部分リノベの可能性を広げる!設計も現場もわかる“ハイブリッド職人”|部分リノベのプロに聞いた ゼロリノベのここがユニーク vol.6

設計と現場監督の両方に精通したスペシャリストが、設計から引き渡しまでお客様と向き合う「設計部部分リノベチーム」。立ち上げ当初からチームを牽引してきた髙田夏子に、部分リノベのポテンシャルについて聞きました
ー語り手ー
設計部 部分リノベチーム
髙田夏子
設計も現場もハンドリングできる魅力
既存を活かしながら部分的にリノベーションをするお客様すべてを対象にしているのが「設計部部分リノベチーム」。物件の専有部分をスケルトン状態に全て解体して、ゼロから作り上げるフルリノベーションとは違い、お客様の要望に沿って部分的なリノベを行います。
最大の特徴は、お客様の窓口、設計、予算管理、現場監督を全て1人で担う点。他部署との調整が少ない分、お客様のご相談に対して素早くレスポンスができます。
例えば追加のご要望が出たときも、「それなら、この方法だと工程への影響を最小限にしつつ予算内でできますよ」というように、設計と現場管理の両面からスピーディに提案できる。工事内容や予算調整、スケジュールなど、プロジェクトをすべてハンドリングしているからこそですね。
加えて職人さんとの距離が近く、相談しやすい点もこのチームならでは。それが、お客様の意図をダイレクトに現場へ反映することにつながって、要望を形にしていく手応えを感じられる。やりがいのある仕事だなと思います。

働き方としては、フルリモート・フルフレックスなのも大きな魅力。現場確認や打ち合わせ以外は出社の必要がないので、仕事のリズムを自分でつくれるのがいいですね。チームメンバーと「こういう職種で、休日まで自由に決められる職場はなかなかないよね」と話すことも。ゼロリノベらしいユニークな体制ですね。
制限があるからこそ面白い
2021年に2人でスタートした部門ですが、今では10人以上のチームに成長し、施工実績は200件を超えました。最近は、部分的なリノベでも自由度が高いことをわかって選ばれる方も多く、住まいに対する価値観の多様化を感じます。お客様によって求めるものも規模もさまざまですが、 “その方の本質的な要望を反映させる” という点ではフルリノベと変わりません。
一方で、フルリノベとのいちばんの違いは、工事しない既存部分を活かしながら要望をかなえる点。すべて解体してスケルトン状態にできれば配線や配管をある程度自由に動かせますが、部分リノベでは既存が残ることで配管ルートなどの制約が多い点も特徴です。それにより浴室やキッチンを動かしにくかったり、着工してみたら抜く予定の壁の中に動かせない配線があったり。

そうした難しさもありますが、実はチーム内に多いのは「条件が厳しいほど燃えるタイプ」(笑)。フルスケルトンでゼロから自由につくるより、制限がある中でお客様の理想をどうしたら実現できるか。「これがダメなら、この方法は?」とベストを導き出す道のりが楽しいし、最適解を発見できるとうれしくて。制限があるほうが、やりがいと達成感があるんです。

「選択肢」が選ぶ喜びとオリジナリティを生む
私が大切にしていて、メンバーにもよく話すのは「できるだけ選択肢を提案すること」。お客様自身で選んで頂くことは喜びにもつながりますし、選択した結果、その人らしいオリジナルの住まいになるとも思います。
最初のヒアリングでは、要望されていないことでも必要だと思えば費用面を考慮しながらご提案しています。洗濯機の上の空間は棚をつけなくていいのか確認したり、壁紙を希望の範囲だけでなく「ここまで貼り替えても金額はこの程度の加算で済みますよ」と伝えたり。
間取りに関しても、どの部屋をどう使うかあまりイメージできてない方が多いので、そこも丁寧にヒアリング。さらに「今」だけでなく「未来」も大事。家族構成が変わったら? お子さんが成長したら? 暮らしの変化を想定し、お客様にとっての個別解を探りながら提案していきます。


お客様の味方になれる存在でいたい
以前、引き渡し後に、既存のコンセントを使っていたら割れてしまったという相談を受けたことがありました。ほんの数分で直せる簡単な修理なので、できるなら自分で直してあげたい。でも、電気工事士の資格がないと触れない。仕方なく電気工事会社を手配し、工事費をお支払いして頂きましたが「自分が資格を持っていたらサービスでできたのに」と悔しくて。その後、すぐに電気工事士の資格を取りました。
その出番はまだありませんが、名刺を見たお客様から「なんで、この資格?」と聞かれるようになりましたね。お客様のお力になりたくて取得した経緯を説明すると安心して頂けます。
せっかく設計から現場監理まで担当するのだから、できるだけのことをしたい。その思いは変わりません。担当者の裁量で納得いくまでお客様と向き合える。それが醍醐味だと思います。

設計と現場、どちらも同じくらい好き
部分リノベは変える範囲が限定的だからこそ、そこに強いこだわりを見せる方が多い印象ですね。皆さんそれぞれ思い入れがあると思いますが、どのお客様にも伝えたいのは「やりたいことを実現するために、とことんサポートします!」ということ。
仕上がりや間取りの不安については、現地確認や打ち合わせの際に丁寧に説明します。どうリノベしたらいいのか、どんな家がいいのか迷っている人、部分リノベだと希望のデザインになるのか心配している人にも「大丈夫!」と言いたいですね。選択肢を複数提供し、納得して選んでいただくことで、お客様の安心感や満足感につながっていると感じます。

以前、予算が厳しいけれど、こだわりは譲れないというお客様を担当したことがありました。全体のデザイン面だけでなく細部までイメージが明確で、その思いに何とか応えたくて。窓がないWICに通気と採光を要望されたので、隣室との間仕切り壁を低くし、天井伝いに風と光を得られるようにしたことで喜んでいただけました。
どんな案件でも、メインの空間からディテールまで妥協しないでお客様の思いに伴走する。だからなのか、引き渡し後に「いろいろ提案してくれてありがとう」と言ってもらえることが多いですね。「最初はイメージが漠然としていたけれど、打ち合わせを重ねるごとにやりたいことがわかって理想の部屋になりました」とか「この予算で想像以上のデザインになってうれしい」という言葉をいただくこともあって、こちらまでうれしくなります。

私だけでなくメンバーも、設計と現場の両方とも好きな人が多いですね。その楽しさも難しさも共感できて仲のいいチームだなと思います。部分リノベは「できること」に限りがある分、“機転が利いた発想”が試される仕事。これからも、お客様にとってのベストを、チームみんなで追求していきたいです。






