マンションの名義変更のやり方|費用・必要書類・税金をケース別に解説(相続・贈与・売却)

マンション 名義 変更画像

親が住んでいたマンションを引き継ぐことになったけれど、「名義変更はどうすればいいの?」「名義変更しないとダメ?」と迷っていませんか。

相続や生前贈与、離婚による財産分与など、マンションの名義変更はケースによって必要な手続きや税金が大きく変わります

また、相続による不動産の名義変更(相続登記)は、2024年4月から義務化されました。相続でマンションを取得した場合、相続したことを知った日から3年以内に登記申請をしないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。

この記事では、以下の3つを中心に、マンションの名義変更に必要な情報を整理してお伝えします。

  • ケース別(相続・贈与・売買・財産分与)の名義変更のやり方
  • 必要書類と手続きの流れ(自分で行う場合・司法書士に依頼する場合)
  • 費用・税金の目安と、気をつけたいポイント

「自分で手続きすべきか、司法書士に頼むべきか」が判断できることをゴールにしています。

この記事をもとに、あなたがマンションの名義変更を不備なくスムーズに済ませられるよう願っています!

この記事の監修者
鰭沼 悟

宅地建物取引士/元銀行員
鰭沼 悟

宅地建物取引士、不動産投資家歴15年、元銀行員。不動産仲介からリノベーション設計・施工をワンストップで提供する「ゼロリノベ」を運営する株式会社grooveagentの代表取締役。

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目次

マンションの名義変更とは

マンションをはじめとする不動産には、「登記」という公的な記録があり、誰が所有者であるかが登録されています。マンションの名義変更とは、この登記上の所有者名を、現在の持ち主から新しい持ち主へと変更する手続きを指します

名義を変更することで、所有権が新しい名義人に移るだけでなく、固定資産税などマンションにかかる税金を負担する義務も、その名義人に移ります。

売買・相続・贈与・離婚による財産分与など、所有者が変わるタイミングで必ず検討すべき手続きです。

マンションの名義変更が必要になる4つのケース

マンションの名義変更が必要になる典型的なケースは、次の4つです。

  • マンションを購入したとき(新築・中古)
  • 親などから生前贈与されたとき
  • 相続によって引き継いだとき
  • 離婚時の財産分与で所有者を変えるとき

どのケースに該当するかによって、必要書類や税金が変わるため、自分のケースを最初に切り分けておくとスムーズです。

【CASE1】マンションを購入したとき(新築・中古)

新築マンションを購入した際には不動産会社から自分名義に、中古マンションを購入したときは前の所有者から自分名義に変更します。

この場合は、名義変更をしないとせっかく購入したマンションの所有権が自分のものになりませんので、必ず名義変更を行います。

また、身内や知人からマンションを譲り受けたといった場合に、「手続きが面倒」「手数料がかかる」などの理由で名義変更を先延ばしにする人もいます。

しかし、その間の所有権はもとの持ち主にありますので、別の人に再度譲渡されたり、借金の担保にされて差し押さえにあったりする恐れもありますので、早めに名義変更したほうがよいでしょう。

【CASE2】親などから生前贈与されたとき

存命中の親や祖父母などからマンションを生前贈与された場合、もとの所有者から贈与する相手の名義に変更します。

相続税対策で行われるケースが多く、その場合は名義がそのままだと節税にならないので、必ず名義変更が必要です。

【CASE3】相続によって引き継いだとき

マンションの所有者が亡くなった際、それを相続する人の名義に変更します。

法律上すぐに登記をしないと住めなくなるわけではなく、亡くなった人の名義のまま住み続けることも形式上は可能です。ただし、2024年4月以降は相続登記の申請義務があるため、放置はおすすめできません。

また、固定資産税などマンションにかかる税金は誰かが支払わねばならないものですので、やはり名義変更をきちんとして、納税の義務も果たすべきでしょう。

【CASE4】離婚時の財産分与で所有者を変えるとき

夫婦が離婚する際に、婚姻期間中に築いた財産をそれぞれに分ける財産分与の一環として、住んでいたマンションの所有者を変更する場合があります。

夫の単独名義を妻に変更したり、夫婦共同名義をどちらかの単独名義に変更したりしますが、その際にも名義変更が必要になります。

名義を変更しないと、固定資産税などの支払い義務が前の所有者に残ってしまうので、必ず名義変更しましょう。

また、ローンが残っているマンションの場合は、ローンの名義変更をすることは難しいので、名義人になるほうがローンを組みなおす、残債の半分を相手に一括で支払うなどの対処が必要になります。

これについては「4-1.マンションを名義変更してローンも引き継ぎたい場合でさらにくわしく解説していますので、参照してください。

手続きする場所:法務局

不動産の登記を管轄しているのは、法務局(登記所)です。

マンションの名義変更(所有権移転登記)も、マンションの所在地を管轄する法務局に申請します。

どの法務局が担当か分からない場合は、法務局の公式サイトにある「管轄のご案内」から、所在地に応じた管轄を確認できます。

だれが手続きする?自分で or 司法書士

マンションの名義変更は、次のどちらかの方法で行います。

  • 自分で必要書類を集め、登記申請書を作成して法務局に申請する
  • 不動産登記を専門とする司法書士に依頼する

自分で行う場合は、登録免許税などの実費のみで済みますが、書類が多く、内容も法律用語が多いため、慣れていないと負担が大きくなります。

一方、司法書士に依頼すると5万〜15万円程度の報酬がかかりますが、書類の収集や申請手続きを任せることができます。

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【ケース別】マンション名義変更のやり方と注意点

マンション名義変更のやり方と注意点をケース別に紹介します。

相続でマンションを引き継いだ場合

相続によってマンションを引き継いだ場合、被相続人(亡くなった方)の名義から相続人の名義へ変更する必要があります。2024年4月からは相続登記が義務化されているため、「いつかやろう」と放置することはおすすめできません。

相続登記の基本的な流れは、以下の通りです。

  • 相続人を確定する(戸籍謄本などで調査)
  • 遺言書の有無を確認する
  • 相続人全員で遺産分割の内容を決める(遺産分割協議書を作成)
  • 必要書類を揃え、法務局に所有権移転登記を申請する

なお、相続による名義変更には登録免許税がかかりますが、税率は通常の売買や贈与よりも低く設定されています(不動産評価額の0.4%が目安)。

親子間で名義変更(生前贈与)の場合

親から子へ、または祖父母から孫へマンションの名義を移す場合、多くは「生前贈与」として扱われます。このケースでは、登録免許税に加えて「贈与税」が問題になり、税額が高額になりやすい点に注意が必要です。

よくあるパターンは次のとおりです。

  • 親名義のマンションを、ローン完済後に子ども名義へ変更したい
  • 相続税対策として、生前にマンションを子どもや孫へ贈与したい

生前贈与として名義変更する場合、贈与税の基礎控除(暦年課税は年間110万円)を超える部分に贈与税が課されます。

税負担を抑えるために、数年に分けて贈与したり、相続時精算課税を選択したりする方法もありますが、どの方法が最適かは家族構成や資産状況によって変わります。

贈与税の取り扱いは複雑なため、「贈与税がどれくらいかかるか不安」「相続と贈与のどちらがよいか判断できない」と感じる場合は、税理士や専門家に相談することをおすすめします。

中古マンションを購入した場合(売買)

中古マンションを購入した場合は、売主から買主へ所有権を移す「売買による所有権移転登記」を行います

通常、売買契約の決済日に、司法書士が買主・売主双方の書類を確認し、その場で登記申請の準備を進める流れが一般的です。

主なポイントは以下の通りです。

  • 決済日(残代金支払い日)に登記関係書類を司法書士へ引き渡す
  • 司法書士が法務局へ所有権移転登記を申請
  • 名義変更が完了すると、登記完了証や登記識別情報が発行される

買主側は、登録免許税に加え、司法書士報酬や登記事項証明書の取得費用などを負担します。

離婚による財産分与で名義を変える場合

夫婦が離婚する際に、婚姻期間中に購入したマンションをどちらの名義にするかを決め、財産分与として名義変更するケースも多くあります。

たとえば、夫単独名義のマンションを妻の単独名義にする、夫婦の共有名義をどちらか一方の名義にまとめる、などのパターンです。

主な注意点は次の2つです。

  • ローン残債がある場合、住宅ローンの名義変更は非常に難しい
  • 「名義だけ変更してローンはそのまま」は原則として認められにくい

多くの場合、名義を引き継ぐ側が、新たに住宅ローンを組み直して借り換えるか、相手の持分を買い取る形になります。

ローンの借り換えが前提となるため、「どちらが住み続けるのか」「ローンを完済する力があるのはどちらか」を含めて、早めに金融機関や専門家に相談しておくと安心です。

マンション名義変更の具体的な流れ(5ステップ)

それでは実際にマンションの名義変更をする際の流れを見てみましょう。

司法書士に依頼する場合と自分でする場合の両方をまとめましたので、どちらか適する方を参考にしてください。

司法書士に依頼する場合の流れ

司法書士に依頼する場合は、ほとんどお任せで名義変更してもらうことができますので、依頼者がすることはほとんどありません

具体的には、

  1. 司法書士に依頼する
  2. 司法書士が登記申請書を用意する
  3. 司法書士が必要書類を集める
  4. 司法書士が登記申請書を作成する
  5. 司法書士が法務局に申請する
  6. 司法書士から登記完了証を受け取る

司法書士報酬は自由化されており、事務所ごとに料金設定が異なります。

複数の事務所で見積もりを取り、対応の丁寧さや費用感を比較しながら選ぶのがおすすめです。

自分で名義変更をする場合の流れ(5ステップ)

司法書士に依頼せず、自分で名義変更したいという人もいるでしょう。

必要書類の収集などかなり手間と時間がかかりますが、やってできないことではありませんので、その手順も説明しておきましょう。自分で手続きする場合の大まかなステップは以下の通りです。

  1. 法務局で登記申請書をもらう
  2. 必要書類を集める
  3. 登記申請書を作成する
  4. 法務局に申請する
  5. 登記完了証を受け取る

初めての方は、法務局の相談窓口で書き方や必要書類についてアドバイスを受けながら進めると、手戻りが少なくなります。

【step1】法務局で登記申請書をもらう

名義変更するマンションを管轄する法務局で、登記申請書をもらいます。

または、法務局ホームページの以下のページからダウンロードもできます

参考)法務局「不動産登記の申請書様式について」

【step2】必要書類を集める

戸籍謄本、住民票、印鑑証明など、前項で挙げた必要書類を集めます。

また、相続関係説明図、遺産分割協議書など、作成しなければならない書類は作成します

【step3】登記申請書を作成する

登記申請書に必要事項を記入、作成します。

登記申請書の書式と記入例は、以下を参照してください。

登記申請書の見本・記入例(不動産売買の場合)

不動産登記の申請書様式について
出典:法務局「不動産登記の申請書様式について」

【step4】法務局に申請する

記入済みの登記申請書と必要書類を揃えて、マンションを管轄する法務局に申請します。

【step5】登記完了証を受け取る

名義変更が完了すると、登記完了証が発行されます。

郵送で受け取ることも、オンラインでダウンロードして受け取ることもできます。

オンライン申請の利用について

法務局では、不動産登記のオンライン申請も利用できます。

オンライン申請を使うと、法務局の窓口へ行かずに手続きできる場合もありますが、電子証明書など事前準備が必要で、初心者にはややハードルが高いと感じるかもしれません。

「費用を抑えたいが、手続きに不安がある」という場合は、オンライン申請にこだわらず、窓口相談や司法書士への部分的な依頼(書類作成のみ依頼するなど)も選択肢に入れて検討するとよいでしょう。

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マンション名義変更にかかる費用と税金

マンションの名義変更をするには、手続きにかかる費用や、司法書士に依頼した場合の報酬、税金がかかります

これら必要なお金について、内訳や金額の目安を説明しましょう。

必要書類の取得費用

名義変更の手続きを行うには、市区町村役場や法務局でさまざまな証明書を取得する必要があります。

手数料は自治体によって多少異なりますが、戸籍謄本・住民票・印鑑証明書・固定資産評価証明書などを合わせても、数千円程度に収まるケースが一般的です。

手数料の金額は自治体によって多少異なりますが、おおむね以下のような金額です。

登記事項証明書600円
戸籍謄本450円
除籍謄本750円
改製原戸籍750円
戸籍の附票300円
住民票300円
印鑑証明書300円
不在住証明300円
不在籍証明300円
固定資産評価証明書400円

名義変更に際して発生する税金

また、名義変更に際しては以下の税金も発生します。

  • 登録免許税
  • 贈与税
  • 不動産取得税
  • 譲渡所得税

登録免許税

不動産の名義変更で必ず意識したいのが「登録免許税」です。これは、法務局に登記(=名義変更)を申請する際にかかる税金で、通常は収入印紙で納めます。

登録免許税の金額は、次の2つで決まります。

  • マンション(建物や土地)の「固定資産税評価額」
  • 売買・相続・贈与・財産分与など、どのような理由で名義が変わるのか(登記の種類)

一般的には、売買・贈与・財産分与などよりも、相続による名義変更の方が税率が低く抑えられるケースが多い、というイメージを持っておくとよいでしょう。

(例)評価額2,000万円のマンションを売買で取得し、本則の税率が2.0%の場合
→ 登録免許税の目安:2,000万円 × 2.0% = 40万円程度

※実際の税率・税額は、適用される特例や固定資産税評価額により変わります。

また、自分で住むためのマンションを購入する場合には、床面積や居住用であること、取得から登記までの期間などの条件を満たせば、「住宅用家屋証明書」を取得して建物の登録免許税を軽減できる特例が使えることがあります。

細かい要件や軽減される税率は自治体・時期によって異なります。利用できるかどうかは事前に司法書士や自治体の窓口に確認しておくと安心です。

具体的な税率・軽減内容は税制改正で変わることがあるため、「実際にいくらかかるのか」を確認したいときは、司法書士や税務署・自治体の窓口などで最新情報をチェックするのがおすすめです。

贈与税

親子間や夫婦間などで無償または実質的に無償に近い形で名義を移すと、「贈与」とみなされて贈与税の対象になる場合があります。

たとえば、次のようなケースです。

  • 親名義のマンションを、生前のうちに子ども名義に変える
  • 離婚時に、夫名義のマンションを妻名義に変え、妻がほとんど対価を支払わない
  • 親子共有名義のマンションについて、親の持分をすべて子に移す

贈与税は、「もらった財産の価額」から基礎控除などを差し引いた残りに対してかかります

マンションは金額が大きくなりやすいため、安易に「名義を変えるだけ」と考えると、後から思わぬ税負担が発生することもあります。

「名義だけ親から子に変えれば相続税が節税できるのでは?」という発想は、贈与税の観点から慎重に検討が必要です。
具体的な税額や、相続と贈与のどちらが有利かは家族構成や資産状況で変わるため、迷う場合は税理士など専門家に相談すると安心です。

贈与税は、基礎控除110万円を差し引いた残りの金額に対してかかり、その金額は以下の通りです。

【一般的な贈与税】

基礎控除後の課税価格200万円以下300万円以下400万円以下600万円以下1,000万円以下1,500万円以下3,000万円以下3,000万円
税率10%15%20%30%40%45%50%55%
控除額──10万円25万円65万円125万円175万円250万円400万円
令和7年4月1日時点

出典:国税庁ホームページ「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

【特例贈与財産の贈与税】

※直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与税

基礎控除後の課税価格200万円以下400万円以下600万円以下1,000万円以下1,500万円以下3,000万円以下4,500万円以下4,500万円
税率10%15%20%30%40%45%50%55%
控除額──10万円30万円90万円190万円265万円415万円640万円
令和7年4月1日時点

出典:国税庁ホームページ「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

不動産取得税

購入、贈与などで不動産を取得した際には不動産取得税が必要です。

これはもし無償で譲り受けた場合にもかかる都道府県税ですが、相続で取得した場合や、公共目的で取得した場合には免税されます。

不動産取得税の税率は、原則的には4%です。

ただし、自分が住むための住宅やその敷地となる宅地については、一定の期間、税率が3%に軽減される特例や、宅地の課税標準を価格の2分の1とする特例が設けられています。

これらの軽減措置の適用期間や条件は、税制改正によって変わることがあるため、実際に購入した年の取り扱いについては、都道府県のホームページや税務相談窓口で最新情報を確認してください。

譲渡所得税

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して「譲渡所得税」と住民税がかかります

たとえば、以下のケースでは、譲渡所得税の対象になる可能性があります。

  • 以前より高い価格でマンションを売却して名義を買主に移した
  • 離婚時の財産分与で、マンションの持分を相手に渡した側に「譲渡」とみなされる部分がある

税率は、不動産の所有期間によって大きく変わり、5年以下の「短期譲渡所得」と、5年を超える「長期譲渡所得」に分かれます。

一般的には、短期譲渡所得のほうが長期譲渡所得よりも税率がかなり高く、合計の負担率が約2倍近くになるイメージです。

そのため、売却のタイミングによっては「所有期間が5年を超えるまで待ったほうが税金面で有利」になるケースもあります。

なお、実際の税率(所得税・住民税・復興特別所得税の合計)や、マイホーム売却時の3,000万円特別控除・10年超所有の軽減税率などの特例は、税制改正の影響を受けます。

具体的な税額を知りたい場合は、国税庁の情報や不動産会社の最新シミュレーション記事、税理士・税務署などで確認するのがおすすめです。

税金は「まとめて専門家に確認する」前提でOK

ここまで見てきたように、マンションの名義変更では、複数の税金が絡み合うことがあります。

  • 登録免許税:登記のタイミングで必ず意識したい税金
  • 贈与税:親子・夫婦間の名義変更で注意
  • 不動産取得税:購入や贈与で取得したときに関係
  • 譲渡所得税:売却や財産分与で利益が出たときに関係

細かい税率や特例は、税制改正や個別の事情によって変わるため、「自分で完璧に覚える」必要はありません。

むしろ、「どんな税金が関わりそうかの全体像」を押さえたうえで、具体的な金額や軽減措置は、司法書士・税理士・税務署などに確認する、というスタンスで問題ありません。

名義変更を進める際には、「登記の手続き」とあわせて「税金の見積もり」も早めに行うことで、予想外の出費を避け、資金計画を立てやすくなります。

司法書士への報酬

司法書士に名義変更を依頼した場合、登録免許税などの実費とは別に、報酬が必要です。

報酬額は案件の難易度や書類のボリュームによって変わりますが、目安として5万〜15万円程度に収まるケースが多いでしょう。

  • 単純な売買による名義変更:比較的低額
  • 相続人が多い相続登記:戸籍の収集や調査が増えるため高くなりがち

事前に見積もりを取り、どこまでを司法書士に任せるのか(書類収集も含めて一括依頼するか、申請部分のみ依頼するか)を確認しておくと安心です。

ケース別の必要書類一覧

マンションの名義変更の際、必要になる書類は相続、財産分与などのケースによって異なります

中古マンションを購入した場合(売買)

中古マンションを購入した場合の売主側と買主側の必要書類は以下のとおりです。

中古マンションを購入した場合(売買)売主側の書類
  • 登記済権利証、または登記識別情報通知
  • 固定資産評価証明書(名義変更する年度のもの)
  • 印鑑証明書(3ヶ月以内に取得したもの)

買主側の書類

  • 住民票
  • 印鑑証明書(3ヶ月以内に取得したもの)

その他

  • 固定資産評価証明書(名義変更する年度のもの)
  • 売買契約書

司法書士を通して手続きを行うのが一般的で、必要書類は基本的に不動産会社と司法書士から案内されます

相続による名義変更の場合

相続による名義変更の場合の必要書類は以下のとおりです。

相続による名義変更の場合被相続人=亡くなった人に関する書類
  • 戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍(出生から死亡まで連続したもの)
  • 住民票の除票、または戸籍の附票(登記簿と同じ住所・本籍地が記載されたもの)
  • 固定資産評価証明書(名義変更する年度のもの)

相続人側の書類

  • 戸籍謄本、または抄本(相続人全員分)
  • 住民票(新しく名義人になる人の分のみ)

その他

  • 相続関係説明図
場合により必要になる書類

◎法定相続分以外のものを名義変更する場合

  • 遺産分割協議書
  • 印鑑証明書

◎遺言書がある場合

  • 遺言書、検認調書

◎遺産分割協議があった場合

  • 印鑑証明書(相続人全員分)
◎必要な書類が揃えられない場合
  • 不在籍証明書、不在住証明書
  • 登記済権利証
  • 上申書、印鑑証明書

◎法定相続人の誰かが相続放棄する場合

  • 相続放棄申述受理証明書

これらの書類は、相続人の数や本籍地が分散していると収集に時間がかかるため、余裕をもって準備を始めることが大切です。

生前贈与・財産分与の場合

生前贈与・財産分与の場合の必要書類は以下のとおりです。

生前贈与の場合贈与する側の書類
  • 登記済権利証、または登記識別情報通知
  • 固定資産評価証明書(名義変更する年度のもの)
  • 印鑑証明書(3ヶ月以内に取得したもの)

贈与を受ける側の書類

  • 住民票

その他

  • 登記原因証書(贈与契約書、贈与証書など贈与契約に関する書類)
財産分与の場合もとの名義人側の書類
  • 登記済権利証、または登記識別情報通知
  • 固定資産評価証明書(名義変更する年度のもの)
  • 印鑑証明書(3ヶ月以内に取得したもの)

新しく名義人になる側の書類

  • 住民票

その他

  • 離婚協議書、財産分与契約書
  • どちらかの戸籍謄本(離婚日が記載されたもの)

贈与か売買か、財産分与かによって、税金の扱いや必要書類が変わるため、登記申請書の「登記原因」をどう記載するかを含めて、司法書士に確認しておくと安心です。

マンションの名義変更・よくある3つの相談ケース

マンションの名義変更は、購入・生前贈与・相続・財産分与の4種類に分けられますが、その中にもさまざまなケースがあります。

たとえば財産分与ひとつとっても、「夫の単独名義だったものを、妻の単独名義に移す」場合と、「夫婦共同名義だったものを、どちらかの単独名義に変える」場合では、必要な書類や手続きも違います。

そこでこの章では、名義変更のしかたに迷いがちな3つのケースについて、くわしく解説していきましょう。

名義変更と同時にローンも引き継ぎたい場合

離婚や親子間の名義変更などで、「マンションの名義を変えるタイミングでローンの名義も変えたい」という相談は多くあります。

しかし、住宅ローンの名義変更は、金融機関が認める条件が厳しく、実際に承認されるケースは多くありません。

一般的には、次のいずれかの方法で対応します。

  • 新しい名義人が、自分名義の住宅ローンを新たに組みなおす(借り換え)
  • 名義を引き継ぐ人が、相手の持分を現金で買い取る

いずれの場合も、金融機関の審査が必要となるため、名義変更を検討し始めた段階で、ローンを組んでいる銀行に早めに相談しておくことが重要です。

共同名義の一方だけを名義変更したい場合

夫婦や親子で共有名義になっているマンションのうち、一方の名義だけを変更したいケースもあります。

たとえば、次のような場合が想定されます。

  • 両親が共同名義で所有していたものを、父親が亡くなったので父の名義のみ子どもに変更して、母と子の共同名義にしたい
  • 夫婦共有名義だったが、離婚して夫が再婚するので、元の妻名義の部分を新しい妻に書き換えたい

この場合、死亡による相続であれば相続の場合の名義変更を、離婚の場合は財産分与での名義変更をすればよいだけです。

ただローンが残っている場合は、前項で説明したようにローンの名義変更が難しいため、新しい名義でローンを借り換える必要があるでしょう。

また、新しく名義人になる人が、元の名義人からマンションの所有分を買い取るという方法もあります。

共有名義を一人の名義にまとめたい場合

共有名義を解消して、一人の名義にまとめたいという相談もよくあります。

  • 共働き夫婦で共同名義にしていたが、妻が仕事をやめて専業主婦になり、妻の分の支払いも夫がすることになるため、名義も夫ひとりにまとめたい
  • 親子共同名義のマンションに同居していたが、子どもが結婚して新居を構えるので、実家の名義は親ひとりのものに変更したい
  • 夫婦共有名義だったが、離婚するので夫の単独名義にしたい

などのケースです。

対応方法としては、次のような選択肢があります。

  • 一方が他方の持分を購入し、その代金を支払う
  • 生前贈与や財産分与の形で持分を移転する

どの方法を選ぶかによって、贈与税・譲渡所得税などの税負担が変わるため、「税金を含めたトータルコスト」で判断することが大切です。

マンションの名義変更に関するよくある質問

マンションの名義変更はいつまでにやらないといけませんか?

相続による名義変更(相続登記)は、2024年4月以降は「相続を知った日から3年以内」の申請が義務化され、期限までに行わないと過料の可能性があります。売買・贈与・財産分与による名義変更に明確な期限はありませんが、トラブル防止のため、名義が変わったタイミングで早めに登記しておくのが基本です。

マンションの名義変更は自分だけでできますか?

必要書類を揃えて登記申請書を作成すれば、自分で法務局に申請することも可能です。ただし、相続人が多いケースや贈与・財産分与など登記原因が複雑なケースでは、必要書類の判断や申請内容を間違えるとやり直しになることも多いため、司法書士に依頼した方が安心な場面も少なくありません。

マンションの名義変更にはどれくらい費用がかかりますか?

主な費用は「登録免許税」「不動産取得税(条件による)」「司法書士報酬」などで、マンションの固定資産税評価額や取得理由(売買・相続・贈与など)によって大きく変わります。目安としては、登録免許税と司法書士報酬を合わせて十数万円〜数十万円程度になることが多いため、具体的な金額は事前に見積もりを取りながら確認すると安心です。

離婚や親子間で名義変更する場合も税金はかかりますか?

離婚の財産分与や親子間の名義変更は、「贈与」とみなされて贈与税の対象になる場合があります。また、売却して名義を変える場合は、利益が出れば譲渡所得税がかかることもあります。いずれも金額や条件によって税額が大きく変わるため、名義変更の前に税理士や税務署に相談して、税金も含めたトータルの負担を把握しておくとよいでしょう。

まとめ

マンションの名義変更は、相続・贈与・売買・財産分与など、所有者が変わるタイミングで必要になる重要な手続きです。

ケースによって必要書類や税金が異なるため、「自分のケース」と「いつまでに何をするか」を整理して進めることが大切です。

この記事の制作体制
  • Chika Otsuki

    ゼロリノベの編集者。大学時代にデンマークへの留学を通して、北欧の人々の住まいに対する美意識の高さに感化される。暮らしにおける「住」の重要性を伝えたいと住宅雑誌の編集を経験。より自分らしく、自由に生きられる選択肢の一つとしてリノ...

  • 宅地建物取引士、不動産投資家歴15年、元銀行員。不動産仲介からリノベーション設計・施工をワンストップで提供する株式会社grooveagent(ゼロリノベ)代表取締役。

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