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新耐震基準と旧耐震基準ってどれくらい違うの?

神奈川県相模原65㎡のリノベーション事例。子供のはしゃぐ様子。

中古マンションを検討するにあたって、もっとも気がかりな事の一つ、「地震」について考えて行きます。一つの意見に偏らずに、広く意見をみてみましょう。一般的に入手できる情報(ネット検索)と建設省のデータから客観的に考察していきます。

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目次

ネットからの情報からの考察

私たちの思惑が入らないように、google検索で「中古マンション 地震」でトップページに出てくる記事を客観的に集めてみました。

■ネガティブな記事
→ 新築マンション販売会社の記事でしたので、中立性を欠くため掲載しません。

■ポジティブな記事
→ 中古マンション販売会社の記事でしたので、中立性を欠くため掲載しません。

■中立的な記事
https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/other/taishin/

結果的に、どちらが良いと断定している記事はほとんどなく、中立意見が多いように思います。以下、どのサイトにも掲載されているポイントを挙げます。

1)1981年6月1日以降に建築確認申請された建てものかどうか?

1981年より新耐震基準という建築基準が施行されたことにより、これ以降の建物はそれ以前よりも厳しい耐震基準をクリアしなければならないとなっております。

※しかし、2005年に発覚した姉歯の耐震偽装事件にあるように、1981年以降のマンション全てが問題ないとも言えないかもしれません。

2)現在の建物状態を見て、おかしなところがないか、が一番大事

おかしなところとは、建物の壁に大きなクラックがあったり、鉄筋がむき出しになっている個所があったり、修繕している履歴がなかったりする事です。

3)最新の新築マンションは、理論上、安全性が高くなっている

しかし、計算上そうであっても、実際の地震の波動がどのように地中に伝わって来るか、そのマンションが建っている地盤とどう共鳴するかで、振動に大分差異が出てくるので、実際は理論通りではありません。

阪神大震災最終報告書(建設省)からの考察

下記データは、阪神大震災における、鉄筋コンクリートマンションの被害状況をまとめたものです。年代別(~1971 1972~1981 1981~)、ピロティーが有る無し、階数別(~2F、3~6F、8F~)に分かれています。

※ピロティーとは、マンション1Fが一部壁で覆われておらず、柱がだけで支えているもの。駐車場に利用されているケースが多いです。

阪神大震災最終報告書の倒壊率についてのグラフ
阪神大震災最終報告書

ここから読み取れる考察をまとめます。

1)RC(鉄筋)SRC(鉄骨鉄筋)建物全体

大破と倒壊を合わせた棟数の全体数に対する割合:3.6%
(内訳)
1971年以前:8.1%
1972~81年:4.9%
1982年以降:1.3%

2)非ピロティー建築物・ピロティー建築物別

非ピロティー建築物全体:3.3%
(内訳)
1971年以前:7.9%
1972~81年:4.3%
1982年以降:1.2%

ピロティー建築物全体:6.6%
(内訳)
1971年以前:12.1%
1972~81年:11.2%
1982年以降:2.4%

3)階層別

非ピロティー建築物、ピロティー建築物に拘らず、各年代共に階数が高くなるほど大破あるいは倒壊したものの比率が増加しています。

※年代別の年についてですが、~1971:旧々耐震基準、1972~1981:旧耐震基準、1982~:新耐震基準と言われております。一般に竣工年で築年数が表記されておりますが、建築確認がおりた年が1981年で、竣工が1982年の場合は、旧耐震基準の建物となりますので、単に竣工年からは耐震基準の新旧を判断することは出来ませんので、目安とする方が良いでしょう。

最終考察

私たちの推奨する住宅の買い方は、「人生を自由に生きるための足かせをなくす」という観点から、「いかに毎月の支払いを軽減するか」を重視しています。という事は、必然に安い中古マンションの方がより良くなります。築年数が古い方が安くなります。お金は自分でコントロール出来ますが、地震はコントロール出来ません。

しかし、安ければ良いというものではなく、建物がしっかりと管理されて、修繕されているものを選ばなければなりません。ここを怠ると、大地震が来た際に、あるべき耐震性能が発揮されずに倒壊する可能性があります。それこそ、自由を手に入れるどころか、命の安全を脅かすことになりかねません。かといって、最新の高い新築マンション、新耐震基準の中古マンションを無理して購入してしまった場合に、毎月の高いローンに束縛されて人生の選択肢をせばめる事も残念です。もっとも大事なことは、自身の予算の中で何を優先順位に上げていくのか?というバランスが必要なのです。

では、何がベストか?

築20年を超えたあたりのマンションを探す

20年を超えると、価格の下落が緩やか、もしくは経済情勢や立地によっては値上がりする可能性があるので、おすすめです。

しっかり修繕されているマンションを探す

修繕されてないマンションは、鉄筋が錆びていたりする可能性があり、強度が保たれてない可能性があります。

できれば、新耐震基準以降(1981年)のマンションを探す

これであれば絶対安心という事ではありませんが、精神的に良いとは思います。もし、このポイントを追及するなら、もちろん最新の新築マンションが理論的には強いと思われます。しかし、新耐震基準以前のマンションでも、以降のマンションよりしっかり建築されているものもあります。自身の予算とのバランスが必要です。

ピロティーのあるマンションは注意

ピロティーのあるマンションは、データよりやや地震に弱い傾向が見られます。ただし、東日本大震災のように沿岸部においては、構造的に津波を逃がす事で、被害を抑えられたという報告もあります。

つまるところ、日本では家は一生に一度の買い物という教育から、購入者が一様に、新しいものであれば問題ないだろうと購入し、ローンのリスクを取ってしまうのが問題だと言われています。あなたが、もし「10年後に後悔しない住まい」「家族と幸せに暮らせる住まい」をお考えならば、新築か中古、新耐震か旧耐震だけで判断しない方が賢明です。それよりも、正しい知識をつけ、お金の面・建物の面・多方面から分析し、何が自分にとって最適な住宅なのかの判断基準を持つことが大切なのではないでしょうか?

この記事の執筆
  • 大月知香

    ゼロリノベの編集者。大学時代にデンマークへの留学を通して、北欧の人々の住まいに対する美意識の高さに感化される。暮らしにおける「住」の重要性を伝えたいと住宅雑誌の編集を経験。より自分らしく、自由に生きられる選択肢の一つとしてリノ...

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