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二世帯マンションとは?種類ごとの特徴とメリット・デメリットを解説

二 世帯 マンション画像
  • 二世帯マンションというのがあるそうだけれど、どんなもの?
  • 戸建ての二世帯住宅などと比べて、二世帯マンションに住むメリットって何?

親子など二世帯で同居や近居を考えている中で、そんな疑問を持った人もいるのではないでしょうか。

最近耳にする「二世帯マンション」とは、同じマンションの中に二世帯が住むという新しい住まい方のことです。

それは「親世帯と子世帯がマンションの同じ部屋に同居する」ことだけを表わすものではありません。

ほかにも、

  • 隣り合った部屋に住む
  • 同じフロアで少し離れた部屋に住む
  • 別のフロアの部屋にそれぞれ住む

など、同じマンションの棟の中に二世帯が入っていれば、すべて「二世帯マンション」に含まれます。

従来の戸建て二世帯住宅にかわってこのスタイルが生まれたのには、

  • 購入費用が抑えられる
  • 戸建てよりマンションのほうが設備が充実していて便利
  • 防犯性も高い

など、さまざまな理由があり、これから二世帯マンションを選ぶ親子も増えてきそうです。

そこでこの記事では、二世帯マンションについて知っておきたいことをわかりやすく網羅しました。

  • 二世帯マンションとは何か
  • 二世帯マンションの種類
  • 二世帯マンションのメリット、デメリット
  • 二世帯マンションの価格の目安
  • 二世帯マンションはどんな人が利用するのか
  • 二世帯マンションに住む際の注意点

などです。

以上をすべて理解できれば、戸建て二世帯住宅と二世帯マンションのどちらが自分に向いているか判断できるはずです。

この記事で、あなたの二世帯ライフが快適なものになるよう願っています!

目次

二世帯マンションとは

まず最初に説明しておきたいのは、「二世帯マンションとは何なのか?」ということです。

言葉の定義、なぜこのようなものができたかという背景から説明しましょう。

1-1.二世帯マンションとはどんなもの?

「二世帯マンション」と聞くと、「二世帯住宅のように、親世帯と子世帯がひとつの物件に住む形態のマンション」を想像するのではないでしょうか?

ですが、いまこの言葉は、二つの世帯が同じマンション内に住むことを指して使われているのが実情です。

たとえば、以下の4例が考えられます。

  • 隣り合った2部屋が内部のドアでつながっている
  • 部屋が隣接している
  • 同階で部屋が離れている
  • 別階に離れている

ポイントは、住んでいるのが同じマンションであれば、部屋は一緒でも別々でも「二世帯マンション」と呼ばれることです。

ひとつの物件に一緒に住む場合も、同マンション内の別々の部屋に離れて住む場合も、どちらも含まれています。

1-2.二世帯マンションがなぜ登場したのか

そもそも「二世帯住宅」は、ひとつの戸建て住宅に親世帯と子世帯が一緒に住む住宅を表わす言葉です。

共働き夫婦も多い現代、子どもの世話を親世帯にも見てもらえるメリットがあるため、二世帯住宅のニーズは一定数あります。

しかし、昔に比べて都市部での土地は高騰しているため、広い敷地が必要な二世帯住宅を建てるにはかなりの資金が必要になり、「二世帯住宅を建てて親と同居したいけれど、資金が足りない」という家庭が出てきました。

そこで、大手不動産会社が提案したのが「二世帯マンション」という住まい方です。

同じマンションに二世帯が住むというスタイルですが、これだと、

  • マンションなので、戸建ての二世帯住宅よりも低価格で収まる
  • 戸建てよりもセキュリティが充実していて、防犯面で安心できる
  • エレベーターがある、バリアフリー化されているなど、親世帯が高齢になっても住みやすい

など、時代に合ったメリットが多くあるため、注目されるようになりました。

今では二世帯マンションとして、前述したような

  • ひとつの部屋に二世帯一緒に住む
  • 隣り合った部屋を購入して住む
  • 同じマンション内でも階が異なるなど、スープの冷めない距離を保って住む

などいろいろな形がうまれ、各家庭ごとの事情に合わせて選ばれています。

二世帯マンションの種類

「二世帯マンション」を従来の二世帯住宅の感覚でとらえると、「親世帯と子世帯がつながっている部屋」を想像しますよね。

ですが、前述したように現在「二世帯マンション」と言われているものはもっと定義が広く、さまざまな住まい方が考えられます。

そこで、二世帯マンションにはどんな種類があるのか、その特徴とともに見ていきましょう。

2-1.内部で部屋がつながっているケース

まずひとつ目は、隣り合ったふたつの世帯が内部で部屋がつながっている物件です。

これは従来の戸建ての二世帯住宅が1階・2階に分かれていたものを、横に隣り合わせてつなげたものとイメージすればいいでしょう。

最初から二世帯同居を前提としてつくられたマンションですので、狭義ではこのタイプのみを「二世帯マンション」と呼ぶ場合もあります。

このタイプの特徴は、玄関や水回りなどはそれぞれの部屋に備わっていて独立した世帯として暮らすことができると同時に、内部で二戸をつなぐドアを開ければすぐに行き来ができることです。

このドアにカギをかけていればプライバシーを保って生活できますし、カギを開けれておけば、いざ何かあったときにはお互いに駆けつけられます。

カギひとつで距離感を調節できるわけです。

たとえば親世帯が元気なうちは各世帯別々に暮らし、高齢になったらドアを開放してひとつの部屋として同居するなど、状況の変化にあわせてフレキシブルに住み方を変えられるのが利点と言えます。

2-2.部屋が隣接しているケース

次に、同じマンション内で隣接した部屋に、親世帯と子世帯が分かれて住むスタイルがあります。

この場合、中でつながるドアはなく、完全に別の部屋での生活になりますが、隣り合っているため、ものの数秒で行き来できます。

前述した内部でつながった部屋に比べると、距離はほぼ変わらないながらもプライバシーはより保たれる住まい方と言えるかもしれません。

またこのスタイルであれば、二世帯マンション用に特別に作られた物件を探すまでもなく、どんなマンションでも実現が可能です。

そのため物件探しの選択肢もぐんと広がるでしょう。

2-3.同階で部屋が離れているケース

三つ目として、同じマンションの同じフロアでも、隣り合わずに離れた部屋にそれぞれ暮らすという形があります。

隣接している部屋だと、マンションのつくりによってはお互いの生活音が漏れ聞こえてしまう場合もあるでしょう。

特に子世帯に小さい子どもがいる場合や、仕事で帰宅が遅い場合などは、親世帯からは足音や出入りの音が耳につき、「ちゃんとしつけしているかしら」「無理して体を壊さないだろうか」など、いらぬ心配をさせてしまうかもしれません。

そんな余計な心配や気づかいをすることなく、同時に近居のメリットも享受できるのが、何戸か離れた部屋に住むこのスタイルです。

2-4.別階に離れているケース

最後は、同じマンションでも違うフロアに分かれてそれぞれ住むというスタイルです。

二世帯マンションの中でも、もっとも距離が遠い住まい方で、「近くにはいたいけれど、適度な距離は保ちたい」という場合に選ばれるようです。

というのも、隣接した部屋や同フロアの部屋だと、お互いの出入りが目についたり、ドアの開閉音や声が聞こえてしまったりすることもあるからです。

完全にプライバシーを保ちたいというのであれば、フロアを別にしたほうが、普段はお互いの生活の様子が気にならずにすみます。

生活時間帯がまったく違うのでお互いに迷惑をかけたくない場合や、親世帯が高齢なので見守りたいけれど、普段はあまり交流しない関係の場合などは、このスタイルが適しているかもしれません。

以上、二世帯マンションには4つのスタイルがありますが、いずれも近居のメリットはあり、主にプライバシーをどう保つかによって選択肢が分かれると言えそうです。

二世帯マンションのメリット

二世帯マンションは、戸建て二世帯住宅の欠点を補う存在として登場したため、従来にはなかったさまざまなメリットを備えています。

この章では、そんな二世帯マンションならではのアドバンテージに注目してみましょう。

3-1.購入費用を抑えられる

もっとも大きなメリットは、戸建ての二世帯住宅と比較して購入費用を低く抑えられることです。

親世帯が高齢になると、病院や役所に行く機会が増え、買い物も近場ですませたくなるため、利便性のよい都市部に住むのが最適でしょう。

しかし、都市部は地価が高いため、戸建ての二世帯住宅を建てられるような広い敷地を購入するとなると、かなりの資金が必要になり、誰もがそれを用意できるとは限りません。

一方マンションであれば、土地の費用は全戸で分割して負担しますので、住居の広さに対して価格を安く抑えることができるのです。

もちろん、タワーマンションなど高価格帯のマンションを2戸購入するなどの場合は、合計額でいえば戸建て1軒より高くなるケースもあるでしょう。

ですが、マンションなら価格帯はさまざまですし、中古という選択肢もあるので、上手に選べば戸建てよりもぐっと安く購入することが可能です。

3-2.設備が充実している

マンションは、セキュリティやエレベーター、共有施設など、戸建てにはない設備があらかじめ備わっているのも利点です。

オートロックのエントランス、防犯カメラ、警備会社との契約などは、戸建てですべて備えようと思うとかなりの費用がかかりますよね。

それが最初から充実しているマンションは、戸建てより安心して住むことができるでしょう。

ゴミ捨てなども、マンションによっては決められた日の朝に出す必要がなく、いつでも共用のゴミステーションに捨てられる場合があり便利です。

宅配ボックス、共用の応接スペースなど、必要な設備があるマンションを選べば、より快適に暮らせるでしょう。

3-3.プライバシーを保ちやすい

二世帯マンションは、どのタイプであっても玄関や水回りはそれぞれ別に備わっていて、基本的には別世帯ですのでプライバシーが保たれます。

戸建ての二世帯住宅の場合、「親世帯がしょっちゅう子世帯に入ってくる」「玄関からの出入りが丸わかりで気を遣う」などという悩みをよく耳にします。

しかし、二世帯マンションなら、隣接した部屋であってもカギなしには勝手に出入りできませんし、離れた部屋にすればよりプライバシーを保つことができます。

3-4.賃貸に出すこともできる

二世帯マンションは基本的にそれぞれ独立した物件なので、もし一方が住めなくなった場合、片方を賃貸に出すことができるというのもメリットです。

たとえば、子世帯が転勤になったが数年後には戻ってくる、という場合、戸建ての二世帯住宅であれば、その間子世帯の住居部分はそのままにしておくか、身内が一時的に住むくらいしか活用法はないでしょう。

それに対してマンションなら、子世帯部分は1戸の物件なので賃貸に出し、家賃収入を得ることができます。

住まない期間があっても、それを無駄にすることなく収入につなげることができるというわけです。

3-5.親世帯が高齢になっても負担が少ない

マンションは、高齢者にとっては戸建てより住みやすいという側面も見逃せません。

これからどんどん高齢になる親世帯にとっては、階段の上り下りなど日常の移動、ちょっとした動作がつらくなってきます。

戸建ての場合、バリアフリーにするとその分費用もかさみますが、マンションであればエレベーターがありますし、室内はフラットなので安全です。

また、同じマンションであれば室内の間取りや設備もだいたい似通っていますので、もし親が急病になって子世帯が駆けつける、看病に通うということになっても、ものの在り処や設備の使い方に戸惑うことなくスムーズにできるでしょう。

3-6.将来的に売却しやすい

二世帯マンションは、戸建ての二世帯住宅に比べると売却しやすいというメリットもあります。

というのも、戸建て二世帯住宅の大きなデメリットとして、売却したくてもなかなか買い手がつかないことが挙げられます。

戸建てで敷地が広めなので売価も高くなりますし、間取りや内装が特殊なため、ニーズが合う買い手が見つかりづらいのです。

一方で二世帯マンションは、基本的には別の物件なので、普通の中古マンションとして売ることができます。

将来的に親世帯が亡くなったあとも、そちらの部屋だけを売却して子世帯は同じ部屋に住み続けることができ、長期的な生活設計を変える必要がないのも大きな利点と言えそうです。

二世帯マンションのデメリット

二世帯マンションにはさまざまなメリットがありますが、一方でデメリットもゼロではありません。

この章ではそのマイナスの側面にも注目してみましょう。

4-1.場合によっては割高

二世帯マンションのメリットとして「購入価格を安く抑えられる」ことを挙げましたが、一方で、割高になってしまう恐れもあります。

というのも、戸建ての二世帯住宅は“1戸”であるのに対して、二世帯マンションは原則的に“2戸”を購入する必要があるからです。

リーズナブルなマンションや中古物件を選べば安く購入できますが、「都心である程度の広さがほしい」「タワーマンションの高層階がいい」など条件を高く設定してしまうと、戸建てに比べて割高にならざるを得ません。

購入資金に限りがあるのなら、希望の二世帯マンションには手が届かない……という場合もあることを心しておきましょう。

4-2.親世帯が馴染みにくい場合がある

親世帯が田舎暮らしが長かったり、戸建てにしか住んだことがない場合は、いきなり都会のマンション暮らしに移行してもなかなか馴染めずストレスを感じる、というケースもままあります。

たしかにマンションは便利ですが、

  • 狭くて圧迫感を感じる
  • 庭がないので、庭仕事ができず寂しい
  • ご近所付き合いが薄く、新しい友人ができない
  • オートロックやインターフォン、宅配ボックスなど最新の設備が使いにくい
  • エレベーターで下に降りて外出するのが億劫

などの不満や悩みも生じがちです。

二世帯マンション選びは子世帯の都合ばかりで考えずに、親世帯の希望をじっくり聞いたり、転居予定地を一緒に下見したりして、「ここなら快適に暮らせる」というイメージがかたまってから決めるようにしましょう。

二世帯マンションの価格

二世帯マンションは“2戸”を購入するわけですから、どんなマンションを選ぶかによって購入価格には大きな違いが生じます。

中古のこぢんまりしたマンション2軒を買うのと、都心のタワーマンション高層階を2軒買うのとでは、何千万円もの差がありますので、一概に相場価格を求めるのは難しいでしょう。

そこでひとつの目安として、戸建ての二世帯住宅の相場をお伝えしておきましょう。

二世帯住宅を新築する場合、土地代を除く建築費は住宅のタイプによって異なります。

玄関も水回りも共有する完全同居型はもっとも安くできますが、それらをすべてふたつずつつくる完全分離型であれば費用も高くなります。

ここでは二世帯マンションと同様に、玄関も水回りもすべて世帯ごとに設ける完全分離型の相場を見てみましょう。

といっても、建築費はハウスメーカーごとに異なるため、相場にも幅があります。

二世帯住宅の坪単価は50万~60万円くらいが平均とされています。

また、一般的に4~5人家族が住むのに必要な住宅の広さは30~40坪ですので、二世帯であればその2倍、60~80坪程度を想定しましょう。

これを計算すると、以下のようになります。

二世帯住宅の建築費相場

  • 坪単価50万円×60坪の場合=3,000万円
  • 坪単価60万円×80坪の場合=4,800万円

→完全分離の二世帯住宅の相場は3,000万~4,800万円程度

実際には、平均で4,000万円程度の住宅を建てる人が多いようです。

ただしこれは上物だけの費用ですので、さらに土地代が加わります。

たとえば、「SUUMO住みたい街ランキング2020 関東版」(株式会社リクルート住まいカンパニー)で第1位に輝いた横浜市の地価は、平均坪単価 138万4,994円(2020年現在)ですので、仮に40坪の土地であれ5,500万円以上にもなります。

建築費(平均4,000万円程度)とあわせると、実に9,500万円という高額です。

横浜市で戸建ての二世帯住宅より安い二世帯マンションを探すなら、この価格をひとつの目安になるでしょう。

つまり、戸建てよりも購入費用を安く抑えたい場合は、自分が住みたい街の地価+4,000万円程度を基準にして、それ以下で買える二世帯マンションを探してみましょう。

二世帯マンションを利用するケース

ところで、戸建ての二世帯住宅を選ばず、あえて二世帯マンションを選ぶのは、どんな人が多いのでしょうか?

3.二世帯マンションのメリット」とも重複する部分がありますが、想定されるケースをいくつか挙げてみましょう。

6-1.費用を抑えたい場合

まず第一は、二世帯住宅を新築するよりも費用を抑えたい人が考えられます。

リーズナブルなマンションや中古物件を選べば、二世帯住宅に比べて千万単位で節約することも可能です。

中古物件の内装をそれぞれの世帯ごとに好みに変えたり、親世帯をバリアフリーにしたりとリフォームすれば、安くてもお互い住み心地のいい部屋ができるでしょう。

6-2.防犯対策を重視する場合

マンションは戸建てよりもセキュリティが優れているので、防犯意識の高い人に選ばれるケースもあるでしょう。

オートロック、エントランスなどには防犯カメラ、警備会社がいつでも駆けつけるなど、個人宅では揃えることが難しいセキュリティシステムが整っています。

特に子世帯に小さい子どもがいる場合や、親世帯が高齢の場合には、防犯上マンションのほうが安心できるかもしれません。

6-3.より利便性高く暮らしたい場合

親世帯が高齢の場合、戸建てだと階段の上り下りがつらい、部屋の掃除や庭の手入れが大変といった悩みも出てきます。

そこでより便利にストレスなく暮らすため、マンションを選ぶ人も多いようです。

マンションであれば室内はフラットなので階段や段差の上り下りはありませんし、上階の部屋でもエレベーターで楽に移動できます。

戸建てに比べて掃除するスペースも少ないので、負担がありません。

共有スペースの庭園などがあれば、自分で手入れせずに緑を楽しむことができますし、部屋や設備のメンテナンスも管理会社に依頼できるので簡単です。

24時間利用できるゴミステーションを備えたマンションなら、ゴミの捨て忘れもありませんし、宅配ボックスがあれば再配達を頼む必要もなくなります。

このような便利さ、暮らしやすさはマンションならではのメリットです。

6-4.同居よりもプライバシーを保ちたい場合

戸建ての二世帯住宅の場合、やはり「同居」というイメージが強く、プライバシーを保つのは難しい状況にもなりがちです。

そこで、お互いに必要以上の干渉はしたくない、近居で助け合いながらも「スープの冷めない距離」は保っていたい、という親子なら、二世帯マンションの少し離れた部屋に住むスタイルを選ぶかもしれません。

子世帯が共働きであれば、昼間は子どもを親世帯に預けたり、逆に親世帯の手伝いをしたりといった、近居ならではの交流ができる反面、勝手に部屋に入られたり、生活音や声を聞かれたりする恐れはないからです。

近居の良さと、別居のプライバシーとのバランスを重視する場合には、二世帯マンションは適しているかもしれません。

6-5.転勤の可能性がある場合

親世帯または子世帯に転勤の可能性がある場合は、戸建てよりもマンションのほうが扱いやすいでしょう。

たとえば子世帯が3年間限定で別の地方に転勤になった、などというケースなら、その間子世帯の部屋を遊ばせておかず、賃貸に出せば家賃収入が得られます。

それをローン返済にあてれば、戸建てよりも効率的です。

6-6.将来的に売却を予定している場合

将来親世帯が老人ホームに入ったり、亡くなったりすることを考えると、住んでいた家は処分することになりますよね。

その際に、誰かが引き継いで住むのではなく、売却しようと予定している人が、戸建てよりマンションを選ぶケースも想定できます。

というのも前述したように、戸建ての二世帯住宅は買い手がつきにくいからです。

二世帯マンションなら、親世帯の住んでいた部屋を1戸の中古マンションとして売りに出すことができるので、売却しやすいでしょう。

二世帯マンションに住む際の注意点

二世帯マンションのメリット、デメリットを知ったうえで、「やっぱり二世帯マンションを買おう!」と心に決めた人もいるかと思います。

そんな人には、実際に二世帯マンションで親世帯と子世帯がうまくやっていくための注意点をぜひ知っておいてほしいと思います。

以下に挙げる4つのポイントをおさえて、お互いに快適な二世帯ライフを送ってください。

7-1.資金面でお互いに無理をしない

二世帯マンションを購入する際には、それぞれが自分の住む物件にローンを組む場合もあるでしょうし、親世帯が子世帯を一部援助する場合や、親から子に途中でローンを引き継ぐ親子ローンを組む場合もあるでしょう。

いずれにしろ、どちらの世帯も資金面で無理のない範囲のマンションを選んでください。

親世帯のほうが裕福な場合、子世帯が「親があのマンションを希望しているから、自分の収入では少し返済がきついけれどもがんばって購入しよう」と背伸びしてしまうこともあるでしょう。

逆に、働き盛りの子世帯の希望に合わせて、高齢の親世帯が無理をするケースもあるでしょうが、もしも誰かが病気になったり、不況で収入が減るなど不測の事態が起こった場合、無理してくんだローンは支払いが困難になってしまいます。

そんなことのないよう、どちらの世帯ももし何かあっても無理なく支払える金額の物件を選ぶようにしましょう。

7-2.ライフスタイルに合わせて二世帯マンションの種類を選ぶ

最初に説明したように、二世帯マンションには4種類あります。

どの住み方を選ぶかは、親世帯子世帯それぞれのライフスタイルをよく考慮して決めましょう。

  • お互いに行き来する頻度はどれくらいか
  • 生活時間帯はどうなっているか
  • 親の健康状態はどうか
  • プライバシーはどの程度保ちたいか

などを両世帯で話し合って、共通認識を持ってからマンションを選ぶといいでしょう。

たとえば「仲がよく頻繁に会うし、お互い合鍵を持って自由に行き来したい」というほど親密な場合は、隣接した部屋が内部でつながっているタイプの二世帯マンションにして、中のドアにもカギをかけなくてもいいでしょう。

また、「平日は親世帯に子どもを預けるし、交流もするが、週末はそれぞれの家庭で別々に過ごし、適度な距離を保ちたい」という場合は、同じフロアで2~3軒離れた場所などがいいかもしれません。

あるいは「子世帯の勤務時間が不規則で、夜中に帰宅したり早朝に出かけたりすることが多い」という場合は、親世帯が出入りの音に悩まされたり、過度な心配をすることがないよう、別フロアに離れてみるのもいいでしょう。

どちらの生活にもストレスがない距離感を選んでください。

7-3.プライバシーを尊重する

引っ越し前に二世帯で話し合っていろいろと取り決めても、いざ二世帯暮らしが始まると、ついつい干渉したくなってしまうこともあるでしょう。

「孫がかわいいから、子世帯に毎日顔を見に行きたい」「高齢の親が心配で、生活のしかたにいちいち口出ししてしまう」といったケースです。

どちらも悪意ない行動ですが、相手が望んでいる以上に踏み込んでしまうと、それまではうまくいっていた関係も崩れてしまいがちです。

マンションという高価な買い物をして始めた二世帯暮らしですから、長く続けていかなければなりません。

そのためには最初に決めた以上に干渉せず、お互いのプライバシーを尊重する必要があるのです。

7-4.親世帯の意向をよく聞く

マンション生活で負担を感じやすいのは、どちらかといえば子世帯より親世帯でしょう。

高齢になってから住環境が変わって不安、最新設備の使い方がわからない、ご近所付き合いがないなど、柔軟な子世帯にとってはまったく気にならないことが、意外なストレスにつながる恐れがあります。

それをできるだけ予防するためには、マンション選びの前に子世帯が親世帯の気持ちをよくよく聞き取ることが必要です。

どんな生活がしたいか、どんな場所に住みたいか、嫌だと感じることは何か、など、心の中で感じていること、親自身も気づいていない希望や不安などがあるはずです。

短時間の会話では表面的なことしか聞けないかもしれませんので、必要があれば何度もゆっくり話し合ってみましょう。

それを踏まえて、親世帯が安心して暮らせるマンション選びをしてください。

まとめ

いかがでしょうか?

二世帯マンションとは何か、二世帯住宅と比べてどんな特徴があるのかなどがよくわかったかと思います。

では最後にもう一度、記事の内容を振り返ってみましょう。

◎二世帯マンションとは「二つの世帯が同じマンション内に住むこと」で、主に以下の4種がある

  • 内部で部屋がつながっている
  • 部屋が隣接している
  • 同階で部屋が離れている
  • 別階に離れている

◎二世帯マンションを利用するのは以下のようなケースが考えられる

  • 費用を抑えたい場合
  • 防犯を重視する場合
  • より便利に生活したい場合
  • プライバシーを尊重したい場合
  • 転勤の可能性がある場合
  • 将来売却を考えている場合

これを踏まえれば、あなたの場合は戸建てかマンションのどちらで二世帯暮らしするのがよいかがわかるでしょう。

ぜひ納得のいく決断をして、親子で楽しく暮らせるよう願っています!

 

この記事の執筆
  • 大月知香

    ゼロリノベの編集者。大学時代にデンマークへの留学を通して、北欧の人々の住まいに対する美意識の高さに感化される。暮らしにおける「住」の重要性を伝えたいと住宅雑誌の編集を経験。より自分らしく、自由に生きられる選択肢の一つとしてリノ...

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