安さに踊らされない!中古マンション購入者のための5つの修繕積立金ガイド
中古マンションの選びの際、かかる費用の中で見落とされがちな修繕積立金。一見安いほうがお得に思われがちですが、安心して長く暮らすためには必要不可欠な費用です。
修繕積立金の仕組みと目安を知り、安心性のある物件での健やかな暮らしを目指しましょう。
見落としがちな修繕積立金
A子:
はぁ~、マンションを買ったあとも何かと出費がかさむなぁ。
アドバイザー:
子育て世代の皆さまは、ローン、生活費、養育費とたしかにかかりますね。
A子:
今探してる中古マンションも、試算していた時より費用がかさむんですよ。
アドバイザー:
具体的には何がプラスされていますか?
A子:
修繕積立金というやつです。必要なのは理解できるんですけど、金額にバラつきがあって、判断がつかないんですよね。改めてこの積立金について知りたいなと思って…。
知っておきたい修繕積立金の仕組み
2-1 修繕箇所と工事内容
アドバイザー:
では、修繕積立金の仕組みを中心に説明しますね。そもそも、マンションの修繕工事にはどのような種類があるかご存知ですか。
A子:
エレベーターの工事とか、壁の塗り直しとか?あと、災害があって壊れたときの修理とかですよね。
アドバイザー:
はい、大規模修繕工事と呼ばれるもので、国土交通省のガイドラインでは、12年に一度のサイクルで行うことが推奨されています。
A子:
12年に一度か、結構長期ですね。修繕の目安は?箇所や内容によって違いますよね。
アドバイザー:
修繕箇所と工事内容、その周期を下記の表で見てみましょう。
2-2 大規模修繕とは
A子:
こうやってみるとどれも重要な項目ですね。防水とか不備があったら困ります。
アドバイザー:
そうなんです。屋根の屋上防水の修繕やバルコニーの床防水の修繕など、表に晒されている部分は確実に修繕が必要となります。
A子:
もう少し年数がたつと必要になるのは?
アドバイザー:
給排水菅を交換したり、エレベーターの交換など、大掛かりな修繕が必要になります。
A子:
たしかに20年くらいたてばエレベーターなんて機能自体がかなり変わりますもんね。まだ買ってもないからそんな先のことまで想像していなかったけど。そうこうしているとまた12年周期で修繕が必要なものも重なりますね。エンドレス。
アドバイザー:
そうですね。でも、私たちが日々体やお肌のメンテナンスを続けるように、建物もそこに住み続ける人がいる限り、一度やったら完成、終了!というわけにはいきません。
A子:
そのたとえ、わかりやすいですね。週一のパック、やらなかったらすぐお肌もお疲れモードになるし、たまに行くマッサージも定期的にいかないと、またカッチコチになっちゃう。
アドバイザー:
ほんとですね。そのほかにもマンションの場合、併設している駐車場の修繕やエントランス、集会場など共有部分のリフォームが入ることもあります。修繕には常に費用がかかるわけです。
修繕積立金算出の目安
3-1 建築延床面積から知る平均値
A子:
積立金が必要なことがよくわかりました。今いる賃貸も共益費というのを払っていますし。ただこの金額がかなり物件によってまちまちみたいですよね。何か基準のようなものはあるんでしょうか。
アドバイザー:
国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(PDF)」によると、㎡あたりの目安金額が出ています。マンション全体の建築延床面積から㎡あたりの月額平均値が算出されています。
A子:
ということは、まずは自分が購入するマンションの建築延床面積を知らなくちゃいけないわけだ。意外と自分たちの部屋と共用部分の設備とかばかり気にしてました。
アドバイザー:
物件によっては表示していないものもあるので、そういう場合は1部屋の面積×戸数に共用部分を加える感じでざっくりと計算すればいいですね。
A子:
わが家で今、探しているのは、70㎡の3LDKなので、建築延床面積5,000~10,000㎡の物件だったとして9,800円~18,550円ですね。結構幅がありますけど、目安がわかります!
アドバイザー:
こうした目安があることを知っておくと、提示されている金額をしっかり検証することができます。
A子:
検証? 目安と大きく異なる金額提示もあるということでしょうか?たしかに、マンションの規模や立地が異なるとはいえ、積立金はすごく安かったという話も聞いたことありました。
アドバイザー:
それは、修繕積立金は販売時にディベロッパーが設定しているからなんです。少しでも購入しやすい金額に設定するために、この積立金の部分を抑えるという例も少なくありません。
A子:
となると、修繕費用に影響が出ます、よね?
アドバイザー:
はい。修繕は必要不可欠ですから、足りければどこかのタイミングで追加で徴収する可能性が出てきます。
A子:
それは逆に厳しい。だって子どもの入学とか、家庭内の出費がかさむタイミングで追加徴収があったら、かなり痛いです。車検とかでかさむ月もありますから。
アドバイザー:
その通りですよね。ですから、分譲当初からしっかり積立金の金額を明示し、毎月均等に積み立ててくれるほうが、購入者(居住者)にとっては安心です。
A子:
消費税増税も控えていますよね。
アドバイザー:
その辺りも途中で金額の変更の可能性があるのか否かを契約時にしっかり確認しておくといいですね。
3-2 駐車場の有無による修繕積立金の加算
アドバイザー:
さきほど、車検というお話が出てきましたが、現在お車を所有してらっしゃいますか?
A子:
はい。駅近の物件が見つかったら手放すことも視野に入れていますが、買い物や子どもの塾の送り迎えとか、やはり必要になるかなとは思っています。駐車場のある物件かどうかも選ぶポイントになりますね。
アドバイザー:
駐車場には敷地内に白線で仕切って駐車するタイプと、機械式があります。機械式駐車場がある場合は、修繕積立金も増えます。
A子:
たしかにあれは設備的にもメンテナンスがかなり重要になりそうですもんね。
アドバイザー:
これも加算額の目安が出ています。1台あたりの月額の修繕工事費に収容台数と専有床面積の負担割合を掛けた金額です。
A子:
機械式駐車場の機種によっても異なるわけですね。ちなみに、これ、車を持っていない駐車場を利用しない人にもかかってくるんですか?
アドバイザー:
物件によって条件が異なる場合もありますが、駐車場を利用するしないに関わらず、積立金に加算されるケースが多いとされています。
管理組合と修繕積立金の関係
A子:
修繕積立金の仕組みや事例がわかってきました。安いからといって喜んでいるのは危険なのかなという気がしてきました。
アドバイザー:
足りなければ追加徴収もあり得るとお話しましたが、そういう場合は、マンションの管理組合での決議によって実行されます。
A子:
集まらなかったら困りますよね。
アドバイザー:
そうした場合は管理組合で銀行などにお金を借りるなどの措置をとるか、大規模修繕工事を見送ることになってしまいます。
A子:
それは怖すぎます。やはり事前にちゃんと修繕計画が立てられているかを確認しないといけませんね。
アドバイザー:
はい、修繕履歴や、積立金の残高を確認して、適正に行われているか、滞納者がいないかなどをチェックするという具体策も有効です。
A子:
そういう内容を見せ渋るようなら、信頼できないし、住みたくないな。
アドバイザー:
日々のメンテナンスの計画と履歴もチェックしたいポイントです。中古マンションを購入する場合は、修繕計画内のどのタイミングにあたるかわかりませんから。
安心面から考える中古マンションの探し方
A子:
中古マンションを探すときに、メンテナンス面から見た安心物件となるとどこがポイントになるか、改めてアドバイスいただけますか?
アドバイザー:
実際は建物ごとの判断となりますが、目安としては築15年以上のマンションが良いといえそうです。
A子:
築年数が15年以上というのは、管理状態を確認することができるからということ?
アドバイザー:
はい。初めにお伝えした通り、12年に一度を目安に大規模修繕工事が行われるので、築15年以上であれば、そのためのメンテナンスと修繕工事が実行されているわけです。少なくとも一度は大規模修繕工事を経ている物件であれば、判断基準になります。
>>おすすめ記事:5分でわかる中古マンションの耐震性!築年数だけではない購入時のポイント
>>おすすめ記事:他人事ではない!中古マンション購入の後悔「4つの失敗事例」とは?
まとめ
長く安心して暮らすためには、快適な環境づくりが不可欠です。中古マンションを購入してリノベーションを計画されている方は、どうしてもご自身のテリトリー、部屋の内部には細かくチェックが行き届きますが、マンション全体には目が向きにくくなってしまうケースも多いようです。
金額面はもちろん、修繕計画や日々のメンテナンスのために然るべき積立金の徴収と実行がされているかを事前にチェックして、目安より安い場合はその理由についてもしっかりチェックすることをこころがけましょう。