マンション駐車場は物件購入前に確認するべし!その理由と注意点を徹底解説
車を所有しているため、駐車場付きのマンション購入を検討しているという方も多いのではないでしょうか?その際に大切なのが、マンションの駐車場は物件購入前にしっかり確認するべきということです。
なぜなら駐車場は物件選びを左右する重要なポイントであるからです。例えば、マンションを購入した場合、駐車場代は毎月確実にかかる負担となるため家計にも影響してきます。さらにライフスタイルに合わないタイプの駐車場を選んでしまうと、住んでから不便さを感じてしまうことにもなりかねません。
駐車場の種類や使用料金は物件によって異なるので、マンション駐車場の仕組みやタイプごとの特徴を理解したうえで検討すれば、住んでからの思わぬトラブルや後悔に繋がりにくいでしょう。
そこで、この記事では
について分かりやすく解説していきます。
納得のいくマンション選びができるよう参考にしてみてくださいね。
マンションの駐車場についての基礎知識
マンションの駐車場の費用相場や種類について説明する前に、マンションの駐車場のパターンやルールなど、基礎知識を説明します。費用だけ先に知りたい方は「4. マンション駐車場にかかる平均料金相場」をご覧ください。
1-1.分譲マンションの駐車場は賃貸方式が主流
分譲マンションの駐車場の扱いには「賃貸方式」と「分譲方式」の2つがありますが、一般的には賃貸方式を採用しているマンションがほとんどです。
分譲方式の中でも、特に「専用使用権分譲型」は権利関係をめぐるトラブルが相次いでいることから、現在では「賃貸方式」が主流となっています。
賃貸方式
賃貸方式では、駐車場部分はあくまで住民全員の共有部分とみなされ、その一画を借りて使わせてもらうイメージです。借りる対価として毎月駐車場使用料を管理組合に支払い、その使用料はマンションの管理費や修繕積立金に組み入れられることが一般的です。
分譲方式
分譲方式は、(1)所有権分譲型と(2)専用使用権分譲型に分かれます。
(1)所有権分譲型は、マンションの専有部分(部屋)と同じように駐車場区画を購入して所有します。その区画の権利が自分のものになる代わりに、登記費用や固定資産税などを払う必要があります。
(2)専用使用権分譲型は、駐車場の扱いは共有部分ですが、独占的に使用できる権利が与えられる形式です。共有部分でありながら住人が自由に利用できる専用庭やバルコニーと同じ仕組みと捉えましょう。
1-2.マンション駐車場は希望者全員が使えるとは限らない
意外と忘れがちなのが、マンションを購入したからといって必ずしも駐車場を使える訳ではないという点です。駐車場の設置率は自治体ごとに定められていることが多いのですが、住戸数分の駐車場が用意されているとも限りません。そこで大切なのは、駐車場の優先順位の決め方を知っておくことです。
マンション駐車場の優先順位はマンションの管理組合ごとに違うため一概には言えません。
しかし知らないままマンションを決めてしまうと後悔につながりかねないので、事前にマンションの管理規約や使用細則を見せてもらい、駐車場の優先順位がどのように定められているか確認しましょう。
以下は一例ですが、例えば次のように決められているケースがあります。
<優先順位の例>
- 区分所有者(分譲)の1台目
- 区分所有者(分譲)の2台目
- 賃借人(賃貸契約者)の1台目
- 賃借人(賃貸契約者)の2台目
この場合、所有している2台目の車を停めたくても、他の部屋の1台目の方が優先されます。
また、新築マンションでは駐車場優先権付きの部屋を売り出し、その部屋を購入した人が真っ先に優先されることもあります。物件の目星がついている場合には、駐車場の優先順位について一度確認してみるとよいでしょう。
マンション駐車場の3つの種類とメリット・デメリット
マンション駐車場には、大きく分けて、平面(平置き)駐車場・自走式立体駐車場・機械式立体駐車場の3種類があります。
これらの3タイプについて、さらに詳しく解説していきます。
2-1.平面(平置き)駐車場
平置き駐車場(平面駐車場)とは、通常の路面にそのまま駐車するタイプです。一般的には屋根もなく、区画が白線などで区切られているだけのものが多いです。
2-1-1.平面(平置き)駐車場のメリット
平面駐車場のメリットとしては、まず、車の種類を問わず、どんな車種でも駐車できることが挙げられます。
また、そのまま駐車できるため、操作盤を操作したり入出庫に時間がかかったりすることがありません。さらに、ほとんどメンテナンス費用もかからないため、管理費や修繕積立金を圧迫する可能性が少ないのも大きなメリットといえるでしょう。
2-1-2.平面(平置き)駐車場のデメリット
平面駐車場のデメリットで一番大きいのは、車が汚れやすいことです。立体駐車場だと屋根がありますが、平面駐車場では屋根がないことがほとんどなので、どうしても車は汚れてしまいます。また、敷地面積分の台数しか確保できないため、他の2つに比べると駐車台数が限られるという面もあります。
2-2.自走式立体駐車場
自走式立体駐車場とは、ショッピングセンターの駐車場などで良く見かけるもので、複数階建ての駐車場です。自分で車を運転してスロープを上り下りして駐車場所まで移動し、自分で駐車します。マンションの地下階が駐車場になっているケースもあります。
2-2-1.自走式立体駐車場のメリット
平面駐車場と比べた時の自走式立体駐車場のメリットは、屋根があるため車が汚れないことです。
また、次に紹介する機械式と比べた自走式のメリットは、車高の高い車でも対応できるところです。機械式では、車高の高い車だと入庫できないことがあります。さらに、機械式と比べると維持管理コストが安いのもメリットです。
2-2-2.自走式立体駐車場のデメリット
自走式立体駐車場のデメリットは、駐車場を建設するためにある程度のスペースが必要となり、その分の建設コストもかかるということです。マンションの地下部分や別棟として立体的に造られるため、ある程度のスペースが必要となります。また、駐車場所や出口までは自分で運転する必要があるため、入庫や出庫までに時間がかかるのも自走式のデメリットの一つです。
3.機械式立体駐車場
機械式立体駐車場とは、機械の操作盤を使って入出庫するタイプの立体駐車場です。敷地が狭くても台数を確保したい場合に採用され、都心部でよく見られるタイプです。
機械式立体駐車場には、大きく分けて以下のような5つのタイプがあります。
2-3-1.機械式立体駐車場のメリット
機械式立体駐車場の最大のメリットは、限られたスペースでも台数を確保できるということです。
例えば、平置きなら5台しか駐車できないスペースでも、機械式で3階分確保できれば15台駐車できる計算になります。そのため、敷地が限られているマンションで多く採用されています。
また、機械が自動で入庫・出庫を行ってくれるため盗難などの被害にあいにくいことも利点と言えるでしょう。
2-3-2.機械式立体駐車場のデメリット
機械式立体駐車場の大きなデメリットとして、維持管理コストが高いことが挙げられます。
複雑な構造の機械式立体駐車場ほど、メンテナンスや修繕のためのコストがかなり高く付きます。そのため、機械式の駐車場があるマンションでは、管理費や修繕積立金も高くなりがちです。
また、入出庫に時間がかかったり、駐車できる車のサイズに制限があったりというデメリットもあります。
実は大事なマンション駐車場の「空き」事情
駐車場の種類について理解したところで、次にマンション駐車場の空き事情について解説していきます。特に物件選びをする際には「空き」があるかどうかだけでなく、どれだけ「空き」があるかが重要になってきます。なぜなら駐車場の未使用率が高くなると、使用料金の増額や使用する駐車場の変更にも繋がる可能性があるからです。そのため、希望物件の空き事情は必ず事前に確認するようにしましょう。
3-1.設置率はエリアによって24%~136%と差がある
マンションの駐車場の空き事情を知るため、実際にマンションの総戸数に対してどのくらい駐車場の台数が確保されているかを見ていきましょう。
以下は、新築マンションにおける駐車場の設置率(総住戸数÷駐車場台数)を調査し、都道府県ごとに平均値を出した結果です。
参考:東京カンテイ「新築マンションにおける駐車場・駐輪場の設置率」
表を見ると、都道府県によって設置率にかなりの差があることが分かります。
もっとも低い東京都の平均が24.5%である一方、もっとも高い沖縄県では136.6%となっています。東京都では著しく低いですが、首都圏や近畿圏では60%前後になっています。
公共交通機関が整備されており自動車普及台数も低いエリアでは駐車場設置率が低く、移動手段として自家用車を利用するエリアでは設置率が高くなっています。
駐車場設置率が低い場合、駐車場を利用したいのに空きがないという状況も考えられます。
3-2.クルマ離れのため「空き駐車場問題」が増えている
前述した通り、駐車場の設置率は都道府県によっては100%を多く下回っています。この結果を見ると「停めたくても停められないのではないか」と不安に思う方もいるかもしれません。実際に「マンション駐車場の空きがない!」とお悩みの方も多いようです。
一方で、最近はクルマ離れが進んでいるため、「駐車場が埋まらない」と悩むマンションが増えているのも事実です。
マンション駐車場の使用料はマンション管理組合(住人たちによって組織される団体のこと)の大きな収益源となっており、マンション駐車場が埋まらないと収支に大きな痛手となってしまうのです。
集まるはずだった使用料が入らなければ、修繕積立金が不足し、大規模修繕の費用が足りなくなる可能性があります。
特にクルマ離れが進んだ都市部ではこの「空き駐車場問題」が深刻で、維持管理費のかかる機械式駐車場を平置き(平面式)駐車場に変更したり、敷地内にコインパーキングを設置したり、住民以外に外部貸ししたりして、対策を行っているマンションが増えています。
マンション駐車場にかかる平均料金相場
マンション駐車場の月額料金は、マンションごとに料金が設定されるため一律ではありません。多くはその地域の月極駐車場の値段を見た上で設定されるため、地域ごとにだいたいの平均相場が決まるイメージです。
地域によってかなり異なりますが、マンション駐車場の平均相場は、だいたい毎月5,000円~3万円程度です。ただし、前述のとおりこれよりも料金が低いエリアもあれば、上回るエリアもあります。
例えば、地方では月額5,000円以下のマンションがある一方、東京都の中央区や港区などでは月額5万円を超えるマンションもあります。都市部の場合はおおよそ2~3万円程度を想定しておくと良いでしょう。
マンション駐車場によくあるトラブル
ここからは、マンション駐車場を使用する前に知っておきたい「起こりがちなトラブル」をご紹介します。事前に知っておくことで、ある程度の対策ができる他、もしトラブルを起こしてしまった時も迅速な対応ができるでしょう。
マンション管理を行っている「あなぶきハウジンググループ」に寄せられた相談を大別すると、以下のような駐車場トラブルが多いようです。
マンション駐車場に関して多く寄せられる相談内容
- 無断駐車:56%
- 機械式駐車場:21%
- 事故:14%
- ライト点灯:7%
- 犯罪・防犯:2%
参考:あなぶきハウジンググループ「マンションの駐車場トラブル5つの事例」
5-1.無断駐車
マンション駐車場のトラブルでもっとも多いのが、無断駐車です。「自分が停められるはずの区画に、別の車が駐車していて停められない」というものです。
別の区画の人が間違って停めてしまったケースや、来客が空いているスペースに停めてしまうケース、全く関係ない車が故意に留めるケースなどさまざまな要因が考えられます。
こうしたトラブルを避けるためには、管理組合でネームプレートを設置したり、来客用の駐車スペースのルールを徹底したりする対応策が考えられます。
5-2.機械式駐車場の操作問題
機械式駐車場についてのトラブルも多く発生しがちです。複雑な構造の機械式駐車場は、「操作ができなくなってしまった」というトラブルが起こりやすいからです。
操作できなくなってしまう原因で多いのが、感知センサーが作動して操作ができなくなってしまうケースです。契約区画を間違えたことでパレットの規格サイズを超えてしまったり、一時的に代車だったため規格が違ってしまったり、駐車位置がズレたりしただけでセンサーが作動してしまうことがあります。
機械式駐車場が緊急停止するとメンテナンスが必要になるケースもあり、場合によっては車の修理代や駐車場の修理代が発生します。
機械式駐車場は「金食い虫」と揶揄されることもあるくらい、修繕費や管理費が余計にかかる駐車場タイプです。月々の修繕積立金を抑えるためにも、機械式駐車場ではないマンションを選ぶという選択肢を考えても良いかもしれません。
5-3.駐車場内での事故
マンション駐車場内での事故トラブルも、気を付けていても起こりがちなものです。
事故発生がマンション内であっても、基本的には当事者間でのやり取りとなります。ただし、該当区画の契約者が誰か分からない場合は、マンション管理会社に相談すれば契約データをもとに相手に連絡を取ってもらえるでしょう。
もし事故を起こしてしまった場合は、慌てずにまずは車の所有者を確認して、相手と誠意を持って交渉していきましょう。
5-4.車上荒らしなどの犯罪
機械式立体駐車場ではほとんどありませんが、平置き(平面式)駐車場や自走式立体駐車場では、まれに「車上荒らし」などの犯罪が起こることがあります。
車上荒らし対策としては、カメラ(もしくはダミーカメラの設置)やセンサーライトの設置、防犯カメラ作動中の注意喚起のポスター掲示などがあります。
これからマンション購入を検討中の方は、マンション駐車場への侵入のしやすさなども事前にチェックしておくと良いでしょう。
駐車場選びで失敗しない!押さえておきたい5つのポイント
最後に、これから駐車場付きマンションを購入しようとしている方向けに、失敗しないための5つのポイントを紹介します。
6-1.駐車場の空き状況や優先順位などを確認しておく
駐車場付きマンションを選ぶうえで、「駐車場が空いているかどうか」はもっとも重要な点でしょう。
必ず内見・内覧の時点で、駐車場の空き状況や、優先順位が規約でどう決まっているか、キャンセル待ちの場合の抽選方式がどうなっているか確認しておきましょう。
新築マンションの場合
新築マンションの場合は、中古マンションよりは駐車場を確保しやすい状況といえます。ただし、希望者が駐車場の枠を上回る場合は、抽選などで決められることになります。
必ず駐車場を確保したい場合は、駐車場優先権付きの部屋か、専用駐車場がついている1階の部屋を検討してみてください。また、事前に優先順位(例えば、各部屋1台までが優先など)が管理規約でどう決まっているのかを確認しておくと安心です。
中古マンションの場合
中古マンションの場合、すでに駐車場を確保している人たちがいるので、駐車場がすでに満室な可能性があります。そのため、内覧時に空き状況を必ず確認しましょう。
また、キャンセル待ちの場合、どのような順番で確保できるのかなど、ルールも確認しておくと良いでしょう。空きがない場合は、近隣の月極駐車場の場所や料金も確認しておくと良いでしょう。
6-2.駐車場の使用料を周辺相場と比較する
マンション駐車場の使用料が、他のマンション駐車場や近隣の月極駐車場など周辺相場と比較してどうなのかも調べておきましょう。
もちろん、屋根付きかどうかなど設備の違いもあるため安ければ安いほど良いわけではありませんが、著しく使用料が高いと、月々の固定費が高くなるため家計に大きな影響があります。同条件で使用料が安いマンションがあれば、そちらを検討してみても良いでしょう。
6-3.マンション駐車場がどのタイプか確認する
マンション駐車場には3タイプがあることは、「2. マンション駐車場の3つの種類とメリット・デメリット」で説明した通りです。
ほとんどの場合は平置き駐車場か自走式立体駐車場・地下駐車場ですが、都心部などでは機械式を採用しているマンションもあるかもしれません。
機械式立体駐車場の場合、車の全長や全幅、全高、車重にいたるまで制限が設けられています。そのため、全高が高いなど気になる点がある場合は、平置き(平面式)駐車場を選んでおくと安心です。
また、機械式立体駐車場は管理費や修繕費も高くなるため、注意が必要です。
6-4.駐車場が空きすぎていないかを確認しよう
中古マンションの場合、「駐車場に空きがあるか」も重要ですが、空きがありすぎるのも問題です。なぜならば、マンションの大きな収入源である駐車場収入が得られないと収支がマイナスになってしまうからです。
本記事の「3-2.クルマ離れのため空き駐車場問題が増えている」でも解説した通り、駐車場利用者が支払う使用料は、マンションの管理費や修繕積立金に組み入れられる仕組みとなっており、管理組合の大きな収入源となります。
ところが駐車場に空きが出てしまうと、予算上は入る予定だった収入が入らず、収支がマイナスになってしまうのです。
例えば、月額使用料1万円で50台の駐車場がある場合、埋まっていれば毎月50万円の収入があるところ、10台分空きがあると毎月40万円の収入しか入ってきません。この状態が長く続けば、見込んでいた収入がかなり減ってしまいます。
このように、駐車場が空きすぎているマンションは収支が悪化している可能性もあることを念頭に置いておくと良いでしょう。
6-5.駐車場代込みの維持費でマンションを比較しよう
駐車場の種類に着目してマンションを選ぶのも良いですが、最終的に物件を決める時には、駐車場代込みの維持費合計でマンションを比較すると良いでしょう。
分譲マンションに住む際に毎月かかる費用は、ローン返済額(ローンを組んだ場合)に加えて、管理費や修繕積立金、駐車場代が必要になってきます。
駐車場の使用料が破格の料金だったとしても、管理費や修繕積立金の金額が高ければ、月々の負担が増えてしまうことがありえます。
駐車場の使用料とともに、必ず管理費や修繕積立金、そしてローン返済額を確認し、毎月いくら払うことになるのか、無理のない金額なのかをシミュレーションしてみましょう。
まとめ
この記事では、マンションの駐車場について解説してきました。
ひとくちにマンション駐車場といっても、平置き・自走式・機械式では、停められる車の種類も維持管理にかかる費用も違ってきます。ただ「空きがあったからラッキー」と安易に決めてしまうのは危険だということがお分かりいただけたかと思います。記事で紹介したポイントを押さえて、失敗しないマンション選びをしてくださいね。
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