィルムです。ガラスを強化し、時間をかけさせるだけでも侵入を食い止める効果が期待できます。
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まとめ
マンションを購入する際はセキュリティにも十分な注意を払いましょう。単にオートロック付きといったことだけでなく、建物の構造や周囲の状況にも着目してください。そして紹介した防犯グッズなどを使いながら、自分でできる防犯対策もしっかりと行いましょう。
中古マンション購入の全体像については【重要度順】プロがまとめた中古マンション購入の注意点5つをご確認ください。