「クセのある家が好き」なふたりの “リノベ団地” 暮らし [自由に住みたい大人たち Vol.7 カンタ&マユコさん]

住まいや暮らしに求める自由の形は人それぞれ。ライフスタイルやインテリアを通して “リノベ団地” の魅力を発信しているさんが見つけたカンタ&マユコさんの “自由” とは?
PROFILE●カンタ&マユコ
大学時代にふたりの思い出づくりとしてInstagramを始める。「カップルコーデ」やデートスポットなど、ファッションやお出かけ情報の発信が多かったが、結婚を機にテーマをふたりの新居である “リノベ団地” にスイッチ。家での過ごし方やインテリアが注目され、SNSの総フォロワー数は約4.5万人に。2羽のキンカチョウのブギとウギと暮らしている
2つの住戸をドッキング?!
築50年超の団地。その響きと実際のギャップに驚かされるのは、フォロワーばかりではない。何より住人であるカンタさんとマユコさんもその一人だった。「『団地とは思えない』というDMをもらうことも多いのですが、僕らも見つけたときはこんなところがあるのか! と思いました」

実はこの住戸、2023年に「団地のインテリア・リノベーション」としてグッドデザイン賞を受賞した建築家作品でもある。「隣り合う2つの住戸を1つにリノベーションした部屋なんですよね。だから玄関が2つあって、室内側からはベランダを通って行き来する間取り。 ◯LDKという定義では語れないところも面白いねって」

どう使えばいいかわからないまま住み始めたが、暮らしてみると「めちゃくちゃ満足!」とカンタさん。「あっちで仕事して、こっちでくつろぐとか、寝室や収納の場所を変えてみるとか、いろいろな暮らし方ができるんです。どれが正解かわからないのも楽しくて」。マユコさんも「トータルで98㎡もあるから、いつでもダンスを練習できたり、友達をたくさん呼んでパーティーしたり。みんなに泊まってもらうこともできます!」


視野を広げたからこその出合い
内装もすこぶるスタイリッシュだ。床・天井の白に淡いシナモンカラーの壁を挟んだモダンなカラーリング。間仕切りと収納を兼ねた立体建具は清潔感のあるシナ合板。絵になる空間はあたたかみを感じられるデザインだが、以前、カンタさんが一人暮らしをしていたワンルームとはテイストが正反対なのだそう。「その時は、コンクリートの打ちっぱなしこそが “正義” だと思っていたから(笑)。でも、実際に住んでみると、無機質でさみしい感じ。おまけに冬が寒い! その反動もあって、ふたりで住むなら木の温もりがある家がいいと思っていました」

今の住まいに出合ったのは、仕事をフリーランスに変えたタイミングだった。結婚と同時にカンタさんはフォトグラファー、マユコさんはモデルとダンスインストラクターとして独立。自由な働き方が新居選びの視点を変えた。「通勤がなくなったので、エリアを広げて探すようになりました。ここは大阪の主要駅からバスでアクセスする立地。なじみのない場所でしたが、安さと広さ、デザイン性、そしてこの間取りがイイね! となって即決でした」
“普通”はつまらない。クセがあるくらいがちょうどいい。そんな思いがリノベ団地とぴったり重なった。

自己表現できている家=リノベ
カンタさんは一人暮らし経験が一度だけ、マユコさんは結婚前まで実家暮らし。「初めてのふたり暮らしなので、まずはどんな感じかイメージをふくらませていきたい」と、新居は賃貸を選択した。「水まわり以外は用途を決められていない空間なので、住みながら自分たちらしくアップデートできるのが魅力です。それに団地というと、暗い・古い・不便なイメージでしたが、このリノベ団地は全く違ったんですよね」
マユコさんが懸念していた夜道の暗さやセキュリティ面も「街灯が整備されていて明るいし、住人の方がみなさん親切。敷地内に公園があって、空が開けていて、自然に囲まれている雰囲気にウキウキしました」。カンタさんも新耐震基準に改修されていることを確認。築年数や立地がネックにならないと確信した。

リノベの面白さと団地の魅力。物件の見極め方も会得し、初めてのふたり暮らしとしてはこれ以上ない滑り出しだと感じている。でも、だからこそ今、リノベ熱が再燃しているのだそう。「以前から自邸のリノベに憧れはあったんです。SNSなどでいろいろな人たちを見ていると “自己表現できている家”がどれもリノベだったから。ここに住んで、よりその考えは強まったし、ぼくらも家を通して好きなものやパーソナルな部分を表現したいので、いつか中古住宅を買ってリノベしたい。そこを目標に今はこの家で、空間を遊びながらリノベプランを想像しているのが楽しいですね」

住まいが変わると過ごし方も関係性も変わる
ここに来て、ふたりの過ごし方に変化があったことも、空間の重要性を実感させた。「外ではなく、家で飲むことがかなり増えましたね。自分たちでお酒を選んで、好きな飲み方を考えたり、おつまみをつくったりして。毎晩、そんなふうに家でゆっくり過ごす暮らしはすごくいいなと思いました」。今、ハマっているのはクラフトジン。ジャケット買いしたボトルがずらりと並ぶ。「飲み切ってしまうのがさみしくて “ちょびっと残し” を飾っている」のもふたりらしいインテリアだ。


「今までは、カンタが写真を撮ったり、私がダンスをしたりと、別々に過ごす時間が多かったんですけれど、この家ではそういうひとりの時間を大切にしながらも、一緒に過ごす時間や一緒に考えることが増えました。暮らしの変化としては、それがいちばんうれしかったことかもしれません。外に出かける時も、インテリアショップめぐりなど、家を通じて一緒にできることや共通の趣味が増えました。リノベーションの施工事例なども一緒に見ては盛り上がっています」


自由に変えられる空間を求めて
リノベ団地に住んだ経験をもとに自分たちらしい家をつくれたらと、話し合うたびに夢がふくらむ。では、それってどんな家?
「私は、ふたりで過ごせて、それぞれの時間もつくれる家、かな。具体的なデザインや間取りになると、この家に好きなところがたくさんあるので似ちゃうかも」。マユコさんがそう話すと、カンタさんもうなずく。「ここの好きな要素は取り入れつつ、暮らしの変化に合わせて変えていける家にしたいね」「そうだね! 枠にとらわれず、その時々で自分たちで選んで、自分たちで決めたい。そして、決めたことも変えていける家がいいね」「うん。完成形ではなくアップデートを楽しめるように」。
変幻自在な住まいの輪郭が見えてくるまで、ふたりはもうしばらく、今の家を「暮らしの実験室」として遊び続けていくのだろう。

構成・取材・文/樋口由香里 撮影/山口 明
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