メゾネットマンションとは?特徴やメリット・デメリットを詳しく解説
メゾネットマンションとは、住戸内に内階段があり、2階層以上に分かれているマンションのことです。マンションやアパートなどの集合住宅でありながら、一戸建て住宅のように利用することができる、人気の構造です。
対する間取りとしては「フラットタイプ」が、似たような構造としては「ロフトタイプ」「テラスハウス」などがあります。
それぞれの違いは以下の通りです。
<メゾネットマンションと他の構造との違い>
マンション/メゾネットタイプ
マンションでありながら住戸内に内階段があり、2階層以上の居室があるもの。最上階とその下の階をつなげて2階層にしていることが多い。
マンション/ロフトタイプ
住戸内に簡易的なハシゴや階段があり、中2階の空間につながっているタイプの間取り。中2階は物置などとして使用できる。メゾネットと違い、ロフト部分は法律上居室には当たらない。
マンション/フラットタイプ
最も一般的なマンションの部屋。住戸内に階段はないワンフロアの間取り。
テラスハウス
マンションではなく、2階建て構造になっているテラス付きの長屋。見た目は2階建ての一戸建て住宅が数件連なっているように見える。玄関は別々なので共有の廊下や階段などはない。
上記のようにメゾネットマンションは、他の構造と比べると少々特殊な構造をしています。そのため、メゾネットマンションに住もうとお考えの場合は、その特徴を正しく理解する必要があります。
そこでこの記事では、メゾネットマンションのメリット・デメリット、住むことをおすすめする人、しない人について、詳しく解説いたします。
メゾネットマンションとは
メゾネットマンションとは、冒頭でもご説明しましたが、マンションでありながら住戸内に内階段があり、2階層以上に分かれている間取りの物件のことを指します。
この章では、メゾネットマンションと他の構造との違いや、メゾネットマンションの種類についてお伝えいたします。
1-1.メゾネットマンションと他の構造の違い
他の構造との違いについて解説いたします。
マンション/フラットタイプ
まず、マンションというと、通常は「フラットタイプ」と呼ばれる、ワンフロアの間取りであることがほとんどです。マンションやアパートで最も多い、一般的な構造です。
マンション/メゾネットタイプ
これに対して、例えばマンションの中で最上階とその下の階などをつなげて2階層にしているのが、メゾネットタイプです。住宅2つ分の容積をとるためその分販売価格や賃貸料も高くなりますが、供給数も限られています。都心のマンションに住みたいが子供やペットがいるため一軒家のように過ごしたい、という層に人気の構造となります。
大きな窓や吹き抜けを活用した、明るく開放的なデザインになっている物件も多く、デザイン性の高さも人気のポイントです。
マンション/ロフトタイプ
メゾネットタイプと同じように室内に別の階層がある間取りとして、フラットタイプの部屋に中2階として物置等になる空間がついている「ロフトタイプ」の物件もあります。ロフトはメゾネットと異なり、エアコンや窓をつけられないという制限があり、法律上は「居室」扱いではなく、「物置」や「屋根裏」という扱いになります。
テラスハウス
その他、メゾネットマンションに似た物件として、「テラスハウス」もあります。テラスハウスとは、2階建て構造になっているテラス付きの長屋のことです。住戸内はメゾネットマンションと同じように2階層になっていますが、玄関は各戸で独立しています。マンションではありませんので、共用廊下やエントランス、共通の駐車場等もありません。
1-2.メゾネットマンションの種類
メゾネットマンションと他の構造との違いはお分かりいただけたと思いますが、メゾネットマンションにはいくつかの種類がありますので、それをご紹介いたします。
上下に住戸を重ねるタイプ
マンションの最上階とその下の階を内部でつなげて1つの住戸を作るタイプです。
デザイナーズマンションなどでは、最上階とその下の階がメゾネットに設計されているケースが多いようです。
3階層を2住戸にするタイプ
1階と2階の半分で1住戸、2階の残り半分と3階で1住戸を作るタイプです。この場合、上下とも自分の住戸の占有スペースではないため、部屋によっては上階、または下階の物音が響いてしまう可能性もあります。
メゾネットマンション7つのメリット
メゾネットマンションの概要や種類についてはご理解頂けたかと思いますが、次は、実際に住む場合に具体的にどんなメリットがあるのか気になりませんか?
メゾネットマンションの最大の特徴は、マンションでありながら一戸建てのように暮らせるという点です。具体的なメリットは、以下の7つです。
メゾネットマンション7つのメリット
- 目的に応じてフロアを分けられる
- 近隣との騒音トラブルが生じにくい
- 空間がおしゃれ
- 日当たりが良い
- 通気性が良い
- 階段で自然と運動量が増える
- 一戸建てと比べると割安
詳しくは以下でご説明いたします。
1.目的に応じてフロアを分けられる
メゾネットマンションは、以下のようにフロアを分けることで、快適に生活しやすい環境を作ることができます。
下階をリビングや来客用スペース、上階を子供部屋や寝室にする
突然の来客時に子供部屋や寝室が散らかっていても、下階のみで対応できるため、上階のプライベートな部分を見られなくてすみます。
下階をリビングスペース、上階を寝室にする
仕事で深夜に帰宅する家族も、既に寝ている家族に気を遣いすぎることなくリビングで食事をしたりテレビを観たりすることができます。
下階を妻の仕事スペース、上階を夫の仕事スペースにする
在宅勤務で夫婦が同じ家で仕事をする場合にも、フロアで分けるとオンライン会議などの声も気にならず、集中することができます、
家族と言えども、お互いの生活スタイルが異なると干渉してイライラしてしまうこともありますが、フロアを分けることで不要ないさかいを防止することができますね。
2.近隣との騒音トラブルが生じにくい
マンションに住む多くの方が抱えている心配事が、ご近所との騒音トラブルです。子供の足音やペットの鳴き声などで近隣に迷惑をかけてしまわないか、気を遣って過ごしている方も多いのではないでしょうか。
そんなときでもメゾネットマンションなら、上下とも自分の家族が住んでいるため、例えば上階で多少音を立てても、それが直接聞こえるのは下階にいる家族になるため、近隣のご家族にまで届いてうるさいと思われることは少ないと言えます。
実際にクレームを言われなくても、「子供の足音で下の階の住人に迷惑をかけているのではないか…」などの不安を感じる環境ですと、子供が些細な物音を立てただけでも厳しく叱ってしまうなど、家族全体の雰囲気が悪くなってしまいます。
そんな心配を回避できるという点も、メゾネットマンションの大きなメリットのひとつですね。
3.空間がおしゃれ
メゾネットマンションには、開放的な吹き抜けや、デザイン性の高いらせん階段などがあることが多く、都会的でおしゃれな空間で暮らすことができます。
家は長時間過ごす場所ですので、自分が素敵だと思える内装や間取りの家に住んで気分を高めると、仕事や家事、勉強などへのモチベーションも高めることができます。友人を呼んでホームパーティをするときも、ドラマに出てくるようなおしゃれな間取りに驚いてもらえそうですね。
そんな、おしゃれな空間を思う存分楽しむことができるのもメゾネットマンションのメリットです。
4.日当たりが良い
4つ目にご紹介するメリットは、日当たりの良さです。
吹き抜けがある間取りや、マンションの最上階に作られたメゾネットマンションの場合は、上階と下階両方に大きな窓やテラスがあり、室内に光がたっぷり入ってくることが多いです。特に、高層階に部屋が位置している場合、部屋の奥までしっかりと明るい陽の光が差し込みます。
陽がたくさん差し込むと、日中電気をつけなくても自然な明るさの部屋で過ごすことができますし、冬場も部屋全体が温かくなり、快適に過ごすことができます。部屋が暗いと気分も暗くなってしまったり、カビが発生するリスクもありますので、日当たりが良いというのは嬉しいですよね。
特に、朝自然な太陽の光を浴びると体内時計がリセットされるため、体内のリズムを正しく保つこともできます。日当たりの良い部屋に住むことは、精神的にも肉体的にもメリットがありますね。
5.通気性が良い
メゾネットマンションは吹き抜けがある間取りであることが多く、それによって通気性が良くなることもメリットのひとつになります。
ジメジメした梅雨の時期でもカビの発生を抑えられますし、夏もムシムシするのを防ぐことができます。また、料理の匂いがいつまでも室内に充満する…ということも避けられますし、涼しい風がたくさん入ってきますので、夏場はその分クーラーの使用も抑えられます。
空気がこもると気分も暗くなってしまいがちですが、通気性の良い家なら、明るくのびのび過ごすことができますね。
6.階段で自然と運動量が増える
メゾネットマンションはフロアが上階と下階に分かれているため、洗濯物を運んだり、家中の掃除をしたりするときに、移動のために階段を使うことが多くなります。そうすると、動く量が自然と増えるため、意識的に運動しなくても運動量を増やすことができます。
家の中にいながら自然と運動不足を防止できるのは、肥満防止になるため健康に良いと言えますね。
7.一戸建てと比べると割安
メゾネットタイプの部屋を作るようなマンションには、高額なタワーマンションや高級なデザイナーズマンションなどが多いため、賃料や購入価格は、他のマンションと比べると高めになることが多いです。
ただし、同じエリアの同じようなグレードの一戸建てに住みたいと考えると、やはりマンションのほうが賃料や購入価格は割安になります。
一戸建てに住むほどの予算はないけれど一戸建てのように暮らしたい、という方にはぴったりですね。
メゾネットマンション7つのデメリット
メゾネットマンションは特殊な間取りであるからこそ、デメリットもあります。メリットだけでなくデメリットも知った上で、住むかどうかの検討を進めたいですよね。
具体的には、以下の7つがデメリットとして挙げられます。
メゾネットマンション7つのデメリット
- フラットタイプの部屋と比較すると価格が高い
- 空調による室温の調整が難しいことがある
- 光熱費が高くなる傾向にある
- 同じ床面積のフラットタイプの家よりも部屋として使用できる面積が小さい
- 階段移動が不便
- 引っ越しの際の搬入が大変
- Wi-fiが全エリアに届きにくい可能性がある
それでは、以下でひとつずつ解説して参ります。
1.フラットタイプの部屋と比較すると価格が高い
メゾネットタイプの部屋は、借りる場合も購入する場合も、同じマンションの別のフラットタイプの部屋と比較すると価格は高くなりがちです。最上階に作られることが多いためもともと値段が高いということと、単純にフラットタイプの部屋よりも広いことが多いためです。
しかし、フロアが2階層に分かれていて一戸建てのように過ごせるということを考えると、一戸建てよりはコスパが良いとポジティブに考えることもできるでしょう。
2.空調による室温の調整が難しいことがある
間取りや断熱性能にもよりますが、多くの場合、メゾネットマンションは以下の理由で快適な室温にならないことがあります。
- 天井が高いため空間が広く、冷暖房が全体に効くまで時間がかかる
- あたたかい空気は軽く上に抜けやすいため、夏は冷房をつけても下階ばかりが冷えて上階部分が暑くなりやすい
- 冬はその逆で、暖房をつけると上階部分は暖まりやすいが下階は暖まりにくい
そのため、メゾネットマンションでは上階下階両方に空調を設置するのがおすすめです。冬は、床暖房やホットカーペットも活用すると良いですね。
また、上下の階で温度差が生まれると結露が発生しやすくなることもありますので、窓は断熱ガラスや二重サッシなどですとより安心です。
3.光熱費が高くなる傾向にある
3つめのデメリットは、光熱費が高くなりがちという点です。(2)でも述べた通り、メゾネットマンションは冷暖房効率が悪いため、その分空調の設定を強めにしたり、空調機器を増やす必要があります。そのため、フラットタイプよりも光熱費が高くなる傾向にあります。
そのため、空調が不要な部屋のドアはこまめに閉めたり、扇風機で効率よく風を回すなどして、空調の効率を高める工夫をすると良いですね。
4.同じ床面積のフラットタイプよりも部屋として使用できる面積が小さい
メゾネットマンションでは、室内に吹き抜けや階段があるため、同じ床面積のフラットタイプと比較すると、空間の利用効率は悪く、部屋として使用できる面積は小さくなります。
おしゃれで開放的な空間で過ごせるのがメゾネットマンションですが、空間を効率的に活用したいという方には、フラットタイプの方が向いていますね。
5.階段移動が不便
室内に階段があるのがメゾネットマンションの大きな特徴ですが、これはデメリットにもなります。
例えば、熱い飲み物や掃除機、濡れて重くなった洗濯物、加湿器の水タンク、スーツケースなど、重かったり持ちにくかったりするものを持って移動するには、階段は不便に感じることがあるでしょう。
また、高齢で足が悪い方の場合や、怪我をしてしまった場合などにも、階段移動は大変です。お子様やペットが、らせん階段の隙間から誤って転落することがないように注意もしないといけません。
そのため、家族構成によっては、過ごすフロアを分けたり、階段にゲートをつけたりするという工夫が必要になります。
6.引っ越しの際の搬入が大変
室内の階段は、外の階段と比べると幅が狭いことが多く、大型の家具や家電はそのまま運べないことがあります。そうすると、特殊な方法で吊り上げて上階に運ばないといけませんので、作業費が余分にかかってしまいます。
引っ越し当日に困らないよう、事前に階段の幅をチェックしておきましょう。
7.Wi-fiが全エリアに届きにくい可能性がある
メゾネットマンションでは、フロアが縦に広く分かれるため、同じ家の中でも場所によってはWi-fiがつながりにくいゾーンが出てくる可能性があります。
その場合はルーターを増やしたり別のポケットWi-fiを購入したりする必要がありますので、留意しておきましょう。
メゾネットマンションをおすすめする方・しない方
メゾネットマンションのメリットとデメリットをご紹介しましたが、項目が多いため、結局自分に向いているのか向いていないのか、どうやって判断したらいいの?とお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方のために、メゾネットマンションをおすすめする人としない人を以下にまとめました。
メゾネットマンションをおすすめする人
- わんぱく盛りの年齢の子供やペットがいるが、近隣への騒音を気にせずのびのび過ごさせてあげたい
- 塾やバイト、仕事など、家族の生活の時間帯が異なる
- おしゃれで都会的な空間の家に住みたい
- 自宅兼オフィスとして使用したい、在宅ワークが増えるなどで、家の中でも仕事に集中できるスペースが欲しい
- 来客が多い
- 日当たりや通気性の良い開放的な家に住みたい
- 運動不足が気になる
- 一戸建てに住むほどの予算はないが一戸建てのように暮らしたい
メゾネットマンションをおすすめしない人
- デザイン性や開放感よりも、空間の利用効率の良さや価格の安さを求める
- 子供が小さくて階段から転落する危険がある
- 足腰の弱いお年寄りや階段移動を辛く感じる家族がいる
デザイン性の高さや開放感、部屋の目的をしっかりと区別して使用できる点が、メゾネットマンションの特徴です。それらの点を良いと感じる方には、メゾネットマンションはおすすめですよ。
まとめ
この記事では、メゾネットマンションについてお伝えしました。ポイントを再掲いたします。
メゾネットマンションとは
住戸内に内階段があり、2階層以上に分かれているマンションのこと。マンションやアパートなどの集合住戸でありながら、一戸建て住戸のように利用することができる、人気の構造。
メゾネットマンションと他の構造との違い
マンション/メゾネットタイプ
マンションでありながら住戸内に内階段があり、2階層以上の居室があるもの。最上階とその下の階をつなげて2階層にしていることが多い。
マンション/ロフトタイプ
住戸内に簡易的なハシゴや階段があり、中2階の空間につながっているタイプの間取り。中2階は物置などとして使用できる。メゾネットと違い、ロフト部分は法律上居室には当たらない。
マンション/フラットタイプ
最も一般的なマンションの部屋。住戸内に階段はないワンフロアの間取り。
テラスハウス
マンションではなく、2階建て構造になっているテラス付きの長屋。見た目は2階建ての一戸建て住宅が数件連なっているように見える。玄関は別々なので共有の廊下や階段などはない。
メゾネットマンションの概要と、他の構造との違いは上記の通りでした。
さらに、メゾネットマンションには7つのメリットとデメリットがありました。
メゾネットマンションのメリット・デメリット
メリット
- 目的に応じてフロアを分けられる
- 近隣との騒音トラブルが生じにくい
- 空間がおしゃれ
- 日当たりが良い
- 通気性が良い
- 階段で自然と運動量が増える
- 一戸建てと比べると割安
デメリット
- フラットタイプの部屋と比較すると価格が高い
- 空調による室温の調整が難しいことがある
- 光熱費が高くなる傾向にある
- 同じ床面積のフラットタイプの家よりも部屋として使用できる面積が小さい
- 階段移動が不便
- 引っ越しの際の搬入が大変
- Wi-fiが全エリアに届きにくい可能性がある
また、それを踏まえて、メゾネットマンションをおすすめする人としない人は以下の通りでした。
メゾネットマンションをおすすめする人、しない人
おすすめする人
- わんぱく盛りの年齢の子供やペットがいるが、近隣への騒音を気にせずのびのび過ごさせてあげたい
- 塾やバイト、仕事など、家族の生活の時間帯が異なる
- おしゃれで都会的な空間の家に住みたい
- 自宅兼オフィスとして使用したい、在宅ワークが増えるなどで、家の中でも仕事に集中できるスペースが欲しい
- 来客が多い
- 日当たりや通気性の良い開放的な家に住みた
- 運動不足が気になる
- 一戸建てに住むほどの予算はないが一戸建てのように暮らしたい
おすすめしない人
- デザイン性や開放感よりも、空間の利用効率の良さや価格の安さを求める
- 子供が小さくて階段から転落する危険がある
- 足腰の弱いお年寄りや階段移動を辛く感じる家族がいる
以上を参考にしていただき、メゾネットマンションの概要やメリット・デメリットを知っていただき、自分に合うかどうか、正しく判断できるようになって頂けますと幸いです。