“直感×粘り” で生み出す暮らしのポテンシャル[自由に住みたい大人たち Vol.9 ヒゲとわたしさん]

住まいや暮らしに求める自由の形は人それぞれ。ライフスタイルをSNSで発信するクリエイティブな夫婦ユニット「ヒゲとわたし」さんが見つけた “自由” とは?
PROFILE●ヒゲとわたし
ライフスタイルをYouTubeやInstagramで発信しているデザイナー夫婦。ロンドン暮らしとクリエイティブな仕事で培ったインテリアのノウハウやおすすめの商品を、あたたかな日常の風景に載せて伝えている
目次
ずっと東京に住むのか、それとも?
以前のSNSでは、真っ赤ならせん階段と吹抜けが印象的なメゾネットからライフスタイルを発信していた「ヒゲとわたし」さん。新居にお邪魔すると一転、穏やかな光が回るオーガニックな空間が広がっていた。


「あの家も好きだったんですよ。ただ、赤色はエネルギーが強いぶん、日々目にしているとたまに距離を置きたくなるもので」と笑うわたしさん。空間を彩る鮮やかな赤色の刺激から、時々離れたくなることがあったそう。そこで賃貸物件を探したものの、お金をかけて引っ越すほどでもない。「やっぱりここでいいか。でも、この賃貸に一生住むの?」
彼らには「今、買わなかったら一生賃貸かも」という葛藤がずっとあったという。「私たちは “住めば都” タイプだから、気になることがあってもわりと許容できてしまう。ただ、買うならローンの組みやすさから年齢的に早いうち、職業的にも会社員でいるうちがいい。つまり、今なのか?って」
すると、前々から話題に出ていた “エリア問題” も浮上した。「2人とも地方出身なこともあり、いつか自然の中で暮らしたいという思いがあって。ただ、仕事面で今すぐ地方に行くのは難しい。かといって、東京に家を買ってずっと住むのも違う。どうしようと悩んだ末に、じゃあ、いつか二拠点にしようと。その目標を立てたから “東京で買う” に踏み切れました」

旧耐震まで広げた物件探し
「家を買うならリノベ」。そう決めていたという2人。「誰かが住んでいた建物や使っていた素材を利活用することって、シンプルに面白い。その舞台にするなら古い一軒家が理想でしたが、東京ではあまりないのでマンションを探しました」。その際、検索条件から新耐震物件をあえて除外。「早々に予算的にムリだとわかり、それ以降は旧耐震の一択でした」
以前、築数百年の建物が並ぶロンドン暮らしをしていただけに、古さには抵抗がなかった。気になる物件は、管理・修繕履歴などの建物状況を不動産会社に確認。「プロの目」を通すことで安心して物件探しを続けた。


こだわったのは、眺望と抜け感。「面積は狭くてもいいし、部屋数や間取り、駅近にもこだわらない。エリアも23区内ならどこでもOK。でも、窓外の景色と、室内の開放感だけは絶対条件でした」。以前のメゾネットも物件の決め手は吹抜けが与える広がり。ロンドンでの住居も天高があって抜けを感じられるアパートだった。
見れば確かに2人の新居も、3面にわたる大開口とバルコニーに囲まれたレイアウト。窓を開けても隣家が迫ることなく、どこにいても視線が遠くまで抜けていく。「都内では珍しい間取りですよね。内見して即決でした。旧耐震の築53年ですが、全然気になりません。たくさん探してきただけに、ここしかないと確信しました」

リノベもDIYも最後は2人で “粘り勝ち”
磨けば光る石を手に入れて、デザイナーである2人のクリエイティビティが高鳴った。どこを残してどう削り、どんな色の何を足そう? 二人三脚で練りながらも、本当にそれでいいかと追い求めるのはわたしさんだ。
ヒゲさんいわく「彼女のほうがこだわりが強い。素材一つとっても、それはもう徹底的に調べる」という。「だって、わからないんだもん」とわたしさん。デザイン的な要望を実現する術があるのか、どの建材がいいのか、違うアイデアはないのか。コストは? 手間は——?
振り返れば、そこに妊娠・出産が重なって “わからない” が2乗になる現実だった。「大きいおなかで物件探し、出産1週間前でも壁の色を決めきれなくて。産後、ひと月未満の外出ができない時期に、工事現場へ行ったヒゲさんとリモートで打ち合わせ。引っ越し前後は子どもを見ながらDIYで壁の塗装をする……、想像していたより何倍も大変でした」

子育てもリノベも “初めて” だらけ。どう乗り切ったか訊ねると「わからないことは、とにかくやる」と笑う。「ヒゲさんは即決タイプで、わたしは悩みながら決めていく。だから悩みあぐねている時に『僕はこう思うよ』って言ってくれるのはすごく助かる」。それを受けてヒゲさんはキッパリ。「僕は答えが決まっていて、理由も明確。それを参考にして、と言えます」「そこを加味して、わたしはまた考え続けるんです」
どちらも悩んだら進まないから、このバランスがいいよね、と目を合わせる。幾度も思いを交わし、直前で変えたことも少なくない。「他にまだ何かあるはずだって調べて正して、だいたいのことは “粘り勝ち”。妥協したことも多いけれど、粘れたことに感謝だし、今の家に満足しています」

新居愛と空間のポテンシャル
パーフェクトではないけれど「やっぱり全部いい」。そう断言できる住まいになった。いつでも視界に入る窓が、空の大きさ、樹々の緑、日の移り変わりを届けてくれる。選び抜いたデザインの一つひとつに、子どもを見守りやすいキッチンのレイアウトに、今までにない暮らしの手触りを感じている。そして、未来の楽しみも。
「今は未完成ですが、いつか床の間風に使えたらすごく良い!という話になって、一見無駄に思えるけれどあえて残した空間もあります」。いつかそこを整えられたら推しポイントになるね、と会話が弾む。空間のポテンシャルも含めて「やっぱり全部いい」なのだ。


住まいと物の相関関係
住む場所と住む家を変えながら、たどり着いた今。「その家に合う暮らしがある」と感じている。
「学生時代にロンドンで最初に住んだのは、私たちだけ2人1室、他の人は個室を使う計5人のシェアハウス。地元の友人にもスゴイと言われるほどかなり年季の入ったフラットで、洗練されたデザインのものを置いても浮いてしまうような雰囲気でした」。物価は高いし、学生だからお金もない。家具から食器まで、すべてシェアするのが日常だった。
自分たちの部屋以外には自由がなく「あるがままの状態を受け入れるだけの生活でした」。次の住まいは、結婚して初めての2人暮らし。そこで初めて「空間を好きな物で固めていける」喜びを知る。同時に、いつか帰国するかもしれないことを考慮して、家具や割れ物を買い控える不自由も味わった。帰国して東京で賃貸暮らしを始めてようやく「きちんとした家具」を買えるように。

「一段ずつ、階段を上っているなっていう感覚はありますね。さらにリノベで床や壁も好きになり、家に合わせて物との付き合い方が変わってきたんだな、と。以前は “DIYや安い物だけで何とかまかなう”だったけれど、今は空間をきちんと作ったからこそ、空間に合うようなデザイナーズものや作家さんの作品なども取り入れていきたい」。物選びがよりシビアになったのは、今の家に合う暮らしを選び取ることでもあるからだろう。


不自由を楽しむ心の余白が、暮らしの自由を切り拓く
環境を変え、プランを深め、一段ずつ上って自分たちらしい自由を広げてきた。そんな彼らにとって自由とはどういう意味をもつのだろう。
「リノベは、自分たちの好きにできるから自由、賃貸だと勝手に変えられないから不自由。そういう考えもあると思います。でも、リノベだって予算などの制限はついて回る。もっと言えば、世の中で生きていく上で全てにおいてルールがある。それなら不自由な側面や制限をマイナスととらえず、逆に楽しめるほうがいい。そんな気持ちの “余白” をもつことが、自由な暮らしにつながっていくんじゃないかって感覚がありますね」
いかにポジティブにとらえて実行するか——。会話の最後にわたしさんが発した「マインドの自由」というひとことを、ヒゲさんの目が受け止めた。多くのフォロワーを引きつけるのは、ライフスタイルの先にある彼らの生き方なのかもしれない。

構成・取材・文/樋口由香里 撮影/橋本裕貴
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