マンション専用庭とは?使い方ルールやメリット・デメリットを解説
マンションの専用庭とは、その部屋の所有者が専用に使える庭のことです。主に1階の部屋に併設されていることが多いものです。
ある程度自由に使うことができる専用庭ですが、実は専有部分ではなくマンションの共用部分の扱いとなります。あくまでマンション全体の持ち物を使わせてもらっているイメージです。そのため「専用庭で何をしても個人の自由だ」ということにはならないのです。
この記事では、専用庭付きのマンションに住むべきかどうか判断するために、以下の気をつけるポイントを解説していきます。
▼この記事で分かること
◎専用庭は自分のものではない!あくまでマンション全体の持ち物である
そのため、専用庭使用料を支払う必要がある
◎専用庭でできること・できないことをしっかり把握しておく必要がある
- 近隣住民への配慮が大切
- マンション専用庭の手入れは義務である
- 上層階からの落下物に注意する
- 防犯対策をしっかり行う必要がある
- 退去時には原状回復の義務がある
さらに、後半ではマンション専用庭で起こりがちなトラブルについても解説しています。
専用庭使用料はそれほど高くはない金額ですが、マンション専用庭を使わなくても毎月払わなければならないものです。
そのため、庭をうまく活用できそうにない人にとっては、専用庭付きの部屋を選ぶメリットは少ないかもしれません。
しかし、専用庭があれば、マンションに住みながら一戸建てのような庭のある生活を楽しめます。
ぜひこの記事を読んで、自分には専用庭付きの物件が向いているのか、どんな風に専用庭を活用すればいいのか、イメージしてみてくださいね。
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マンションの専用庭とは?
まずは、マンションの専用庭とは何かをしっかりと理解していきましょう。
マンションの1階住民が使える庭のこと
マンションの専用庭とは、主に1階の住戸にあるもので、その住戸の住人が自由に使用できる庭のことをいいます。まれに、傾斜地に建てられたマンションで2階に専用庭が付いている物件もあります。
「専用」庭というだけあって、その部分はその住戸の住人だけが使えるスペースとなります。
専用庭は専有部分ではなく共用部分
その部屋の住人が専用に使える庭ですが、実は専用庭は専有部分ではなく共用部分の扱いとなります。
専有部分とは、区分所有者が単独で所有している部分のことをいいます。通常は、住んでいる住居部分(キッチンや寝室、リビングなど)が専有部分となります。
一方で、共用部分とは、区分所有者全体で所有している部分をいいます。例えば、廊下やエレベーター、マンションの入口、屋外にある庭などが共用部分に当たります。
専用庭は共用部分なので、あくまで区分所有者全体の持ち物であることを忘れてはいけません。
専用庭使用料を払うことが一般的
前述した通り、専用庭はマンション全体の持ち物の一部を借りているイメージです。そのため、専用庭を使うために毎月「専用庭使用料」を払う必要があります。
分譲マンションの物件詳細に「専用庭使用料:〇〇円」と書かれているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
使用料の相場については「6章. マンション専用庭使用料の相場」で詳しく解説していますが、おおよそ毎月数百円~1,000円程度のマンションがほどんどです。
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マンション専用庭でできること・できないこと
マンション専用庭では、何ができて、何をしてはいけないのでしょうか。一般的にできること・できないことを解説していきます。ただしマンションによるので、事前に管理規約を確認するようにしてください。
マンション専用庭でできること
マンション専用庭で楽しめることは以下のようなものです。
- シーツや布団など大きめのものを含めて洗濯物を干す
- ガーデニングや家庭菜園
- 大きいものを置くなど、トランクルーム的に使う
- テーブルやイスを出してピクニック気分でご飯や軽食を食べる
- ペットの軽い運動をさせる
- 専用の出入口から道路に出る
庭の広いスペースを確保できるため、さまざまな活用方法が考えられますね。専用庭側にも出入り口がある場合は、動線が増えるのも見逃せないメリットです。
マンション専用庭でできないこと
一方、マンション専用庭でできないことは以下のようなものです。
- 煙や匂いが発生するバーベキューなど
- 喫煙スペースとしての利用
- 大声で話すような大人数での集まり
- 自分好みに石を敷いたり池を作ったりするなど形状を変えてしまう(管理規約による)
専用庭でしてはいけないことは、他の部屋の迷惑になるような行為全般です。騒音や匂い、煙などには特に注意しましょう。
また、庭の構造を大きく変える行為はマンションによっては禁止されています。
「日本庭園風にしたい」「ウッドデッキを置きたい」などリノベーションする前には管理規約や使用細則を確認し、工事前に管理組合に相談するようにしましょう。
マンション専用庭を選ぶメリット
マンション専用庭にはさまざまなメリットがあります。
自分好みの庭を造れる
2階以上のマンションなどベランダしかない部屋と比べると、専用庭があれば自分好みの庭を造ることができる楽しみがあります。お気に入りの花を植えるのも良いですし、家庭菜園を楽しんでもいいでしょう。
一戸建てに住みたかったものの叶わなかったという方は、専用庭で一戸建て気分を味わえるのではないでしょうか。
ただし、自由に使えるといってもあくまで共用部分なので、大きな木を庭に直接植えたり、逆にすでに植えてある木を勝手に抜いたり、避難の際に妨げとなるようなものを設置したりするのはNGです。
ピクニック・キャンプ気分を満喫できる
専用庭がある場合、通常のバルコニーやベランダよりも広いスペースを確保できるため、アウトドア気分を満喫できます。
テーブルやイスを置くのも良いですし、庭にレジャーシートを広げてご飯を食べるのも良いでしょう。また、テントを張ってキャンプを楽しむなど、家族みんなで楽しい思い出を作ることができます。
専用庭なら周りの目も気にせず、移動の億劫さもなく、アウトドアを楽しめるのがメリットです。
布団など大きなものも干せる
広いスペースを自由に使えるため、大きな物干しスペースとしての活用もできます。
高層階では落下の危険防止などの理由から、バルコニーに物を干すのが禁止されているマンションも多いですが、専用庭なら落下の危険がないため、自由に干すことができます。
普通なら干せないような布団やカーテンなど大きなものも、広いスペースを利用して存分に干せるのが、専用庭のメリットです。
その他、いくつも物干し竿を用意しておけば、洗濯物が多い家族でも大量の洗濯物を一気に干すこともできるでしょう。
優先駐車場が付いてくるケースもある
専用庭付きの1階物件には、庭とセットで専用駐車場が付いてくるタイプもあります。1階の部屋の前に専用庭と駐車場が併設されている形式が多く、一戸建て感覚で利用できます。
自宅の庭先に車を停めてそのままリビングに入れる動線が確保されているタイプなら、乗り降りも便利でかなり大きなメリットとなるでしょう。
ただし、車を所有していなくても使用料が発生することがあるため、車を持たない人にとってはデメリットになる可能性もあります。
マンションの専用庭に関するデメリット・注意点
今度は、マンション専用庭のデメリットについても解説します。
騒音など近隣住民への配慮しなければならない
マンション専用庭を使う上でもっとも注意しなければならないのは、近隣住民への配慮です。
いくら専用庭といっても、近隣の迷惑になるような騒音や煙、ニオイなどには注意しなければなりません。
例えばバーベキューなどで大騒ぎしたり、派手な花火で煙が充満したり、焼き魚のニオイが上階まで上ったりすると、近隣の迷惑になりかねません。
「あくまで共用部分を借りているだけなんだ」という意識で、専用庭を使うと良いでしょう。
専用庭の手入れは義務なので怠らない
専用庭といってもマンション住人全体の共用部分なので、手入れは怠らないようにしましょう。
雑草が生い茂りすぎて不法地帯のようになれば、マンションの景観を損なう原因にもなりかねません。常にキレイな花を咲かせなければいけないわけではありませんが、外から見た時に汚いと思われない外観を保ちましょう。
また、私物を無造作に置きすぎるのも良くありません。ある程度見た目を整えて、見られていることを意識して活用するようにしましょう。
上層階からの物が落ちてくることがある
マンションの低層階にある専用庭では、上層階からの落下物の危険性があります。特に多いのは、風にあおられて落下してきた洗濯物や洗濯バサミです。また、住人がベランダで吸っていたタバコの吸い殻、空き缶などが落ちてくる可能性もゼロではありません。
特に専用庭で子どもを遊ばせる際には、「もしかしたら落下物があるかもしれない」と念頭に置いておくと良いでしょう。また、専用庭にテーブルを置いて食事するときは、パラソルや日よけなどを使うと安心です。
防犯上の対策をしっかり行う必要がある
上層階からの落下物に注意するとともに、上層階から専用庭が丸見えになってしまうことにも注意が必要です。例えば、暑い日に庭にプールを出して遊ぶことはできますが、水着姿が上層階から見えてしまう可能性があります。
また、設置された生垣やフェンスが逆に目隠しとなり、不審者の侵入に気づきにくいこともあるかもしれません。防犯ライトを設置したり、侵入された時に踏むと大きな音がする防犯砂利を敷いたりといった対策を講じておくと良いでしょう。
使用料がかかるデメリットもある
月額数百円~千円以内など、それほど高くない料金ではあるものの、専用庭使用料がかかるデメリットもあります。
「庭を使っていない」と主張したところで払わなければならない料金なので、どうしても払いたくなければ専用庭がない部屋を選ぶべきでしょう。
緊急時に避難者の障害になるリフォームはNG
自由に使えるマンション専用庭ですが、好き放題に庭を造り変えていいわけではありません。
具体的にいうと、専用庭は火災など非常事態時には避難経路としての役割を持つ場合があり、避難者の妨げになるような物を置いてはいけないのです。
例えば、ガーデニングのために大きな木を植えてしまったり、子どものために大きな遊具を設置したり、庭全体を畑にしてしまったりといった行為はNGです。
退去時に原状回復の義務がある
好き放題に庭をリフォームしてはいけない理由として、退去時に原状回復義務があるからということもあります。
専用庭は共用部分を借りているだけなので、自宅を売却して退去する際には、借りたときと同じ状態に戻して返さなければなりません。
例えば、後付けでウッドデッキを設置した場合、退去時には基本的には撤去してお返ししなければなりません。(なお、ウッドデッキの後付けがOKかどうかは、管理組合に事前に承認を得るようにしましょう)
マンション専用庭で注意したいトラブル
マンション専用庭の使い方を誤ってしまうと、周囲の住民とトラブルになりかねません。ここでは、マンション専用庭で起こりがちなトラブルについて解説します。
専用庭に植えた木が伸びすぎて上階からクレームが来た
マンション専用庭に植えた草木の管理は、専用庭を使っている住人がすべきものとされています。植えた木が伸びすぎて上階にまで及ぶようなことがあれば、剪定業者を呼んで対処しなければなりません。
マンションの共用庭の手入れは管理組合が行いますが、専用庭はあくまで専用使用権を持つ住人が手入れしなければなりません。
ただし、もともと植えられている木の剪定など、共用庭のついでに手入れしてもらえる場合もあるので、一度管理組合に確認してみても良いでしょう。
専用庭でのバーベキューでクレームが来た
マンションの管理規約や使用細則に書いて無ければ、専用庭でバーベキューしてはいけない決まりはありません。
しかし、一戸建てとは異なり、隣の部屋との距離が近く、上階へも匂いや煙が上りやすいため、専用庭でバーベキューなど匂いや煙の出る行為をする場合は注意しましょう。
基本的には、マンションの周りの部屋の迷惑行為になるべき行為は禁止です。また、たくさん客を招いてうるさくなり過ぎると騒音のクレームが来る可能性があるため、注意しましょう。
退去時に専用庭を原状回復するように言われた
4章でも述べた通り、マンション専用庭には退去時の原状回復義務があります。専用使用権はその部屋の住人にありますが、専用庭自体はマンション全体の共用部分という位置づけなので、勝手に改変はできないのです。
大きな物を設置する場合や大がかりなリフォームを行う場合は、事前に管理組合に相談しておくと良いでしょう。また、マンションの管理規約の中に「専用庭使用細則」が用意されているはずなので、その内容を遵守したうえで庭を活用するようにしてください。
マンション専用庭使用料の相場は1,000円以内
物件によりますが、マンション専用庭の使用料相場は、数百円~高くても千円以内が一般的です。専用庭使用料は、管理費・修繕積立金と併せて月々の経費として考えておくようにしましょう。
それほど高くはない金額ではあるものの、10年20年住むことを考えるとそれなりの負担にはなります。そのため、十分に専用庭を活用できなさそうな人にとってはデメリットになりかねません。
逆に、大きな洗濯物を干したり、家庭菜園を楽しんだり、夏はプールで遊んだりと、最大限に活用したい人にとっては、毎月少しのコストを払うだけで自由に使えるスペースが増えるのは大きなメリットといえるでしょう。
マンション専用庭が向いている人向いてない人
マンション専用庭付きの部屋がいいか、それとも専用庭の付いていない部屋がいいか、迷ったらどちらの部屋にするべきか、向いている人と向いていない人の特徴をまとめてみました。
マンション専用庭が向いている人
マンション専用庭が向いている人は、ずばり自分専用の庭でやりたいことがある人です。
家庭菜園やキレイな花壇づくりなど、思いっきりやりたい人は、狭いベランダよりも専用庭があった方が楽しむことができるでしょう。方角にもよりますが、遮るものがない1階なら、日当たりも良く、植物ものびのびと育つでしょう。
また、「庭にプールを置いて楽しみたい」「庭にテーブルとイスを出してティータイムを楽しみたい」など、広い屋外スペースで何かしたいことがある人にとっては、専用庭付きの物件はかなり魅力的な部屋といえます。
マンション専用庭が向いていない人
一方、マンション専用庭が向いていない人は、庭があっても活用しきれない人です。
「専用庭があっても活用しきれずに何もしなかった」という人も案外多いようです。せっかく専用庭が付いている物件でも使わなければ毎月支払う使用料がもったいないため、専用庭がない物件を選択するのが良いのではないでしょうか。
マンション専用庭の使い方アイデア
CHINTAIグループが運営する「CHINTAI情報局」の専用庭の活用方法についての記事では、「庭付き物件に住んでいたけど、全く使っていなかった」という声も多いことが紹介されています。
ふたを開けてみると、専用庭を上手く活用できなかったという人も多いのが実状です。
しかし、せっかく自由に使える専用庭があるなら、ぜひ活用したいですよね。そんな方に向けて、専用庭の使い方アイデアをいくつか紹介します。
屋外用収納ボックスを置いて収納スペースとして活用
専用庭がある分、自由に使える専有スペースが広くなるため、収納スペースとして活躍させることができます。ただし、そのまま荷物を置くのは見た目も防犯上も良くないため、屋外用収納ボックスを活用しましょう。
雨や風を凌げる収納ボックスは、大きさにもよりますが、ホームセンターなどで1万円以内で購入できます。その中に、ガーデニング用品やアウトドアグッズ、夏に使うプールなどを入れておけば、室内の収納スペースを圧迫することがありません。
ただし、あまり大きすぎる収納ボックスなど、非常時の避難の邪魔になるようなものは控えた方が無難です。
家庭菜園で自給自足生活を楽しむ
狭いベランダでは難しい家庭菜園も、専用庭付きの物件なら楽しめます。一戸建て気分で広いスペースを活用できるのは嬉しいですね。
旬の野菜や果物を育てれば、家族みんなで収穫してそのまま料理に使うなど、楽しみが広がります。採りたての新鮮な食べ物を自分で育てることで、子どもの食育にもつながります。
初心者でも育てやすいバジル、リーフレタス、ミニトマト、イチゴ、ブルーベリーなどから始めてみるのがおすすめです。
ガーデンテーブル・遊具などで非日常気分を満喫
広い専用庭ならではの楽しみ方として、ガーデンテーブルや椅子を置いて食事できるスペースを作ったり、プールや遊具などを置いて子どもが遊べるスペースを作ったりする方法があります。
室内のダイニングテーブルで味わう食事も良いですが、晴れて気持ちの良い日はガーデンテーブルで家族揃って食事するだけで、ピクニック気分を味わえるでしょう。
また、プールや遊具を置けば、外に遊びに行かなくても目の届く場所で子どもを遊ばせることができます。ちょっとした砂場コーナーを作るのもいいですね。
狭いベランダやテラスではできない遊び方ができるのが、専用庭の大きなメリットです。
ウッドデッキなどおしゃれにリノベーションする
マンションが定めている管理規約によりますが、専用庭の構造を変える行為が認められているなら、リノベーションして自分好みの庭を作る楽しみもあります。
ただしリノベーション工事前には必ず管理組合に相談してから行いましょう。また、原状回復する(元の状態に戻すこと)必要がある場合がほとんどなので、退去時の費用も考えておくと安心です。
ウッドデッキ工事が難しければ、ウッドパネルを貼るなどすると近いイメージに仕上げることができます。専用庭を自分の好きな雰囲気に変えて、家族みんなでくつろげるスペースにしてみましょう。
まとめ
この記事では、マンションの専用庭についての基礎知識から、できること・できないこと、メリットと注意点、使用料の相場、活用方法まで、多岐にわたりお伝えしてきました。
専用庭付きの物件を検討している方や、いまいち活用しきれていない方の参考になれば幸いです。
ここで紹介した内容は一般的なもので、マンションごとの専用庭の使用ルールは管理規約や使用細則で決められています。必ず使用前にチェックし、定められた範囲内で利用するようにしましょう。