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頭金は少なくていい?「貯金を残す」家購入がおすすめな理由

家購入の頭金を抑えた中古リノベ事例

家購入を考えるにあたって、頭金の額で悩む方は多いはずです。

一体いくら程度が目安なのか。頭金が貯まるまでマイホーム購入は先送りした方がいいのか。そもそも頭金ゼロで購入してはダメなのか?人によって状況はさまざまなので、友人や知人の話を参考にしていいのかどうかも悩むところですよね。

本記事では、そんな疑問の答えをわかりやすく紐解いていきます。

さらに、「頭金は少なく、できるだけ手元に現金を残す方法」を本記事ではおすすめしています。最後まで読めば、なぜこの方法がおすすめなのか納得できるはずです。ぜひご参考ください!

目次

頭金がなくても家は購入できる。ただし…

A子:
うーん、貯金はある程度あるけど、マンション購入の頭金ってどれくらい用意するべきなんだろう。旦那が言うには、物件価格の2割は必要だってことだけど…本当のところはどうなの?

アドバイザー:
旦那さんが言っている『頭金は物件価格の2割』というのは、確かにひと昔前は必要な金額でした。というのも、金利が高かった時代は、頭金がないとそもそも銀行がお金を貸してくれなかったんです。

A子:
そうなんだ!何の根拠もないわけじゃなかったのね。

アドバイザー:
ですが、今は例を見ない超低金利時代です。頭金がなくても融資してくれる銀行も多くなりました

A子:
え!じゃあ、頭金ゼロでもローンを組めるってこと?

アドバイザー:
はい、可能です。ただし、その場合知っておかなければならないリスクや注意事項があります。

住宅ローンの審査が厳しくなる可能性がある

アドバイザー:
頭金ゼロの場合、当たり前ですが銀行から借りる金額は増えますよね。例えば2500万円の融資が、頭金ゼロで3000万になるとしたら、銀行はより厳しい目で債務者の返済能力を審査します。

A子:
借りられない可能性があるってこと?

アドバイザー:
少なからずあります。A子さんも、友達から『現在無一文だけど来月必ず返すから、10万円貸して』と言われたら、『本当に?』と疑ってしまいますよね。

A子:
うーん、確かに。返すあては?って思うわ。

アドバイザー:
銀行も同じです。頭金が出せないのに本当に返済できるのか?という視点で審査をするのです。年収はもちろん、購入予定の物件にどのくらいの資産価値があるのかも厳しく見られる可能性があります。

借り入れ先や個人の職業、年収によってもちろん厳しくならないケースもありますが、頭金があった方が審査に通りやすいのは確かですね。

A子:
なるほど…。

総返済額は増える

アドバイザー:
総返済額が増えるという点も注意が必要です。

A子:
借りる額が増えるわけだから返済額が増えるのは承知の上、ということになると思うけど…?

アドバイザー:
忘れてはならないのは金利の存在です。例えばフラット35「クイック・シミュレーション」で計算してみましょう。

住宅ローンシミュレーター

住宅ローンの目安がわかるフラット35「クイック・シミュレーション」

3000万の物件で借り入れ希望額が3000万の場合と、頭金に物件価格の2割である600万円を入れて2400万円の借り入れをした場合とで比較します。35年の返済、金利は全期間固定1.4%とします。

  • 3000万円の借り入れの場合の総返済額:3797万円
  • 2400万円の借り入れの場合の総返済額:3038万円

A子:
ええと、頭金を入れる場合は先に600万円払ってるわけだから…

アドバイザー:
頭金を含めると3797万円-3638万円で、トータル159万円の差額が出ます。同じ物件を購入しても、頭金ゼロの場合は最終的に数百万単位で多く支払うことになるというわけです。

A子:
先に払うか後で払うか、というだけの話じゃないってことね。

アドバイザー:
また、フラット35で借り入れる場合、頭金が物件価格の1割以下だと金利が高くなりますから、差額はさらに広がります。

A子:
借入先の条件も確認しないと損をするかもしれないんだ!

アドバイザー:
ただし、これには対策があります。これは後ほど「3.【オススメ】頭金は少なく、手元に貯金は残そう」で説明しますね。

頭金以外に諸費用や手付金が必要

アドバイザー:
もうひとつ覚えておきたいのは、物件購入には頭金のほかに諸費用が必要、という点です。

A子:
諸費用って仲介手数料とかよね?

アドバイザー:
はい。物件価格以外にも、仲介手数料、事務手数料、保険料、印紙代などを含めて、新築の場合は物件価格の3~7%、中古なら6~10%程度の支払いを現金で用意するのが基本です。

手付金は最終的にはマンションの購入費用に充当されますが、物件価格の5~10%程度は必要です。頭金ゼロで買える=手元資金がゼロで家を購入できる、ということではない点は、知っておかなければなりません。

A子:
確かに、誤解してる人も多いのかも。

関連:中古マンション購入の「諸費用」の目安や節約方法の裏技について解説している記事

 

頭金が用意できない場合の家購入は危険?親に出してもらうのはアリ?

家購入の頭金を抑えた中古リノベ事例2

頭金をゼロにする場合はデメリットや注意点にも留意

A子:
うーん、ローン審査に通らないリスクは負いたくないし、やっぱり頭金はある程度入れた方がいいのかな。

アドバイザー:
頭金ゼロが必ずしも悪いというわけではありませんが、ここまでにご紹介したようなデメリットや注意点は留意しておく必要がありますね。

気をつけてほしいのは、そもそも頭金をゼロにしなければ手元資金がなくなってしまう、という状況であれば、その後のローンの支払いが滞る可能性があるということです。その場合は予算を再検討するか、費用をしっかり貯めてから購入に踏み切った方がいいでしょう。

A子:
自分の貯金を切り崩さずに、親から住宅購入費用を出してもらうことはできないの?

アドバイザー:
もちろんできますよ。資金援助には借りる、贈与、生前贈与の3パターンがあります。借りる場合は贈与税や相続税などは不要ですが、贈与とみなされないよう書面で契約を取り交わす、銀行を介してお金の受け渡しをするなど工夫が必要です。

【オススメ】頭金は少なく、手元に貯金は残そう

A子:
親類に資金援助してもらうかどうかは置いておいても、結局のところ、頭金はいくらくらい用意するのが一番かしこいんだろう?

アドバイザー:
頭金をたっぷり入れても有り余るほどの資産がある…という場合でない限り、おすすめしたいのは、『頭金は少なく、手元にまとまった額の現金は残しておくこと』です。

A子:
ふむふむ。何かメリットがあるのね?

アドバイザー:
手元に現金があれば、人生に変化が起きて、急遽お金が必要になったときでも対応できる、というのが第一の理由です。第二の理由は、生活の収入や支出が安定してまとまったお金が用意できたら、繰り上げ返済して総返済額を減らせる、ということです。

A子:
さっきは、頭金ゼロだと総返済額が増えちゃうって話だったけど…。

アドバイザー:
頭金が少ない場合でも同じ現象は起こります。総返済額を減らすための方法は2つで『先に頭金を増やす』か『後から繰り上げ返済するか』です。

ただ、総返済額を減らしたいがために頭金を先に多く入れすぎて手元資金がなくなってしまうと、後から『お金に余裕ができたから少し返済に回そう』『今は余裕がないから貯金を生活のために使おう』といった調整がしにくくなってしまいます。

頭金が少なくてもローンが組める低金利の今だからこそできるやり方で、上手にローンや自己資金をコントロールする方法をおすすめします。

A子:
臨機応変に対応できて、その気になれば総返済額も減らせるならそれが良さそう!

 

頭金の目安を物件金額から割り出す考えは捨ててみよう

家購入の頭金を抑えた中古リノベ事例3

「手元にいくらお金を残すか」を優先して考える

A子:
でも、少なくと言ってもなんだかぼやっとしているし、やっぱり具体的な金額の目安は知りたいわ。

アドバイザー:
現在、30代前後の方で多いのは物件価格の10%程度を頭金にする、というケースです。フラット35では金利が安くなるギリギリの金額ですね。

A子:
ふむふむ。3000万の物件なら300万くらいね。

アドバイザー:
とはいえ、家計状況は人によって違うので、一概にいくらがいい、とは言えないのが実際なんです。目安はあくまで目安。実際に頭金を決める際は、以下のような手順を踏んでみてください。

  1. 自己資金がいくらかを把握する
  2. 将来何かあったとき、日々の生活のために残しておくべき手元資金を具体的に算出する
  3. それらを差し引いて頭金として出せる金額を検討する

A子:
物件金額の何割か、が重要じゃないってことね。

アドバイザー:
はい!ポイントは、「手元にいくらお金を残すか」を優先して考えることです。

関連:【年収別】住宅ローン2つの目安表「借りられる額と返せる額」を解説している記事

まとめ

「頭金は物件価格の2割必要」というのは金利が高かった時代の常識です。現在は頭金ゼロでローンを組める銀行も増えていますが、金利が高くなったり、総返済額が増えることは知っておきましょう。また、頭金以外にも諸費用や手付金としてまとまった額の現金は必ず必要です。

おすすめは「頭金は少なくして、手元資金は残す」やり方。手元資金があれば、人生でなにかあっても柔軟に対応でき、お金が貯まった時点で繰り上げ返済して総返済額を減らすなど選択肢が生まれます。

ただし、「頭金が用意できないから少なくしたい」という場合は、そもそも予算に無理があるかもしれません。その場合はローンの支払いに無理が出る可能性もありますから、資金計画は慎重に考えるようにしましょう。

この記事の執筆
  • 大月知香

    ゼロリノベの編集者。大学時代にデンマークへの留学を通して、北欧の人々の住まいに対する美意識の高さに感化される。暮らしにおける「住」の重要性を伝えたいと住宅雑誌の編集を経験。より自分らしく、自由に生きられる選択肢の一つとしてリノ...

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