住宅ローンの金利は交渉できる!引き下げ交渉のしかたを具体的に解説
「住宅ローンの金利について、銀行に引き下げの交渉はできる?」
「金利を引き下げてもらえるような、交渉のうまい方法やコツが知りたい」
そんな疑問や希望を持っている人が多いでしょう。
結論からいえば、借り換えの場合は住宅ローンの金利は、引き下げ交渉ができます!
フラット35以外なら、どの金融機関でも交渉を持ち掛けて構いません。
その際には、より低金利な他の金融機関で借り換えの相談をして、それを交渉材料にするといいでしょう。
もちろん成功するとは限りませんが、失敗しても特にデメリットはありませんので、ぜひ交渉してください。
そこでこの記事では、住宅ローンの金利引き下げ交渉について、知っておくべきことを解説しました。
まず、
◎住宅ローンの金利引き下げ交渉は可能か
◎金利引き下げに成功するケース
について、わかりやすく説明します。
それを踏まえて、
◎住宅ローンの金利引き下げ交渉のしかた
◎交渉の際の注意点
◎交渉に失敗した際の対処法
を具体的に解説します。
最後まで読めば、住宅ローンの金利引き下げ交渉はどのようにすればいいか、よくわかるでしょう。
この記事で、あなたが希望通りに金利引き下げに成功することを願っています!
ファイナンシャルプランナー
茂木 禄人
株式会社Mapフィナンシャル において、独立系アドバイザーとして活動。詳細プロフィールはこちら
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住宅ローンの金利引き下げの交渉は基本的に可能
そもそも、「住宅ローンの金利を引き下げてほしい」などと金融機関に交渉することは可能なのでしょうか?
まずは金利引き下げ交渉の実状から説明しましょう。
1-1.銀行・信用金庫なら交渉可能!
結論からいえば、借り換えの場合、住宅ローンの金利引き下げの交渉をすることは可能です。
メガバンク、地方銀行、ネット銀行、信用金庫などであれば、
・すでに借り入れしていて返済中の住宅ローン
で、交渉で金利を下げてもらえる可能性があるのです。
実は従来は、同じ金融機関からの借り入れで金利を引き下げることはできないとされていました。
しかし、住宅ローンの借り換えをする人が増え、「他行に乗り換えられるよりは……」と金利引き下げに応じてくれるケースが出てきたようです。
そのため、他行の低金利を引き合いに出して交渉するのが定石となっています。実際の交渉のしかたについては、「3.住宅ローンの金利引き下げ交渉のしかた」でくわしく説明しますので、そちらを参照してください。
1-2.金利引き下げには再審査が必要
ただ、交渉したからといってかならず金利を下げてもらえるわけではありません。
金利を引き下げるには再審査を受ける必要があり、その結果次第では断わられることももちろんあります。
特に近年は住宅ローンの金利はかなり低く設定されているため、金融機関としてはそれ以上下げればローン商品としてのうまみがなくなってしまうのも事実です。
金利が下がるか下がらないかは、実際に交渉してみなければわからないというのが実状なのです。
1-3.フラット35は交渉不可
前述したように、たいていの金融機関で金利引き下げの交渉をするのは可能ですが、例外があります。
フラット35を利用している場合は、金利引き下げはできません。
というのも、フラット35は銀行など民間の金融機関だけが融資をするのではなく、政策金融機関である「独立行政法人 住宅金融支援機構」の支援を受けて融資をする、いわば半官半民の融資制度です。
そのため、個人個人の事情に合わせて一部の人のみ融資条件を優遇するということはできないのです。
ただ、返済困難になった場合の救済策として、返済方法の変更はできるようになっています。
具体的には、
◎返済期間の延長
◎一定期間、返済額を減額
◎ボーナス返済のとりやめ、またはボーナス返済額の減額
などは可能です。
金利引き下げと違って、総返済額が減ることはなく、むしろ長期返済になる分返済利息の負担額は増えてしまいますが、月々の返済が楽になる方法として知っておくといいでしょう。
また、フラット35から通常の銀行ローンへの借り換えや、フラット35同士の借り換えも可能なので、金利負担を減らしたければ、より低金利のローンに借り換えるのもひとつの手です。
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住宅ローンの金利引き下げ交渉に成功するケース
前章では、住宅ローンの金利引き下げは、実際に交渉してみなければ成功するかどうかはわからない、と説明しました。
ですが、「こんな事例だと引き下げに応じてもらえる可能性がある」という一定の傾向はあります。
この章では、そういった「交渉成功がのぞめるケース」を挙げておきましょう。
2-1.他の金融機関により低金利で借り換えが可能な場合
まず「今の住宅ローンより低金利で他の金融機関に借り換えできる」という場合は、それが有力な交渉材料になります。
たとえば、「他行で仮審査に通っていて、試算の結果、今より低い金利を提示されている」という状態であれば、いま借り入れている金融機関にその事実を伝えることで、金利を引き下げてもらえる可能性があります。
銀行としては、金利引き下げによって利益は減りますが、他行に借り換えられてしまうと今後の利益がなくなってしまうので、それよりは引き下げに応じよう、と考えるわけです。
実際にいくつかの銀行で仮審査を受けたり、金利を試算してもらったりした上で、その結果をもって交渉するといいでしょう。
2-2.融資元の金融機関に多額の預金がある場合
住宅ローンを組んでいる金融機関の口座に多額の預金をしている人は、金利引き下げに応じてもらえる可能性が高まります。
預金が多い=返済能力が高いと判断され、信用度が上がるからです。
融資の金利を決定する際には、返済能力や信用度も影響します。
返済能力と信用度が高いほど金利は低くなるのです。
預金残高が大きい人は、それを示して「自分は信用度の高い優良顧客だ」とアピールすることで、交渉を有利に進められるかもしれません。
2-3.借入時より年収が上がっている場合
返済中の住宅ローンの金利を引き下げたい場合、もし借入時よりも現在のほうが年収が上がっていれば、それも交渉材料になります。
年収が上がる=返済能力が高くなったと考えられるので、返済が滞ったり貸し倒れになったりするリスクがより少なくなるためです。
実際に金利を引き下げる際には、再審査を受ける必要があります。
年収アップは、その審査で有利に働く可能性があるのです。
このように、住宅ローンの金利引き下げ交渉で重要なのは、金融機関側に「返済能力と信用度の高い優良顧客である」と思われることです。
そのためには、たとえば、
◎その金融機関の口座を公共料金引き落とし・給与振り込みに利用する
◎その金融機関で住宅ローン以外のローンも借り入れて、滞りなく返済実績を積む
といった方法も有効かもしれません。
日ごろからさまざまな手段で、自分の信用度を高めておくとよいでしょう。
住宅ローンの金利引き下げ交渉のしかた
では、実際に住宅ローンの金利引き下げを交渉する際には、どのように進めればいいのでしょうか?
その手順を、交渉成功のポイントとあわせて解説します。
3-1.交渉の窓口
まず最初に、「金利引き下げの相談をしたい」という連絡はどこにすればいいのでしょうか?
最初に融資を受けたときの担当者がわかっていれば、その人に連絡してください。
ただ、借り入れから年数が経っていると、当時の担当者が異動で融資担当から外れていたり、転勤で別の支店に移っていたりする可能性もあります。
その場合は、融資を受けている支店の住宅ローン担当窓口に話をしましょう。
3-2.金利引き下げの目標値
引き下げ交渉では、あまり無茶な要求をしては話がまとまりません。
現実的に可能な引き下げ金利を目標として定めておいて、それを基準に交渉しましょう。
では、どれくらいの金利を目標にすればいいのでしょうか?
その基準となるのは、
◎ローンを組んでいる金融機関の「優遇金利」
◎他行で同様の融資を受ける、または借り換える際の金利
の2つです。
3-2-1.優遇金利
住宅ローンの金利には、「基準金利」と「優遇金利」という2つの種類があります。
・基準金利:各金融機関が、ローンの利益やコストを考慮して定めた基準となる金利。「店頭金利」とも呼ぶ
・優遇金利:融資希望者が金融機関の定めた一定の条件を満たした場合に、基準金利から一定割合で引き下げられる=優遇される金利。金利の引き下げ幅を「優遇金利(優遇幅)」といい、引き下げられたあとの金利を「適用金利」という
これらの金利は各金融機関で公表されています。
そこでまず、自分が住宅ローンを申し込んでいる、または借り入れている金融機関の基準金利と優遇金利を調べましょう。
その上で、優遇金利の最大値を引き下げの目標にします。
たとえば、以下のような金利を適用している銀行があると仮定しましょう。
【優遇金利の一例】
基準金利 | 優遇金利(優遇幅) | 適用金利 | |
固定3年 | 2.5% | ▲1.5% | 1.0% |
固定10年 | 2.7% | ▲1.6% | 1.1% |
固定20年 | 3.0% | ▲1.7% | 1.3% |
もし現在の自分のローン金利がこれより高ければ、「適用金利」を目標に交渉するのです。
実際に公表・適用されている金利をもとに交渉するので、引き下げに成功する可能性は高まるでしょう。
3-2-2.他行の金利
また、他行でより低金利のローンが組めるのなら、それを交渉の基準にするのもいいでしょう。
たとえば現在は金利2%で借りている場合、それより低金利の金融機関を探して借り換えの試算をしてもらいます。
そこで、1.5%など今より低金利で借りれられるという結果が出たら、その金利を引き下げの目標にするのです。
できれば他行で借り換えの仮審査を受けて、
・他行の仮審査合格
・他行の試算で出た今より低い金利
を今の金融機関に提示しながら交渉するのがおすすめです。
そうすれば、「他行に借り換えされるよりは、金利を引き下げたほうがいい」と考えて引き下げに応じてもらえる可能性があります。
ただこの場合は、今の銀行が金利を引き下げてくれたとしても、他行と同じ金利(上記の例では1.5%)までは下げてもらえないケースもあります。
もしそれでは納得できなければ、実際に他行に借り換えることを検討してもいいでしょう。
3-3.交渉のタイミング
さて、住宅ローンの金利引き下げ交渉は、いつ行ってもいいというものではありません。
金融機関には、引き下げに応じてもらいやすい時期というものがあるのです。
それは、金融機関の期末=3月と9月です。
というのも、金融機関では各期ごとの融資目標額を定めていて、それが達成できなければ担当部署の責任になります。
そのため、期末の決算が近い時期には、目標達成に向けて融資が受けやすくなるのです。
新規で住宅ローンを検討している人には、期末までになんとかローン契約をしてもらおうと金利を引き下げる可能性がありますし、既存のローン契約でも、「借り換えを検討している」と言われれば、引き留めるために金利を引き下げてくれるかもしれません。
もしタイミングが合うなら、金利引き下げ交渉はぜひ3月か9月にもちかけてみてください。
3-4.交渉の流れ
では、実際の交渉はどのように進めればいいのでしょうか?
それは個別のケースによって異なりますが、一般的には以下のような流れで行えばいいでしょう。
この結果が今ローンを組んでいる金融機関への交渉材料にも、金利引き下げ交渉の目標値にもなります。
仮審査は、できれば複数の金融機関に申し込んでください。
より低金利で借り換えできるローンを探すためでもありますが、多数の金融機関を検討していることで、今の金融機関に対して「本気で借り換えを考えている」というプレッシャーをあたえる効果も狙えます。
2)金利引き下げ交渉をする
他行の仮審査の結果が出揃ったら、それをもって今の金融機関に金利引き下げ交渉をもちかけます。
担当窓口に連絡して、「住宅ローンの金利を引き下げてほしい」とストレートに伝えて結構です。
交渉が始まったら、
・他行への借り換えを検討していること
・すでに仮審査に合格していること
・今より低金利で借り換えができること(〇〇%と具体的な数値を提示)
を伝えて、「借り換えするよりもメリットがある金利にまで引き下げてもらえれば、借り換えはせずにこのままローン契約を継続します」と提案してください。
その際、仮審査に合格していることがわかる資料などがあると、より説得力が増します。
が、あまり強硬に迫って相手に悪感情をもたれないよう、あくまで「できればこの金融機関でローンを継続したい」という前向きな姿勢で臨んでください。
3)交渉結果により、ローン継続か借り換えかを選択する
金利引き下げ交渉で満足する結果が出れば、今のままの住宅ローンを継続できますが、もし希望する引き下げが受けられなかった場合は、実際に他行への借り換えを検討してもいいでしょう。
金利だけでなく、借り換え手数料なども含めてどちらが得かを判断してください。
住宅ローン金利引き下げ交渉の注意点
金利引き下げ交渉の実際の流れがわかりました。
交渉を行うにあたって、注意してほしいことがいくつかあります。
この章ではそれらを挙げておきましょう。
4-1.金利引き下げの再審査に備えて信用情報を良好に保つ
前述したように、金利引き下げの際には再審査を受けなければなりません。
審査に落ちてしまえば引き下げは受けられませんので、交渉だけでなく審査対策も心掛けておく必要があります。
特に重要なのは、信用情報です。
信用情報とは、個人のローンやクレジットカードなどの借り入れ・返済歴に関する情報で、延滞や滞納、債務整理などの「金融事故」に関する情報も記録されています。
住宅ローンの審査では、金融機関はかならずこの信用情報を照会するので、もし金融事故があればローン審査に落ちるリスクが高まってしまいます。
金利引き下げの再審査でも同様ですので、日ごろから、
・ローンやクレジットカードなどの返済
・携帯電話料金+携帯端末代の分割払い
は滞りなく行い、信用情報にキズがつかないように気をつけてください。
4-2.「当初固定金利」を提案されたら総返済額を試算してみる
もし金融機関が金利引き下げに応じてくれたとしても、その際に「当初〇年固定金利」を提案されたら、すぐには応じないでください。
金利引き下げ前と後の総返済額を試算してみて、どちらが得かを明確にしてから返答しましょう。
というのも当初固定金利の場合、固定期間の金利だけ下がっても、総返済額は逆に上がってしまうこともあるからです。
「当初固定金利」とは、最初の何年間かは固定金利で融資をして、その期間が過ぎれば変動金利に移行するという金利方式です。
たとえば、「当初5年固定で0.75%」であれば6年目からは変動金利になります。
そして変動金利になると、金利が上がることが多いのです。
以下のような例でシミュレーションしてみましょう。
・住宅ローン借入額:3,000万円
・元利均等返済
・返済期間:35年
◎当初5年固定金利0.75%→6年目以降1.5%の場合:総返済額 3,740万1,933円
◎全期間固定金利1.2%の場合:総返済額 3,675万4,301円
最初の5年間は低金利ですが、総返済額は高くなっています。
このようなケースがあるため、もし金利引き下げ交渉で「1.2%の金利を、当初5年固定で0.75%まで下げます」などと言われたら、かならず試算して総返済額を確認する必要があるのです。
4-3.手数料が必要か確認する
交渉に成功して、金利が引き下げられることになった場合、金融機関によっては手数料がかかることがあるので要注意です。
ただ、金利引き下げの手数料は、発生したとしても高額ではありません。
事前に金融機関に確認して、その手数料を支払っても金利を引き下げたほうが得だと納得してから交渉を進めるといいでしょう。
住宅ローンの金利引き下げ交渉に失敗した場合の対処法
ここまで、住宅ローンの金利引き下げ交渉に成功するための方法を解説してきました。
しかし、これらを踏まえて交渉しても、引き下げに応じてもらえない場合も多々あるでしょう。
その場合でもガッカリしないでください。
他にも金利負担を減らす方法はありますので、以下のことを試してみましょう。
5-1.他の金融機関に借り換えをする
繰り返しになりますが、金利引き下げ交渉のためには、まず今より低金利で借り換えできる他の金融機関を探すことが重要です。
今より金利が低い住宅ローンが見つかって仮審査に通ったら、それを金利引き下げの交渉材料にしますが、交渉が失敗した場合は、いっそ本当に他行に借り換えしましょう。
そうすれば、金利を下げることができます。
ただ、借り換えには以下のようなさまざまな費用がかかります。
・融資手数料
・保証料
・前のローンの繰り上げ返済手数料
・抵当権抹消・設定登記費用
・火災保険料
・印紙代
・司法書士への報酬 など
これらを含めて試算すると、場合によっては現行の金利のままでローンを継続したほうが得だということもあるでしょう。
目先の金利だけで借り換えを決めず、ここでも総返済額を試算する必要があるのです。
5-2.同じ金融機関で金利タイプを変更する
他行へ借り換えしなくても、同じ金融機関の中で金利タイプを変更することで、総返済額が下がる可能性もあります。
一般的には、以下のような変更が可能です。
◎変動金利→固定金利:いつでも変更可能
◎固定金利→変動金利:固定金利の期間中は変更不可
期間終了後は自動的に変動金利に切り替わるが、固定金利も選択可能
この方法は、他行への借り換えに比べると手数料も少額で手続きも簡単です。
変更した場合の総返済額を試算してみて、得になるようであれば変更するといいでしょう。
ただし、ケースによっては逆に総返済額が増えてしまうので、試算は正確に行ってください。
まとめ
いかがでしたか?
住宅ローンの金利引き下げ交渉について、知りたいことがわかったかと思います。
最後にもう一度、記事の要点を整理してみましょう。
◎住宅ローンの金利引き下げ交渉は、フラット35以外なら可能
◎住宅ローンの金利引き下げ交渉に成功するケースは、
・他の金融機関により低金利で借り換えが可能な場合
・融資元の金融機関に多額の預金がある場合
・借入時より年収が上がっている場合
◎住宅ローン金利引き下げ交渉の注意点は、
・金利引き下げの再審査に備えて信用情報を良好に保つ
・「当初固定金利」を提案されたら総返済額を試算してみる
・手数料が必要か確認する
◎住宅ローンの金利引き下げ交渉に失敗した場合の対処法は、
・他の金融機関に借り換えをする
・同じ金融機関で金利タイプを変更する
以上を踏まえて、あなたが希望通りに金利引き下げできるよう願っています!