住宅ローンの繰り上げ返済はしないほうが得?メリット・デメリットと判断基準

住宅ローンの繰り上げ返済は、必ずしもしたほうが得とは限りません。
住宅ローン控除の適用状況、金利、返済時期、そして手元資金の余裕によっては、しないほうが結果的に得になるケースもあります。
繰り上げ返済は、元金を前倒しで減らして将来の利息負担を抑えられる有効な方法です。一方で、返済のやり方や時期を誤ると、期待したほどの効果が出ないこともあります。特に、住宅ローン控除の適用期間中は、繰り上げ返済によって年末残高が減ると控除額も下がるため、利息軽減額と控除減少額の両方を確認する必要があります。
繰り上げ返済で失敗しないためには、まずメリット・デメリットを正しく把握し、自分の状況と照らし合わせて判断することが大切です。
この記事では、「繰り上げ返済してはいけない理由」「しないほうが得な人」「最適なタイミング」まで含めて、判断に必要なポイントを整理します。

ファイナンシャルプランナー
茂木 禄人
株式会社Mapフィナンシャル において、独立系アドバイザーとして活動。詳細プロフィールはこちら
住宅ローンの繰り上げ返済とは?一部繰り上げ返済と一括返済の違い
まずは住宅ローンの繰り上げ返済の基礎知識から見ていきましょう。
住宅ローンの繰り上げ返済の概要
住宅ローンの繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に、元金の一部または全部を前倒しで返済することです。繰り上げ返済した金額は元金の返済に充てられるため、その分だけ将来支払うはずだった利息を減らせます。
住宅ローンの返済は、毎月の返済の中に元金と利息が含まれています。繰り上げ返済は、このうち元金部分を先に返すイメージです。元金が減れば、その元金に対して将来発生する利息も減るため、結果として総返済額を抑えられます。
繰り上げ返済には、大きく分けて「一部繰り上げ返済」と「一括返済」があります。一部繰り上げ返済は、まとまった資金の一部を返済に回す方法で、家計への影響を抑えやすいのが特徴です。一括返済は残りのローンをすべて返済する方法で、完済を早められる一方、手元資金が大きく減る点には注意が必要です。
繰り上げ返済の2つの方法
繰り上げ返済には、「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つがあります。どちらも元金を減らす点は同じですが、家計への効き方が異なります。
返済期間短縮型は、毎月の返済額を変えずに、返済期間を短くする方法です。毎月の返済負担はそのままですが、完済時期が早まり、支払う利息を大きく減らせます。総返済額をできるだけ少なくしたい人に向いています。
返済額軽減型は、返済期間を変えずに、毎月の返済額を少なくする方法です。毎月の支出を抑えられるため、教育費が増える時期や、家計のキャッシュフローを安定させたいときに向いています。完済時期を早める効果はありませんが、月々の負担を軽くしたい人にとっては使いやすい方法です。
▼ 繰り上げ返済の2つのタイプ
| タイプ | 毎月返済額 | 借入期間 |
| (1)返済期間短縮型 | 変更なし | 短くする |
| (2)返済額軽減型 | 少なくする | 変更なし |
(1)返済期間短縮型の特徴
返済期間短縮型は、同じ金額を繰り上げ返済するなら、利息軽減効果が大きくなりやすい方法です。返済期間を短くできるため、将来支払う利息をまとめて減らせます。
たとえば、借入額3,000万円、返済期間35年、固定金利1.2%、元利均等返済のローンを、借入から5年後に300万円繰り上げ返済した場合、返済期間短縮型では総返済額を大きく圧縮できます。完済時期を早めたい人や、老後までにローンを減らしておきたい人には相性のよい方法です。
具体的にイメージしやすくするために、実際に計算してみましょう。
▼ 「返済期間短縮型」のシミュレーション結果
| 繰り上げ返済 しなかった場合 | 繰り上げ返済 した場合 | 差 | |
| 毎月返済額 | 87,510円 | 87,510円 | 0円 |
| 総返済額 | 36,754,200円 | 35,578,303円 | ▲1,175,897円 |
| 残存返済期間 | 30年 | 26年1カ月 | ▲3年11カ月 |
返済期間が3年11カ月短縮され、総返済額は117万円減ったことがわかります。
(2)返済額軽減型の特徴
返済額軽減型は、毎月の支出を少なくしたいときに有効です。返済期間は変わらないため、今後の生活費や教育費など、ほかの支出とのバランスを取りやすくなります。
借入額3,000万円、返済期間35年、固定金利1.2%、元利均等返済のローンを例にすると、借入から5年後に300万円繰り上げ返済した場合でも、返済額軽減型は月々の返済額を下げられます。完済を急ぐ必要はないものの、毎月の家計負担を少しでも軽くしたいという人に向いています。将来の安心感を重視する人にとっては、使いやすい選択肢です。
▼ 「返済額軽減型」のシミュレーション結果
| 繰り上げ返済 しなかった場合 | 繰り上げ返済 した場合 | 差 | |
| 毎月返済額 | 87,510円 | 77,583円 | ▲9,927円 |
| 総返済額 | 36,754,200円 | 36,180,480円 | ▲573,720円 |
| 残存返済期間 | 30年 | 30年 | 0年 |
返済期間はそのままで、月々の返済額が9,927円減り、総返済額は57万円減ったことがわかります。
返済期間短縮型と返済額軽減型の向いている人
ここまで見てきたとおり、同じ時期に同じ金額を繰り上げ返済する場合であれば、返済期間短縮型のほうが総返済額は少なくなります。
返済期間短縮型と返済額軽減型のどちらを選ぶべきか、基本的な考え方は以下のとおりです。
| (1)返済期間短縮型 | 「総返済額」を減らすことを優先したい人向け |
| (2)返済額軽減型 | 「毎月の返済額」を減らすことを優先したい人向け |
住宅ローンを繰り上げ返済してはいけない大きな理由
住宅ローンの繰り上げ返済は、利息を減らせる一方で、やみくもに行うと損になる場合があります。特に、手元資金が減ること、住宅ローン控除の恩恵が小さくなること、手数料がかかることは見落としやすいポイントです。
まず大きいのは、繰り上げ返済によって現金が減ることです。一度返済したお金は戻せないため、病気や失業、教育費の増加など、急な支出に対応しにくくなります。
次に、住宅ローン控除を受けている場合は注意が必要です。住宅ローン控除は、入居年と住宅区分によって借入限度額や控除期間が異なるため、最新条件の確認が必要です。繰り上げ返済で年末残高が減ると控除額も下がるため、利息軽減額よりも控除減少額のほうが大きくなることがあります。繰り上げ返済後の最終償還月まで含めて、償還期間が10年以上あるかを判定します。返済期間短縮型で、繰り上げ返済後の償還期間が10年未満になると、控除の条件を満たさなくなる可能性があります。
さらに、金融機関によっては繰り上げ返済手数料が発生します。少額の返済を何度も繰り返すと、利息削減のメリットが手数料で相殺されることもあります。
そのため、繰り上げ返済は「早く返せば必ず得」ではなく、生活防衛資金を残せるか、控除を含めて本当に有利かを見て判断する必要があります。
繰り上げ返済で得られるメリット
繰り上げ返済の最大のメリットは、利息を減らして総返済額を抑えられることです。住宅ローンは返済期間が長いため、少しの元金を早く返すだけでも、将来の利息に与える影響は小さくありません。
特に返済開始から早い段階で行うほど、元金が多く減るため効果が大きくなります。返済当初は利息の比率が大きいため、前倒しで元金を減らす価値が高いからです。金利が高いほど、繰り上げ返済の効果も大きくなります。
また、返済額軽減型を選べば毎月の負担を抑えられるため、家計に余裕を作りやすくなります。さらに、住宅ローン以外の借入れを検討している場合は、返済負担率を下げることで借入れ余地が広がることもあります。
利息をカットし総返済額を減らせる
1つめのメリットは「利息をカットし総返済額を減らせる」ことです。
前章では返済期間短縮型・返済額軽減型のシミュレーション例をご紹介しましたが、ここで改めてまとめてみましょう。
▼ 借入金額3,000万円・借入期間35年・固定金利1.2%・元利均等の住宅ローンを、借入れから5年後に300万円を繰り上げ返済した場合のシミュレーション
| 繰り上げ返済しなかった場合 | 繰り上げ返済した場合 | ||
| (1)返済期間短縮型 | (2)返済額軽減型 | ||
| 総返済額 | 36,754,200円 | 36,180,480円 | 35,578,303円 |
| 利息軽減額 | 0円 | ▲1,175,897円 | ▲573,720円 |
このように繰り上げ返済することができれば、利息を大幅にカットすることが可能です。
上記の計算例では固定金利1.2%で試算していますが、金利が高くなるほど総返済額を軽減させる効果は高くなります。金利が高いほど、カットできる利息の額も高くなるためです。
新たなローンの借入可能額を増やせる
2つめのメリットは「新たなローンの借入可能額を増やせる」ことです。
現在借り入れている住宅ローンに加えて、新たな住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなどの借入れを検討している場合には、繰り上げ返済によって借入可能額を増やすことが可能です。
ローンを借り入れる際に特に重要な指標となるのが「返済負担率」で、返済負担率とは年収に占める年間返済額の割合のことです。
例えば【フラット35】の場合、利用条件としてすべての借入れに関して総返済負担率が以下の基準を満たしている必要があります。
▼ 【フラット35】の返済負担率の基準
|
年収 | 400万円未満 | 400万円以上 |
| 基準 | 30%以下 |
35%以下 |
返済額軽減型の繰り上げ返済によって、年間返済額を下げれば、結果として返済負担率が下がるので、新たなローンの借入可能額を増やせます。
簡単に試算してみましょう。以下は年収500万円の場合のシミュレーションです。
▼ 年収500万円の人が、借入金額3,000万円・借入期間35年・固定金利1.2%・元利均等の住宅ローンを、借入れから5年後に300万円を繰り上げ返済した場合のシミュレーション
| 繰り上げ返済 しなかった場合 | 繰り上げ返済 した場合 | |
| 毎月返済額 | 87,510円 | 77,583円 |
| 年間返済額 | 1,050,120円 | 930,996円 |
| 返済負担率 | 21.0% | 18.6% |
繰り上げ返済したことによって返済負担率が【21.0%→18.6%】と下がり、その分、新たなローンの借入可能額に余裕ができます。
ライフプランに合わせて返済計画を調整できる
3つめのメリットは「ライフプランに合わせて返済計画を調整できる」ことです。
繰り上げ返済によって、予定よりも早くローンを完済したり、あるいは月々の返済額を減らしたりと、返済計画を調整することでライフプランに合わせた資産形成が可能になります。
例えば、早期にローンを完済して老後資金の形成をスタートする、月々の返済額を減らして家計にゆとりを持たせるなど、柔軟な選択肢が生まれます。
ご自身や配偶者の年齢、子どもの成長、家族の形に合わせて返済計画を最適化できることは、繰り上げ返済のメリットです。
住宅ローン繰り上げ返済はしないほうが得なケース
繰り上げ返済をしないほうが得なケースは、主に「手元資金を優先したい」「住宅ローン控除の恩恵が大きい」「返済残高が少ない」の3つに分けられます。
この3つのどれかに当てはまる場合は、急いで繰り上げ返済をしないほうが合理的なことがあります。
手元資金を優先したい
手元資金が十分でない人は、無理に繰り上げ返済をしない方が安全です。
たとえ利息を減らせても、急な出費に対応できずに借入れを増やしてしまえば、本末転倒になります。生活防衛資金を残したうえで余裕がある場合に限って検討するのが基本です。
住宅ローン控除の恩恵が大きい
次に、住宅ローン控除の期間中は慎重に判断する必要があります。繰り上げ返済で残高が減ると控除額も下がるため、利息軽減額だけを見て判断すると損をすることがあります。特に返済期間短縮型は、返済期間が10年未満になると控除の条件を満たさなくなる可能性があるため注意が必要です。
返済残高が少ない
返済残高が少ない人や、返済終了が近い人も、繰り上げ返済のメリットは小さくなります。手数料や控除減少を差し引くと、思ったほど得にならないことがあるため、シミュレーションで確認してから判断したほうがよいでしょう。
繰り上げ返済の効果が大きいタイミング
繰り上げ返済の効果は、いつ行うかによって変わります。基本的には、早く、残高が多いうちに実行するほど効果が大きくなります。
ただし、住宅ローン控除の適用期間中や、手元資金が少ない時期は慎重に判断する必要があります。「早いほど良い」と単純に考えるのではなく、制度面と家計面の両方から見て判断することが大切です。
3つのポイントを解説しましょう。
① 早いほど効果が高い
② 金利が高いほど効果が高い
③ 残高が多いほど効果が高い
早いほど効果が高い
同じ金額を繰り上げ返済するなら、早い時期に行うほうが利息軽減効果は大きくなります。元金が早く減るほど、将来支払う利息もその分だけ少なくなるからです。
たとえば、「借入金額3,000万円・借入期間35年・固定金利1.2%・元利均等の住宅ローンで、300万円を返済期間短縮型で繰り上げ返済する場合」でも、借入から5年後に実行するのと15年後に実行するのとでは、削減できる利息に大きな差が出ます。早期の返済ほど、効果を実感しやすくなります。
実際にシミュレーションしてみましょう。
▼ 繰り上げ返済の時期による効果の違い
| 繰り上げ返済 しなかった場合 | 5年後に 繰り上げ返済した場合 | 15年後に 繰り上げ返済した場合 | |
| 総返済額 | 36,754,200円 | 35,578,303円 | 36,030,412円 |
| 利息軽減額 | 0円 | ▲1,175,897円 | ▲723,788円 |
カットできる利息の額は、5年後に繰り上げ返済すると【117万円】、15年後に繰り上げ返済すると【72万円】となり、【約45万円】の差額が生まれることがわかります。
このように、繰り上げ返済をするなら、できるだけ早い時期にしたほうが得なことがわかります。
金利が高いほど効果が高い
金利が高いほど、元金を減らしたときの利息削減効果も大きくなります。変動金利で金利が上がっている時期は、繰り上げ返済のメリットが出やすくなります。
逆に、低金利の状態では削減できる利息が少ないため、返済額が大きくても効果は限定的です。金利水準を確認したうえで判断することが大切です。
「借入金額3,000万円・借入期間35年・元利均等の住宅ローンで、300万円を返済期間短縮型で5年後に繰り上げ返済する場合」で、金利が1%の場合と2%の場合を比較してみましょう。
▼ 金利による効果の違い
(1)固定金利1%
| 繰り上げ返済 しなかった場合 | 繰り上げ返済 した場合 | |
| 総返済額 | 35,567,700円 | 34,613,225円 |
| 利息軽減額 | 0円 | ▲954,475円 |
(2)固定金利2%
| 繰り上げ返済 しなかった場合 | 繰り上げ返済 した場合 | |
| 総返済額 | 41,738,760円 | 39,532,630円 |
| 利息軽減額 | 0円 | ▲2,206,130円 |
カットできる利息の額は、金利1%では【95万円】、金利2%では【220万円】と大きな差が出ることがわかります。
上表ではわかりやすく固定金利で計算しましたが、変動金利の場合には、金利が高くなっているときに繰り上げ返済したほうが得となります。
残高が多いほど効果が高い
返済残高が多いほど、元金を減らしたときのインパクトは大きくなります。ローンの序盤ほど残高が大きいため、繰り上げ返済の効果を得やすい時期といえます。
複数の借入れがある場合は、条件を見比べながら優先順位を決めるとよいでしょう。金利や残高が大きいローンから見ていくと、効率のよい判断がしやすくなります。
金利などの諸条件が同じであれば、残高が多く残っているローンから優先して繰り上げ返済したほうが得となります。
繰り上げ返済をすべき人・しないほうが得な人の判断基準
繰り上げ返済をするかどうかは、感覚ではなく条件で判断するのが大切です。判断基準は、手元資金、住宅ローン控除、金利、そして返済目的の4つです。
「今すぐローンを減らしたい」という気持ちだけで決めるのではなく、控除や生活費まで含めて比較しましょう。そのうえで、有利になる人だけが繰り上げ返済を選ぶのが基本です。
繰り上げ返済をしたほうが良い人の特徴
繰り上げ返済をしても十分な生活防衛資金が残る人は、検討しやすいです。また、返済負担率を下げたい、完済時期を早めたいなど、明確な目的がある人にも向いています。
住宅ローン控除への影響や手数料を含めても、繰り上げ返済のメリットが上回る場合は、実行する価値があります。借入から日が浅く、残高が多い人も、効果を得やすいでしょう。
繰り上げ返済をしたほうが良い人はこちらです。
- 繰り上げ返済をしても十分な手元資金が残る
- 「新たなローンの借入枠を増やしたい」「月々の返済額を減らしたい」など明確な目的がある
- 控除や手数料などを含めて具体的な金額をシミュレーションした結果、繰り上げ返済したほうがメリットがあることを確認できている
- 住宅ローンの借入時から日が浅く(目安は10年以内)、残高が多く残っている
繰り上げ返済をしないほうがよい人の特徴
繰り上げ返済をすると手元資金が不安になる人は、無理に実行しないほうが安全です。また、住宅ローン控除の期間中で、残高が減ることによる控除額減少が大きい場合も慎重に考えるべきです。
さらに、返済残高が少ない人や、返済終了が近い人は、繰り上げ返済で得られる利息軽減効果が小さくなります。利息軽減額よりも手数料や控除減少の影響が大きい場合は、実施しない判断が合理的です。
繰り上げ返済をしないほうが得な人の例は以下のとおりです。
- 繰り上げ返済をすると十分な手元資金が確保できなくなる
- どうしても繰り上げ返済したい理由や事情は特にない
- 控除や手数料などを含めてシミュレーションすると繰り上げ返済の効果があまり期待できない
- 住宅ローンの返済年数が残りわずかで残高が少ない
住宅ローン控除と繰り上げ返済の関係
住宅ローン控除を受けている間は、繰り上げ返済の影響を必ず確認する必要があります。控除額は年末残高を基準に計算されるため、繰り上げ返済で残高が減ると控除額も減る可能性があります。
また、返済期間短縮型で返済期間が10年未満になると、控除の要件を満たさなくなることがあります。そのため、控除期間中は「利息軽減額」と「控除減少額」を必ず比較して判断しましょう。
控除期間中は要注意
住宅ローン控除の適用期間中は、繰り上げ返済のメリットがそのまま得になるとは限りません。控除の恩恵が大きい人ほど、先に控除を優先したほうがよいケースもあります。
控除が終わってから有利になる場合もある
住宅ローン控除が終了してから繰り上げ返済を行うと、控除減少の影響を受けずに済みます。控除終了後にまとまった余剰資金があるなら、そこで繰り上げ返済を検討するのも有効です。
繰り上げ返済のシミュレーションで確認したいポイント
繰り上げ返済は、必ずシミュレーションしてから判断するのが基本です。同じ金額を返済しても、金利や時期、方式によって結果は変わります。
確認すべきなのは、総返済額の減少額、毎月返済額の変化、住宅ローン控除への影響、そして手数料です。この4点を比べると、本当に得かどうかが見えやすくなります。
| 総返済額 | 繰り上げ返済によって、最終的にどれだけ支払い総額が減るかを確認します。返済期間短縮型では、特にこの差が出やすくなります。 |
| 毎月返済額 | 返済額軽減型を選ぶ場合は、毎月いくら軽くなるかが重要です。家計の改善につながるかどうかを見ておきましょう。 |
| 控除への影響 | 住宅ローン控除を受けている場合は、繰り上げ返済で控除額がどう変わるかを確認します。ここを見落とすと、利息軽減額より控除減少額のほうが大きくなることがあります。 |
| 手数料 | 繰り上げ返済の手数料がかかる場合は、その分も差し引いて判断します。少額の繰り上げ返済を何度も行うより、まとめて実行したほうが有利なことがあります。 |
住宅ローンの繰り上げ返済のシミュレーションができるページ
正しく判断するためには、ご自身の状況で具体的な数字をシミュレーションすることが大切です。
多くの金融機関のWebサイトでシミュレーションできるページが準備されていますので、まずは住宅ローンを借り入れている金融機関のシミュレーションページを探してみましょう。
なお、主要なシミュレーションページを以下にまとめましたので参考にしてみてください。
▼ 住宅ローン繰り上げ返済のシミュレーションができるページ
注意点として、金融機関のシミュレーションでは住宅ローン控除への影響は試算できません。住宅ローン控除については、それぞれの状況に合わせて各自確認しましょう。
繰り上げ返済をする流れ
繰り上げ返済の手続きは、金融機関によって多少異なります。ただし、流れ自体はおおむね共通しています。
まず金融機関に申し込み、必要書類や受付方法を確認します。その後、正式に申請し、指定日までに返済資金を入金します。
繰り上げ返済の方法、手数料、受付期限を確認します。インターネットで完結する場合もあれば、窓口対応が必要な場合もあります。申し出の期限は金融機関によって異なりますが、1カ月前までとしているところもあります。
必要書類やWeb手続きで正式に申し込みます。このとき、返済方式や金額に間違いがないか確認します。
指定された日までに、繰り上げ返済額を返済口座へ入金します。引き落としが完了すれば、手続きは終了です。
繰り上げ返済前に確認したい注意点
繰り上げ返済を成功させるには、返済額そのものよりも、返済後の生活を優先して考えることが大切です。返済して終わりではなく、その後の家計やライフプランまで含めて判断しましょう。
特に、生活防衛資金を削りすぎないこと、住宅ローン控除との兼ね合いを確認すること、そして不明点は金融機関に相談することが重要です。この3点を押さえておけば、大きな失敗は避けやすくなります。
家計を切り詰めすぎない
繰り上げ返済のために生活費を削りすぎるのは避けるべきです。急な支出に備えられないと、かえって不安定になります。
不測の事態が起きてから、「こんなことなら繰り上げ返済なんかするんじゃなかった」と後悔しないように、十分な手元資金を残したうえで余剰金で繰り上げ返済を行いましょう。
事前にシミュレーションする
住宅ローンの繰り上げ返済をしたほうが良いのか、しないほうが良いのか、これは一概には断定できないのが現実です。
というのは、個々の状況によってカットできる利息の額や住宅ローンの控除額など、判断のもととなる諸条件に違いが出るためです。
大切なのは、あなた自身が自分の住宅ローンの状況を正しく把握して判断することです。そのために、シミュレーションをしっかり行いましょう。
また控除中は、利息軽減額だけで判断しないことが大切です。控除減少額も含めて総合的に比較しましょう。
不明な点は借入れ金融機関や専門家に相談する
3つめの注意点は「不明な点は借入れ金融機関や専門家に相談する」ことです。
自分だけでは状況把握がなかなかできない場合は、住宅ローンを借り入れた金融機関の窓口に相談に行きましょう。
現在の家計の状況や今後の資金計画、希望などを伝えて、最も良い繰り上げ返済の方法は何になるのか、相談するのが得策です。
あるいは、お金の専門家であるファイナンシャル・プランナーなどに相談するという選択肢もあります。
例えば日本FP協会のWebサイト「ファイナンシャル・プランナー(FP)に相談しよう」から、相談することが可能です。
必要なサポートを得ながら、ベストな選択肢を検討していきましょう。
住宅ローンの繰り上げ返済は、余裕資金が十分にあり、控除や手数料を踏まえても有利な場合にのみ実行するのが基本です。
住宅ローンの繰り上げ返済に関するよくある質問
- 住宅ローン控除の期間中は、繰り上げ返済しないほうがいいですか?
-
控除の恩恵が大きい場合は、繰り上げ返済で残高が減ることで控除額も下がる可能性があります。返済期間短縮型で期間が10年未満になる場合は、条件を満たさなくなることもあるため、事前確認が必要です。
- 返済期間短縮型と返済額軽減型はどちらが得ですか?
-
総返済額を減らしたいなら返済期間短縮型、毎月の返済負担を軽くしたいなら返済額軽減型が向いています。一般的には、同じ金額なら返済期間短縮型のほうが利息軽減効果は大きくなりやすいです。
- いつ繰り上げ返済すると効果が大きいですか?
-
基本的には、借入から早い時期で、残高が多いうちに行うほど効果が大きくなります。金利が高いほど効果も出やすいため、返済開始直後や金利上昇局面は検討しやすいタイミングです。
- 繰り上げ返済をしないほうがいいのはどんな人ですか?
-
手元資金が少なくなる人、住宅ローン控除の恩恵が大きい人、返済残高が少ない人は、急いで実行しないほうが合理的です。利息軽減額よりも控除減少や手数料の影響が大きい場合は、見送る判断も有力です。
まとめ
住宅ローンの繰り上げ返済は、元金を減らして利息を軽くできる有効な方法です。ただし、住宅ローン控除、手元資金、手数料、金利の条件によっては、しないほうが得な場合もあります。
基本的には、早い時期・高い金利・多い残高ほど効果が大きくなります。一方で、控除中や手元資金が少ない場合は慎重な判断が必要です。
繰り上げ返済をするかどうかは、感覚ではなくシミュレーションで決めるのが正解です。自分の家計と制度条件を照らし合わせて、最も有利な方法を選びましょう。






