4種類の水回りリノベーションの費用相場! 注意点や補助金制度を解説
「キッチン、バスルーム、トイレ、洗面…」水回りはどの箇所を取っても、暮らしの快適性を担うものばかりです。
水回りのリノベーション(リフォーム)を考えた際、1番気になるのが費用面でしょう。
事前に水回りのリノベーションに関するポイントや費用目安を押さえておくと安心です。
本記事では、水回りの各場所のリノベーション概要や、注意点に関して解説します。
さらに、費用を抑えるポイントや依頼先なども紹介しているため、水回りのリノベーションを検討している方はぜひ参考にしてみてください。
一級建築士
西村 一宏
東洋大学ライフデザイン学部講師。リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。
4種類ある水回りリノベーションとは?
水回りとは、主に下記の場所を指します。
- キッチン
- 浴室
- トイレ
- 洗面
水回りの場所は日常的に使用するため、使用頻度が高く、快適性が暮らしの充実度を左右する場所になります。
水回りリノベーション①|キッチン
キッチンは家族の食生活を支え、重要な役割を担います。
仮に、キッチンが劣化していたり、故障したりしていると、日常生活に大きな支障が生まれます。
そのため、キッチンのリノベーションの可能性は非常に高いです。
ここからは、キッチンのリノベーションの費用相場と期間目安を紹介します。
2-1.キッチンリノベーションの費用相場
キッチンのリノベーションでは、キッチンのグレードによって、大きく金額が異なります。
キッチンリノベーションの費用相場は、以下の通りです。
- スタンダードクラス 約50万円
- ミドルクラス 約70万円
- ハイクラス 約100万円〜
キッチン本体の価格、オプションの有無、レイアウトの変更があるかでも費用が変わります。
便利な機能を見ると、つい欲しくなってしまいますが、予算と必要な機能の見極めが大切です。
2-2.キッチンリノベーションの期間目安
リノベーション期間は、取り替え・周辺の補修工事であれば1週間〜10日前後が目安です。
「キッチンを壁付けから対面にする」「キッチンの形を変える」など大掛かりなリノベーションを実施する場合は、期間も長くなります。
水回りリノベーション②|トイレ
トイレには、節水や掃除の負担軽減など、生活が便利になる機能が搭載されています。
機能性と広々とした空間に変化させられるトイレリノベーションですが、費用や期間はどれくらいかかるのでしょうか。
トイレリノベーションの費用相場や期間目安を紹介します。
3-1.トイレリノベーションの費用相場
トイレをリノベーションする際、グレードにより、以下の価格が目安となります。
- スタンダードクラス 約20万円
- ミドルクラス 約30万円
- ハイクラス 約40万円
メーカーや商品グレード、機能のオプションによって価格の幅があります。
便座や機能部など、パーツごとによっても費用が変動するため、カタログやショールームなどでしっかりと確認しましょう。
3-2.トイレリノベーションの期間目安
トイレだけの交換であれば、半日程度で可能です。
ただ、和式から洋式への交換だと2~3日、トイレの内装まで含めると3日~5日程度必要になります。
水回りリノベーション③|浴室
浴室も、日常生活に欠かせない、使用頻度の高い場所です。
そのため、劣化したり不具合が発生している場合はもちろん、将来を言据えて使いやすくしたり、バリアフリー化を図っている場合のリノベーションが多くなります。
次に、浴室のリノベーションについての費用相場や期間目安を紹介します。
4-1.浴室リノベーションの費用相場
ユニットバスは、グレード別に見ると、下記のような費用目安となっています。
- スタンダードクラス 約40万円
- ミドルクラス 約70万円
- ハイグレードクラス 約130万円
特に、タイル貼りの浴室であれば、工事範囲や内容によって大きく価格が変わります。
また、在来工法の浴室の場合、ユニットバス以上にお金がかかる場合があるので、注意しましょう。
4-2.浴室リノベーションの期間目安
ユニットバスの浴槽を交換する程度の小規模であれば1日程度、ユニットバスからユニットバスへの交換であれば4日前後が目安です。
昔ながらのタイルのお風呂からユニットバスへのリフォームの場合、4日~1週間ほどかかる場合が多くなっています。
水回りリノベーション④|洗面台
洗面台は、日常生活の中で1日に何度も使用する場所であり、汚れが付着しやすく、物があふれやすい場所でもあります。
洗面台周りをリノベーションすることで、掃除や手入れが楽になり、収納力がアップするなど、さまざまなメリットが期待できます。
ここからは、洗面台のリノベーションの費用相場や期間目安について紹介します。
5-1.洗面台リノベーションの費用相場
システム洗面台を利用する場合、費用もお手頃ですが「ボウルが2つあるような大きなものにしたい」「収納を充実させたい」などグレードが高くなる場合には、予算を確保する必要があります。
洗面台のグレード別費用相場は、以下の通りです。
- スタンダードクラス 約20万円
- ミドルクラス 約40万円
- ハイグレードクラス 約60万円
洗面台は、セットプランを選ぶか、天板やボウル、収納棚など各パーツで選ぶかによっても、費用が異なります。
5-2.洗面台リノベーションの期間目安
洗面台を取り替えるだけなら、1日ほどで可能です。
周辺の床や壁の補修がある場合は、3日程度を想定しておくとよいでしょう。
洗面台の位置を移動するような工事は、さらに長くなるため、注意しましょう。
水回りリノベーションの3つの注意点
水回りのリノベーションをする際、さまざまなメリットが期待できますが、下記の3つに注意する必要があります。
- カタログだけで決めると後悔する
- 見た目だけで劣化度合いは判断できない
- 段階的なリノベーションは費用がかさむ
それぞれ、詳しくみていきましょう。
6-1.カタログだけで決めると後悔する
水回りの設備機器は、何十万円、時には百万円を超える商品になるため、実物を見ずに決めるのは危険です。
毎日使うことを考えたら、使い勝手はもちろん高さ、大きさ、色などを実際に見られるショールームなどで確認しておくのは必須です。
例えば、ほんの数センチの高さの差でも、「こっちの方がいい」と気づくことがあります。
6-2.見た目だけで劣化度合いは判断できない
リノベーション(リフォーム)が必要な目安年数が15年~25年と言われても、実際に傷んでいる実感がなく、まだまだ使える、きれいと思うと、なかなか踏み切れないでしょう。
しかし、水回りのような配管や電気がともなうものだと、表に見えない箇所が劣化しているケースが非常に多くなっています。
また、見えない箇所が劣化していると、じわじわと水漏れが発生することもあります。、
6-3.段階的なリノベーションは費用がかさむ
水回りのリノベーションでは、設備の他に大工工事、配管工事、電気工事など複数の工事が必要です。
関連工事はまとめて一度に済ませた方が、長い目で見ると予算をセーブできます。
また、水回りの設備本体を購入する場合、同じメーカーでまとめて購入すると割引きしてもらえる場合もあります。
今年はトイレ、来年はキッチン…など1つ1つ手順に沿って、進めたいと思うかもしれませんが、リフォームのタイミングが近いのであれば、まとめて実施する方が断然お得です。
水回りリノベーションの費用を抑える3つのポイント
水回りのリノベーションをする際、選ぶ設備機器やリノベーションの内容によっては、多額の費用がかかり、その費用は決して安くはありません。
しかし、費用を安く抑えるポイントも存在します。
ポイントをしっかり確認したうえでうまく活用し、リノベーション時に役立てることをおすすめします。
今回は、水回りリノベーションの費用を抑えるポイントとして、下記の3つを紹介します。
- セットプランを利用する
- 設備のグレードを下げる
- 補助金制度を使う
それぞれ詳しくみていきましょう。
7-1. セットプランを利用する
依頼先によっては、水回りの設備を3・4点ほどのセットプランとして提供している場合があります。
水回りの設備は、大体同じような時期に劣化が見られるようになります。
そのため、セットプランの提供によって一度にリノベーションできるといったメリットがあるのです。
セットプランを利用すれば、仕入れ値や人件費を削減できるため、リノベーション費用を抑えられます。
ただし、事前にリノベーション会社の方でセット内容が指定されている場合がほとんどです。
そのため、各場所にメーカーや細かい機能性にこだわりがある方には、セットプランをおすすめしません。
7-2. 設備のグレードを下げる
リノベーション時に、希望する設備のグレードから下げることも、費用を抑えるために大事な要素です。
水回りの設備には、それぞれグレードが定められています。
リノベーションの要望を叶えるためには、ハイグレードの設備機器を選ぶのが無難ですが、その分値段は高くなってしまいます。
そのため、事前に「ここだけは外せない」場所を考えておき、優先順位をつけましょう。
7-3. 補助金制度を使う
補助金を使用することで、リノベーション費用を抑えられます。
水回りのリフォーム・リノベーションで活用できる補助金制度には、さまざまなものがあります。
補助金によって、条件や期間などが異なるため、自分に適した補助金制度を適切に受けられるようにしましょう。
補助金制度に関しては、「水回りのリノベーションで活用できる補助金制度4選」で詳しく解説します。
水回りのリノベーションで活用できる補助金制度4選
水回りのリノベーションでは、補助金制度を利用することで、リノベーションにかかる費用を賄える可能性があります。
水回りのリノベーションは決して安くはないため、利用できる補助金制度をうまく活用しましょう。
今回は、水回りのリノベーションで活用できる補助金制度として、下記の4つをお紹介します。
- 子どもエコすまい支援事業
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業
- 介護保険制度
- 地方自治体の補助金、助成金制度
それぞれ詳しく解説します。
8-1. 子どもエコすまい支援事業
子どもエコすまい支援事業とは、若い年齢の夫婦や子育て世代に対し、省エネ性能の高い新築住宅や住宅省エネ改修などに対する支援となっています。
リノベーション・リフォームの場合は5~60万円の補助が受けられます。
子どもエコすまい支援事業については、以下ホームページをご覧ください。
8-2. 長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、既存住宅の長寿命化や省エネ化などに資する性能向上リノベーションや子育て世代向けのリノベーションに対する支援です。
耐震性や省エネ性能の高い長期優良住宅へのリフォームやリノベ―ションが対象となっています。
長期優良住宅化リフォーム推進事業については、以下ホームページをご覧ください。
8-3. 介護保険制度
介護保険制度とは、要介護や要支援と認定されている方が住む住宅をバリアフリー化するリノベーション時に、施工費用が補助される制度のことです。
手すりの設置や段差の解消、床材や通路面の変更や引き戸、洋式便所の設置などが対象の工事となり、最大で18万円が支給されます。
介護保険制度については、以下ホームページをご覧ください。
8-4. 地方自治体の補助金・助成金制度
それぞれの地方自治体でも、省エネやバリアフリーに関するリノベーションなどで、補助金・助成金制度が受けられます。
例えば、高断熱浴槽の設置や節水型トイレへの交換などが多く設定されている対象のリノベーションとして挙げられます。
受けられるリノベーションの内容は、自治体や年度によって異なるため、お住いの地域の自治体に確認するようにしましょう。
水回りをリノベーションする際の依頼先は?
リノベーション(リフォーム)を検討しようとしても、ホームセンターや大工さん、設備屋さん、リフォーム会社など、数多くの選択肢があり、候補を選ぶのも一苦労です。
そこで、今回は水回りをリノベーションする際におすすめの依頼先として、下記の5つを紹介します。
- 住宅メーカーやデベロッパーのリフォーム部門
- 住宅設備メーカー系のリフォーム部門
- リノベーション専門会社
- 設計事務所
- 地場の工務店
実際にリフォーム会社を選ぶ際には、数社に見積もり依頼し、大体の予算感を把握したうえで、内容を比較検討しましょう。
9-1.住宅メーカーやデベロッパーのリフォーム部門
住宅を建ててくれたメーカー・デベロッパーに依頼する方法です。
大きな会社ほどネームバリューによる信頼感はありますが、施工の小回りが利かなかったり、工事費が高額になったりする場合があります。
また、実際の工事を地元の工務店に依頼しているような場合は、自分で直接依頼した方が割安になることがあります。
9-2.住宅設備メーカー系のリフォーム店
TOTO、LIXILなどの大手設備メーカーが実施しているリフォームです。
設備ブランドの系列だと、名前に関する大きな安心感があります。
しかし、実際にはフランチャイズや地元の工務店が施工を担当していることも少なくありません。
また、ブランド料が高くなる場合もあるので、他社とも比較しておくと安心です。
9-3.リノベーション(リフォーム)専門会社
リノベーション(リフォーム)専門店は、経験豊富で腕も確かなことがほとんどです。
水回りには予期せぬトラブルもつきものです。
そのため、腕のあるリノベーション専門店では、対応力にも期待できるでしょう。
ただし、空間のトータルコーディネートや、元々手がけていない分野の工事が不得意な場合もあります。
施工実績を確認することで、得意としているデザインや分野が分かるので、事前に確認しておくと安心です。
9-4.設計事務所
空間のレイアウトやリノベーションによる動線の改善など、暮らしを見つめた提案が得意なのは設計事務所です。
ただし、設備を単に交換するだけなどの小規模の工事には対応してもらえない場合があります。
デザインや利便性を最大限に高めたい場合には、設計事務所に依頼するとよいでしょう。
9-5.地場の工務店
長く地元から頼りにされている工務店は、小回りが利き、価格面で他の会社より有利になる場合があります。
また、工事も大規模から小規模まで対応可能な会社が多いのも特徴です。
ただし、地域によっては、施工が戸建て中心に施工を行なっている会社も多いでしょう。
マンションの場合は対応可能かどうかを事前に相談しておきましょう。
水回りのリノベーションに関するよくある質問
最後に、水回りのリノベーションに関するよくある質問を紹介します。
水回りのリノベーションに関して多くの方が抱えている悩みであり、これを読んでいる方も同じ悩みを抱えている可能性が高いため、ぜひ参考にしてみてください。
10-1. 水回りのリノベーションの期間はどれくらい?
リノベーション内容によって工事期間は異なります。
トイレや洗面所のリノベーションなら1日ほどで完了しますが、お風呂やキッチンは3~7日程度が目安の期間です。
事前に依頼先に問い合わせを行い、工事期間を確認しましょう。
10-2. 水回りの設備は移動できるの?
構造的や制約がなければ、水回りの移動は可能です。
しかし、水回りの異動は排水・配管工事などの作業を伴うため、リノベーションに必要な費用が高くなってしまいます。
また、マンションで水回りの設備を移動したい場合には、事前に管理組合の許可を取る必要があります。管理規約で禁止されていることもあるので、必ず確認しておきましょう。
10-3. 水回りのリノベーションはマンションでもできるの?
マンションでも水回りのリノベーションはできます。
もし、単純な設備交換だけではなく、空間デザインもあわせて考えたい場合にはリノベーション会社に依頼しましょう。
さらに、浴室やトイレなどの位置を移動したり、対面キッチンにするなどのレイアウトが変わる場合には、水回りだけでなく他の部屋も含めたフルリノベーションを検討するのもおすすめです。
空間全体のデザインや間取り、動線を踏まえて暮らしやすい住まいにすることができますよ。
まとめ
水回りは特に、空間自体のクオリティや機能面が大切です。
新築または前回のリノベーション(リフォーム)から15年以上経つと、ライフスタイルや家の使い方も変化しているかもしれません。
そのため、設備だけでなく、間取り自体を見直すきっかけになることもあるでしょう。
家や住まい手のことを考えてプラスアルファの提案をしてくれる会社を選ぶと、総合的な満足度が高まります。
何度も行うものではないからこそ、信頼できる業者を選ぶようにしてください。
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