【一級建築士監修】中古戸建のリノベーションを完全解説|ビフォーアフター事例・費用相場・失敗を防ぐコツ

中古住宅を購入し(あるいは持ち家を)、ライフスタイルに合わせて好みの空間に改修できる中古戸建のリノベーション。間取りの変更や細かなデザインを指定できるため人気が高まっています。
本記事では中古戸建のリノベーションの流れや費用相場、物件選びのポイントについて詳しく解説します。リノベーションした事例もご紹介するので参考にしてくださいね。
戸建とマンションを比較したい方はこちらの記事をご覧ください。
リノベ費用の決定版!リノベにかかるお金について総まとめした記事はこちらから
中古戸建のリノベーションとは?
中古戸建のリノベーションとは、中古住宅を購入し(あるいは持ち家を)、ライフスタイルに合わせて好みの空間に改修することを言います。
間取りのほか細かなデザインを指定できるため人気が高まっています。
中古戸建をリノベーションするメリット
中古戸建をリノベーションするメリットは以下の点が挙げられます。
- 自由度の高い家を作ることが可能
- 建築プロセスを確認できる
- 愛着のある家を大切に受け継げる
自由度の高い家を作ることが可能
中古戸建のリノベーションのメリットは、注文住宅と同様に建物を自分好みにアレンジできることです。
マンションと違って共有部分が無いので、窓の位置や水回りなども含めたほとんどの部分を家族のライフスタイルに合わせて変更できます。
建築プロセスを確認できる
着工時から建築の様子を把握することができるため、しっかりと工事しているか、傷んでいる箇所はないかを確認できます。そのため安心です。
愛着のある家を大切に受け継げる
中古戸建のリノベーションは、先祖代々大切に守ってきた建物であったり、たくさんの思い出が詰まっている家をバラバラにしたくないときにも便利です。
建替えではなくリノベーションを選ばれるケースは少なくありません。なぜなら、一度解体してしまったら、もう元のようには戻せないからです。
このように安易に壊してはいけない建物も、きっと多いはずです。
中古戸建をリノベーションするデメリット
中古戸建をリノベーションするデメリットは以下の点が挙げられます。
- 建物状態が悪い場合がある
- 入居までの時間が長くなる
- 想定より費用がかかる場合がある
建物状態が悪い場合がある
値段の安い中古戸建に買った後に「実は中身はボロボロだった…」というケースは少なくありません。見た目では腐食や劣化部分を見つけられないからです。そのため、耐震・耐久において不安が残ります。
よって、購入する前にホームインスペクションすることをおすすめします。
入居までの時間が長くなる
大規模な工事になるため設計担当とのやりとりが多くなります。また、設計3ヶ月前後+工事4ヶ月前後かかるため直ぐに住めません。
想定より費用がかかる場合がある
解体後の検証によってプラン変更することがあります。なぜなら、新築時の図面通りの建築がされていないケースが多いからです。その場合は、現状に合わせて再プランニングします。
普段は見ることができない箇所を確認できるため、腐食などの劣化を見つけることができます。特に構造部分の劣化が激しい場合は、多くの補強や補修が必要になるため、想定よりも費用が大きくなるケースもあります。
中古戸建のリノベーションが向いている人は?
中古戸建のリノベーションが向いている人は以下の点に該当する人です。
- 家に対するこだわりが強く自分の思い通りの家を作りたい
- そのための時間もある
- (持ち家の場合)愛着のある家を受け継いでいきたい
- (持ち家の場合)法律上、建替えると狭くなる可能性がある
中古戸建をリノベーションする費用相場

*上記はあくまで参考・やりたい内容や建物状態によって費用は大きく変わる
インターネットで検索すると「リノベーション費用の相場は平米単価:何万円」といった情報がありますが参考にはなりません。なぜなら、「平米単価:何万円」に至った数字の根拠がないからです。根拠があったとしても自社だけの費用相場のため比較できません。
一言でリノベーションといっても、実は「3種類」に分けられ、本来は「リノベーション種類」ごとに費用は違います。また、インターネットで検索できる相場費用は、リノベ種類を分けることなく混合しており、参考になりません。
そこで今回、一般社団法人リノベーション協議会からピックアップした30社161事例をまとめて、リノベーション費用の相場をつくりました。
もちろん「3つのリノベーション種類」ごと分類した相場表になっています。ぜひ参考にしてください。
中古戸建のリノベーション費用についてのより詳しい内容は「戸建てリノベーションの費用とは?費用相場、安く抑えるコツ、6つの事例を紹介!」をご覧ください。
「3つのリノベーション種類」の違いについては次章で詳しく解説します。
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中古戸建のリノベーションは3種類!内容や費用を解説

いっけん同じように見えるリノベーションですが、実は「表層リノベーション」「フルリノベーション」「スケルトンリノベーション」の3種類に分けられます。それぞれの特徴は以下のとおりです。
表層リノベーション | 骨組みなどの構造部分や外壁を壊さず、また床下配管など見えない箇所には手をつけず、「素材や設備交換・間取り変更…など建物の内側部分」の一部・全部を新しくします。 |
フルリノベーション | 骨組みなどの構造部分や外壁は壊さず、「床下配管などの見えない箇所」「外壁塗装・屋根・外溝…など建物の外側部分」「素材や設備交換・間取り変更…など建物の内側部分」を予算内で自由に改修します。 |
スケルトンリノベーション | 中古戸建の「スケルトンリノベーション」とは、基礎と骨組みの構造部だけ残し、それ以外を一から作り直します。 |
「どの種類のリノベーションにすべきか」はホームインスペクションを実施することで判断できます。なぜなら、インスペクションによって建物の傷み具合を確認できるため、その程度によって適したリノベーション種類がわかるからです。
ホームインスペクションとは
ホームインスペクションは、建築士や住宅診断士などの専門家が、目視等を中心とした現況把握のための検査で住宅の劣化レベルなどを診断し、客観的な立場でアドバイスをすること。
(種類1)表層リノベーション
骨組みなどの構造部分や外壁を壊さず、また床下の配管など見えない箇所には手をつけず、建物内側の表面の一部・全部を新しくするリノベーションです。
骨組みや基礎部分・見えない箇所に手をつけないため、耐震補強やインフラなどは基本的に対応しません。
また、建物外側の外壁塗装・ウッドデッキ等の外溝…などは含まれません。しかし、建物内側にある壁や床の素材・設備交換…などの「表面部分」は自由にリノベーションできます。
メリット
- リノベーション3種類の中で最も費用を抑えられる
- 比較的、工事期間が短い(2ヶ月前後)
骨組みなどの構造部分やインフラ箇所はやらず、間取りの変更や解体も最小限のため、その分、後述する「フルリノベーション」「スケルトンリノベーション」より費用を抑えられます。
また、他のリノベ種類より工事規模が小さいため、工事期間も2ヶ月前後と短いです。
デメリット
- 間取りを変えられない
- 表面は綺麗になっても見えない構造部やインフラ部がボロボロの場合がある
建物内側の表面部分しか工事をしないため、配管工事が伴う水回りの移動・壁撤去を伴う間取り変更は含まれないと考えておくと変に期待をせずにすみます。
また「格安な戸建てを買って表層リノベーションしよう」と考えているなら注意が必要です。なぜなら、相場より安い物件は見えない構造部がボロボロの場合が多いからです。
いくら表層リノベーションで見えるところが綺麗になっても、地震などで生命を脅かされてしまうのなら安心して暮らせません。それを防ぐために購入前はホームインスペクションで建物の安全性を確認しましょう。
向いているケース
- 既存の間取りのままで十分に満足な場合
- 建物状態が良好な中古戸建の場合
建物状態が良好な中古戸建で、さらに現状の間取りで満足なら、表層リノベーションで十分です。壁・床・天井素材や設備…など一新すれば、自分好みのグレードアップ空間へと生まれ変わります。
(種類2)フルリノベーション
骨組みなどの構造部分や外壁は壊さないが、「防蟻や配管などの見えない箇所」「外壁塗装・屋根・外溝…など建物の外側部分」「素材や設備交換・間取り変更…など建物の内側部分」を予算内で自由に行うリノベーションです。
大幅な間取り変更は構造的な制限があるため難しいケースがあります。とはいえ、個室の壁をとってリビングと一体化させたり、個室の大きさを変えたりといった規模なら十分に可能です。
メリット
- ちょっとした間取り変更ができる
- 床下の配管など見えない箇所も改修できる
- 屋根や外壁塗装など外側も改修できる
外壁は壊さず、骨組みなどの構造部分にも手をつけませんが、他の箇所は予算内で自由にリノベーションできます。
新しい配管に交換できるので安心。また、雨漏りしている屋根を改修することで骨組みの腐食を防げるため建物を良好な状態に保てます。さらに、外壁塗装により外から見たイメージを一新することができます。
デメリット
- 表層リノベーションより費用がかかる
- 大幅な間取り変更はできない
- 表面は綺麗になっても見えない構造部がボロボロの場合がある
表層リノベーションよりできる範囲が広いため費用はかかります。一方で、外壁の解体や骨組みなどの改修費用がかからないため「スケルトンリノベーション」より費用を抑えられます。
二世帯住宅にしたい・キッチンを2階に移動させたい…など大幅な間取り変更は構造的な制限があるためフルリノベーションの範囲ではできないと考えておくと変に期待をせずにすみます。
見えない構造部を確認せずに中古戸建を買ってしまうと「見た目は綺麗だけど中身はボロボロ」ということになりかねません。地震などで生命を脅かされてしまっては幸せに暮らすための住宅としては本末転倒です。
それを防ぐために購入前はホームインスペクションで建物の安全性を確認しましょう。
向いているケース
- 間取りを少し変えたいの場合
- 外壁塗装や屋根交換など建物の外側も改修したい場合
- 建物状態が良好な中古戸建の場合
建物状態が良好な中古戸建で、間取り変更や表層以外にも改修したい箇所があるなら、フルリノベーションがおすすめです。
優先度を明確にしながら予算配分することで、自分の暮らしにカスタマイズされた空間に生まれ変わります。
(種類3)スケルトンリノベーション
中古戸建の「スケルトンリノベーション」とは、内装や外壁をすべて壊して基礎と骨組みの構造部だけ残し、それ以外を一から作り直すことです。
メリット
- 大幅な間取り変更ができる
- 床下の配管など見えない箇所も改修できる
- 屋根や外壁塗装など外側も改修できる
- 現行法にあった耐震基準にできる
一から作り直すため、水回りの位置や二世帯住宅にするなど間取りを大幅に変更可能。新しい設備に交換、屋根や外壁を取り換え、耐震補強、配管交換、断熱性の向上など、さながら新築注文住宅のように自由な間取りと機能を備えることができます。
デメリット
- リノベーション3種類の中で最も費用がかかる
- 比較的、工事期間が長い(4ヶ月前後)
リノベーション3種類の中で最も工事規模が大きいため費用もかかります。また、他と比べて工事期間も長く、4ヶ月前後は必要となります。
向いているケース
- 大幅に間取りを変更したい場合
- 住宅機能を現状より向上させたい場合
- 法律上、建替えると狭くなる可能性がある場合
- 家族の思い出が詰まった家や大切に守ってきた建物の場合
前述したように、大幅な間取り変更したい場合、一から作り直して耐震・耐久・断熱などの住宅機能を向上させたい場合は、スケルトンリノベーションが適しています。
また、建替えると床面積が大幅に減少してしまうケースがあるため、増築を伴わないスケルトンリノベーションを選択するケースもあります。
その他、先祖代々大切に守ってきた建物であったり、たくさんの思い出が詰まっている家をバラバラにしたくないときなど、建替えよりも費用がかかったとしてもスケルトンリノベーションを選ばれるケースは少なくありません。
なぜなら、一度解体してしまったら、もう元のようには戻せないからです。このように安易に壊してはいけない建物も、きっと多いはずです。
スケルトンリノベーションについてのより詳しい解説は「戸建てスケルトンリノベーションを避けるべき3ケースと選ぶべき4ケースを簡単解説!」をご覧ください。
本章で、中古戸建リノベーションは種類によって内容も費用も違うことが分かりました。
しかし、気になるのは下記ですよね。
- 我が家はどの種類のリノベーションか?
- 我が家の場合のリノベーション費用は?
では、我が家の適したリノベーション種類が分かり、リノベーション費用概算を把握するためにはどうしたらいいのでしょうか?
それは前述した通り、ホームインスペクションを実施することです。
中古戸建をリノベーションする流れ

(*上図の赤線について)
物件決済を終えると所有権が移転して不動産は自分のものになります。そうなると、住宅ローンがスタートします。よって、不動産売買契約後は、住宅ローン本審査やローン契約の手続きを進めつつ、設計の打ち合わせを始めましょう。なぜなら時間のロスを減らすことで、「現在の家賃」と「住宅ローン支払い」の二重払い期間が短縮されて負担が小さくなるからです。一方で、売買契約時までに依頼するリノベーション会社(施工会社)を決めておかないと、時間のロスが増えて二重払い期間も長くなり負担が大きくなります。
中古戸建リノベーションの流れと失敗しないためのポイントを解説します。
中古戸建リノベーションで建物状態を良好にしたり、お洒落になるのはわかるけど、依頼方法・依頼タイミング・やるべきこと…何だかよく分からずにモヤモヤしますよね。
実は、中古戸建を買ってリノベーションする場合は「4つのステップ」に大きく分けられます。
- (STEP1)物件選び
- (STEP2)物件購入
- (STEP3)リノベーション設計
- (STEP4)リノベーション工事
*自己所有物件のリノベーションを検討している方は「STEP3 リノベーション設計」からです。
「戸建を買ってリノベーション」と「マンションを買ってリノベーション」の流れは基本的に同じです。よって本記事では、中古戸建リノベーション特有の流れを加えながらお話しします。
4ステップについて詳しく知りたい場合はこちらの記事をご覧ください。
(STEP1)中古戸建の物件選び
- 内見/事前審査/売買契約
- 期間:1週間~3ヶ月(希望物件が見つかって売買契約までは1-2週間)
STEP1のポイントは下記です。
- 物件探し前に専門家に依頼して客観的な住宅予算を算出する
- 物件探し前にパートナーとなる信頼できる不動産仲介会社を選ぶ
- インスペクションを実施するタイミングは商談後〜契約前
- 契約時に必要な手付金を準備する(最終的に売買代金に充当されます:相場は物件金額の5-10%)
プロ視点のアドバイス
契約前にインスペクションはやるべきですが、事情によって調査できない時は「新耐震基準の戸建」を選びましょう。
なぜなら、旧耐震基準は「震度5強程度の揺れでも建物が倒壊せず、破損したとしても補修することで生活が可能な構造基準として設定されている」のに対して、新耐震基準は「震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないような構造基準として設定されている」からです。(もちろん実際は個別の建物次第です)
契約はスピード勝負です。インスペクションの段取りにてこずってしまうと他の人に物件を取られる可能性もあります。また、そもそも売主許可が降りずにインスペクションができないケーズもあります。
よって、止むを得ない事情でインスペクションを実施できない場合は「新耐震基準の戸建」を選ぶことをおすすめします。
(STEP2)中戸建の物件購入
- 本審査/ローン契約/物件決済
- 期間:1ヶ月
STEP2のポイントは下記です。
- 売買契約後に設計をスタートさせて決済までに出来るだけ進めておく
- 住宅ローン審査では健康状態や借金の事実について正直に伝える
- 諸費用(物件金額の8-10%)を準備する(住宅ローンで賄うことも可能)
プロ視点のアドバイス
住宅ローン利用や不動産取得には諸費用がかかります。登録免許税、司法書士報酬、固定資産税、不動産取得税、融資手数料、保証料、火災保険料、仲介手数料…などです。トータルで物件金額の8-10%を目安とすると安心です。通常、現金で用意します。
現金がない場合は、諸費用を住宅ローンで賄うことも可能です。しかしその場合、借入金利が上がって返済総額も増えますので慎重に検討しましょう。
(STEP3)中古戸建のリノベーション設計
- ヒアリング・現場調査/プラン提案/見積もり
- 期間:2〜3ヶ月
STEP3のポイントは下記です。
- リノベーションはお任せではなく共同作業のスタンスで参加する
- 言葉では伝えられないニュアンスを共有するためのイメージ写真を集める
- プランを練り上げていく段階では無理かなと思わずに要望をすべて伝える
- 見積もり段階ではやりたいことの優先順位を明確にして予算内で調整する
プロ視点のアドバイス
リノベーションはお任せではなく共同作業のスタンスで参加することをおすすめします。なぜなら、リノベーションを成功させるためには施主の協力が必要不可欠で、お金を払ったら完璧なものが完成するというものではないからです。
スポーツジムや英会話教室と同様です。お金を払ったから筋肉が手に入るというものではなく、英語力が必ず上がるかというとそうではありません。本人の努力も最低限必要であり、リノベーションもこのようなカテゴリーに含まれます。
もちろん、実際にアイデアを出して動くのは設計担当です。一方、施主はその提案に対して「どれが良いか」、予算を超えている場合は「切り捨てる要素をどれにするか」など頭に汗をかく必要のあるタイミングは出てきます。そういった意味で、よいリノベーションを作り上げていくには共同作業というイメージを持つことが重要です。
施主のリノベーションへの関わり方についてはこちらの記事をご確認ください。
(STEP4)中古戸建のリノベーション工事
- 工事契約・工事準備/工事/検査・引き渡し
- 期間:2〜4ヶ月
STEP4のポイントは下記です。
- 施主の立場からリノベーション工事に取り組む
プロ視点のアドバイス
施主の立場からリノベーション工事に取り組みましょう。なぜなら、いくら素晴らしい施工会社であったとしても、人間が行う工事である以上はミスしてしまうこともあるからです。
共同作業のパートナーである施主として目を光らせることで「工事品質」や「近隣との摩擦を軽減する役割を果たすこと」は十分にできるはずです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
中古戸建リノベーションを成功に導く物件選びのポイント
中古戸建のリノベーションを成功させるには、物件選びが最重要です。以下のポイントを意識しましょう。
- 新耐震基準以降の建物を選ぶ
- 間取り変更できるかを確認したうえで購入する
- 建物の構造・基礎の状態を確認したうえで購入する
新耐震基準以降の建物を選ぶ
中古戸建は、新耐震基準以降の物件を選ぶのがポイントです。新耐震基準は1981年より施行されており、これ以降の建物は1981年以前よりも厳しい耐震基準をクリアしなければなりません。
先述のとおり、旧耐震基準は「震度5強程度の揺れでも建物が倒壊せず、破損したとしても補修することで生活が可能な構造基準として設定されている」のに対して、新耐震基準は「震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないような構造基準」が設定されています。
2000年以降に建てられた物件の場合、設備や断熱性においてグレードがアップしていることも多いため、その点も基準にして選択すると良いでしょう。
新耐震基準と旧耐震基準の詳細はこちらの記事をご覧ください。
間取り変更できるかを確認したうえで購入する
間取りの変更がしたい場合、中古戸建ての構造を把握したうえで選ぶことが大切です。
構造には「木造」「2×4工法」「鉄筋コンクリート造」などがありますが、間取り変更ができるかは、構造や状態によって大きく左右されます。間取りを大きく変更したい場合は木造がおすすめ。構造による違いを確認してください。
木造(在来工法) | 柱と梁で建物を支える構造が多いのが特徴。壁を抜いて大きな空間に変更するなど、間取りを変更できる自由度も高いです。 |
2×4工法(ツーバイフォー) | ツーバイフォー材を用いた住宅で、耐震性や耐火性、省エネルギー性などが高い点が特徴。一方で、壁で建物を支える構造のため、壁の大規模な撤去は制限が出やすいです。 |
鉄骨造・RC造(鉄筋コンクリート造) | 耐久性や耐震性、耐火性に優れている点が特徴。内部の壁の一部は撤去できますが、梁や構造壁は動かせません。 |
建物の構造・基礎の状態を確認したうえで購入する
中古戸建は、建物の構造・基礎の状態を確認したうえで購入することも重要なポイントです。ホームインスペクターや建築士に依頼して現地調査を行いましょう。

インスペクションをすべき理由は次の3つが挙げらるからです。
- リノベーション費用をコントロールしやすい
- 建物倒壊のリスクを減らせる
- 瑕疵保険や税金優遇の可能性がある(物件探しからの場合)
それでは、各々を詳しく見てみましょう。
【理由1】リノベーション費用をコントロールしやすい
マンションに比べて中古戸建は「今まできちんと修繕していた・修繕していない」が個人によって大きく差があります。そのため「どこを改修すべきか」が見えにくく、いざ蓋を開けてみたら費用が掛かりすぎたというケースは多いです。
しかし、インスペクションを実施することでリノベーション費用をコントロールしやすくなります。
なぜなら、あらかじめ建物状態を把握できるため「表層リノベ・フルリノベ・スケルトンリノベ」のいずれのリノベーションになるかの見当がつくからです。後になってから大幅な追加費用が必要となることを防止できます。
物件探しからの場合、「この中古戸建はリノベ費用がかかりそうだから止めておこう。」「この物件はリノベ費用も含めて予算内でおさまりそうだ。」などの判断ができます。
自宅戸建をリノベする場合、「調査の結果スケルトンになりそうだから構造部分に優先的に予算配分しよう。」「思ったより良好な状態だったので設備や間取り変更に予算配分できる。」などのコントロールがしやすくなります。
【理由2】建物倒壊のリスクを減らせる
建物倒壊のリスクを抱えている物件は多いのが現状。命を守ためにも、中古戸建の場合はインスペクションを実施しましょう。
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)の調査によると、1950年から2000年までに建てられた2階建て以下の木造在来工法住宅の9割以上が耐震性不足というデータもあるほどです。

(出典)木耐協「平成12年5月以前の木造住宅 90%超の住宅が耐震性不足」
つまり、耐震性を満たしていなかったり、骨組みなどの見えない箇所がボロボロの建物だった場合、放っておくと地震で倒壊する恐れがあるため命に関わります。
物件探しからの場合、購入する前に中古戸建をインスペクションすることで「本当に安全な建物か否か」を判断できます。もし、建物状態が悪い場合は、いくら立地や予算などの条件が良くても諦めた方がよいかもしれません。
なぜなら、生命のほうが大切だからです。もちろん予算に余裕があるのなら、スケルトンリノベーションで良好な状態の建物に生まれ変わらせることも可能です。
自宅をリノベーションする場合も同様です。もし、骨組みなどの構造部分に劣化が見られるなら、その箇所から優先的に予算配分すべきと判断ができます。
【理由3】瑕疵保険や税金優遇の可能性がある(物件探しからの場合)
物件探しからの場合は、インスペクションにより瑕疵保険の加入や税金優遇の可能性があります。インスペクションの検査で一定基準をクリアした戸建は瑕疵保険に加入できます。
瑕疵保険とは
瑕疵(かし)とは、通常想定される品質や性能を有していないこと。住宅の場合は、住宅のなかでも特に重要な構造上の主要部分や雨水漏れ防止部分などに重大な欠陥があることを意味します。瑕疵保険とは、中古住宅購入後に発生した住宅のトラブルについて保険金を支給してくれる仕組みのことです。
瑕疵保険に加入できる物件の要件は下記です。
- インスペクションで検査基準に合格する
- 新耐震基準で建築されている
- 新築時に完了検査を受けている(物件による)
物件購入者にとって瑕疵保険が有ると無いとでは安心感が違います。
また、瑕疵保険に加入できると各種減税が受けられます。
なぜなら、瑕疵保険の「保険付保証証明書」を中古住宅の取得に係る税制特例の適用を受ける際に必要となる「耐震基準を満たすことの証明書類」として利用できるからです。
下記の税制特例を受けられる可能性があります。
- 住宅ローン減税
- 登録免許税の軽減措置
- 不動産取得税の軽減措置
- 長期譲渡所得の課税の特例
- 贈与税の非課税措置
- 相続時精算課税制度の特例
上記を受けられれば「住宅購入+リノベーション」の費用負担を大きく軽減することが可能。
これまでの理由から、中古戸建を買ってリノベーションする人は「購入前に」、自宅をリノベーションする人は「設計前」にインスペクションすることをおすすめします。
zoomで聞くだけ、画面・音声OFF・セールスなし
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築35年でも大丈夫?中古物件の見極めかた
- 中古って本当に大丈夫?
- 資産性がないんじゃない?
- いつまで住めるの?
- 地震が来たら危ないのでは?
- リノベーションでどこまで綺麗になる?
そんな不安を抱える方にぴったり!安心して住める中古物件の見極め方を伝授します。
戸建リノベーション会社を選ぶときの3つの注意点
リノベーションの成否は会社選びで決まります。
なぜなら「売れれば良いと考えている会社」もあれば、「将来まで考えて提案してくれる会社」もあるからです。会社のスタンスが変われば、同じ物件だったとしても結果は大きく変わります。
特に、次の3つに注意して依頼会社を選ぶことをおすすめします。
- インスペクションを提案してくれる会社を選ぶ
- 当初の予算を超えないよう努力する会社を選ぶ
- 想定外が起きたときに逃げない会社を選ぶ
上記について、各々を詳しく見ていきましょう。
(注意点1)インスペクションを提案してくれる会社を選ぶ
あなたの将来までしっかり考えて「インスペクション」を提案してくれる会社を選びましょう。
世の中の多くの会社はインスペクションを進めません。なぜなら、検査結果によっては物件が売れなくなる可能性があるからです。また、そもそも工程が多くなるので面倒と感じる会社も多いです。
あなたにとっても、インスペクションをせずに建物状態がよくない中古戸建を契約させられ、安全を脅かされてしまっては何のためのマイホームなのか甚だ疑問です。
したがって、あなたの将来のことまで真摯に考えてくれる会社を選ぶことが大切です。
事前に、不動産仲介会社・リノベーション会社にインスペクションの考え方や実施について確認すると良いでしょう。
(注意点2)当初の予算を超えないよう努力する会社を選ぶ
当初のリノベーション予算を守る覚悟がある会社を選びましょう。
中古戸建リノベーションは、インスペクションの結果によって内容が変わったり、解体したら新築時の図面と実際の現場が違うためプランの一部見直しが必要になるケースがあります。
そのときに安全性を重視しつつ、実現したいことの優先度を明確にして予算内におさめるよう努力する会社は信用できます。
一方で、当初の予算を考慮せず、また優先度も明確にせず、想定外が起きたときに追加・追加…と費用が膨れ上がってしまうのを良しとする会社もあります。なぜなら、工事費用が膨らむのに比例して自分たちの利益も増えるからです。
そして、家づくりに熱中する施主は「一生に一度だから」と安全圏を超える追加費用を出してしまう傾向にあります。
しかし、これらのお金は降って湧いてくるものではありません。必ず、どこかにしわ寄せがいきます。引っ越したあと旅行する回数が減った、趣味にかける時間が減った…などはまさにそうです。人生を豊かにするためのマイホームが、これでは本末転倒です。
したがって、当初の予算を超えないよう努力する会社を選ぶべきです。
事前に料金体系や予算の考え方について確認するか、定額制リノベーション会社に依頼すると良いでしょう。
(注意点3)想定外が起きたときに逃げない会社を選ぶ
何か問題が発生したときに、誤魔化したり、逃げたりしない会社を選ぶべきです。
リノベーションは新築住宅と違い、今あるものに合わせて作るために対応力が必要です。
例えば、新築時の設計図(竣工図)と実際の空間が違うことがあります。工事が始まって解体しみてたら竣工図と少し異なっているため、設計担当と一緒に練り上げたプランの一部が実施できないこともあります。
もしそうなった際は、現場の状況に合わせ、応用力を効かせながら一部プラン変更することになります。
また不具合が起きたとき、責任の所在をうやむやにしたり、施主に分からないように誤魔化したりする会社もあります。
したがって、何か問題が発生したときに、誤魔化したり逃げたりせずに真正面から向き合う真摯な会社を選ぶべきです。
それらを判断するために、各社開催のイベントなどに参加して直接話を聞くことをおすすめします。ホームページでは伝わらない、会社理念やポリシー・担当した方の姿勢(ユーザー視点)…等々、生の情報を仕入れることができます。
会社選びについての詳しくはこちらの記事をご覧ください。
中古戸建リノベーションのビフォーアフター事例
実際に中古戸建をリノベーションした事例をご紹介します。
- 1983年築
- 木造2階建て
- 延べ床面積 72.04㎡(1階43.06㎡/ 2階28.98㎡)
- リノベ内容:フルリノベーション
- リノベ費用:1564万円(税別)
そのほか下記のリノベーション内容です。
- 間取り変更:小規模
- 水まわり:すべて改修・交換
- 造作:あり
- 床:無垢材フローリング
- 足場設置:あり
- 外壁塗装:あり
- サッシ:一軒全交換
- 玄関扉:交換
- 防蟻:対応
- 外溝:ウッドデッキ
それでは、写真を見てみましょう。
Before(リノベーション前)


壁と畳が古びてしまい雰囲気が暗くなった和室、狭く使い勝手の悪い玄関、野暮ったい割りに目立ってしまっている収納…等々、前住人の雰囲気が色濃く残る中古戸建でした。


中途半端な広さと形のため活用されていなかった庭、外壁や玄関なども安っぽい雰囲気を醸し出し、外側から見ても中古感たっぷりの建物でした。
After(リノベーション後)




床の間を取り払った和室は、白壁と無垢の床材によって清潔感と温かみある空間に。玄関は明るく開放感が出るように設計。収納箇所の下部に小物や花を置けるようにすることで空間を演出。


また、面積よりも広く感じることができるように、リビング(元和室)からキッチンに視界が抜けるように設計しました。


お庭はウッドデッキにして生活空間の一部として生まれ変わり活用されるように。外壁や玄関扉をブラックに統一し、スタイリッシュな風貌にリノベーションしました。
間取りの変更内容

1Fは水回りを新品にして、以前よりもキッチンを広くしました。床材は全面無垢フローリングにし、和室だったところをリビングに変更。
エントランスを使いやすいように拡大して玄関扉もデザインが良いものに交換しました。加えて、外壁をブラックに塗装して外側からの見た目も一新。さらにウッドデッキをつくりました。

2Fも和室部分を無垢フローリングに変更し、それぞれ寝室とワークスペースとして活用できるようにしました。また、板の間だったエリアをウォークインクローゼットに変更することで収納力をアップ。
この事例のリノベ内容や費用についての詳しくは、ゼロリノベのサービスページにある「戸建てリノベーション費用ページ」をご確認ください。
費用別にどんなリノベーションができるかについての詳しくは、次の記事が参考になります。
中古戸建のリノベーション費用を抑える方法
リノベーションは範囲が多岐にわたり、費用も高額になりがちです。全体の費用を抑えるために減税制度や補助金制度を有効に活用しましょう。
各制度の条件は頻繁に変更されます。よって最新情報については、「情報元」をご確認するか、直接窓口でご相談することをおすすめします。
- 住宅のリフォームに利用可能な税制特例(国土交通省)
- マイホームの取得等と所得税の税額控除(国税庁)
- バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)(国税庁)
- 借入金を利用してバリアフリー改修工事をした場合(特定増改築等住宅借入金等特別控除)(国税庁)
- 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)(国税庁)
- 住宅ローン減税(国土交通省)
- 住宅リフォーム推進協議会 リフォームの減税制度
補助金制度については各自治体によって異なります。一般社団法人住宅リフォーム推進協議会のWebサイトで確認できます。
まとめ
中古戸建のリノベーションは、自分の思い通りの家を作りたい人におすすめです。方法や構造の種類によってできる範囲が異なるため、自分たちのニーズを叶えられる方法を選択しましょう。
また、中古戸建を購入する際は、あとで後悔しないよう、建物の構造・基礎の状態を確認したうえで購入することも重要なポイント。
中古戸建を買ってリノベーションする人は「購入前に」、自宅をリノベーションする人は「設計前」にインスペクションを行いましょう
関連:中古マンションのリノベーションについて詳しく説明している記事
中古戸建のリノベーションに関するよくある質問
- 中古物件をリノベーションするメリット・デメリットは?
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中古戸建をリノベーションするメリットは以下の点が挙げられます。
- 自由度の高い家を作ることが可能
- 建築プロセスを確認できる
- 愛着のある家を大切に受け継げる
中古戸建をリノベーションするデメリットは以下の点が挙げられます。
- 建物状態が悪い場合がある
- 入居までの時間が長くなる
- 想定より費用がかかる場合がある
戸建て物件をリノベーションするメリット・デメリットの詳細に関してはこちらの記事もご覧ください。
- 中古戸建てのリノベーションで使える補助金は?
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中古戸建のリノベーションの補助金はバリアフリーや省エネ性能向上など多岐にわたります。補助金制度については各自治体によって異なります。最新の情報は、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会のWebサイトでご確認ください。