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住宅ローンの頭金は払わないことが得策!頭金なしで住宅ローンを組むメリットや注意点を解説。

住宅ローンの頭金は払わないことが得策です。高金利が続いたバブル時代は頭金ありが定説でした。しかし、低金利が続く現代では頭金なしで住宅ローンを組むほうがさまざまなメリットを享受できる可能性があります。本記事では、頭金なしで住宅ローンを組むメリットや注意点を解説します。

よくあるご質問

住宅ローンの頭金の平均額はいくらぐらいですか?

住宅ローンの頭金の平均額は住宅価格の20%〜40%です。ただし、金利が低い令和においては頭金の1割か頭金なしの住宅購入者が多くなっています。詳しくはこちらをご覧ください。

住宅ローンの頭金は入れるべきですか?

低金利の現代であれば頭金ありと頭金なしのメリットを比較したうえで、選択するとよいでしょう。住宅ローンの頭金ありのメリットと頭金なしのメリットは以下のとおりです。

頭金あり頭金なし
・借入額を減らせる
・金利を抑えられる
・審査に通りやすくなる場合がある
・家賃流出を抑えられる
・住宅ローン控除を最大限活用できる
・手元に現金を残せる
・繰り上げ返済でいつでも返済額を減らせる
住宅ローンで頭金なしはお得ですか?

頭金なしで住宅ローンを組むと、以下のようなメリットがあります。

  • 家賃流出を抑えられる
  • 住宅ローン控除を最大限活用できる
  • 手元に現金を残せる
  • 繰り上げ返済でいつでも返済額を減らせる

頭金なしの住宅ローンは家賃流出を抑えられるため、手元に残った現金を有効に使えます。また、住宅ローン控除も最大限にいかせるでしょう。頭金なしをいかすためにも丁寧な計画を立てることをおすすめします。詳しくはこちらをご覧ください。

住宅ローン頭金ありと繰り上げ返済はどちらが得ですか?

頭金を貯める必要がある場合は、早めに頭金なしで住宅ローンを組み、繰上げ返済を行ったほうがお得になりやすいです。

借入額:4,000万円
金利:1.3%
返済期間:35年

頭金あり(300万円)10年後に繰上げ返済(300万円)
借入額3,700万円4,000万円
返済総額約4,607万円約4,874万円
※住宅補償機構株式会社「ローンの繰上げ返済」を元に算出

総返済額だけで見れば頭金ありの方が約267万円安くなります。しかし、頭金300万円を貯めるとなった場合、その間の家賃が発生するため最終的な支出が多くなる可能性があります。

頭金あり(300万円)10年後に繰上げ返済(300万円)
借入額3,700万円4,000万円
返済総額約4,607万円約4,874万円
家賃360万円(10万円×3年間)0円
返済総額+家賃約4,967万円約4,874万円
※住宅補償機構株式会社「ローンの繰上げ返済」を元に算出
この記事の監修者
【監修】ファイナンシャルプランナー茂木禄人

ファイナンシャルプランナー
茂木 禄人

株式会社Mapフィナンシャル において、独立系アドバイザーとして活動。詳細プロフィールはこちら

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目次

住宅ローンの頭金とは?ローン借り入れ部分を差し引いたもの

住宅ローン 頭金とは

頭金は住宅購入の際、自己資金から捻出して最初に支払う金額を指します。

金額は住宅価格から住宅ローン借入額を差し引いた分となります。

▼計算例
頭金(500万円)= 住宅価格(4,000万円)ー 住宅ローン借入額(3,500万円)

一般的には、貯金や親族からの贈与が充てられるケースが多いです。

ここからは、頭金に関して以下の3つのポイントに絞りさらに深く解説していきます。

  • 頭金の平均額
  • 頭金を支払うタイミング
  • 頭金とは別に諸経費も必要

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1-1.頭金の平均額

頭金の平均額は住宅価格の20〜40%ほどです。

国土交通省住宅局が行った「令和4年度住宅市場動向調査報告書」をもとに、各住宅形態別の自己資金比率を以下の表にまとめました。

住宅形態住宅価格(平均)自己資金比率
注文住宅新築5,436万円30.6%
建て替え4,487万円46.7%
分譲戸建て住宅4,214万円27.5%
分譲集合住宅5,279 万円42.8%
中古戸建て住宅3,340 万円42.9%
中古集合住宅2,941 万円49.3%

参照:令和4年度住宅市場動向調査報告書:国土交通省住宅局

また、三井住友信託銀行、三井住友トラスト・資産のミライ研究所による調査「令和の“住まい”と住宅ローン事情」によれば、頭金として住宅価格の1〜3割ほど支払ったという回答が多くなっています。

三井住友トラスト・資産のミライ研究所

※出典:令和の“住まい”と住宅ローン事情:三井住友信託銀行、三井住友トラスト・資産のミライ研究所

これらの情報から、頭金の平均額は住宅価格の20〜40%ほどと推測しています。

1-2.頭金を支払うタイミング

頭金を支払うタイミングは、本契約から購入した住宅の引き渡しまでの間です。

住宅の引き渡し日は住宅ローンの融資実行日でもあり、このタイミングで借り入れた住宅ローンと頭金を合わせた住宅価格を全額支払わなければなりません。

新築物件は契約から引き渡しまで猶予があるため、預貯金や親族からの贈与を活用して頭金を準備できる期間があります。

一方、中古物件は建物が完成しており、契約から引き渡しまでの期間が短くなるため、頭金を事前に準備しておく必要があります。

ただし、不動産会社によって具体的な支払い日は異なるため、担当者と相談して詳しいタイミングを決めるといいでしょう。

1-3.頭金とは別に諸費用も必要

住宅購入の際には、頭金とは別に諸費用も必要となります。

住宅ローンの諸費用には一般的に住宅価格の3〜5%程度の費用が必要と言われており、中古物件の場合はプラスで仲介手数料がかかります。

住宅購入は大きなお買い物であり、頭金以外の諸費用も金額は大きくなりやすいです。

以下の表に、住宅購入の際にかかる諸費用の例をまとめました。

▼4,000万円の物件の住宅ローンの諸費用の目安

諸費用一覧新築物件の目安中古物件の目安
ローン保証料約80万円約80万円
融資事務手数料3万円+消費税3万円+消費税
火災保険料10万円前後(一括払いの場合)10万円前後(一括払いの場合)
団体信用生命保険料金利に上乗せ金利に上乗せ
住宅ローンの登録免許税約16万円約16万円
所有権の登録免許税約16万円約80万円
司法書士報酬10~15万円10~15万円
印紙税2万円2万円
目安の合計額137~142万円201~206万円

「新築マンションは仲介手数料がかからない分、お得では?」と思われるかもしれません。

しかし、実際は売り主である不動産会社の販売利益として広告費が上乗せされているため、比較すると差はあまり出ないでしょう。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

関連:住宅ローンの諸費用はいくら?本当に得する節約方法と”借りる”際の注意点

令和の住宅ローンは頭金なしがスタンダード

令和 住宅ローン 頭金なし スタンダード

近年の住宅ローンは「頭金なし」を選択する人が増加傾向にあります。

三井住友信託銀行、三井住友トラスト・資産のミライ研究所の調査によれば、全年代において約4割の人が、頭金なしを選択しています。

三井住友トラスト・資産のミライ研究所

※出典:令和の“住まい”と住宅ローン事情:三井住友信託銀行、三井住友トラスト・資産のミライ研究所

「住宅購入には頭金が必要」といったイメージを持たれている人も多いでしょう。

30〜40年前のバブル期は、高金利で住宅ローン借入のハードルが高く、頭金をなるべく多く支払い返済額を減らさなければ住宅購入できなかった時代でした。

こうした背景もあり、「住宅購入には頭金が必要」といった定説があります。

しかし、バブル崩壊後は低金利が続き、ここ10年ほどは変動金利型で2.475%の状態が続いているため、頭金を多く入れるメリットが少なくなっています。

以下の画像は、昭和59年(1984年)から平成31年(2019年)までの35年間の金利の推移を表したものです。

住宅ローン 金利

出典:住宅金融支援機構「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」より転載

特に目立つのは、昭和62年から平成3年にかけての金利上昇とそれ以降の急激な下落です。

低金利が続くと、頭金を入れても総支払額にあまり差が出なくなってしまいます。

以下の表で、頭金の比率によって返済額にどれだけ差が出るかをまとめました。

項目頭金ゼロ頭金1割頭金2割
頭金0円400万円800万円
借入額4,000万円3,600万円3,200万円
毎月返済額10万7408円9万6667円8万5926円
総支払額約4,511万円約4,460万円約4,408万円

※1:物件価格4,000万円、年利0.7%、35年返済
※2:金利変動なし、総支払額には頭金を含む

頭金ゼロと頭金2割を比較しても、総支払額の差は約103万円です。

もし手元に800万円を残すことができれば、資産運用にも回せるでしょう。

総支払額を減らすよりも、頭金を手元に残した方が得られるメリットが多いため、最近では「頭金なし」を選ぶ人が増えています。

2-1.頭金を払うより手元にお金を残すべき2つの理由

ここまでは、頭金なしを選択する人が増えている傾向にあることを紹介しました。

ここからは、頭金なしを選択して手元にお金を残すべき理由を2つのポイントに絞って紹介していきます。

  • 教育費
  • 老後資金

住宅ローンの返済に多く資金を使ってしまうと、後々必要な使い道に充てる費用がなくなってしまいます。

教育費、老後資金それぞれいくら必要なのか実態を事前に把握しておきましょう。

2-1-1.1人あたりの教育費は公立で1人1,000万円、私立では2,000万円必要

子どもがいる家庭の場合、1人あたり1,000〜2,000万円の教育費が必要になります。

教育費のピークは大学入学時あたりにやってくるため、事前に備えて資金を準備しておかなければなりません。

文科省が調査した「令和3年度子供の学習費調査」の幼稚園〜高等学校卒業までの15年間の学習費総額は以下のとおりです。

15年間の学習費総額

出典:令和3年度子供の学習費調査の結果:文部科学省

幼稚園から高校卒業まで公立に通った場合は574万円、すべて私立に通った場合は1,838万円の学習費が必要です。

また、日本学生支援機構が調査した「令和2年度学生生活調査結果」によれば、大学4年間のうち家庭からの給付額は1,145万円となっています。

家庭からの給付額

出典:令和2年度学生生活調査結果:日本学生支援機構

幼稚園から大学卒業までを含めると、2,000万円以上のお金が必要なことがわかるでしょう。

日々の生活費や習い事など直近の教育費に加え、さらにこの先必要な貯蓄を捻出しなければならないとなると、支出を抑えても足りなくなってしまうかもしれません。

そのためにも、頭金はゼロにして貯蓄や運用に回すことをおすすめします。

2-1-2.老後資金は最低限の生活でも手元に2,000万円必要

老後資金は、年金以外に夫婦2人で最低でも2,000万円が必要になります。老後資金の目安額は次の通りです。

最低限の生活費2,000万円
余裕のある生活4,000万円〜6,000万円
子どもや孫にも資産を残せる8,000万円〜1億円
65歳以上生活費

下のグラフは、一般的な夫婦の老後生活費を表したものです。
出典:家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要より

必要最低限の生活費を賄うのに、年金等の給付額を差し引くと毎月約3万8,000円、30年間で約1,368万円もの不足が発生してしまいます。

不足分を補うためにも自己資金に、最低限2,000万円の老後資金が必要だと言われているのです。

貯蓄を住宅購入費に充てる際、資金形成を考慮しないことはリスクが高いです。

最悪の場合、住宅ローンの支払いが滞り任意売却する未来もありえます。

将来に不安を残さず住宅購入するためにも、頭金なしで手元の資金を貯蓄や運用に回し資産形成しておくことが重要なのです。


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住宅ローン頭金なしをおすすめする4つの理由

住宅ローン 頭金なし おすすめ 理由

ここからは、住宅ローン頭金なしをおすすめする理由を以下の4つにまとめて紹介していきます。

  • 【理由1】家賃流出を抑えられる
  • 【理由2】住宅ローン控除を最大限活用できる
  • 【理由3】手元に現金を残せる
  • 【理由4】繰り上げ返済でいつでも返済額を減らせる

住宅ローン頭金なしのメリットを具体的に把握すると、具体的にどのような活かし方をすればよいかがわかります。

頭金なしで住宅ローンを組むのであれば、メリットを最大限に活かしていきましょう。

3-1.【理由1】家賃流出を抑えられる

家賃流出リスク


頭金を貯めてから住宅購入するケースと頭金ゼロですぐに住宅購入するケースでは、家賃流出額に大きな差が出ます。

たとえば、家賃10万円の賃貸住宅に住み続けて、年間で100万円頭金を貯められても家賃流出の方が20万円上回ってしまいます

賃貸住宅の家賃はかけ捨てのようなものです。

一方、持ち家は将来売却や贈与できる資産です。

頭金なしで住宅を購入すれば、家賃流出が抑えられ、同時に資産形成を行えるメリットがあるのです。

3-2.【理由2】住宅ローン控除を最大限活用できる

頭金ゼロで住宅ローンを組むことで、その分ローンの借入額が多くなり、住宅ローン減税(控除)を最大限活用できる可能性があります。

住宅ローン減税(控除)とは:その年の住宅ローン残高の0.7%が所得税等から控除される制度。年間で最大31.5万円(中古物件の場合は最大21万円)の控除が受けられる。

※内容や控除対象となる条件は都度変更となるため、詳細は住宅ローン減税|国土交通省のホームページでご確認ください。

住宅ローンシミュレーション住宅ローン控除(減税)シミュレーションを用いて試算してみましょう。

<シミュレーション条件>

・夫婦共働き
・住宅ローン契約者の年収が700万円
・子ども1人の3人家族

同じ500万円を頭金で支払う場合と、10年後に繰り上げ返済で支払う場合とでは、頭金なしで組める後者の計画の方が結果お得になります。

項目頭金あり頭金なし
住宅ローン4,000万円4,500万円
頭金500万円0円
総返済額(A)4,954万4,561円5,011万2,621円
10年後に500万円を繰上げ返済して軽減した利息額(B)40万2,079円
住宅ローン控除額(C)140万円140万円
負担額(A-B-C)4,814万4,561円4,831万0,542円
経済効果16万5,981円

※1 住宅価格4,500万円、変動利率0,625%、35年返済の場合
※2 金利は変動しない、返済総額に頭金を含む

このように、頭金なしで住宅ローン控除を活用し、繰り上げ返済を組み合わせることで賢いローン返済が実現できます。

頭金ゼロで住宅ローン控除を受ける際のポイントとして、以下の2つを守りましょう。

<POINT>

  • 住宅ローンの借入期間は10年以上にする
  • 住宅ローン控除期間中は繰り上げ返済によって住宅ローン借入額を減らさない

以上のポイントを守ることで、住宅ローン控除を最大限活用できるようになります。

住宅ローン控除は「その年の住宅ローン残高の0.7%」が所得税等から控除される仕組みになるため、繰り上げ返済で借入額を減らしてしまうと控除額も少なくなってしまいます。

ただし、例外として金利が0.7%、つまりローン控除額を上回る場合は繰り上げ返済で利息を減らした方が総支払い額が安く済む可能性があります。

  • 金利が1%以下:住宅ローン控除(減税)のフル活用
  • 金利が1%以上:繰り上げ返済の活用

以上のように、住宅ローンの金利が0.7%以下であるかどうかを、控除の活用か繰り上げ返済するか判断の目安にしましょう。

3-3.【理由3】手元に現金を残せる

頭金をゼロにすれば、その分の現金を手元に残すことができます。

手元の資金を、貯蓄や運用に回すことが今後大切になってきます。

2-1.頭金を払うより手元にお金を残すべき2つの理由」で解説したとおり、住宅購入費の他に生活費、教育費、老後資金などを貯蓄しなければなりません。

また、病気や怪我などの万が一のリスクに備え、住宅購入後およそ半年〜1年間分の生活予備費を手元に残しておくと安心です。

頭金をゼロにすれば、数百万円のお金を手元でコントロールでき、貯蓄や資産運用など、より有効的な方法で活用できます。

3-4.【理由4】繰り上げ返済でいつでも返済額を減らせる

住宅ローン返済額を減らすためには、頭金を多く支払うよりも繰り上げ返済を適宜行う方が安心です。

その際、「3-2.【理由2】住宅ローン控除を最大限活用できる」で解説したように住宅ローン控除を最大期間受けた後に繰り上げ返済するようにしましょう。

また、繰り上げ返済を行うためには手元の資金に余裕があることが前提となります。

そもそも老後資金に不安がある、これから教育費がたくさんかかる場合には繰り上げ返済にお金を使わず、貯蓄や資産運用に活用するようにしましょう。

繰り上げ返済を行う場合は手数料がかからない金融機関を選ぶことがポイントです。

繰り上げ返済には「一部繰り上げ返済」と「全額繰り上げ返済」があり、一部繰り上げ返済は手数料無料の金融機関がほとんどです。

ただし、一部繰り上げ返済でも、窓口での手続きは手数料が必要の場合やオンラインでの手続きは無料の場合もあります。

住宅ローンを比較検討するなら、繰り上げ返済の手数料も念のため、確認しておくとよいでしょう。

繰り上げ返済は以下の記事でも解説しているので、ぜひご覧ください。

>>関連記事:住宅ローンの繰り上げ返済のメリット・デメリットとすべき人の判断基準

住宅ローン頭金ありの3つの特徴

住宅ローン 頭金あり 特徴

ここまでは、住宅ローンを頭金なしで組むメリットを紹介してきました。

ここからは、住宅ローン頭金ありで組むとよい特徴を以下の3つのポイントに絞って紹介していきます。

  • 借入額(返済総額)を減らせる
  • 借入金利を低くできる場合がある
  • 審査に通りやすくなる可能性がある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

4-1.借入額(返済総額)を減らせる

頭金ありで住宅ローンを組むことで、借入額を減らせます。

借入額が小さくなれば、月々の返済額を抑えられるため、無理のない計画の中で住宅ローンを返済できます。

また、借入額が小さくなれば、返済期間も短く抑えられるでしょう。

早めに住宅ローンを返済すれば、退職後にローンの支払いが残らずに済みます。

頭金には利息はかからないため、なるべく多く頭金を支払うことで、住宅価格以上の利息を抑えられます。

4-2.借入金利を低くできる場合がある

頭金ありの住宅ローンは金利を抑えられる場合があります。

なぜなら、住宅ローンの金利は自己資金率によって適用される金利が変動する場合があるからです。

例として以下の表にフラット35(借入期間21年以上35年以下)の適用金利をまとめました。

融資率金利の範囲最も多い金利
9割以下年1.840%~年3.450%年1.840%
9割超年1.980%~年3.590%年1.980%

引用:金利情報:フラット35

借入額が4,000万円の場合、1割に当たる400万円を頭金として支払うか支払わないかで金利が異なります。

なるべく低い金利で住宅ローンを組みたい場合は、頭金を用意しておくとよいでしょう。

審査に通りやすくなる可能性がある

頭金ありの住宅ローンは審査に通りやすくなります。

住宅ローン審査では返済能力が重視されることが、審査に通りやすくなる要因です。

住宅金融支援機構が調査した「住宅ローン利用者の実態調査」によれば、住宅ローンの返済負担率は15%〜20%ほどです。

返済負担率

出典:住宅ローン利用者の実態調査:住宅金融支援機構

言い換えれば、頭金の支払い借入額を小さくして月々の返済負担率を15%〜20%に抑えることで住宅ローン審査でも有利になりやすいです。

審査が不安な人は頭金を用意しておくとよいでしょう。

頭金なしと5年後頭金ありはどっちがお得?|徹底比較

頭金なし 5年後頭金あり どっちがお得

では実際に頭金なしと5年後頭金ありで、経済効果にどの程度違いがあるのか比較してみましょう。

今回は以下の条件で比較していきます。

  • 住宅価格4,000万円
  • 金利1.3%
  • 返済期間35年
項目頭金なし5年後頭金あり
頭金0円400万円
住宅ローン借入額4,000万円3,600万円
返済期間35年35年
金利1.3%1.3%
月々の返済額118,592円106,733円
総返済額4,980万8,848円4,482万7,911円
利息980万8,848円882万7,911円

頭金なしと比較し、5年後頭金ありは総返済額を498万937円、利息を98万937円それぞれ抑えられます。

ここで、頭金を5年間かけて準備する間に家賃の支払いが発生すると仮定しましょう。

項目頭金なし5年後頭金あり
頭金0円400万円
住宅ローン借入額4,000万円3,600万円
返済期間35年35年
金利1.3%1.3%
月々の返済額118,592円106,733円
総返済額4,980万8,848円4,482万7,911円
利息980万8,848円882万7,911円
家賃(10万円)0円600万円

600万円の支払いが発生すると、総返済額で比較しても5年後頭金ありの方が101万9,063円多く支払うこととなります。

また、早めに住宅ローンを組むことで将来的に住宅ローンを早く完済できるため、退職後にローンの支払いを残す心配もありません。

頭金を用意しなくとも住宅ローンが組める見込みがあるのであれば、金利が低いうちに計画を立ててみるとよいでしょう。

>>関連記事:中古マンションの値下がりは築25年が目安!購入時期の見極め方を解説

住宅ローンの頭金を入れた方がいい人3選

住宅ローン 頭金 入れた方がいい人

頭金なしの住宅ローンのメリットを多く紹介しましたが、なかには頭金を用意した方がいい場合もあります。

ここからは、住宅ローンの頭金を入れた方がいい人を解説していきます。

  • 通常のローンを借りられない人
  • 50歳以上の人
  • 審査が不安な人

それぞれ詳しく見ていきましょう。

6-1.通常のローンを借りられない人

金融機関のローンを借りられない人は頭金を準備した方がお得になる場合があります。

金融機関の住宅ローンには団体信用生命保険への加入が必須です。

もし、持病などによって団体信用生命保険への加入ができない場合はフラット35を利用するケースが多いでしょう。

この場合、頭金ありと頭金なしでは適用金利が異なります。

以下の表では、頭金ありと頭金なしのケースを比較しました。

▼3,000万円のマンションを購入する場合

住宅価格3,000万円
頭金0円300万円
融資率10割9割
住宅ローン借入額3,000万円2,700万円
金利1.910%1.650%
総返済額約4,116万円約3,556万円
総返済額+頭金約4,116万円約3,856万円

※元利均等返済、返済期間35年の場合
住宅ローンシミュレーションで試算した結果を元に筆者作成

上記の通り、頭金を1割入れるか入れないかで、260万円の差額が発生します。

頭金なしで早く・長く住宅ローンを組めるのが望ましいですが、高金利の住宅ローンを選ぶ場合は貯蓄を削らない範囲でどれくらい頭金を入れられるか考えてみましょう。

6-2.50歳以上の人

50歳以上の人は定年が近く、住宅ローンを組める期間が短くなるので頭金を入れないと住宅ローン審査に通らない可能性があります。

そのため、老後資金に響かない範囲で頭金を支払うようにしましょう。

住宅ローン審査に通るために必要な頭金の目安額としては、物件価格の1/3以上と考えるのが無難です。

50歳以上の人の住宅ローンの組み方は以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にして下さい。

関連:年齢別に住宅ローンの組み方を解説しているこちらの記事

6-3.審査が不安な人

審査が不安な人も、頭金を準備しておくことをおすすめします。

住宅ローン審査では月々の返済負担率が重視されるため、頭金をなるべく多く入れて月の返済額を抑えることで、審査に通りやすくなる可能性があります。

また、頭金としてまとまった金額を用意できることは、返済能力の担保にもなりやすいです。

例えば頭金を預貯金によって捻出できれば、お金の管理ができている銀行へのアピールにもなるでしょう。

審査が不安な人は無理のない範囲で頭金を入れることをおすすめします。

住宅ローンを頭金なしで利用する際の注意点3つとは?

住宅ローン 頭金なし 注意点

頭金なしの住宅ローンはさまざまなメリットがありますが、注意点も存在します。

住宅ローンを頭金なしで組む際に気をつけるべきことは以下の3点です。

  • 安心予算内で借り入れる
  • 早期売却するなら値下がりリスクを見込む
  • 諸費用は準備しておく

それぞれ詳しく説明していきます。

7-1.安心予算内で借り入れる

頭金なしにすると、頭金ありの場合に比べ、月々のローン返済額は高くなります。

「手取り年収の20%程度」を安心して借りられる目安とし、予算内で返済計画を立てるようにしましょう。

安心予算をもとに借入額を決めれば、頭金なしでも月々の返済額が生活を圧迫せずもしものリスクに備えられます。

安心予算について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連:元銀行員が教える!住宅ローンの年収別目安と返済額を抑えるコツ5選【チェックリスト付】

7-2.早期売却するなら値下がりリスクを見込む

頭金なしの住宅ローンで見落としがちになるのが、値下がりリスクです。

頭金なしで住宅ローンを組めば、当然借入額は大きくなります。

突如住宅を手放すことになった場合、住宅価格が購入時よりも値下がりしていると、売却では住宅ローンの満期をカバーできなくなる可能性があります。

国土交通省が調査した「中古住宅流通リフォーム市場の現状」によれば、住宅価格は10年後でおよそ半分、20年後でほぼゼロになるという結果がでてます。

中古住宅 価格査定

出典:中古住宅流通リフォーム市場の現状:国土交通省

4,000万円の住宅を頭金なしで購入し、約5,000万円の住宅ローンを組み、10年後に売却するとしましょう。

住宅価格4,000万円
住宅ローン総額約5,000万円
毎月の返済額約15万円
10年間で返済できる金額1,800万円

この時点で住宅価格は2,000万円ほどになっている可能性があります。

しかし、住宅ローン残債は、「5,000万円ー1,800万円=3,200万円」も残る計算となり、売却できても1,200万円の住宅ローンが残ってしまいます。

このように、頭金なしで住宅購入する場合は値下がりリスクも考慮しておく必要があるのです。

7-3.諸費用は準備しておく

頭金なしで住宅ローンを組む場合でも、諸費用は必要となります。

諸費用の目安は次のとおりです。

▼4,000万円の物件の住宅ローンの諸費用の目安

諸費用一覧新築物件の目安中古物件の目安
ローン保証料約80万円約80万円
融資事務手数料3万円+消費税3万円+消費税
火災保険料10万円前後(一括払いの場合)10万円前後(一括払いの場合)
団体信用生命保険料金利に上乗せ金利に上乗せ
住宅ローンの登録免許税約16万円約16万円
所有権の登録免許税約16万円約80万円
司法書士報酬10~15万円10~15万円
印紙税2万円2万円
目安の合計額137~142万円201~206万円

諸費用が手元に無い方は、住宅ローンと一緒に諸費用も借りる「オーバーローン」か、住宅ローンとは別に諸費用ローンを組む方法があります。

どちらの方法も、通常より金利が高くなる可能性があるため注意しましょう。

▼オーバーローンを検討される場合

フラット35のように融資率(借入額÷住宅の購入費用)が9割を超えると金利が高くなる金融商品があります。

▼諸費用ローンの借入を検討される場合

基本的には住宅ローンを借りた金融機関から借りることになるのですが、取扱機関が限られているため事前の確認が必要です。また、金利が2〜3%と通常の住宅ローンと比較して高い傾向にあるため予算内に収まるかどうか注意しましょう。

たとえば、三菱UFJ銀行の金利を見てみると通常の住宅ローンが年利2.475%であるのに対し、住宅諸費用ローンは年利4.475%です。

<三菱UFJ銀行の金利事例>

住宅ローン(変動タイプ・毎月型)住宅諸費用ローン(変動タイプ)
年2.475%年4.475%

(上記は2024年1月15日現在のローン金利を元に作成したものです。最新のデータは公式ホームページをご確認ください。)

取扱機関が限られていること、金利が高いことを念頭において資金計画を立て、その上でファイナンシャルプランナーや銀行窓口へ相談をおすすめします。

住宅ローンの頭金について各銀行の対応

住宅ローン 頭金 各銀行対応

ほとんどの場合、頭金なしで借り入れて問題ないのですが、一部金融商品では「頭金を1割以上入れた方が金利優遇がある」といったものもあります。

各銀行の対応を一覧表にまとめたので、住宅ローン選びの際にご活用ください。

頭金の有無銀行名・商品名
頭金なし【ネット銀行】
・イオン銀行
・auじぶん銀行
・PayPay銀行
・新生銀行(一部商品除く)
・住信SBIネット銀行
・ソニー銀行(一部商品除く)
・楽天銀行
【都市銀行】
・三井住友銀行
・三菱UFJ銀行
・みずほ銀行
・りそな銀行
【その他金融機関】
・SBIマネープラザ
・三井住友信託銀行
・三菱UFJ信託銀行
頭金あり【ネット銀行】
・新生銀行(新規借入は頭金10%以上で金利0.05%優遇)
・ソニー銀行(変動セレクト・新規借入は頭金10%以上)
【その他金融機関】
・アルヒ「フラット35」(頭金が多いほど低金利)
・住信SBIネット銀行「フラット35」(頭金が多いほど低金利)

まとめ

低金利が続く現代では、住宅ローンは頭金なしで少しでも早く組み始めることで、以下のようなメリットを得られます。

・家賃流出を抑えられる
・住宅ローン控除を最大限活用できる
・手元に現金を残せる
・繰り上げ返済でいつでも返済額を減らせる

教育費や老後資金などを考えた場合、少しでも手元にお金を残していきたいところです。

住宅ローンを頭金なしでお得に組むことで、貯蓄や運用などより賢く活用していけるでしょう。

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この記事の制作体制
  • 薮菜摘

    ゼロリノベの編集担当。地元仙台の不動産会社でWebメディアの立ち上げに参加。世の中に埋もれている魅力的なヒト・モノ・コトを発掘し、「編集の力でその価値を発信する」ことにやりがいを感じる。住宅購入の検討中にゼロリノベを知り、ユニーク...

  • 茂木 禄人

    株式会社Mapフィナンシャル において、独立系アドバイザーとして活動。詳細プロフィールはこちら

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