中古住宅の築年数の狙い目は何年頃?購入時のポイントと事例
中古住宅の購入を検討している人のなかには「築年数は何年ぐらいが狙い目なの?」と考えている人もいるのではないでしょうか。確かに築古すぎると耐震性が心配ですし、かといって築浅は価格が高くなってしまいますよね。
ゼロリノベでは、耐震性や機能性の心配が少なく、しかもお手頃に購入できる築年数は20年〜25年と考えています。今回は、築20〜25年の中古住宅をおすすめする理由を解説します。
あわせて
- 築20〜25年の中古住宅を購入する際のポイント
- 築20〜25年の中古住宅のリノベーション事例
もご紹介しますので、ぜひご参考にしてみてくださいね。
中古住宅の狙い目の築年数は?
中古住宅を購入するときには築年数が気になりますが、狙い目の築年数はあるのでしょうか?ここでは、中古住宅の購入に際して狙うべき築年数の目安を、理由とあわせて紹介します。
1-1.中古住宅の狙い目の築年数の目安
中古住宅の狙い目の築年数は、20〜25年です。
理由は、築20〜25年の中古住宅は、耐震性や住宅性能など物件の状態、コストパフォーマンスを考えると、総合的に高く評価できるためです。
築年数20〜25年の中古住宅が狙い目と考えられる詳しい理由を、戸建てとマンションに分けて解説します。
1-2.築年数20〜25年の中古住宅が狙い目である理由
築年数20〜25年の戸建て住宅とマンションが狙い目とされるのには、以下のような理由があります。
1-2-1. 戸建ての場合
中古戸建ての場合は、
- 価格面
- 耐震面や住宅性能
の観点から、2000年以降の中古住宅をおすすめしています。
戸建て住宅は、築20年で建物価値がほぼ0円と評価され、土地代のみの価格となります。そのため、築20年頃を境に価格が下げ止まる傾向にあります。
下表は、東日本不動産流通機構(REINS)が2022(令和4)年2月25日に発表した「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)」から抜粋した、中古戸建住宅の築年帯別平均価格です。
築30年と築31年以降では、500万円程度しか下がっていないのがわかります。築30年以降の物件には築40年、50年といった物件も含まれていることを考えると、下げ幅は小さいといえます。
さらに戸建て住宅については、2000年以降に建てられた物件は、
- 現行の耐震基準に沿っている
- 住宅性能表示制度が施行されたことで住宅性能が改善されている
こともポイントです。
現行の耐震基準:1981年の新耐震基準(震度6強の地震で倒れない)を踏襲し、2000年に、さらに壁の配置バランスや接合金具の使用など、木造住宅の基準を強化したもの 住宅品質確保促進法(品確法):住宅品質確保法とも呼ばれ、住宅維持に影響を与える構造の瑕疵について、事業者が引き渡しから10年間責任を負うと定めた法律 |
2000年以前の住宅の場合、耐震や断熱が不十分だったり、見えない部分の劣化が進んでいたりする可能性があります。そのため場合によっては想定以上にリフォーム費用が大きくなることも考えられます。
戸建ての場合、物件の状態は築年数だけでは判断できません。そのためとくに2000年以前に建てられた築古の物件については、専門家によるインスペクションを実施することが重要です。
インスペクション:住宅に精通した建築士など専門家が、第三者的立場でおこなう住宅診断のこと |
1-2-2. マンションの場合
続いて同じくREINSの調査結果から、「中古マンションの築年数と成約価格」を見てみましょう。
中古マンションについては、築年数25年を境に価格が安定し、資産価値が大きく目減りしないことがわかります。
マンションの場合、耐震性や躯体の劣化など安全性に影響するハード面は共用部分にあたるため、購入後に個人による改修工事は必要ありません。そのため、間取りやデザインの変更など、やりたいリノベーションにお金を使えるのがメリットです。
また、住宅は駅前や商業エリアなど立地条件が良い場所から開発が進むため、戸建て・マンションにかかわらず築浅の物件よりも築年数が20〜25年の物件のほうが、好立地の物件を見つけやすいのもポイントです。
築年数20~25年の中古住宅を購入する際のポイント
築20〜25年の中古住宅を購入する場合、押さえておくべきポイントがあります。
一般的なポイントと、リノベーション前提で購入する場合のポイントを、それぞれ5つずつご紹介します。
2-1.一般的な購入時の5つのポイント
リノベーションする・しないにかかわらず、中古物件購入時に押さえておくべきポイントは以下の5つです。
順番に解説します。
2-1-1.中古住宅で譲れない条件や優先順位を明確にしておく
中古住宅の購入において、希望の条件をすべて満たす物件を見つけるのは困難です。そのため購入に際しては、エリアや間取り、価格などについて譲りたくない条件を挙げ、さらに優先順位をつけておくことが大切です。
たとえば、駅近を優先する代わりに間取りは2DKまでは妥協する、物件価格は3,000万円としエリアは勤務先から1時間までは許容するなど、絶対に譲れない条件を具体的に決め、なにを、どこまでなら妥協できるのかを考えておきましょう。そうすることで、物件を比較するときに判断しやすくなります。
2-1-2.周辺環境や眺望など、変えられない部分を中心に確認しておく
候補となる物件が見つかり内覧する際には、周辺環境や眺望などを中心に確認することが大切です。内外装の劣化や間取りについては購入後リノベーションで良くすることができますが、周辺環境や眺望などは自分たちで変えることはできないためです。
たとえば購入して住み始めてから、近くの小学校の校内放送がうるさいと気がつくことがあります。下見したときには駅から徒歩10分だったけれども、実際の通勤時間は踏切がなかなか上がらず20分かかることも。そのようなことにあとから気づいても、容易に買い替えることはできません。
購入を前向きに検討する物件は、実際に住むことを想定し、複数の時間帯や曜日で何度か訪問し、確認しておくことをおすすめします。
2-1-3.中古住宅の売却理由を確認しておく
中古物件の購入時には、売主が手放す理由も確認しておきましょう。近隣トラブルなどが原因で売却された場合には、購入後に自身が影響を受ける可能性があるためです。
マンションであれば、エントランスの張り紙を見ることでどのような住人が住んでいるか雰囲気がわかる可能性があります。「ゴミ出しのルールは厳守してください」「共用廊下に私物を出さないでください」など注意が多ければ、住人のマナーが悪い可能性があります。
周辺環境と異なり、トラブルは目に見えないため確認が難しいものです。少しでも問題があると感じたときには、しっかりと確認しておきましょう。
2-1-4.戸建ての場合は、インスペクションなど専門家に中古住宅の状態を確認してもらう
中古一戸建ての購入を検討している場合は、ホームインスペクションを受け専門家に物件の状態を確認してもらうことを検討しましょう。戸建て住宅の劣化状態は、専門家でなければ判別しにくいためです。
たとえば内見時には、家の内装・外装の状態はある程度確認できますが、外壁・内装のひび割れやシミなどが問題のあるものか判断するのは困難です。またもっとも気になる床下や天井裏の状態を、確認するチャンスはありません。
物件の劣化状態を正しく把握せずに購入すると、後悔する結果につながるおそれがあります。多少の費用をかけてでも、専門家のチェックを受けるのがおすすめです。
ホームインスペクション:建築士など住宅の専門家が、物件の不具合や修繕が必要な箇所を調査する住宅診断のこと |
2-1-5.マンションの場合は、購入前に物件の管理状態を確認する
マンションでは、建物自体のメンテナンスや管理は管理組合が中心となりおこなっています。
そのため購入前に管理規約や長期修繕計画を取り寄せ、物件の管理状態を確認することが重要です。まずは長期修繕計画が予定通りに進んでいるか、過去にどのような修繕がおこなわれたのかチェックしましょう。
また修繕計画が定期的に見直されているか、修繕積立金がきちんと積み立てられているかも重要な確認ポイントです。管理組合の総会の議事録には、決算報告が記載されているため、そちらも確認して未収金がないか、滞納者がいないかなどまでチェックできると安心です。
なお、これらの資料を読み取るには、不動産と建物の両方の知識が必要です。不動産仲介会社だけでなく、リノベーション会社にも資料を見てもらい、理想の住まいを実現できる物件であるか確認してもらいましょう。
ワンストップリノベーション会社であれば、両方の視点から一度にチェックしてもらえるのでおすすめです。
2-2.リノベーションを踏まえた場合の購入時の5つのポイント
リノベーションを前提に物件を購入する際のポイントは、以下の5つです。
順番に確認しましょう。
2-2-1.リノベーションの工事費用を考慮して予算を立てる
リノベーションを前提として中古住宅を購入するときには、物件の購入費だけでなくリノベーションする費用も計算に入れて、トータルの予算を立てることが大切です。物件購入に費用をかけ過ぎてしまうと、希望のリノベーションを実現できなくなる可能性があるためです。
とくに住宅の構造や状況によっては、リノベーションの費用が高額になる恐れがあります。事前に工事業者に物件を見てもらい、リノベーションにどのぐらいの予算確保が必要か見積もりを取得するとよいでしょう。
物件費用とあわせて予算合計を超える場合には、リノベーションの規模や設備・建材のグレードを調整することで、予算を抑えられないか業者に相談してみるとよいでしょう。
2-2-2.修繕履歴を確認しておく
マンションであればこれまでの修繕記録を、戸建てについては住宅のどの部分を修繕したのかを売主に確認しましょう。修繕記録を確認することで、問題が生じている箇所を判別しやすくなるためです。
問題がある場所がわかれば、購入後にリフォームやリノベーションをおこなう際の参考になります。構造や基礎など建物の強度や耐久性に影響が大きい場所で繰り返し修繕がおこなわれている場合は、購入を見送ることも検討しましょう。
2-2-3.リノベーションを見越してシミュレーションしておく
中古住宅の購入時には、リノベーションのイメージを固めておくことも重要です。物件購入後はすぐに住宅ローンの返済が始まるので、できるだけ工事を早く開始しないと現在の賃貸の家賃とダブルの支払いが発生してしまうためです。
とくに物件とリフォーム費用をあわせて借り入れるリフォーム一体型住宅ローンの利用を検討する場合には、住宅ローンの事前審査の時点で概算見積もりが必要になる点に注意が必要です。
2-2-4.希望のリノベーションができそうか、物件購入前にプロに見てもらう
住宅には、構造的に動かせない壁や柱があります。そのため中古住宅の購入時には、契約する前に希望のリノベーションができるかどうかをプロに見てもらうことも重要です。
実際に壁や床を取り払わないとわからないこともありますが、間取り変更の範囲やできることなどはある程度把握が可能です。
とくに中古マンションの場合は、管理規約などで物件独自の制限がもうけられている場合もあります。その内容とあわせ、リノベーションが可能な範囲を、プロに確認してもらっておくと安心です。
2-2-5.ワンストップリノベーション会社への依頼がスムーズ
リノベーションを前提に中古物件を購入する場合は、予算立てから物件選び、住宅ローンの審査のサポート、実際のリノベーション工事まで、一貫して依頼できるワンストップリノベーション会社を利用するとスムーズです。
不動産会社とリノベーション会社が分かれていると、それぞれの考えが異なることから物件価格とリノベーション費用のバランスを取るのが難しくなるからです。
ワンストップリノベーション会社であれば、物件購入とリノベーションをトータルで考えた適切な予算を立ててもらえます。
また、住宅ローンを申し込む際に必要な書類をスムーズに用意してもらえるのもメリットです。買付申し込みが早くても、実際の買付は最初に事前審査を取った人が優先されるのが実情です。
書類の準備をしている間に希望の物件を取り逃がしてしまう心配を減らせることは、ワンストップリノベーション会社を利用する大きなメリットといえるでしょう。
築年数20~25年の中古住宅のリノベーション事例3選
ここからは、築年数20〜25年の中古住宅の実際のリノベーション事例3選をご紹介します。
3-1.天井を上げて広々。デザインも一新!
まずは、1998年に建築されたマンションのリノベーション事例をご紹介します。
<リノベーション前>
築古の住宅は、天井が低くて圧迫感がある、使いづらい押し入れがあるなど、現代のライフスタイルと合わないケースが少なくありません。デザインもなんとなく昭和で、古ぼけた印象があるのも特徴です。
<リノベーション後>
既存の壁や床、天井をすべて撤去したうえで、新しく間取りから構築するフルリノベーションを実施。天井を張らずに高さを出し、細かく区切られた間取りを変更して大きなLDKにすることで、開放感のある新居に生まれ変わりました。
この事例の詳細は、こちらからご覧いただけます。
3-2.二重サッシで音の問題を解決!リノベーションで課題をクリアした事例
1997年に建てられた3LD+Kのマンションを、1LDKにフルリノベーションした事例です。
<リノベーション前>
65㎡の住戸が細かに区切られていたので、実際よりも狭く見えていました。
<リノベーション後>
フルリノベーションで和室との間の壁を撤去し、キッチン、リビングダイニング、和室を開放的なワンフロアーに変更。線路が近く音が気になる点は、二重サッシにすることで課題を解決しました。
中古住宅が抱える問題は、リノベーションの工夫によって解消できるものも少なくありません。そのためには、経験と実績が豊富で提案力のあるリノベーション会社選びが大切です。
この事例の詳細は、こちらからご覧いただけます。
3-3.個性的な間取りの特徴を活かしてリノベーション!回遊性のある住戸に
こちらはとても個性的な間取りのマンションの住戸を、特徴を活かして回遊性の高い間取りへとリノベーションした事例です。
<リノベーション前>
リノベーション前は、約13帖のLDを中心に3つの個室が独立した連続性のない間取りとなっていました。
<リノベーション後>
リノベーションでは廊下を撤去しLDKと空間をつなげ、玄関からリビングまでに連続性を持たせました。リビングまでの道のりにはウォークスルークローゼットやワーキングスペースを設置。空間をムダなく活用すると同時に、回遊性を高める工夫がされています。
中古物件は一点ものなので、場所はよくても間取りが…といったケースもあります。そのようなときでも、さまざまなアイデアや工夫で理想的な空間を生み出すことができるのが、リノベーションの魅力です。
この事例の詳細は、こちらからご覧いただけます。
まとめ
中古住宅を購入するのであれば、耐震性や住宅性能が比較的高いのにもかかわらず、価格が下げ止まるためお手頃に購入できる築20〜25年の物件が狙い目です。
しかし中古物件は、それまでどのように管理されてきたかが重要です。また課題を抱えた物件であっても、工夫することで解消できることも少なくありません。
そのため築年数だけにとらわれすぎず、物件の状態を正確に把握できるパートナー選びが重要です。
ゼロリノベは長く住んでいくための中古物件選びはもちろん、予算立てからリノベーションまでワンストップで手掛けています。中古物件それぞれの状態を見極め、必要な修繕の有無を把握し、理想の暮らしを叶えるリノベーションのご提案が可能です。
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