おしゃれなモルタル床の実例12選|テイスト・シーン別に学ぶインテリアコーディネート術

コンクリート調の無機質な表情が人気のモルタル床。
冷たい印象を持たれがちですが、実は木材やファブリックとの相性も良く、さまざまなインテリアスタイルにフィットする床材です。
最近では、リビングやキッチンなどメインの空間から、玄関や洗面室など一部アクセントとして取り入れる事例も増え、リノベーションや注文住宅で注目されています。
本記事では、モルタル床の基礎知識から、インテリアテイスト・シーン別のおしゃれな実例12選、さらにひび割れ・滑りやすさなど気になるポイントへの対策まで、幅広くご紹介します。
モルタルの取り入れ方に迷っている方へ、暮らしに取り入れる際のヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
モルタル床とは?
「モルタル」とは、セメント・砂・水を混ぜ合わせた建材で、床や壁、外構など幅広い用途で使われてきました。建築では古くからある素材ですが、最近ではその無機質でミニマルな表情が評価され、住空間にも多く取り入れられるようになっています。
モルタル床は左官仕上げでつくられるため、継ぎ目がなく滑らかな仕上がりが特徴です。タイルやフローリングとは異なり、空間に一体感と開放感を与えてくれます。
どんな場所に使われる?
モルタル床は、さまざまな空間で活用されています。
- 玄関や土間収納:汚れに強く、ラフな雰囲気を演出
- 洗面室やトイレ:水廻りでも安心して使える耐久性
- LDK全体:モダンな印象に仕上げたい空間に人気
- キッチンやパントリー:機能性とデザイン性を両立
最近では、リノベーションでフローリングとの切り替えによるゾーニングや、アクセントとして部分的に取り入れる使い方も増えており、デザインの幅も広がっています。
色や仕上げも自由に選べる
モルタルと聞くと、”グレー一色”のイメージがあるかもしれませんが、実際には仕上げによって表情や色味も多彩です。
- クールでスタイリッシュなグレートーン
- 柔らかくナチュラルなベージュトーン
- つや感のあるコーティング仕上げ
- マットな刷毛仕上げ など
インテリアスタイルや用途に応じて、雰囲気を大きく変えられるのもモルタル床の魅力です。
モルタル床のメリット・デメリット
モルタル床は見た目のデザイン性だけではなく、機能面でも多くの魅力を持つ素材です。その一方で、暮らしの中で気になるポイントもいくつかあります。
実際に取り入れる前に、メリット・デメリットの両面をしっかりと理解しておくことが大切です。
モルタル床のメリット
無機質でスタイリッシュな質感
塗り仕上げならではのなめらかな表情が、空間に上質な雰囲気をプラスします。グレーを基調としたカラーは、インテリアのジャンルを問わず馴染みやすいのも特徴です。
継ぎ目が少なく掃除がしやすい
タイルのような目地がなく、ゴミがたまりにくいのもモルタル床のメリットです。特にキッチンや玄関など、汚れやすい場所にも適しています。
経年変化を楽しめる素材感
使い込むうちに少しずつ表情が変わっていくのも魅力のひとつ。年月とともに味わいが増していくため、住まいに個性が出ます。
自然素材や異素材との相性が良い
木材・アイアン・ファブリックなど、どんな素材とも調和しやすいため、ナチュラルからインダストリアルまで幅広いインテリアに合わせられます。
モルタル床のデメリット・注意点
ひび割れ(クラック)が起きやすい
素材の特性上、感想や振動により細かいひび割れが生じることがあります。構造上の問題ではありませんが、気になる方は施工時の対策や仕上げ方法を検討しましょう。
冬場は冷たく感じやすい
熱を伝えやすい素材のため、床がひんやりと冷たく感じることがあります。特に寒冷地や冬場には床暖房の併用が効果的です。ラグやスリッパを活用するなど、冷たさを和らげる工夫も必要になります。
表面が滑りやすい場合がある
仕上げの種類によっては、水濡れ時に滑りやすくなることもあります。滑り止め加工やマットの活用が効果的です。
フローリングに比べて硬く、衝撃に弱い
モルタル床はクッション性がないため、落とした食器が割れやすいというデメリットがあります。また、小さなお子さまが転倒した際にケガをしやすい可能性もあるため、使用エリアや使い方を考慮した計画が重要です。
汚れが目立ちやすい場合も
グレー系であっても皮脂や水ジミなどの汚れが見えることがあります。撥水コーティングなどで、日々のお手入れを軽減できます。
モルタル床 実例12選|インテリアスタイル別&暮らしの活用例
無機質で洗練された印象が魅力の「モルタル床」。近年では、リノベーションや注文住宅で取り入れられることが増え、北欧モダンやインダストリアルなど、さまざまなテイストと組み合わせた実例が注目を集めています。
一方で、見た目のおしゃれさだけではなく、「ひび割れしやすい?」「冬は冷たい?」「掃除は簡単?」といった気になる点も多く、取り入れる前には特徴をきちんと把握しておくことが大切です。
ここでは、インテリア4スタイルでの活用実例、さらにテラスや書斎など暮らしのシーンに合わせた3つの活用例をご紹介します。
①北欧モダン×モルタル床
実例1 造作キッチン×モルタル



ゼロリノベのリノベーション施工事例
飲食関係の職に就く施主様が快適に、そして視覚的にも楽しめるキッチンをお部屋の主役に。床の段差やベンチにRを設えることで、凛々しい空間にやさしさをプラスしました。気持ちを引き締めたいときも、ひと息つきたいときも、カフェの名脇役が似合うお部屋です。
※費用は引き渡し当時の金額です
実例2 作業とくつろぎ空間の切り替え



ゼロリノベのリノベーション施工事例
仕事と日常をゆるやかにつなぐ「奥行き」のある住まい。玄関を開けると地続きで広がる土間空間には、仕事や家事の舞台となる大きなセンターテーブルを造作。土間を抜け履物を脱いで上がれば、くつろぎの場であるリビングへ。生活に奥行きが生まれる空間を目指しました。
※費用は引き渡し当時の金額です
②インダストリアル・ヴィンテージ×モルタル床
実例3 趣味を楽しむ空間に



ゼロリノベのリノベーション施工事例
施主様のリクエストは”土間のあるインダストリアルな空間”。アウトドア用品の収納やDIYができる空間として、玄関土間にアトリエを設けました。家族が増えても柔軟に対応できるゆとりを残した住まいに、施主様お手製のダイニングテーブルやテレビボードが並びます。
※費用は引き渡し当時の金額です
実例4 光と風が回る大空間ワンルーム



ゼロリノベのリノベーション施工事例
好きなものに囲まれる、愛猫との暮らし。光と風が回る大空間のワンルームに、効果的に造作家具を配することで、掃除しやすく散らからないお部屋を実現しました。ヘリンボーン床の生活空間を囲むように土間が巡り、広さと余白の中に暮らしのリズムを生み出しています。
※費用は引き渡し当時の金額です
③ナチュラル×モルタル床
実例5 余白で柔らかい印象を



ゼロリノベのリノベーション施工事例
大胆な土間リビングに、斜めの段差にかかる造作ベンチ……このお部屋には、気分によって変えられる居場所がたくさん。LDKとそれ以外を分けるシンプルな間取りにあるのは、「ゆらぐ」物事に寄り添う余白。優しさと爽やかさを感じる素材使いで、懐深く暮らしの景色を包みます。
※費用は引き渡し当時の金額です
実例6 眺望を楽しむ住まい



ゼロリノベのリノベーション施工事例
動線がよく眺望を活かした住まいを希望されたKさまご夫婦。思い切ってリビングを北側に移動し、見晴らしがよくバルコニーで遊ぶ子どもを見守れるLDKになりました。キッチンから書斎は土間で繋げ回遊できる動線に。塗装は施主様のDIYで愛着のある住まいになりました。
※費用は引き渡し当時の金額です
④シンプルモダン×モルタル床
実例7 ディスプレイのように魅せる



ゼロリノベのリノベーション施工事例
白とグレー、ステンレスを基調にした大空間ワンルームにあるのは、レイアウト変更を楽しみながら暮らすための余白。アパレルのお仕事に就くご夫婦の衣服はディスプレイのように魅せつつ、雑多なものを隠すための収納もしっかり確保。洗練された、生活感のない住まいが実現しました。
※費用は引き渡し当時の金額です
実例8 シンプルにすることで小物や家具を楽しむ



ゼロリノベのリノベーション施工事例
夫婦でオンとオフの時間を心地よく過ごせるよう、素材や床段差の切り替えで空間を緩くゾーニング。物件特性のルーバー天井と遊び心あるインテリアを引き立たせるため、動線計画はシンプルに、仕上げや素材はミニマルにしました。小上がりは気分転換にぴったりの居場所に。
※費用は引き渡し当時の金額です

モルタル床はテイストごとにまったく異なる印象をつくり出すことができます。
⑤暮らしにフィットするシーン別実例4選
実例:インナーテラスとしての活用
室内にいながら屋外のような開放感を楽しめる「インナーテラス」。モルタル床を採用することで、植物を置いたり、腰を掛けてひと息ついたりと、安らぎのスペースとして活用できます。また、バルコニーのない住宅でも、外部とつながるような設計にすることで、空間を広く見せる視覚効果が生まれ、住まい全体にゆとりを感じられるのも魅力です。






ゼロリノベのリノベーション施工事例
多趣味で、住まいに絵になるシーンと機能性の両者を望む施主様のニーズを実現。78㎡もの広さをワンルーム感覚で使える仕様にして、リビングの一角にガラス張りの寝室や浴室、インナーテラスを配しました。効率よく動けて、愛する猫や多肉植物が風景の一部になる空間です。
※費用は引き渡し当時の金額です
実例:作業スペースやクラフトスペースに
汚れやすい作業台の足元に、モルタルを敷設した空間。掃除のしやすさや耐久性を活かし、DIY・ガーデニング・アトリエ的な用途にもぴったり。ラフな刷毛仕上げが、空間にちょうどいい抜け感をつくってくれます。






ゼロリノベのリノベーション施工事例
どこか海外の風を感じる、温かみのあるワンルーム風。明るいLDKを中心に、光と風の通る間取りが完成しました。生活感は隠しすぎずに、垣間見える小粋さを楽しんで。趣味が楽しめる広い玄関土間、そこから続く2WAY動線が、空間全体を緩やかに繋いでいます。
※費用は引き渡し当時の金額です
実例:書斎での採用で集中力アップ
落ち着いたグレートーンのモルタル床は、視覚ノイズを抑えて集中力を高める効果も。リビングから少し距離を置いた玄関土間スペースに確保することで、より集中できる空間に。






ゼロリノベのリノベーション施工事例
夫婦でオンとオフの時間を心地よく過ごせるよう、素材や床段差の切り替えで空間を緩くゾーニング。物件特性のルーバー天井と遊び心あるインテリアを引き立たせるため、動線計画はシンプルに、仕上げや素材はミニマルにしました。小上がりは気分転換にぴったりの居場所に。
※費用は引き渡し当時の金額です
実例:モルタル床で間取りをレイアウト
玄関から通路スペースをモルタル床で回遊させ、極力扉をなくしたすっきりした間取りに。居室は一段あげてフローリングの空間にすることで、ゆるやかに仕切ることが可能。






ゼロリノベのリノベーション施工事例
家の中央に島のようにリビングを配し、周囲に土間を廻らせたユニークなプラン。土間もまた、キッチンや収納、ワークスペースなどの機能をもつ生活空間で、ひと筆書きの回遊動線に。「お寺の土間や古い板張りが醸し出す静寂感が好き」という施主様の思いを住まいに落とし込んだ。
※費用は引き渡し当時の金額です



モルタル床の魅力は、テイストだけでなくシーンによっても活き方が変わるところ。用途によって見せ方も様々です。
モルタル床の費用と仕上げ方法
モルタル床は、仕上がりの美しさや空間の印象を大きく左右する素材ですが、費用面や施工方法の特徴を理解しておくこともとても大切です。
この章では、実際に導入する際に気になる「費用感」と「施工の流れ」「仕上げの種類」についてご紹介します。
モルタル床の費用目安
モルタル床の費用は、仕上げ方や下地の状態、施工面積によって異なりますが、一般的には以下が目安です。
項目 | 目安価格(㎡単価) |
---|---|
モルタル床 基本施工費用 | 約5,000〜12,000円/㎡ |
高仕上げ(左官・防塵・コーティング含む) | 約10,000〜18,000円/㎡ |
小規模なリノベーション(玄関や洗面室)では10万円前後〜、LDK全面に採用する場合は数十万円規模になることもあります。



ゼロリノベでは、仕上げ含め15,000円/㎡が目安になります。単に「モルタル仕上げ」ではなく、仕上げ方を確認することが大切です。
モルタル床の仕上げ方法
モルタル床は、同じ素材でも仕上げ方ひとつで印象が大きく変わるのが特徴です。インテリアのテイストに合わせて、最適な仕上げを選ぶことが大切です。
金ゴテ仕上げ(ツルツル)
表面をしっかり押さえて滑らかに仕上げる方法。光の反射でツヤが出やすく、ホテルライクやシンプルモダンな空間にマッチします。
刷毛引き仕上げ(ザラザラ)
あえて刷毛目を残すことで、ラフでナチュラルな印象に。滑りにくくなるというメリットもあり、土間や水回りにも◎。
押さえ仕上げ(ムラ感)
職人がコテで何度も押さえながら仕上げることで、独特のムラと陰影が生まれる表情豊かな仕上げ。北欧モダンやインダストリアル系にもおすすめ。
このように、費用や仕上げの選択によって、モルタル床は「冷たいコンクリート」から「高級感ある床材」まで、幅広く表現できます。
モルタル床とメンテナンスの注意点
モルタル床は美しい質感が魅力ですが、仕上げの特性上、定期的なお手入れやちょっとした配慮が必要になることもあります。
この章では、モルタル床を長く美しく保つためのメンテナンス方法と、日常生活で気をつけたいポイントをご紹介します。
日常の掃除とお手入れ
①基本は掃除機+乾拭き
ほこりやゴミが目立ちやすいため、こまめな掃除機がけやモップでの乾拭きが基本です。
②濡れ拭きする場合は中性洗剤を
水ジミや皮脂汚れが気になるときは、薄めた中性洗剤でやさしく拭き取りましょう。研磨剤入りの洗剤は避けましょう。
③泥汚れ・水ハネに注意
特に玄関や水回りでは、泥や水のシミが残りやすいため、早めの拭き取りが大切です。
ひび割れ・クラック対策
モルタル床は、素材の特性上、乾燥や温度変化、建物のわずかな動きによって細かいひび割れ(クラック)が生じることがあります。これらは構造上の問題ではなく、使用に支障が出るものでもありませんが、気になる方も少なくありません。
ひび割れを完全に防ぐことは難しいものの、施工時の下地処理や収縮に配慮した材料の選定によって、ある程度リスクを抑えることは可能です。また、細かいクラックが生じた場合には、専用の補修材で目立たなく整えることもできます。
モルタル床の経年変化は「味」として楽しまれることも多いですが、気になる場合は、事前に仕上げ方や補修方法について施工会社としっかり相談しておくことをおすすめします。


愛犬の足跡を刻印し、ひび割れも雰囲気のある雰囲気に
冷たさ・滑りやすさへの対応
モルタル床は熱伝導率が高く、冬場には足元がひんやりと冷たく感じることがあります。特に寒冷地では、断熱性や暖房との相性も考慮する必要があります。床暖房との相性は良いため、床下からの温熱で快適性を高める施工も可能です。また、ラグやスリッパを併用することで、手軽に体感温度を調整できます。
一方、仕上げの種類によっては濡れた状態で滑りやすくなる場合があるのもモルタルの特徴です。特に玄関や洗面室など、水濡れの可能性がある空間では、滑り止め効果のある仕上げやマットの設置などで安全性を高める工夫が求められます。
仕上げの段階で「どのくらいの滑りにくさがあるのか」を確認しておくことで、後悔の少ない選択につながります。
お子さまのいる家庭での注意点
モルタル床は見た目の美しさや耐久性が魅力ですが、クッション性がないため、床が硬く感じられるという側面もあります。このため、食器などを落とした際に割れやすい、お子さまが転んだときにケガをしやすいなどのリスクも考えられます。
小さなお子さまがいるご家庭では、LDKの一部にラグを敷いたり、遊ぶスペースだけマットを敷いたりするなどの対策がおすすめです。特に、よちよち歩きの時期や、走り回る年齢のお子さまがいる場合は、生活動線を意識して部分的に柔らかさを取り入れることで、安全性と快適性の両立が図れます。
また、子どもが大きくなったあとも、モルタル床はそのままスタイリッシュに使い続けられるため、ライフステージに応じたアレンジがしやすい床材ともいえます。
まとめ|モルタル床で、自分らしい空間を楽しもう
モルタル床は、無機質でスタイリッシュな見た目だけでなく、インテリアに合わせて多彩な表情を楽しめる素材です。
北欧モダンやインダストリアル、ナチュラルなど、テイストに応じた組み合わせ次第で、空間の印象をぐっと高めることができます。
一方で、ひび割れや冷たさ、硬さといった特性もあるため、暮らし方に合わせた対策やメンテナンスが必要になることも。そうした点も踏まえて、モルタル床の魅力をうまく引き出すことが、心地よい住まいづくりのポイントです。
床材ひとつで空間は大きく変わります。
質感や色、仕上げ方法にもこだわって、自分たちらしい住まいを楽しんでみてはいかがでしょうか。