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【宅建士が解説】中古マンション購入でよくある4つの後悔とは?|事前の心構え

マンション購入における4つの後悔

念願のマンション購入。理想の楽しい生活が待っていたはずなのに、購入したことを後悔…なんてことは避けたいですよね。しかし実際には、マンション購入を後悔している人は少なくありません。その理由はさまざまですが、なかでも多いのが「住宅ローン」「隣人トラブル」「立地」「耐久性と耐震性」です。でも、これらの理由って事前に後悔ポイントを知っておけば多くの場合は回避することができます!

そこでこの記事では、中古マンションを購入して後悔している理由と、これから購入しようと考えている人に向けて事前に確認しておきたいポイントについてお伝えします。主に以下の4つの後悔について解説していきます。

  • 住宅ローンの支払いが苦しくて後悔
  • 中古マンションならではの予期せぬ隣人トラブルに後悔
  • 会社や駅までのアクセスが不便な立地に後悔
  • 中古マンションゆえの耐久性や耐震性の不安に後悔

また、中古マンション購入で大切なのは、変えられる箇所を見るのではなく、変えられない箇所を見ることです。
最後まで読めば、納得のいく中古マンション購入に一歩近づくことができるでしょう。

この記事の監修者

宅地建物取引士/元銀行員
鰭沼 悟

宅地建物取引士、不動産投資家歴15年、元銀行員。不動産仲介からリノベーション設計・施工をワンストップで提供する株式会社grooveagent(ゼロリノベ)代表取締役。

目次

 住宅ローンの支払いが苦しくて後悔

まず初めに、マンション購入のきっかけで多いのが、「家賃がもったいない」「賃貸の更新料がもったいない」というお金の問題です。お金のことになると、誰でも慎重になりますよね。実際に、中古マンションを購入して後悔している理由の上位もお金に関すること。では、具体的にお金のどんなことについて後悔しているのでしょうか。

1-1. 減給

「不景気で給料が安くなった」
「長期入院で収入が大幅に減った」
「ボーナス払いを併用していたのにボーナスが出なくなった」

月々の返済額に余裕を持たせて住宅ローンを組んだつもりでも、減給やボーナスカットなどで収入が大幅に減ってしまう可能性は大いにあります。それに念願のマイホームを手に入れたのに、ローンの返済に追われて生活に余裕がなくなってしまっては元も子もありません

そもそも住宅ローンを組む場合、「返せる金額」ではなく「借りられる金額」で設定してしまうことが多いのです。銀行は返済可能な額であれば上限ギリギリでも貸してくれます。しかし、「借りられる金額」で住宅ローンを組んでしまった場合には、減給といった不測の事態に対応できる余裕がないため、結果的に自身が苦しくなってしまうのです。

重要な心構えとして、借りられる額と返せる額は異なるという認識が必要です。

なお、住宅ローンの適正な借入額については以下の記事を参考にしてみてください。
関連:年収500万〜590万の住宅ローンについて説明している記事

1-1-1.【事前確認ポイント】返せる金額で借入額を計算しておく

では、減給によって住宅ローンの返済が苦しくならないために、借入額はどのように設定すれば良いのでしょうか?

先ほども少し触れたとおり、返せる金額+αでローンを組めば、万が一に減給などで収入が減っても安心していられるはずです。いざ!という時が来ても慌てないですむ返済額の決め方は、次の計算式を参考にしてみてください。

≪ 返済額=月収 ― 貯蓄額 ― 支出額 ≫

この式で出た金額が、1カ月あたりの住宅費用にかけられる金額になります。
借入額について概算を知りたい方は便利な ローンシミュレーションサイト を利用するのがおすすめです。

詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連:住宅ローンの年収別可能額とシミュレーションについて説明している記事

1-2. 管理費や修繕積立金の値上げ

「管理費と修繕積立金が、値上がりするなんて思ってもいなかった」
「購入時に、管理費と修繕積立金も含めて月々の返済額を決めていたのに、値上がりによって返済負担が増えた」

次に挙げるのが、管理費や修繕積立金の値上げです。
値上がりなんて契約違反じゃない?と思われるかもしれませんが、実際に管理費や修繕積立金が値上がりするケースは少なくはありません。

新築当初に管理費や修繕積立金が安く設定してある場合、値上がりする可能性は高くなります。マンションによっては当初の3倍も値上げしたというケースもありました。これらの値上がりは、「きちんと現実的な修繕計画が立てられていないこと」や「管理状態に対する住民の意識が低く、老朽化が深刻化した」等さまざまな理由が考えられます。

一方で、管理費や修繕費はマンションを維持していく上で欠かせない費用です。安ければ安いほど良いというものでもありません。ですから、購入時には妥当な金額かどうかを見極める必要があるのです。

1-2-1.【事前確認ポイント】65㎡なら月々2~3万円が目安

では、管理費や修繕積立金の妥当な金額とはどのくらいのことを指すのでしょうか?

管理費や修繕積立金は購入前に事前に確認できます。専有面積が65㎡のマンションであれば相場は1〜3万円前後。管理費と合わせて月々2~3万円を目安と考えておくと良いでしょう。詳しくは以下の記事もあわせてご覧ください。
関連:中古マンションの修繕積立金の相場について説明している記事

1-3. 固定資産税を計算に入れていなかった

「固定資産税がかかることを忘れていて、住宅ローンの返済額に含めていなかったので想定外の出費だった」

最後に、意外と忘れがちになってしまうのが固定資産税です。管理費や修繕積立金は事前に確認していても、固定資産税が発生することを計算に入れ忘れていた…という人が意外と多いのです。

固定資産税は、その年の1月1日時点で所有している土地や建物などに課せられ、4~6月に納付のための通知が来ます。一括で支払うこともできますが、4回に分けることも可能です。いずれにしても、あらかじめ固定資産税がかかることを腹づもりしておくことが必要です。

1-3-1.【事前確認ポイント】固定資産税額がいくらかを確認しておく

新築マンションの場合は、購入する段階で固定資産税の評価額が決まっていないことがあります。モデルルームだけしかできておらず、実際にまだ建物が完成していない場合などです。

しかし、中古マンションであればすでに建物はあるので評価額は決まっています。不動産会社は大体の評価額を予測していますし、マンションの所有者に確かめてもらうことも可能です。事前に評価額がいくらぐらいなのかを担当者に確認しておきましょう。固定資産税の相場については、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連:マンションの固定資産税の相場について説明している記事

中古マンションならではの予期せぬ隣人トラブルに後悔

「下の住人から子どもの足音がうるさくて眠れないと嫌みを言われた」
「隣の人に窓の開け閉めの音がうるさいと怒鳴られた」

騒音に関するトラブルはよく聞く話ですが、中古マンションならではの隣人トラブルもあります。

たとえば新築の場合は入居者全員が新しく入る人です。ところが、中古の場合は何十年も住んでいる「主」のような人がいたり、なかには暗黙のルールのようなものがあり、ルールに合わないと仲間外れにされるといったことも残念ながらあるようです。

また、築30年や築40年といった中古マンションでは世代間のズレによりトラブルが発生することもあります。たとえば、「夜になっても洗濯ものを出しっぱなしにしている」「子どもがあいさつもしない」「共有の廊下で夜中に携帯電話で話してる」など、若い人は気にならないことも年配の方には気になってしまうこともあるようです。

2-1.【事前確認ポイント】内覧で駐輪場や管理人の対応を見ておく

では、中古マンションにおいてどのように隣人トラブルを避ければ良いのでしょうか?

正直なところ、物件は選べても隣人は選べません。しかし、新築マンションと異なり中古マンションの場合、すでに人が住んでいますので、ある程度は把握が可能です。

内覧の際、マンション全体の雰囲気に注意をむけてみましょう。たとえば、駐輪場に子ども用の自転車や三輪車が多ければ、若い世代の住民も多いことがわかります。

また、トラブルがあった際に重要なのが管理会社や管理人の対応です。管理人の対応が悪かったという声もよく聞きます。物件の下見に行った際に、もし管理人が常駐しているマンションであれば、話しかけてみることをおすすめします。その際の態度も一つの判断材料になるからです。時間があれば住人とのやり取りも観察しておきましょう。

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会社や駅までのアクセスが不便な立地に後悔

「急行も停まるし便利でいいなと思ったけど、毎日の通勤に徒歩20分は思っていたより辛い」
「家族のためならと購入したけど、会社まで往復4時間で家族と過ごす時間がない」

内装や間取りが気に入ってしまい、立地の条件を少し緩めてしまうというケースもよくあります。当時は、会社や駅まで遠いことがそれほど気にならないと判断して購入を決断したのでしょう。ところが、実際に暮らしてみて「やっぱり不便」と実感する人は多いようです。

特に毎日通勤する人は、「本当に今の立地で不便しないか?」と冷静に問いかけてみることが必要かもしれません。

3-1.【事前確認ポイント】住みたいエリアに絞って探す

中古マンションを購入する際の条件として最も重要なのが「予算」「場所」「広さ」です。
これらの3つの条件を細かく設定できているかで、中古マンション購入のスピードや判断力は格段に変わってきます。
関連:中古マンションの条件整理と選び方について解説している記事

そのため、自分がどのエリアを希望しているのか、家族とも相談して棚卸しておくことを強くおすすめします。

また、「立地」は資産価値にも影響します。アクセスがよく利便性の高いエリアは、人気が集中するため将来もし売却することになった際も、すぐに買い手が見つかるでしょう。さらに駅から遠い物件よりも駅近の物件の方が値下がりもしにくいです。

「そうは言っても、駅近だと値段が高くて手が出ない」

新築の場合は確かにそうです。ただし、駅から近い土地はそもそも昔の新築マンション=現在の中古マンションが建っていると考えられます。つまり立地で選ぶなら、むしろ中古マンションで探したほうが良いと言えます。

また、築年数が古いマンションでも、内装や間取りはリノベーションすれば自由に変えることができます。このように、中古マンション購入においては「変えられない部分(立地)」の条件から優先して考えていくべきなのです。

中古マンションゆえの耐久性や耐震性の不安に後悔

「10階以上の高層階だと地震のときに結構揺れそうで不安」
「配管が古いから、夏はとくにサビの臭いや下水の臭いが気になる」

最後に紹介するのが、中古マンションゆえの耐久性や耐震性に対する不安や不満の声です。

耐震性については、1981年6月に大幅に改正され「新耐震基準(新耐震)」になりました。この時期より後に建築されたマンションであれば、耐震については基準をクリアしていると考えて良いでしょう。

ただし、次のグラフを見てください。東日本大震災のようなマグニチュード9規模の超大型地震でも、旧耐震が新耐震に比べて圧倒的に被害が大きかったわけではありません。
東日本大震災データ

そう考えれば、「新耐震基準ならばより安心できるね」という程度に心得ておいて問題ありません。

むしろ、実は目を向けるべきなのは「耐久性」です。なぜなら、マンションの寿命や耐久性は、適切な修繕がなされているか、定期的なメンテナンスが施されているかといった「管理状態」によって、大きく左右されるからです。

4-1.【事前確認ポイント】耐震よりも耐久を確認しておく

では、マンションの耐久性はどのように判断すれば良いのでしょうか?答えは「管理状態をチェックすること」です。

「配管がサビ臭い」「下水の臭いがする」という声にあるように、配管や外壁、共用廊下、バルコニーの手すり、非常階段などに問題はないか事前に確認しましょう。日頃のメンテナンスが長期修繕計画がキチンと行われていれば、中古マンションでも安心・安全、気持ちよく住むことができます。

逆に新築でマンションを購入したとしても、10年、20年と経てば中古になります。さらにメンテナンスがキチンとされていなければ、劣化が早まり耐久性にも問題が生じてくるのです。

「新築だから耐久性も信頼できる」というわけでは必ずしもないということを覚えておきましょう。
むしろ、管理状態によっては新築マンションでも、数十年後には危険で汚いマンションへと変貌してしまう可能性すらあるということです。

「変えられないこと」より「変えられること」に着目する

変えられること、変えられないこと

ここまでよくある4つの後悔について解説してきました。

立地や固定資産税などは後から変えることはできませんし、自分ではどうにもなりません。逆に修繕積立金の値上げや管理の質などは、理事会に働きかければ改善する可能性はあります。しかし、そのための時間と労力は並大抵ではありませんし、必ず変わる保証もありません。

中古マンション購入で大切なのは、「変えられないこと」「変えるのが難しいこと」ばかりに意識を向けるより、「変えられること」に着目すること。たとえば、内装や間取りがそうです。

「駅からは遠いけどシステムキッチンだしお風呂もキレイで気持ちよさそう」
「少し繁華街でにぎやかだけど、リビングが広い間取りの方がいいよね」

これら間取りや設備は、購入後にリノベーションをすれば自由に変えることができます。
一方で、立地はやはり変えられません。我慢して住まなければならない要素があるのならば、物件探しの際にしっかり検討するべきです。

たとえば、以下は実際によくある3LDKの間取りを子どもたちが思いっきり遊べる大空間にリノベーションした事例です。

間取りビフォーアフター

買ってから後悔しないためにも、見るべきは以下のような「変えられない部分」です。

  • 通勤や利便性、資産性を考え立地はどうか?
  • 管理は管理会社か?自主管理か?
  • 清掃や修繕などの管理は行き届いているか?
  • 管理費・修繕積立金は妥当か?
  • 固定資産税はいくらぐらいかかるのか?
  • どんな人たちが住んでいるのか?
  • 中・長期修繕計画はしっかりと立てられているか?
  • 修繕計画通りに実行されているか?
  • (ペット飼育者の方は)ペット飼いが可能かどうか?
  • (楽器を演奏したい方は)何時まで演奏して良いのか?

特に最後の2つは管理規約で確認できるので、担当者に問い合わせてみましょう。

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まとめ

いかがでしたか?
本記事で紹介した4つの後悔ポイントに対する【事前確認ポイント】を押さえて、後悔のないマンション購入に繋げてください!

念願のマンション購入なのですから、「ちょっと我慢すれば良い」で妥協するのではなく、「変えられない部分」はしっかり吟味したうえで「変えられる部分」に注目してみましょう。リノベーションによってカバーできる部分は意外と多いものです。

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この記事の制作体制
  • 大月知香

    ゼロリノベの編集者。大学時代にデンマークへの留学を通して、北欧の人々の住まいに対する美意識の高さに感化される。暮らしにおける「住」の重要性を伝えたいと住宅雑誌の編集を経験。より自分らしく、自由に生きられる選択肢の一つとしてリノ...

  • 鰭沼 悟

    宅地建物取引士、不動産投資家歴15年、元銀行員。不動産仲介からリノベーション設計・施工をワンストップで提供する株式会社grooveagent(ゼロリノベ)代表取締役。

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