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中古マンションのインスペクション費用や期間、注意まとめ

中古マンションのインスペクション費用や期間、注意まとめ

住まいとして中古マンションの購入を検討する人が増えてきました。

購入するかどうかの判断として、住宅のコンディションや補修にかかる費用などは前もってきちんと知っておきたいですよね。

そこで実施したいのが「インスペクション」です。この記事では、費用や期間、「インスペクション」を取り巻く状況についてまとめました。

この記事の監修者

一級建築士
西村 一宏

東洋大学ライフデザイン学部講師。リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。

目次

インスペクションの期間と費用はどれくらい?

建物検査や住宅診断のことを「インスペクション」、もしくは住宅に限定する意味で「ホームインスペクション」と呼びます。

インスペクションは、現場を目視によって診断します。相場は5万~8万円程度。耐震診断を行うなどさらなる詳しい情報を知りたい場合は別途費用がかかります。

所要時間は2~3時間ほどですが、報告書を発行する場合は1週間程度を目安としましょう。

そもそもどうしてインスペクションが必要?メリットは?

次に、インスペクションには、実際にどのようなメリットがあり、どうして必要なのかについてお伝えしていきます。

1-1.インスペクションの必要性

これまで、中古物件などの既存住宅の流通が増加しない原因の一つに、「物件の質」を買う前に把握しにくいという状況がありました。

人口減少、少子高齢化が進む中、国としては住宅ストックの有効活用による経済効果や住替えによる住生活の充実を推進することが重要な課題となっています。

そこで、消費者が安全性を確かめてから既存住宅を購入するのに役立つインスペクションを勧めている、というわけです。

実際、インスペクションは、宅地建物取引業法の改正により、2018年4月から義務化されました。

対象となっているのは中古住宅のみで、不動産業者が売主や買主に対してインスペクションについて説明をすること、インスペクションの調査結果を説明すること、売主と買主の双方が建物状況について書面での確認を行うことが必要となりました。

「インスペクションの義務化」と聞いて、必ず診断を実施しなければならないものなのだ、という誤解も少なからずありますが、上記の通り、義務化されたのは説明と調査結果の説明、そして書面確認です。

しかし、もともとホームインスペクションの利用者数は増加の傾向にありました。今回の義務化でより認知も高まり、買主の不安解消に役立つことが期待されています。

1-2.インスペクションのメリットやリスク回避

インスペクションをする一番のメリットは、安心して家の購入ができることです。

インスペクションをしなかった場合、住まいの目には見えていない部分が古かったり欠陥があった場合、購入後に修繕することになり、思わぬ出費になったり、購入後に不満が残ることになります。

インスペクションは言うなれば「この中古物件は欠陥や不良がなく、安心して購入できる物件ですよ」とプロのお墨付きを保証してもらうものです。

入居後に起こり得る住まいのトラブルを、インスペクションによって回避できるのです。

インスペクションのチェック項目

では、インスペクションでは、どのような箇所をチェックしているのでしょうか。住戸内と呼ばれる専有部分と、住戸外と呼ばれる共有部分に分けてみてみましょう。

2-1.専有部分

目視と様々な機材によって下記の項目をチェックします。

専有部分のインスペクション

2-2.共有部分

共有部分は、主に目視で下記の項目をチェックします。

共有部分のインスペクション

実は購入前の実施が難しいのが現状

買主にとってはメリットの大きいインスペクションですが、売主からしてみると複雑なのが現状です。

なぜなら、インスペクションをした結果、その物件に欠陥が見つかるリスクがつきまとうからです。問題が発覚して契約破棄になったり、価格を大幅に下げなければいけなくなることを考えると、売主側としては乗り気にはなれないでしょう。

逆に、インスペクションに協力的な売主であれば、ある程度信じられる物件だと考えても良いかもしれません。

買主からしてみても、インスペクションの手配などの準備を行っている間に、別の買主候補者に先に契約を結ばれてしまう可能性もあります。

欠陥が見つかった場合は、5万〜8万円のインスペクション費用に加え、そこから新たに探した物件にかかる調査費用などが追加で発生することになります。

そのため、インスペクションは物件の購入がほぼ決定し、売買契約を交わす直前にすると良いと言われていますが、実際のところは売買契約を結んでからインスペクションをするケースが多いようです。

物件に瑕疵が見つかったら

では、インスペクションを行なった結果、欠陥や不具合が見つかった場合はどうしたら良いのでしょうか。

契約前にインスペクションを行い、欠陥が発見された場合は、購入を見送ることもできますし、条件を提示する(売主側が修繕を行ったら購入するなど)、修繕費用を理由に価格交渉を行うなどの対応を検討してみても良いでしょう。

売買契約を交わし、引き渡しも終わっている状態で欠陥が見つかった場合は「隠れた瑕疵」と認められれば、売主の瑕疵担保責任から契約解除や売主に対して損害賠償・補修の請求を行うことができます。

「隠れた瑕疵」とは、構造上主要な部分の瑕疵や、雨漏り、シロアリによる被害、給排水設備の不良などの、引き渡し前に気付くことが難しく、住み続けることができないような重大な欠陥や不具合のことを指します。

一方、マンションの共用部分の欠陥については、管理組合が対応します。欠陥によっては追加調査や大規模な補修が必要となり、すぐに対応することが困難な場合もあります。

また、瑕疵担保責任は売主が不動産業者であれば契約を交わしてから2年の間なら追求することができます。売主が個人の場合は、瑕疵の範囲を制限したり、免責にする特約を結ぶことができるので、契約書における瑕疵担保責任の項目をしっかり確認しましょう。

まとめ

インスペクションは、中古マンションを購入しようとしている人であれば理解しておきたい事項の一つです。

インスペクションができるかどうかは売主次第ではありますが、買主としてもしっかり把握してインスペクションを行いたい意向を示し、安心して物件購入をできるようにしましょう。

この記事の制作体制
  • 大月知香

    ゼロリノベの編集者。大学時代にデンマークへの留学を通して、北欧の人々の住まいに対する美意識の高さに感化される。暮らしにおける「住」の重要性を伝えたいと住宅雑誌の編集を経験。より自分らしく、自由に生きられる選択肢の一つとしてリノ...

  • 西村 一宏

    リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。

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