ペニンシュラキッチンの賢い選び方|おしゃれリノベ事例10選&メリットを紹介
住まいのキッチンを検討している中で、ペニンシュラキッチンというレイアウトを耳にする機会も多いでしょう。
ペニンシュラキッチンとは、キッチン本体の一部が壁とくっついている対面式キッチンの一種です。
空間を有効活用しつつ、オープンなスタイルで空間にも映えるため、ペニンシュラキッチンに憧れている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ペニンシュラキッチンの特徴やリノベーション事例、メリット・デメリット、選び方のポイントなどを紹介します。
最後まで読み進めれば、しっかりと理解を深めた上で、使い勝手が良く暮らしに合ったペニンシュラキッチンを選べるようになるでしょう。
理想のペニンシュラキッチンを取り入れ、憧れだった対面式キッチンのある暮らしを実現してください。
対面式で人気のペニンシュラキッチンとは?
冒頭でも述べた通り、ペニンシュラキッチンとは、リビング・ダイニングと対面した場所に配置される対面式キッチンです。
まずペニンシュラキッチンの特徴や費用相場、間取りを決める上で非常に重要な、レイアウトについて見ていきましょう。
ペニンシュラキッチンと同じ対面式にカテゴライズされる「アイランドキッチン」との違いを比較しながら紹介します。
1-1.ペニンシュラ型はキッチンの一部が壁に接している
対面式キッチンの一種であるペニンシュラキッチンは、キッチン本体の一部が壁に接しているのが特徴です。壁から突き出した形状が半島(ペニンシュラ)のように見えることから名付けられました。
施工事例:経年美化〈東京〉59㎡
一般的には、油ハネや臭いが漏れにくいように、加熱機器側を壁に面して設置するケースが多く見られます。
対面式キッチンは、大きく分けると「オープンキッチン」と「セミオープンキッチン」の2種類です。
オープンキッチンであるペニンシュラキッチンは、LDKがひとつながりの空間として一体感が生まれるのが大きなメリットの一つです。詳しくは「3. ペニンシュラキッチンを採用する4つのメリット」でも紹介しますが、ペニンシュラキッチンを採用することで調理をする人としない人との距離も近くなり、小さな子どもを見守ったり家族の気配を感じたりしながら調理ができます。
以下は、その他のオープンキッチンのスタイルである、アイランド型とウォール型(壁付型)との比較です。
ペニンシュラ型は、「空間効率・収納スペース・見栄え」のいずれにおいてもバランスがよく、妥協ポイントがほとんどありません。
このことから、ペニンシュラキッチンはウォール型(壁付型)と、アイランド型の良いとこどりをしたキッチンと言えます。
1-2.ペニンシュラキッチンのレイアウトは3タイプ
キッチンは、「シンク・コンロ・作業台」の3つのパーツで構成されており、ペニンシュラキッチンのレイアウトは、大きく「L型」「I型」「Ⅱ型」の3タイプに分類できます。
どのタイプを採用するかで、キッチンの使い勝手が大きく変わってくるため、それぞれのタイプの特徴を知っておきましょう。
1-2-1.【L型】2面に囲まれているため独立した空間を演出できる
L型のペニンシュラキッチンは、上から見た時にアルファベットの「L」型になっているタイプのキッチンです。
施工事例:朝を選んだ家〈埼玉〉 75㎡
コンロとシンクの距離が近くなり、家事の動作がコンパクトに行えるのはL型ペニンシュラキッチンの大きなメリットです。
L型では、「鍋に水を入れてコンロへ移動する」「コンロ横のワークトップ(作業台)で盛り付ける」「使い終わった鍋をシンクへ入れる」といった一連の動作を少ない動きで行えるようになります。
無駄な動作が減ることで、調理も効率的かつスピーディーに行えるため、家事の時間も快適になるでしょう。
またL型は、複数人で使う際にも動線が重ならず、スムーズに使えるためおすすめです。そのため、夫婦や家族で一緒に料理するシーンが多い人に選ばれる傾向があります。オープンでありながら、独立した空間を演出できる特徴もありますので、料理に集中したい方にも向いているでしょう。
1-2-2.【I型】省スペース&収納場所を確保できる
I型のペニンシュラキッチンは、コンロ・作業台・シンクが横一列に配置された構成のキッチンです。上から見た時にアルファベットの「I」に見えるため、I型と言われています。
I型はキッチンレイアウトの中でもっともオーソドックスなタイプです。横長の配置になるため、L型と比べると横移動が増えて作業効率はやや劣りますが、省スペースでも設置でき、背面にカップボードなどを設けることで収納スペースが確保しやすいのが特徴です。
キッチン回りに収納スペースを確保したい人やリビング・ダイニング空間を広く取りたい人に向いています。
1-2-3.【Ⅱ型】家事動線が短く作業スペースが広く取れる
Ⅱ型のペニンシュラキッチンは、シンクとコンロを分け、2つのカウンターを並列するように配置したタイプのキッチンです。セパレート型キッチンとも言われています。
施工事例:家事からの解放〈東京都〉69㎡
奥行きはある程度必要ですが、その分幅はコンパクトになります。シンクとコンロの距離が近いため、L型と同じで家事動線が短くなり、体の向きを変えるだけで効率よく調理が行えます。
また、カウンターが2つあることで作業スペースが広がるため、「コンロ横で炒め物の準備」「シンク横でサラダを作る」など、作業を分担して行える点もⅡ型の大きな魅力です。
Ⅱ型ペニンシュラキッチンは、キッチンスペースに限りがある空間や、効率よく家事を行いたい人や子どもや夫婦一緒にキッチンに立つことが多い人に向いています。
1-3.ペニンシュラキッチンの費用相場
採用するメーカーやレイアウトによって異なりますが、ペニンシュラキッチンのリフォーム費用は「50万円~250万円」が相場です(システムキッチン本体価格と配置換えなどに伴う施工費用を含む)。
以下の表は、価格帯別に工事規模の目安をまとめたものです。
ウォール型キッチンからペニンシュラ型キッチンへのリフォームでも、現在のキッチンを活かしてL型やⅡ型にする場合なら最低50万円からリフォームが可能です。システムキッチン本体のグレードやオプションにこだわりたい場合は、100万円以上は見ておきましょう。
レイアウトやキッチンの設置場所を大きく変更する場合、リフォーム費用は150万円~250万円の価格帯となるケースが多く見られます。キッチン周辺の壁や床の張替え、設備配管などの工事費用が伴うため、高額となりやすいからです。
キッチンリノベーションに必要な費用については、「キッチンリノベーションの費用はいくら?メーカー6社の商品相場も公開!」で詳しく紹介しています。本記事と併せて読んでみてください。
1-4.【特徴・費用で比較】アイランドキッチンとの違いは?
ペニンシュラキッチンとアイランドキッチンの大きな違いは、「キッチンが壁に接しているか」「キッチンが壁から離れて独立しているか」です。以下の表に比較ポイントをまとめているため、それぞれの違いを確認してみてください。
どちらもオープンキッチンに分類されるため、開放感があり、料理をしながらコミュニケーションを取りやすいなど、共通のメリットが多く見られます。異なるポイントとして注目すべきはアイランドキッチンのデメリットです。
例えば、左右両側からキッチンにアクセスできるため、火や包丁を使っている時に小さな子どもが近くに来てしまわないよう注意しなければなりません。またペニンシュラ型に比べて広いスペースが必要なことや、キッチン本体の費用が高額になりやすい点も挙げられます。
対面式キッチンを採用したいけれど費用を抑えたいという場合は、ペニンシュラ型がおすすめです。
【タイプ別】ペニンシュラキッチンのアイデア事例10選
ここではゼロリノベの施工事例から、ペニンシュラキッチンの人気アイデア事例を紹介していきます。「L型」「I型」「Ⅱ型」の3タイプ別に紹介しているため、事例を参考にどのレイアウトが自分の暮らしに合うのか想像してみてくださいね。
【L型】死角を利用して生活感を隠したキッチン
キッチンをリビング・ダイニングの角に設け、コンロが部屋の隅にくるように配置したL型ペニンシュラキッチンです。
フルフラットのワークトップを採用していますが、コンロを壁向きに配置することで、ペニンシュラキッチンを採用した場合の悩みとなりやすい油はねや匂いが部屋へ広がるのを防いでいます。
コンロの横には壁を挟んで冷蔵庫も置けるパントリーを設けて、収納スペースを確保しました。こうすることで、生活感がでやすい部分を隠すことができ、整然としたキッチン空間がラクに保てます。
【L型】玄関との間仕切りも兼ねるガラスパネル
施工事例:東京都・外苑前 65㎡
こちらは、玄関を入ってすぐの場所にL型キッチンを配置した事例です。
コンロ前に透明ガラスの仕切りを設けることで、油はねによる汚れを防ぎつつ、廊下としての間仕切り機能も発揮しています。
キッチンの内側が見えないようハイカウンターを採用したため、スタイリッシュなデザイン空間を引き立ててくれています。
【Ⅰ型】キッチンの背面にミニカウンターを設置
施工事例:北欧風シンプルライフ〈埼玉県〉64㎡
白を基調とした清潔感のあるI型ペニンシュラキッチンの事例です。
あえてキッチンの前面に高さのある壁を設けることで、シンクからの水はねやコンロの油はねをカバー。さらにカウンターを備え付けることでキッチンの背面を有効活用できる、実用性にも優れたレイアウトです。
【Ⅰ型】配膳がしやすいフルフラットなカウンター
白を基調とした空間とのコントラストが美しいブラックカラーのI型ペニンシュラキッチンです。
「ブラックは圧迫感を感じやすいのでは?」と思うかもしれませんが、フルフラットのワークトップを採用することで閉鎖感を解消。すっきりとした室内空間を邪魔しないキッチンに仕上がっています。
キッチンの向かいにダイニングテーブルを配置したことで、配膳や食後の片付けもラクに行えますね。
【Ⅱ型】パントリーにアクセスしやすく、複数人でもぶつかりにくいレイアウト
施工事例:成長を刻む壁〈埼玉県〉80㎡
大人2人が背中合わせに立っても余裕のある、広々としたキッチンスペースが印象的なⅡ型ペニンシュラキッチンです。
レンジフードが壁側に付いているためリビング・ダイニング側は視界を遮るものがなく空間が広く感じられますね。
また、キッチン横に大容量のパントリーを設けることで、十分な収納量を確保しながらもすっきりとした印象になっています。
【Ⅱ型】会話が生まれるキッチンの小窓と段差
施工事例:会話が生まれる小窓〈千葉県〉58㎡
60㎡未満のややコンパクトな広さのマンションに、合計約5mもある広々としたⅡ型キッチンを採用した事例です。一般的なシステムキッチンは、2,1m~2,55mが主流なので、その約2倍もの広さがあります。
実はこのキッチンには面白い仕掛けが2つあるんです。一つはキッチンの真横にある寝室との間に隔てた壁に設けた小窓。そしてもう一つはキッチン内部に段差をつけたこと。
視線が高くなることで、洗い物をしながら、テレビを見たり、家族の気配を感じたりできるようになりました。これなら家事との時間がより楽しくなりそうですね。
【I型】背面にたっぷりの収納スペース
施工事例:飛び石と土間〈東京〉 55㎡
こだわりの家具や照明が映える、無機質な質感のモルタルを採用したペニンシュラキッチン。フルフラットですが、キッチンカウンターが設けられているので、油はねや水はねも気になりにくいですね。
壁側に、キッチンのカラーに合わせた吊戸棚やキャビネットを設置することで、収納不足の問題を解消。「パントリーを設けるのは難しいかも」という人が参考にしたい、収納力抜群なのにすっきりと見える事例です。
【I型】どんな空間にもマッチする低コストなステンレスキッチン
ステンレス製のペニンシュラキッチンを採用したこちらの事例。スタイリッシュなインダストリアルスタイルがおしゃれですね。
よく使うキッチン家電を壁側に配置し、ペニンシュラキッチン自体にはものを置かない工夫をされています。
ステンレスは、耐水性や耐久性にも優れており、価格も比較的お求めやすいのが魅力。他の素材との相性もよく、どのような空間・インテリアとも合わせやすい素材です。
無骨な感じに抵抗がなければ、低コストでペニンシュラキッチンを実現できるステンレス製を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?
【L型】デッドスペースを有効活用したL型キッチン
施工事例:緑豊かなみんなのキッチン〈埼玉県〉70㎡
室内扉と材質を統一した、L型タイプのペニンシュラキッチンです。
広々としたキッチンですが、コンロ・シンク・冷蔵庫の距離が近いため、スムーズに作業できそうですね。
ペニンシュラキッチンのデメリットである収納スペース不足は、壁側とカウンター上に吊り棚を設けることで解消。吊り棚を採用することで圧迫感や閉塞感がなく、おしゃれな空間を演出してくれます
広めのワークトップを採用していますが、前面のデッドスペースを本棚やカウンター席として活用。実用性にも優れたキッチンです。
【L型】解放感と独立性を兼ね備えたデザイン
ダイニングに面したキッチンの背面に高めの立ち上がりの壁を設けることで、生活感を感じさせないLDK空間を演出。手元を隠し、においや水はねによる生活スペースへの影響も防いでいます。
剥き出しのコンクリート壁に、ブラックカラーのキッチンが男前な雰囲気を醸し出してくれています。
LDKの一体感を保ちつつ、キッチンエリアとして独立した空間にしたい人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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ペニンシュラキッチンを採用する4つのメリット
ペニンシュラキッチンの事例を見て、段々とイメージも膨らんできたのではないでしょうか。ここでは、改めてペニンシュラキッチンを採用するメリットを整理し、解説していきます。
順番に見ていきましょう。
3-1.コミュニケーションを取りながら調理が可能
対面式キッチンのペニンシュラキッチンを採用する大きなメリットは、料理をする場所としての役割だけでなく、食を中心としたコミュニケーションの場にもなるところです。
リビング・ダイニングと離れて独立しているキッチンで、「野菜を切る」「炒め物をしている」などの作業をしているシーンを思い浮かべてみてください。
調理中に子どもに呼ばれたり、家族に話しかけられたりすると、顔を見ずに背中越しに返事や会話をすることになります。またゲストがいる場合には、リビングでの会話に混じれなかったり、話しかけられた時に作業を中断しなければならなかったりするのは残念ですよね。
そんな時、ペニンシュラキッチンなら調理をしながら、家族やゲストとコミュニケーションを図ることができます。
また、リビング・ダイニングからも調理している様子がよく見えるため、子どもが家事に興味や関心を抱きやすくなります。調理をしながら子どもとコミュニケーションを図ることで、「洗い物を手伝ってみようかな」「料理してみたいな」などと、自発的にお手伝いをしやすい状況を作ることもできるでしょう。
3-2.キッチンとして独立した空間なのに一体感のある開放的なLDK空間を実現
開放感のあるペニンシュラキッチンはキッチン前を隔てる壁や吊戸棚がないため、LDKに一体感が生まれやすいです。
導入事例:料理と猫が楽しめる家〈神奈川県〉59㎡
画像のような大きなワンルーム空間のド真ん中にキッチンを配置しても、LDK全体のテイストを統一することで、ペニンシュラキッチンがインテリアの一部になり、ひとつながりの空間を作ることができます。
3-3.省スペースでどんな間取りにも対応
前述のとおり、ペニンシュラキッチンは省スペースで設置が可能なため、限られたスペースや間取りでも対応できます。
逆に言えば、家事動線の良いキッチン空間を作りやすいということです。家事は料理や洗濯、掃除などを同時並行で行うことも多いもの。例えばペニンシュラキッチンの背面に通路を設け、パントリーや洗面、洗濯機にアクセスしやすいようにすれば、料理や洗濯が同時進行でき、効率的に家事が行えるようになります。
3-4.整理整頓を習慣化できる
ペニンシュラキッチンを採用することで、キッチンの上にものを置かないようにする習慣が身に付きやすくなります。
多くのキッチンに共通することですが、特にフルフラットのペニンシュラキッチンは、リビング・ダイニングからワークトップが丸見えです。常に見られるところとなると、掃除や収納に気を配る必要があり、こまめに整理整頓をしようと心掛けるようになりますよ。
キッチンの上にものがあると生活感が出やすくなりますが、あえてペニンシュラキッチンを採用することで、「ものを必要最低限にする」「常に片付ける」などを自然と意識できるようになり、片付け上手になれるかもしれません。
ペニンシュラキッチンを採用する4つのデメリット
キッチンは決して安くはありません。後悔のないキッチンを実現するためにも、ペニンシュラキッチンのデメリットも理解したうえで、冷静に判断することが大切です。
ここでは、ペニンシュラキッチンを採用した場合の4つのデメリットについて解説していきます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1.油はね・水はねの心配がある
リビング・ダイニング空間にペニンシュラキッチンを配置する場合、壁に面している部分が少ないため、油はねや水はねによって、生活スペースを汚してしまう可能性があります。
「ちょっと炒め物をしただけなのに、意外と床や壁が汚れてた」「洗い物の時に勢いよく水を出してしまって水が飛び散った」という経験をしたことがある人も多いはず。
特にフルフラットで油はねや水はねをさえぎる壁がない場合は、キッチンだけでなく周辺の床拭きも必要になるため、掃除も一苦労です。
ペニンシュラキッチンの油はね・水はねは、以下のような対策をとることで防げます。
- 立ち上がりの壁やパネル・ガードを設置する
- ワークトップの奥行きを広くする
を採用することで最小限に抑えることができます。
これらの対策方法については、次章の「5-1. 油はね・水はねの対策方法」で詳しく紹介します。
4-2.煙やにおいが部屋に充満しやすい
オープンキッチン全体に言えますが、煙やにおいの悩みも多く聞かれます。壁や仕切りを設けないケースが主流であるため、換気扇が吸いきれなかった油煙や強いにおいなどが、部屋に広がってしまうためです。
特に魚の生臭さやカレーなどの強いにおいは部屋に広がりやすく、なかなか消えにくいため不快に感じる人もいるかもしれません。
そんなペニンシュラキッチンの煙やにおいに対する対策方法は、次の3つです。
- 魚焼きグリルを使う
- LDKの広さを考慮したレンジフード(換気扇)を採用する
- 消臭効果の高い壁材を採用する
この3つの対策方法については、「5-2. 煙やにおいの対策方法」で詳しく紹介します。
リフォームやリノベーションの際に、煙やにおいを防ぐためにはどのような設備が必要かを検討し、暮らしやすい空間を維持しましょう。
4-3.収納スペースが不足しやすい
ペニンシュラキッチンは吊戸棚を設けないケースが多く、ウォール型と比べると収納スペースが限られてしまうというデメリットがあります。
そもそもペニンシュラキッチンは、開放的ですっきりとしたデザインが魅力のひとつ。できる限り生活感を出したくないですよね。
そうなると吊戸棚を設けるという選択肢がなくなりがちなため、ペニンシュラキッチンを採用した場合、ワークトップ下やキッチン背面の壁側が主な収納場所になります。食器や家電などが多い人は収納場所に困る可能性があるかもしれません。
主な収納対策として、ゼロリノベでペニンシュラキッチンを採用した方の多くは、パントリーを設けています。収納専用のスペースがあることでキッチンをすっきり保てるのでおすすめです。
4-4.手元が丸見えになる
ペニンシュラキッチンは、すっきりとした印象でおしゃれですが、常にリビング・ダイニングから手元が丸見えです。
そのためシンクに溜まった食器やワークトップに広げた食材、調理中の様子など、すべてがオープンになってしまいます。
そんなペニンシュラキッチンの手元が見える悩みには、
- 立ち上がりの壁やパネルを設置する
- 収納スペースを確保する
という2つの対策方法がおすすめです。
「立ち上がりの壁を設置する」については次章の「5-1. 油はね・水はねの対策方法」で、「収納スペースを確保」は次章の「5-3. 収納スペース不足の対策方法」で詳しく解説します。
ペニンシュラキッチンのデメリットをカバーする3つの対策方法
ペニンシュラキッチンのデメリットを知り、後ろ向きに感じてしまった人もいることでしょう。でも、まだ諦めるのは早いです。
ここでは、「4. ペニンシュラキッチンを採用する4つのデメリット」で紹介した対策方法を詳しく紹介していきます。
5-1.油はね・水はねと手元の丸見えを防ぐ対策方法
ペニンシュラキッチンの油はね・水はね、手元が丸見えになってしまうことに対する具体的な対策方法は、次の2つです。
- 立ち上がりの壁やパネル・ガードを設置する
- ワークトップを広くする
ひとつずつ見ていきましょう。
5-1-1.立ち上がりの壁やパネル・ガードを設置する
立ち上がりとは、リビング・ダイニング側から見た時に、キッチンのワークトップが見えないように設けた目隠し用の壁です。
立ち上がりの高さによって防げる度合いが変わってきますが、壁があることで油はねや水はねが床などに飛ぶのを抑えることができます。手元を隠すこともできるので、リビング・ダイニングから調理中の手元やワークトップを見えないようにしたい人にもおすすめです。
ただしコストがかかるのと、壁ができることで圧迫感が生まれてしまうため、油はねや水はね対策のみであればパネルやガードで代用するのがおすすめです。
施工事例:緑豊かなみんなのキッチン〈埼玉県〉70㎡
上の画像のように透明のパネルやガードをコンロ前やシンク前に設置するとリビングからの視界が遮られずに油はねや水はねを防げます。置き型のパネルであれば汚れた時の掃除もラクで、キッチンを使うときだけ設置できるため、ペニンシュラキッチンのすっきりとした魅力を損なうこともありません。
5-1-2.ワークトップを広くする
大きなワークトップを採用するという方法もあります。コンロやシンクに奥行きの幅を持たせることで、床への飛散を抑えることができるからです。
そもそも対面式キッチンの奥行きは、広めの設計が主流です。ウォール(壁付け)タイプは、60cm・65cmが標準サイズですが、対面式キッチンはキッチンの反対側からも使いやすい約75~98cmサイズを選ぶケースが多く見られます。
ワークトップが広い分、場所を取ってしまうというデメリットがありますが、飛散した油や水滴をサッと拭くだけでOK。掃除がラクになるのは嬉しいポイントですね。
5-2.煙やにおいの対策方法
部屋に広がりやすい煙・においは、設置場所や設備を工夫することで対策できます。
具体的な対策方法は、次の3つです。
- コンロを壁側に設置する
- LDKの広さを考慮したレンジフード(換気扇)を採用する
- 消臭効果の高い壁材を採用する
順番に見ていきましょう。
5-2-1.コンロを壁側に設置する
ペニンシュラキッチンは、キッチンの一部が壁に面したタイプなので、コンロを壁側に持ってくることで中央に配置するよりも煙やにおいの広がりを抑えることができます。
施工事例:行く末を見据えた選択〈千葉県〉72㎡
どうしてもにおいが気になる場合、コンロ前に壁を増設するのもひとつの手です。しっかりとした壁を作ると開放感が半減してしまいますが、ガラスパネルを採用すれば視界がクリアなままになるため、リビングとの一体感を損なうことなく対策できます。
5-2-2.LDKの広さを考慮したレンジフード(換気扇)を採用する
キッチンのサイズによって、レンジフードの大きさも変わってきますが、LDKの広さを考慮したレンジフードを採用するのも、煙やにおいの対策に有効です。
例えば、調理中のにおいが気になる場合、吸い込むパワーが強いものを選びましょう。
また、キッチンサイズの標準よりも1サイズ大きなレンジフードを取り入れるのもおすすめです。大きなレンジフードでも圧迫感はそこまで気になりませんし、レンジフードまわりに植物や小物を置いておしゃれにディスプレイする方も多くいらっしゃいます。
5-2-3.消臭効果の高い壁を採用する
においの対策として消臭機能のある壁材を取り入れるのもおすすめです。
ペニンシュラキッチンの場合、換気を心掛けていてもLDK全体がひとつの空間となっているため、レンジフードだけで広い空間に漂うにおいを完全に除去するのは難しいもの。
そこで、漆喰や珪藻土といった、消臭効果のある壁材を採用するのも有効です。予算や好み、室内の雰囲気に合わせてお気に入りを選べば料理中もより一層楽しくなるだけでなく、気になるにおいも抑えられます。
5-3.収納スペース不足の対策方法
4章でも触れた通り、きれいに整頓されたペニンシュラキッチンの維持には、収納スペースの確保が欠かせません。
そのため、収納スペース不足を回避するには以下の2つの対策が考えられます。
- 収納スペースを確保するためパントリーを設ける
- ものを減らす
5-3-1.収納スペースを確保するためパントリーを設ける
すっきりとしたキッチンに見せる秘訣は収納スペースを別で確保すること。冷蔵庫から家電、食品ストックまで全て収納できるパントリーはキッチンリノベーションをされる方にも人気です。
後からパントリーを設けるとなるとコストもかかるため、間取りに余裕があってキッチンにものを置きたくない人は、設計の段階から食器やキッチン家電、日ごろの食材のストック量に合わせたパントリーの設置を検討しましょう。
5-3-2.ものを減らす
もし広さや間取りの都合でパントリーの設置が難しい場合は、デッドスペースになりがちな部分に造作収納を作ることもおすすめです。それも難しい場合には、この機会に物量を見直してみるのも良いかもしれません。
特にリフォームやリノベーションはお手持ちのアイテムを整理する良いきっかけでもあります。必要以上にものがないか、一度確認してみると良いでしょう。
\セールスも一切なしですのでお気軽に見てくださいね/
ペニンシュラキッチンが向いている人・向いていない人
ペニンシュラキッチンには、開放的で家族とのコミュニケーションを取りやすい一方で、普段あまり料理をしない場合や1人で家事をしたいなど、ペニンシュラキッチンが向いていないケースもあるでしょう。
ここでは、これまで解説した特徴やメリット・デメリットをもとに、ペニンシュラキッチンが向いている人・向いていない人を改めてまとめました。
6-1.ペニンシュラキッチンが向いている人
ペニンシュラキッチンは、キッチンを中心とした生活やコミュニケーションを考えている人に向いています。LDKがひとつの空間に存在し、家族や客人との距離も近いからです。
そのため次のような人は、ペニンシュラキッチンの設置を検討してみるのがおすすめです。
- 子どもや家族、客人とコミュニケーションを取りながら家事をしたい人
- 複数人でキッチンに立つことが多い人
- 省スペースで開放感のあるキッチンを取り入れたい人
- 間取りに合わせた対面キッチンを検討したい人
- LDKの一体感を保ちつつ、キッチンエリアを区別したい人
- すっきりとしたキッチンを実現したい人
ただし、理想だけで決めてしまうと将来的に後悔する可能性があります。キッチンをよく使う人だけでなく、一緒に暮らす家族の意見にも耳を傾け、みんなが納得できるペニンシュラキッチンを取り入れましょう。
6-2.ペニンシュラキッチンが向いていない人
家で過ごす時間が短い人や、家事動線を重視したキッチン希望する人は、ペニンシュラキッチンはあまり向いていないでしょう。
特に、以下にあてはまる人はペニンシュラキッチン以外のタイプを検討してみても良いかもしれません。
- あまり料理をしない人
- キッチンの回遊性を重視したい人
- リビング・ダイニングスペースを重視している人
- 片付けがあまり得意ではない人
- ものが増えやすい人
以上にあてはまる人は、「キッチン内を見られたくない」「ペニンシュラキッチンを設けるだけの充分なスペースがある」などの理由がない限りは、ペニンシュラキッチンを見送ったほうが良いかもしれません。
また、これまでに紹介したペニンシュラキッチンのメリットよりもデメリットのほうが気になるという人は、ペニンシュラキッチン以外の選択肢も視野に入れ、再検討しましょう。
ペニンシュラキッチンを選ぶ際の5つの観点
ここからは、ペニンシュラキッチンを採用する場合に知っておきたいポイントを紹介します。
使い勝手や暮らし方に大きく関わってくる項目なので、これから紹介する5つのポイントは、必ず導入前にチェックしておきましょう。
7-1.キッチン本体の前面の使い方を考える
導入事例:こだわりカフェカウンター〈東京〉 54㎡
上の施工事例のように、コンロとシンク前に立ち上がりの壁を設けて手元を隠しつつ、背面にカウンターテーブルを設置することで、ダイニングテーブルとして活用することができます。
これなら料理をサッと配膳でき、食べ終わった後もすぐに食器を片付けられるので、忙しい朝の朝食スペースにぴったりですね。カフェ気分でティータイムを過ごしたり、夜にはバーカウンターとして晩酌を楽しんだりすることもできます。
このようにカウンター背面は活用次第で暮らし方の幅がグッと広がります。施工事例などを参考にしながら、どのような使い方ができるのか検討してみると良いでしょう。
7-2.キッチンでの動きやすさを考慮して設置スペース取りを決める
ペニンシュラキッチンの設置スペースの検討は、非常に重要です。
省スペースで設置できるとは言え、作業スペースのサイズやコンロ・シンクから冷蔵庫・食器棚までの距離、通路幅をどの程度にするかで、キッチンでの立ち回りやすさや作業効率が変わってきます。
7-2-1.キッチンサイズの目安
キッチンサイズはL型やI型などのタイプによって変わってきますが、コンロ・作業台・シンクの合計(間口サイズ)は約180cm~270cmが主流です。
奥行きは、約75cm~98cmとなっており、60cm・65cmが主流のウォール型よりも、ワークトップが10cm~35cmほど広くなっているのが特徴です。
7-2-2.通路幅の目安
ペニンシュラキッチンの通路は、壁に面していない側のキッチン横と作業スペースの2か所です。必要な通路幅は、キッチンを同時に利用する人数や使用頻度の高い冷蔵庫・食器棚との距離などを想定して決めましょう。以下は通路幅の目安です。
- 通路幅60cm:1人で作業することが多い
- 通路幅90cm:余裕をもって作業できるが、複数人だとすれ違いが大変
- 通路幅120cm:複数人でもスムーズに作業やすれ違いができる
快適な家事動線にするためには、最低でも60cmの通路幅は確保しましょう。また、コンロ・シンク・冷蔵庫の3点を結んだワークトライアングルを意識することで、家事動線が楽になると言われています。
設置スペースを検討するときは、キッチンサイズと通路幅に加え、冷蔵庫の置き場所についても一緒に検討し、使い勝手の良い家事動線をプランニングしておきましょう。
7-3.自分に合った作業台の高さにする
作業台の高さは、キッチンの使い勝手を左右する重要なポイントです。
キッチンが低いと前かがみで作業することで腰痛になりやすく、逆に高いキッチンを使うと肩に力が入り肩こりにつながる可能性があるからです。そのため、キッチンをよく使う人の身長に合うキッチンの高さを選ぶことが大切です。
メーカーや商品によっては、高さを細かく指定できるケースもありますが、一般的なシステムキッチンは、JIS規格で標準的な高さが定められています。
◎JIS規格の高さ
- 80cm
- 85cm
- 90cm
- 95cm
自分の身長に合う高さは、以下の計算式にあてはめることで求められます。
適性な高さ = 身長(cm) ÷ 2 + 5(cm)
身長別の目安は以下の通りです。
紹介したおすすめの作業台の高さは、あくまでも目安です。数値だけではなかなかイメージしづらいため、できればメーカーのショールームへ足を運び、実際の高さをチェックして決めるようにしましょう。
また、もし将来的に物件売却や長く住むことを考えている場合は、平均的な85cm程度にしておくというのも良いかもしれません。
夫婦どちらの高さに合わせるか悩む場合は、身長が低いほうの高さに合わせるのが無難な選択です。
7-4.コンセントの位置と数は事前に検討
ペニンシュラキッチンを採用する場合、あらかじめコンセントの位置や数についても検討しておくことが大切です。
キッチン周りは、冷蔵庫や炊飯器、トースター、ミキサーなど、電源を必要とする家電がたくさんあります。
キッチン家電は大きく分けると、冷蔵庫や炊飯器などの常時コンセントに差して利用する家電と、ミキサーのように必要な時にだけ電源を使う家電の2つに区分できます。
常時コンセントに指したままの家電は、冷蔵庫を置く場所や棚の下などにコンセントを配置しておけばOKですが、ミキサーなどのたまにしか使わない家電の場合、棚の下にあると作業台からコンセントまで電源コードが届かない…ということも。そうなると電源タップ(延長コード)を用意したり、作業台以外の場所で使用しなくてはならなくなります。
導入事例:キッチンも家具の家〈埼玉県〉59㎡
そのため、上の施工事例のように、作業台の前壁などにもコンセントを設けることがおすすめです。ただし、水まわりやコンロ周辺は、漏電やショートのリスクがあるため増設ができないことがあります。
設計の段階からどの家電をどこに置くかも検討し、希望の場所に必要な数のコンセントを設置できるかをあらかじめ確認するようにしましょう。
7-5.予算を固めてからオプションを考える
ウォール型の一般的なキッチンよりも高額になりやすいペニンシュラキッチン。オプションや条件で大きな価格差が生まれるため、機能性と予算のバランスを考える必要があります。
天板や扉などの素材や、食洗機・オーブンといったビルトイン機器などのオプションにこだわるほど高額になる傾向です。
ショールームやカタログで新しい機能や便利な機能、おしゃれなオプションを見ると、ついつい欲しくなってしまう気持ちはわかります。
しかし、すべての希望を叶えようとすると、どうしても予算がかさんでしまうため、まずはキッチンにかけられる予算を明確にしておきましょう。その上で、「本当に必要な機能か」を自問自答しながら、予算内に抑えられる機能・オプションを厳選していくことをおすすめします。
相場よりも高くなるケースや価格に影響を与えやすいオプションについて詳しく知りたい人は、「キッチンリノベーションの費用はいくら?メーカー6社の商品相場も公開!」を参考にしてみてください。
まとめ
ペニンシュラキッチンについて、特徴やメリットなど理解が深まったでしょうか?キッチンは毎日使う場所だからこそ、理想の暮らしを実現できるベストなものを採用したいですよね。
ペニンシュラキッチンの特徴やメリット・デメリットをしっかりと理解して、ライフスタイルに合う住空間を手に入れてください。
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