=ゼロリノベ×STAUB=[設計×調理器具のプロ]が届けるウェルビーイング・キッチン<後編>

キッチンは、つくる・集う・飾る・しまうといった複数の要素が詰まった場。それゆえ、使いやすく整えることが難しい場所でもあります。
ここでは、心地よく、楽しく、幸せを感じるキッチンを “ウェルビーイング・キッチン”と定義。幸福学で幸福度が上がるといわれる「4つの因子」(※)に着目し、その幸せ因子を育むキッチン環境のアイデアを、空間設計と調理器具のプロに聞きました。
※「幸せのメカニズム」前野隆司著より
ー空間設計のプロー
ゼロリノベ
西村一宏
groove agent取締役。一級建築士。住まい手自身が気づいていない “真なる要望” を探り当て、その人の個性が光る住まいを手がけるゼロリノベのリノベーション設計・施工責任者
ー調理器具のプロー
ツヴィリング J.A. ヘンケルス ジャパン
土方明子さん
マーケティング本部長。STAUB(ストウブ)の鍋で手間をかけずにおいしくできる料理を日々、楽しんでいる。高校生の長女がお菓子や夕食をつくってくれることも
ツヴィリング J.A. ヘンケルス、STAUB(ストウブ)について
約300年前にドイツで誕生したツヴィリングは、フランスのストウブを始めとする各国のキッチンウェアブランドを迎え入れて世界の食文化を体現。和洋中と多様な料理が並ぶ日本の食卓を、ハイクオリティな機能性と美しく多彩なラインナップで支えている
ツヴィリング J.A. ヘンケルス公式ホームページ:https://www.zwilling.com/jp/
STAUB(ストウブ)公式ホームページ:https://www.zwilling.com/jp/staub/
STAUB(ストウブ)公式インスタグラム:https://www.instagram.com/staub_japan/
準備や片付けが苦手でも大丈夫だと思える「なんとかなる因子」
——忙しい朝や疲れている仕事帰りに、キッチンに立ったり、献立を考えたりすることがめんどうだと感じる人は少なくありません。そんな時、「とにかくやらねば」と思うより、「なんとかなるさ」と思えるほうが幸福度は上がります。それくらい心が軽くなるキッチン環境にするには、どうしたら良いのでしょう。
西村 “作業の効率化” がキーワードになりそうです。めんどうだと感じることを減らせば「これくらいの手間ならなんとかなる」と思えるのではないでしょうか。キッチンは物の出し入れが多く、手間数を左右するのが収納。どんな物が必要でどう使いたいかわかっている人は、使い勝手に合わせた造作キッチンをつくると快適になります。

あまりこだわりがない人は、造り込まず必要最小限のスペックにしたほうが融通が効きます。その上で、物を一括管理できるパントリーをプラス。半畳分の広さでも、床から天井まで収納にするとかなりの容量になるので、片付けが苦手でもそこにあらかた隠せて作業スペースをスッキリ保てます。
土方 どこに何をしまうかは人によって違うし、しまいこむと使わなくなることもあるから難しいですよね。
西村 そうなんです。たくさん調理器具を持っていても、結局、同じ物しか使わないことも少なくない。だから、一軍で使う物の定位置を優先して決めていくといいでしょう。

土方 その一軍にはぜひ “多用途に使えて日常的に必要なアイテム” を選んでほしいですね。アボカドカッターのように用途が限定的な専用器具は、出番が少ないから収納の奥で眠ったままになりがち。複数の機能を兼ね備えた物なら、物の数を減らせてキッチンがスッキリするし、直感的に手に取りやすく作業効率も上がります。
西村 おすすめの物はありますか?
土方 「クラシック料理バサミ」は肉や袋を切るだけでなく、歯が細いので鶏肉の余計な脂肪をカットするのも包丁よりラクですね。グリップ部分は瓶と缶のオープナーとしても使えますし、栓抜きにもなります。
包丁を収納する「ナイフブロック」もおすすめ。カウンターの上に置いておくと、料理したい時にすぐ包丁を握れます。扉を開けて中から取り出して扉を締めるという開閉のひと手間がなくなって「こんなにも解放された!」と、驚かれる方が多いんですよ。

西村 空間設計でも、ひと手間の効率化を考え抜くことで快適性を後押ししています。スイッチやコンセント一つとっても、場所、高さ、数などは暮らしによって違いますから。手元ですぐ作業ができるか、一歩動かないといけないかといったプチストレスの有無で、知らず知らずに意識がポジティブにもネガティブにも変わります。
土方 鍋も、毎日使うオールラウンダーの物があるなら、コンロ脇に出しっぱなしにしておくと楽ですよ。出し入れの手間がありません。
西村 収納しないで出したままにするのは発想の転換ですね。ゼロリノベのお客様でもそういう方が増えています。僕の家でも鉄瓶のアドレスはコンロの上になりました(笑)。それにはデザイン性も重要だと感じます。

土方 ヨーロッパでは “from the hob to the table(コンロからテーブルへ)” という、料理を鍋に入れたまま食卓へ出すスタイルがあります。温かいまま提供できて、洗い物を減らせるのがメリット。さらに、食器代わりに使えるデザイン性も備えていれば、食卓が華やぎます。
料理も同様、材料を入れて蓋をしておくだけでおいしくできれば、つきっきりでなくてもいいので気軽です。手をかけなくても料理が上手にできる。テーブルコーディネートしなくても食卓が華やぐ。それなら、忙しくても「なんとかなる」という自信につながりそうです。
西村 作業効率の観点では動線も大事。キッチンでは、買ってきた食材を運ぶ作業や、洗濯などの家事と同時進行で行うことも考えて、玄関・水まわりとの動線や回遊性を意識して設計します。もちろん、ダイニングとの短動線も欠かせません。
土方 ダイニングまでの距離が短いと、キッチンの延長線として使いやすそうですね。お客様の中には「XTEND」というコードレス家電シリーズを使って、ダイニングテーブルで親子一緒にケーキづくりをする方もいらっしゃいます。
西村 ダイニングがキッチンの作業スペース代わりになるのは頼もしいですね!


土方 台所仕事は食材の後片付けも負担の一つですが、真空保存ができる「フレッシュ&セーブ」も家事を軽減するアイテム。この容器やバッグに入れた食材は、真空でない場合と比べて鮮度が最大5倍長持ちします。
西村 それなら買い物も週に1度で済みそう! 忙しくても「なんとかなる」の後押しになりますね。

心地よい空間で自分らしくいられる「ありのままに因子」
——好きなものに囲まれた環境や居心地のいい空間は「ありのまま」の自分でいられて、幸福度が上がるようです。そんなキッチンを実現するためには、何を意識すると良いのでしょうか。
西村 好きな物やしたいことがわかっていると、自分らしい環境をつくりやすいと思います。キッチンは料理をするだけでなく、物を飾って眺める人もいれば、隠したい人もいる。料理本を読んだり、お茶をしたり、書き物をしたりと、プラスアルファの過ごし方を楽しむ人もいる。
リノベや引越しで新居へ移るなら、これからの暮らしではこうしたい、という思いもあるかもしれません。そういう思いを「ありのまま」に表現できる空間を、じっくり思い描いてほしいですね。
土方 ここのキッチンは、オープン棚にお施主様らしさを感じます。

西村 間接照明を埋め込んで、物と壁面タイルを印象的に見せています。ここまでつくり込めるのはこだわりあればこそ。LDKのフォーカルポイントにもなっています。
土方 すき間に「フレッシュ&セーブ キューブ」の容器を置かせてもらいました。
西村 実用品ながらも絵になっていますね。デザイン性があると表に出して置きたくなるし、表にある物がその人の個性を映し出すと思います。

西村 「ありのまま」にいられる心地よさという点では、この住まいならキッチン裏の水まわりへ続く通路がまさに肝。一見、不要に思えても、料理の合間に椅子に座って休んだり、お子さんを膝に乗せて絵本を読んだりされているそうで。ここには “ムダの豊かさ”がギュッと詰まっている。この先、家族の成長とともに変わりゆく暮らしを、こういう場がおおらかに受け止めていくような気がします。

土方 長く寄り添ってくれる空間づくりは大事ですね。実は道具も、いい物を長く使うほうがいい。なぜなら、中途半端な物を買うと満足できなくなったり、性能が落ちたりするからです。いずれ料理の腕が上がるので、到達するゴールにふさわしいアイテムを最初に用意しておくと、後々無駄な買い直しをしなくて済みます。

包丁ならツヴィリングの「シャープニングサービス」を利用してもらえると、プロのメンテナンスで新品同様の切れ味になって戻ってくるので長く愛用できます。
西村 それは戻ってきたときに愛着が一層深まりますね! メンテナンスによって新品同様になるのは、中古物件のリノベーションに似ています。
新品がいいと思っている人は多いと思いますが、幸せを感じるポイントは新しいことにあるのではなく、物や空間との間に横たわるストーリーにあるように感じます。長く使っているお気に入りの鍋、子どもの身長を刻んだ家の柱、そういう物が20年前の写真に写り込んでいるのを見つけたら、一緒に暮らしてきた時間やストーリーを実感して心がふわっと温かくなるという……。

土方 わかります。ストウブは代々受け継がれているケースも多いですし、そこには家族だけの物語があると思います。
一方で、ライフスタイルの変化によって、この鍋はもう使わないかな、という場合にはリユースできるサービス「STAUB 2nd Life」もあります。大事に使った物を、大事にしてくれる別の誰かにお譲りできる。そんな仕組みなので心置きなく自分に合った暮らしへスイッチできます。
西村 中古リノベも、ずっと住み続けるかわからない人には、次の暮らしへ進む未来も考慮して、リリースできる物件選びをおすすめします。
ただ、どんな方にもやはり住まいは自分らしく楽しめる箱であって欲しい。だからこそ設計で大事にしているのは、さまざまな条件を受け入れた上での良い塩梅。広ければいい、物が多ければ豊か、という考えとは対極にある、その人が「ありのまま」でいられるフィット感をつくることです。「そこにいるだけで幸せ」。そう思える空間・物との関係を見つけてほしいと思います。

【お客様インタビュー】対談の舞台となったF様邸のウェルビーイングなキッチンライフ
撮影場所として自邸を提供してくれたFさん夫妻。リノベを通して手に入れたキッチンの新たな楽しみ方について聞きました

リノベを機に古くなった鍋や包丁などの調理器具を買い替えました。一生使える物を揃えると料理の幅が広がるし、気分が上がります。
キッチンは念願のビッグアイランドに。カウンターと一体型にしたことで、家族はもちろん、友人たちとも一緒に料理を作ったり、オーブンから出してその場で食べたり。ホームパーティーを思う存分楽しめるようになりました。味噌づくり教室を始めてみようと思えたのも、この環境あればこそです。
オープンな空間だから子どもも興味を示すようになり、自分でエプロンをして果物をカットする姿も見られるように。不思議な料理が誕生することもありますが、クリエイティブだなってほほえましく見ています。
キッチンは使っていない時もわが家の主役。側面にあしらった珍しい凹凸のリブ板やアールをつけたデザインを見ているだけでうれしくなりますね。
【体験レビュー】商品のお気に入りポイントを教えてもらいました
フレッシュ&セーブ

XTEND

構成・取材・文/樋口由香里 撮影/相馬ミナ 協力/ツヴィリング J.A. ヘンケルス








