森 泉さんが教えてくれた「焦らなくていい」暮らし[自由に住みたい大人たち Vol.10 森 泉さん 〜後編〜]

住まいや暮らしに求める自由の形は人それぞれ。東京の自宅と千葉のビーチハウスを行き来する森 泉さんが見つけた “自由” とは?
PROFILE●森 泉
19歳でモデルデビューし、パリ・オートクチュールコレクションに出演。数々のファッション誌の誌面を飾る一方、タレントとしても活躍している。DIYや動物との暮らしを紹介するInstagramやYouTubeも人気
日常に感謝が生まれる二拠点生活
「二拠点を始めて20年近くになりますが、まだまだ南房総の家にも街にも発見があって。東京と千葉、それぞれの場所でしかできないこともあって。違う暮らし方ができるんですよね。それは私にとって、とてもいいバランスになっています。

人生について考え方も変わりました。より、ありがたさを感じられるようになったというか。例えばサボテンが小さな花をつけたとか、枯れそうな子が元気になったとか。些細なことなんだけれど、そういう喜びを感じられることがすごくうれしいなって」
小さな喜びを感じるたび、幼い頃から耳にしていた母の口癖が、実感をともなって体内でこだまする。 “Anything else is just icing on the cake!”
「おいしいケーキの上にアイシング(砂糖の衣)がかかっているなんて、そのままでも十分なのに喜び倍増だね! というような意味なんですけれど。これを口癖にするくらい、母は昔から小さな喜びを大事にしている人で。特別なことじゃなくていいんですよね。日常に感謝が生まれる暮らし。それを私も二拠点にしたことで得られた感じがありますね」

DIYとヴィンテージに共通する物語性
DIYの楽しさを知ったのも、母がきっかけだったという。「母はアメリカ人だから、自宅のメンテナンスをする文化があってDIYが得意。私が子どもの頃に、プリンセスのような天蓋付きのベッドが欲しいとおねだりしたら、じゃあつくろうと言って一緒に木材や布を買いに行き、話し合いながら完成させたことがありました。
私は小さいのでほぼ母がつくりましたが、すごく楽しくて。思い入れのあるベッドになったので、娘にも同じような経験をさせてあげたい、という気持ちはあります。
今は、欲しい物が探せばあるかもしれないし、買ったほうが安くて、わざわざつくる必要はないかもしれない。でも、DIYをすると思い出がつくれる。できるまでの過程を見ていると愛着が湧く。そうすると長く大事に使うようになる。そこに価値があると思うんです」

ヴィンテージが好きなのも同じような理由から? 「そう。そこにストーリーを感じるからだと思います。使っているときにふと、ここはなんでちぎれているのかな? 犬がかじったのかな。このシミはコーヒーをこぼしたのかな? そう考えるのが楽しくて。今、生まれた物にはないテクスチャーだったり、汚れだったりするのが、私にとっては味なんです」
誰かが使ってきた物を受け継ぐことで、見知らぬ人のストーリーも感じ取っている森さん。思想の根底にあるのは消費ではなく循環。物語とともに人や物とつながる楽しさを知っているからこそ、自分の物をいつか誰かに手渡す時のことも夢想する。「次の人がこれどうしたのかなって、考えてくれたらうれしいですね」

親の背中と環境が子どもの原体験に
「ママー、洋服のままプールに入っていい?」。庭から大声で叫ぶ長女に、森さんも大きく返す。「いーよ!」「やっぱり怖い!」「背中、押してあげようか?」。にぎやかな掛け合いの中、頭まで潜って泳ぎ始めた小学2年生の長女に目を細め、森さんが話す。娘には好奇心を持ってほしい、と。
「庭で虫と遊んだり、海で拾った貝殻を作品にしたり。楽しそうな姿を見ると、小さい時からこの環境があるのはスペシャルなことだなってつくづく思います。同時に、親が興味をもって何かに取り組む姿を見せることもすごく大事だと思っていて」

「ただし、考えを押し付けたくはない」とキッパリ。「別に、親と丸っ切り違うことをしてもいいと思うんです。娘には自分の好きなことにチャレンジしてほしい。でも、体験していなかったら何が好きかわからないでしょう?
親がペンキを塗ったり、草むしりをしたりしているのを見て、大きなクモやカエルなどたくさんの生き物と触れ合って、自分がやりたいか、好きか嫌いか感じてくれればいい。ここにいることがきっと、何かの体験になっているはず」

暮らしを通して伝えたいのは「こんなことができる」という選択肢。住まいの環境は「やっていいんだよ」という無言のメッセージだ。その思いを感受してか、長女の目下の望みは庭にあるプレハブ倉庫を自分の部屋に改造することだという。
「子どもの発想ってすごいですよね。壁を白く塗って床をフローリングにして、天井からは小さいシャンデリアを下げたいみたい。具体的なオーダーが入っています(笑)」
プロセスを楽しみ、フィーリングで選ぶ
動物、植物、DIY、ヴィンテージ、そして暮らし方。通底するのは思い出と体験だ。そして、その物語の中心にはいつも家がある。「リノベーションの醍醐味って、好きなようにできることですよね。思い入れのあるところや居心地のいいところを残しつつ、オリジナルの形にできるから」

では、もしリノベ前の自分にアドバイスをするとしたら? 「何も言わない。言っても聞かないと思う(笑)。いろいろな意見を参考にしながら選ぶ人もいると思いますが、私はそのプロセスも自分で楽しみたいタイプ。その時に感じた気持ちに従って、フィーリングで動きたいんです」
その直感は両親の教育によって培った部分が大きいと、振り返る。「思えば私の親は、子どもに対して “物より経験” を大切にしていたと思います。だから、海外などいろんなところに行かせてもらったし、おかげでたくさんの人と出会うことができた。そこで感じたものが今に生きているので、すごく感謝していますね」

家は、素の心を開く場所
インタビュー中に何度も繰り返される感謝や幸せという言葉。その起点が家にあるのだとしたら……。もしかして、家が一番好きな場所ですか?
「そう! そうじゃなきゃダメかなって思います。家は素の自分でいられる、心を開く場所だから。人は好きなものに囲まれていると幸せを感じると思うし、そういう家をつくることが理想だなと思うんです」
だからと言って、今の家が完璧なわけではないという。「 “いっせいのせ” で全部完成させなくていいの。ちょっとずつ進化していくのが楽しいから! 私も成長とともに好みが変わっていくので、一緒にお家も変わっていくといいんじゃないかなって思っていて。
進化の過程で、意外と自分はこれが好きなんだとか、居心地がいいんだっていう新しい発見もあってね。そのプロセスを経るほうがお気に入りをつくっていけることもある。人によっては家族構成が変わることもあるだろうし。

大切なのは、状況の変化に応じて少しずつ変えていける余裕をもつこと。そうすると、後悔しないで進められるような気がします」。
進化の途上だから先はわからないと前置きしつつ、その未知数も含めて楽しそう。「私にとっての自由な暮らしは、常に進化していけるということ。家のアップグレードも、庭で見つけた新芽も、近所にできた新しいお店の発見も」

日常に小さな喜びを見出し、幸せの地図を塗り替えていくことに自由を感じる森さん。今、コンパスの針はどこに向いているのかたずねると「いつか温室ドームに住むこと!」と即答。
「植物園にあるような巨大な温室をつくって、中に庭や家があるイメージです。海外には実際にそういうドームを建てて住んでいる人がいてね。そのSNSを参考に、自分だったらどうするか想像するのが楽しいんです!」
諦めなくていい。焦らなくていい。今すぐ実現しなくてもいい。足元の幸せと好奇心を集めていく毎日が自分らしい未来をつくるのだと、森さんが教えてくれた。

構成・取材・文/樋口由香里 撮影/水谷綾子
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