住宅ローン控除の申告を忘れた!手続きをし直す方法、必要書類などを解説
「今年の住宅ローン控除の手続きを忘れてしまった!もう控除は受けられない?」
「控除の申告を忘れたので手続きし直したいけれど、どのようにすればいい?」
そんな状況に陥って、困っている人も多いのではないでしょうか。
安心してください!住宅ローン控除の手続きを忘れてしまっても、5年以内なら控除を受けることができます。
会社員なら、勤務先で年末調整をし直してもらうことができますし、それができない場合や、会社員以外の人の場合は、自分で確定申告をすればいいだけです。
この記事では、以下の内容について詳しく解説していきます。
- 住宅ローン控除の手続きを忘れてしまった場合の決まり
- 手続きを忘れた際の2つの対処方法
- 年末調整のし直しをしてもらう方法
- 確定申告をする方法
- 必要書類をなくしてしまった場合の対処法
- よくある質問と回答
最後まで読めば、住宅ローン控除の申告を忘れた人でも安心して手続きができるはずです。
この記事で、あなたが無事に住宅ローン控除を受けられるよう願っています。
※本記事に掲載している住宅ローン減税制度の概要・要件等は、2024年度時点の情報です
ファイナンシャルプランナー
茂木 禄人
株式会社Mapフィナンシャル において、独立系アドバイザーとして活動。詳細プロフィールはこちら
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住宅ローン控除の申告を忘れても5年以内なら手続きできる
「住宅借入金等特別控除」、通称「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」は、住宅ローンを組んでマイホームを購入した際、一定の条件を満たしていれば、新築住宅・買取再販住宅であれば13年間、中古住宅であれば10年間にわたって、所得税や住民税の控除が受けられる制度です。
新築住宅・買取再販住宅の場合年間最大31.5万円、中古住宅であれば最大21万円まで控除を受けることが可能です。
この控除はローンの契約者自身が申告しなければ受けられません。
そのため、「控除の手続きをうっかり忘れてしまった」というミスも起こりがちです。
そんな場合は、住宅ローン控除は諦めなければいけないのでしょうか?もしくは、何かリカバリーの方法があるのでしょうか?
本章で詳しく解説していきます。
1-1.5年以内なら控除を受けられる
結論からいえば、住宅ローン控除の手続きを忘れてしまっても、翌年以降に手続きをすれば還付金を受け取ることが可能です。
ただし、住宅ローン控除には時効があり、5年間を過ぎるともう申告はできず、還付も受けられません。
たとえば、2023年の年末に控除手続きをするのを忘れてしまった場合は、
◎2024年1月1日から2028年12月31日までの5年間に手続きすれば還付が受けられる
×2029年1月1日以降には手続きできず、還付も受けられない
ということになります。
その場合の手続き方法については、次の項から詳しく説明します。
1-2.控除申告を忘れた際の対処方法は2つ
住宅ローン控除の手続きを忘れてしまった場合の対処方法は以下の2つです。
①会社員の場合、年末調整をし直してもらう
②自分で確定申告をする
そもそも住宅ローン控除の手続きは、
◎会社員の場合:1年目は自分で確定申告しなければならないが、2年目からは会社で年末調整してもらえばよい
◎その他の場合:1年目から住宅ローン控除の期限いっぱい(13年間または10年間)まで、毎年自分で確定申告する
となっています。
そのため、控除の手続きを忘れてしまった際も、
◎会社員の場合:1年目の確定申告を忘れたなら②
2年目以降の年末調整を忘れたなら①か②どちらか
→①のほうが手続きが簡単だが、会社側としては余分な手間なので請けてもらえない場合もある
◎その他の場合:つねに②
という方法をとることになります。
それぞれの具体的な手順は、次章以降に説明します。
住宅ローン控除を忘れた際に年末調整をし直してもらう方法
会社で年末調整をし直してもらうには、どうすればいいのでしょうか?
この方法をとれるのは、
・会社員
・住宅ローン返済1年目には自分で確定申告をして住宅ローン控除を受けた
のどちらにもあてはまる人です。
その場合の詳しい方法は、以下の通りです。
2-1.必要書類
まず、年末調整のために必要な書類を揃えましょう。
以下のリストにあるものを用意してください。
「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」 兼 「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」 兼 「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書」 | 住宅ローン1年目の確定申告をした年の10月頃、税務署から、残りの9年分(住宅ローン控除の期間が13年間の場合は12年分)がまとめて送付される。 紛失した場合は、管轄の税務署で再発行手続きをする。 →再発行については、国税庁ホームページ「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請手続」を参照 |
住宅ローンの年末残高証明書 | 住宅ローンを組んだ金融機関から、毎年10月~1月頃に送付される。 紛失した場合は、金融機関に再発行を依頼する。 →残高証明書について、くわしくは別記事「住宅ローンの残高証明書とは?入手方法と住宅ローン控除の受け方を解説」を参照 |
2-2.再調整を依頼する時期
では、年末調整のし直し=再調整を会社に依頼できる時期は、いつ頃まででしょうか?
再調整には期限があります。会社が税務署に法定調書を提出する期限、つまり翌年の1月末日までに行わなければなりません。
その期限を過ぎてしまった場合は、社内で再調整はできなくなるので、本人が確定申告をする必要があります。
たとえば、2023年の年末調整で住宅ローン控除の申告を忘れてしまった場合は、2024年1月31日までの法定調書提出に間に合えば社内でやり直してもらうことができますが、2024年2月1日以降は自分で確定申告しなければならない、というわけです。
自分で確定申告をするのは、慣れていない人には手間がかかることなので、できれば年末調整のし直しで対応してもらいたいところです。
ただ、前述したように、会社によっては再調整をしてもらえないところもあるようなので、担当部署に相談してみてください。
2-3.再調整を依頼する流れ
では、実際に年末調整をし直してもらう際にはどうすればいいのでしょうか?
その流れは、おおむね以下の通りです。
1)年末調整の担当部署に相談
年末調整を担当する部署は、経理部、総務部、人事部など会社によって異なりますので、自社ではどの部署が担当するのかを確認して、担当者に「住宅ローン控除の申告を忘れてしまったので再調整してもらえないか」ということを問い合わせましょう。
2)必要書類を提出
再調整してもらえることになったら、担当部署に「2-1.必要書類」で挙げた必要書類を提出します。ただ、再調整は依頼すればすぐにできるとは限りません。
ほかにもさまざまな理由で再調整を依頼している社員がいるでしょうし、担当部署内でミスがあったなどの理由で訂正作業をする場合もあるからです。
そのため、事前に「いつまでに書類を提出すればいいか」を確認しておき、なるべく早めに提出しましょう。
また、提出後に担当部署からくわしい事情の聞き取りや問い合わせがあるかもしれませんので、その場合は対応してください。
年末調整の再調整をしてもらう段取りは、これだけです。
あとは還付金が戻るのを待ちましょう。
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確定申告で住宅ローン控除を受ける方法
次に、確定申告が必要になった場合はどうすればいいのでしょうか?
以下のようなケースでは会社での年末調整はできず、本人が確定申告の手続きをしなければなりません。
・会社員で、住宅ローン1年目→かならず確定申告が必要(2年目以降は年末調整)
・会社員で、住宅ローン2年目以降の年末調整に住宅ローン控除の申告を忘れてしまい、翌年1月末までに再調整が間に合わなかった
・会社員で、住宅ローン2年目以降の年末調整に住宅ローン控除の申告を忘れてしまい、会社が再調整に対応しない
・会社員ではない
では、その場合にはどうすればいいのか、説明していきましょう。
3-1.必要書類
まず、確定申告の必要書類は以下の通りです。会社員の場合は、住宅ローン1年目の確定申告と、2年目以降とでは必要なものが異なるので注意してください。
3-2.申告の窓口
確定申告の書類が揃ったら、以下のいずれかの方法で提出します。
- 管轄の税務署に持参して提出
- 管轄の税務署に郵送で提出
- 自宅などのPCで、「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」を利用して送信
3-3.申告の時期
確定申告は、翌年の2月16日から3月15日が申告期間です。
たとえば2023年分の確定申告は、2024年2月16日~3月15日の間に書類を提出する必要があります。
ただし、申告忘れの場合は、5年以内であれば2月16日~3月15日以外の時期にも提出することができます。
住宅ローン控除の申告忘れに気づいたら、なるべく早く確定申告書類を揃えて申告するようにしましょう。
3-4.申告の流れ
自分で確定申告する場合の申告の手順は、おおむね以下の通りです。
1)必要書類を揃える
「3-1.必要書類」で挙げた書類を揃えます。
税務署でもらうもの、不動産会社から取り寄せるものなどもありますので、早めに準備をしましょう。
2)確定申告書を作成
税務署からもらった確定申告書(会社員の場合はA、その他はB)に必要事項を記入するか、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用してPC上で確定申告書を作成します。
書き方は、国税庁ホームページの「確定申告書の記載例」を参照するか、わからないところは税務署で相談してください。
3)必要書類を提出
作成した確定申告書にその他の必要書類を添えて、「3-2.申告の窓口」のいずれかに提出します。
間違いや疑問点があれば、税務署から連絡があるかもしれませんが、何もなければこれで手続きは終了です。あとは還付金が戻るのを待ちましょう。
必要書類をなくしてしまった場合の対処法
住宅ローン控除の申告をしようとしても、「必要書類をなくしてしまった」という場合もあるでしょう。
そんなときは慌てないでください。
「2-1.必要書類」「3-1.必要書類」の表にも入手方法を記載しましたが、どの書類も再発行や再取得ができます。
◎住宅ローンの年末残高証明書:
住宅ローンを組んだ金融機関に提出し、再発行を依頼すると、おおむね1週間程度で郵送されてきます。
ただ、金融機関によっては手数料がかかる場合もありますので、依頼時に確認しましょう。
◎「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」:
「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」に記入をして、管轄の税務署に再発行手続きをします。
くわしい手続きのしかたは、国税庁ホームページ「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請手続」を参照してください。
よくある質問
ここまで、住宅ローン控除の手続きを忘れてしまった場合、一般的にどうすればいいのかをくわしく説明してきました。
が、それ以外にも特定のケースについて疑問がある方もいるでしょう。そこで、よくある質問にも答えておきます。
5-1.残高証明書が届いたあとに住宅ローンの繰り上げ返済や借り換えをした場合はどうする?
住宅ローン控除の手続きには、その年の年末時点での住宅ローンの残高証明書が必要です。
これは、年末に残高が確定してから届くのでは年末調整に間に合いませんから、通常は毎年10月頃に金融機関から郵送されてきます。
そこに記載されている金額は、年末までの支払予定額をもとに計算された「残高の予定額」となっています。
そのため、10月以降に住宅ローンを繰り上げ返済した場合には、残高証明書の金額と実際の残高が異なってしまうわけです。
そうなると、住宅ローン控除の計算も変わってくる恐れがありますので、金融機関に正しい金額の残高証明書を再発行してもらってください。
また、10月以降に住宅ローンを借り換えた場合は、金融機関もローン残高も変わりますので、新しく借り入れをした金融機関に残高証明書の発行を依頼しましょう。
会社員の場合で、再発行が年末調整に間に合わなかった場合は、再調整を依頼するか、確定申告をしてください。
5-2.残高証明書が銀行から送られて来なくなったのはなぜか?
「例年住宅ローン控除の申告をしていたけれど、今年は残高証明書が銀行から届かなかったので、控除の手続きをするのを忘れてしまった」という方もいるでしょう。なぜ残高証明書が届かなかったのでしょうか?
考えられる理由は、以下の3つです。
①住宅ローン控除の適用期間を過ぎた
住宅ローン控除の適用期間は10年間(場合により13年間)です。
その期間を過ぎた場合は、残高証明書は必要ないので送られてきません。
②住宅ローンの借入期間が残り10年未満になった
住宅ローン控除が適用される条件のひとつに、「借入期間が10年以上ある」というものがあります。
つまり、借入期間が残り10年を切った場合、住宅ローン控除の適用外になるので、金融機関は残高証明書を発行しなくなります。
③住所変更を金融機関に届け出ていない
住所を変更した際に、金融機関に新住所を届け出ていなければ、残高証明書は発行されても届かない恐れがあります。
①②の場合はそのままで結構ですが、③の場合は金融機関に住所変更の届出をして、残高証明書を送り直してもらいましょう。
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まとめ
いかがでしょうか?
住宅ローン控除の手続きを忘れてしまったらどうすればいいか、よくわかったことと思います。
では最後にもう一度、その要点を振り返ってみましょう。
◎住宅ローン控除の手続きを忘れてしまっても、5年以内なら控除を受けられる
◎控除申告を忘れた際の対処方法は、
・年末調整をし直してもらう
・確定申告をする
◎必要書類をなくしてしまったら、再発行してもらえる
以上を踏まえて、あなたが無事に住宅ローン控除を受けられるよう願っています!