マンションは一括購入がお得?メリット・デメリット、ローンとの違い、注意点を徹底解説!
「マンションを購入するときに 住宅ローンを組むと、金利がもったいないので一括購入にしたい」
「一括購入するかわりに、マンションを値引きしてもらえないだろうか?」
いまこの記事を開いた方の中には、そんな希望や疑問を持っている方もいるでしょう。
結論から言えば、マンションの一括購入にはローンと比べてメリットがいろいろとあります。
たとえば、
- ローンの金利がかからない
- 値引き交渉ができる
- 金融機関の審査がいらない
などです。
ただ一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 住宅ローン控除が受けられない
- 手持ちの資金が減ってしまう
逆に言えば、一括購入しても手元に資金が残りそうならば、迷わず一括購入に踏み込んでOKです。しかし世の中、そんなに資金が潤沢な方ばかりではないでしょう。
あなたにとって一括購入がローンよりも得かどうかは、上記のメリット・デメリットなどの情報を加味して総合的に判断する必要があります。
そこでこの記事では、マンションの一括購入について知っておくべきことをまとめました。
最後まで読めば、一括購入はローンとはどう違うのか、どんなメリットがあって何が懸念点なのかがよくわかるはずです。どちらかの決断をする前にしっかりと理解しておくことで、後悔のないマンション購入へと繋げましょう。
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マンションの一括購入とローンとの比較
マンションの購入を検討していて 、資金に余裕がある人の中には、
- ローンで余計な金利を払い続けるより、一括購入したほうが得かも?
- 一括で支払えば、少し安くしてもらえるよう交渉できるのでは?
と考える人もいるでしょう。
たしかにローン購入の場合、長年の積み重ねで金利が総支払額の少なくない割合を占めるため 、それを支払わなくて済む一括購入は魅力的に感じますよね。
そこでまず、マンションを一括購入する場合とローンを組む場、どんな違いがあるかを比較してみましょう。
以下の表を見てください。
【一括購入とローンとの比較】
では、それぞれについてくわしく説明していきましょう。
1-1.マンションの一括購入
マンションを一括購入する場合、ローン購入との最大の違いは金利が発生しないことです。現在は低金利時代なので、住宅ローンの金利も0.4~1.5%程度と非常に低い水準となっています。
とはいえ数千万円を35年ローンで支払っていくと、支払う利息の総額も数百万円になり、大きな出費です。
一方、一括購入の場合は金利は発生せず、総支払額でいえば数百万円の節約になります。数千万円の現金を一括で支払うことで、売主にとってもっとも確実に取引できる相手と判断してもらえるため、値引き交渉の余地も生まれるでしょう。
またローンを組まないことで、手続きにかかる手間や日数、必要書類も簡略で済みます。銀行への融資手数料や保証会社へのローン保証料も必要ありません。
そもそも金融機関によるローン審査がないので、収入が少ない人や信用情報にキズがある人など、住宅ローンが通らないような人でも誰でも物件を購入することができるのも特徴です。
一方で、一括購入では最初に購入金額を全額支払ってしまうので、毎年税金が控除される住宅ローン控除は受けられません。
その他、多額の現金を支払ったことで、税務署から調査が入る可能性もあります。
1-2.ローンでの購入
ローンで購入する場合は金利が発生するだけでなく、ローンに関わる諸費用として、
- 金融機関に支払う融資手数料
- 保証会社に支払うローン保証料
も必要になります。
また、金融機関によるローン審査を受けなければならないので、そのための書類をいろいろと用意する手間と時間、審査の日数もかかります。
そのかわり、ローンを組むことができれば住宅ローン控除が適用されます。
住宅ローン控除とは、その年のローン残額に応じて税金が控除される制度です。
また、ローンを組むと団体信用生命保険にかならず加入しますが、これはローン契約者が完済前に死亡したり高度障害で働けなくなったりした際に、ローン残債を保険料で賄ってくれます。
このように、一括購入とローン返済ではさまざまな違いがありますが、結局どちらを選べば良いのでしょうか?
そこで次章からは、マンションを一括購入する際のメリットとデメリットについて、さらに深く考えてみましょう。
マンションを一括購入するメリット
まず、マンションを一括購入する場合のメリットにはどんなものがあるでしょうか?
一 つずつ詳しく説明していきましょう。
2-1.ローンの金利、団信保険料などの諸費用がかからない
第一に挙げられるメリットは、マンション購入の総支払額を大幅に抑えられることです。
下記の表は、マンション購入に関わる諸費用をローン返済の場合と比較した際の一覧表です。必要なものは〇、必要でないものは×で表わしました。
一括購入だとかかってくる諸費用が少なく、大幅にコストカットできることがわかりますね。中でも特に大きいのはローン金利です。
たとえば、3,000万円を金利1.0%の35年ローンで支払う場合を考えてみましょう。総返済額は、約3,556万円となり、550万円以上の利息を支払わなければなりません。
これに諸費用が数十万~100万円程度かかると仮定すると、ローンを組むことによる利息と諸費用のコストは600万~650万円にも上ってしまいます。
それに対して一括購入ならば、これらのコストはかかりません。
結果として、ローンに比べて数百万円節約できるという大きなメリットがあるのです。
2-2.値引き交渉の余地がある
一括購入の場合は、マンション価格を値引きしてもらえるよう交渉することも可能です。
特に、売りに出してからしばらく経っても買い手がついていないマンションなら、値引きに応じてもらえる可能性も高くなるでしょう。
もちろん、人気の物件など値引きしてもらえないケースも多いでしょう。しかし前述した通り一括購入する買主は、売主にとって販売価格の全額をすぐに回収できる、もっとも魅力的で確実な取引相手。そのアドバンテージを活かして、ダメもとでも打診してみる価値はあると思います。
2-3.金融機関の審査がない
一括購入する場合には、購入代金を全額まとめて支払うため、金融機関や信用保証会社は介入せず、どんな審査もありません。
通常、住宅ローンを組む際には、
- 金融機関による事前審査
- 金融機関と信用保証会社による本審査
という2段階の審査を経る必要があります。
収入が少ない場合や信用情報にキズがある場合など、ローンの返済能力に疑問がある場合は、審査が通らずローンを組めない恐れがあります。
また事前審査に通ってマンションの購入手続きを進めていても、本審査で落ちてしまって購入できないケースもあるのです。
対して一括購入は、過去にクレジットカードや携帯料金の支払い遅延があったり、自己破産したりなど、信用情報にキズがあってローンが組めない人でも、現金さえ用意できればマンションを購入できるのが利点でもあります。
2-4.保証人が必要ない
住宅ローンを組む場合には保証人を立てなければいけない場合がありますが、一括購入であれば保証人も必要ありません。
住宅ローンは数千万円という高額の借金であるため、収入が少ない人や自営業の人など、返済能力に不安がある場合には、金融機関が連帯保証人を立てることを条件にしてローンを通すことがあるのです。
対する一括購入の場合は、購入額をすでに用意できているわけですから、保証人を探したり保証会社と契約したりする必要はありません。
2-5.収入が減ってもローン破綻するリスクがない
一括購入の場合は、ローンと違い返済に関する将来的な不安がないというのもメリットです。
住宅ローンを借りる際にはまず返済計画を立てて、無理なく返済できる範囲で借入額を決定、返済していくものです。
しかし、返済期間中にローン契約者の収入が減ってしまったり、転職や病気で働けない期間ができたりといった不測の事態もあり得ますよね。
そうなるとローンの支払いが滞り、最悪の場合は自宅を手放したり自己破産したりといった結末を迎えるケースもあるようです。
これを「住宅ローン破綻」と呼んでいます。
最近では、「働き方改革で残業代が入らなくなった」「新型コロナウイルスで仕事がない」という方が増えているため、収入減は誰にでも起こりうる問題です。
もしそうなってもマンションを一括購入していれば、少なくとも自宅を手放すリスクからは免れます。住宅ローン破綻の心配とは無縁でいられるという安心感は大きなメリットと言えるでしょう。
マンションを一括購入するデメリット
では逆に、マンションを一括購入した場合のデメリットとは何でしょうか?
以下の4点が考えられます。
3-1.住宅ローン控除が受けられない
「1-2.ローンでの購入」でも触れたように、住宅ローンを利用すると、「住宅ローン控除」が適用されて税金が控除されます。
しかし、一括購入の場合にはローンを組んでいないためこの控除が受けられません。 ただし一般的には、「住宅ローン控除の総額」よりも「一括購入の場合に節約できる金利や諸費用」のほうが大きくなります。
そのため、住宅ローン控除が受けられなくても問題ない、と考える方もいるようです。
3-2.手持ちの資金が大きく減ってしまう
マンションを一括で購入するということは、一度に数千万円の現金を支払うことです。
となると預貯金の大半を支払いに充ててしまい、購入後は資産が大幅に減る、という方も多いはずです。
しかしここで気をつけたいのは 、マンションは購入後にも毎月、毎年のランニングコストが必要ということです。管理費や修繕積立金、固定資産税、都市計画税などの税金もかかってくるため、手元に資金がないと生活を圧迫しかねません。
また、長い人生の中で必要なのは住宅資金だけではありません。
子どもの教育資金、家族が病気になったときの医療費や老後資金など、ライフスタイルやライフステージに合わせて必要な費用は変わってきます。
マンション購入だけで預貯金を使い果たしてしまうと、いざというときにお金が足りなくなり、住宅ローンよりも高利のローンを組むことになるかもしれません。それではせっかく一括購入で住宅ローン金利を節約しても、意味がありませんよね。
手持ちの資金の大半をつぎ込んでの一括購入には、その後の人生における資金ショートのリスクがあることも知っておいてください。
3-3.税務署から確認が入ることも
マンションなど不動産を現金で一括購入すると、税務署から問い合わせの連絡が来ることがあります。
大金を一括で支払ったことで、「贈与など、申告しなければならない収入があったのではないか」と思われるからです。
購入資金はどうやって用意したか、年収はいくらか、マンションの購入時期と価格などを聞かれますが、脱税していない限り、本当のことを正直に答えれば問題ありません。
もし怪しい受け答えをしてしまうと、脱税を疑われる恐れがあるので要注意です。
<比較シミュレーション>一括購入と住宅ローン利用の総支払額
一括購入の場合と住宅ローンを利用した場合、総支払額はどれくらい違うのでしょうか?
想定されるケースをシミュレーションで比較してみましょう。
4-1.頭金の金額により差額も変わる
(固定金利1.0%/35年払いとした場合)
一括購入の総支払額は、ローンより数百万円安いことがわかりますよね。住宅ローンの場合、上記に加えてさらに諸費用がかかります。
マンション一括購入に必要な費用・書類
マンションを一括購入する際に必要な費用にどのようなものがあるか、また必要となる書類もチェックしていきましょう。
5-1.必要な費用
「2-1.ローンの金利、団信保険料などの諸費用がかからない」で、マンション購入に必要な費用を簡単に挙げましたが、ここでは実際に一括購入する方のために、さらにくわしく説明します。
以下の表に挙げたのが、一括購入の場合に必要な費用一覧です。
一括購入というと、マンション購入額だけを用意すればいいように考えがちですが、これだけ多様な費用が必要になるのです。
購入前にはこれらの金額 を概算して、必要な資金を準備しておきましょう。
5-2.必要な書類
実際に一括購入する方のために、用意する書類のリストを挙げておきましょう。
- 住民票
- 本人確認書類(写真入り身分証明書)
- 印鑑(認印)
- 銀行決済の場合は通帳、銀行印、キャッシュカード
住民票は、不動産登記をする際の本人確認のために必要です。
登記を司法書士に依頼する場合には、司法書士が取得してくれるので自分で用意する必要はありません。
また決済=支払いは銀行振り込みで行う場合が多いため、使用する口座の通帳、印鑑、キャッシュカードも必要になります。
マンション一括購入の流れ
では、実際にマンションを一括購入する際は、どのように進めていくのでしょうか?
ひとつずつ説明していきましょう。
6-1.購入申し込み
まず、購入したいマンションが決まったら、不動産販売業者、仲介業者など窓口になっている業者に購入申し込みをします。
ローンを組む場合はここから金融機関の審査が始まりますが、現金一括払いの場合は金融機関は介入しません。お互いの売買条件が合えば、すぐに売買契約へと進みます。
6-2.売買契約・手付金支払い
購入申し込み後、お互いの売買条件が折り合えば売買契約を結びます。
売買契約では、以下のことが行われます。
6-2-1.重要事項説明書による説明
不動産業者など売買の窓口になる方が、買い手に対して「重要事項説明書」を提示します。
説明書では、以下のようなことを説明しなければなりません。
- 登記簿に記録された内容
- 私道の負担に関して
- 区分所有建物の場合、敷地に関する権利や共用部分についての規約
- 契約解除について
6-2-2.売買契約の締結
売買の条件や規約などに納得したら、いよいよ売買契約を結びます。契約内容をよく読んで、不明点や納得いかない点があれば必ず質問し、疑問点を解消してから契約しましょう。
6-2-3.手付金の支払い
売買契約の内容に納得したら、まずは手付金を支払います。
この手付金は、「売買契約を交わした証拠」「もし解約する場合の解約金の一部」「購入までに契約違反があった場合の違約金の一部」という意味合いです。
金額は、売買価格の5~10%程度が相場ですが、売主が不動産会社の場合は、手付金は20%以内と定められています。
手付金を支払うことで、正式に売買契約が結ばれたことになります。
6-3.残金支払い=決済
売買契約が正式に結ばれたら、買い手・ 売り手・不動産仲介業者・司法書士が一同に集まり決済を行います。
支払額から手付金を引いた残金を支払います。支払いは現金でも可能ですが、大金なので銀行振り込みを利用する場合が多いでしょう。
売買契約から決済までは、1~2週間で済むことが多いようです。住宅ローンの場合は早くて1~2か月はかかるので、一括購入の場合は手続きがスムーズだといえます。
6-4.引き渡し
決済と引き換えに、売主からは権利証とカギが引き渡されます。さらに司法書士が決済と引き落としを確認し、問題なければ登記所に行って登記を行います。
これら一連の手続きにより、マンションは正式に買い手側のものになります。
マンションを一括購入する際の注意点
最後に、マンションを一括購入する場合に注意しなければいけないポイントを3つ、挙げておきましょう。
ここまでおさえておけば、きっと後悔しない一括購入ができるはずです。
7-1.購入時期を逃さない
マンションを現金一括で購入することにはたくさんのメリットがあります。
そのため、希望の物件を一括購入できる資金が貯まるまでは、マンション購入の検討を一切しない、という人もいるでしょう。
ですが、“一括購入”にこだわるあまり、買い時を逃さないように注意してください。
マンションを購入するタイミングは、「資金が十分貯まったとき」以外にもいろいろと考えられます。
たとえば子どもが進学するとき、期間限定で税の優遇措置があるとき、不動産価格が下がったときなどです。
もしかすると、一括購入を諦めて一部ローンを組んででも「いま買ったほうがよい」という物件に出会うかもしれません。
一括購入できる資金が貯まる前でも、つねにマンション探しは続けておいて、ベストなタイミング、ベストな物件を逃さないようにしましょう。
7-2.購入後に必要な費用を忘れず用意しておく
「5.マンションの一括購入で必要な費用」でも説明したように、マンション購入で必要になる費用は購入代金だけではありません。手数料や税金などさまざまです。
いざ購入となったときに、これらの費用が足りないということのないよう事前に費用を概算して、マンション購入費用とは別に取り分けておきましょう。
7-3.火災保険に入る
住宅ローンを組む際には、同時に火災保険にも入るのが一般的です。もしローン返済途中で火事になった場合、物件の担保価値がなくなってしまうと金融機関も困るからです。
一方で、一括購入の場合には火災保険に加入する義務はありません。
ただ、何か特段の理由がない限りは、火災保険には必ず入ることをおすすめします。その際には、地震保険もセットで加入すると良いでしょう。
分譲マンションは高価な買い物なので、もし火事や地震で損壊してしまったら大変な損害を被ります。
そんなとき、火災保険や地震保険に入っていれば保険金を受け取ることができ、補修や住み替えの資金にあてることができます。もし住宅ローンが残っていれば、保険金をその支払いに回すこともできるのです。
「火災や地震で被害にあうことなんてめったにないのに、保険料を払うのはもったいない」という方もいるでしょう。しかし、もしものとき数千万円の資産を失うことを考えれば、火災保険にはぜひ入っておいてほしいものです。
まとめ
いかがでしたか?自分がマンションの一括購入するべきかどうか、判断するために必要な知識は全て揃ったのではないでしょうか?
ではもう一度、記事の要点をまとめてみましょう。
マンション一括購入のメリットは、
- ローンの金利や諸費用がかからない
- 値引き交渉の余地がある
- 金融機関の審査がない
- 保証人が必要ない
- ローンより手続きが簡単
- 資金を贈与された場合非課税枠がある
- 収入が減っても住宅ローン破綻に陥らない
マンション一括購入のデメリットは、
- 住宅ローン控除が受けられない
- 手持ちの資金が少なくなる
- 税務署から問い合わせが来る可能性がある
一括購入する場合には、コスト面だけでなく、将来的な負債を抱える不安がない、手続きに手間がかからずスムーズに購入できるというメリットもあります。
トータルでかかってくる費用の総額と購入後の自己資金に余裕があるかどうかを冷静に考えた上で、マンションを一括購入すべきかどうか判断するのが賢明です。
あなたが納得いく方法で、気に入ったマンションを手に入れられるよう祈っています!
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