マンション買い替えの攻略方法!基礎知識から成功のコツまで徹底解説
- マンションを買い替えたいけれど、ローンが残っていても大丈夫なのかな?
- 買い替えのときって何に注意するべき?
そんな疑問をお持ちではありませんか?
出産や転勤、定年などを機に、マンションの買い替えを検討する方は多いと思いますが、ただ購入するだけではなく、売却と購入の両方を同じようなタイミングで行わないといけないのが、マンションを買い替える際の重要なポイント。
どんな手順で進めたらよいのか事前にしっかり確認しておくことが重要です。わからないまま進めてしまうと、想定していない出費が後で発生してしまったり、希望のタイミングで住み替えができなかった…という事態にもなりかねません。
そこでこの記事では、以下についてお伝えしていきます。
さらに失敗のない買い替えを実現するために、以下を3点を解説します。
さらに最後には、大事なお金の面についてもお伝えします。
この記事さえお読みいただければ、マンションの買い替えの際に知っておくべき必要事項を、網羅的に理解することができるので、最適なマンションの買い替えを行うことができますよ。
マンションのスムーズな買い替えに、ぜひお役立てください!
ファイナンシャルプランナー
茂木 禄人
株式会社Mapフィナンシャル において、独立系アドバイザーとして活動。詳細プロフィールはこちら
マンションの買い替えを検討中の人が知っておくべき基礎知識3つ
マンション買い替えの方法を知る前に、そもそも、「住宅ローンが残っていても、買い替えることは可能?」「今は買い替えに最適なタイミングなの?」という点が気になるのではないでしょうか。
また「マンションの買い替えは通常どのような流れで行われるのか」も知っておくと、買い替えの検討をスムーズに進めることができます。
そこでこの章では、その3点について解説をしていきます。
1-1.ローンが残っていても買い替え可能
まずは、「今住んでいるマンションの住宅ローンが残っていても買い替えは可能なのか」という点ですが、結論からお伝えすると、「住宅ローン完済前でもマンションの買い替えは可能」です!
むしろ、ほとんどの方はローンが残っている状態でマンションを売り、その売却で得た資金でローンを返済して、次のマンションを購入しています。
ただし、今のマンションの売却金額がローン残債を下回ってしまう場合には、以下のどちらかの方法をとる必要があります。
- 貯蓄で残債を一括返済する
- 買い替えローン(住み替えローン)を利用する
「2.買い替えローン(住み替えローン)」とは、売却で得た資金では賄いきれなかったローン残債と、次に購入する家の購入資金を合わせて借り入れることができるというものです。
(例)ローンが3,000万円残っているが、今住んでいるマンションが2,500万円でしか売れなかった。さらに新しいマンションは4,000万円という場合に、ローン残債の500万円+新しいマンションの購入資金4,000万円=4,500万円を買い替えローンとして組む
ただし気をつけておきたいのは、この買い替えローン(住み替えローン)は、一般的な住宅ローンよりも金利が高くなり、金融機関の審査も厳しくなるという点です。
しかし、無理なく返済できる計画さえ立てられれば、このローンを上手に利用して、問題なく買い替えを実現することができますね。
1-2.外的要因でタイミングを先送りにしないほうが良い
次に気になるのは、マンションの買い替えはいつのタイミングでするのが正解なのか、という点ではないでしょうか。
これに関しては、次のマンションの購入に住宅ローンを利用するつもりなのであれば、「ローン借入条件の1つである”健康”なうちに買い替えを行う」のが最もおすすめです。
なぜなら、住宅ローンを組む条件のひとつに「団体信用保険(生命保険)の加入」があるためです。この保険は、健康状態が悪いと加入できず、ローンの審査が通らないことがあります。
前回のマンションを購入した時にはローンを組むことができたとしても、次の購入時にも問題なくローンを組めるとは限りません。
新型コロナウイルスや住宅ローンの金利動向などの社会情勢の影響も気になると思いますが、それらの外的要因を気にし過ぎて先送りにすると、その間に自分が健康を損ねてしまうということも充分に考えられます。
「確実に損をしない買い時」はプロでも予想するのが困難ですので、住宅ローンを利用する予定なのであれば、”健康”なうちに買い替えるようにしましょう。
中古マンションの買い時についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
1-3.マンション買い替えの基本の流れ
基礎知識として最後に知っておきたいのが、マンションを買い替える際の基本の流れです。売却と購入の両方を実施するため、少し複雑になりますが、この流れを把握しておくことで、失敗のないマンション買い替えを行うことができます。
具体的には、以下のような流れになります。
【売却】 | |
マンションの価格査定 | 1~2週間 |
媒介契約の締結 | |
売却活動の開始 | 約3ヵ月 |
契約条件の調整 | |
売却契約 | 約1カ月 |
【購入】 | |
売却見込み金額を元に予算を決定 | 1~2週間 |
媒介契約の締結 | |
購入物件探し | 2週間~3ヵ月 |
物件の内見 | |
購入契約 | 約1カ月 |
ローンの手続き | |
残代金の準備・支払い | |
入居 |
マンションの買い替えでは、今の物件の売却と新しい物件の購入を、それぞれ上記の手順で進めます。
ただし気をつけておきたいのは、売却も購入も、取引相手のいることですので、契約のタイミングを自分でコントロールすることができないという点です。そのため、売却と購入どちらを先に行うのかを、事前に決めてから買い替えを進める必要があります。
売却を先に行う「売却先行」と、購入を先に行う「購入先行」。それぞれにメリットとデメリットがありますので、次の章で解説をしていきます。
マンション買い替えの方法3パターン
基礎知識がわかったら、次はマンションの買い替え方法を確認しましょう。特徴をしっかり把握しておくことで、自分に合った買い替え方法を選ぶことができますよ。
マンションの買い替え方法には、以下の表のように、「売却先行」と「購入先行」、さらに、不動産会社に頼んで購入希望者を探してもらう方法(仲介)ではなく、不動産会社自身にそのまま買い取ってもらう「業者買取」という方法の3パターンがあります。
【買い替え方法】 | 【概要】 |
1.売却先行 | 手持ちの物件を先に売却してから、次の物件を購入する |
2.購入先行 | 新しい物件を購入してから手持ちの物件を売却する |
3.業者買取 | 手持ちのマンションを不動産会社に購入してもらうという方法 |
それぞれの概要とメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
1.売却先行
「売却先行」の買い替えとは、自分が今持っているマンションを先に売却してから、次に住むマンションを購入することです。メリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | 先に売却金額が確定するため、新しい家の資金計画を立てやすい 余裕のある売却ができる |
デメリット | 先に売却するため、新しい家がなかなか決まらない場合、一時的に別の家を借りる「仮住まい」が必要になる 「仮住まい」を避けたい場合は新居探しに時間をかけることができない |
この方法では、先に売却代金が確定するため、新しい家を購入するための予算が明確になります。そのため、「想定よりも安い金額でしか売れず、新しい家の購入資金が不足してしまった」という状況を避けることができます。
また、「いつまでに売却しなければいけない」という期限が決まっていないため、焦って安値で売却してしまうのを避けられます。
ただし、新しい家がなかなか決まらない場合、今住んでいる家は先に売ってしまっているので、一時的に別の家を借りて住む必要があります。この費用は意外と高額になりますし、引っ越しを2回しないといけないため手間がかかってしまいます。
しかし、この「仮住まい」を避けたいからといって、新しい家を早く契約しようとすると、理想の家をじっくり選ぶ時間をとることができず、あまり気に入っていない家を購入することになってしまうかもしれません。
堅実な資金計画のもとに買い替えを進めたい方に向いている方法だと言えます。
2.購入先行
「購入先行」の買い替えとは、自分が今持っているマンションを売却するよりも先に、次に住むマンションを購入することです。メリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | 妥協せずに希望物件を探すことができる 仮住まいなどの無駄な費用が不要 引っ越しをスムーズに行える |
デメリット | 新しい家の引き渡しまでに自分の持っているマンションが売れない場合、売れるまでローンを二重に支払う必要がある 売却によって入ってくる資金をあてにできないため、新しい家の頭金を他から調達しないといけない 売却が決まらないことに焦り、安値で売ってしまうことがある 想定通りの金額で売却できないと資金計画に支障が出る可能性がある |
この方法では、今のマンションの売却よりも、新しい家探しのほうを優先するため、妥協せずにじっくりと希望物件を選ぶことができます。
また、住んでいるマンションを先に売ってしまうと、次のマンションが決まるまでの間、「仮住まい」を手配する必要がありますが、先に新しいマンションを購入するこの方法では、「仮住まい」が不要になるという点もメリットになります。
デメリットは、今のマンションの売却が遅れてしまうと、その間、今の家と新しい家、両方のローンを支払わないといけない「二重ローン(ダブルローン)」の状態に陥ってしまうという点です。
さらに、売却による資金をあてにすることができないため、新居の購入にかかる頭金などの費用は、自己資金等で賄う必要があります。それだけでなく、想定の金額で売却できなかった場合は、資金計画が破綻してしまうこともあります。
そのため、資金的に余裕のある方に向いている方法だと言えるでしょう。
3.業者買取
「業者買取」の買い替えとは、手持ちのマンションを不動産会社に購入してもらうという方法です。メリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | 売却がスムーズですぐに現金化できる 近隣の方に売り出していることがバレずに済む 内見の対応が不要 |
デメリット | 売却金額は相場の6~8割に落ちることが多い |
この方法は、住む家を探している一般の方を不動産会社に仲介してもらうのではなく、不動産会社自体に売ってしまうというものです。内覧の手間も省けますし、長期間売りに出しているのに買い手がつかない…と焦ることもありません。
また、近隣の方に、家を売っていることがバレたら嫌だという場合も、この方法なら折込チラシなどで宣伝されないため、誰にも知られず売却することができます。
ただし、売却できる金額は、相場の6~8割程度になってしまうことが多いというのがデメリットです。不動産会社が一度所有し、リフォームやクリーニングをしてから一般の方に販売するため、その分の費用を見込み、相場よりも安い価格が提示されるためです。
売却金額が落ちてしまってもいいから、とにかく早く確実に売却したい!という方に向いている方法です。
タイプ別おすすめの買い替え方法
マンションの買い替えには3つの方法があるとお伝えしましたが、自分の場合はどの方法を選べばいいんだろう、という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
そんな方のために、それぞれどんな方におすすめなのかを解説していきます。
基本のおすすめ:売却先行
まずは多くの方におすすめなのが「売却先行」の買い替えです。特に以下のような方に向いています。
- 新しい家の購入に関わる資金計画を堅実に立てたい
- 今の物件は納得のいく価格で売りたい
- 今の物件の売却で得られる資金を、新しい物件の購入資金に充当したい
- 今の物件が特殊で、スムーズに売却できない可能性が高い
- 転勤や子供の進学など「いつまでに新しい家に入居しないといけない」、というリミットがない
ただし、物件を売却できたら、期日までに家を引き渡す必要があります。つまり、それまでに新しい家に入居できなければ、賃貸で仮住まいを探して引っ越さなければなりません。
そうすると、家賃や引っ越しの費用が余分にかかってしまいますので、あらかじめその費用も見込んで資金計画を立てておくと良いでしょう。
新しい家探しに妥協したくない・資金に余裕がある方向け:購入先行
「購入先行」の方法をおすすめするのは、以下のような方です。
- 新しい家探しには妥協したくない
- 仮住まいを手配するのは面倒なので避けたい
- 転勤や子供の進学などの事情で、新居への引っ越しを完了させたい期日が決まっている
ただし、新しい物件の購入費用に、今の物件の売却資金をあてたい場合は、新しい物件の決済日までに今の物件の売却手続きを完了させる必要があります。そのため、スケジュールをうまく調整することが重要になります。
また、今の物件に住宅ローンが残っている場合は、無事に売却できるまでの間、住宅ローンの支払いが二重になってしまう(ダブルローン)こともありますので、比較的資金面に余裕のある方に向いている方法となります。
とにかく早く現金化したい方向け:業者買取
最後に、「業者買取」の方法をおすすめする方の特徴をお伝えします。
- とにかく早く売却を済ませて現金化したい
- 転勤や子供の進学時期などのリミットがあり、今の物件の売却に時間をかけられない
- 近隣の方に、今の住まいを売り出していることを知られたくない
- 内覧対応などの手間をかけたくない
この方法は、売却金額が相場の6~8割に落ちてしまうことがあるというのが大きなデメリットです。そのため、お金よりもスピードや確実性、手間の少なさを重視したいという方に向いている方法です。
マンションの買い替えで失敗する人の特徴
自分に合う買い替え方法を選んだとしても、中には売却や購入のステップで失敗をして、思い通りの買い替えを実現できない方もいます。
そのため、よくある失敗を知っておくことで、そうした残念な状況に陥るのを防止していきましょう。
4-1.売り出し価格設定が高過ぎる
まず最初に気を付けたい失敗は、高値で売却したいと考えるあまり、売り出し価格の設定を高くし過ぎてしまうというものです。
売り出し価格は、基本的には売主が自由に決めていいものではありますが、市場の相場とかけ離れた価格を設定してしまうと、ずっと売り出しているのにいつまでも買い手がつかない…という事態を招いてしまいます。
実際に、初回の提示価格が高すぎたために購入希望者が現れず、1カ月後に値下げをしたという事例も。
スケジュールに余裕がある場合は、希望の価格で買う人が現れるまでじっくり待つのも良いですが、マンション買い替えの場合に重要なのは、手持ちの物件をできるだけスムーズに売却して、快適な新しい家へ引っ越すことです。
そのため、相場を無視した価格設定をしないよにう気をつけましょう。
4-2.もっと高値で売れるかもと欲を出してしまう
マンションの宣伝を開始してから、すぐに購入希望者が現れたときに、「もっと高く売れるかもしれない」と思い、そこで売らずに他の購入希望者を待ってしまう、というのもよくある失敗です。
最初の購入希望者を見送っても、次の希望者の予算はもっと低いかもしれません。もったいぶると、結局売れないという可能性もありますので、欲を出さず、妥協できる金額であれば思い切って売る決断をすることが大切です。
4-3.仮住まいを避けたいあまりに納得のいかない物件を購入してしまう
売却先行の買い替えを行う方の場合、住んでいる家の売却後、新しい家への入居までに時間が空くと、その間住む家がないので、仮住まいを手配しなくてはなりません。
しかし、仮住まいの部屋のために支払う家賃や、引っ越しにかかる費用は高額ですので、極力仮住まいを避けたいと考える方も多くいらっしゃいます。
そうすると、今住んでいる家の引渡しに間に合うよう、新しい家を急いで契約しなければならなくなります。時間がない…と焦っていると、あまり納得していない家でも妥協しないといけないシーンも出てくるでしょう。
しかし、住みやすい環境を求めてマンションの買い替えを決断したのに、それでは本末転倒ですよね。
無理に仮住まいを避けるのではなく、求める条件の物件がなかなか出てこない場合のことも想定して、あらかじめ仮住まいにかかる費用も予算の中に入れておきましょう。
4-4.必要経費を事前に見積もっていない
仲介手数料や不動産取得税など、住み替えには意外と費用がかかります。
こういった必要経費を事前にきちんと把握していない場合、マンションの売却と購入がすべて終わってから、意外とこんな費用もかかってしまった…と、予想外の出費に苦しんでしまうこともあります。
どんな経費が必要なのかは、7章 マンションの買い替え時に発生する費用・税金で解説しているので、あらかじめ確認しておきましょう。
4-5.物件を見ているうちに徐々に予算を上げてしまい後々のローン返済が厳しくなる
最後に、多くの方が陥りがちな失敗として、購入条件を整理しないままWEBサイトでいろいろな物件を見ている内に目移りして、なんとなく予算を上げてしまう、というものがあります。
住宅ローンは毎月支払う必要がありますので、余裕をもって支払える額を超えてしまうと、生活費を切り詰めないといけなくなったり、ローンが支払えないという理由で再度売却するという状況を招いてしまうこともあります。
不動産の購入は、人生を左右するほどの大きな買い物ですので、根拠がないまま予算を上げるのは避けましょう。
成功するために押さえておくべきポイント
よくある失敗例についてはご理解いただけたと思いますので、次は、そんな失敗を招かないよう、マンション買い替えを成功させるために押さえておくべきポイントを紹介したいと思います。
5-1.適正な価格設定のために相場を調べておく
売却を成功させるために重要なのが「事前に相場を調べる」ことです。
適切な相場を調べずに売却希望価格を高値に設定してしまうと、結局売れずに困ってしまいますが、逆に安すぎる価格を設定しても、損してしまいますよね。
そこで、事前にご自身のマンションの正しい価値を調べておくことで、適切な価格設定を行いましょう。
近隣の相場は、以下のサイトで調べることができます。
1.土地情報システム
国土交通省が運営しているWEBサイトで、過去の不動産の相場を調査することができます。
調べたい期間と、物件の種類、地域を選ぶと、過去の売買金額や物件の詳細(間取りや築年数、構造など)を閲覧することができます。
国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営しているWEBサイトです。過去1年間の不動産の成約価格を確認することができます。物件の種類や、地域、間取り、築年数などの条件を選ぶと、ご自身の物件と近い条件の物件び売買実績を調べることができます。
また、上記以外でも複数の不動産会社へ査定依頼して、金額を比較するのもおすすめです。いろいろな方法で相場を確認し、かけ離れた価格設定をしないようにしましょう。
5-2.事前に決めた想定販売価格の範囲内なら迷わず売る
実際に購入希望者が現れると、つい「ここで売ってしまっていいのだろうか」「次の購入希望者はもっと高値で買ってくれるかもしれない…」などと考えてしまいがちですよね。
しかし、もったいぶっているといつまでも売ることができません。
そこで、適切なタイミングで決断するために、事前に不動産会社にも相談して、相場に見合った想定の販売価格を決めておくことが大切です。
そして、その範囲内であれば、迷うことなく売る決断をするようにしましょう。
5-3.できるだけ高値売却を目指すために内覧時の魅力を高める
中古マンションを売却する際には、内覧の時に買い手に良い印象を与えて魅力を感じてもらう必要があります。
しかし、その家に住んでいる状態で売却を行う場合、いつも生活している部屋に買い手が来ることになります。
すると、どうしても生活感が出てしまいますので、以下のような方法で、掃除やにおい対策に取り組み、洗練された雰囲気を演出するようにしましょう。
<内覧時に部屋の魅力を高めるためのポイント>
- 室内をしっかり掃除して、余計なものは目の届かない場所に隠す
- 水回りはハウスクリーニングなどを頼み、徹底的に洗浄する
- 芳香剤や消臭剤などで部屋を消臭する
- 不用品は処分して、室内をすっきりと広く見せる
家は非常に高額な買い物ですので、買い手は夢を抱いています。そこで、そのイメージに合う魅力的な家に見えるよう、内覧対応には力を入れましょう。
5-4.必要経費をシュミレーションする
マンションの買い替えでは、売却と購入、それぞれのタイミングで様々な経費が発生します。
この経費がいくらなのかを把握していないと、後で想定よりも出費がかさんだことに気づき、貯金を切り崩すことになってしまい、買い替えたことを後悔してしまうという可能性も考えられます。
そこで、そのような事態を招かないよう、あらかじめ必要経費をシュミレーションしておくと安心です。経費には、主に以下のような項目があります。
売却時の費用
【タイミング】 | 【費用】 |
(1)不動産売買契約時 | 1.収入印紙代 |
(2)売却時 | 1.ローンを一括返済するための費用 2.登記費用(抵当権抹消登記費用、司法書士への報酬) 3.仲介手数料 |
(3)不動産売却後 ※売却により利益が生じた場合のみ発生する費用 | 1.譲渡所得税 2.住民税 |
購入時の費用
【タイミング】 | 【費用】 |
(1)不動産売買契約時 | 1.手付金 2.収入印紙代 |
(2)購入決済時 | 1.売買代金の残金(手付金を差し引いた額) 2.ローン関係の費用(保証料や事務手数料) 3.固定資産税・都市計画税等の清算金 4.管理費等の清算金 5.仲介手数料 6.登記費用(登録免許税、司法書士への報酬) |
(3)不動産購入後 | 1.不動産取得税(取得後) 2.引越し費用(引越し時) |
詳しくは7章 マンションの買い替え時に発生する費用・税金でお伝えしますが、おおまかな金額の目安は以下となります。
- マンションの売却にかかる諸費用:売却金額の3.8~4.0%
- マンションの購入にかかる諸費用:購入金額の8~10%
意外と高額になりますので、見積もることを忘れないようにしていきましょう。
5-5.購入の条件を家族で整理して明確にする
物件購入後に後悔しないためのポイントは、全ての物件にとって大きな要素「予算・場所・広さ」を家族の価値観と一致させていくことです。
もしこれが家族の中でズレてしまうと、全員が満足した状態で暮らしていくことができません。そうならないために、まずは家族会議で3つの条件を一致させて明確にしましょう。
<購入の条件を決めるときのおすすめ優先順位>
- 予算
- 場所と広さ
予算を最も優先する理由は、家の他にもお金が必要になることが、これからたくさん待ち受けているからです。人生は家を買うことがゴールではありません。
本来の予算を超えてしまったことで、旅行や外食、趣味を我慢したり、教育資金や老後の費用が足りなくなってしまっては本末転倒です。そのため、人生全体を見渡してどこにどのようにお金を使うのか、を考えることが大切になります。
特に住宅ローンを利用する場合は、金融機関が貸してくれる金額だけ借りたくなってしまいますが、「借りられる額」ではなく「無理なく返せる額」にすることが重要です。
具体的な目安は、年収に占める年間返済額の割合(返済比率)を「手取り年収の20%以下」にすることです。
自分の場合はどのくらいを予算として設定すればいいのか詳しく知りたいという方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
5-6.理想の場所や広さ・間取りの家を選ぶ
まずは堅実な予算設定が重要だとお伝えしましたが、もちろん場所や広さ、間取りにこだわることも大切です。家族で快適に暮らすための非常に重要な要素となるためです。
まず場所(エリア)は、何となくではなく、具体的な理由を持って選ぶとよいでしょう。「馴染みがある」「職場に通いやすい」「子育て環境が良い」「実家に近い」などの理由で選ぶ方が多いです。
広さを決めるときは以下を参考にしてみましょう。
国土交通省の「健康で文化的な住生活の基準として必要不可欠な住宅の面積水準」とする最低居住面積水準は、次の通りです。
- 単身者 25㎡
- 2人家族 30㎡(30㎡)
- 3人家族 40㎡(35㎡)
- 4人家族 50㎡(45㎡)
※()内は未就学児が1名いる場合
出典:住生活基本計画(国土交通省)
一方で、「豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考える住宅の面積に関する水準」は以下の通りになります。
- 単身者 40㎡
- 2人家族 55㎡(55㎡)
- 3人家族 75㎡(65㎡)
- 4人家族 95㎡(85㎡)
※()内は未就学児が1名いる場合
出典:住生活基本計画(国土交通省)
両者の間の広さを参考にしてみてください。なお、子育て世帯のマンションの広さについて書かれた以下の記事もあわせてご覧ください。
関連:子育てをするなら家の広さはどのくらい?について書かれた記事
間取りについては、売り出されている物件の中から選ぼうとすると、なかなか自分の希望に合うものが見つけられないということもあると思います。
そんなときは、中古マンションを購入して自由に設計してリノベーションするという方法もあります。キッチンや壁の位置はもちろんのこと、電気のスイッチやドアノブ、コンセントの位置まで自由自在です。納得のいく理想の間取りの家を手に入れることができますよ。リノベーションにご興味のある方は、こちらもあわせてご覧ください。
関連:リノベーションのビフォーアフターについて説明している記事
マンションを買い替える際の注意点
マンションの買い替えを行うときに知っておきたい、成功のためのポイントを確認してまいりました。最後に、注意点もしっかりと押さえておきましょう。
6-1.現状のマンションを高く売ることにこだわり過ぎない
マンション売却時の注意点は、「高値で売ることにこだわり過ぎないこと」です。
どうしても心情的に、得したい、利益を増やしたい、と考えてしまいがちですが、買い替えの場合は、売るだけではなく購入もしなければならないため、売却だけにのんびりと時間をかけるわけにはいきません。
高く売ることにこだわるあまり、売却が成立せず、なかなか新しい家に住みかえることができないのでは本末転倒です。
「高値で売ろう」ではなく、「住み替えの資金計画の範囲内であれば売ろう」と考えて、必要以上に高く売ることに固執しないようにしましょう。
6-2.売り出すタイミングに注意する
マンションは、同じタイミングで似たような物件が多く売りに出されていると、希少性がなくなり価格競争になるため、売却金額が下がりがちです。
そのため、売却を始めようかなというタイミングで自分のマンションと似たような物件が安値で販売されていたら、少し時間を置いてから売却活動を開始するという方法も検討してみましょう。
無理に高く売却する必要はありませんが、競合がいることで安値で売却することになると、当初の資金計画が崩れてしまうかもしれませんので、計画の範囲内で売却できそうなタイミングを見極めて売り出すようにしましょう。
マンションの買い替え時に発生する費用・税金
自分に合った買い替え方法と、買い替える際の注意点はおわかりいただけたと思います。しかし、ここですぐに買い替えを始めてはいけません。マンションを買い替える際には、購入するマンションの代金以外にも、様々な経費がかかります。
これらをあらかじめ見込んでおかないと、想定以上にお金がかかり赤字になってしまった、という事態を招いてしまうことも。
新しく購入するマンションの予算を正しく見積もるためにも、これからかかるであろう経費にどのようなものがあるのか知っておきましょう。
マンションの購入と売却には、それぞれ下記の費用がかかります。
売却時の費用
【タイミング】 | 【費用】 |
(1)不動産売買契約時 | 1.収入印紙代 |
(2)売却時 | 1.ローンを一括返済するための費用 2.登記費用(抵当権抹消登記費用、司法書士への報酬) 3.仲介手数料 |
(3)不動産売却後
※売却により利益が生じた場合のみ発生する費用 | 1.譲渡所得税 2.住民税 |
購入時の費用
【タイミング】 | 【費用】 |
(1)不動産売買契約時 | 1.手付金 2.収入印紙代 |
(2)購入決済時 | 1.売買代金の残金(手付金を差し引いた額) 2.ローン関係の費用(保証料や事務手数料) 3.固定資産税・都市計画税等の清算金 4.管理費等の清算金 5.仲介手数料 6.登記費用(登録免許税、司法書士への報酬) |
(3)不動産購入後 | 1.不動産取得税(取得後) 2.引越し費用(引越し時) |
それぞれ、以下で詳しく見ていきましょう。
7-1.マンションの売却にかかる費用
(1)不動産売買契約時
収入印紙代
契約の際は、売却金額に応じて印紙税を納める必要があります。これは、契約書に印紙を貼ることで納税したとみなされます。以下のように、売却金額別に税額が異なりますので確認しておきましょう。
【契約金額】 | 【税額】 |
100万円超500万円以下 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円超1億円以下 | 30,000円 |
1億円超5億円以下 | 60,000円 |
※2024年3月31日までに作成される契約書(軽減措置)の場合
(2)売却時
ローンを一括返済するための費用
今の家にローンが残っている場合は、金融機関へ一括繰上返済を依頼することになります。その手続きには、目安として以下のような手数料がかかります。
- ネットバンキングの場合:無料~1万円
- 電話や窓口申込の場合:1万~5万円
登記費用
登記費用とは、住宅ローンを完済した後に「抵当権を外す」ための手続きで必要になる費用です。具体的には以下のふたつの費用が該当します。
- 抵当権抹消登記費用:不動産1件につき1,000円
- 登記を実施する司法書士への報酬:相場は、依頼する司法書士や地域によって異なりますが、平均的には13,000~19,000円程度となります。
参考:報酬アンケート結果(2018年(平成30年)1月実施)日本司法書士連合会
合わせて、14,000~20,000円ほどを見込んでおくと良いでしょう。
仲介手数料
物件の売買を行った不動産会社へ報酬として支払う費用です。金額が400万円を超える場合の上限の計算式は以下の通りです。
- 売却金額の3%+6万円+消費税
そのため、2,000万円の物件を売却した場合は、以下の金額となります。
72万6,000円(2,000万円×0.03+6万円+消費税10%)
(3)不動産売却後
譲渡所得税
マンションを売却した際の利益に対してかかる税金です。購入したときよりも高い価格で売却できた場合は、確定申告の際に所得税を支払うことになります。物件の所有期間によって、支払う金額は以下のように異なります。
- 所有期間が5年超の場合:税率は15%
- 所有期間が5年以下の場合:税率30%
住民税
住民税も、譲渡所得税と同じように、物件売却時に発生した利益に対して課せられます。税率は以下のとおりです。
- 所有期間が5年超の場合:税率は5%
- 所有期間が5年以下の場合:税率9%
ただし、売却益が出た場合に譲渡所得税、住民税が軽減されるお得な制度もあります。詳しくは、国税庁の「土地や建物を売ったとき」をご確認ください。
7-2.マンションの購入にかかる費用
(1)不動産売買契約時
手付金
契約をする際に支払う費用で、一般的には売買代金の5〜10%程度であることが多いです。契約から実際の引き渡しまでの間に購入をキャンセルする場合は、この手付金は放棄する必要があります。
キャンセルせずに引き渡された場合は、マンションの購入代金の一部に充当されます。
収入印紙代
売却の際と同様、購入時にも印紙税が必要になります。購入金額別の税額は下記のとおりです。
【契約金額】 | 【物件購入契約の税額】 (軽減税率対応 ※) |
100万円超500万円以下 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円超1億円以下 | 30,000円 |
1億円超5億円以下 | 60,000円 |
※不動産の譲渡に関する契約書の場合、2024年3月31日までに作成されるものには軽減税率が適用されます。
(2)購入決済時
売買代金の残金(手付金を差し引いた額)
現金で一括購入する場合は、購入決済(引き渡し)のタイミングで残金を支払います。
ローン関係の費用(保証料や事務手数料)
金融機関によって異なりますが、主に以下のような項目が必要となります。
- 収入印紙代
- ローン保証料(無料~借入金額の2%前後)
- ローン事務手数料(無料~借入金額の2%前後)
- 火災保険料(10万円前後)
- 頭金(任意)
収入印紙代は契約金額別で以下のように決められています。
契約金額 | ローン契約の税額(本則税率) |
100万円超500万円以下 | 2,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 10,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 20,000円 |
5,000万円超1億円以下 | 60,000円 |
1億円超5億円以下 | 100,000円 |
また、頭金を入れる場合は、このときに現金で準備しておく必要があります。平均的には、物件価格の1~2割程度を頭金とすることが多いです。
頭金が0円でもローンを組むことができる場合もありますが、その分毎月のローン返済額は高くなり、利息の分も考えると総返済額も増えます。
ただ、総返済額を減らしたいからと言って、頭金を先に多く入れすぎて手元の資金が減ると、後から『お金に余裕ができたから少し返済に回そう』『今は余裕がないから貯金を生活のために使おう』といった調整がしにくくなってしまいます。
そのため、頭金を多めに入れても生活に支障がでないくらい自己資金がある場合でなければ、「頭金は少なめにして、手元にまとまった額の現金は残しておく」ことがおすすめです。
固定資産税・都市計画税等の清算金
固定資産税・都市計画税は、1月1日時点の所有者に対して、その年に請求される仕組みになっているため、所有日数に応じて日割り計算します。1月1日から引渡し日前日までの分を売主が、引き渡し日から12月31日までの分を買主が支払うのが一般的です。
管理費等の清算金
新しく購入する物件がマンションの場合は、管理組合への管理費や修繕積立金がありますので、引渡し時に日割り計算し、清算します。
仲介手数料
中古マンションや一部の新築戸建てなど、不動産会社に仲介してもらって物件を購入する場合は、仲介手数料がかかります。新築マンションの場合は、売主による直販や販売代理という販売方法が多いため、その場合は仲介手数料は不要になります。
上限の計算式は、売却のとき同様、以下の通りです。
- 「売買金額の3%+6万円+消費税」(金額が400万円を超える場合)
(例)3,000万円の物件を購入した場合の金額
105万6,000円(3,000万円×0.03+6万円+消費税10%)
登記費用(登録免許税、司法書士への報酬)
購入時にかかる登記費用には、所有権の移転や、抵当権設定の手続きで必要になる登録免許税や、その登記の実施を依頼する司法書士に対する報酬が含まれます。
所有権移転の登録免許税の税率は土地と建物を分けて計算します。税率は以下のようになります。
◆登録免許税費用
【登記の種類】 | 【税率】 | 【住宅の特例税率】(※2) |
所有権保存登記 (新築物件の購入時など) | 固定資産税評価額×0.4% | 0.15%(通常は0.4%) |
所有権移転登記 (中古物件の購入時など) | 【建物】固定資産税評価額×2.0% | 0.3%(通常は2.0%) |
【土地】固定資産税評価額×1.5%(※1) | – | |
抵当権設定登記 (住宅ローン借り入れ時) | 借入額(債権額)×0.4% | 0.1%(通常は0.4%) |
※1:2026年3月31日までの登記に適用される。通常は2%。
※2:2027年3月31日までの登記に適用される。登記簿上の床面積が50㎡以上、など要件あり。
固定資産税評価額は、土地と建物の金額を表し、市町村が決めた路線価や補正率をもとに調整されます。マンションの販売金額とは関係がないため、事前に正確に把握するのは難しいですが、具体的に購入するマンションの目星がついたら、不動産会社に確認すると良いでしょう。
◆登記を実施する司法書士への報酬
相場は、依頼する司法書士や地域によって異なりますが、10万円ほどを見込んでおくと良いでしょう。
参考:報酬アンケート結果(2018年(平成30年)1月実施)日本司法書士連合会
(3)不動産購入後
不動産取得税
土地やマンションなどの不動産を取得した時にかかる税金です。登記や申告の約6か月後に届く「納税通知書」に従って支払います。税額は以下の通りです。
- 土地・建物の課税標準額(固定資産税評価額)×3%(※)
(通常は4%だが、2026年3月31日までに取得した場合は軽減税率対応となり3%が適用される)
中古マンションの不動産取得税について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
引越し費用
新しい家に引っ越す際には、引っ越しの費用もかかります。時期や距離によって金額は異なりますが、3人以上の家族の場合は、10万~20万円程度が目安となります。
その他、仮住まいを手配する場合にはその手配費用もかかります。
マンション買い替えの費用・税金シュミレーション
マンション買い替えにかかる費用や税金についてお伝えしましたが、細かい計算をする前に、結局合計でいくらくらいかかるのか、先に知っておきたいですよね。そこでこの章では、費用や税金の大体の目安金額についてお伝えします。
例えば、今住んでいるマンションを2,000万円で売って3,000万円のマンションを購入するという場合は、その諸費用は下記のようになります。
- マンションの売却にかかる諸費用:売却金額(2,000万円)の3.8~4.0%=76~80万円
- マンションの購入にかかる諸費用:購入金額(3,000万円)の8~11%=240~330万円
合計:316~410万円
具体的な計算例は以下の通りです。
今住んでいるマンションを2,000万円(購入時より低い価格)で売却した場合の費用
【タイミング】 | 【費用の項目】 | 【金額】 |
(1)不動産売買契約時 | 1.収入印紙代 | 10,000円 |
(2)売却時 | 1.ローンを一括返済するための費用 2.登記費用(抵当権抹消登記費用、司法書士への報酬) 3.仲介手数料 | 1:10,000円 2:20,000円 3:726,000円 |
(3)不動産売却後
※売却により利益が生じた場合のみ発生する費用 | 1.譲渡所得税 2.住民税 | 1.2.利益が生じていないため不要 |
合計 | 766,000円 |
新しいマンションを3,000万円(頭金なしフルローン)で購入する場合の費用
【タイミング】 | 【費用の項目】 | 【金額】 |
(1)不動産売買契約時 | ①手付金
②収入印紙代 | ①150万円(売買代金の5%として)
②10,000円 |
(2)購入決済時 | ①売買代金の残金(現金購入の場合)
②ローン関係の費用(保証料や事務手数料) ③固定資産税・都市計画税等の清算金 ④管理費等の清算金 ⑤仲介手数料 ⑥登記費用(登録免許税、司法書士への報酬) | ①ローンを組むため不要 ②収入印紙代:20,000円 ローン保証料(借入金額の2%の場合):60万円 ローン事務手数料(借入金額の2%の場合):60万円 火災保険料:約10万円 頭金:なし ③約30,000円 ④約20万円 ⑤105万6,000円 ⑥約25万円 |
(3)不動産購入後 | ①不動産取得税(取得後)
②引越し費用(引越し時) | ①0円
②10万円 |
合計 | 311万6000円 |
ただし、ローンの条件や固定資産税評価額によって実際の費用は異なるため、自分の状況に合わせて試算するようにしましょう。分からない場合は不動産会社に相談するのがおすすめです。
買い替えでも住宅ローン控除は受けられる
費用の目安についてはご理解いただけたと思いますが、マンションの買い替えを検討する方の多くが次に気になることは、「買い替えの場合でも住宅ローン控除は受けられるのかな?」「2回目だけど適用される?」という疑問ではないでしょうか。
住宅ローン控除(住宅ローン減税)とは、ローン年末残高のうち、0.7%を所得税と住民税から控除してもらえるという制度です。
この制度は、マンションの買い替えの場合でも、2回目でも使用することが可能です。
ただし、下記の条件を満たす必要があります。
<条件>
- 返済期間が10年以上あること
- 中古住宅の場合、昭和57年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)であること
- 住宅を購入した日から6ヶ月以内に住み始めること
- 適用を受ける各年の年末に引き続き住んでいること
- 適用を受ける年の所得金額の合計が2,000万円以下(※1)であること
- 床面積が50㎡以上で、2分の1以上が居住用であること
(※1)新築で、2023年までに建築確認を受けた場合、合計所得金額1,000万円以下で床面積40㎡以上50㎡未満も適用。
参考:国税庁|No.1213 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
注意点としては、長期譲渡所得の課税の特例など、他の特例を受けていると、住宅ローン控除を受けられないということがあります。どちらを使うのがお得なのか不動産会社に相談するとよいでしょう。
ただし、物件探しの段階では、住宅ローン控除ありきではなく、「適用できればラッキー」くらいの気持ちでいるのがおすすめです。
なぜなら、住宅ローン控除は「13年間で最大455万円(中古の場合は10年間で最大210万円)」が控除される制度であるため、そんなにお得ならぜひ使いたい!と感じてしまいますが、実際は細かく適用条件が定められているため、誰でも最大額が戻ってくるわけではないからです。
それなのに、「減税対象のマンションであること」にこだわってしまうと、場所や広さが条件から外れてしまったり、予算を超えてしまったりと、本当に自分たちに合う物件を選ぶことができなくなってしまいます。
中古マンションで住宅ローン控除を利用したい場合に陥りがちなポイントについてチェックしたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連:中古マンションの住宅ローン控除について説明している記事
まとめ
この記事では、マンションの買い替えを検討中の人が知っておくべき基礎知識と、基本の買い替え方法3パターンの概要、どんな人にどのパターンがおすすめなのか、などについて解説しました。
要点は以下の通りです。
【マンションの買い替えを検討中の人が知っておくべき基礎知識】
- ローンが残っていても買い替え可能
- 外的要因でタイミングを先送りにしないほうが良い
- マンション買い替えの基本の流れ
【売却】 | |
マンションの価格査定 | 1~2週間 |
媒介契約の締結 | |
売却活動の開始 | 約3ヵ月 |
契約条件の調整 | |
売却契約 | 約1カ月 |
【購入】 | |
売却見込み金額を元に予算を決定 | 1~2週間 |
媒介契約の締結 | |
購入物件探し | 2週間~3ヵ月 |
物件の内見 | |
購入契約 | 約1カ月 |
ローンの手続き | |
残代金の準備・支払い | |
入居 |
【基本の買い替え方法3パターン】
買い替え方法 | 【概要】 | 【メリット】 | 【デメリット】 |
売却先行 | 手持ちの物件を先に売却してから、次の物件を購入する | 新しい家の資金計画を立てやすい | 新しい家がなかなか決まらない場合、一時的に別の家を借りる「仮住まい」が必要になる |
購入先行 | 新しい物件を購入してから手持ちの物件を売却する | 妥協せずに希望物件を探すことができる | 「二重ローン(ダブルローン)」の状態に陥る可能性がある |
業者買取 | 手持ちのマンションを不動産会社に購入してもらうという方法 | 売却がスムーズですぐに現金化できる | 売却金額は相場の6~8割に落ちることが多い |
【タイプ別おすすめの買い替え方法】
「売却先行」の方法をおすすめする人
- 新しい家の購入に関わる資金計画を堅実に立てたい
- 今の物件は納得のいく価格で売りたい
- 今の物件の売却で得られる資金を、新しい物件の購入資金に充当したい
- 今の物件が特殊でスムーズに売却できないことが予想される場合・転勤や子供の進学など「いつまでに新しい家に入居しないといけない」、というリミットがない
「購入先行」の方法をおすすめする人
- 新しい家探しには妥協したくない
- 仮住まいを手配するのは面倒なので避けたい
- 転勤や子供の進学などの事情で、新居への引っ越しを完了させたい期日が決まっている
「業者買取」の方法をおすすめする人
- とにかく早く売却を済ませて現金化したい
- 転勤や子供の進学時期などのリミットがあり、今の物件の売却に時間をかけられない
- 近隣の方に、今の住まいを売り出していることを知られたくない
- 内覧対応などの手間をかけたくない
さらに、失敗する人の特徴と、成功するために押さえておくべきポイント、マンションを買い替える際の注意点については以下の内容をお伝えしました。
【失敗する人の特徴】
- 売り出し価格設定が高過ぎる
- もっと高値で売れるかもと欲を出してしまう
- 仮住まいを避けたいあまりに納得のいかない物件を購入してしまう
- 必要経費を事前に見積もっていない
- 物件を見ているうちに徐々に予算を上げてしまい後々のローン返済が厳しくなる
【成功するために押さえておくべきポイント】
- 適正な価格設定のために相場を調べておく
- 事前に決めた想定販売価格の範囲内なら迷わず売る
- できるだけ高値売却を目指すために内覧時の魅力を高める
- 必要経費をシュミレーションする
- 購入の条件を家族で整理して明確にする
- 理想の場所や広さ・間取りの家を選ぶ
【マンションを買い替える際の注意点】
- 現状のマンションを高く売ることにこだわり過ぎない
- 売り出すタイミングに注意する
最後に、マンションの買い替え時に発生する費用と住宅ローン控除について下記をお伝えしました。
【マンションの買い替え時に発生する費用】
売却時の費用
【タイミング】 | 【費用】 |
(1)不動産売買契約時 | 1.収入印紙代 |
(2)売却時 | 1.ローンを一括返済するための費用 2.登記費用(抵当権抹消登記費用、司法書士への報酬) 3.仲介手数料 |
(3)不動産売却後 ※売却により利益が生じた場合のみ発生する費用 | 1.譲渡所得税 2.住民税 |
購入時の費用
【タイミング】 | 【費用】 |
(1)不動産売買契約時 | 1.手付金 2.収入印紙代 |
(2)購入決済時 | 1.売買代金の残金(手付金を差し引いた額) 2.ローン関係の費用(保証料や事務手数料) 3.固定資産税・都市計画税等の清算金 4.管理費等の清算金 5.仲介手数料 6.登記費用(登録免許税、司法書士への報酬) |
(3)不動産購入後 | 1.不動産取得税(取得後) 2.引越し費用(引越し時) |
【住宅ローン控除について】
マンション買い替え時にも適用できるが、それありきで物件を探すのではなく、本当に自分に合った物件選びを行うことが重要。
この記事を参考にしていただき、あなたにぴったりのマンションの買い替えを実施していただけると幸いです。