オープンキッチンの5つの後悔ポイントと自分に合う上手な選び方
「オープンキッチンにしたいけど、いつもきれいにしておけるかな?」
「オープンキッチンて、お掃除が大変じゃないのかな?」
開放的で明るいオープンキッチンにしたいけれど、使い勝手や掃除が面倒ではないのかと心配ですね?
オープンキッチンとは、壁などで仕切りのない、リビングなどの居室空間と続いているキッチンのこと。実はオープンキッチンとひと口に言っても、開放度や明るさ、収納力などの使い勝手は形や種類によって異なるのです。
具体的には、オープンキッチンと呼ばれるものには以下の形があります。
・アイランドキッチン
・ペニンシュラキッチン
・Ⅰ型ウォールキッチン
・Ⅱ型キッチン(セパレートキッチン)
・L型キッチン
・U型キッチン
そこでこの記事では、キッチンの選択において完成してから後悔することのないよう、オープンキッチンで後悔するポイントと、オープンキッチンの種類ごとのメリット・デメリットについて、図解や使用シーンを交えながら解説していきます。
本記事のポイント |
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記事の最後には、新築やリノベーションで理想のオープンキッチンを手に入れるため、整理しておきたい確認事項についてまとめています。
どうぞ最後までお読みいただき、後悔のないキッチン選びにお役立てください。
オープンキッチンの5つの後悔ポイント
オープンキッチンにしてしまって後悔するのではないかと、購入前に多くの人が不安に思うポイントは、以下の5点です。
・床が汚れやすいこと
・リビングに臭い漏れしやすいこと
・収納スペースが少ないこと
・常に片付けが必要なこと
・家具の配置が難しいこと
実際、上記の5つはオープンキッチンのデメリットであると言えます。
このすべてを回避することはできないため、物理的に対策できるものは事前に対策したり、対策できないものは優先順位をつけるなどして、憧れのキッチンを手に入れるための準備をしていきましょう。
まずはひとつずつ、後悔するポイントを見ていきましょう。
1-1.オープンキッチンの後悔ポイント①:床が汚れる
オープンキッチンは、クローズドキッチンと比べると床が汚れやすいと言えます。
以下の図は、キッチンの油はねと水はねの範囲を表したものです。
通常、油はねは半径1.1m、水はねは左右70cmほどの楕円形の範囲で起こります。
上の図では、右側の赤いコンロを使用した場合の油はね範囲を示しています。
ご覧いただくと分かるように、油はねも水はねも、基本的にはキッチンの手前側が汚れやすいものです。
しかしオープンキッチンで目の前に壁がなくリビングと続いている場合は、油はねや水はねが遮られることないため、リビング側の床が汚れやすくなるのです。
1-2.オープンキッチンの後悔ポイント②:リビングに臭い漏れしやすい
オープンキッチンはリビングと壁で仕切られていない分、調理の臭いがリビングに広がりやすいと言えます。
基本的に、臭いは気流に乗って移動するため、換気扇を回していればそちらに流れていくものです。
しかし、リビングでエアコンを運転させていたり、リビングの窓が空いていたりすると、空気の流れが一方向ではないため、換気扇を回していてもリビングに臭いが流れやすくなります。
オープンキッチンの場合、臭いがリビング中に広がりやすく、そのためにリビングのエアコンのフィルターの汚れるペースが早くなることがあります。
また、調理をしていない時にも、換気扇を回していないことで、ゴミ箱の生ゴミの臭いがリビングに流れることもあります。フタ付きのゴミ箱や消臭シートを使うなど、生ゴミ臭についても対策が必要です。
1-3.オープンキッチンの後悔ポイント③:収納スペースが少ない
オープンキッチンにはリビングと仕切る壁がない分、そこに吊り棚が設置できないため、収納スペースが少なくなります。
ラップなどのストック品やタッパー、季節もののアイテムやたまに行うお菓子作りに必要な道具など、使う頻度の少ないものを吊り棚に収納しているという人は多いでしょう。
しかし、吊り棚のない開放的なオープンキッチンにすると、これまで収納できていた物を入れておく場所がなくなるのです。
別でパントリーを設けたり、持ち物を減らしたりしないと、オープンキッチンの上が散らかってしまいます。
1-4.オープンキッチンの後悔ポイント④:常に片付けが必要
オープンキッチンにはリビングと仕切る壁がない分、作業台の上やシンクの中が丸見えになります。
調味料や調理器具が置いたままになっていたり、洗い物を放置したりすると、かなり目につきます。
「オープンキッチンの作業台には何もない状態」というのは、あなただけでなく世間一般の理想像なので、来客時にはすべてを片付ける手間が生じます。
また、リビングと繋がっていることで、DMやプリントなど、本来キッチンとは無関係のものがカウンターなどに置かれやすくなることも、気をつけたい点です。
1-5.オープンキッチンの後悔ポイント⑤:家具の配置が難しい
オープンキッチンは壁がなくリビングと繋がっている分、チェストやソファ、テレビなどのレイアウトに困ることがあります。
壁があると、通常はその前にテレビやソファを置くと落ち着くものですが、壁が少ないことでレイアウトが限定されることがあります。
チェストなどで空間を仕切る場合は、裏面もキレイに仕上げてあるものか、枠だけのタイプのものを選ぶなど、選択肢が限られたり予算をオーバーすることもあるでしょう。
また、ダイニングテーブルを横並びでレイアウトすると、キッチンから抜け出しにくくなることも。
給湯スイッチやインターフォンなどの位置と合わせて、事前に生活動線をしっかり考えておく必要があります。
後悔しないオープンキッチンの種類
冒頭でもお伝えしたように、オープンキッチンと言っても、形や種類がいくつかあります。
・アイランドキッチン
・ペニンシュラキッチン
・Ⅰ型ウォールキッチン
・Ⅱ型キッチン(セパレートキッチン)
・L型キッチン
・U型キッチン
実は、オープンキッチンで後悔しないためには、この種類選びがとても大切になってくるのです。
それぞれの形や種類ごとにメリットやデメリットが異なるため、自分がどうしても避けたいデメリットを知り、自分に合った形を選ぶことが重要です。
オープンキッチンの形や種類について、具体的に説明していきますので順に見ていきましょう。
2-1.オープンキッチンの種類①:アイランドキッチン
アイランドキッチンとは、「アイランド(島)」という言葉が指す通り、どこの壁にも接していない、周囲をぐるっと回遊することのできるキッチンを言います。
アイランドキッチン専用の、奥行きや幅のあるシステムキッチンを設置したものと、一般的なシステムキッチンに造作し、腰壁をつけたりカウンターを作り付けたりしてアイランドキッチンとして配置したものがあります。
アイランドキッチンの種類 | |
アイランド用キッチン |
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一般的なⅠ型キッチンに造作したもの |
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実際のⅠ型アイランドキッチンの事例を見てみましょう。について
アイランドキッチン専用のキッチンを導入したものです。フルフラットでかなり奥行きがあります。パントリーや冷蔵庫は背面ではなく向かい側にあるため、調理中に家族が冷蔵庫から飲み物を取り出したい場合などに使いやすい造り。背面は壁面を活用した「見せる収納」ですっきりとおしゃれに仕上げています。物が少ない、厳選しているという方におすすめです。
こちらは一般的なⅠ型キッチンに腰壁をつけてアイランドキッチンにした例。立ち上がりがついているため、手元が見えない造りになっています。背面の収納も腰ほどの高さまでしかないため、キッチンの立ち上がりで隠れてすっきり見えます。
こちらも一般的なⅠ型キッチンに腰壁をつけてアイランドキッチンにした例です。アイランドキッチンながら、天井からの吊り壁や柱によって、キッチン、ダイニング、リビングの空間がなんとなく仕切られています。写真の手前側にパントリーと冷蔵庫があるため、不足しがちな収納もしっかり確保しています。
2-1-1.アイランドキッチンのメリット
アイランドキッチンの魅力はやはりなんと言っても開放感があっておしゃれなこと。リビングと対面で繋がるためカフェやバーのような居心地の良い空間が演出できます。
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2-1-2.アイランドキッチンのデメリット
キッチンの周りにまったく壁がないため、アイランドキッチンはオープンキッチンのさまざまある種類の中で、もっとも床汚れしやすいタイプと言えます。
また、周囲がぐるっと回遊できる空きスペースになるため、それだけ広く場所を取ることになることと、小さなお子さんがいる場合は、格好の遊び場所になってしまう危険があります。
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キッチンはおしゃれにしたいけれど、使える空間が限られている方は、無理にアイランドキッチンを導入すると後悔することになるでしょう。
2-2.オープンキッチンの種類②:ペニンシュラキッチン
ペニンシュラキッチンの「ペニンシュラ」とは、「半島」のことを指しています。ちょうどブーツ型のイタリア半島のように、陸から突き出て3辺を海に囲まれた半島と同じように、キッチンの一辺だけが壁についている形のものを言います。
こちらもペニンシュラキッチン用の、奥行きや幅のあるシステムキッチンを設置したものと、一般的なシステムキッチンに造作し、腰壁をつけたりカウンターを作り付けたりしてペニンシュラキッチンとして配置したものがあります。
ペニンシュラキッチンの種類 | |
ペニンシュラ用キッチン |
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一般的なⅠ型キッチンに造作したもの |
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実際のペニンシュラキッチンの事例をいくつか見てみましょう。
施工例:飛び石と土間〈東京〉 55㎡
フルフラットのペニンシュラキッチンを導入した例です。ペニンシュラ用キッチンの場合、コンロ側に壁をつけるのが一般的です。背面に吊り棚を含めた収納スペースがあるため、かなり収納力を備えています。ベランダに面した大きな窓に向かって料理するため、とても明るく開放感があります。
Ⅰ型キッチンをペニンシュラに配置した例です。キッチンの前とコンロ前と横にタイルを貼り、拭き掃除のしやすさを考えています。大きな窓に向かっているため明るく開放感があり、、リビングでの家族の様子を見ることができる物です。背面に腰までの高さの収納があり、威圧感なくすっきりとした印象のキッチンです。
こちらもⅠ型キッチンをペニンシュラに配置した例です。背面収納は飾り棚の役割として使っていますが、コンロ側に設置した壁の向こう側がパントリーになっているため、収納力も十分にあります。キッチンにカウンターを造りつけてあるため、ダイニングスペースを省いて空間を広く使えます。
Ⅰ型キッチンをペニンシュラに配置した例。シンク側をパントリーにしているため、収納力が高いキッチンです。マンションリフォームでアイランドキッチンやペニンシュラキッチンを導入する場合、排水の関係で床に段差ができることがあるのですが、高さを活かしてキッチン側からは見晴らしが良く、反対側からは手元が見えにくいようにしています。
2-2-1.ペニンシュラキッチンのメリット
ペニンシュラキッチンは、おしゃれさと機能性を備えていると言えます。キッチンに使えるスペースが限られていたり、収納力をカバーしたい場合や掃除のしやすさの優先順位を上げたい方に向いています。
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2-2-2.ペニンシュラキッチンのデメリット
一部が壁に接していることで、その分床の代わりに壁が汚れます。拭き掃除しやすい素材を選ぶことが重要です。
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油はねの掃除を「床だけ」ではなく「床と壁の両方」をすることに負担を感じる方は、ペニンシュラキッチンでは後悔することになる可能性が高いです。
2-3.オープンキッチンの種類④:Ⅰ型ウォールキッチン
ウォールキッチンとは、キッチンが壁に接していて、リビング空間に対して背を向ける形で料理するキッチンのこと。
対面でなくても、リビングとの仕切りがないのでこちらもオープンキッチンに当たります。
対面式のキッチンよりもスペースを取らないため、コンパクトに収めたい場合に有効です。
実際のⅠ型ウォールキッチンの事例をいくつか見てみましょう。
施工例:居場所の再構築〈神奈川県〉56㎡
床の素材でキッチン空間とリビング空間を分けています。どんなキッチンの形であっても、手前側の床が汚れやすいため、拭き掃除しやすい素材にしておくことが大切です。キッチンの右手にパントリーを設置し、その中に冷蔵庫を収めているため、生活感を目立たなくさせています。
施工例:Self-made〈東京〉71㎡
こちらもキッチン周りの汚れやすい床部分の素材をリビングのものと変えています。掃除のしやすさだけでなく、空間を分ける効果もあります。パントリー部分は壁で覆わず、見せる収納でシンプルに収めています。
施工例:【最優秀賞受賞】Renovation of the year「家具美術館な家」
Ⅰ型ウォールキッチンの応用とも言える例です。ウォールキッチンの背中側にカウンターをアイランドで配置しています。作業スペースや収納スペースとして使えるだけでなく、コーヒーブレイクや立食でのパーティーなどにも使えます。コンロ側の壁が少し手前に出ているため、床汚れの範囲を少し防いでくれます。
2-3-1.Ⅰ型ウォールキッチンのメリット
Ⅰ型ウォールキッチンは、なんと言っても選択肢が多いため、おしゃれなデザインや好きな素材のものを比較的安価で手に入れることができます。
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2-3-2.Ⅰ型ウォールキッチンのデメリット
壁に接しているため、油はねや水はねで壁が汚れます。拭き掃除しやすい素材を選ぶことが重要です。
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「壁を向いて料理をしたくない」と考える人には不向きと言えます。また、キッチンが丸見えになるので、掃除や整頓が常に必要になるため、どうしても乱雑にしてしまうという人は後悔するでしょう。
2-4.オープンキッチンの種類④:Ⅱ型キッチン(セパレートキッチン)
コンロとシンクを別々に切り離したものが、Ⅱ型またはセパレートキッチンと言われるものです。
2つに分かれているため、アレンジ次第でレイアウトも自由に決めることができます。
実際のⅡ型セパレートキッチンの事例をいくつか見てみましょう。
リビング側にシンク、壁側にコンロを配置したセパレートキッチンです。シンクはアイランドキッチンになっています。通常、アイランドキッチンでは吊り棚は設置しませんが、このアイランドはシンクのみなので、一枚板を吊るして開放感のある収納を叶えています。
こちらもリビング側にシンク、壁側にコンロを設置し、シンク上に天井から吊り棚として一枚板を2枚設置して収納スペースにしています。キッチン用品と関係ないものを収納するスペースを用意することで、キッチンの作業台やダイニングテーブルの上が散らからないようにしています。
少し写真が暗いですが、リビング側にシンク、壁を挟んだキッチン後ろのパントリーの中にシンクに対して垂直にコンロが設置されています。コンロのある部屋がリビングと壁で仕切られているため、調理の臭いがリビングに流れにくくなっています。どうしても汚れがちなコンロ手前の床も目立たない造りです。
2-4-1.Ⅱ型セパレートキッチンのメリット
Ⅱ型セパレートキッチンは、おしゃれさと実用性を備えていると言えます。コンロをリビングから離れた位置に置くことで、臭いや汚れを目立たなくさせることができます。
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2-4-2.Ⅱ型セパレートキッチンのデメリット
一般的なⅠ型キッチンと比べると、1.5倍のスペースを必要とします。
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キッチンにかなりのスペースを割くことになるため、料理やキッチン空間の優先順位が高い人でないと後悔することになるでしょう。
2-5.オープンキッチンの種類⑤:L型キッチン
L型キッチンは、シンクとコンロがひと続きのL字型になっているキッチンです。壁付けにすることも、シンク部分を対面にすることもできます。
壁付けにした場合は、壁の横幅を活かして収納や作業スペースを広く取ることができます。
実際のL型キッチンの事例をいくつか見てみましょう。
壁付けのL型キッチンに加え、作業&収納スペースとしてのアイランドを設けています。アイランドが冷蔵庫前にあるため、買ってきた物を冷蔵庫にしまう際にも役立ちます。コンロと冷蔵庫の間が壁で仕切られているため、冷蔵庫に油はねしたり熱が伝わったりすることがないのも、使い勝手を考えた造りになっています。
シンク部分のある方が対面で、コンロは壁に面しています。油はねが床に行かず、壁も手入れをしやすい材質を用いているため実用的です。壁面収納があるだけでなく、キッチン裏手にパントリーも備えてあるため、収納力抜群のキッチンです。
施工例:朝を選んだ家〈埼玉〉 75㎡
こちらはシンク側を対面にしたキッチンで、コンロも壁には向いていないタイプです。しかしキッチンを囲む腰壁に30cmほどの高さがあるため、油はねや水はねがキッチンの向こう側に行くことはほとんどありません。キッチン裏がパントリーになっているため、収納力もしっかり備えています。
2-5-1.L型キッチンのメリット
L型キッチンは、開放感と実用性を兼ね備えています。壁面を収納に活用することもできるため、使い勝手の良いキッチンです。
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2-5-2.L型キッチンのデメリット
広いスペースが必要になります。
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L型キッチンも一定の場所を必要とするものなので、その分リビング空間を圧迫することになります。優先順位がしっかり見えていないと後悔することになるでしょう。
2-6.オープンキッチンの種類⑥:U型キッチン
シンクとコンロ、作業スペースがU字型のひと続きになっているキッチンです。各辺の長さが部屋によって異なってくるため、既製品での展開が難しく、システムキッチンとしての国内流通はほとんどありません。
キッチンのすべての面を壁付けにすることも、図のように一辺を対面にすることもできます。
L型キッチンにアイランドを設置した、地続きでないものもU型キッチンに含めて呼ぶこともあります。
実際のU型キッチンの事例をいくつか見てみましょう。
Ⅰ型ウォールキッチンを応用して、キッチン全体をU型にしています。カウンター下と壁面を収納に利用できるため、収納力は万全です。冷蔵庫を壁に埋め込んでいるため、デッドスペースのないすっきりした造りになっています。
2-6-1.U型キッチンのメリット
U型キッチンは、オープンキッチンの開放感とコミュニケーション力に加えて、個室キッチンのようなクローズド気分を味わえるため、料理に集中しやすい造りと言えます。U字の中で作業するため、調理道具などに手が届きやすく、使い勝手が良いのが特徴です。
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2-6-2.キッチンのデメリット
やはりなんと言ってもキッチンの場所を取ります。一辺を作業スペースにするかカウンターにするかで、使い勝手や印象も大きく変わります。
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優先順位を明確にしてレイアウトを十分に考えないと、後悔することになるでしょう。
オープンキッチンのデメリット対策
1.オープンキッチンの5つの後悔ポイントでご紹介したオープンキッチンのデメリットは、キッチンの形によって回避できるものや、逆に影響が大きく出過ぎるものがあることが分かりました。
形ごとのデメリットの濃淡を一覧にしましたのでご確認ください。
「家具の配置が難しい」ことについては、ダイニングやリビングと合わせて、ご自身の生活シーンや優先順位によってそれぞれで解決するしかないものなので、ここでは以下の4点のデメリットについて、対策方法をお伝えしていきます。
・床が汚れやすい
・リビングに臭い漏れしやすい
・収納力が低い
・常に片付けが必要
それぞれ順に見ていきましょう。
3-1.オープンキッチンのデメリット対策①:床が汚れやすい
オープンキッチンの床汚れの範囲について、もう一度確認しておきましょう。
油はねは半径1.1m、水はねは左右70cmほどの楕円形の範囲で起こります。
手前側の床汚れはどんな形のキッチンでも共通なので、オープンキッチンではコンロの横と向かい側の床汚れをいかに防ぐかが大切になってきます。
特に油はね汚れは、時間が経つと油にさまざまな汚れが付着することで、より見た目に汚く、落ちにくくなります。
そのためオープンキッチンの油はねによる床汚れ対策として挙げられるのは、以下の2点です。
①キッチンそのものに立ち上がりをつける
②油はねガードをつける
それぞれどのような方法なのか、具体的に見ていきましょう。
■キッチンそのものに立ち上がりをつける
キッチン周囲を天面より高い腰壁などで覆うことで、キッチンの向こう側への油はねを防ぐ方法です。
以下のようなキッチンを「立ち上がりキッチン」または「腰壁キッチン」と呼びます。
施工例:好きなものと暮らす、キッチンが主役の家〈東京都〉51㎡
高さがある方がより油はね防止の効果が高くなります。リビング側から手元を隠すこともできるため、生活感を出させない効果も狙えます。
■油はねガードをつける
キッチンコンロの前にだけ、油はねガードをつける方法があります。サイズによって防止力は異なります。
施工例:経年美化〈東京〉59㎡
コンロの横幅と同じだけの範囲を覆うことのできる、換気扇からキッチン天面までカバーできるタイプ。高くはねた油もガードすることができます。
キッチンの天面から20cmほどの高さをカバーする油はねガードは、固定式のものと可動式のものがあります。
また、料理をする時だけ油はねをガードし、使わない時には収納しておける以下のようなタイプもあります。
出典:楽天市場
出展:ニトリ
どちらのタイプも料理をする時だけ使用すればいいので、料理をしない時はコンパクトに収納しておくことができます。
特にパネルタイプのものは大きくなればなるほど洗う手間が増え、結果的に置きっぱなしになってしまうこともあるため、フライパンや鍋の周りだけコンパクトにガードできるものが良いでしょう。オープンキッチンの開放的な雰囲気を損なわず、使いたい時だけ使うことができます。
3-2.オープンキッチンのデメリット対策②:リビングへの臭い漏れ
調理中の臭いは、リビング全体に広がるため、必ず換気扇を使用します。
リビングへの臭い漏れを防ぐために覚えておきたいのは、次の2点です。
・料理をする前から換気扇を回す
・こまめに換気扇のフィルター掃除をする
ポイントは、料理を始める前に換気扇を回すことです。とても簡単なことですが、先に換気扇を回して空気の流れを作っておくことで、部屋に流れる臭いを抑えることができます。
また、換気扇のフィルター掃除はできるだけこまめにしておかないと、換気扇が正常に作動せず、臭いの流出がどんどんひどくなっていきます。特に、リビングでエアコンを使用する季節や、リビングの窓を開ける季節は、換気扇の掃除ができていないと、リビングへの臭いの流出が激しくなります。
リビングに設置したエアコンのフィルターも汚れやすくなるため、換気扇だけはこまめに掃除するようにしてください。
3-3.オープンキッチンのデメリット対策③:収納力の低さ
オープンキッチンでは、キッチン上部の吊り棚がない分の収納力をカバーするため、以下のどちらかまたは両方の対策を行い収納力の不足を補います。
①収納を増やす
②物を減らす
収納を増やす方法には、具体的には以下のような方法があります。
・収納力の高いキッチンキャビネットを設置する
・大型の壁面収納を設ける
・パントリーを設ける
・床下収納を設ける
特に、壁面収納やパントリー、床下収納の設置はリフォームや新築のタイミングでしか行うことができないため、オープンキッチンの設計と合わせて入念に行う必要があります。
コンロや冷蔵庫、コンセントの位置から壁紙、床板の材質も関係してくることなので、ここで後悔しないように使い勝手を考えて選択していきます。
3-4.オープンキッチンのデメリット対策④:常に片付けが必要なキッチン上
リビングから丸見えになるオープンキッチンの上が、調味料や調理器具といったキッチン用品だけでなく、DMやプリントなどの一時置きになってしまっては台無しです。
できるだけ生活感をなくして保つため、以下の手順で整理することが有効です。
STEP1:用途や種類でまとめる
STEP2:保存容器などを揃える
STEP3:引き出しや扉の中に隠す
調味料などは用途や種類によってまとめ、生活感が出ないよう色味や形を統一した保存容器に移し替えます。容器が統一されていれば、作業台の上に並んでいたとしても「見せる収納」になります。
キャビネットの中も、大きさや色味を統一したボックスなどを使って整理しておくと、来客時にキャビネットを開けた際にも安心です。
DMやプリントなど、キッチン用品とは関係のないものは、キッチン以外の場所に置き場所を作るのが良いでしょう。
どうしてもキッチン周りに置きたい場合は、できるだけ引き出しや扉の中に隠して置いておくか、カゴなど見えてもおしゃれ感を損なわない物の中にまとめて入れておくのが良いでしょう。
キッチン上に何も物がなければ、キッチン掃除はしやすいものです。
大切なのは「とにかく物を置かないこと」と覚えておいてください。
オープンキッチンで後悔しないのはこんな人
開放的なオープンキッチンには憧れるけれど、デメリットがあることで、なかなか踏ん切りがつかないという方も多いでしょう。
2.後悔しないオープンキッチンの種類で、オープンキッチンの形や種類ごとにメリットやデメリットを紹介しましたが、どんな形のオープンキッチンであったとしても「絶対後悔しない」と共通して言えるのは、以下のような方です。
・こまめに掃除ができる
・来客が多い
・収納術や整理整頓が好き
・物が少ない
2つ以上当てはまるのであれば、オープンキッチンのデメリットよりもメリットの方を享受することができるので、おすすめできます。
ご自身が当てはまるかどうか、どういう点で判断すべきか、具体的にそれぞれ具体的に見ていきましょう。
4-1.こまめに掃除ができる
こまめに掃除ができる人であれば、どのような形のオープンキッチンであっても、いつでもキレイな状態で保つことができるでしょう。
オープンキッチンで特に掃除しておくべき場所は、以下の3箇所です。
・床
・壁(アイランドキッチンを除く)
・換気扇
特に換気扇の掃除は、これまでにも何度もお伝えしていますが、オープンキッチンはリビングと空間が繋がっているため、換気扇を掃除しておかないと以下の弊害が起きます。
・リビングに臭いが漏れる
・リビングのエアコンが汚れる
こまめな掃除や片付けができる方、苦にならないという方であれば、オープンキッチンの開放感を存分に楽しむことができるでしょう。
4-2.来客が多い
来客が多い家庭では、オープンキッチンは大活躍するため、絶対に後悔することはありません。
ホストが飲み物や食べ物の準備をしていても、来客とおしゃべりしながら用意することができますし、配膳や片付けもスムーズに行うことができるからです。
月に2回はだれかしら来客があるという家庭では、ホストだけでなくゲストにとっても、開放感のあるおしゃれなリビング&キッチンは居心地の良いものになるでしょう。
4-3.収納術や整理整頓が好き
収納上手であったり整理整頓が苦でないという方は、オープンキッチンの開放感を堪能できます。
オープンキッチンの開放感やおしゃれさは、やはり生活感のない状態をキープできることと切り離すことができません。
鍋やフライパンなど日常的に使う調理器具はシステムキッチンの収納におおかた収まりますが、ラップやタッパー、ストック品や季節物のキッチン道具、パーティーなどで使うアイテムなどは、別に収納を用意しない限り、収納しておく場所はほとんどないと考えておいた方がいいです。
少ない収納スペースを工夫してきれいに片付けるのが好きな人は、オープンキッチンをいつでも生活感のない状態に保っておくことができるでしょう。
4-4.物が少ない
前の項と共通しますが、キッチンアイテムなどをすでに厳選していて物がもともと少ないという人は、オープンキッチンの収納力の少なさに後悔することはありません。
ストック品を最低限に押さえておいたり、いくつもの料理方法に使い回せる調理器具を持っていたり、食器を厳選しているのであれば、いつでもスッキリと片付いた、モデルルームのようなアイランドキッチンを保つことができるでしょう。
オープンキッチン購入前に確認しておく項目チェックリスト
オープンキッチンにはさまざまな形があるほか、デメリットを回避するための具体的な対策があることをご紹介してきました。
最後に、そもそもオープンキッチンが向いているかどうかについて、確認しておくべき項目をチェックリストにまとめましたので試してみてください。
オープンキッチン購入前のチェック項目 | ||
毎日料理をする | □YES | □NO |
同時に複数人数でキッチンを使う | □YES | □NO |
人を招くことが多い | □YES | □NO |
キッチン部分に十分なスペースを充てられる | □YES | □NO |
キッチンにいる時間が長い | □YES | □NO |
YESと答えた項目が多い方ほど、オープンキッチンで後悔することは少ないと言えるでしょう。
オープンキッチンには確かにデメリットもありますが、それ以上に開放感や家族・友人とのコミュニケーションを楽しむことができるなど、オープンキッチンの魅力の部分を堪能することができるからです。
しっかりとデメリット対策をして、オープンキッチンを存分に楽しんでください。
まとめ
今回は、オープンキッチンで後悔しないため、オープンキッチンの形ごとのメリット・デメリットや、後悔しがちなポイントの対策法をお伝えしました。
オープンキッチンの5つの後悔ポイント |
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オープンキッチンの形によるデメリットの現れ方、強弱は以下の通りです。
デメリットにきちんと対策をしておくことが、なにより後悔することなくオープンキッチンを楽しむために大切であると言えます。
あなたの生活スタイルや優先順位と照らし合わせて、ぜひ理想のオープンキッチンを手に入れてください。