東京で家を買うには年収いくら必要?平均年収と人生にかかるお金から考える

東京で家を買うとき、「自分の年収でどれくらいの家までなら買っていいのか?」は、多くの人が最初につまずくポイントかもしれません。
しかもここ10年ほどで、東京のマンション価格はぐっと上がり、「平均的な年収のまま、なんとなく新築マンションを買う」ことが難しくなってきました。
一方で、家は人生でもっとも大きな買い物のひとつ。住宅ローンで背伸びをしすぎると、日々の生活費や子どもの教育費、老後資金など、ほかに必要なお金を圧迫してしまうリスクもあります。
そこでこの記事では、公的統計や生涯年収に関する代表的な試算を参考にしながら、「東京の平均的な年収の人」がこれから一生でいくらくらい稼げるのかをざっくり押さえ、その中から無理のない住宅予算をどう考えるかをお伝えします。
「家にいくら“借りられるか”」ではなく、「人生全体のお金のバランスを崩さずに、どこまでなら“使っていいか”」。そんな視点で、東京の家探しを一緒に整理していきましょう。
まずは生涯賃金を知る。今30歳なら、これからの手取りは推定1億4,700万円
自分が家にどれだけお金を使えるのか知るためには、自分のお財布に、将来も含め、どれだけお金が入ってきて、家以外でどれくらい必要なものがあるのか知る必要があります。まずは、どれだけ入ってくるのか?生涯賃金から見ていきましょう。
東京の平均年収と、生涯で稼げるお金のイメージ
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」では、一般労働者(フルタイム)の賃金月額が、全国・都道府県別に公表されています。令和5年調査の結果では、一般労働者の賃金月額は全国平均でおよそ31万円台後半となっており、東京都はこれを上回る水準。年齢や業種によって差はありますが、多くの階層で30万円台後半〜40万円台前半といったレンジに分布しているイメージです。
こうした公的統計と、民間の平均年収調査などを合わせて見ると、「東京でフルタイム勤務する会社員の平均年収は、おおまかに見て500万台〜600万弱のレンジ」で考えるのが現実的です。この記事では、この幅を前提にしつつもやや保守的に、「東京の平均的な会社員の年収=500万台後半」とイメージしながら話を進めていきます。
生涯年収(生涯賃金)については、転職サービスDODAなどの集計で「全国平均で額面約2億2,000万円前後」という試算が出ています。額面2.2億円から税金や社会保険料を差し引いた手取りベースの生涯賃金は、おおよそ1億6,000万〜1億7,000万円前後になると考えられます。
この記事では、東京の賃金水準が全国より高いことを踏まえつつも、やや保守的に「手取りベースの生涯賃金 ≒ 約1億7,000万円」という前提を置きます。
今30歳なら、これから稼げるお金はいくらか
次に、「今30歳の人」をモデルケースにして、ここから先どれくらい稼いでいく想定かを考えてみます。
22歳で社会人になり、65歳まで43年間働くとすると、そのうち20代前半の約8年間はすでに終わっています。この20代前半の8年間で稼いだ手取り収入を、ざっくり2,300万円程度とみなします(年収手取り平均300万円弱×8年というイメージ)。
先ほど置いた「手取り生涯賃金1億7,000万円」から、この2,300万円を差し引くと、30歳から定年までに手元に入ってくるお金は、
- 1億7,000万円 − 2,300万円 = 約1億4,700万円
という計算になります。
つまり、「東京の平均的な賃金水準(500万台〜600万弱のレンジ)で働く30歳」をモデルにすると、これから定年までのあいだに手元に入ってくるお金の総額は、おおまかにいって1億5,000万円弱の世界ということです。
この“1億4,700万円の器”のなかから、これからの生活費、子どもの教育費、老後の生活費と医療・介護費、そして住宅費を分け合っていくイメージになります。
家以外に必要な人生のお金、推定1億3,200万円
ここからは、30歳から定年までに手元に入ってくるお金(手取り)1億4,700万円という器のなかで、家以外にどれくらいお金が必要になりそうかを整理していきます。
人生のお金は大きく分けると、次の3つです。
- 日々の生活費
- 子どもの教育費
- 老後の生活費と医療・介護費
この記事では、各種統計や代表的な試算を参考にしながら、平均的なモデルケースとして、
- 生活費:9,000万円
- 教育費(子ども2人):2,200万円
- 老後資金:2,000万円
という目安を置いてみます。
老後資金については老後2,000万円問題などで一般に議論されている標準的な前提に合わせ、「多くの人が目指しやすいライン」にしました。
①生活にかかるお金、推定9,000万円
まずは、毎日の暮らしにかかる「生活費」です。
ここでは、家賃(または住宅ローン)と住宅の大きなリフォーム費用は一旦除き、「食費・光熱費・通信費・日用品・保険料・趣味・レジャー・被服費など」をひとまとめにして考えます。
総務省「家計調査報告」の2024年平均結果によると、二人以上の世帯における1か月あたりの消費支出は、全体平均でおよそ30万円となっています。世帯主の年齢階級別に見ても、40歳未満で月28万円前後、40〜50代で30万円台といった水準で、「月30万円前後」が平均的な生活費の目安になっていることがわかります。
この記事では、住宅費を除いた「生活費の中庸ライン」として、少し控えめに月21.5万円という前提を置いてみます。手取り収入の一部は貯蓄に回すことを想定しつつ、無理のない水準で日々の暮らしを維持するイメージです。
- 月21.5万円 × 12か月 = 年間258万円
- 年間258万円 × 35年(30歳〜65歳) = 約9,030万円
となるので、キリのよい数字に丸めて、生活費は9,000万円という目安にしておきます。
もちろん、共働きで収入が増える・ミニマルな暮らしを志向する・あるいは子どもが独立した後に生活費をしっかり絞るなど、ライフスタイル次第でこの金額は上下します。ただ、「住宅にいくらまで回せるか」を考えるうえで、一度「生活費として9,000万円は見ておく」と置いておくことで、そのほかの教育費や老後資金とのバランスを取りやすくなります。
②子ども1人あたりの大学までにかかる費用、推定1,100万円(子ども2人で2,200万円)
次に、子どもの教育費です。
文部科学省「子供の学習費調査」では、公立校に通う場合の学習費(授業料・教材費・塾や習い事などを含む)が、公立小学校・中学校・高校ごとに公表されています。
令和3年度の結果をもとに単純計算すると、小学校〜高校まで公立に通った場合、子ども1人あたりの学習費はおおよそ500万円前後になります。
大学については、文部科学省の資料等をもとにした平均値として、4年間の学費は国公立で約480万円、私立文系で約690万円という水準が示されています。
この記事では、
- 幼稚園〜高校:主に公立
- 大学:私立文系・自宅通学
というモデルを想定し、
- 幼稚園〜高校:約500万円
- 大学(私立文系・4年):約690万円
を合計して、子ども1人あたりおよそ1,100万円という目安を置きます。
子ども2人なら、単純に2倍して2,200万円が教育費のモデルです。実際には、私立中高や留学などでこの数字を上振れさせることも、国公立中心で下振れさせることもできるため、ここでは「平均的な方針の家庭にとっての、中庸でやや控えめなライン」として1,100万円/人を採用しています。
③老後に必要な資金、推定2,000万円
最後に、老後のお金です。
総務省の「家計調査報告」では、65歳以上の無職世帯(年金生活の世帯)について、実収入と消費支出が公表されています。二人以上の世帯を見ると、2024年平均では1か月あたりの実収入が約26万6千円、消費支出が約25万9千円と、月々の収支はほぼトントンか、わずかに赤字という水準です。
一方、「老後2,000万円問題」でよく用いられるモデルでは、老後の夫婦2人の生活費を月25万円、公的年金収入を月20万円と仮定し、毎月5万円(年間60万円)の不足が続くケースを想定しています。この不足が20年間続くと、60万円×20年=1,200万円を貯蓄から取り崩す計算です。
さらに、病気や介護、自宅の大規模修繕などの予備費としておよそ800万円を上乗せすると、
- 生活費の不足分:1,200万円
- 医療・介護・修繕などの予備費:800万円
合計で2,000万円が、「老後資金として用意しておきたいおおまかな目安」として説明しやすい金額になります。
この記事では、こうした家計調査の実態と「老後2,000万円問題」で使われた代表的なモデルを踏まえ、「老後資金2,000万円」という数字を、あくまで標準的なラインとして採用しています。よりゆとりある老後を望む人はここから上振れ、生活水準を抑えれば下振れ、というイメージで調整してもらう前提です。

住宅費用がオーバーしたら、どうなる?

ここまで見てきたように、「30歳から定年までに稼げるお金」は手取りで約1億4,700万円、そのうち生活費・教育費・老後資金で約1億3,200万円が必要という前提を置きました。
残りのおよそ1,500万円が“ゆとり”ですが、実際の住宅購入では、ここに現在の貯蓄や共働きによる収入増、退職金なども加わるため、住宅に回せる金額はもう少し大きくなります。
ただし、いくら借りられるかよりも、「毎月いくらなら無理なく返せるか」を見ないと、家計がすぐに苦しくなります。ここでのポイントが「返済負担率(総返済負担率)」です。
返済負担率の目安と、フラット35利用者の実態
返済負担率とは、「年収に対する住宅ローン(+他のローン)の年間返済額の割合」のことです。フラット35を提供する住宅金融支援機構では、年収に応じて返済負担率の上限を決めており、
- 年収400万円未満:30%以下
- 年収400万円以上:35%以下
一方で、実際にフラット35を利用している人たちの平均値を見ると、最新の利用者調査では、
- 平均世帯年収:669万円
- 1か月当たりの予定返済額:およそ11万〜12万円台
- 総返済負担率(全国平均):おおむね20%台前半
といった水準で、上限ギリギリではなく、ある程度余裕のある返済計画を組んでいることがわかります。
また、フラット35利用者調査をもとにした解説では、「最近の住宅購入者の年収倍率(購入価格 ÷ 年収)は6〜7倍程度が平均」とされており、全国的にも年収の6〜7倍程度の価格の物件を買うケースが多いことが示されています。
どこからが「オーバー」なのか
こうしたデータを踏まえると、以下の数値が全国の「平均的に無理のないライン」の目安と言えます。
- 返済負担率:20%前後
- 年収倍率:6〜7倍程度
東京のように物件価格が高いエリアでは、年収倍率が7倍を超えやすく、返済負担率も25〜30%近くまで上がってしまうケースが少なくありません。年収の3割近くを住宅ローンに使う状態が長く続くと、以下のリスクが高まります。
- 子どもの教育費を十分に用意できない
- 老後資金の積立が後回しになる
- 仕事や健康の変化があったときに家計がすぐ苦しくなる
そのため、フラット35の「上限35%」ではなく、返済負担率20%台前半・年収倍率6〜7倍程度をひとつの目安に、そこからあまり大きく超えない範囲で住宅予算を考えることをおすすめします。
東京の物件価格と年収倍率の「現実」
東京で何となく物件サイトを眺めていると感覚が麻痺しがちなので、まずは相場感をざっくり押さえます。東京カンテイのプレスリリースによると2024年の中古マンションの価格は以下のようになっています。
- 東京23区の中古マンション(70㎡)の平均価格は、2024年時点で約7,720万円(前年比+9.4%)
また、東日本レインズの「首都圏不動産流通市場の動向(2024年)」による首都圏全体の中古マンションの平均成約価格は以下のとおりです。
- 首都圏全体の中古マンションの平均成約価格は、4,000万円台前半
東京23区の新築マンションの平均価格が1億円前後という水準まで上がっていますが、東京カンテイの価格データをもとに野村不動産ソリューションズがまとめた「世帯年収倍率2024」では、東京都の物件価格と「年収800万円」の世帯を前提にした年収倍率が、以下のように試算されています。
- 新築マンション:約10.9倍
- 築10年中古マンション:約10.4倍
- 新築一戸建て:約6.0倍
全国的な「年収倍率6〜7倍が目安」という水準と比べると、東京都のマンション、とくに23区は明らかに“年収に対して高い”状態です。
「背伸びせずに家を買う」ための考え方
本記事では、「30歳からの手取り生涯賃金1億4,700万円のうち、生活費・教育費・老後で約1億3,200万円が必要」という前提を置きました。残りの約1,500万円に、すでにある貯蓄や退職金、共働きによる上振れ分が加わっていくイメージです。
ここに、フラット35の利用者調査で見た「返済負担率20%台前半・年収倍率6〜7倍程度が無理のないライン」というデータを重ねると、
- 「年収の6〜7倍を超える価格帯」
- 「返済負担率が30%に近づく返済額」
は、東京ではかなり背伸びしたゾーンだと言えます。「背伸びせずに家を買う」ことを目標にするなら、
- 返済負担率は20%台前半に収まる範囲
- 年収倍率もできるだけ7倍前後まで
をひとつの上限イメージに、「借りられるMAX」ではなく「人生全体のお金のバランスが崩れないMAX」で予算を決めることがおすすめです。
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予算内で満足できる家を手に入れるには?

東京の相場と年収倍率を踏まえると、「都心の新築マンションで全てを叶える」のは、かなり限られた人向けになっています。そこで、予算内で満足度を上げる現実的な選び方は次のような方向になります。
●エリアを少しずらす
東京23区でも、都心3区・城南の一等地から、城北・城東、23区外、多摩エリアに目を広げるだけで、価格水準は大きく変わります。
●新築ではなく中古マンションをベースにする
東京23区の新築マンション平均価格は1億円前後ですが、中古なら同じエリアでも価格を抑えられます。東京23区の中古マンション70㎡平均が7,720万円という数字も、新築よりは抑えられますが、それでも高いと感じる価格帯になっています。
●広さと築年数を柔軟に考える
「駅チカ・築浅・広さ十分」を全部取りにいくと、簡単に年収倍率10倍超えになってしまいます。ゼロリノベでは、「駅徒歩10分前後・築古でも管理状態がよい物件・必要十分な広さ」を組み合わせ、中古×リノベで内装や間取りを整えることで、満足度と予算のバランスを取るケースが多いです。
●中古×リノベで「自分たち仕様」にする
内装や設備はほぼ総取り替えになるので、築年数よりも「構造・管理・立地」を優先できます。そのうえで、自分たちの暮らしに合わせた間取り・収納・内装に作り替えることで、「新築より安いのに満足度が高い家」を目指しやすくなります。
よくある質問
- 東京で家を買うには、年収の何倍くらいまでの物件価格が目安ですか?
-
一般的には「年収の6〜7倍程度」が無理のないラインとされます。東京のマンションは相場が高くなっているため、7倍を大きく超える価格帯は、家計への負担が重くなりやすいゾーンと考えておくと安心です。
- 住宅ローンの返済額は、手取り月収のどれくらいまでなら安全ですか?
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目安としては「手取り月収の2〜3割」程度に収まる範囲です。返済負担率が3割を超えてくると、教育費や老後資金の積立に回せる余裕が圧迫されやすくなるため、なるべく2割台前半で抑えることをおすすめします。
- 子ども2人を大学まで進学させる場合、どのくらい教育費を見込んでおくべきでしょうか?
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現在の水準では、幼稚園〜高校は主に公立、大学は私立文系・自宅通学というモデルであれば、子ども1人あたり約1,100万円、2人で約2,200万円を目安と考えるとイメージしやすいです。私立中高や一人暮らし・留学などを選ぶ場合は、ここから上振れする前提で見積もる必要があります。
- 老後資金は本当に2,000万円も必要ですか?
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老後の夫婦2人の生活費を月25万円、公的年金収入を月20万円と仮定すると、毎月5万円の不足が20年続いて1,200万円程度が必要になります。ここに医療・介護・住宅の修繕などの予備費を上乗せすると、2,000万円前後が「標準的な目安」として妥当なラインといえます。






