住宅ローン控除2年目からの年末調整の方法とは?手続きの流れや必要書類・注意点をわかりやすく解説!

住宅ローン控除の申請は初年度が確定申告が必要で、2年目から年末調整が可能になります。「住宅ローン控除の年末調整について知りたい」「スムーズに年末調整を終わらせたい」という方に向けて、手続きの流れや必要書類、注意点についてわかりやすく解説します。
※本記事に掲載している住宅ローン減税制度の概要・要件等は、2025年度時点の情報です。最新情報については、下記の記事を参照してください。

ファイナンシャルプランナー
茂木 禄人
株式会社Mapフィナンシャル において、独立系アドバイザーとして活動。詳細プロフィールはこちら
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除とは、自分が居住する家を購入またはリフォームするため、住宅ローンを借り入れた人が利用できる制度。正式名称は「住宅借入金等特別控除」といい、「住宅ローン減税」と呼ばれることもあります。
毎年末の住宅ローン残高の0.7%の金額が、10年間(または13年間)、所得税から控除されます。
住宅ローン控除についてはこちらの記事も参考にしてください。
【住宅ローン控除の年末調整】手続きの対象者と期間
住宅ローン控除の年末調整における手続きの対象者と期間を解説します。
1年目は確定申告が必要
住宅ローン控除の申請の方法には、以下の2通りがあります。
- 確定申告
- 年末調整
しかし、住宅ローン控除の申請をする最初の年(初年度)は、年末調整では申請ができません。
すべての人が、確定申告で住宅ローン控除の申請をする必要があります。
なお、住宅ローン控除の確定申告について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
2年目以降は年末調整で申告する
住宅ローン控除の1年目を確定申告で申請した後、2年目以降は、確定申告または年末調整のどちらかで住宅ローン控除の申請をしていくことになります。
給与所得以外の収入がない会社員(給与所得者)の場合、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除を受けられます。ただし、年収が2,000万円以上の会社員や個人事業主など、年末調整を利用しない場合は2年目以降も確定申告が必要です。
住宅ローン控除の必要書類は、年末調整のときに会社に提出すれば、住宅ローン控除の申請は完了です。
自分で必要書類を作成し税務署に提出する確定申告と比較すると、年末調整のほうが簡単に手続きを済ませられます。
「そもそも年末調整が何かわからない」という方へ、年末調整について触れておきましょう。
年末調整の対象となる人は、会社などに勤務していて毎月の給与を受け取っている人です。実際に振り込まれる給与の金額からは、確定前の大まかな所得税額が天引きされています。
年末調整は、住宅ローン控除をはじめとする控除や一年間の実際の給与金額をもとに、確定の所得税額を算出し、天引きしていた金額との差分を調整する手続きです。
よって、年末調整の対象となっている人は、年末調整の際に会社に住宅ローン控除の必要書類を提出します。
すると、住宅ローン控除を反映した所得税額が算出され、多く天引きされていた分が還付金として返ってきます。
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住宅ローン控除の年末調整で提出する書類
住宅ローン控除を年末調整で行う場合には、会社の年末調整の際に、次の2つの書類を提出します。
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」は、確定申告した1年目の10月頃に、税務署から郵送されます。
例えば、2025年2月〜3月に初年度の確定申告をした場合、2025年10月頃に届きます。
このとき、1年分ではなく、住宅ローン控除の対象年分すべてが一括して送付されてきますので、紛失しないように保管しておきましょう。
「住宅ローン控除の適用が13年」であれば、すでに確定申告済みの1年目を除き、2年目以降の12年分の書類が一括して送付されます。
受け取った給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書を、毎年年末調整のたびに1年分ずつ、会社に提出していきます。
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」は、年1回、毎年10月頃のタイミングで、住宅ローンを借り入れている金融機関から郵送されてきます。
郵送されてきたら大切に保管し、会社の年末調整のタイミングで提出しましょう。
参考:No.1213-1 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
参考:No.1213-3 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
住宅ローン控除を受ける手続きの流れ
住宅ローン控除を受ける手続きの流れを解説します。
初年度の手続き(確定申告)の流れ
初年度は確定申告が必要です。必要書類は以下のとおりです。
・本人確認書類(マイナンバーカードや通知カード+運転免許証など)
・確定申告書(国税庁サイトや税務署で入手)
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書(国税庁サイトや税務署で入手)
・住宅ローンの年末残高証明書(金融機関から送付)
・登記事項証明書(法務局で入手)
・不動産売買契約書の写し(または工事請負契約書の写し)
住宅借入金等特別控除額の計算明細書に必要事項を記入。確定申告書にも控除額を記載します。
確定申告の提出は、入居した翌年の1月1日~3月15日までに、住所地の税務署にe-Taxまたは郵送で提出してください。窓口への持参も受け付けています。
還付金の受取は申告後1か月程度で指定口座に振り込まれます。e-Taxを利用した場合はさらに早く振り込まれることもあります。
2年目以降に年末調整で住宅ローン控除を受ける手続きの流れ
会社員の方が2年目以降に年末調整で住宅ローン控除を受ける際の手続きの流れをご紹介します。必要書類は以下のとおりです。
・給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書(税務署から送付)
・住宅ローンの年末残高証明書(金融機関から送付)
上記書類に必要事項を記入し、年末調整の書類ととに提出すれば完了です。年収2,000万円を超える方や個人事業主の場合は、引き続き確定申告を行ってください。
控除額の計算方法
住宅ローン控除が適用される期間と金額は以下のとおりです。
- 新築住宅・買取再販:13年間×年末時点の住宅ローン残高の1%(上限35万円まで)
- 中古住宅:10年間×年末時点の住宅ローン残高の1%(上限21万円まで)
※特例措置や認定住宅等で変動があり
下記、計算例です。
3,000万円 × 0.7%=21万円が所得税から減税されます。
※所得税から控除しきれない場合は住民税から控除
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こんなときどうする?年末調整で住宅ローン控除にまつわるトラブル
年末調整で住宅ローン控除の申告をする際、ありがちなトラブルが3つあります。
- トラブル1:必要書類を提出するのを忘れた
- トラブル2:還付金が振り込まれない
- トラブル3:必要書類を紛失した
それぞれ、ご紹介しましょう。
トラブル1:必要書類を提出するのを忘れた
1つ目は「必要書類を提出し忘れた」というトラブルです。
住宅ローン控除に必要な書類を添付せずに年末調整の書類を会社に提出してしまった場合は、すぐに会社の年末調整担当者(経理や総務など)へ確認しましょう。
会社が従業員から書類を回収してから税務署へ提出するまでには猶予があるため、修正が間に合う可能性があります。
すでに会社が税務署へ提出していた場合でも、まだ方法はあります。1年目と同様に確定申告で住宅ローン控除を申請できます。
確定申告は【2月16日〜3月15日】の期間内に行いましょう。これらの日程が土曜・日曜にあたる場合は、翌月曜日まで延長されます。
確定申告による住宅ローン控除の詳細については、以下の記事をご参照ください。
トラブル2:還付金が振り込まれない
2つめは「還付金が振り込まれない」というトラブルです。
まず、住宅ローン控除の申請を年末調整で行った場合には、還付金が単体で口座に振り込まれるのではなく、会社から給与と一緒に振り込まれるのが一般的です。
確定申告で申請した場合には、税務署から還付金が振り込まれ、金額が記載された通知ハガキが届きます。
しかし、年末調整では、会社から受け取ることになります。
具体的な振込の時期は、企業によって異なりますので、会社の経理担当者に確認しましょう。
トラブル3:必要書類を紛失した
3つめは「必要書類を紛失した」というトラブルです。
「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」を紛失した場合には税務署へ、「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を紛失した場合には金融機関へ、再発行を依頼しましょう。
特に、住宅ローン控除が適用される年数分の書類が一括郵送される「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」は、紛失トラブルが起きやすい書類です。
紛失しないように注意するとともに、紛失した際には、すみやかに再発行の手続きを取りましょう。
手続きの詳細については、以下のページをご覧ください。
参考:[手続名]年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請手続|国税庁
住宅ローン控除の年末調整の注意点
最後に、住宅ローン控除の年末調整の注意点についてお伝えします。
年末残高等証明書発行後の繰り上げ返済は証明書の再発行が必要になる
年末残高等証明書は10月頃に金融機関から発行され、発行時から年末までの分は、見込の金額で算出されています。
そのため、年末残高等証明書が発行された後、年末までの間に繰り上げ返済を行うなど、イレギュラーの対応をした場合には注意が必要です。
先に発行されている年末残高等証明書の残高と実際の残高にズレが生じ、再発行が必要になるためです。
多くの金融機関では、9月末時点の情報をもとに、10月以降に年末残高等証明書が郵送されます。
実際の残高とズレる場合には、再発行の手続きをするように注意しましょう。
まとめ
住宅ローン控除の申請は、1年目はすべての人が確定申告で行う必要がありますが、2年目以降は年末調整でも申請できます。
勤務先へ年末調整の書類を提出する際に、以下の書類をあわせて提出します。
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
年末調整で住宅ローン控除の書類を提出するのを忘れた場合には、確定申告する必要がありますので、忘れないように注意しましょう。
住宅ローン控除の必要書類について詳しくは、以下の記事でも解説しています。あわせてご覧ください。
関連:住宅ローン控除 必要書類について解説している記事
よくある質問
- 住宅ローン控除の申請をする最初の年は年末調整が必要ですか?
-
住宅ローン控除の申請をする最初の年(初年度)は、年末調整では申請ができません。そのため、すべての人が、「確定申告」で住宅ローン控除の申請をする必要があります。
住宅ローン控除の確定申告について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
- 住宅借入金等特別控除申告書はどこでもらえますか?
-
確定申告した1年目の10月頃に、税務署から郵送されます。住宅借入金等特別控除申告書の書き方についてはこちらを参考にしてください。
- 還付金が振り込まれない場合の対処法は?
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住宅ローン控除の申請を年末調整で行った場合には、還付金が単体で口座に振り込まれるのではなく、会社から給与と一緒に振り込まれるのが一般的です。確定申告で申請した場合には、税務署から還付金が振り込まれ、金額が記載された通知ハガキが届きます。
しかし、年末調整では、会社から受け取ることになります。具体的な振込の時期は、企業によって異なるため、会社の経理担当者に確認しましょう。